JP2006142481A - 四自由度パラレルロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】トラベリングプレートを素早く移動でき、その位置決めを高剛性で精密にできる四自由度パラレルロボットを提供すること。
【解決手段】本発明の「四自由度パラレルロボット」では、四つのアクチュエータ2のうち二つにはそれぞれ平行リンクロッド3が接続され、他の二つにはそれぞれ一本のモーメントフリーロッド3’が接続されている。これら四本のロッドの他端に接続されたトラベリングプレート4’は、全方向への平行移動と所定の一軸回りの回転移動とで四自由度で移動できる。その際、各ロッド31,3’に曲げやねじりのモーメントが掛からないから剛であり、トラベリングプレート4’の高速移動と精密位置決めとが可能になる。
【選択図】図13

Description

本発明は、複数のアクチュエータが並列に配設されたパラレルロボットの技術分野に属する。本発明は、移送や加工を目的とした工業用ロボットに好適であるが、自動車の運転シミュレータなど他の用途にも広く応用可能である。
工業用ロボットには、アーム型ロボットのようにアクチュエータが直列に配設されたシリアルリンク機構をもつシリアルロボットと、フライトシミュレータのようにアクチュエータが並列に配設されたパラレルリンク機構をもつパラレルロボットとがある。パラレルロボットでは、シリアルロボットとは異なって、リンク機構を構成するロッドに曲げモーメントが作用せず、ロッドには引っ張りまたは圧縮の軸力だけが作用する。それゆえ、パラレルロボットによれば、高速かつ高加速度での動作が可能であるうえに、高剛性が得られる。
フライトシミュレータのように六自由度をもつパラレルロボット(「従来技術1」と呼ぶ)は、特許文献1や特許文献2に開示されており、すでに商品化もされている。これらの六自由度パラレルロボットによれば、トラベリングプレートが、直交三軸に沿った全方向への平行移動と直交三軸回りの回転移動とを行うことができ、極めて自由度が高い動作を行うことができる。ただし、このような六自由度パラレルロボットにおいて、六自由度の運動を実現するためには、六つのアクチュエータが必要であり、これらを省略することはできない。それゆえ、コストダウンにも自ずと限度があり、高価なものとならざるを得ない。
ところで、航空機のマニューバを模擬するフライトシミュレータには六自由度が必要であると考えられるが、工業用ロボットには六自由度は必ずしも必要ではない。すなわち、工業用ロボットでは、多くの場合、縦横高さ方向の平行移動と水平面内での回転移動との都合四自由度の運動ができれば足り、六自由度はオーバースペックである。
そこで、特許文献3には、従来技術として、前述の四自由度の運動をすることができる疑似パラレルロボットが開示されている。このロボットを、本発明の四自由度パラレルロボットと区別するために、「従来技術2」と呼ぶことにする。
従来技術2は、それぞれアクチュエータによって駆動される二本のロッドをもつ三組の平行リンクを三方に有しており、トラベリングプレートを三自由度で平行移動させることを可能としている。そして、従来技術2は、トラベリングプレートの水平面内の旋回を可能にするために、第四のアクチュエータによって回転駆動される伸縮自在のトルクロッドを有する。ここで、トルクロッドの一端は回転モータの軸にユニバーサルジョイントで連結されており、他端はトラベリングプレートの中央部にユニバーサルジョイントで連結されている。それゆえ、トラベリングプレートは回転モータの駆動軸の回転運動に追随して、水平面内での回転運動をする。
従来技術2によれば、アクチュエータの数を四つに減らせるので、六つのアクチュエータが必要な前述の六自由度パラレルロボットに比べて安価になるという効果がある。
特開平6−270077号公報(従来技術1の開示例) 特開平8−150526号公報(同上) 特公平4−45310号公報(特願昭61−506331号) (従来技術2の開示例)
しかしながら、前述の従来技術としての従来技術2では、トルクロッドにねじりモーメントがかかるので、本来のパラレルロボットのように高速かつ高加速度の運動を実現することは難しい。すなわち、トルクロッドに大きなトルクがかかるとトルクロッドがねじれ変形するので、回転運動を従来技術1のように精密に行うことができず、回転運動を急停止するとねじれ振動を起こしてしまい位置決めに時間がかかる。
そればかりではなく、従来技術2では、前述のようにトルクロッドがねじれ変形しやすいので、剛性が不足する傾向にある。それゆえ、トラベリングプレートにヨーイングモーメントがかかると、トルクロッドのねじれ変形に伴ってトラベリングプレートが回転移動してしまう。その結果、従来技術2には、高い剛性をもって精密にトラベリングプレートの位置決めを行うことが困難であるという不都合がある。
