JP2006319161A - 薄膜トランジスタの製造方法、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板P上に、ゲート電極80の形成領域に対応したバンクB1またはその前駆体を形成する工程と、バンクB1またはその前駆体によって区画された領域に、導電性材料を含有してなる機能液を液滴吐出法で配置し、焼成することにより、ゲート電極80を形成する工程と、ゲート電極80上にポリシラザン液を配置し、焼成することにより、ゲート電極80上を覆うゲート絶縁膜83を、ポリシロキサンを骨格とする無機質層で形成する工程と、ゲート絶縁膜83上に半導体層33を形成する工程と、を備えたことを特徴とする薄膜トランジスタ60の製造方法。
【選択図】 図8
Description
しかしながら、例えば前記方法を薄膜トランジスタ(TFT)の製造に適用しようとした場合、TFTの製造は基板上に積層構造を形成することで行うことから、以下の不都合を生じてしまう。
TFTの製造は基板上に異種材料を積層するとともに、得られた積層体を加熱する工程を含むプロセスである。したがって、隣接する層間で元素が拡散することがあり、特に、ゲート電極の形成材料として用いた金属がゲート絶縁膜中などに拡散し、TFTの特性低下を引き起こすことがある。
前記基板上に、前記ゲート電極の形成領域に対応したバンクまたはその前駆体を形成する工程と、
前記バンクまたはその前駆体によって区画された領域に、導電性材料を含有してなる機能液を液滴吐出法で配置し、焼成することにより、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上にポリシラザン液、ポリシラン液またはポリシロキサン液のいずれかを配置し、焼成することにより、前記ゲート電極上を覆うゲート絶縁膜を、ポリシロキサンを骨格とする無機質層で形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に半導体層を形成する工程と、を備えたことを特徴としている。
また、前記無機質層からなるゲート絶縁膜が十分な緻密性を有するものとなるので、液滴吐出法で形成されてなる前記ゲート電極に比べ十分に平坦性を有するものとなる。したがって、このゲート絶縁膜とこれの上に形成される半導体層との間の界面が十分な平坦性を有するようになり、これによってトランジスタ特性の安定性が向上する。
このように350℃以上で焼成を行うことにより、ポリシラザン液、ポリシラン液またはポリシロキサン液のいずれかがポリシロキサンとなり、したがってより無機質化することで良好な絶縁性を有するものとなる。よって、ゲート絶縁膜としての絶縁特性も向上する。
このようにすれば、ゲート絶縁膜とバンクとを同じ焼成工程で同時に形成するので、工程を簡略化して生産性を向上することが可能となる。また、このようにゲート絶縁膜とバンクとを同じポリシラザン液、ポリシラン液またはポリシロキサン液のいずれかからなる無機質層で形成するので、これらゲート絶縁膜とバンクとの接合部において、材質の違いに起因する熱膨張等による応力の影響がほとんどなく、したがって接合部におけるクラック等の発生が防止される。
この電気光学装置によれば、前記薄膜トランジスタが、ゲート電極中の導電成分の拡散がより良好に防止されてその特性低下が防止され、特性の安定化が図られているので、この電気光学装置自体も、特性が安定し生産性が向上した良好なものとなる。
この電子機器によれば、前記電気光学装置が、特性が安定した良好なものとなるので、この電子機器自体も良好なものとなる。
(電気光学装置)
まず、本発明の電気光学装置の一実施形態について説明する。図1は、本発明の電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置100を示す等価回路図である。この液晶表示装置100において、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極19と該画素電極19を制御するためのスイッチング素子であるTFT60とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線(電極配線)16が該TFT60のソースに電気的に接続されている。データ線16に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順で線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線16に対してグループ毎に供給される。また、走査線(電極配線)18aがTFT60のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線18aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極19はTFT60のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT60を一定期間だけオンすることにより、データ線16から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
前記構成のもとTFT60は、走査線18aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線16を介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込むスイッチング素子として機能するようになっている。
次に、前記TFT60の製造方法を基に、本発明の薄膜トランジスタの製造方法の一実施形態を説明する。前記TFT60においては、ゲート電極80、ソース電極34、ドレイン電極35を、液滴吐出法を用いてパターン形成するとともに、特にキャップ層81及び第2バンクB2についても、液滴吐出法を用いて形成している。
