JP2006144634A - 可変気筒内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 減筒運転中に休止気筒により排気再循環を実施する時に運転気筒での燃焼悪化及びノッキング発生を防止可能とする可変気筒内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】 一部気筒を運転する減筒運転中に、休止させる残り気筒において、ピストン下降中には吸気弁を閉弁すると共に排気弁を開弁し、ピストン上昇中には吸気弁を開弁すると共に排気弁を閉弁し、残り気筒を介して機関排気系の排気ガスを機関吸気系へ再循環させる時に、機関運転状態に応じた再循環排気ガス量(A−Amax)及び再循環排気ガス温度(T)を実現するように、ピストン下降中における排気弁の開弁期間(EVC)及びリフト量の少なくとも一方と、ピストン上昇中における吸気弁の開弁時期(IVO)とを制御する(ステップ105)。
【選択図】 図2

Description

本発明は、一部気筒を運転させて残り気筒を休止させる減筒運転を実施可能な可変気筒内燃機関の制御装置に関する。
機関低負荷時等において、一部気筒でだけ運転を実施することにより、必要機関出力を維持するために運転される一部気筒では吸気量が増加されて出力が高められる。そのためにスロットル弁の開度は増加され、ポンピング損失が減少するために燃料消費を低減することができる。
このような減筒運転中に、休止気筒において、吸気弁を閉弁させ続けると共に排気弁を排気行程及び吸気行程で開弁させると、機関排気系の排気ガスが休止気筒に吸入されて圧縮され、休止気筒の最大筒内圧力が比較的高くなり、それにより、運転気筒の最大筒内圧力との差を小さくして機関振動を低減することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この技術において、休止気筒の排気行程で排気弁を閉弁させる代わりに吸気弁を開弁させれば、休止気筒に吸入された排気ガスは吸気系へ排出され、この排気ガスはサージタンクを介して運転気筒に吸入されるために再循環排気ガスを増量することができる。
特開2001−132484号公報 実開平4−34450号公報
しかしながら、このように休止気筒によって再循環排気ガスを単に増量すると、運転状態によっては、再循環排気ガス量が多すぎて運転気筒での燃焼が悪化したり、また、高温過ぎる排気ガスが運転気筒に吸入されてノッキングが発生したりすることがある。
従って、本発明の目的は、減筒運転中において、休止気筒によって排気再循環を実施する時に運転気筒での燃焼悪化及びノッキング発生を防止可能とする可変気筒内燃機関の制御装置を提供することである。
本発明による請求項1に記載の可変気筒内燃機関の制御装置は、一部気筒を運転して残り気筒を休止させる減筒運転を実施可能な可変気筒内燃機関の制御装置であって、前記減筒運転中に休止させる前記残り気筒において、ピストン下降中には吸気弁を閉弁すると共に排気弁を開弁し、ピストン上昇中には吸気弁を開弁すると共に排気弁を閉弁し、前記残り気筒を介して機関排気系の排気ガスを機関吸気系へ再循環させる時に、機関運転状態に応じた再循環排気ガス量及び再循環排気ガス温度を実現するように、ピストン下降中における前記排気弁の開弁期間及びリフト量の少なくとも一方と、ピストン上昇中における前記吸気弁の開弁時期とを制御することを特徴とする。
本発明による請求項1に記載の可変気筒内燃機関の制御装置によれば、減筒運転中に休止させる残り気筒を介して機関排気系の排気ガスを機関吸気系へ再循環させる時に、ピストン下降中における排気弁の開弁期間及びリフト量の少なくとも一方を制御することにより、機関排気系から残り気筒内へ吸入される再循環排気ガス量を機関運転状態に応じて制御することができ、また、ピストン上昇中における吸気弁の開弁時期を制御することにより、残り気筒に吸入した再循環排気ガスを膨張させて又は圧縮して機関吸気系へ排出し、再循環排気ガス温度を機関運転状態に応じて制御することができる。