そこで本発明は、トラベリングプレートを、高速かつ高加速度で四自由度の移動をさせることができ、高い剛性をもって精密に位置決めすることができる四自由度パラレルロボットを提供することを解決すべき課題とする。
前記課題を解決するために、発明者らは以下の手段を発明した。なお、以下の各手段に付せられた順序数は、この分割出願の出願時にその特許請求の範囲に記載されている各請求項の番号とそれぞれ対応している。
(第1手段)
本発明の第1手段は、基台と、該基台に固定された四つのアクチュエータと、各該アクチュエータの可動部にそれぞれ屈曲可能なジョイントを介して一端が連結された四組のロッド部材と、各該ロッド部材の他端にそれぞれ屈曲可能なジョイントを介して四隅が連結されたトラベリングプレートとを有する四自由度パラレルロボットである。
ここで、前記ロッド部材のうち二組は、それぞれ平行リンクを構成する互いに平行な二本のモーメントフリーなロッドであって、各該ロッドの一端部を前記アクチュエータに、他端部を前記トラベリングプレートに、それぞれ連結するユニバーサルジョイントおよびボールジョイントのうち少なくとも一方をもつ。一方、前記ロッド部材のうち他の二組は、それぞれ一本のモーメントフリーなロッドであって、各該ロッドは両端にユニバーサルジョイントおよびボールジョイントのうち少なくとも後者をもつ。
その結果、前記トラベリングプレートのうち少なくとも一部は、全方向への平行移動と所定の一軸回りの回転移動とで四自由度の移動が可能である。
(第2手段)
本発明の第2手段は、基台と、該基台に屈曲可能なジョイントを介して一端が接続された所望の長さに伸縮可能な四組のアクチュエータロッドと、各該アクチュエータロッドの他端にそれぞれ屈曲可能なジョイントを介して四隅が連結されたトラベリングプレートとを有する四自由度パラレルロボットである。
ここで、前記四組のアクチュエータロッドは、第1手段の構成要素であるロッド部材に相当するロッド部材をもつ。
その結果、前記トラベリングプレートのうち少なくとも一部は、全方向への平行移動と所定の一軸回りの回転移動とで四自由度の移動が可能である。
本発明の四自由度パラレルロボットの実施形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
[実施例1]
(実施例1の構成)
本発明の実施例1としての四自由度パラレルロボットは、図1に示すように、基台1と、四組のアクチュエータ2およびロッド部材3と、トラベリングプレート4およびエンドエフェクタ5とを有する。
先ず、基台1は、平面形が正八角形の剛性の高い金属板であって、水平に配設されており、上面で図示しないフレームに固定されている。基台1の下面の四隅には、四つのアクチュエータ2のブラケット21が、それぞれ所定の位置に所定の角度で固定されている。
次に、基台1に固定された四つのアクチュエータ2は、それぞれ、前述のブラケット21と、ブラケット21に固定された回転モータ22と、回転モータ22により所定の角度範囲で回転駆動される駆動軸に一端が固定されたアーム23とからなる。各回転モータ22は、サーボモータであり、後述の制御手段によってそれぞれ独立して制御される。
そして、四組のロッド部材3は、各アクチュエータ2の可動部であるアーム23の先端に、それぞれ屈曲可能なユニバーサルジョイント33を介して一端が連結されている。具体的には、各ロッド部材3は、互いに平行な二本の長いロッド31である。そして、この一対のロッド31と、互いに平行な一対の短い端部材32と、ロッド31と端部材32とを屈曲可能に連結する四つのユニバーサルジョイント33とは、平行リンク3を構成している。各平行リンク3の両端部を構成する端部材32は、それぞれアクチュエータ2およびトラベリングプレート4に連結されている。
すなわち、各平行リンク3は、二本のロッド31と一対の端部材32と両者31,32をそれぞれ屈曲可能に接続するユニバーサルジョイント33とからなり、常に平行四辺形をなす。そして、各平行リンク3の一対の端部材32のうち、一方はアクチュエータ2のアーム23の先端に連結されており、他方はトラベリングプレート4の連結部材42の端部に連結されている。
ここで、アクチュエータ2のアーム23の先端に固定された端部材32は、アクチュエータ2の駆動軸と平行に固定されている。それゆえ、各アクチュエータ2の駆動軸と、対応する各平行リンク3の両端の端部材32とは、互いに平行に保たれる。