まず、本実施形態の製造方法において用いられる、液滴吐出装置について説明する。本製造方法では、液滴吐出装置に備えられた液滴吐出ヘッドのノズルから、導電性微粒子や他の機能材料を含むインク(機能液)を液滴状に吐出し、薄膜トランジスタを構成する各構成要素を形成するものとしている。本実施形態で用いる液滴吐出装置としては、図5に示した構成のものを採用することができる。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と、X軸方向駆動軸304と、Y軸方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。
ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(機能液)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
図5(b)において、インク(機能液)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、インクを収容する材料タンクを含むインク供給系323を介してインクが供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液体材料が吐出されるようになっている。
この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
ここで、本実施形態の製造方法において、前記ゲート電極80、ソース電極34、ドレイン電極35等の導電パターンの形成に用いられる、インク(機能液)について説明する。
本実施形態で用いられる導電パターン用のインク(機能液)は、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、若しくはその前駆体からなるものである。導電性微粒子として、例えば金、銀、銅、パラジウム、ニオブ及びニッケル等を含有する金属微粒子の他、これらの前駆体、合金、酸化物、並びに導電性ポリマーやインジウム錫酸化物等の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm〜0.1μm程度であることが好ましい。0.1μmより大きいと、液体吐出ヘッド301のノズルに目詰まりが生じるおそれがあるだけでなく、得られる膜の緻密性が悪化する可能性がある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
・化学式(1);−(SiCH3(NH)1.5)n−
・化学式(2);SiCH3(NH)1.5+H2O
→SiCH3(NH)(OH)+0.5NH3
・化学式(3);SiCH3(NH)1.5+2H2O
→SiCH3(NH)0.5(OH)2+NH3
・化学式(4);SiCH3(NH)(OH)+SiCH3(NH)(OH)+H2O
→2SiCH3O1.5+2NH3
・化学式(5);SiCH3(NH)(OH)+SiCH3(NH)0.5(OH)2
→2SiCH3O1.5+1.5NH3
・化学式(6);SiCH3(NH)0.5(OH)2+SiCH3(NH)0.5(OH)2
→2SiCH3O1.5+NH3+H2O
以下、TFT60の製造方法を含む、TFTアレイ基板10の各製造工程について、図6から図9を参照して説明する。なお、図6から図9は、本実施形態の製造方法における一連の工程を示す断面工程図である。
図6、図7の各図に示すように、基体として無アルカリガラス等からなるガラス基板Pを用意し、その一面側に第1バンクB1を形成した後、この第1バンクB1に形成した開口部30に対し、所定のインク(機能液)を滴下することで、開口部30内にゲート電極80を形成する。このゲート電極形成工程は、バンク形成工程と、撥液化処理工程と、第1電極層形成工程と、第2電極層形成工程と、焼成工程と、を含むものとなっている。
まず、ゲート電極80(及び走査線18a)をガラス基板上に所定パターンで形成するために、ガラス基板P上に所定パターンの開口部を有する第1バンクを形成する。この第1バンクは、基板面を平面的に区画する仕切部材であり、このバンクの形成には、特にフォトリソグラフィ法が好適に用いられる。具体的には、まず、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の方法で、図6(a)に示すようにガラス基板P上に形成するバンクの高さに合わせて前記の感光性ポリシラザン液を塗布し、ポリシラザン薄膜BL1を形成する。
次いで、図6(b)に示すようにマスクを用いてポリシラザン薄膜BL1を露光する。このとき、このポリシラザン薄膜BL1は前述したようにポジ型レジストとして機能するので、後の現像処理によって除去する箇所を、選択的に露光する。露光光源としては、前記感光性ポリシラザン液の組成や感光特性に応じ、従来のフォトレジストの露光で用いられている高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、X線、電子線等から適宜選択され用いられる。照射光のエネルギー量については、光源や膜厚にもよるものの、通常は0.05mJ/cm2以上、望ましくは0.1mJ/cm2以上とされる。上限は特にないものの、あまりに照射量を多く設定すると処理時間の関係から実用的でなく、通常は10000mJ/cm2以下とされる。露光は、一般に周囲雰囲気(大気中)あるいは窒素雰囲気とすればよいが、ポリシラザンの分解を促進するため、酸素含有量を富化した雰囲気を採用してもよい。
次に、必要に応じて純水でリンスした後、第1バンクの前駆体BP1に対し、必要に応じて撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50kW〜1000kW、4フッ化メタンガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板搬送速度が0.5mm/sec〜1020mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、第1バンクの前駆体BP1には、これを構成するアルキル基などにフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
