JP2006141328A - 培養器及び培養装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 培養時のコンタミネーション及び容器間のクロスコンタミネーションのリスクを低減できるようにする。
【解決手段】 培養器本懐は、水平な面に沿って細胞が培養するように構成されている。この培養器本体の開口部を塞ぎ、培養器本体手段の周縁部に少なくとも2つのポート部を備えた蓋部材が設けられる。この蓋部材に設けられたポート部の1つには培養器本体の内側底面部にその先端部が接するように突出した管部材が設けられる。培養器本体内の液体を管部材を通して吸引する。また、管部材がない方を相対的に上昇させることによって、培養器本体内の液体を吸引し易くする。
【選択図】 図17

Description

本発明は、コンタミネーションのリスクを低減できる培養用の容器(培養器)を備えた培養器及び培養装置に関する。
培養は、培養器内の培地の交換や、細胞密度を適正にするための再播種などといった煩雑な継代プロセスが手作業により行われている。通常、これらの作業は、コンタミネーションなどの発生を回避するため、半導体製造分野で培われたクリーン環境生成技術により大気中の浮遊微粒子濃度を抑制した比較的清浄な雰囲気で注意深く行われる。しかし、この清浄な雰囲気でもコンタミネーションを回避するには十分ではなく、培養器として通常用いられる円形シャーレで細胞を培養する場合、培地交換の際にはシャーレの蓋を持ち上げるように上方にかざして菌が混入しないよう注意を払いながら、ピペッタをシャーレとその蓋のすきまに、かつピペッタがシャーレの縁など周囲のものに触れないようすばやく挿入するといったように煩雑で難しい作業を必要としていた。このような作業は、頻繁かつ日常的に行われ、通常非常に熟練した作業者が行う。
USP5,985,653
培養は、培養器内の培地の交換や、細胞密度を適正にするための再播種などといった煩雑な継代プロセスが手作業により行われている。通常、これらの作業は、コンタミネーションなどの発生を回避するため、半導体製造分野で培われたクリーン環境生成技術により大気中の浮遊微粒子濃度を抑制した比較的清浄な雰囲気で注意深く行われる。
しかし、この清浄な雰囲気でもコンタミネーションを回避するには十分ではなく、通常、培養器として通常用いられる円形シャーレで細胞を培養する場合、培地交換の際にはシャーレの蓋を持ち上げるように上方に翳して菌が混入しないよう注意を払いながら、ピペツタをシャーレとその蓋のすきまに、かつピペツタがシャーレの縁など周囲のものに触れないようすばやく挿入するといったように煩雑で難しい作業を必要としていた。このような作業は、頻繁にかつ日常的に行われ、非常に熟練した作業者が行うのが常であった。
このように培養作業は、煩雑であるにもかかわらず手作業で行われているのが現状であり、また、熟練作業を必要とするものであるため、容易に実施し難いものであった。特に、近年、再生医療用の技術開発が盛んに行われているが、組織を構築するための幹細胞の培養などといった場合、培養した細胞は被検者に移植されるので、培養中の異物混入(コンタミネーション)の可能性は0%を保証しなければならない。しかしながら、上述のようなクリーンな環境を生成する技術は、大気中の浮遊粒子濃度を抑制するものであって、様々な規格(日本工業規格など)によって、その濃度許容値に応じクラス分類されるが、その環境内には様々な電気や機械類の部品が配されるのが普通であり、実質的に微粒子の数0ケを保障することは極めて難しい。
このように培養などに要求されるコンタミネーション回避のための要件は、細胞に混入する生きた菌の数を0ヶとすることであり、たとえ1ヶの微粒子であってもそれが菌であればコンタミネーションを引き起こす。このように、クリーン環境生成技術はリスク低減には有効ではあるが、コンタミネーション回避を保障できないという大きな課題があった。また、複数の被検者細胞を距離的に近い、具体的には1つの部屋で培養を行うことは、クロスコンタミネーションの点でもリスクが高くなる。何らかの要因で被検者の細胞が菌類(例えばカビ)が混入してコンタミネーションをおこした場合、胞子が拡散し他の被検者細胞に伝染する可能性を捨て去ることは困難である。以上のように培養作業は、量産化と安全性の両立化の点で大きな課題を有していた。
この発明の目的は、培養時のコンタミネーション及び容器間のクロスコンタミネーションのリスクを低減することのできる培養器及び培養装置を提供することにある。
本発明の培養器の第1の特徴は、水平な面に沿って培養される物が外部から観察可能に構成された透明な培養器本体と、前記培養器本体の開口部を塞ぎ、前記培養器本体手段の周縁部に培養細胞の注入と回収を行う少なくとも2つのポート部を備えた蓋部材と、前記ポート部の1つには前記培養器本体の内側底面部にその先端部が接するように突出した管部材とを備え、上記培養細胞の注入と回収の状態を外部から観察可能としたことにある。
これは、培養器本体内の液体を管部材を通して吸引するようにしたものである。これにより、培養器の蓋部材を開けずに内部の培地や細胞を排出することが可能となる。
本発明の培養装置の第1の特徴は、前記第1の特徴に記載された培養器の前記管部材がある方に対して、前記管部材がない方を相対的に上昇させ、前記管部材から前記培養器内部の液体を吸引可能としたことにある。
これは、管部材がない方を相対的に上昇させることによって、培養器本体内の液体を吸引し易くしたものである。これにより、培養器の蓋部材を開けずに内部の培地や細胞を排出することが可能となる。
本発明によれば、培養時のコンタミネーション及び容器間のクロスコンタミネーションのリスクを低減することができる。
以下、本発明を適用してなる培養装置の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる培養装置の基本構成を示すブロック図である。
培養器1は、細胞を培養する容器であり、ポンプ3及び可撓性管部材2を介して未使用の薬品が注入されたリザーブタンク4に接続されている。廃液タンク7は、使用済みの薬品を貯めるものであり、ポンプ6及び可撓性管部材5を介して培養器1に接続されている。駆動手段8は、培養器1を回動させるものである。カメラ9は、培養器1を透過した光源10から発した光により中の培養細胞を観察する。システムコントローラ11は、ポンプ3、ポンプ6、駆動手段8、カメラ9、光源10に接続され、これらポンプ3、ポンプ6、駆動手段8、カメラ9、光源10を制御する。
図2は、本発明を適用してなる培養装置の機構部の詳細図であり、図1におけるシステムコントローラ11を省いた実際の構成を示している。培養器38は、透明な非毒性の材質、好ましくはポリスチレン、またはポリエチレンテレフタレートで形成されていることが望ましい。培養器38の本体15の表面にはガス透過膜16が貼ってある。培養器38の表面は、細胞が付着しやすいように親水性を持つように改質されていると良い。培養器38の略中央には薬品注入のためのチューブ接続部材19を設けられ、培地17などの薬品を培養器38内部に流し込む働きをする。この時、傾斜部381が各種液体の落下の衝撃を和らげて培養細胞へのダメージを防いでいる。
培養器38の底面には細胞が接着してそこで培養が行なわれる。チューブ接続部材18は細胞の老廃物が溶出し、培地中の栄養素が少なくなった古い培地を排出する排出口である。培養器38は、ロータ22上に固定され、このロータ22は下方にてカムフォロア27にて矢印E方向に回転できるよう、例えば、円周方向3箇所で自在に支持される。さらに、ロータ22の下方にはインターナルギア(図示せず)を形成し、このギアは、保温箱(フレーム)30に固定した培養器駆動モータ29の出力軸に勘合したピニオン28と噛みあう。ケーブルドラム25は、ロータ22に設けられたピンチ弁24の配線を巻く。巻き取りドラム26は、ロータ22が回転してもピンチ弁24の配線を巻き取り、配線が緩むことにより、他の突起物に絡まないように自動的に配線を巻き取るようになっている。例えば、ばねを利用し定常的にケーブルに張力を与えることで実現できる。
供給チューブ21は、培養器38の略中央に設けられたチューブ接続部材19に接続されている。ガイド部材35は、供給チューブ21をガイドするものである。この供給チューブ21は、ガイド部材35の上方に設けられたチューブ固定部材36にてフレーム30に固定され、このチューブ固定部材36からチューブ接続部材19までの間のチューブは、ガイド部材35の内部を自由に動くようになっている。
培地タンク67は未使用の培地を貯留し、緩衝液タンク68は緩衝液を貯留し、細胞剥離剤タンク69,70,71は細胞剥離剤を貯留している。各タンク67,68,69,70,71は、断熱箱80内に設けられている。ピンチ弁72,105,73,74,75は、各タンク67,68,69,70,71からの送液を制御するものである。また、ピンチ弁66は、後述する培養前細胞の注入を制御するものである。空気流入口78,79は、チューブ内の液溜まりを防止するために大気中の空気を導入するものであり、大気中の不純物を取り除くためのフィルタ(目の大きさが0.2μm以下が望ましい)を備えている。各タンク67,68,69,70,71から取り出されるチューブは、前述した供給チューブ21に接続され、しごきポンプ37で送液できるようになっている。しごきポンプ37は、ローラでチューブを挟み込み、そのローラを回転することによりチューブ内の液を送り出すポンプである。
廃液チューブ23は、培養器38の底面に設けられたチューブ接続部材18に接続され、ガイド部材99によりフレーム30外にガイドされる。このガイド部材99の下部には、チューブ固定部材100が設けれており、このチューブ固定部材100によって廃液チューブ23は固定され、かつこのチューブ固定部材100とチューブ接続部材18との間では廃液チューブ23は、自由に動くようになっている。細胞の老廃物が溶出し、培地中の栄養素が少なくなることによって生成される古い培地は、しごきポンプ101により廃液チューブ23を通って、廃液回収箱98内の廃液タンク102に貯留される。ピンチ弁103は、廃液タンク102への送液を制御し、ピンチ弁104は、廃液をしごきポンプ101で廃液タンク102へ送液する際の送液状態を制御するものである。
シャッターモータ50は、フレーム30の右側面に設けられた開口部をシャッター51で開閉するものであり、その回転軸にシャッター51に接続されたワイヤが巻回されている。シャッターモータ50の回転を制御することによりシャッター51を矢印A方向(図面上の上下方向)に移動できるようになっている。培養前細胞を貯留する容器52は、ホルダー部62に支持される。ホルダー62は、送りねじを有したモータ63によって矢印B方向(図面上の左右方向)に移動できるようになっている。容器52の上面にはゴム材が設けられ、外気からカバーされている(図示略)。針53は、細胞注入チューブ56に接続され、ピペッターアーム55に固定されている。ピペッタアーム55は、軸54に支持され、ピペッタ回転動モータ57により矢印D1方向に回転できるようになっている。回転部材58は、軸54と共に回転する部材であり、ピペッタ上下動モータ59とプーリ60を備えている。ピペッタ上下動モータ59の出力軸に固定されたプーリとプーリ60はベルト61により連結され、そのベルト61の一部は軸54と固定されている。