トラベリングプレート4は、各ロッド部材3の下端の端部材32に、それぞれ屈曲可能なジョイントを介して四隅で連結されている。トラベリングプレート4は、エンドエフェクタ5を下方に固定している主要部材41と、主要部材41の両端に中間部がそれぞれ相対回転可能に連結され両端部がそれぞれ平行リンク3の端部材32に連結された一対の連結部材42とをもつ。すなわち、トラベリングプレート4は、主要部材41と、一対の連結部材42と、主要部材41の両端に各連結部材42の中間部を垂直軸回りに回転可能に接続する一対のピボット43とからなる。
そして、アクチュエータ2を適正に制御することにより、トラベリングプレート4の主要部材41は、前後、左右および上下の全方向への平行移動と、垂直軸回りの回転移動とで、四自由度の移動をすることが可能である。すなわち、図2に示すように、アクチュエータ2のアーム23と平行リンク3とトラベリングプレート4とがリンク機構を構成するので、トラベリングプレート4の主要部材41は、前述のように四自由度で位置および姿勢を変えることができる。この際、図2中に小さな丸で表記した各関節は、十六個のユニバーサルジョイント33と一対のピボット43とである。
ここで、トラベリングプレート4の四隅に回転可能に連結された各平行リンク3の端部材32の方向の組み合わせは、図3に示す通りである。すなわち、垂直軸回りに、右前方の端部材32の方向を基準とし、同端部材32から時計回りに順に、0°,90°,225°および315°の組み合わせで、四組の平行リンク3の端部材32が、トラベリングプレート4の一対の端部材32に固定されている。このような端部材32の取付け角度の組み合わせは、トラベリングプレート4が基台1の中央直下にあり、主要部材41に対して各連結部材42が直交する状態で定められている。
このような端部材32の取付け角度の組み合わせは、リンクモーションに特異点が発生して不静定になることがないように配慮して決められている。そればかりではなく、トラベリングプレート4の主要部材41の位置および姿勢が、十分に剛に定まるように配慮して決められている。
エンドエフェクタ5は、再び図1に示すように、トラベリングプレート4の主要部材41に固定されており、下方に向かって突出している。エンドエフェクタ5は、本実施例の四自由度パラレルロボットの用途に応じて交換可能であり、エンドエフェクタ5への制御信号および動力の供給は、図示しない信号線および動力線を介して供給される。信号線および動力線は、基台から適正に支持されてつり下げられていてもよいし、いずれかのアーム23および平行リンク3に沿って配設されていても良い。
エンドエフェクタ5としては、ワークを移送したり所定位置に支持したりするためのハンドリング装置や、ワークに機械加工を加えるための工作機械の主軸装置などであっても良い。
制御手段は、図4に示すように、デジタルコンピュータである制御装置6と、制御装置6に付設された駆動回路7とからなる。制御装置6は、CPU61、メモリ62およびインターフェース63,64などからなり、インターフェース63を介して入出力装置65および外部メモリ66に接続されている。入出力装置65は、キーボードおよびCRTディスプレイからなるマンマシン・インターフェースであり、外部メモリ66は、ハードディスクである。外部メモリ6には、本実施例の四自由度パラレルロボットを予め定められたシーケンスに従って制御するための制御プログラムが格納されている。それゆえ、この制御プログラムを入れ替えることによって、本実施例の四自由度パラレルロボットは、多様な仕事をこなすことができる。
制御装置6のメモリ62には、外部メモリ66によって指定されたトラベリングプレート4の主要部材41がとるべき位置および姿勢の指令値に基づいて、各回転モータ22が取るべき回転角度位置を算出する座標変換プログラムが格納されている。
この座標変換プログラムは、図5に示すように、処理ステップS1で入力指令値を読み込み、処理ステップS2で座標変換を行い、処理ステップS3で座標変換後の指令値を出力する処理を行うプログラムである。これらの処理は、判断ステップS4で動作が終了したと判定されるまで繰り返される。
ここで、入力指令値(X,Y,Z,C)は、トラベリングプレート4の主要部材41がとるべき縦横高さ方向の位置(X,Y,Z)およびヨーイング姿勢Cとを指定する四つの数値である。一方、座標変換後の指令値である出力座標系(P,Q,R,S)は、四つの回転モータ22がそれぞれ取るべき回転角度位置であり、処理ステップS2での座標変換にあたっては、四元連立方程式を解く線形計算が行われる。
再び図4に示すように、各回転モータ22への指令値(P,Q,R,S)が算出されると、同指令値は、インターフェース64を介して駆動回路7の四つのドライブユニット71に供給される。すると、各ドライブユニット71は、それぞれの担当する回転モータ22を速やかに駆動し、その回転角度位置を指令値通りに設定する。