なお、第1バンクの前駆体BP1に対する撥液化処理(CF4プラズマ処理)は、先の残渣処理で親液化された基板P表面に対して多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pの親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
次に、開口部30に対して、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301から第1電極層形成用インク(図示せず)を滴下する。ここでは、導電性微粒子としてAg(銀)を用い、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールジエチルエールを用いたインクを吐出配置する。このとき、第1バンクB1の表面には撥液性が付与されており、開口部30の底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部が第1バンクB1に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30内に滑り込むようになっている。
次に、液滴吐出装置による液滴吐出法を用いて、第2電極層形成用インク(図示せず)を、第1バンクの前駆体BP1の開口部30に配置する。ここでは、導電性微粒子としてNi(ニッケル)を用い、溶媒(分散媒)として水およびジエタノールアミンを用いたインク(液体材料)を吐出配置する。このとき、第1バンクの前駆体BP1の表面には撥液性が付与されており、開口部30の底面部の基板表面には親液性が付与されているので、吐出された液滴の一部が前駆体BP1に載っても、バンク表面で弾かれて開口部30内に滑り込むようになっている。ただし、開口部30の内部に先に形成されている第1電極層80aの表面は、本工程で滴下するインクに対して高い親和性を有しているとは限らないため、インクの滴下に先立って、第1電極層80a上にインクの濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層は、インクを構成する分散媒の種類に応じて適宜選択されるが、本実施形態のようにインクが水系の分散媒を用いている場合には、例えば酸化チタンからなる中間層を形成しておけば、中間層表面で極めて良好な濡れ性が得られる。
吐出工程後の乾燥膜については、導電性微粒子間の電気的接触を向上させるため、分散媒を完全に除去する必要がある。また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理を施す。
次に、前記第1バンクの前駆体BP1上に、前記のポリシラザン液をスピンコート法で塗布し、図7(d)に示すようにポリシラザン薄膜83aを形成する。このようにして塗布すると、ポリシラザン液はその一部が前記の凹部30a内に入り込み、前記ゲート電極80を覆うとともに該凹部30aを良好に埋め込むようになる。また、その表面状態が十分に平坦性を有するポリシラザン薄膜83aとなる。なお、塗布量を適宜に設定することにより、ポリシラザン薄膜83aの膜厚を容易に制御することができる。また、ポリシラザン液としては、例えば前述したポリシラザンを主成分とするものが用いられる。
次いで、例えば350℃以上、好ましくは400℃以上450℃以下の範囲で60分程度焼成処理を行うことにより、図8(a)に示すようにゲート絶縁膜83を形成する。なお、ポリシラザン薄膜83aを形成したポリシラザン液として、前述した、ポリシラザンと光酸発生剤とを含む感光性ポリシラザン液を用いた場合には、焼成処理に先立ち、全面露光処理及び加湿処理を行うようにしてもよい。このような処理を行うことで、前記化学式(1)で示したようなポリシラザンから、化学式(4)〜(6)に示したようなポリメチルシロキサンに容易に変化させることが可能となる。
ここで、前記所定位置へのポリシラザン液の吐出については、液滴吐出ヘッド301を用いた液滴吐出法で行うことから、所望位置に配置することができるとともに、その膜厚についても、吐出量を調整することで所望の膜厚となるようにすることができる。
次いで、例えば300℃で60分程度焼成処理を行うことにより、図8(b)に示すように第2バンクB2を形成する。ここで、インクとしてのポリシラザン液として、前述した、ポリシラザンと光酸発生剤とを含む感光性ポリシラザン液を用いた場合には、焼成処理に先立ち、前述したように全面露光処理及び加湿処理を行うようにしてもよい。
次に、図8(c)に示すように前記第2バンクB2に区画された領域内に半導体層33を形成する。この半導体層33は、ゲート絶縁膜83を形成した基板Pの全面に、150nm〜250nm程度の膜厚のアモルファスシリコン膜と、膜厚50nm〜100nm程度のN+シリコン膜とをプラズマCVD法等により積層形成し、フォトリソグラフィ法により所定形状にパターニングすることで得られる。アモルファスシリコン膜の形成工程で用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。続くN+シリコン膜の形成工程では、前記アモルファスシリコン膜の形成で用いた成膜装置に、N+シリコン層形成用の原料ガスを導入して成膜を行うことができる。
次いで、半導体層33が形成されたガラス基板P上に、図4に示したソース電極34及びドレイン電極35を形成する。
{撥液化処理工程}
まず、前記の第2バンクB2、第3バンクB3に対して撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。