図1は本発明による制御装置が取り付けられる可変気筒内燃機関を示す概略図である。同図において、1は機関本体であり、2は各気筒共通のサージタンクである。3はサージタンク2と各気筒とを連通する吸気通路であり、4はサージタンク2の上流側の吸気ダクトである。吸気ダクト4におけるサージタンク2の直上流側にはスロットル弁5が配置されている。スロットル弁5は、アクセルペダルに機械的に連動するものではなく、ステップモータ等のアクチュエータによって自由に開度設定可能なものである。
機関本体1において、6は吸気通路3と気筒内との連通及び遮断を可能とする吸気弁であり、7は排気通路8と気筒内との連通及び遮断を可能とする排気弁である。9はピストンであり、10は点火プラグであり、11は各気筒内へ直接的に燃料を噴射するための燃料噴射弁である。本可変気筒内燃機関において、吸気弁6及び排気弁7は、それぞれ、例えば油圧式又は電磁式等のアクチュエータ12,13によって駆動され、それぞれの開弁時期及び閉弁時期を自由に設定可能となっている。燃料噴射弁11は吸気行程で気筒内へ燃料を噴射し、圧縮行程末期の点火時期までに気筒内には均質混合気が形成されるようになっている。燃料噴射弁11は、吸気通路3に配置されて、吸気同期噴射又は吸気非同期噴射により気筒内に均質混合気を形成するようにしても良い。14は、機関排気系と、機関吸気系の例えばサージタンク2とを連通する排気ガス再循環通路であり、15は排気ガス再循環通路14を介して再循環させる排気ガス量を制御するための制御弁である。
機関低負荷時には、一般的に、スロットル弁5の開度は小さくされ、それにより、大きなポンピング損失が発生して燃料消費を悪化させる。本可変気筒内燃機関では、機関低負荷時等に、一部気筒を運転させると共に残り気筒を休止させる減筒運転が実施可能となっている。減筒運転において、一部気筒では必要機関出力を維持するために吸気量を増量して出力が高められる。こうして、スロットル弁5の開度が大きくされてポンピング損失が抑制され、燃料消費を改善することができる。減筒運転において、休止させる残り気筒では、点火プラグ10による点火及び燃料噴射弁11による燃料噴射を停止させ、また、各アクチュエータ12,13によって吸気弁6及び排気弁7は閉弁させ続けることが好ましい。それにより、休止気筒を介して機関排気系に空気が排出されて機関排気系における排気ガスの空燃比がリーンとなり、機関排気系に配置された三元触媒装置によるNOXの還元浄化が不活発となることは防止される。
ところで、本可変気筒内燃機関において、排気ガス再循環通路14によって排気ガス再循環が可能となっている。排気ガス再循環を実施すると、排気ガスの主成分である不活性ガスによって燃焼温度が低下し、NOXの生成量を低減することができる。また、スロットル弁5の下流側の圧力低下が抑制されてポンピング損失が低減すると共に、筒内における冷却損失が低減し、比熱比が増大するために、燃料消費の改善することができる。
こうして、できる限り多量の排気ガスを再循環させることが好ましいが、排気ガス再循環は、一方で、燃焼速度が低下するために燃焼安定性が悪化させ、また、新気量が減少するために発生機関出力が低下する。それにより、各機関運転状態に対して、最適な再循環排気ガス量が設定されている。減筒運転が実施される低負荷域においては、多量の排気ガス再循環が可能となって、排気ガス再循環通路14によって再循環可能な最大再循環排気ガス量Amaxを上回ることがある。この時には、休止気筒のピストン下降中に排気弁を開弁させて機関排気系から休止気筒へ排気ガスを吸入し、こうして吸入した排気ガスをピストン上昇中に吸気弁を開弁させて機関吸気系へ排出することにより、不足分の排気ガスを休止気筒により機関排気系から機関吸気系へ再循環させることができる。