この際、各回転モータ22には回転角度位置を高分解能で検出するエンコーダが付設されており、ドライブユニット71と回転モータ22との間でフィードバックループが形成されている。それゆえ、各回転モータ22の回転角度位置は、十分精密に制御される。
(実施例1の作用効果)
本実施例の四自由度パラレルロボットは、以上のように構成されているので、以下のように主に二つの作用効果を発揮することができる。
第一の効果は、トラベリングプレート4の主要部材41を、高速かつ高加速度で四自由度の移動をさせることができ、高い剛性をもって精密に位置決めすることができるということである。
すなわち、本実施例の四自由度パラレルロボットでは、四つのアクチュエータ2がそれぞれ連携して制御され、四組の平行リンク3をそれぞれ所定ストロークだけ押し引きする。すると、各平行リンク3によってトラベリングプレート4が移動し、トラベリングプレート4の主要部材41および一対の連結部材42の位置および姿勢が定まる。
ここで、トラベリングプレート4の主要部材41では、運動の自由度が、全方向への平行移動と所定の一軸回りの回転移動との四自由度に限定されている。それゆえ、四組の平行リンク3において、アクチュエータ2側の端部材32の位置が定まれば、トラベリングプレート4側の端部材32の位置も一意に定まる。その結果、トラベリングプレート4の主要部材41および一対の連結部材42がもつ位置および姿勢は、一意に定まる。
つまり、四つのアクチュエータ2のストロークが定まれば、四組の平行リンク3を介してトラベリングプレート4の主要部材41の位置は、三次元空間のうち一点に定まる。そればかりではなく、トラベリングプレート4の主要部材41の姿勢も、垂直軸回りの所定の回転位置で定まる。この際、各平行リンク3のロッド31には引っ張りまたは圧縮の軸力しか加わらず、ねじり変形に関してはモーメントフリーである。
それゆえ、アクチュエータ2の動作が十分に精密であって、各ロッド32の両端のユニバーサルジョイント33に遊びがなく、アーム23、平行リンク3およびトラベリングプレート4が十分に剛であることが好ましい。このような条件が満たされれば、トラベリングプレート4の主要部材41は、三次元空間中において、指定の位置および姿勢に高い剛性で精密に固定される。
また、各アクチュエータ2を動かしてトラベリングプレート4を移動させるに際しても、各平行リンク3のロッド31には軸力しか作用せず極めて高い剛性が得られているので、各平行リンク3は大きな慣性力にも耐えることができる。それゆえ、アクチュエータ2の駆動力の範囲で高加速度でトラベリングプレート4を加速および減速することが可能になり、その結果として、アクチュエータ2の駆動速度の範囲で高速での運用も可能になる。
したがって、本実施例の四自由度パラレルロボットによれば、トラベリングプレート4の主要部材41を、高速かつ高加速度で四自由度の移動をさせることができ、高い剛性をもって精密に位置決めすることができるという効果がある。この効果は、前述の従来技術2では得られなかった効果である。
しかも、本実施例の四自由度パラレルロボットは、前述の六自由度パラレルロボットに比べてアクチュエータ2の数を減らすことができるので、六自由度パラレルロボットよりも安価に製造することができるという効果もある。
第二の効果は、構造設計や制御ソフトの製作が容易になるので、前述のようにアクチュエータ2の数が減らせるからだけではなく、よりいっそうコストダウンすることができることである。
すなわち、本実施例の四自由度パラレルロボットでは、四つのロッド部材3の全てが互いに平行な二本のロッドをもつ平行リンク3であり、各平行リンク3は互いに同一規格である。その結果、四組の平行リンク3を同一規格で製造することができるので、部品の種類を減らすことができるうえに、構造設計や制御ソフトの製作が容易になり、コストダウンが可能になる。このコストダウン効果は、少量生産をする場合において特に顕著である。
また、本実施例では、前述のように、平行リンク3の端部材32が所定の角度でトラベリングプレート4の連結部材42に固定されている。すなわち、各平行リンク3の端部材32およびアクチュエータ2の駆動軸は、トラベリングプレート4の四隅に対し45°の整数倍の角度差をもって取り付けられられている。そしてさらに、端部材32のうち二対は、互いに90°の角度差をもって取り付けられている。