ピペッタ上下動モータ59の駆動により、軸54は上下動作するようになっている。ピンチ弁66は、培養前細胞をしごきポンプ37で送液する際、送液状態を制御するものである。なお、ピペッタアーム55には針39が固定されており、その一端にはエアーフィルター40が設けられている。この針39の機能は、容器52が硬質のプラスチック材料で形成された場合において、内部が印圧になって細胞が吸引しにくくなるのを防止するものである。なお、培養前細胞は、しごきポンプ37により吸引されると説明したが、針39から容器52に空気を圧送することによって送液するようにしてもよい。
シャッターモータ81は、フレーム30の左側面に設けられた開口部をシャッター82で開閉するものであり、その回転軸にシャッター82に接続されたワイヤが巻回されている。シャッターモータ81の回転を制御することによりシャッター82を矢印F方向(図面上の上下方向)に移動できるようになっている。培養後細胞を貯留する容器84は、ホルダー部93に支持される。ホルダー93は、送りねじ95を有したモータ94によって矢印G方向(図面の左右方向)に移動できるようになっている。容器84の上面にはゴム材が設けられ、外からカバーされている(図示略)。針83は、細胞注入チューブ84に接続され、ピペッタアーム85に固定されている。ピペッタアーム85は、軸87に支持され、ピペッタ回転動モータ88により矢印D2方向に回転できるようになっている。回転部材89は、軸87と共に回転する部材であり、ピペッタ上下動モータ90とプーリ91を備えている。ピペッタ上下動モータ90の出力軸に固定されたプーリとプーリ91はベルト92により連結され、そのベルト92の一部は軸87と固定されている。
ピペッタ上下動モータ90の駆動により、軸87は上下動作するようになっている。ピンチ弁103は、培養後細胞をしごきポンプ101で送液する際、送液状態を制御するものである。なお、ピペッタアーム55には針41が固定されており、一端にはエアーフィルター42が設けられている。この針41の機能は、容器84が硬質のプラスチック材料で形成された場合において、内部が陽圧になって細胞が吐出しにくくなるのを防止するものである。なお、培養後細胞は、しごきポンプ101により送液されると説明したが、培養器38に空気を圧送することによって、送液するようにしてもよい。
光源34は、フレーム30の下側からフレーム30内に光を供給するものであり、光の出射側にフィルター33を備えている。CCDカメラ31は、レンズを備えており、フレーム30の上側に設けられた観察窓32から培養器38にて培養される細胞を観察したり、継代時のタイミングを判定したりするのに利用されるものである。光源34は、画像の輝度ムラを防止するために複数のLEDをフラットに配置したタイプのものが好ましいが、光量が十分であるならば1つのLEDもしくはランプで構成してもよい。また、フィルター33は、CCDカメラ31に入射する光量を低減するためNDフィルター、及び細胞観察に適したコントラストを得るため適当なバンドパスフィルターから構成される。このフィルターは、CCDカメラ31の前面に設けても良い。NDフィルターは、CCDカメラ31の前面に、またバンドパスフィルターは細胞に害を与える短波長光をカットするものの場合は光源34の前面の方が好ましい。ヒータ108は、温度センサ106からの検知温度に基づいてフレーム30の内部を一定の温度に保つものである。ファン65は、フレーム30内の空気を攪拌するものである。スタンド96,97は、この培養装置全体を床面に立設させるものである。継ぎ手107は、二酸化炭素と窒素と酸素の割合を制御した混合気体を供給する際の不純物を除くためのフィルターを備えている。
培養器38の上面に貼ったガス透過膜16は、全面を覆うように図示したが、部分的に設けてもよい。なお、培地の蒸発を防止するため、フレーム30内部の湿度を上げた方が良いのは言うまでもない。この場合、水を入れたトレーを内部に配置するのが容易かつ効果的である。培養器38の前面をガス透過膜16で覆わない場合には、継ぎ手107から供給される混合気体を直接培養器38の内部に供給するようにしてもよいし、また培地などに溶け込ませても良い。
また、フレーム30は、概ね全体を覆う形体としたが、培養器38の周辺部分のみ覆う構造としても良い。すなわち、2組のピペッタはフレーム30の一部として左右に設けられる場合について説明したが、フレーム30とは別個に構成して、フレーム30の外部に2組のピペッタを配置するようにしても良い。
図3は、図2の培養器38の詳細構成を示す図である。図3(a)は図2の培養器38を上面から見た平面図であり、図3(b)はその側断面図である。図3(a)において、チューブ接続部材19は、培養器38の円中心から距離L1だけ離れた位置に回転中心付近に設けられている。古い培地を排出するチューブ接続部材18や堰20の位置と形状は、変形例112,113,114のようにしても良い。変形例112は、堰20を省略したものであり、変形例113は、チューブ接続部材18が培養器38の側面に設けられているものであり、変形例114は、チューブ接続部材18の開口部が培養器38の底面に接するように設けられているものである。
変形例112,114は、培養器38の回転に伴う遠心力によって、細胞がチューブ接続部材18の開口部以外のくぼみ部分に凝集することがあるので、この点では変形例113が遠心力によって、細胞を培養器38外に排出することができるので、より好ましい。なお、このチューブ接続部材18の位置は、培養器38のどこに配置してもよく、特に限定はしない。また、距離L1も特に限定されるものではない。但し、培養器38の円中心と回転中心は、ずらした方が細胞の均一播種の点で好ましい。チューブ接続部材18の位置を、たとえば培養器38の円中心付近に配置することによっても細胞の凝集を避けることができる。
ここで回動とは、回転、偏心回転、平行移動、往復平行移動のうち少なくとも一つとこれらの組み合わせを含むものであり、特に細胞や液の攪拌や均一化に有用な動作のことである。例えば、培地や中和済み細胞剥離剤の培養器からの排出は、培養器を傾斜動作させても良い。また、培養器内の細胞の均一播種は、培養器を振動させてもよい。手作業による培養では、培養器を8の字の軌跡を描かせるように動作させることで均一に播種することができる。このように回転動作が最もシンプルでかつ構成することも容易であるが、回転に限定する必要はなく、様々な並進動作、または回転と並進動作の組み合わせで対応してもよい。
図4は、図2の培養装置の制御ブロック図の詳細を示し、複数の培養装置を接続してそれをプラント化した場合を示すブロック図である。図2の培養装置は、図4では大きなブロック127で示される。各ピンチ弁24,66,72,73,74,75,76,77,103,104、温度センサ106、ヒータ108、ファン65、しごきポンプ37,101、容器移動モータ94,63、培養器駆動モータ29、ピペッタ上下動モータ59、ピペッタ回転動モータ57、ピペッタ上下動モータ90、ピペッタ回転動モータ88、シャッターモータ50、81などは、それぞれI/O 120を介してバス121に接続される。また、CCDカメラ31は、画像取り込みボード250とI/O 120を介してバス121に接続される。バス121には、CPU122、操作卓123、操作器126、メモリ124、コンピュータネットワークドライバ125が接続されている。
図4においては、コンピュータネットワークが外部に配設されており、このコンピュータネットワークに培養装置127及びこれ以外の複数の培養装置128,129が接続され、さらに、このコンピュータネットワークに接続された制御監視装置130によって、これら複数の培養装置127,128、129がそれぞれの離れた所から監視され、制御されるようになっている。制御監視装置130は、汎用のパーソナルコンピュータで対応可能である。なお、コンピュータネットワークの場合は、双方向のデータ通信手段であれば特に限定しない。また、単に培養装置の状態を離れた所から認識する目的ならば、片方向のデータ通信手段で良い。このコンピュータネットワークに接続する培養装置の台数は特に限定しない。複数の培養装置を利用する場合、データ通信手段により接続することにより、通常数週間もの長い時間を要す培養期間中、各培養装置の状態を常に遠隔監視できるので、大規模な培養設備には好適である。
制御監視装置130の機能は、図5において説明する培養装置の動作を逐次監視し、異常時には外部に信号を発する機能を備えたものであり、現時点では公知の技術であるため、その詳細な説明は省略するが、監視機能は各培養装置が担ってもよいし、制御監視装置130が請負ってもよい。例えば制御監視装置130は、時分割で各培養装置の動作を確認し、細胞各培養装置が異常をおこした場合に、当該培養装置を外部に知らしめる方法がもっとも容易である。
図5は培養装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図1〜図5を参照して、培養装置の動作を説明する。なお、図4に示すCPU122、メモリ124、バス121は汎用コンピュータで用いられている技術であるので、以下それらCPU122、メモリ124、バス121の詳細動作は省略し、各アクチュエータの動作のみ説明する。
ステップS51:「スタート」
培養装置127の動作開始であり、操作者が操作卓123の操作器126のスタートスイッチを押すことによってスタートする処理である。また、前述した図4に示すように複数の培養装置と制御監視装置がコンピュータネットワークに接続されている場合は、制御監視装置側でスタートスイッチを押すように構成してもよい。なお、この時点では既に培養器38や、各タンク67,68,69,70,71には薬品が培養装置127にセットされている。
ステップS52:「培地注入」
ピンチ弁72が開放され、しごきポンプ37が動作して、培地タンク67内の培地がチューブ21を通って送液される。送液される培地は、矢印J1、矢印Jの経路を通り培養器38に流れ込み、培養器38で培地17となる。予め設定された量の培地が注入されたら、しごきポンプ37の動作を停止し、ピンチ弁72は閉じる。ここでの培地量の設定値は予めメモリ124に記憶されている。なお、この実施の形態では後述するポンプ101も同様であるが、液料を図る手段を設けずに、ポンプの動作時間において液料を決定している。
ステップS53:「容器52の投入」
操作者が操作器の該当するスイッチを操作すると、シャッターモータ50が動作し、シャッター51が矢印A方向(上昇方向)にスライドする。シャッター51が所定量上昇した後、容器移動モータ63が動作し、ホルダーが矢印B方向(右方向)に移動する。この移動後、操作者は培養前細胞を入れた容器52をホルダー62に置く。その後、容器移動モータ63は上記と逆方向に回転し、ホルダー62は矢印B方向(左方向)に移動する。シャッターモータ50が回転し、シャッター51は矢印A方向(下降方向)に移動して、閉じる。
ステップS54:「ピペッタを駆動させ細胞を培養器38に移送」
容器移動モータ63が小刻みに正逆回転し、容器52内の細胞を懸濁する。詳細は述べないが、ホルダー62内部に容器52を振動させるアクチュエータを備えても良い。この動作と前後して、ピペッタ回転動モータ57が動作し、ピペッタアーム55が回転する。次にピペッタ上下動モータ59が動作し、ピペッタアーム55が下降して、容器52内に針53が挿入する。ピンチ弁66が開放し、しごきポンプ37が動作する。これにより、容器52内の培養前細胞は吸いだされ、細胞は矢印J2→J方向へチューブ56を通って、送液され、チューブ21を通り、培養器38に注入される。この注入終了後、ピンチ弁66は閉じ、またしごきポンプ37は停止する。
