JP2006142147A - 液滴吐出装置の整備方法、液滴吐出装置、電気光学装置、並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 目詰まりによる吐出不具合を防止することが可能な液滴吐出装置の整備方法を提供する。
【解決手段】 本発明の液滴吐出装置の整備方法は、液体材料を吐出する吐出ヘッド301の吐出面を、液体材料に生じる凝集物を分解可能な所定液に浸漬する工程と、浸漬後の吐出ヘッド301の吐出面を所定部材391で拭う工程とを有する。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明の液滴吐出装置の整備方法は、液体材料を吐出する吐出ヘッド301の吐出面を、液体材料に生じる凝集物を分解可能な所定液に浸漬する工程と、浸漬後の吐出ヘッド301の吐出面を所定部材391で拭う工程とを有する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、液滴吐出装置の整備方法、液滴吐出装置、電気光学装置、並びに電子機器に関するものである。
ディスプレイや表示光源などとして用いられる電気光学装置は、その製造過程において、基体となる物体上に材料を配置する工程を含む。材料の配置技術は、品質や機能と密接に関係するため、上記各装置の性能の向上を図る上で重要である。
物体上に材料を配置する技術として、吐出ヘッドに設けられたノズルを介して液体材料を液滴として吐出する方法(液滴吐出法、インクジェット法)がある(例えば、特許文献1参照)。この液滴吐出法は、スピンコート法などの他の一般的な塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、物体上に配置する液体材料の量や位置の制御を行いやすいという利点がある。
特開2003−317945号公報
上記液滴吐出法では、吐出ヘッドから吐出する液体材料の種類によっては、ノズルに目詰まりが生じやすい。例えば、液体材料がSi系バインダーを含む場合、吐出待機時に液中に凝集物が生じて上記目詰まりの原因となりやすい。
本発明は、目詰まりによる吐出不具合を防止することが可能な液滴吐出装置の整備方法を提供することを目的とする。
本発明の整備方法は、液体材料を吐出する吐出ヘッドを備える液滴吐出装置の整備方法であって、前記吐出ヘッドの吐出面を、前記液体材料中に生じる凝集物を分解可能な所定液に浸漬する工程と、前記浸漬後の前記吐出ヘッドの吐出面を所定部材で拭う工程と、を有することを特徴とする。
この整備方法によれば、上記浸漬工程により、吐出ヘッドにおける目詰まりの原因となる凝集物が分解され、また、上記拭う工程により、その凝集物と分解物とが吐出ヘッドの吐出面から除去される。その結果、吐出ヘッドの目詰まりによる吐出不具合が防止される。
前記液体材料が、Si系バインダーを含む場合、前記所定液は、アルカリ溶液であるのが望ましい。
Si系バインダーとは、シロキサンなどの、シリコンと酸素とを主成分とする有機または無機化合物群をいう。シロキサンとは、ケイ素、酸素、水素からなる化合物のうち、Si−O−Si結合を含むものの総称である。
Si系バインダーを含む液体材料を使用する場合において、吐出ヘッドをアルカリ溶液に浸漬することにより、Siバインダーに含まれる凝集物が分解される。
Si系バインダーとは、シロキサンなどの、シリコンと酸素とを主成分とする有機または無機化合物群をいう。シロキサンとは、ケイ素、酸素、水素からなる化合物のうち、Si−O−Si結合を含むものの総称である。
Si系バインダーを含む液体材料を使用する場合において、吐出ヘッドをアルカリ溶液に浸漬することにより、Siバインダーに含まれる凝集物が分解される。
上記の整備方法において、前記所定部材は、前記液体材料の主溶媒を含んだ布状あるいはシート状部材であるとよい。
これにより、吐出ヘッドの吐出面に付着した浸漬用の液体が液体材料の主溶媒に置換され、浸漬用の液体が吐出動作に与える影響が防止される。
これにより、吐出ヘッドの吐出面に付着した浸漬用の液体が液体材料の主溶媒に置換され、浸漬用の液体が吐出動作に与える影響が防止される。
本発明の装置は、吐出ヘッドを備える液滴吐出装置であって、前記吐出ヘッドの吐出面を、前記液体材料中に生じる凝集物を分解可能な所定液に浸漬させる浸漬部と、前記吐出ヘッドの吐出面を所定部材で拭うワイピング部と、を有することを特徴とする。
上記の装置において、前記液体材料は、Si系バインダーを含む場合、前記所定液は、アルカリ溶液であるのが望ましい。
また、前記所定部材は、前記液体材料の主溶媒を含んだ布状あるいはシート状部材であるとよい。
また、前記所定部材は、前記液体材料の主溶媒を含んだ布状あるいはシート状部材であるとよい。
この装置によれば、浸漬部において、吐出ヘッドにおける目詰まりの原因となる凝集物が分解され、また、ワイピングにおいて、その凝集物と分解物とが吐出ヘッドの吐出面から除去される。その結果、吐出ヘッドの目詰まりによる吐出不具合が防止される。
本発明の電気光学装置は、先に記載の本発明の液滴吐出装置を使用して製造されたことを特徴とする。
この構成によれば、高品質の電気光学装置を製造することができる。
この構成によれば、高品質の電気光学装置を製造することができる。
本発明の電子機器は、先に記載の本発明の電気光学装置を具備したことを特徴とする。
この構成によれば、高品質の電子機器を提供することができる。
この構成によれば、高品質の電子機器を提供することができる。
以下、本発明について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[液滴吐出装置]
図1は、本発明の液滴吐出装置に係る実施の形態例の概略構成を示す斜視図である。
この液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッドのノズルから導電性微粒子を含むインク(液体材料)を液滴状に吐出し、薄膜トランジスタを構成する各導電部材や電極を形成するものであり、液滴吐出ヘッド301、X軸方向駆動軸304、Y軸方向ガイド軸305、制御装置CONT、ステージ307、クリーニング機構308、基台309、及びヒータ315等を含んで構成される。
図1は、本発明の液滴吐出装置に係る実施の形態例の概略構成を示す斜視図である。
この液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッドのノズルから導電性微粒子を含むインク(液体材料)を液滴状に吐出し、薄膜トランジスタを構成する各導電部材や電極を形成するものであり、液滴吐出ヘッド301、X軸方向駆動軸304、Y軸方向ガイド軸305、制御装置CONT、ステージ307、クリーニング機構308、基台309、及びヒータ315等を含んで構成される。
ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とが一致している。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
X軸方向駆動軸304には、X軸方向駆動モータ302が接続されている。X軸方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸304を回転させる。X軸方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ303にステージ307のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
液滴吐出装置IJでは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とが相対的に走査移動しつつ液滴吐出ヘッド301から基板Pに対して液体材料を液滴状に吐出する。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている(X軸方向:走査方向、Y軸方向:非走査方向)。なお、図1では、液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することができる。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節できるようにしてもよい。
図2は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの概略構成図である。
図2において、液体材料(インク)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液体材料が吐出されるようになっている。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
図2において、液体材料(インク)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液体材料が吐出されるようになっている。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
図3は、クリーニング機構308の構成例を示す模式図である。
図3に示すように、クリーニング機構308は、キャップユニット370、浸漬ユニット380、及びワイプユニット390等を含んで構成される。
図3に示すように、クリーニング機構308は、キャップユニット370、浸漬ユニット380、及びワイプユニット390等を含んで構成される。
キャップユニット370は、キャップ371、キャップ371を上下方向に移動させるためのキャップキャリッジ372、及び真空ポンプ373等を含む。キャップ371は、キャップキャリッジ372を介して上下移動され、液滴吐出ヘッド301の吐出面を覆うことにより、その吐出面及びノズル内の液体材料(インク)の乾燥を防止する保湿キャップとして機能するとともに、ヘッド301におけるノズル内のインクを吸引する吸引キャップとして機能するようになっている。キャップ371には、真空ポンプ373が接続されている。ヘッド301をキャップ371で覆った状態で真空ポンプ373を運転することにより、ヘッド301とキャップ371との間の空間が吸引されて、ヘッド301内のインクが吸引される。
浸漬ユニット380は、液体貯溜器381、及び液体貯溜器381を上下方向に移動させるためのキャリッジ382等を含む。液体貯溜器381には、液滴吐出用のインクに生じる凝集物を分解可能な液体(分解液)が貯溜される。なお、液体貯溜器381における分解液は、液相として貯溜してもよく、スポンジ等に含ませた状態としてもよい。
ワイプユニット390は、例えばポリエステルの織布等からなるワイピングシート391、ワイピングシート391の巻出しローラ392・巻取りローラ393、及び洗浄液塗布機構394等を含む。ワイピングシート391は、不図示の駆動装置を介して走行し、巻出しローラ392から巻き出され、液滴吐出ヘッド301の吐出面に当接されるとともに、巻取りローラ393に巻き取られる。洗浄液塗布機構394は、ワイピングシート391の全幅にわたって洗浄液を塗布するものである。洗浄液としては、インクとの親和性が高く、かつ揮発性が高い材料を使用するのが望ましく、例えば、液滴吐出用の液体材料(インク)の主溶媒(分散媒)を使用することができる。
[インク(液体材料)]