次に、図4に示したソース電極34、ドレイン電極35を形成するためのインク(機能液)を、前記液滴吐出装置IJを用いて第2バンク部B2と第3バンク部B3とに囲まれた領域に塗布する。ここでは、導電性微粒子として銀を用い、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールジエチルエーテルを用いたインクを吐出する。このようにして液滴を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。本実施形態では、例えば180℃加熱を60分間程度行う。この加熱はN2雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先の第1電極層形成工程後の中間乾燥工程で挙げたものを用いることができる。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板Pに、熱処理及び/又は光処理を施す。この熱処理及び/又は光処理については、前記ゲート電極80の形成の際の焼成処理条件と同様にして行うことができる。
このような工程により、吐出工程後の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保されて導電性膜に変換され、図9(a)に示したように、一方のN+シリコン層85に接続し導通するソース電極34と、他方のN+シリコン層85に接続し導通するドレイン電極35とが形成される。
次いで、図9(c)に示すようにドレイン電極35側の絶縁材料86にコンタクトホール87を形成する。その後、ITO等からなる透明電極層をスパッタ法や蒸着法等の気相法で形成し、あるいは液滴吐出法等の液相法で形成し、さらに必要に応じてパターニングすることにより、画素電極19を形成する。
以上の工程により、本発明に係るTFT60をガラス基板Pの内面側(図示上面側)に形成し、さらに画素電極19を形成してなる、TFTアレイ基板10が得られる。
また、前記無機質層からなるゲート絶縁膜83が十分な緻密性を有するものとなるので、液滴吐出法で形成されてなるゲート電極80に比べ十分に平坦性を有するものとなる。したがって、このゲート絶縁膜83とこれの上に形成される半導体層33との間の界面が十分な平坦性を有するようになり、これによってトランジスタ特性の安定性を向上することができる。
また、前記のTFTアレイ基板10を備えた液晶表示装置100にあっては、前記TFT60が、その特性低下が防止されて特性の安定化が図られ、さらに生産性も向上しているので、この液晶表示装置100自体も、特性が安定し生産性が向上した良好なものとなる。
また、本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、薄膜トランジスタを備えた各種の電気光学装置の製造方法に適用することができる。例えば、液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置等の薄膜トランジスタを形成する際に好適に採用することができる。
図10は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
なお、前記実施形態の電気光学装置は、前記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、映像モニタ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。
このような電子機器は、前記電気光学装置が、特性が安定し生産性が向上した良好なものとなるので、この電子機器自体も良好なものとなる。
Claims (5)
- 基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、半導体層と、を形成する薄膜トランジスタの製造方法において、
前記基板上に、前記ゲート電極の形成領域に対応したバンクまたはその前駆体を形成する工程と、
前記バンクまたはその前駆体によって区画された領域に、導電性材料を含有してなる機能液を液滴吐出法で配置し、焼成することにより、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上にポリシラザン液、ポリシラン液またはポリシロキサン液のいずれかを配置し、焼成することにより、前記ゲート電極上を覆うゲート絶縁膜を、ポリシロキサンを骨格とする無機質層で形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に半導体層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記ゲート電極上に配置したポリシラザン液、ポリシラン液またはポリシロキサン液のいずれかの焼成を、350℃以上で行うことで、得られる無機質層をポリシロキサンとすることを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記バンクまたはその前駆体を形成する工程では、ポリシラザン液、ポリシラン液またはポリシロキサン液のいずれかによってバンクの前駆体を形成するようにし、
前記のゲート絶縁膜を形成するための焼成により、前記バンクの前駆体を同時に焼成してポリシロキサンを骨格とする無機質層からなるバンクとする、ことを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜トランジスタの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた薄膜トランジスタを備えることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項4記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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