図2は、本発明による制御装置によって実施される減筒運転時の制御を示すフローチャートである。本フローチャートは、設定時間又は設定クランク角度毎に繰り返される。先ず、ステップ101において、減筒運転が実施されているか否かが判断される。この判断が否定される時には、そのまま終了するが、減筒運転が実施されている時には、ステップ102において、現在の機関運転状態に基づく必要再循環排気ガス量Aが決定される。
図3は機関回転数Nに対する必要再循環排気ガス量Aの変化の傾向を示すグラフであり、機関回転数Nが低いほど燃焼安定性が必要であり、必要再循環排気ガス量Aは少なくなる。また、図4は機関負荷Lに対する必要再循環排気ガス量Aの変化の傾向を示すグラフであり、機関負荷Lが高いほど高い機関出力が必要であり、必要再循環排気ガス量Aは少なくなる。これらの傾向に基づき、現在の機関運転状態に基づく必要再循環排気ガス量Aが決定される。
次いで、ステップ103では、必要再循環排気ガス量Aが排気ガス再循環通路14による最大再循環排気ガス量Amaxより多いか否かが判断される。この判断が否定される時には、排気ガス再循環通路14によって排気ガスを再循環させれば良く、本フローチャートはそのまま終了する。しかしながら、ステップ103における判断が肯定される時には、排気ガス再循環通路14による排気ガス再循環だけでは、再循環させる排気ガス量が不足するために、休止気筒を介して排気ガス量A−Amaxを再循環させることが必要となる。
休止気筒を介して再循環させる排気ガス温度が高ければ、機関冷間時等に気筒内温度を高めて噴射燃料の気化を促進することができる。しかしながら、この一方で、機関温間時等にはノッキングが発生し易くなる。それにより、ステップ104では、現在の機関運転状態に応じて休止気筒を介して再循環させる排気ガスの温度Tが決定される。
図5は機関回転数Nに対するノッキング限界のサージタンク内ガス温度T’(ノッキングを発生させない最高温度)の変化の傾向を示すグラフであり、機関回転数Nが低いほどサージタンク内ガス温度を低温度としなければならない。また、図6は機関負荷Lに対するノッキング限界のサージタンク内ガス温度T’の変化の傾向を示すグラフであり、機関負荷Lが高いほどサージタンク内ガス温度を低温度としなければならない。これらの傾向に基づき、現在の機関運転状態に応じて、排気ガス量A−Amaxをサージタンクへ再循環させた時のサージタンク内ガス温度(新気と、排気ガス再循環通路14を介しての排気ガスと、休止気筒を介しての排気ガスとの混合ガス温度)がノッキング限界を超えないように、休止気筒を介しての再循環排気ガス温度Tが決定される。
次いで、ステップ105では、休止気筒のピストン下降開始時、すなわち、休止気筒の吸気行程又は膨張行程の開始時の排気弁7の開弁に対して、排気ガス量A−Amaxを機関排気系から休止気筒内へ吸入するための排気弁閉弁時期EVCを決定すると共に、休止気筒に吸入された排気ガスの温度がステップ104において決定された温度Tとなるように、休止気筒のピストン上昇中、すなわち、休止気筒の圧縮行程又は排気行程中における吸気弁6の開弁時期IVOを決定する。こうして、休止気筒のピストン下降開始時に排気弁7を開弁させ、その後の排気弁閉弁時期EVCにおいて排気弁7を閉弁させ、その後の吸気弁開弁時期IVOにおいて吸気弁6を開弁させ、その後のピストン上昇終了時に吸気弁6を閉弁させるように、各アクチュエータ6,7が制御される。
休止気筒を介して再循環させる排気ガス量A−Amaxが多いほど、排気弁閉弁時期EVCはピストン下死点に近づけられ、ピストン下降中における排気弁7の開弁期間が長くされる。本フローチャートにおいて、排気弁の開弁時期は、ピストンの下降開始時に固定したが、もちろん、排気弁開弁時期を可変として(この時の排気弁閉弁時期は、ピストンの下降終了時に固定しても可変としても良い)、再循環させる排気ガス量A−Amaxが休止気筒に吸入されるように排気弁7の開弁期間を制御するようにしても良い。また、排気弁7の開弁期間に加えて、又は、代えて排気弁7のリフト量を制御して、再循環させる排気ガス量A−Amaxが休止気筒に吸入されるようにしても良い。