ここで、本例で用いられる、液滴吐出ヘッド301からの吐出に好適なインク(液体材料)について説明する。
本実施形態で用いる導電部材形成用のインク(液体材料)は、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、若しくはその前駆体からなるものである。導電性微粒子として、例えば金、銀、銅、パラジウム、ニオブ及びニッケル等を含有する金属微粒子の他、これらの前駆体、合金、酸化物、並びに導電性ポリマーやインジウム錫酸化物等の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm〜0.1μm程度であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッド301のノズルに目詰まりが生じるおそれがあるだけでなく、得られる膜の緻密性が悪化する可能性がある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
ここで、本例で用いられる、液滴吐出ヘッド301からの吐出に好適なインク(液体材料)について説明する。
本実施形態で用いる導電部材形成用のインク(液体材料)は、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、若しくはその前駆体からなるものである。導電性微粒子として、例えば金、銀、銅、パラジウム、ニオブ及びニッケル等を含有する金属微粒子の他、これらの前駆体、合金、酸化物、並びに導電性ポリマーやインジウム錫酸化物等の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm〜0.1μm程度であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッド301のノズルに目詰まりが生じるおそれがあるだけでなく、得られる膜の緻密性が悪化する可能性がある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
また、インクには、適宜フィラー又はバインダーを含有させることができる。例えば、ビニル系シランカップリング剤の他、アミノ系、エポキシ系、メタクリロキシ系、メルカプト系、ケチミン系、カチオン系、アミノ系等のシランカップリング剤を例示できる。また、チタネート系、アルミネート系のカップリング剤を含有させても良い。その他、セルロース系、シロキサン、シリコンオイル等のバインダーを含有させても良い。このような添加剤を含有させることにより、分散性向上、下地との密着性向上、膜の平坦性向上等が図られる。
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m〜0.07N/mの範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
上記分散液の粘度は1mPa・s〜50mPa・sであることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるだけでなく、液滴の吐出量が減少する。
[液滴吐出装置の整備方法]
次に、上述したクリーニング機構308を用いた液滴吐出装置IJの整備方法の一例について図3を参照して説明する。
次に、上述したクリーニング機構308を用いた液滴吐出装置IJの整備方法の一例について図3を参照して説明する。
ここで、本例では、液滴吐出用の液体材料(インク)として、透光性導電膜形成用のITOインクを用いる。このような液体材料としては、ITO微粒子とシリコン有機化合物とを含む液体材料や、ITO微粒子とインジウム有機化合物と錫有機化合物とを含む液体材料を例示することができる。なお、このITOインクには、シロキサンなどのSi系バインダーが含有しているものとする。前述したように、Si系バインダーとは、シロキサンなどの、シリコンと酸素とを主成分とする有機または無機化合物群をいう。シロキサンとは、ケイ素、酸素、水素からなる化合物のうち、Si−O−Si結合を含むものの総称である。Si系バインダーを含むITOインクに関しては、特開平9−86967号公報、特開2001−332123号公報に記載の技術を援用することが可能である。
まず、液体貯溜器381において、液滴吐出ヘッド301の吐出面を分解液に浸漬する。Si系バインダーを含むITOインクの凝集物に対する分解液としては、無機アルカリ溶液または有機アルカリ溶液を用いることができる。アルカリ溶液としては、例えば、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、KHCO3、NH4OH、(NH4)2CO3、NH4HCO3の他、アンモニウム、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を例示できる。アルカリ溶液の種類や濃度は、使用するインクに応じて適宜調節される。
上記浸漬工程により、インク中に凝集物が生じている場合にも、その凝集物が分解される。すなわち、Si系バインダーを含むITOインクは、気相と触れることで凝集物が生じやすいものの、アルカリ溶液との反応によりその凝集物が分解する。なお、液体貯溜器381内へのインクの流出を軽減するために、浸漬前に、キャップユニット370においてインクの吸引を行ったり、ヘッド301の吐出面を拭ったりする工程を設けてもよい。
次に、ワイプユニット390において、ヘッド301の吐出面のワイピングを行う。このワイピングは、ヘッド301の吐出面にワイピングシート391を当接させるとともに、ヘッド301に対してワイピングシート391を相対移動させることにより行う。なお、ワイピングシート391には、洗浄液塗布機構394を介して洗浄液(インクの主溶媒)が塗布されている。
上記ワイピング工程により、インクの凝集物と分解物とがヘッド301の吐出面から除去される。このとき、ワイピングシート391が洗浄液(インクの主溶媒)を含むことから、ヘッド301の吐出面に付着している浸漬用の液体(アルカリ溶液)が上記洗浄液に置換され、この置換により、実際の液滴吐出時における、アルカリ溶液のインクへの混入が防止される。
なお、上記ワイピング工程の後に、描画前フラッシング(インクの予備吐出)を行うのが望ましい。描画前フラッシングは、不図示の予備吐出領域に対してヘッド301からインクを吐出(捨てうち)することにより行う。描画前フラッシングにより、ヘッド301のノズル内にアルカリ溶液が残留している場合にもその残留物が除去される。また、この描画前フラッシングにおける液滴の吐出状態(液滴の着弾位置、着弾径など)を計測し、その計測結果に基づいて、上記浸漬工程及び上記ワイピング工程の実施を判断するようにしてもよい。
また、液滴吐出前後において、吐出面の乾燥を防止するために、キャップユニット370おいて、液滴吐出ヘッド301の吐出面がキャップ371に覆われ、ヘッド301の吐出面またはノズル内のインクが適宜吸引される。ノズルの目詰まりが解消されるように、上記浸漬工程と上記吸引工程とを繰り返し実施してもよい。なお、上記した各整備は自動で行ってもよく手動で行ってもよい。
以上の工程により、Si系バインダーを含むITOインクを使用する場合であっても、アルカリ溶液を用いた浸漬により、ヘッド301における目詰まりの原因となる凝集物が分解され、その後のワイピングにより、その凝集物と分解物と浸漬用の液体とがヘッド301の吐出面から除去される。その結果、本例の整備方法によれば、液滴吐出ヘッド301の目詰まりによる吐出不具合が防止される。
そして、本例の液滴吐出装置IJは、液滴吐出を安定的に行うことができるから、高精度の材料配置により、様々な製品の品質向上に貢献できる。
ここで、Si系バインダーを含むITOインクを用いて形成される透光性導電膜は、例えば、タッチパネル、電磁波シールド材、赤外線反射膜の他、液晶装置等の電気光学装置における画素電極として用いられ、その代表例として錫をドープした酸化インジウム膜(ITO膜)がある。ITO膜の形成は、一般に、蒸着法やスパッタ法等を用いられるものの、液相法の利用により、製造コストの低減や大面積の成膜等が可能となる。
以下、Si系バインダーを含むITOインクを用いて形成される透光性導電膜(画素電極)を有する電気光学装置の一例として、液晶表示装置について説明する。
以下、Si系バインダーを含むITOインクを用いて形成される透光性導電膜(画素電極)を有する電気光学装置の一例として、液晶表示装置について説明する。
(液晶表示装置)
図4は、本発明の電気光学装置の一実施の形態である液晶表示装置100を示す等価回路図である。本実施の形態の液晶表示装置において、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、透光性導電膜としての画素電極19と当該画素電極19を制御するためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT60)とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線(電極配線)16が当該TFT60のソースに電気的に接続されている。データ線16に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線16に対してグループ毎に供給される。また、走査線(電極配線)18aがTFT60のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線18aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極19はTFT60のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT60を一定期間だけオンすることにより、データ線16から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
図4は、本発明の電気光学装置の一実施の形態である液晶表示装置100を示す等価回路図である。本実施の形態の液晶表示装置において、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、透光性導電膜としての画素電極19と当該画素電極19を制御するためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT60)とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線(電極配線)16が当該TFT60のソースに電気的に接続されている。データ線16に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線16に対してグループ毎に供給される。また、走査線(電極配線)18aがTFT60のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線18aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極19はTFT60のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT60を一定期間だけオンすることにより、データ線16から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。そして、この印加される電圧レベルに応じて液晶の分子集合の配向や秩序が変化するのを利用して光を変調し、任意の階調表示を可能にしている。また各ドットには、液晶に書き込まれた画像信号がリークするのを防止するために、画素電極19と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。符号18bはこの蓄積容量70の一側の電極に接続された容量線である。