ステップS55:「培養器をシャッフリングし、均一化・播種」
モータ28が回転し、培養器38に注入した細胞を均一化・播種のため懸濁する。細胞の均一化・播種は、過度の細胞密度は細胞の変質を招く恐れがあるため、培養を効率高く行うために必要な処理である。なお、培養前細胞の注入が確認された後にモータ28が回転を始めるのではなく、培養細胞が接着依存性細胞(固形物を認識してこの固形物に接着することにより培養する細胞)の場合、培養前細胞が培養器38内部に注入されている最中に、モータ28を回転させた方が良い。なお、ステップS55の次にはステップS56に進む場合とステップS58にジャンプする場合がある。ここではステップS58にジャンプする場合で説明する。
ステップS58:「培養」
このステップでは、培養前細胞は培養に入ることになるが、培養中は、温度センサ106及びヒータ108によりフレーム30内は培養に適した温度(37℃前後)に制御されており、またファン65によってフレーム30内部の大気も攪拌されて、温度ムラがないようにしてある。
ステップS56:「培地を排出」
このステップは、ステップS58を実行する前に適宜に実行できるステップであり、ピンチ弁24と、ピンチ弁104が開放され、しごきポンプ101が動作して、培養器38内の培地17がチューブ23を通って、廃液タンク102に培地が送液(排出)される。送液(排出)完了後、しごきポンプ101が停止し、ピンチ弁24と、ピンチ弁104は閉じる。
ステップS57:「新しい培地を注入」
このステップも同様にステップ6を実行する前に適宜に実行できるステップであり、ピンチ弁72が開放し、しごきポンプ37を動作させ、培養器38内に新しい培地が注入される。この培地の注入後、ピンチ弁72は閉じ、しごきポンプ37は停止する。
ステップS59:「継代のタイミングか?」
上記培養中において、予め時間を決めておいてもよいし、操作卓にスイッチを設けて、術者が動作を指示するようにしてもよいが、次のように画像を利用すると細胞の品質安定化に寄与する。すなわち、適宜に光源34が発光し、CCDカメラ31が培養器38内で培養されている細胞の画像を取得する。培養初期段階の細胞は多くの箇所で密度が非常に低く、部分的に密な状態(コロニー)を形成する場合が多い。そのコロニーを培養器駆動モータ28の動作によりCCDカメラ31が捉え、計測する。このコロニー部分の細胞がコンフルエントに到達していなければ、引き続き培養される。コンフルエントか否かの判断は、後述するステップS60の細胞数カウントと同じでよい。その時必要であれば、ステップS56とす57の処理を行なってからステップS58に進む。また、コンフルエントに到達していれば、継代のタイミングということになり、次のステップS60に進む。
ステップS60:「目標の細胞数か?」
CCDカメラ31からの情報を元に細胞数をカウント又は演算する。その結果として、細胞数が予め操作者が設定した値に達していれば、ステップS68に進み、目標細胞数に達していなければ、ステップS61に進む。
ステップS61:「培地を排出」
ステップS61〜ステップS67の処理は、細胞数が予め操作者が設定した値に達していなかった場合に実行される処理である。まず、このステップでは、ピンチ弁24とピンチ弁104が開放され、しごきポンプ101が動作して、培養器38内の培地17がチューブ23を通って、廃液タンク102に培地が送液(排出)される。送液(排出)完了後に、しごきポンプ101が停止し、ピンチ弁24と、ピンチ弁104は閉じる。
ステップS62:「培養器を緩衝液で洗浄」
ピンチ弁105が開放し、しごきポンプ37が動作して、緩衝液タンク68から緩衝液が培養器38に注入される。注入後、ピンチ弁105が閉じ、しごきポンプ37が停止する。培養器駆動モータ28が回転し、培養器38を回動させ緩衝液を培養器底面に行き渡らせる。その後、ピンチ弁24が開放し、しごきポンプ101が動作して、廃液タンク102に培養器38内の緩衝液を送液する。
ステップS63:「細胞剥離剤を注入」
ピンチ弁73が開放され、しごきポンプ37が動作し、細胞剥離剤タンク69から細胞剥離剤が培養器38に注入される。注入後、ピンチ弁73が閉じ、しごきポンプ37が停止する。培養器駆動モータ28が回転し、細胞剥離剤を培養器底面に行き渡らせる。
ステップS64:「中和剤を注入」
ここでは中和剤を培地としている。上述の細胞剥離剤としては様々なものが利用されているが、ここでは培地には血清が含まれるものとして、この血清により中和される細胞剥離剤を想定している。従って、動作としては、上述のステップS52と同様で、ピンチ弁74を開放してタンク70から中和剤が注入される。
ステップS65:「培養器をシャッフリングし、均一化・播種」
ステップS55と同一の処理が行なわれる。すなわち、モータ28が回転し、培養器38に注入した細胞を均一化・播種のため懸濁する。そして、所定時間経過後すなわち細胞が接着した後に、次のステップS66に進む。
ステップS66:「中和された細胞剥離剤を排出」
ピンチ弁24とピンチ弁104が開放され、しごきポンプ101が動102に培地が送液(排出)される。送液(排出)完了後に、しごきポンプ101が停止し、ピンチ弁24と、ピンチ弁104が閉じる。
ステップS67:「新しい培地注入」
ステップS52と同一の処理が行なわれる。すなわち、ピンチ弁72が開放され、しごきポンプ37が動作して、培地タンク67内の培地がチューブ21を通って送液される。送液される培地は、矢印J1、矢印Jの経路を通り培養器38に流れ込み、培養器38で培地17となる。予め設定された量の培地が注入されたら、しごきポンプ37の動作を停止し、ピンチ弁72は閉じる。
ステップS68〜ステップS71の処理は、細胞数が予め操作者が設定した値に達していた場合に実行される処理であり、上述のステップS61〜ステップS64の処理と同じである。
ステップS68:「培地を排出」
ステップS61と同一の処理が行なわれる。すなわち、ピンチ弁24とピンチ弁104が開放され、しごきポンプ101が動作して、培養器38内の培地17がチューブ23を通って、廃液タンク102に培地が送液(排出)される。送液(排出)完了後に、しごきポンプ101が停止し、ピンチ弁24と、ピンチ弁104は閉じる。
ステップS69:「培養器を緩衝液で洗浄」
ステップS62と同一の処理が行なわれる。すなわち、ピンチ弁105が開放し、しごきポンプ37が動作して、緩衝液タンク68から緩衝液が培養器38に注入される。注入後、ピンチ弁105が閉じ、しごきポンプ37が停止する。培養器駆動モータ28が回転し、培養器38を回動させ緩衝液を培養器底面に行き渡らせる。その後、ピンチ弁24が開放し、しごきポンプ101が動作して、廃液タンク102に培養器38内の緩衝液を送液する。
ステップS70:「細胞剥離剤を注入」
ステップS63と同一の処理が行なわれる。すなわち、ピンチ弁73が開放され、しごきポンプ37が動作し、細胞剥離剤タンク69から細胞剥離剤が培養器38に注入される。注入後、ピンチ弁73が閉じ、しごきポンプ37が停止する。培養器駆動モータ28が回転し、細胞剥離剤を培養器底面に行き渡らせる。
ステップS71:「中和剤を注入」
ステップS64と同一の処理が行なわれる。すなわち、ピンチ弁74を開放してタンク70から中和剤が注入される。そして、所定時間経過後すなわち細胞が接着した後に、次のステップS72に進む。
ステップS72:「中和された細胞剥離剤を排出」
ステップ66と同一の処理が行なわれる。すなわち、ピンチ弁24とピンチ弁104が開放され、しごきポンプ101が動102に培地が送液(排出)される。送液(排出)完了後に、しごきポンプ101が停止し、ピンチ弁24と、ピンチ弁104が閉じる。
ステップS73:「ピペッタを駆動させ細胞を容器に移送」
ピペッタ回転動モータ88が動作し、ピペッタアーム85を回転させる。次にピペッタ上下動モータ90が動作し、ピペターアーム85が下降して、容器84内に針83が挿入される。ピンチ弁24、103が開放し、しごきポンプ101が動作する。これにより、培養器38内の培養後細胞は吸いだされ、細胞は矢印P1方向にチューブ23を通って、送液(移送)される。そして、チューブ86を通り、細胞保管容器84に注入される。
ステップS74:「細胞保管容器を装置外に搬出」
シャッターモータ81が動作し、シャッター82が上昇する。所定量上昇後、容器移動モータ94が動作し、ホルダーが矢印G方向に移動する。これによって、操作者は培養された細胞が入った細胞保管容器84を取得できる。
ステップS75:「終了」
操作者は培養前と比較し、コンタミネーションのない純粋な培養細胞が入った容器84を取得することができる。なお、上記ステップS53にて、容器52に入れた培養前細胞が骨髄液に含まれる細胞である場合、目的とする細胞以外の不要な細胞(血液関係の細胞)を取り除くために、ステップS62,ステップS63,ステップS64,ステップS66をステップS56とステップS57との間に入れるとよい。
図6は、図5のステップS55の「培養器をシャッフリングし、均一化・播種」の動作の一例を示す図である。培養器38は、この図6(a)に示すように正逆回転を繰り返す。例えば、正方向1回、逆方向1回、最後の正方向1回の停止時にはゆっくりと停止させるようにする。すなわち、最初の加速時間と減速時間(t1,t2,t3,t4,t5)を短くすることにより、培養器38の培地17は激しく波打ち、懸濁状態になる。さらに、最後の動作の減速時間(t6)を長く取ることにより、培地はその慣性により円周方向に流れを継続しながら、その速度を落とし、やがて停止する。これにより細胞は均等に播かれるようになる。なお、最後の減速時間(t6)をS字曲線にしても良い。
図6(b)は細胞の播種状態を示すシミュレーション結果の概略スケッチ図である。色の濃い中心付近の箇所(内周部S2)は、最後の動作(減速時間t6)にて、流れの接線速度が低いので比較的細胞が凝集している様子が示され、外周部S1は、細胞が薄く播かれている様子が示されている。なお、正逆回転の繰り返し数、回転速度、角加速度(t1,t2,t3,t4,t5,t6)は、特に限定せず、条件によって培養器38の前面にわたり、均等に細胞を播くこともできる。しかし、例えば、上述のように中心付近に細胞を凝集する動作を故意に実現することで、その部分のみ画像観察することによりコンフルエントのタイミング判定には都合がよくなることもある。すなわち、培養器38の全面にわたり観察する必要がなくなり、また過度に培養することで細胞の品質を損なうことがなくなる。また、密度に応じて増殖しやすくなる細胞種を培養する場合において、このような密度制御は好適である。
図7は、上述の実施の形態に係る培養装置の培養器38の第1の変形例を示す図であり、図7(A)は、上面から見て図を、図7(B)はその側面図を示す。例えば、4つの培養器170a〜170dをロータ22に回転中心が4つの培養器170a〜170dの中心となるように乗せる。この図の培養器170a〜170dは、概ね同一の円柱形状に形成されており、各培養器170a〜170dのチューブ接続部材174a〜174dはチューブ171によって接続されている。なお、図7(B)では、培養器170a,170cを省略してある。このチューブ171は、図2のチューブ21と同一機能を果たすものである。チューブ接続部材175a〜175dは、古い培地を排出するものである。ここでは、培養器170a〜174dは4ヶとしたが、特に4ヶに限定せず、2ヶ,3ヶ,6ヶと自由に選択してもよい。また、培養器を重ねて配置しても良い。この図7のように培養器を複数に分けることにより、培養面積を自由に変更できる。これにより、細胞が接着系の細胞(例えば間葉系幹細胞)では、培養可能な細胞数は面積と比例関係にある場合が多く、培養における細胞数の調整が可能となる。なお、動作は図5の処理フローと同一であり、矢印Mの様にシャッフリングすることにより、培養器170a〜174d内の培地は矢印Qの方向に最終的に流れることになって、培養器170a〜174d内の細胞は均一に播かれることになる。