こうして、休止気筒内へ吸入された排気ガスは、ピストンの下降中に渡って排気弁7が開弁された場合を除いて、休止気筒内でピストン下降終了時まで膨張されて温度低下する。休止気筒内の排気ガスは、その後、ピストン上昇に伴って徐々に圧縮されて温度上昇し、吸入された時以上の圧力に圧縮されれば吸入された時以上に温度上昇する。それにより、ステップ104において決定された再循環排気ガスの所望温度Tが休止気筒へ吸入された排気ガス温度より高い場合には、吸入された時より排気ガスが圧縮されて所望温度Tとなった時が吸気弁開弁時期IVOとされ、この時に吸気弁6が開弁されて機関吸気系へ排気ガスが排出される。
一方、ステップ104において決定された再循環排気ガスの所望温度Tが休止気筒へ吸入された排気ガス温度より低い場合には、吸入された時より排気ガスが膨張されて所望温度Tとなっている時が吸気弁開弁時期IVOとされ、この時に吸気弁6が開弁されて機関吸気系へ排気ガスが排出される。こうして、ピストン上昇中における吸気弁の開弁時期が、ピストン下死点に近いほど再循環排気ガス温度は低くなり、ピストン上死点に近いほど再循環排気ガス温度は高くなる。
ところで、休止気筒に吸入させる排気ガス量が多いと、休止気筒において吸入した排気ガスを十分に膨張させることができず、機関吸気系へ排出する排気ガス温度を十分に低下させることができない。それにより、休止気筒を介して再循環させる排気ガス量A−Amaxが比較的多い時には、この排気ガス量A−Amaxを二分して(等量としなくても良い)、それぞれを、吸気行程及び圧縮行程と膨張行程及び排気行程との休止気筒の二回のピストンの上下動によって機関吸気系へ排出するようにしても良い。こうして、一回のピストンの上下動に対して休止気筒へ吸入される排気ガス量が比較的少なくなれば、休止気筒における排気ガスの十分な膨張が可能となって機関吸気系へ排出する排気ガス温度を十分に低下することが可能となる。
本実施形態において、減筒運転中の休止気筒を介しての再循環排気ガス量は、必要再循環排気ガス量Aと排気ガス再循環通路14による最大再循環排気ガス量Amaxとの差としたが、これは本発明を限定するものでなく、例えば、減筒運転中の排気ガス再循環において、排気ガス再循環通路14を介して最大再循環排気ガス量Amaxより少ない排気ガス量を再循環させ、必要再循環排気ガス量Aに対する残りの排気ガス量が休止気筒を介して再循環されるようにしても良い。
本発明による制御装置が取り付けられる可変気筒内燃機関を示す概略図である。 本発明による制御装置によって実施される減筒運転時の制御を示すフローチャートである。 機関回転数に対する必要再循環排気ガス量の変化を示すグラフである。 機関負荷に対する必要再循環排気ガス量の変化を示すグラフである。 機関回転数に対するノッキング限界のサージタンク内ガス温度の変化を示すグラフである。 機関負荷に対するノッキング限界のサージタンク内ガス温度の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 機関本体
3 吸気通路
6 吸気弁
7 排気弁
8 排気通路
11 燃料噴射弁
12,13 アクチュエータ
14 排気ガス再循環通路

Claims (1)

  1. 一部気筒を運転して残り気筒を休止させる減筒運転を実施可能な可変気筒内燃機関の制御装置であって、前記減筒運転中に休止させる前記残り気筒において、ピストン下降中には吸気弁を閉弁すると共に排気弁を開弁し、ピストン上昇中には吸気弁を開弁すると共に排気弁を閉弁し、前記残り気筒を介して機関排気系の排気ガスを機関吸気系へ再循環させる時に、機関運転状態に応じた再循環排気ガス量及び再循環排気ガス温度を実現するように、ピストン下降中における前記排気弁の開弁期間及びリフト量の少なくとも一方と、ピストン上昇中における前記吸気弁の開弁時期とを制御することを特徴とする可変気筒内燃機関の制御装置。
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