次に、図5は、液晶表示装置100の全体構成図である。液晶表示装置100は、TFTアレイ基板10と、対向基板25とが、平面視略矩形枠状のシール材52を介して貼り合わされた構成を備えており、前記両基板10,25の間に挟持された液晶が、シール材52によって前記基板間に封入されたものとなっている。なお、図5では、対向基板25の外周端が、シール材52の外周端に平面視で一致するように表示している。
シール材52の内側の領域には、遮光性材料からなる遮光膜(周辺見切り)53が矩形枠状に形成されている。シール材52の外側の周辺回路領域には、データ線駆動回路201と実装端子202とがTFTアレイ基板10の一辺に沿って配設されており、この一辺と隣接する2辺に沿ってそれぞれ走査線駆動回路104,104が設けられている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、前記走査線駆動回路104,104間を接続する複数の配線105が形成されている。また、対向基板25の角部には、TFTアレイ基板10と対向基板25との間で電気的導通をとるための複数の基板間導通材106が配設されている。
次に、図6は、液晶表示装置100の画素構成を示す平面構成図である。図6に示すように、液晶表示装置100の表示領域には、複数の走査線18aが図示左右方向に延在しており、これらの走査線に交差する方向に複数のデータ線16が延在している。図6において、走査線18aとデータ線16とに囲まれた平面視矩形状の領域がドット領域である。1つのドット領域に対応して3原色のうち1色のカラーフィルタが形成され、図示した3つのドット領域で3色の着色部22R,22G,22Bを有する1つの画素領域を形成している。これらの着色部22R,22G,22Bは、液晶表示装置100の表示領域内に周期的に配列されている。
図6に示す各ドット領域内には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性の導電膜からなる平面視略矩形状の画素電極19が設けられており、画素電極19と、走査線18a、データ線16との間に、TFT60が介挿されている。TFT60は、半導体層33と、半導体層33の下層側(基板側)に設けられたゲート電極80aと、半導体層33の上層側に設けられたソース電極34と、ドレイン電極35とを備えて構成されている。半導体層33とゲート電極80aとが対向する領域には、TFT60のチャネル領域が形成されており、その両側の半導体層には、ソース領域、及びドレイン領域が形成されている。
ゲート電極80aは、走査線18aの一部をデータ線16の延在方向に分岐して形成されており、その先端部において、半導体層33と図示略の絶縁膜(ゲート絶縁膜)を介して紙面垂直方向に対向している。ソース電極34は、データ線16の一部を走査線18aの延在方向に分岐して形成されており、半導体層33(ソース領域)と電気的に接続されている。ドレイン電極35の一端(図示左端)側は、前記半導体層33(ドレイン領域)と電気的に接続されており、ドレイン電極35の他端(図示右端)側は画素電極19と電気的に接続されている。
上記構成のもとTFT60は、走査線18aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線16を介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込むスイッチング素子として機能するようになっている。
上記構成のもとTFT60は、走査線18aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線16を介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込むスイッチング素子として機能するようになっている。
図7は、図6のB−B’線に沿うTFTアレイ基板10の断面構成図である。同図に示す断面構造をみると、TFTアレイ基板10は、ガラス基板Pの内面側(図示上面側)に形成されたTFT60と、画素電極19とを主体として構成されている。ガラス基板P上に、一部が開口されたバンク30が形成され、このバンク30の開口部にゲート電極80aが埋設されている。ゲート電極80aは、ガラス基板P上に、Ag,Cu,Al等の金属材料からなる第1電極層(基体層)81と、Ni,Ti,W,Mn等の金属材料からなる第2電極層(被覆層)82とを積層してなる構成を備えている。
バンク30上のゲート電極80aを含む領域に、酸化シリコンや窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜83が形成されており、このゲート絶縁膜83上であってゲート電極80aと平面的に重なる位置に半導体層33が形成されている。半導体層33は、アモルファスシリコン層84と、このアモルファスシリコン層84上に積層されたN+シリコン層85とからなる。N+シリコン層85は、アモルファスシリコン層84上で平面的に離間された2つの部位に分割されており、一方(図示左側)のN+シリコン層85は、ゲート絶縁膜83上と当該N+シリコン層85上とに跨って形成されたソース電極34と電気的に接続され、他方のN+シリコン層85は、ゲート絶縁膜83上と当該N+シリコン層85とに跨って形成されたドレイン電極35と電気的に接続されている。
ソース電極34は、バリア金属膜(バリア層)61aと、ソース電極膜(基体層)66と、被覆金属膜(被覆層)68aとを積層してなる3層構造の導電部材であり、ドレイン電極35は、バリア金属膜(バリア層)61aと、ドレイン電極膜(基体層)67と、被覆金属膜(被覆層)68aとを積層してなる3層構造の導電部材である。バリア金属膜61aは、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Mn(マンガン)等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成され、ソース電極膜66及びドレイン電極膜67は、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成され、被覆金属膜68aは、上記バリア金属膜61aと同様、Ni,Ti,W,Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成されている。
なお、図6に示したように、データ線16とソース電極34、及び走査線18aとゲート電極80aとは、それぞれ一体に形成されているので、データ線16はソース電極34と同様の3層構造を備えた導電部材となっており、走査線18aはゲート電極80aと同様の2層構造を備えた導電部材となっている。
ドレイン電極35の一部表面と、ソース電極34とを覆うように、バンク31c(絶縁膜)が形成されている。このバンク31cは、実際には、図6に示した各画素電極19に対応する開口部を具備した平面視略格子状を成してガラス基板P上に形成されており、液晶表示装置の製造時に、液相法を用いて画素電極19をパターン形成するための仕切部材として用いられるものである。画素電極19は、図7に示すように、バンク31cから図示右側へ突出しているドレイン電極35の上面及び側面と当接するように形成され、ドレイン電極35と電気的に接続されている。
なお、実際には、画素電極19及びバンク31cの表面には、液晶の初期配向状態を制御するための配向膜が形成されており、ガラス基板Pの外面側には、液晶層に入射する光の偏光状態を制御するための位相差板や偏光板が設けられている。さらに、TFTアレイ基板10の外側(パネル背面側)には、透過型ないし半透過反射型の液晶表示装置の場合の照明手段として用いられるバックライトが設けられている。
対向基板25については、詳細な図示は省略するが、ガラス基板Pと同様の基板の内面(TFTアレイ基板との対向面)側に、図6に示した着色部22R,22G,22Bを配列形成してなるカラーフィルタ層と、平面ベタ状の透光性導電膜からなる対向電極とを積層した構成を備えている。また、前記対向電極上にTFTアレイ基板と同様の配向膜が形成されており、基板外面側には、必要に応じて位相差板や偏光板が配設されたものとなっている。
また、TFTアレイ基板10と対向基板25との間に封止された液晶層は、主として液晶分子で構成されている。この液晶層を構成する液晶分子としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶など配向し得るものであればいかなる液晶分子を用いても構わないが、TN型液晶パネルの場合、ネマチック液晶を形成させるものが好ましく、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等が挙げられる。
以上の構成を備えた本実施形態の液晶表示装置100は、バックライトから入射した光を、電圧印加により配向状態を制御された液晶層で変調することで、任意の階調表示を行えるようになっている。また各ドットに着色部22R,22G,22Bが設けられているので、各画素毎に3原色(R,G,B)の色光を混色して任意のカラー表示を行えるようになっている。
本実施形態の液晶表示装置では、TFT60のゲート電極80a、ソース電極34、ドレイン電極35、及び画素電極19が液相法を用いてパターン形成されたものとなっている。
そして、ソース電極34が、基体層であるソース電極膜66上に被覆層である被覆金属膜68aを積層した構造を備える一方、ドレイン電極35が基体層であるドレイン電極膜67上に被覆層である被覆金属膜68aを積層した構造を備えていることで、前記被覆金属膜68aによって、上記電極膜66,67を構成するAg,Cu,Al等の金属材料がバンク31c(絶縁膜)へ拡散するのを効果的に防止できるようになっている。これにより、前記拡散に起因する素子の動作不良や液晶の配向乱れを効果的に防止することができ、優れた信頼性と高画質の表示を得ることができる液晶表示装置となっている。また、ソース電極34及びドレイン電極35は、バリア金属膜61a上に、基体層であるソース電極膜66及びドレイン電極膜67をそれぞれ積層した構造を具備している。これにより、基体層である電極膜66,67を構成するAgやCu、Al等がN+シリコン層85やアモルファスシリコン層84に拡散するのを、上記バリア金属膜61aによって良好に防止することができ、前記拡散によってTFT60の動作不良や性能低下が生じるのを防止することができる。