図8は、上述の実施の形態に係る培養装置の培養器38の第2の変形例を示す図である。細胞は培養時、その細胞種によって異なるが、概ねコロニー状に増える。従って、コンフルエントになったら、より広い面積の、比較的清浄な面に播種、つまり継代することが必要である。図8(A)に示す培養器167,168,169は、このような特性が顕著な場合の培養に適用して好適な培養器の一例である。培養器167は、概ね円形のシャーレ構造をしており、その上面には図2の供給チューブ21と同じ機能の供給チューブ182が接続される。培養器168は、培養器167とほぼ同じ外囲器構造をしているが、内部に培養補助板189が1枚設けられている。培養器169は、培養器167とほぼ同じ外囲器構造をしているが、内部に培養補助板191,192が2枚設けられている。この培養器169の底面には廃液チューブ185が接続される。各々の培養器167,168,169は接続チューブ183,184でそれぞれ接続され、その途中に設けられたピンチ弁186,187,188によって送液が制御される。こられの培養器167,168,169とピンチ弁186,187,188とが、図2に示すロータ22に固定される。図8(B)は、各培養器167,168,169の回転中心軸との位置関係を示す図であり、図に示すように回転中心軸Tより大幅にずらしてもよく、矢印Rにて示す方向にシャッフリングすることにより培養器167,168,169内の細胞は均一に播かれることになる。
図8の培養器167,168,169を用いた培養装置の動作は、前述までの培養器と大きな差異はないが、培養器が3ヶとなり、またピンチ弁が2ヶ増えている。
図9は、図8の培養器を用いた培養装置の動作を説明するためのフローチャートである。図8の培養器を用いた動作は、図5と動作が似ているので図5との相違点について説明する。図9において、図5と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。
図5にて説明した動作は、継代時に培地を排出(ステップS61)、培養器を緩衝液で洗浄(ステップS62)、細胞剥離剤を注入(ステップS63)、中和剤を注入(ステップS64)、培養器をシャッフリングし、均一化・播種(ステップS65)、中和された細胞剥離剤を排出(ステップS66)、新しい培地を注入(ステップS67)であった。すなわち、継代時には新しい培養器に移し変えることなく、コロニー状に増えた細胞をその場所で培養器をシャッフリングすることにより均等に播種し、再度目標の細胞になるまで培養するというものであった。これに対して、図8の培養器ではステップS64の後に、ステップS90の「下段の培養器に播種」という処理を実行している。
すなわち、培養器167でコンフルエントになると、その下の培養器168に細胞を送液により移し変える。そして、この培養器168でコンフルエントになると、その下の培養器169に細胞を送液により移し変える。各々の培養器に注入する培地量は、継代毎に培地量を多くし、培養補助板での培養ができるようにする。すなわち、初回の培養において培地量は、培養器167において培養器本体180の底面のみ培養する量とする。1回の継代後の培養は、培養器168において培養補助板189が漬かる程度の培地量とする。これにより、細胞は培養器本体180と、培養補助板189の両方で培養できるようになる。2回の継代後の培養は、培養器197において培養補助板190と培養補助板191が漬かる程度の培地量とする。これにより、細胞は培養器本体180と、培養補助板190と、培養補助板191の3枚で培養できるようになる。培養補助板が漬かる量とすることで、培養器168は培養器167に対して約2倍、培養器169は培養器167に対して約3倍となる。
次に、ピンチ弁の動作を説明する。
(1)初回の培養:培地、緩衝液、細胞剥離剤、中和剤を排出する時にピンチ弁186,187,188を開放する。
(2)継代1回後の培養:培地、緩衝液、細胞剥離剤、中和剤を注入する時にピンチ弁186を開放する。また、培地、緩衝液、細胞剥離剤、中和剤を排出する時にはピンチ弁187,188を開閉する。
(3)継代2回後の培養:培地、緩衝液、細胞剥離剤、中和剤を注入する時にピンチ弁186,187を開放する。また、培地、緩衝液、細胞剥離剤、中和剤を排出する時にはピンチ弁188を開閉する。
上述の実施の形態においては、培養器の個数、各培養器の形や大きさなどは限定されるものでなくなく、楕円や矩形としてもよく、各々の大きさを変えてもよい。また、培養補助板の枚数も1枚や2枚に限定されるものではない。図8の実施の形態においては、培養器は全体的に小型化でき、しいては装置の小型化を実現することが可能である。なお、図8においては、複数の鏡278,279,282,283,284,285が各培養器167〜169間に配置されている。これらの鏡は光源281から出射した光をCCDカメラ280で受けるためのものである。光源281の直前にはフィルター286が設けられている。CCDカメラ280、光源281、フィルター286は、ユニット288のように一体化されており、図示を省略してある駆動機構(例えば、モータと送りねじで構成)により矢印V方向に移動することができるようになっている。このユニット288を矢印V方向に移動することによって、培養器が多層構造となっていても、CCDカメラ280と鏡278,279,282,283,284,285を利用し、横から培養器167〜169の観察ができるようになっている。これらの鏡278,279,282,283,284,285は、図において横方向(X軸方向)に移動して、培養器内を走査可能としてもよい。
図10は、上述の実施の形態に係る培養装置の培養器38の第3の変形例を示す断面図である。図10の培養器が図8の培養器と異なる点は、継代時に新しい培養器に移し変えることなく、図2に示す培養器38と同様に扱えるようにした点である。構造的には、概ね円形のシャーレ構造をしており、上面には図2の供給チューブ21と同じ機能の供給チューブ197が接続されている。培養器本体195には蓋199が被され、その内部には培養補助板201,202が2枚設けられている。動作の概要は、図8と同じであるが、継代毎に培地量を多くし、培養補助板での培養ができるようにしてある。すなわち、初回の培養において培地量は、培養器本体195の底面のみである。1回の継代後の培養は、培養補助板201が漬かる程度の培地量とする。これにより、細胞は培養器本体195と、培養補助板201の両方で培養できるようになる。2回の継代後の培養は、培養補助板202が漬かる程度の培地量とする。これにより、細胞は培養器本体195と、培養補助板201と、培養補助板202の3枚で培養できるようになる。これによって、図2の培養器38と比べて、図8と同様に小型化を実現できる。以上の説明において、培養器の個数や各培養器の形や大きさなどは限定されるものではなく、楕円や矩形としてもよく、各々の大きさを種々変えてもよい。また、培養補助板の枚数も2枚に限定されるものではない。図10に示す実施の形態によれば、培養器を全体的に一層小型化でき、しいては装置の小型化を実現することができる。
図11は、細胞を均一に播種する手法の一例を示す図である。この手法は、上述の実施の形態の培養器に適用することによって好適な効果を生むものである。図11(A)において、培養器本体300には、培養器本体の蓋301が設けられ、その上面側に供給用チューブ接続部材302が設けられ、下面側に磁石307,308,309,310が設けられている。傾斜部381は、供給用チューブ接続部材302から供給される液体の落下の衝撃を和らげて細胞へのダメージを防ぐものである。これら磁石307,308,309,310は、図2においてフレーム30に固定される。球状部材303,304,305,306は、培養器本体300(図2の培養器38と同一)の中に入れられるものであり、球状磁性材の表面に細胞に対して無毒性の高分子プラスチック、セラミック、チタンなどがコーティングされたものである。培養器300が回転するとそれに伴い球状部材303,304,305,306も培養器本体300内を転がり、内部の培地を攪拌するようになり、細胞の均一播種が可能になる。図11(B)は、培養器本体312に培養器本体の蓋313が設けられ、その上面側に供給用チューブ接続部材314が設けら、下面側に棒状部材315が設けられている。棒状部材315は、培養器本体300(図2の培養器38と同一)の中に入れられるものであり、棒状の磁性材の表面に細胞に対して無毒性の高分子プラスチック、セラミック、チタンなどがコーティングされたものである。図11(B)の棒状部材315を用いた場合も、図11(B)と同様の効果を奏する。
図12は、上述の実施の形態における培養器とチューブの接続方法の一例を示す図である。図2では培養器、チューブ、リザーバタンクなどは予め接続されているものとして説明したが、ここでは途中で切断されたチューブを供給用チューブ接続部材に接続して培養している。培養器325(図2の培養器38と同一)には供給チューブ320と廃液チューブ326が接続されている。それぞれのチューブ320,326の切断部には、例えばゴムのような柔軟材からなる栓321,327が挿入されている。実際に培養に入る前に、針322,328を有した供給チューブ323と廃液チューブ329を接続する。なお、針322,328を刺す前に栓321,327をアルコールなどで滅菌するとよい。このようにすることにより、長いチューブが接続された培養器を装置にセットする際にチューブの取り回しが楽になり、操作性が上がる。なお、培養前細胞を注入する際、シリンジ324を使えば、直接培養器325に細胞を入れることができる。また、途中で切断された供給チューブ323と廃液チューブ329を培養器325に予め接続せずに、直接ゴム栓321,327をチューブ接続部材に取り付けても良い。
図13は、上述の実施の形態における培養装置の一部の滅菌法を示す図である。この滅菌法では、培養器38と各タンク71,70,69,68,67,102とがそれぞれチューブによって接続され、そのままの状態で滅菌バッグに矢印Sに示すように丸ごと封入され、ガンマ線などからの滅菌に供するようになっている。滅菌バッグ340は、外気との接触を防ぐ材質で作られたものであり、一般に利用されているもので良い。このように細胞に触れるものは全て滅菌することにより、培養中はチューブを外さなくてすむことから、コンタミネーションのリスクは皆無となる。なお、図2において、液面検出手段33bは、光又は超音波を用いた培養器38の液面高さを検出するものである。ポンプやピンチ弁が動作不良を起こした場合、液面高さが設定値から逸脱するがこのような場合、外部に警報を出すようになっている。