それゆえ、トラベリングプレート4の主要部材41が取るべき三次元空間内の目標位置および目標姿勢から、所定の座標変換を行い、四組のアクチュエータ2の目標ストロークを演算する演算処理アルゴリズムが簡素化される。その結果、四組のアクチュエータ2を制御する制御装置6の制御プログラムの開発が容易になる。また、前述のように座標変換の演算処理アルゴリズムが簡素化されているので、制御装置6の演算処理能力の割には制御演算が速やかになり、トラベリングプレート4を目標位置まで速やかに動かすことが可能になる。
したがって、本実施例の四自由度パラレルロボットによれば、構造設計や制御ソフトの製作が容易になり、コストダウンすることができるという効果がある。そればかりではなく、制御装置6が安価であっても比較的速やかな動作が可能になるという効果もある。
(実施例1の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、各アクチュエータ2および平行リンク3の基台1およびトラベリングプレート4に対する取付け角度の組み合わせが、前述の実施例1とは異なる四自由度パラレルロボットの実施が可能である。
本変形態様において、トラベリングプレート4の四隅に回転可能に連結された各平行リンク3の方向の組み合わせは、回転移動の軸である垂直軸回りに、所定の方向を基準として一方の回転方向へ順に次のような組み合わせが可能である。ここで、平行リンク3の取付け角度としたのは、四つの平行リンク3の下端にある端部材32のトラベリングプレート4に対する取付け角度であり、前述の図3と対比してご覧になることをお勧めする。
すなわち、本変形態様での各平行リンク3の取付け角度は、次の四つの組み合わせのうちいずれかであり、いずれの組み合わせでも実施可能である。
・0°,180°,225°および315°の組み合わせ(図6参照)
・45°,180°,180°および315°の組み合わせ(図7参照)
・0°,135°,180°および315°の組み合わせ(図8参照)
・0°,90°,180°および270°の組み合わせ(図9参照)
これらの組み合わせのうちでも、図9の組み合わせは、特に座標変換の演算処理アルゴリズムが簡素化されるので、推奨できる。もちろん、特異点を生じてリンク機構が不静定になったり、余分な自由度をもったりしない範囲で、前記の各組み合わせ以外の取付け角度を取ることも可能である。
なお、以上の実施例1およびその変形態様1において、平行リンク3の関節は全てユニバーサルジョイント33から構成されていた。しかし、これらのユニバーサルジョイント33のうち一部または全部をボールジョイントで置換した変形態様の実施も可能である。
(実施例1の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、図10に示すように、実施例1の四つの回転モータ22に代えて四つのリニアモータ2’をアクチュエータとして有する四自由度パラレルロボットの実施が可能である。アクチュエータとしてのリニアモータ2’を固定している基台(図略)は二つあって、それぞれリニアモータ2’のレールの上端部と下端部とを固定している。
各リニアモータ2’は、垂直方向に長く延在する交互に着磁されたレールと、このレールに沿って移動する電磁コイルを内蔵した移動子とからなる。各移動子には、平行リンク3の上端の端部材32が所定の角度に固定されている。そして、四つのリニアモータ2’のレールは、垂直方向に延在し互いに平行に配設されている。
それゆえ、リニアモータ2’の作用により、平行リンク3の上端の端部材32は、所定の取付け角度を保ったまま上下方向に移動させられる。この移動量を適正に制御することによって、トラベリングプレート4には、実施例1と同様に四自由度で高速運動をさせることができ、剛に位置決めをすることができるので、実施例1と同様の効果が得られる。
そればかりではなく、各リニアモータ2’のレールが垂直方向に長く延在しており、互いに平行であるので、トラベリングプレート4はリニアモータ2’のレールの続く限りレールに沿って移動することができる。その結果、本変形態様においては、トラベリングプレート4の移動範囲が上下方向に極めて長く拡大されるという効果がある。
また、本変形態様では平行リンク3の上端の端部材32が占める水平面内での位置が変わらないので、実施例1よりもリンク機構が単純である。それゆえ、トラベリングプレート4の目標位置からリニアモータ2’の目標位置を算出する座標変換の演算処理アルゴリズムがより簡素になり、制御装置6の演算負荷が減るという効果もある。
したがって本手段によれば、実施例1と同様の効果が得られるばかりではなく、トラベリングプレート4の移動範囲が上下方向に大きく拡大するうえに、制御装置6の演算負荷が減るという効果がある。
(実施例1の変形態様3)