そして、ソース電極34が、基体層であるソース電極膜66上に被覆層である被覆金属膜68aを積層した構造を備える一方、ドレイン電極35が基体層であるドレイン電極膜67上に被覆層である被覆金属膜68aを積層した構造を備えていることで、前記被覆金属膜68aによって、上記電極膜66,67を構成するAg,Cu,Al等の金属材料がバンク31c(絶縁膜)へ拡散するのを効果的に防止できるようになっている。これにより、前記拡散に起因する素子の動作不良や液晶の配向乱れを効果的に防止することができ、優れた信頼性と高画質の表示を得ることができる液晶表示装置となっている。また、ソース電極34及びドレイン電極35は、バリア金属膜61a上に、基体層であるソース電極膜66及びドレイン電極膜67をそれぞれ積層した構造を具備している。これにより、基体層である電極膜66,67を構成するAgやCu、Al等がN+シリコン層85やアモルファスシリコン層84に拡散するのを、上記バリア金属膜61aによって良好に防止することができ、前記拡散によってTFT60の動作不良や性能低下が生じるのを防止することができる。
また、液晶表示装置100では、ドットを構成するTFT60や画素電極19に液相法を用いて形成された導電部材が使用されているので、高価な真空装置を用いたプロセスを減らし、また材料の使用効率を高めることができ、液晶表示装置の低コスト化を図ることができる。
また、ゲート電極80aが、第1電極層81と第2電極層82とを積層した2層構造となっているので、被覆層である第2電極層82によって、基体層である第1電極層81を構成するAgやCu,Alがゲート絶縁膜83へ拡散するのを効果的に防止することができる。これにより、前記拡散によってTFT60に動作不良や移動度の低下等が生じるのを防止することができる。
また本実施形態の液晶表示装置では、実装端子202…が、ソース電極34(データ線16)又はゲート電極80a(走査線18a)と同様の構成を具備して同層に形成されていてもよい。すなわち、実装端子202が、ソース電極34ないしゲート電極80aの形成工程にてこれらと同時に形成されたものであってもよい。このような構成とするならば、実装端子202が、その表面にNi,Ti,W等からなる被覆層を有するものとなり、当該実装端子202に対して外部回路のハンダ接合を行う場合に、良好な接合性を得ることができる。これは、実装端子202の表面に基体層を構成するAg,Cu,Al等が露出している場合と、前記Ni等からなる被覆層が形成されている場合とでは、後者の構成の方が、良好な濡れ性をもってハンダを付着させることができるからである。
なお、本実施形態ではゲート電極80aを、第1電極層81と第2電極層82とからなる2層構造としているが、第1電極層81とガラス基板Pとの間に、両者の密着性を向上させるための密着層を設けてもよい。この密着層は、例えばMnにより形成することができ、Mn微粒子を分散させた液体材料を用いた液相法によって形成することができる。
(薄膜トランジスタの製造方法)
次に、薄膜トランジスタの製造方法を含むTFTアレイ基板の製造方法について、図8から図12を参照しつつ説明する。なお、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
次に、薄膜トランジスタの製造方法を含むTFTアレイ基板の製造方法について、図8から図12を参照しつつ説明する。なお、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
[TFTアレイ基板の製造方法]
図8から図12は、本実施形態の製造方法における一連の工程を示す断面工程図である。
本実施形態の製造方法は、ガラス基板上にバンクを形成し、このバンクに囲まれた領域に液滴吐出装置を用いた液滴吐出法により電極パターン及び配線パターンを形成することで薄膜トランジスタを作製し、TFTアレイ基板を製造する方法である。
図8から図12は、本実施形態の製造方法における一連の工程を示す断面工程図である。
本実施形態の製造方法は、ガラス基板上にバンクを形成し、このバンクに囲まれた領域に液滴吐出装置を用いた液滴吐出法により電極パターン及び配線パターンを形成することで薄膜トランジスタを作製し、TFTアレイ基板を製造する方法である。
<ゲート電極形成工程>
まず、図8の各図に示すように、基体となるガラス基板P上を用意し、その一面側にバンク30を形成した後、バンク30に設けた開口部30aに対し所定のインクを滴下することで、開口部30a内にゲート電極80aを形成する。このゲート電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、第1電極層形成工程と、第2電極層形成工程と、焼成工程と、を含むものとなっている。
まず、図8の各図に示すように、基体となるガラス基板P上を用意し、その一面側にバンク30を形成した後、バンク30に設けた開口部30aに対し所定のインクを滴下することで、開口部30a内にゲート電極80aを形成する。このゲート電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、第1電極層形成工程と、第2電極層形成工程と、焼成工程と、を含むものとなっている。
(バンク形成工程)
まず、ゲート電極80a(及び走査線18a)をガラス基板上に所定パターンで形成するために、図8(a)に示すように、ガラス基板P上に所定パターンの開口部30aを有するバンク30を形成する。バンク30は、基板面を平面的に区画する仕切部材であり、このバンクの形成にはフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、ガラス基板P上に形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等の有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成する。そして、形成したいバンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射することで、ゲート電極用の開口部30aを備えたバンク30を形成する。また、バンク30は、ポリシラザンを含む液体材料等を用いて形成した無機物の構造体であってもよい。
まず、ゲート電極80a(及び走査線18a)をガラス基板上に所定パターンで形成するために、図8(a)に示すように、ガラス基板P上に所定パターンの開口部30aを有するバンク30を形成する。バンク30は、基板面を平面的に区画する仕切部材であり、このバンクの形成にはフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、ガラス基板P上に形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等の有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成する。そして、形成したいバンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射することで、ゲート電極用の開口部30aを備えたバンク30を形成する。また、バンク30は、ポリシラザンを含む液体材料等を用いて形成した無機物の構造体であってもよい。
(撥液化処理工程)
次に、バンク30に対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50kW〜1000kW、4フッ化メタンガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板搬送速度が0.5mm/sec〜1020mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、バンク30には、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
次に、バンク30に対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50kW〜1000kW、4フッ化メタンガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板搬送速度が0.5mm/sec〜1020mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、バンク30には、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
また、上記撥液化処理に先立って、開口部30aの底面に露出されたガラス基板Pの表面を清浄化する目的で、O2プラズマを用いたアッシング処理やUV(紫外線)照射処理を行っておくことが好ましい。この処理を行うことで、ガラス基板P表面のバンクの残渣を除去することができ、撥液化処理後のバンク30の接触角と当該基板表面の接触角との差を大きくすることができ、後段の工程で開口部30a内に配される液滴を正確に開口部30aの内側に閉じ込めることができる。また、バンク30がアクリル樹脂やポリイミド樹脂からなるものである場合、CF4プラズマ処理に先立ってバンク30をO2プラズマに曝しておくと、よりフッ素化(撥液化)されやすくなるという性質があるので、バンク30をこれらの樹脂材料で形成している場合には、CF4プラズマ処理に先立ってO2アッシング処理を施すことが好ましい。
上記O2アッシング処理は、具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。処理条件としては、例えばプラズマパワーが50W〜1000W、酸素ガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.510mm/sec〜10mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。
なお、バンク30に対する撥液化処理(CF4プラズマ処理)により、先に行われた残渣処理により親液化された基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pの親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。また、バンク30については、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
(第1電極層形成工程)
次に、図8(b)に示すように、開口部30aに対して、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301から第1電極層形成用インク81aを滴下する。ここでは、導電性微粒子としてAg(銀)を用い、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールジエチルエールを用いたインク81aを吐出配置する。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。
次に、図8(b)に示すように、開口部30aに対して、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301から第1電極層形成用インク81aを滴下する。ここでは、導電性微粒子としてAg(銀)を用い、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールジエチルエールを用いたインク81aを吐出配置する。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。