図14は、本発明を適用してなる培養装置の別の実施の形態に係る機構部の詳細図を示す図である。この培養装置は、基本的には図2のものと同じ構成をしている。従って、図14において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は簡略化する。
培養器140は、図2の培養器38と同様に底面には細胞が接着してそこで培養が行なわれる。培養器140は、培養器本体と蓋部材とからなる。培養器140は、培養中の細胞について顕微鏡などで観察できることが必要であることから透明な材質が好ましく、また毒性のないものである必要がある。これらのことから材質としては、ポリスチレン(PS)やポリエチレンテレフタレート(PET)材が好ましい。この蓋部材には、薬品注入及び排出のための3つの第1ポート141、第2ポート142、第3ポート143が設けられている。
第1ポート141は、培地などの薬品や培養後の細胞の排出用ポートである。第1ポート142には廃液チューブ141bが接続され、培地を排出するためのしごきポンプ144,145が配され、培地を排出できるように構成されている。第2ポート142は、培地などの薬品や培養前の細胞を供給するためのポートである。この第2ポート142には供給チューブ142bが接続され、第1ポート141と同様にしごきポンプ146,147が配されている。第3ポート143は、培養器140内部への大気吸入用ポートであり、その外側にはチューブ143aを介してエアーフィルター143bが接続されている。この第3ポート143は、培養器140内部への空気吸入ポートであり、この目的を実現するものであれば、特にポートを備えなくてもよい。図14の培養装置では、培養器140を保持する保持リング148の底面側にフック149を引っかけ、それをレバー150及びチルトモータ151で持ち上げることによって、培養器140全体を傾斜するようにしている。
培養器140は、保温箱(インキュベータ)160内のロータ153に固定された保持リング148に保持されており、このロータ153は、保温箱160の上部に設けられた培養器駆動モータ29aの出力軸に連結され、矢印E方向に回転駆動されるように構成されている。図14は、ロータ153が時計回り(左方向)に旋回して保持リング148及び培養器140が保温箱160の左側に移動した状態を示す。従って、この状態からロータ153は半時計回り(右方向)に旋回することによって、保持リング148及び培養器140は図面上の手前を通過して保温箱160の右側に移動することになる。保温箱160は、従来のように2重箱構造をとらずに、また気密をほとんど考慮しなくて済む簡易な方法で構成されたものである。この保温箱160の詳細構成について後述する。
供給チューブ142bの一端は、培養器140の外周付近に設けられた第2ポート142に接続されている。この供給チューブ142bは、保温箱160内部のロータ153上方に設けられ、ロータ153の旋回に応じて内部を自由に動くようになっている。供給チューブ142bの他端は、加温バッグ170に接続されている。加温バッグ170は、供給チューブ142bを通過する媒体の温度を4度から約20度に加温するものであり、背面に加温用ヒータ171を備えている。なお、加温バッグ170は、液体の温度を上げることができれば、その形状は限定されない。チューブをスパイラル状に巻いたものでもよい。この加温バッグ170を媒体が通過する時には、ポンプ146,147、ピンチ弁147aを制御し、媒体を一時滞留させる。
供給チューブ142cの一端は、加温バッグ170に接続され、他端はピンチ弁172を介して保温箱160内に挿入され、その端部にエアーフィルター173が設けられている。このエアーフィルター173、供給チューブ142c、加温バッグ170、供給チューブ142b、第3ポート143、チューブ143a、エアーフィルター143bによって空気循環経路が形成されている。すなわち、しごきポンプ146,147が回転して、供給チューブ142b,142c内のエアーを送出することによって、培養器140内のエアーを循環させるようになっている。
廃液チューブ141bの一端は、培養器140の外周付近に設けられた第1ポート141に接続されている。この廃液チューブ141bは、保温箱160内部のロータ153上方に設けられ、ロータ153の旋回に応じて内部を自由に動くようになっている。廃液チューブ141bは、途中で二股に分岐され、それぞれの経路を介して廃液タンク102又は培養後細胞を貯留する容器84に送液されるようになっている。すなわち、廃液チューブ141bの分岐した一方は、ピンチ弁176、ペーハー測定部177、しごきポンプ145、ピンチ弁178を介して廃液タンク102に接続され、他方はピンチ弁174、しごきポンプ144を介して廃液タンク102又はピンチ弁174、しごきポンプ144、ピンチ弁175を介して容器84に接続されている。
細胞の老廃物が溶出し、培地中の栄養素が少なくなることによって生成される古い培地は、しごきポンプ144により廃液チューブ141bを通って、廃液回収箱内の廃液タンク102に貯留される。一方、廃液のペーハーを測定するために、古い培地は、しごきポンプ145により廃液チューブ141bを通って、ペーハー測定部177を通過して、同じく廃液タンク102に送液される。
図15は、図14で使用される培養器の詳細を示す図である。培養器140は、培養器本体140aと、蓋部材140bとからなる。この蓋部材140bには、薬品注入及び排出のための3つの第1ポート141、第2ポート142及び第3ポート143が設けられており、それぞれのポートに廃液チューブ141b、供給チューブ142b及びチューブ143aが接続されている。
図16は、培養器における第1ポート141、第2ポート142、第3ポート143の詳細を示す図である。なお、図示を明確にするため断面図のように明示しているが、正確な位置関係は後述する図17に示すようになっている。第1ポート141は、培地などの薬品や培養後の細胞の排出用ポートである。この第1ポート141には、培養器140内部に突出するよう管部材141aが設けられる。この管部材141aは、その先端部が培養器本体140aの底面に触れても培地140cを吸引できるよう斜めにカットしてある。
第1ポート142の外側には廃液チューブ141bが接続され、培地を排出するためのしごきポンプ144,145が配され、培地140cを排出できるように構成されている。第2ポート142は、培地140cなどの薬品や培養前の細胞を供給するためのポートである。この第2ポート142の外側には供給チューブ142bが接続され、第1ポート141と同様にしごきポンプ146,147が配されている。
第3ポート143は、培養器140内部への大気吸入用ポートであり、その外側にはチューブ143aを介してエアーフィルター143bが接続されている。このエアーフィルター143bは、微粒子や菌などが培養器140内部へ侵入するのを防止する役目を負い、0.5μm程度の孔径を有したフィルターが内封されて構成されたものである。この孔径は、菌の侵入を完全にシャットアウトするならば0.2μmが望ましい。なお、チューブ143aの先端にエアーフィルター143bと同様のフィルターを接続し、しごきポンプにより空気を培養器140内部に送るようにしてもよい。この場合、培養器140内部に積極的に空気を送ることができる。
なお、この第3ポート143は、培養器140内部への空気吸入ポートであり、この目的を実現するものであれば、特にポートを備えなくてもよい。例えば蓋部材の一部を切り欠き、ガス透過膜を貼り付けてもよい。また、培養器140内部に板材を備え、底面積を増加させる構造を取ることもできる。このようにすることにより、底面に接着し単一層で増殖する接着(足場)依存性細胞の場合、増殖させる細胞数を増やすことが可能になる。
図17は、図15の一部断面を示す図であり、培養器内の培地を排出する場合を示す図である。培養器140内部に突出する管部材141aがある方に対して、管部材141aがない方を相対的に上昇させ、水平面に対して角度θ゜だけ傾斜させ、管部材141aから培養器140内部の培地140cなどの液体を吸引することにより、培養器140の蓋部材140bを開けずに内部の培地140cや細胞140dを排出することが可能になる。管部材141aがある方に対して、管部材20がない方を相対的に上昇させる機構は特に限定しないが、図14の培養装置では、培養器140を保持する保持リング148の底面側であって、管部材141aが存在しない方の保持リング148にフック149を引っかけ、それをレバー150及びチルトモータ151で持ち上げることによって、培養器140全体を傾斜するようにしている。すなわち、管部材141aがある方に支点軸を設け、管部材141aがない方を引き上げるような傾動動作機構によって実現してもよいし、手作業で行なうようにしても良い。なお、図2にて説明したように、液面検出手段33bは、光又は超音波を用いた培養器140の液面高さを検出するものである。ポンプやピンチ弁が動作不良を起こした場合、液面高さが設定値から逸脱するがこのような場合、外部に警報を出すようになっている。
図18は、図14の培養装置の保温箱16の制御ブロックを示す図であり、図4の中から説明に必要な部分を抜き出し、他は省略して示したものである。図18において、図4と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この制御ブロックにおいて、操作卓22は、動作スイッチや温度設定スイッチなどを備えている。制御部11には、ヒータ160g〜160jと、培養器駆動モータ29aと、温度センサ106が接続されている。温度センサ106は、熱伝対などの公知技術を用いた温度センサでよい。
この制御ブロックの動作を説明する。操作者は操作卓22の動作スイッチや温度設定スイッチを操作すると、制御部11は温度センサ106の温度データを取り込み、設定温度と比較して、その差に応じた電力をヒータ160g〜160jに与える。温度データの取り込みや設定温度との比較は適時行い、保温箱160内部の温度が設定温度と等しいか、もしくはそれより大きくなった場合、ヒータ160g〜160jに与える電力を下げる。一方、温度が上昇したヒータ160g〜160jの熱量は、熱拡散板160e,160fを伝わり、保温箱160の内部を暖めるが、第1の断熱材160cよりも第2の断熱材160dの方が伝熱量が小さいので、ヒータ160g〜160jの熱量の多くは保温箱160の内部を加温することに寄与する。なお、培養器駆動モータ29aは、培養器140内部の細胞を均等に播くために回転動作をするためのものである。
この実施の形態によれば、従来の2重箱構造をとらずに、また気密をほとんど考慮しなくて済む簡易な方法や構成で保温箱を構成できる。また、第1の断熱材160cを伝わる熱量は、第2の断熱材160dを伝わる熱量よりも小であるようにすることにより、加温のためのエネルギーを抑制できる。また、熱拡散板160e,160fは、培養器140の培養面と垂直方向の重なる面には、切り欠きを形成することにより、培養器への直接的な輻射熱を抑えることができ、保温箱のみならず培養器内部の温度をより一定化することができる。
通常、培養細胞中において、コロニーの有無またはその大きさを確認するには、細胞を染色して肉眼で確認したり、カメラで撮影した画像に対して画像処理を施すことによって確認していた。カメラを用いてコロニーを撮影する際は、たとえば、特開2001−275659号公報に記載されているように、培養器全体が一時に撮影できるような広い画角を持った低倍率のレンズを使用していた。このように培養器全体を低倍率広画角のレンズを使ったカメラで撮影することによってコロニーの有無を迅速に確認していた。