本実施例の変形態様2として、図11に示すように、実施例1の四つの回転モータ22に代えて二つのリニアモータ2’をアクチュエータとして有する四自由度パラレルロボットの実施が可能である。本変形態様では、前述の変形態様2と異なり、リニアモータ2’は二つであって、それらのレールは水平方向に互いに平行に配設されている。図示されてはいないが、アクチュエータとしてのリニアモータ2’を固定している基台は二つあって、リニアモータ2’のレールの両端部を固定している。
各リニアモータ2’は、水平方向に長く延在する交互に着磁されたレールと、このレールに沿って移動する電磁コイルを内蔵した一対の移動子とからなる。各移動子には、平行リンク3の上端の端部材32が所定の角度に固定されている。そして、リニアモータ2’の二本のレールは、水平方向に延在し互いに平行に配設されている。
それゆえ、リニアモータ2’の作用により、平行リンク3の上端の端部材32は、所定の取付け角度を保ったまま水平方向に移動させられる。この移動量を適正に制御することによって、トラベリングプレート4には、実施例1と同様に四自由度で高速運動をさせることができ、剛に位置決めをすることができるので、実施例1と同様の効果が得られる。
そればかりではなく、各リニアモータ2’のレールが水平方向に長く延在して互いに平行であるので、トラベリングプレート4はリニアモータ2’のレールの続く限りレールに沿って移動することができる。その結果、本変形態様においては、トラベリングプレート4の移動範囲が、リニアモータ2’のレールに沿った水平方向に極めて長く拡大されるという効果がある。
また、本変形態様では平行リンク3の上端の端部材32が占める位置が水平方向の一方について変わらないので、やはり実施例1よりもリンク機構が単純である。それゆえ、前述の変形態様2と同様に、トラベリングプレート4の目標位置からリニアモータ2’の目標位置を算出する座標変換の演算処理アルゴリズムがより簡素になり、制御装置6の演算負荷が減るという効果もある。
したがって本手段によれば、実施例1と同様の効果が得られるばかりではなく、トラベリングプレート4の移動範囲が上下方向に大きく拡大するうえに、制御装置6の演算負荷が減るという効果がある。
(実施例1の変形態様4)
本実施例の変形態様4として、図12に示すように、回転モータ22に代えてボールねじ装置2”をアクチュエータとして有する四自由度パラレルロボットの実施が可能である。これらのボールねじ装置2”は、特開平8−150526号公報に「スライドテーブル」として開示されているので、必要があれば同公報を参照されたい。
本変形態様では、略正方形の基台1’の四隅から所定角度で外側に傾いて上方に突出したボールねじ装置2”が基台に固定されている。そして、ボールねじ装置2”のナットには、平行リンク3の上端の端部材32が所定角度で固定されている。それゆえ、ボールねじ装置2”によって平行リンク3の端部材32を適正に移動させることにより、実施例1と同様にトラベリングプレート4を四自由度で移動させることが可能である。そればかりではなく、ボールねじ装置2”は、極めて位置精度が高く、駆動力も大きく剛性にも優れているうえに、遊びがほとんどないので、トラベリングプレート4の位置決めがより精密かつ高剛性でなされる。
したがって、本変形態様の四自由度パラレルロボットによれば、実施例1と同様の効果が得られるうえに、トラベリングプレート4の位置決めがより精密かつ高剛性でなされるという効果がある。
[実施例2]
(実施例2の構成)
本発明の実施例2としての四自由度パラレルロボットは、図13に示すように、実施例1では四組あった平行リンク3のうち二組をロッド3’で置き換えた構成をもつ。ここで、ロッド3’の両端は、ユニバーサルジョイント33に代えてボールジョイント34で、アクチュエータ2のアーム23の先端とトラベリングプレート4’の四隅とに連結されている。また、トラベリングプレート4’は、実施例1のトラベリングプレート4とは異なってピボット43をもたず、一体部材から構成されている。図13では、前述の実施例1のトラベリングプレート4との対比が容易にできるように、トラベリングプレート4’をH字形状で表現したが、実際には略矩形の剛性の高いプレートからトラベリングプレート4は構成されている。
すなわち、本実施例の四自由度パラレルロボットにおいては、ロッド部材3,3’のうち二組は、実施例1と同様に、それぞれ互いに平行な二本のロッド31をもつ平行リンク3である。そして、各平行リンク3の両端の端部材32は、それぞれアクチュエータ2およびトラベリングプレート4’に固定されており、端部材32とロッド31とは、互いにユニバーサルジョイント33によって連結されている。