次いで、電極形成用インクからなる液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃で60分間程度の加熱を行う。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W〜1000Wの範囲で十分である。この中間乾燥工程を行うことにより、図8(c)に示すように、固体の第1電極層81が形成される。
(第2電極層形成工程)
次に、図8(c)に示すように、液滴吐出装置による液滴吐出法を用いて、第2電極層形成用インク82aを、バンク30の開口部30aに配置する。ここでは、導電性微粒子としてNi(ニッケル)を用い、溶媒(分散媒)として水およびジエタノールアミンを用いたインク(液体材料)を吐出配置する。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。ただし、開口部30aの内部に先に形成されている第1電極層81の表面は、本工程で滴下するインク82aに対して高い親和性を有しているとは限らないため、インク82aの滴下に先立って、第1電極層81上にインク82aの濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層は、インク82aを構成する分散媒の種類に応じて適宜選択されるが、本実施形態のようにインク82aが水系の分散媒を用いている場合には、例えば酸化チタンからなる中間層を形成しておけば、中間層表面で極めて良好な濡れ性が得られる。
次に、図8(c)に示すように、液滴吐出装置による液滴吐出法を用いて、第2電極層形成用インク82aを、バンク30の開口部30aに配置する。ここでは、導電性微粒子としてNi(ニッケル)を用い、溶媒(分散媒)として水およびジエタノールアミンを用いたインク(液体材料)を吐出配置する。このとき、バンク30の表面には撥液性が付与されており、開口部30aの底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部がバンク30に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30a内に滑り込むようになっている。ただし、開口部30aの内部に先に形成されている第1電極層81の表面は、本工程で滴下するインク82aに対して高い親和性を有しているとは限らないため、インク82aの滴下に先立って、第1電極層81上にインク82aの濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層は、インク82aを構成する分散媒の種類に応じて適宜選択されるが、本実施形態のようにインク82aが水系の分散媒を用いている場合には、例えば酸化チタンからなる中間層を形成しておけば、中間層表面で極めて良好な濡れ性が得られる。
液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱についても、窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先の第1電極層形成工程後の中間乾燥工程で挙げたものを用いることができる。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。この中間乾燥工程を行うことにより、図8(d)に示すように、第1電極層81上に固体の第2電極層82が形成される。
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触を向上させるために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触を向上させるために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
この熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定されるが、係る構成でも、前記第1電極層及び第2電極層が先に挙げた材料を用いて形成されているので、250℃以下の焼成温度とすることができる。ただし本工程では、基板P上に半導体層は設けられていないので、バンク30の耐熱温度の範囲内で焼成温度を高めることができ、例えば250℃以上、あるいは300℃程度の焼成温度とすることでさらに良好な導電性を具備した金属配線を形成することができる。
以上の工程により、吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換され、バンク30の開口部30aに第1電極層81と第2電極層82とを積層してなるゲート電極80aが形成される。また、図6に示したように、ゲート電極80aと一体の走査線18aも上記工程によってガラス基板P上に形成される。
以上の工程により、吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換され、バンク30の開口部30aに第1電極層81と第2電極層82とを積層してなるゲート電極80aが形成される。また、図6に示したように、ゲート電極80aと一体の走査線18aも上記工程によってガラス基板P上に形成される。
また焼成工程後の第1電極層81の膜厚は500nm〜1500nm程度、第2電極層82の膜厚は、20nm〜400nm程度とすることが好ましい。第2電極層82の膜厚が20nm未満では、第1電極層81からゲート絶縁膜83への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ゲート電極80a(及び走査線18a)の抵抗が上昇するため好ましくない。
なお、上記各工程では、Agからなる第1電極層81と、Niからなる第2導電層82とを形成し、これら第1電極層81と第2電極層82の積層体によりゲート電極80aを形成しているが、これら第1電極層81は、Ag以外の金属、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。また、第2金属層82は、Ni以外のTiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。
<ゲート絶縁膜形成工程>
次に、ゲート電極80a上に窒化珪素からなるゲート絶縁膜83を形成する。このゲート絶縁膜83は、例えばプラズマCVD法により全面成膜した後、フォトリソグラフィ法により適宜パターニングすることで形成することができる。CVD工程において用いる原料ガスとしては、モノシランと一酸化二窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4)と酸素、ジシランとアンモニア等が好適で、形成するゲート絶縁膜83の膜厚は150nm〜400nm程度である。
次に、ゲート電極80a上に窒化珪素からなるゲート絶縁膜83を形成する。このゲート絶縁膜83は、例えばプラズマCVD法により全面成膜した後、フォトリソグラフィ法により適宜パターニングすることで形成することができる。CVD工程において用いる原料ガスとしては、モノシランと一酸化二窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4)と酸素、ジシランとアンモニア等が好適で、形成するゲート絶縁膜83の膜厚は150nm〜400nm程度である。
<半導体層形成工程>
次に、図9(a)に示す半導体層33をゲート絶縁膜83上に形成する。この半導体層33は、ゲート絶縁膜83を形成した基板Pの全面に、150nm〜250nm程度の膜厚のアモルファスシリコン膜と、膜厚50nm〜100nm程度のN+シリコン膜とをプラズマCVD法等により積層形成し、フォトリソグラフィ法により所定形状にパターニングすることで得られる。アモルファスシリコン膜の形成工程で用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。続くN+シリコン膜の形成工程では、上記アモルファスシリコン膜の形成で用いた成膜装置に、N+シリコン層形成用の原料ガスを導入して成膜を行うことができる。
次に、図9(a)に示す半導体層33をゲート絶縁膜83上に形成する。この半導体層33は、ゲート絶縁膜83を形成した基板Pの全面に、150nm〜250nm程度の膜厚のアモルファスシリコン膜と、膜厚50nm〜100nm程度のN+シリコン膜とをプラズマCVD法等により積層形成し、フォトリソグラフィ法により所定形状にパターニングすることで得られる。アモルファスシリコン膜の形成工程で用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。続くN+シリコン膜の形成工程では、上記アモルファスシリコン膜の形成で用いた成膜装置に、N+シリコン層形成用の原料ガスを導入して成膜を行うことができる。
その後、上記アモルファスシリコン膜およびN+シリコン膜を、フォトリソグラフィ法により図9(a)に示す形状にパターニングすることで、ゲート絶縁膜83上に所定平面形状のアモルファスシリコン層84とN+シリコン層85とが積層された半導体層33が得られる。パターニングに際しては、N+シリコン膜の表面に、図示の半導体層33の側断面形状と同様の略凹形のレジストを選択配置し、係るレジストをマスクにしてエッチングを行う。このようなパターニング法によりゲート電極80aと平面的に重なる領域にてN+シリコン層85が選択的に除去されて2つの領域に分割され、これらのN+シリコン層85,85が、それぞれソースコンタクト領域及びドレインコンタクト領域を形成する。
<電極形成工程>
次に、半導体層33が形成されたガラス基板P上に、図7に示したソース電極34及びドレイン電極35を形成する。この電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化工程と、バリア金属膜形成工程と、電極膜形成工程と、被覆金属膜形成工程と、焼成工程と、を含むものである。
次に、半導体層33が形成されたガラス基板P上に、図7に示したソース電極34及びドレイン電極35を形成する。この電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化工程と、バリア金属膜形成工程と、電極膜形成工程と、被覆金属膜形成工程と、焼成工程と、を含むものである。
(バンク形成工程)
アモルファスシリコン層84、N+シリコン層85を形成したならば、ソース電極及びドレイン電極を形成するためのバンクをガラス基板P上に形成する。バンクの形成はフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等を主体とする有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成し、その後バンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射する。
アモルファスシリコン層84、N+シリコン層85を形成したならば、ソース電極及びドレイン電極を形成するためのバンクをガラス基板P上に形成する。バンクの形成はフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等を主体とする有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成し、その後バンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射する。