しかし、培養細胞中にコロニーが小さかったり、カメラの解像度が低い場合などには、コロニーを明瞭に描出できないことがあった。また、コロニーの有無とサイズを確認した後、任意のコロニー内の細胞を撮影するには、より高い倍率のレンズを別途用意しなければならなかった。このような場合に、低倍率のレンズで確認された位置精度の低い画像から目標位置を探し出して、高倍率レンズでの撮影のためカメラまたは培養器をその位置に移動するのは大変に手間のかかる作業であった。
そこで、この実施の形態では、細胞を培養する際に、コロニーの有無とそのサイズ確認という作業と、コロニー内の細胞の培養経過の詳細な観察という作業とを同時に行なうことができ、さらに、作業間の切り替えをするにあたり、外部からのコンタミネーションを排除し、培養状態の観察にあたり、培養細胞へのダメージを極力排除することができるようなカメラ撮影システムを採用した。
図19は、カメラ撮影システムに概略構成を示すブロック図である。カメラ撮影システム310は、保温箱160内の培養器140を撮影するCCDカメラ31から得られる画像データに種々の処理を施して細胞などを確認できるように表示するものであり、コンバータ311、画像処理ユニット312、モータコントローラ313及びカメラ・培養器駆動装置314から構成される。培養器140とCCDカメラ31との位置関係は、図14に示す通りであり、保温箱160の上側に設けられた光源34aからの光を保温箱160の下側に設けられた観察窓32aを介してCCDカメラ31aで撮影する。図1の培養装置の場合にも同様の位置関係にあるものとする。
コンバータ311は、CCDカメラ31で撮影された画像データを画像処理ユニット14に転送するための電気信号に変換するものである。画像処理ユニット14は、コンバータ311から入力された電気信号に種々の処理を加えて、細胞を視認し易い画像に変換する。モータコントローラ313は、画像処理された画像に基づいてCCDカメラ31と培養器140との相対的な位置関係を所望の関係に制御するものであり、カメラ・培養器駆動装置314は、CCDカメラ31と培養器12をその所望の関係となるように移動するものである。
図20は、図14の中におけるカメラ撮影システムに関係する部分を抽出して模式的に示す図である。すなわち、この図は、CCDカメラ31と培養器140との相対的な位置関係を制御する場合の最も典型的な制御機構を示す図である。保温箱160内に培養器140が固定的に存在する場合に、この培養器140に対してCCDカメラ31を移動させて、両者の相対的な位置関係を制御している。なお、図1に示すようにCCDカメラ31が固定的に設けられ、培養器140(又は内部の鏡)が移動するようにしてもよいし、図14に示すように両者が同時に移動するようにしてもよい。
図20では、保温箱160の中にCCDカメラ31と、培養器140と、CCDカメラ31の移動用ガイド315とが閉鎖的に内含される場合を図示している。これ以外に、培養器140内の細胞に光をあてる照明装置となる光源34、カメラ・培養器駆動装置314によって駆動されるモーター29a、画像信号を電気信号に変換するコンバータ311などを保温箱160の中に内含していてもよい。
培養器140は、培養に通常使用されるフラスコや培養皿であってもよいし、特願2002−180120号公報、特願2003−027710号公報又は特願2003−420510号公報のような構成のものであってもよい。
CCDカメラ31は光学的な撮像装置であれば、CCDでもよいしCMOSでもよいし、そのほか電気的、電子的、あるいは光学的な信号を取得できるものであれば何でもよい。CCDカメラ31にはレンズ316が取り付け可能であり、レンズ316は交換式でもあるいは据付式でもよい。CCDカメラのレンズ交換マウントとして、例えば通称Cマウントと呼ばれるネジ式のマウントの他、バヨネット式のものも適用可能である。レンズ据付式であれば、カメラ内へのごみやほこりや湿気の混入をより避けることが可能で、撮影画像にこれらが映りこむ危険を減らすことができるとともに、これらが保温箱160内にもれてコンタミネーションを生じる危険も回避することができる。
なお、レンズの交換は必須ではないために安価でコンタミ招来の危険性の少なく密封性の高いレンズ固定式のカメラが使用可能である。また、レンズ316は、比較的高い倍率で視野が広くないものを使用する。これ以降、倍率といえば、カメラの撮像素子サイズとレンズの焦点距離と撮影距離によって決まる撮影倍率のことをいうものとする。また、視野範囲も同様にカメラの撮像素子サイズとカメラの絞りないしはシャッター開口径とレンズの画角によって決まるものをいう。
図20では、照明装置は図示していないが、培養器を透明にしてその裏側から照射する透過光を撮影する方式やカメラ側から光を当てて反射光を撮影する方式などがある。透過光方式であれば、照明装置は培養器の下部に配置する。このとき必ずしも保温箱160内におく必要はなく、保温箱160の下部を光透過性のある構成とすれば、保温箱160の外側においてもよい。保温箱160の外においておけば、万が一の故障や玉切れなどの際に、コンタミネーションの危険を冒さずに修理交換できる。
また、光源は、培養する細胞にとって有害な波長成分を有さないものがよい。例えば、紫外線は細胞のDNAに損傷を与えたり、紫外線誘発アポトーシスを惹起し、結果的に細胞の癌化の原因となると言われている。したがって、通常の細胞を培養するときは、光源としてそのような成分を含むことは避けなければならない。
また、赤外線は熱を生じるために細胞にとってストレスとなりうる。逆に、特定の波長の光が細胞を活性化することもあるので、積極的に光源の波長が培養に有利なものとなるよう制御することもできる。光源の波長やその成分比は、培養する細胞やその目的に合わせて変更できるようにしておくことが望ましい。具体的には、光源と培養器の間にフィルターを介在させることで上記のように細胞の培養に好ましくない紫外線成分を遮断させたり、単色性の強いLEDなどの光源を複数用意しておき選択的にオンオフすることでも任意の波長成分を含んだ光源の作成が可能である。あるいは3波長蛍光管とフィルターを併用することでも波長の選択が可能である。
また、反射光式の場合も、透過光式と同様に、光源は保温箱160内にあっても外にあってもよい。 保温箱160内にあれば細胞との距離が短いため光源への供給電力が少なくて済む反面、光強度が強すぎて細胞にダメージを与えたり、光が十分拡散しないため画像に明度のむらを生じることもある。保温箱160の外にあれば、透過光式のところで説明したのと同じ理由でコンタミネーションの機会を減少できるとともに、光源の保守が容易となる反面、照明からの光がカメラによって遮られるために画像に明度のむらの生じることもある。このような場合には、保温箱内にレンズ周りを取り囲むようなリングライトを使用することもできる。あるいは、特に照明装置を設けずに保温箱外の部屋の照明で細胞を照らすことも可能である。この場合も、光源の波長についてはすでに透過光方式のところで説明したとおりである。
なお、透過光の場合は光が細胞表面に回りこみにくいために、培養細胞の下にフィーダー細胞が存在するときなどは、細胞表面が確認しにくい場合が生じる。このような場合には、反射光方式を併用するとよい。照明装置は、波長だけでなくその光量や照射角度などを調整可能なものとすれば、撮影画像をより高画質にすることができる。
カメラ・培養器駆動装置314は、図20に示すように保温箱160内に配置されているものとして説明する。図20では、CCDカメラ31と、これを支えるスタンド317、このスタンド317を支えるためのベースとなる台車318がレール315上を直線移動するようになっている。台車318には動力伝達部319を介してモーター320aが取り付けられている。このモーター320aを駆動回転することで、動力伝達部319を経由して台車318を直線移動させることができる。
このように図20では、カメラ・培養器駆動装置314は、モーター320a、台車3189、およびレール315から構成されているが、図14では、培養器駆動モータ29a、レール34b,31b、ローラ34c,34d,31c,31dなどで構成され、培養器140が旋回移動し、CCDカメラ31が直線移動して、両者の相対的な位置関係を調節している。
モーター320aは、モーターコントローラ313からの指示を受けて、培養器140の表面との距離をほぼ一定に保ちながら、その表面を2次元的に走査するように駆動しいてる。そして、この走査と同時にCCDカメラ31で撮影することによって、培養器140の全面を画像化することができる。
図21は、CCDカメラの走査の様子を示す図である。図21(a)は、培養器140の形状が横長矩形であって、Y方向を視野範囲331に収めることのできる倍率のレンズ316を用いた場合を示すものである。この場合には、Y方向への走査は不要なので、X方向にだけ走査すればよい。このとき培養器とカメラの位置関係は相対的なものであればいいので、図21(a)のような一方向走査をする場合には、図20に示すようにカメラ側をXYに動かす構成と図22に示すように培養器140側を動かす構成のいずれを採用してもよい。
図21(b)は、培養器140が正方形に近くその面積が大きいためX方向の走査だけではY方向を視野範囲331に収められない場合を示す。この場合には、X方向及びY方向の両方に走査すればよい。この場合も、同様に培養器とカメラの位置関係は相対的なものであればいいので、図20の構成で走査することができる。図22の構成の場合には、カメラ・培養器駆動装置314によってカメラ31を少なくともY方向に走査可能に構成する必要がある。例えば、図20の場合、モータ320a、動力伝達部319及びレール315と同様のセットを台車318上に90度回転させて載置すればX−Y方向に走査が可能となる。また、図22に示すように培養器を動かす構成の場合にも、同様に直交する2方向に走査可能な構成にすれば、図21(b)のような撮影を行うことができる。
図21(c)に示すように、培養器140が図1又は図14に示すように円形に近く、その半径を視野範囲331に収められる場合には、培養器140の中心を回転軸としてθ方向にのみ走査すればよい。この場合は、図5のような構成を利用することで走査可能となる。図23では、培養器140は円形のものとし、スタンド350の先端にモーター351を取り付けて、モーター351を回転させることでカメラ31を円形状に走査する。なお、カメラ31でなく培養器140を円形状に移動可能としてもよい。
図21(d)に示すように、培養器140が円形に近く、その半径を視野範囲331に収められない場合には、r方向とθ方向の両方に走査すればよい。この場合も、図23のような構成によって走査可能である。ただし、r方向にも走査する必要があるために、カメラ31がその上に搭載された別のモーター353によって回転アーム352上をスライド可能とすればよい。また、カメラ31ではなく培養器140の方を移動可能としてもよい。
図21(e)は、図14の培養器140とカメラ31との関係を示す図である。図に示すように、培養器140は、ロータ153を中心として、保温箱160内を矢印140sのように旋回する。一方、カメラ31は、矢印331aのようにレール31bに沿って直線移動するので、両者の位置関係を適宜調整することによって、視野範囲331に培養器140を全て含めて走査することが可能である。