一方、ロッド部材3,3’のうち他の二組は、実施例1とは異なってそれぞれ一本のロッド3’であり、各ロッド3’は両端にボールジョイント34をもつ。すなわち、両ロッド3’は、両端でボールジョイント34によって、アクチュエータ2のアーム23の先端とトラベリングプレート4’の隅部とに連結されている。それゆえ、各ロッド3’は、ねじり変形に関してはモーメントフリーであり、引っ張りおよび圧縮のうち少なくとも一方の軸力しか受けず、軸力に対して十分に高い剛性をもつ。
(実施例2の作用効果)
本実施例の四自由度パラレルロボットでは、四組のロッド部材3,3’のうち二組は前述の平行リンク3を形成しており、残り二組はボールジョイント34によってモーメントフリーでねじり変位が可能なロッド3’である。すなわち、四組のロッド部材3,3’のうち後者の二組(ロッド3’)は、ねじりに関する自由度をもつ。
それゆえ、前述の実施例1と異なってトラベリングプレート4’が剛な一体部材であっても、四組のロッド部材3,3”とトラベリングプレート4’とによって形成されるリンク機構は不静定にならない。そして、四組のロッド部材の基端部の位置が定まれば、各ロッド部材の先端部の位置も三次元空間中で一意に定まり、トラベリングプレート4’の位置および姿勢も一意に定まる。
その結果、トラベリングプレート4’が一体部材で構成できるうえに、四組のロッド部材3,3’のうち二組は単純なロッドであるから、前述の第2手段よりも部品点数を減らすことができる。それゆえ、本実施例の四自由度パラレルロボットでは、信頼性をより向上させることができるうえに、特に大量生産においては、よりいっそうのコストダウンをすることが可能になる。
したがって、本実施例の四自由度パラレルロボットによれば、前述の実施例1の効果に加えて、部品点数が少ないので、信頼性がいっそう高まるばかりではなく、大量生産においては、より大きなコストダウンが可能になるという効果がある。
(実施例2の各変形態様)
本実施例の四自由度パラレルロボットに対しても、実施例1に対するその各変形態様と同様の変形態様を実施することができ、各変形態様に固有の作用効果が得られる。
[実施例3]
(実施例3の構成)
本発明の実施例3としての四自由度パラレルロボットは、基台と、基台に屈曲可能なジョイントを介して一端が接続された所望の長さに伸縮可能な四組のアクチュエータロッドと、各アクチュエータロッドの他端にそれぞれ屈曲可能なジョイントを介して四隅が連結されたトラベリングプレートとを有する。
本実施例の四自由度パラレルロボットにおいては、再び図1に示すように、トラベリングプレート4の構成は実施例1と同様である。しかし、実施例1の基台1に固定されたアクチュエータ2および平行リンク3に代えて、ロッド31がエアシリンダからなる平行リンクが配設されている点で、本実施例の四自由度パラレルロボットは実施例1と異なっている。
すなわち、本実施例の四自由度パラレルロボットでは、アクチュエータロッドとして、二本一組で四組のエアシリンダが平行に配設されて四組の平行リンクを構成している。各エアシリンダの上端部は、ユニバーサルジョイントを介して基台の下面の所定位置に屈曲可能に接続されている。一方、各エアシリンダの下端部は、実施例1の平行リンク3のロッド31と同様に、ユニバーサルジョイント33を介してトラベリングプレート4の連結部材42の端部に所定角度で固定されている端部材32の両端に、屈曲可能に連結されている。
そして、制御装置6(図4参照)は、各組の平行リンクにおいて両エアシリンダのストロークが同一になるように、両エアシリンダを同期して制御するようになっている。なお、各エアシリンダには、そのストロークを検知するリニアポテンショメータが付設されている。
それゆえ、実施例1のトラベリングプレート4と同様に、トラベリングプレート4の主要部材41は、全方向への平行移動と垂直軸回りの回転移動とで四自由度の移動が可能である。
(実施例3の作用効果)
本実施例の四自由度パラレルロボットでは、前述のように、ほぼ実施例1と同様の作用効果が得られる。ただし、トラベリングプレート4の位置精度は、エアシリンダに付設されたリニアポテンショメータの精度に大きく依存する。また、剛性については、フィードバック制御である程度は補償できるものの、エアシリンダを使用している限り自ずと限度がある。
しかしながら、基台に固定されたアクチュエータがなく、実施例1のアクチュエータ2および平行リンク3を兼ねるエアシリンダが採用されているので、構成がより簡素になり、小型軽量化が可能になる。また、エアシリンダは高速動作ができながら安価なアクチュエータであるので、トラベリングプレート4の動作の高速化と、よりいっそうのコストダウンとが可能になる。
したがって、本実施例の四自由度パラレルロボットによれば、トラベリングプレート4を四自由度で高速移動させることができながら、大幅な小型軽量化とコストダウンと可能になるという効果がある。