ここでは、2種類のバンク、つまり第1バンク部31bと第2バンク部31aとを形成するものとしているが、まず第1バンク部31bは、図9(b)に示すように、アモルファスシリコン層84及びN+シリコン層上であって、アモルファスシリコン層84の略中央部に位置するように紫外線照射による感光を行う。すなわち、この第1バンク部31bは、後段の工程で形成するソース電極とドレイン電極とを平面的に区画する仕切部材として形成される。一方、第2バンク部31aは、図9(c)に示すように、アモルファスシリコン層84の外側の領域に、アモルファスシリコン層84を取り囲むように形成する。
また、バンク部31a、31bは、ポリシラザンを含む液体材料等を用いて形成した無機物の構造体であってもよい。無機材料のバンクを形成する場合、樹脂材料等の有機材料を用いてバンクを形成するのに比べ、硬化時の加熱温度が高くなる場合が多いが、上記ポリシラザンを含む液体材料では硬化温度は250℃以下でよい。このように硬化温度が250℃以下であるので、基板P上に既設の半導体層33において水素脱離を生じることがなく、この水素脱離に起因する薄膜トランジスタのON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下を防止することができるようになっている。
なお、各バンク部31a、31b間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、残渣処理を施すことが好ましい。この残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行うUV照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2アッシング処理等を選択できるが、ここではO2アッシング処理を実施する。アッシング処理の条件は、先のバンク30のパターニング時に用いた条件と同等の条件でよい。
(撥液化処理工程)
続いて、各バンク部31a、31bに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、バンク部31a、31bが先のバンク30と同様の材質であれば、バンク30に対するプラズマ処理の条件と同等でよい。このような撥液化処理を行うことにより、各バンク部31a、31bには、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
続いて、各バンク部31a、31bに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、バンク部31a、31bが先のバンク30と同様の材質であれば、バンク30に対するプラズマ処理の条件と同等でよい。このような撥液化処理を行うことにより、各バンク部31a、31bには、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
なお、各バンク部31a、31bに対する撥液化処理により、先に行われた残渣処理により親液化されたゲート絶縁膜83の表面に多少は影響があるものの、ゲート絶縁膜83には撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、その親液性(濡れ性)を損なうことはない。また、各バンク部31a、31bを、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成している場合には撥液処理を省略することができる。
(バリア金属膜形成工程)
次に、図9(c)に示すように、液滴吐出装置による液滴吐出法を用いて、図7に示したバリア金属膜61aを形成するためのインク(液体材料)61を第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれた領域に塗布する。ここでは、導電性微粒子としてNiを用い、溶媒(分散媒)として水およびジエタノールアミンを用いたインクを吐出する。
次に、図9(c)に示すように、液滴吐出装置による液滴吐出法を用いて、図7に示したバリア金属膜61aを形成するためのインク(液体材料)61を第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれた領域に塗布する。ここでは、導電性微粒子としてNiを用い、溶媒(分散媒)として水およびジエタノールアミンを用いたインクを吐出する。
このバリア金属膜形成工程では、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301からバリア金属膜形成用のインク61を液滴にして吐出し、第1バンク部31bと第2バンク部31aとによって囲まれた領域に配置する。このとき、各バンク部31a、31bには撥液性が付与されているため、吐出された液滴の一部がバンク部上に載っても、バンク表面が撥液性となっていることによりバンク部表面で弾かれ、滴下されたインク(液滴)61は、図9(c)に示すように第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれた領域に流れ落ちる。
次いで、バリア金属膜形成用インクの液滴を吐出配置した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃加熱を60分間程度行う。この加熱は窒素雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先の第1電極層形成工程後の中間乾燥工程で挙げたものを用いることができる。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。この中間乾燥工程を行うことにより、図10(a)に示すように、所望のバリア金属膜61a、61aが、ゲート絶縁膜83とN+シリコン層85とに跨って形成される。バリア金属膜61a、61aは、それぞれソース電極、ドレイン電極の一部を成すものである。
(電極膜形成工程)
次に、図10(b)に示すように、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、電極膜形成用のインク65を上記バリア金属膜61a上に塗布する。ここでは、導電性微粒子として銀を用い、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールジエチルエーテルを用いたインクを吐出する。
次に、図10(b)に示すように、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、電極膜形成用のインク65を上記バリア金属膜61a上に塗布する。ここでは、導電性微粒子として銀を用い、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールジエチルエーテルを用いたインクを吐出する。
この電極膜工程では、液滴吐出ヘッドから電極膜形成用のインク65を液滴にして吐出し、その液滴を基板P上の第1バンク部31b、第2バンク部31aに囲まれた領域に配置する。このとき、バンク部31a、31bには撥液性が付与されているため、吐出された液滴の一部がバンク部31a、31b上に載っても、バンク表面が撥液性となっていることによりバンク部31a、31bの表面で弾かれ、滴下された液状体は前記領域に流れ落ちる。
なお、この電極膜形成工程に先立って、先に形成されているバリア金属膜61aの表面に、前記インク65の濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層としては、例えばMn等を用いることができ、その成膜に際しては、電極膜66,67と同様の液滴吐出法を用いることができる。
液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃加熱を60分間程度行う。この加熱は窒素雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先の第1電極層形成工程後の中間乾燥工程で挙げたものを用いることができる。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。この中間乾燥工程を行うことにより、図10(c)に示すように、バリア金属膜61a、61a上に、それぞれソース電極膜66とドレイン電極膜67とが形成される。
(被覆金属膜形成工程)
次に、図11(a)に示すように、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、図7に示した被覆金属膜68aを形成するためのインク(液体材料)68を第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれた領域(ソース電極膜66及びドレイン電極膜67の上面)に塗布する。ここでは、導電性微粒子としてNiを用い、溶媒(分散媒)として水およびジエタノールアミンを用いたインクを吐出する。
次に、図11(a)に示すように、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、図7に示した被覆金属膜68aを形成するためのインク(液体材料)68を第1バンク部31bと第2バンク部31aとに囲まれた領域(ソース電極膜66及びドレイン電極膜67の上面)に塗布する。ここでは、導電性微粒子としてNiを用い、溶媒(分散媒)として水およびジエタノールアミンを用いたインクを吐出する。
この被覆金属膜形成工程では、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301から被覆金属膜形成のインク68を液滴にして吐出し、第1バンク部31bと第2バンク部31aとによって囲まれた領域に配置する。このとき、各バンク部31a、31bには撥液性が付与されているため、吐出された液滴の一部がバンク部上に載っても、バンク表面が撥液性となっていることによりバンク部表面で弾かれ、滴下されたインク(液滴)68は、前記領域に流れ落ちる。
なお、この被覆金属膜形成工程に先立って、先に形成されている電極膜66,67の表面に、前記インク68の濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層としては、例えば酸化チタンを含む薄膜を用いることができ、その成膜に際しては、被覆金属膜68aと同様の液滴吐出法を用いることができる。
次いで、電極形成用インクからなる液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃加熱を60分間程度行う。この加熱は窒素雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先の第1電極層形成工程後の中間乾燥工程で挙げたものを用いることができる。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。この中間乾燥工程を行うことにより、図11(b)に示すように、ソース電極膜66及びドレイン電極膜67上に、被覆金属膜68a,68aが形成される。これらの被覆金属膜68a、68aは、それぞれソース電極、ドレイン電極の一部を成すものである。