図24は、図19の画像処理ユニット312の詳細を示す図である。画像処理ユニット312は、データバス361を介して演算処理を行うCPU362と、このCPU362が一時的に記憶領域として使用する主メモリ363と、画像データや位置情報を格納する外部記憶装置364と、モータコントローラ313と通信するための通信ポート365と、細胞抽出後の画像を表示するモニタ366と、ユーザの入力を受け付けるキーボード367とから構成される。この画像処理ユニット312は、CCDカメラ31からの画像をコンバータ311を介して取り込み、種々の画像処理を行なう。
図25は、画像処理ユニット14が実行するコロニー判別の処理手順を示すフローチャート図である。
培養器140の大きさは予め外部記憶装置364に設定されている場合と、カメラ31を用いて画像処理により検出する場合とがあるが、この実施の形態では予め設定されている場合で説明する。
ステップS371では、培養器140を撮影するための走査位置情報である画像撮影位置リストを作成する。走査にあたっては培養器140全体を撮影するように決定してもよいし、培養器140の一部を撮影するように決定してもよい。画像位置リストは、例えば培養器140の培養に供する平面をX−Y座標系とすると、その上の複数のX―Y座標点の集合である。この画像撮影位置リストは、主メモリ363に格納され、その内容はモーターコントローラ313などによって随時参照可能となる。画像撮影位置リストは、図21で説明したように、レンズの視野範囲(画角)と培養器140の大きさとによって決定されるものである。
ステップS372では、前のステップS371で作成された画像撮影位置リストに従って、CPU362が移動命令を出す。CPU362が出した移動命令は、データバス361、通信ポート365を経由してモーターコントローラ367に到達する。モーターコントローラ313は、カメラ・培養器駆動装置314を動作させて、画像撮影位置リストに記録された撮影位置でカメラ31または培養器140を停止させる。
ステップS373では、画像撮影位置リストに対応した目的位置に到達する度に、画像の撮影と多値化処理を行う。つまり、CPU362により画像取り込み命令がカメラ31に出される。カメラ31は、画像データをコンバータ311にて電気的信号に変換した後、この信号をデータバス361経由で主メモリ363に転送する。CPU362では、この信号をモニタ366に表示するための多値化処理を実行する。
ステップS374では、主メモリ363に格納されている画像データに基づいてCPU362が濃淡情報を取得するためにヒストグラム算出処理を実行する。
ステップS375では、濃淡情報すなわちヒストグラムが最大となる画素値を撮影位置情報と共に外部記憶装置364に保存する。
ステップS376では、画像撮影位置リストに記された撮影位置をすべて撮影し終えたか否かの判定、すなわち、全計測ポイントについて撮影が終了したか否かの判定を行い、撮影終了(yes)と判定された場合には次のステップS377に進み、そうでない場合にはステップS372にリターンする。
ステップS377では、外部記憶装置364に格納されている位置情報と画素値を読み出し、主メモリ363にその位置情報に対応する画素値を格納し、モニタ366に表示可能な画像として準備する。
ステップS378では、このようにして作成された濃淡画像を、予め経験的に求められ外部記憶装置364に格納されている閾値と比較することにより、二値化する。
ステップS379では、前のステップS377で得られた二値化画像からコロニーの有無、すなわち大きさ、面積、周囲長を算出して終了する。
以上のようにして、コロニーの大きさ、面積、周囲長が取得できるが、こうして確認したコロニーの詳細画像を確認する場合は、撮影データを外部記憶装置364などに画像撮影位置リスト内の走査位置情報や撮影位置の情報とともに記録しておき、該当する撮影位置を手がかりに撮影画像を呼び出すようにすればよい。上述したように、レンズは高い倍率のものを使用可能であるため、再度別のレンズを使用して撮りなおさなくても、撮影済みの画像から培養状態を評価可能である。これによって継代のタイミングなどの決定がより確実に短時間でコンタミのリスクなしに行えるようになる。
次に培養器140の大きさをカメラ31を用いて画像処理により検出する場合にについて説明する。この場合は、図25のステップS371の画像撮影位置リストの作成の部分を次のように変形することによって実現可能である。すなわち、ステップS371の実行にあたり、設計の許す範囲内で、できるだけ広く培養器140を含む領域をスキャンする。こうして得られた画像から培養器140の大きさを求める。さらに、カメラの倍率や視野範囲の情報からCPU362にて画像撮影位置リストを作成する。この際、カメラ31の撮影距離からレンズの倍率やカメラ31の視野範囲の情報も認識可能である。
従って、培養器140の大きさ及びレンズの倍率やカメラ31の視野範囲の情報を全て撮影前に自動的に認識可能であり、画像撮影位置リストも全自動で設定可能となる。画像撮影位置リストを作成するにあたっては、CPU362は、図21(a)から図21(d)のように培養器140を網羅的に走査できる視野範囲331の経路を決定する。さらに同経路中撮影するタイミングも計算して、その地点を撮影位置とする。この経路は、培養物に極力ストレスを与えない観点から、ひとふで書きでトレースできるようなものが望ましい。こうして作成した撮影位置の集合を、X−Y座標ないしはr−θ座標の集合として外部記憶装置364などに記憶する。これが画像撮影位置リストの作成方法である。なお、ステップS371の実行に当たってはステップ373で説明した照明を使用して撮影してもよい。
このようにしてカメラ31を用いて画像処理により撮影位置を特定しているために、異なるサイズの培養器に対してそのサイズを入力しなくても走査が可能となる。例えば、完全密閉の保温箱内で培養の前に培養器表面積を計測し忘れても、ステップ371の事前走査によって画像撮影位置リストを作成可能である。このためより作業者の負担が軽減できる。
上述の実施の形態では、画像撮影位置リストに記載の撮影位置で撮影を行う場合について説明したが、走査の経路に沿ってカメラを随時移動させながら撮影位置でカメラを停止させることなく撮影を行う場合について説明する。
撮影位置でカメラを停止させることなく撮影を行う場合には、カメラが移動していることによって画像のブレが心配される。この画像のブレは、シャッタースピードと走査速度によってその許容度が決まるものである。例えば、培養細胞の大きさが100マイクロミリ程度、走査速度が1[mm]当り1秒、シャッタースピードが1/1000秒ならば、一画像あたりの移動距離は1マイクロミリでり、この数値は培養細胞の大きさに対し無視できるブレとなる。このように培養対象の細胞の大きさに応じて、走査速度とシャッタースピードを変化させて連続撮影に最適なパラメータを決定する。
コロニー判別のためには画像の濃淡を用いるため、コロニーの辺縁を明瞭に捉える必要はなく、また撮影は短時間で終了するため、撮影時にカメラ31または培養器140が完全に静止している必要はない。連続撮影することでカメラ31や培養器140の移動停止を繰り返す必要がなくなり培養器140に与える震動なども小さくすることができる。このように構成することで撮影時間を短縮可能であるとともに、特に培養器140を移動させて撮影する場合には、細胞に対するストレスを低減できるという長所もある。
上述の実施の形態では、カメラの光学系は、単純光を用いて細胞表面における散乱光ないしは透過光を検出する方式で説明したが、これにこだわらず位相差方式の光学系を用いてもよい。
通常、培養中に取得した画像データから細胞を抽出するには、画素値の分布をもとに閾値を算出し、その閾値以上あるいは閾値以下の画素を細胞として抽出していた。培地の色変化、光源の光量の変化、画像中心部と周辺部の明暗差、画像に含まれるノイズなどの影響を受けずに安定して細胞を抽出するためには、細胞抽出処理の前にノイズ除去、平滑化フィルタ、輪郭強調などのフィルタ処理が必須であった。画像データ内で明るさの変化をモニタし、特定のしきい値でトリガ信号を発生して、所定の遅延時間後に繰り返しカメラで撮像してその加算平均を求めるようにしたものがある。
このようにフィルタ処理を行なうものは、細胞抽出処理前のフィルタ処理が細胞抽出精度に大きな影響を与えていた。このフィルタ処理によって、画像中心部と周辺部の明暗差、画像に含まれるノイズなどをある程度除去することができ、また、特許文献1に記載されたものも画像に含まれるノイズなどをある程度除去することができる。ところが、画像データによってはその効果が少なかったり、細胞の輪郭が不明瞭になる場合などがあった。
そこで、培地の色変化、光量の変化、画像中心部と周辺部の明暗差、ノイズなどの影響を受けずに細胞部分のみを抽出することができるようにしたカメラ撮影システムについて説明する。
このカメラ撮影システムの基本構成は、図24に示したブロック図と同じであるが、この実施の形態では、CCDカメラ31が、移動用ガイドに沿って上下に移動し、任意の焦点での培養器140の画像を撮影するように構成してある点が前述のものとは異なる。
図26は、培養装置内の各構成手段の配置の概略を示す図である。図から明かなように、培養装置内の上面部に光源381が取り付けられている。この光源381の下側に培養器140が配置され、さらにこの培養器140の中央付近下側に対物レンズ382を備えたCCDカメラ31が配置されている。CCDカメラ31は、カメラ・培養器駆動装置314によって、移動用ガイド383に沿った上下方向に移動制御され、任意の焦点での培養器140の画像を撮影することができるように構成されている。
図27は、任意の焦点で培養器140の画像を撮影する場合の画像処理ユニットの実行する細胞抽出処理の一例を示すフローチャート図である。
[ステップS391]
このステップでは、モータコントローラ313に命令を出してCCDカメラ31を上下に移動させながら画像を撮影する画像取得処理を実行する。この画像取得処理によって取得された画像データは、コンバータ311を経由して外部記憶装置364に保存される。
[ステップS392]
このステップでは、全ての画像を取り終えた後、画像選択処理を実行する。この画像選択処理では、細胞の辺縁が明瞭な画像を少なくとも2枚以上選択する。細胞の辺縁が明瞭な画像では不明瞭な画像に比べて画素値の変化が大きくなる。そこで隣り合う画素値の差の絶対値を算出し、それらの総和を求め主メモリ363に保持する。
図28は、カメラの移動距離と隣り合う画素値の差の総和との関係を示す図である。図28では、2箇所のピークがあり、このピーク値を示す画像が細胞の辺縁が明瞭な画像となる。図29及び図30は、前述の2箇所のピークに相当する画像の一例を示す図である。図29は、対物レンズ382の焦点位置が培養器140の底面に位置する場合の画像の一例を示す図であり、図30は、対物レンズ382の焦点位置が培養器140の底面よりも前側にある場合の画像の一例を示す図であり、図31は、対物レンズ382の焦点位置が培養器140の底面よりも後側にある場合の画像の一例を示す図である。これらの図から明かなように、対物レンズ382の焦点位置が前後いずれか一方にずれている方が細胞の辺縁が明瞭な画像を取得することができる。
[ステップS393]
このステップでは、前述の2箇所のピークに相当する2枚以上の画像が選択され、その位置が算出されたか否かの判定を行い、yesの場合は次のステップS394に進み、noの場合はステップS392にリターンする。