(実施例3の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、各アクチュエータロッドが油圧シリンダと平行リンク3とで構成された四自由度パラレルロボットの実施が可能である。
本変形態様では、各アクチュエータロッドが、基端が基台にユニバーサルジョイント33で屈曲可能に固定された油圧シリンダと、油圧シリンダのピストンの先端に一方の端部材32が固定された平行リンク3とからなる。
本変形態様によれば、アクチュエータとして四本の油圧シリンダを使用するだけで、トラベリングプレート4の四自由度での運動と位置決めとが可能になり、アクチュエータの剛性も高いので、実施例1と同様の作用効果が得られる。
(実施例3の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、平行リンク3の端部材32の取付け角度を変更したり、ユニバーサルジョイント33をボールジョイント34で置換したりした四自由度パラレルロボットの実施が可能である。
すなわち、本実施例およびその変形態様1の四自由度パラレルロボットに対しても、実施例1に対するその変形態様1に相当する変形態様の実施が可能であり、同様の作用効果が得られる。
実施例1としての四自由度パラレルロボットの構成を示す斜視図。 実施例1におけるリンク機構の構成を模式的に示す斜視図。 実施例1におけるロッド部材の取付け方向を示す平面図。 実施例1の制御ロジックの要部を示すフローチャート。 実施例1の制御装置の構成を示すブロック図。 実施例1の変形態様1でのロッド部材の取付け方向を示す平面図。 実施例1の変形態様1でのロッド部材の取付け方向を示す平面図。 実施例1の変形態様1でのロッド部材の取付け方向を示す平面図。 実施例1の変形態様1でのロッド部材の取付け方向を示す平面図。 実施例1の変形態様2の構成を模式的に示す斜視図。 実施例1の変形態様3の構成を模式的に示す斜視図。 実施例1の変形態様4の構成を模式的に示す斜視図。 実施例2におけるリンク機構の構成を模式的に示す斜視図。
符号の説明
1,1’:基台
2:アクチュエータ
21:ブラケット 22:回転モータ(サーボモータ)
23:アーム
2’:リニアモータ(アクチュエータとして)
2”:ボールねじ装置(アクチュエータとして)
3:平行リンク
31:ロッド(ロッド部材として)
32:端部材 33:ユニバーサルジョイント
3’:ロッド(ロッド部材として) 34:ボールジョイント
4:トラベリングプレート
41:主要部材 42:連結部材 43:ピボット
4’:トラベリングプレート(一体部材)
5:エンドエフェクタ
6:制御装置
61:CPU 62:メモリ 63,64:インターフェース
65:入出力装置 66:外部メモリ
7:駆動回路 71:ドライブユニット

Claims (2)

  1. 基台と、該基台に固定された四つのアクチュエータと、各該アクチュエータの可動部にそれぞれ屈曲可能なジョイントを介して一端が連結された四組のロッド部材と、各該ロッド部材の他端にそれぞれ屈曲可能なジョイントを介して四隅が連結されたトラベリングプレートとを有し、
    前記ロッド部材のうち二組は、それぞれ平行リンクを構成する互いに平行な二本のモーメントフリーなロッドであって、各該ロッドの一端部を前記アクチュエータに、他端部を前記トラベリングプレートに、それぞれ連結するユニバーサルジョイントおよびボールジョイントのうち少なくとも一方をもち、
    前記ロッド部材のうち他の二組は、それぞれ一本のモーメントフリーなロッドであって、各該ロッドは両端にユニバーサルジョイントおよびボールジョイントのうち少なくとも後者をもち、
    前記トラベリングプレートのうち少なくとも一部は、全方向への平行移動と所定の一軸回りの回転移動とで四自由度の移動が可能であることを特徴とする、
    四自由度パラレルロボット。
  2. 基台と、該基台に屈曲可能なジョイントを介して一端が接続された所望の長さに伸縮可能な四組のアクチュエータロッドと、各該アクチュエータロッドの他端にそれぞれ屈曲可能なジョイントを介して四隅が連結されたトラベリングプレートとを有し、
    前記四組のアクチュエータロッドは、請求項1に記載されたロッド部材に相当するロッド部材をもち、
    前記トラベリングプレートのうち少なくとも一部は、全方向への平行移動と所定の一軸回りの回転移動とで四自由度の移動が可能であることを特徴とする、
    四自由度パラレルロボット。
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