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
本実施形態では、ソース電極34及びドレイン電極35の積層構造を構成する金属材料が、上述した金属材料とされていることで、この焼成工程における熱処理を250℃以下で行うことができるようになっている。すなわち、250℃以下の加熱であっても良好な導電性を具備した電極部材を形成することができるようになっている。これにより、半導体層33における水素脱離に起因して薄膜トランジスタにON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下が生じるのを良好に防止することができ、形成される薄膜トランジスタの動作信頼性を維持できるようになっている。
本実施形態では、ソース電極34及びドレイン電極35の積層構造を構成する金属材料が、上述した金属材料とされていることで、この焼成工程における熱処理を250℃以下で行うことができるようになっている。すなわち、250℃以下の加熱であっても良好な導電性を具備した電極部材を形成することができるようになっている。これにより、半導体層33における水素脱離に起因して薄膜トランジスタにON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下が生じるのを良好に防止することができ、形成される薄膜トランジスタの動作信頼性を維持できるようになっている。
以上の工程により、吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。そして、ガラス基板P上に、3層構造のソース電極34及びドレイン電極35が形成される。また、図7に示したようにソース電極34と一体のデータ線16も上記工程により基板P上に形成される。
また焼成工程後のバリア金属膜61a及び被覆金属膜68aの膜厚は、それぞれ20nm〜400nm程度とすることが好ましく、電極膜66,67の膜厚は、500nm〜1500nm程度とすることが好ましい。バリア金属膜61aの膜厚が20nm未満では、電極膜66,67から半導体層33への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ソース電極34(及びデータ線16)、ドレイン電極35の抵抗が上昇するため好ましくない。また、被覆金属膜68aの膜厚が20nm未満では、電極膜66,67からバンク31c(図7参照)及び液晶層への金属元素の拡散を十分に防止することができず、400nmを超える膜厚では、ソース電極34(及びデータ線16)、ドレイン電極35の抵抗が上昇するため好ましくない。
なお、上記各工程では、基体層としてAgからなる電極膜66,67を形成し、バリア層としてNiからなるバリア金属膜61aを形成し、被覆層としてNiからなる被覆金属膜68aを形成しているが、これらの金属膜を構成する材料は、Ag及びNiに限定されず、電極膜66,67は、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。また、バリア金属膜61a及び被覆金属膜68aは、TiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。
<バンク除去工程>
次に、ガラス基板P上に設けられているバンクのうち、第1バンク部31bと第2バンク部31aとを選択除去する。この除去工程では、プラズマアッシングやオゾンアッシング等のアッシング処理により前記バンク部31a、31bを除去する。プラズマアッシングは、プラズマ化した酸素ガス等のガスとバンクとを反応させ、バンクを気化させて除去する方法である。また、オゾンアッシングは、オゾン(O3)を分解して活性酸素とし、活性酸素とバンクとを反応させることでバンクを気化させて除去する方法である。このバンク除去工程により、図11(c)に示すように、ガラス基板P上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)60を得ることができる。
次に、ガラス基板P上に設けられているバンクのうち、第1バンク部31bと第2バンク部31aとを選択除去する。この除去工程では、プラズマアッシングやオゾンアッシング等のアッシング処理により前記バンク部31a、31bを除去する。プラズマアッシングは、プラズマ化した酸素ガス等のガスとバンクとを反応させ、バンクを気化させて除去する方法である。また、オゾンアッシングは、オゾン(O3)を分解して活性酸素とし、活性酸素とバンクとを反応させることでバンクを気化させて除去する方法である。このバンク除去工程により、図11(c)に示すように、ガラス基板P上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)60を得ることができる。
<画素電極形成工程>
次に、TFT60が形成されたガラス基板P上に、図7に示した透光性導電膜としての画素電極19を形成する。この画素電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、液体材料配置工程と、焼成工程と、を含むものである。
次に、TFT60が形成されたガラス基板P上に、図7に示した透光性導電膜としての画素電極19を形成する。この画素電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、液体材料配置工程と、焼成工程と、を含むものである。
(バンク形成工程)
次に、図12(a)に示すように、基板P上の所定位置に画素電極19を形成するためのバンクを形成する。このバンク31cは、図12に示すようにTFT60を部分的に覆って形成され、平面的には図7に示した各画素電極19を取り囲む略格子状に形成される。バンクの形成はフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等を主体とする有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成し、その後バンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射する。
ここでは、TFT60の構成部材のうち、ドレイン電極35が、バンク31cに囲まれる領域内に突出するようにバンク31cをパターン形成する。またこのバンク31cのパターニングにおいて、基板P上に既設のドレイン電極35の表面部分には被覆金属膜68aが形成されているので、エッチング液が電極膜66,67に進入してこれらを侵食するのを防止することができる。
次に、図12(a)に示すように、基板P上の所定位置に画素電極19を形成するためのバンクを形成する。このバンク31cは、図12に示すようにTFT60を部分的に覆って形成され、平面的には図7に示した各画素電極19を取り囲む略格子状に形成される。バンクの形成はフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等を主体とする有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成し、その後バンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射する。
ここでは、TFT60の構成部材のうち、ドレイン電極35が、バンク31cに囲まれる領域内に突出するようにバンク31cをパターン形成する。またこのバンク31cのパターニングにおいて、基板P上に既設のドレイン電極35の表面部分には被覆金属膜68aが形成されているので、エッチング液が電極膜66,67に進入してこれらを侵食するのを防止することができる。
また、バンク31cは、ポリシラザンを含む液体材料等を用いて形成した無機物の構造体であってもよい。無機材料のバンクを形成する場合、樹脂材料等の有機材料を用いてバンクを形成するのに比べ、硬化時の加熱温度が高くなる場合が多いが、上記材料を用いることでバンク31cの硬化温度を250℃以下とすることができる。これにより、半導体層33での水素脱離を効果的に防止することができ、もって形成される薄膜トランジスタのON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下を防止することができる。
なお、バンク31cに囲まれる領域におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、残渣処理を施すことが好ましい。この残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行うUV照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2アッシング処理等を選択できるが、ここではO2アッシング処理を実施する。アッシング処理の条件は、先のバンク30のパターニング時に用いた条件と同等の条件でよい。
(撥液化処理工程)
続いて、バンク31cに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、先に述べた撥液化処理と同様の処理方法を用いることができる。
なお、バンク31cに対する撥液化処理により、先に行われた残渣処理により親液化されたゲート絶縁膜83の表面に多少は影響があるものの、ゲート絶縁膜83には撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、その親液性(濡れ性)を損なうことはない。また、バンク31cを、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成している場合には撥液処理を省略することができる。
続いて、バンク31cに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、先に述べた撥液化処理と同様の処理方法を用いることができる。
なお、バンク31cに対する撥液化処理により、先に行われた残渣処理により親液化されたゲート絶縁膜83の表面に多少は影響があるものの、ゲート絶縁膜83には撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、その親液性(濡れ性)を損なうことはない。また、バンク31cを、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成している場合には撥液処理を省略することができる。
(液体材料配置形成工程)
次に、図12(b)に示すように、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、画素電極を形成するためのインク(液体材料)をバンク31cに囲まれた領域に塗布する。ここでは、ITO、IZO、FTO等の透光性導電材料の微粒子を溶媒(分散媒)に分散させたインクを用いる。このインクには、Si系バインダーが含有している。上記透光性導電材料の前駆体や金属有機化合物を含むインクを用いてもよい。
次に、図12(b)に示すように、液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、画素電極を形成するためのインク(液体材料)をバンク31cに囲まれた領域に塗布する。ここでは、ITO、IZO、FTO等の透光性導電材料の微粒子を溶媒(分散媒)に分散させたインクを用いる。このインクには、Si系バインダーが含有している。上記透光性導電材料の前駆体や金属有機化合物を含むインクを用いてもよい。
本実施形態では特に、焼成温度250℃以下でも良好な透光性と導電性を得られる透光性導電膜形成用の液体材料が用いられる。このような液体材料としては、ITO微粒子とシリコン有機化合物とを含む液体材料や、ITO微粒子とインジウム有機化合物と錫有機化合物とを含む液体材料を例示することができる。これらの液体材料を用いることで、ITO微粒子同士が前記金属有機化合物から生成したSiO2やITOのマトリクスで強固に接着された構造の透光性導電膜を形成することができ、焼成温度が低温であってもITO微粒子が緻密に配置され、微粒子間で良好な導電性が得られる透光性導電膜を形成することができる。
この画素電極形成工程では、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301から画素電極形成材料を含むインク69を液滴にして吐出し、バンク31cによって囲まれた領域に配置する。このとき、バンク31cには撥液性が付与されているため、吐出された液滴の一部がバンク部上に載っても、バンク表面が撥液性となっていることによりバンク表面で弾かれ、滴下されたインク(液滴)69は、図12(b)に示すようにバンク31cに囲まれた領域31dに流れ落ちる。
次いで、電極形成用インクからなる液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃加熱を60分間程度行う。この加熱はN2雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先の第1電極層形成工程後の中間乾燥工程で挙げたものを用いることができる。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。この中間乾燥工程を行うことにより、図12(c)に示すように、所望の画素電極19が形成される。
(焼成工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
本実施形態では、画素電極19を形成するための液体材料として、上述した構成の液体材料とされていることで、この焼成工程における熱処理を250℃以下で行うことができるようになっている。これにより、半導体層33における水素脱離に起因して薄膜トランジスタにON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下が生じるのを良好に防止することができ、形成される薄膜トランジスタの動作信頼性を維持できるようになっている。
本実施形態では、画素電極19を形成するための液体材料として、上述した構成の液体材料とされていることで、この焼成工程における熱処理を250℃以下で行うことができるようになっている。これにより、半導体層33における水素脱離に起因して薄膜トランジスタにON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下が生じるのを良好に防止することができ、形成される薄膜トランジスタの動作信頼性を維持できるようになっている。
以上の工程により、吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される結果、基板P上に画素電極19が形成され、図7に示した薄膜トランジスタを具備したTFTアレイ基板を製造することができる。
そして、本実施形態の製造方法によれば、半導体層33がガラス基板P上に形成された後の加熱処理における加熱温度が250℃以下とされているので、半導体層33における水素脱離を効果的に防止することができる。これにより、ON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下を防止することができ、動作信頼性に優れたTFT60、及び高信頼性のTFTアレイ基板を得ることができる。
なお、上記実施形態では、ソース電極34及びドレイン電極35を形成するに際して、バリア金属膜61a、電極膜66,67、被覆金属膜68aの焼成を同時に行うようにした場合について説明したが、各々の金属膜の焼成を順次行うようにすることもできる。つまり、バリア金属膜61aを焼成した後、電極膜66,67を形成するためのインクを吐出配置して電極膜を形成し、電極膜66,67の焼成を行った後に被覆金属膜61aを形成するためのインクを吐出配置する方法も採用することができる。この場合、基板P上に既設の金属膜の溶媒(分散媒)に対する安定性が向上することとなる。
なお、上記実施形態では、液滴(液体材料)を配置するために液滴吐出装置を用いた液滴吐出法を採用しているが、その他の方法として、例えば図13に示すようなCapコート法を採用することもできる。Capコート法は毛細管現象を利用した成膜法で、塗布液170にスリット171を差し込み、その状態で塗布液面を上昇させるとスリット171の上端に液盛172が生成される。この液盛172に対して基板Pを接触させ、所定方向に基板Pを平行移動させることにより、塗布液170を基板P面に塗布することができる。
さらに、各実施形態で示した薄膜トランジスタの製造方法は、薄膜トランジスタを具備した各種電気光学装置の製造方法に適用することができる。例えば、液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置等の薄膜トランジスタを形成する際に採用するのが好適である。
(電子機器)
図14は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の電気光学装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、映像モニタ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。このような電子機器は、安価でありながら信頼性に優れたものとなる。
図14は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の電気光学装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、映像モニタ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。このような電子機器は、安価でありながら信頼性に優れたものとなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
IJ…液滴吐出装置、CONT…制御装置、P…ガラス基板(基板)、19…画素電極(透光性導電膜)、80a…ゲート電極(導電部材)、81…第1電極層(基体層)、82…第2電極層(被覆層)、83…ゲート絶縁膜、84…半導体層、85…N+シリコン層、30,31c…バンク、31b…第1バンク部、31a…第2バンク部、34…ソース電極(導電部材)、35…ドレイン電極(導電部材)、60…TFT(薄膜トランジスタ)、61a…バリア金属膜(バリア層)、66…ソース電極膜(基体層)、67…ドレイン電極膜(基体層)、68a…被覆金属膜(被覆層)、301…液滴吐出ヘッド、308…クリーニング機構、325…ノズル、370…キャップユニット、371…キャップ、372…キャップキャリッジ、373…真空ポンプ、380…浸漬ユニット、381…液体貯溜器、382…キャリッジ、390…ワイプユニット、391…ワイピングシート、392…巻出しローラ、393…巻取りローラ、394…洗浄液塗布機構。
Claims (8)
- 液体材料を吐出する吐出ヘッドを備える液滴吐出装置の整備方法であって、
前記吐出ヘッドの吐出面を、前記液体材料中に生じる凝集物を分解可能な所定液に浸漬する工程と、
前記浸漬後の前記吐出ヘッドの吐出面を所定部材で拭う工程と、を有することを特徴とする液滴吐出装置の整備方法。 - 前記液体材料は、Si系バインダーを含み、
前記所定液は、アルカリ溶液であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置の整備方法。 - 前記所定部材は、前記液体材料の主溶媒を含んだ布状あるいはシート状部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液滴吐出装置の整備方法。
- 吐出ヘッドを備える液滴吐出装置であって、
前記吐出ヘッドの吐出面を、前記液体材料中に生じる凝集物を分解可能な所定液に浸漬させる浸漬部と、
前記吐出ヘッドの吐出面を所定部材で拭うワイピング部と、を有することを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記液体材料は、Si系バインダーを含み、
前記所定液は、アルカリ溶液であることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。 - 前記所定部材は、前記液体材料の主溶媒を含んだ布状あるいはシート状部材であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の液滴吐出装置。
- 請求項6に記載の液滴吐出装置を使用して製造されたことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項7に記載の電気光学装置を具備したことを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004332746A JP2006142147A (ja) | 2004-11-17 | 2004-11-17 | 液滴吐出装置の整備方法、液滴吐出装置、電気光学装置、並びに電子機器 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008073593A (ja) * | 2006-09-20 | 2008-04-03 | Ulvac Japan Ltd | 印刷装置及びヘッドクリーニング方法 |
JP2008155113A (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-10 | Seiko Epson Corp | 液滴吐出装置、及びデバイスの製造方法 |
JP2008229582A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-10-02 | Toppan Printing Co Ltd | インクジェットヘッド管理装置 |
JP2012027895A (ja) * | 2010-07-23 | 2012-02-09 | Samsung Electro-Mechanics Co Ltd | タッチパネルおよびその製造方法 |
JP2020149907A (ja) * | 2019-03-14 | 2020-09-17 | 日鉄日新製鋼株式会社 | セパレータ用金属材料、燃料電池のセパレータ及び燃料電池 |
-
2004
- 2004-11-17 JP JP2004332746A patent/JP2006142147A/ja not_active Withdrawn
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