[ステップS394]
このステップでは、2枚の画像のうち1枚をX,Y方向に1ピクセルずつずらし差分を取り、その位置を合わせるための差分・位置合わせ処理を行なう。
[ステップS395]
前のステップS394の差分・位置合わせ処理の結果、細胞数が最小で、かつ、その細胞の長さの合計が最大であるか否かの判定を行い、yesの場合は、その位置で2枚の画像の差分・位置合わせ処理を終了し、ステップS396に進み、noの場合は、ステップS394にリターンし、このステップS395の判定がyesとなるまで差分・位置合わせ処理を行なう。
[ステップS396]
このステップでは、細胞の長さ、個数、形状などの解析を容易にするために画像の二値化処理を行なう。図32は、図30及び図31の画像に対する差分・位置合わせ処理の結果、細胞数が最小で、かつ、その細胞の長さの合計が最大となる差分画像について、二値化処理を施した場合の画像を示す図である。図32の画像に基づいて、細胞の長さ、個数、形状などの解析を容易に行なうことが可能となる。
通常、撮影位置を指定するためには、カメラが目的の位置に達するまで目視で位置を確認しているし、カメラの現在の位置も同様に目視で確認している。そして、一度撮影した位置は、目視で定性的に確認している。一度撮影した画像と培養器上の位置関係は、操作者が細胞を撮影するたびに両者の対応表を作成して管理しなければならなかった。このような方法では、カメラを目的の場所に移動するのに煩雑な操作が必要であり、目的の位置に到達するまでに何度も試行錯誤する必要があった。現在の撮影位置を確認するために、保温箱の中の培養器を目視して確認する必要があったが、正確な位置を把握するのは困難であり、一度カメラを動かしてしまうと正確に同一位置に戻るのは困難である。撮影した画像は培養器内のどの位置で撮影したものか判別不能になり、ある一点の経時的な画像を表示するのも手動操作によるものであった。
そこで、操作端末上に培養器を示す図を表示しておき、この図面上に現在のカメラの位置を示す印、移動したい位置を示す印、過去に画像が保存された印を表示し、移動開始命令の入力を受け付けるコントロール手段によって培養器の図面上であって、移動したい位置を指定して移動開始命令を発行することにより、目的の撮影位置にカメラを移動することができるような構成を採用した。移動終了後は移動したい位置を示す印は現在のカメラの位置を示す印に変化する。
図33は、カメラを所望の位置に移動することのできるカメラ位置調整機能を備えたカメラ撮影システムの概略を示す図である。図に示すように、カメラ撮影システム450は、培養に最適な温度や二酸化炭素濃度を提供する保温箱160と、細胞を培養する培養器140と、細胞を撮影するための対物レンズ382と、この対物レンズ382のデータを電子化するCCDカメラ31と、このCCDカメラ31から得られる画像データを画像処理ユニット312に転送するためのコンバータ311と、CCDカメラ31を移動するためのカメラ駆動装置314aと、培養器140を移動するための培養器駆動装置314bと、カメラ駆動装置314aと培養器駆動装置314bを制御するモータコントローラ313とから構成されている。
図33の画像処理ユニット312の詳細構成は、図24に示したものとほとんど同じである。画像処理ユニット312は、データバス361を介して演算処理を行うCPU362と、このCPU362が一時的に記憶領域として使用する主メモリ363と、画像データや位置情報を格納する外部記憶装置364と、モータコントローラ313と通信するための通信ポート365と、細胞抽出後の画像を表示するモニタ366と、ユーザの入力を受け付けるキーボード367とから構成される。この画像処理ユニット312は、CCDカメラ31からの画像をコンバータ311を介して取り込み、種々の画像処理を行なう。図33の画像処理ユニット312の場合、図24では図示していないが、ユーザの入力を受け付ける装置としてキーボード367の他にマウスが接続されているものとして説明する。
図34は、図14の保温箱160内の培養器140と、カメラ31との関係を模式的に示す図である。なお、図14では、培養器140は、ロータ153を中心として、保温箱160内を旋回するように移動するが、図34では、培養器140が図22の場合と同様に、モータ320aによって直線的に駆動されるものとして説明する。
図35は、撮影位置設定・表示の操作画面の一例を示す図である。この撮影位置設定・表示画面470には、培養器140を模した円形上の培養器471が示されており、この培養器471上に、カメラの現在位置を示すカメラ位置マーカー472と、カメラの移動位置を示す移動位置マーカー473と、既に保存された画像の位置を示す保存画像位置マーカー474〜476がそれぞれ示されている。さらに、この撮影位置設定・表示画面470には、培養器471の背景を選択する背景選択コントローラ477と、カメラを移動位置マーカー473に移動させるためのカメラ移動コントローラ478と、画像を表示する画像表示コントローラ479と、カメラの位置を保存する位置保存コントローラ47Aと、保存した位置を呼び出す位置呼び出しコントローラ47Bと、処理を終了する終了コントローラ47Cが表示されている。なお、保存画像位置マーカー474には選択・非選択の状態が存在し、後述する画像表示画面の表示画像判定に用いられる。
図36は、モニタに表示される画像の表示例を示す図であり、画像処理ユニット312によって表示される。この表示画像は、現在カメラの存在する位置の画像および保存された画像を表示する画像表示領域480と、この画像表示領域480に表示されている画像を保存する表示画像保存コントローラ481と、保存された画像を読み出す画像読み込みコントローラ482と、画像表示領域480に表示されている画像を変更する画像送りコントローラ483と、画像戻しコントローラ484と、画像表示領域480に表示されている画像と同一位置で異なる時刻に撮影された画像を比較する命令を発行する画像比較コントローラ485とを表示してなる。
図37は、撮影位置設定・表示処理ソフトウェアの処理の一例を示すフローチャート図である。以下、このフローチャートに従って、撮影位置設定・表示処理の動作を説明する。
最初のステップS490では、画像処理ユニット312は入力待ちループにて操作者が何らかの入力を行なうのを監視している。
ステップS491では、図35に示される終了コントローラ47Cからの入力を判定し、入力有り(yes)の場合は、処理を終了し、ステップS49Mに進み、入力待ちループ処理を実行する。一方、入力無し(no)の場合は、次のステップS492に進む。
ステップS492では、カメラの現在を算出し、そのカメラ現在位置マーカー472を画像上に表示する。
ステップS493では、背景選択コントローラ477によって背景が指定されているか否かの判定を行い、指定されている(yes)場合は、ステップS494に進み、そうでない(no)場合はステップS495に進む。
ステップS494では、背景選択コントローラ477によって背景が指定されているので、その指定された背景を表示する処理を実行する。この処理によって、培養器471上にグリッド及び細胞の密度分布画像が表示される。
ステップS495では、既に保存された画像が存在する場合に、その画像の位置を示す保存画像位置マーカー474〜476を図35に示すように培養器471上に表示する。
ステップS496では、操作者が保存画像位置マーカー474〜476のいずれかを選択して、又は位置呼び出しコントローラ47Bを用いて予め保存してある画像の保存位置の読み込みを行なっているか否かの判定を行い、読み出し中(yes)の場合はステップS497に進み、そうでない(no)場合はステップS498に進む。
ステップS497では、保存位置の読み込みを行なっているので、移動位置マーカー473を培養器471上に表示する移動位置表示処理を実行する。図35に示すように既に移動位置マーカー473が培養器471上に表示されている場合には、保存画像位置マーカー474〜476のいずれかを移動位置マーカー473に変更する。この他にも操作者がマウスまたはキーボードを用いて移動位置マーカー473を設定した場合にも同様の処理を実行する。
ステップS498では、カメラ移動コントローラ478によってカメラの移動命令が発行されたか否かの判定を行い、発行された(yes)場合は、ステップS499に進み、そうでない(no)場合はステップS49Cに進む。
ステップS499では、カメラ移動コントローラ478によってカメラの移動命令が発行されたので、その移動命令に従ってカメラ移動処理を実行する。このカメラ移動処理では、図24のCPU362が座標の変換を行い、通信ポート365を介してモータコントローラ313に指令を出し、図33のカメラ駆動装置314a及び培養器駆動装置314bを駆動する。カメラが移動位置マーカー473で示される位置に移動するとその移動位置マーカー473はカメラ現在位置マーカー472に変化する。
ステップS49Aでは、位置保存コントローラ47Aから現在位置の保存命令が発行されたか否かの判定を行い、発行された(yes)場合はステップS49Bに進み、そうでない(no)場合はステップS49Cに進む。
ステップS49Bでは、位置保存コントローラ47Aから現在位置の保存命令が発行されたので、その保存命令に従って現在位置の保存処理を実行する。この保存処理によって保存された位置が新たな保存画像位置マーカーとして図35の培養器471上に表示されるようになる。
ステップS49Cでは、画像表示コントローラ479から画像表示の命令が発行されたか否かの判定を行い、発行された(yes)場合はステップS49Dに進み、そうでない(no)場合はステップS49Dに進む。
ステップS49Dでは、保存画像位置マーカー474〜476のいずれかが選択状態にあるか否かの判定を行い、選択状態にある(yes)場合はステップS49Eに進み、そうでない(no)場合はステップS49Fに進む。
ステップS49Dでは、選択状態にある保存画像位置マーカー474〜476のいずれかの位置で保存された画像を表示する選択位置画像表示処理を実行する。このときに、1つの保存画像位置マーカーに対して複数の画像が存在する場合は、画像送りコントローラ483と画像戻しコントローラ483を用いて、その位置における全ての画像を表示することができるようになっている。
ステップS49Eでは、保存画像位置マーカー474〜476のいずれも選択されずに画像表示コントローラ479からの画像表示命令が出された場合に対応するので、現在のカメラの位置の画像を表示する現在位置画像表示処理を実行して、ステップS49Gに進む。
ステップS49Gでは、図36の画像読み込みコントローラ482から画像読み込み命令が発行されたか否かの判定を行い、発行された(yes)場合はステップS49Hに進み、そうでない(no)場合はステップS49Kに進む。
ステップS49Hでは、前のステップS49Gで操作者が指定した画像を図24の外部記憶装置364から主メモリ363に読み込んで、画像表示領域480に表示する画像読込み処理を実行して、ステップS49Jに進む。
ステップS49Jでは、対応する位置の保存画像位置マーカー474〜476を選択状態にし、どの位置で画像が撮像されたかを、操作者に明示する画像位置表示更新処理を実行して、ステップS49Kに進む。
ステップS49Kでは、図36の画像比較コントローラ485から画像比較命令が発行されたか否かの判定を行い、発行された(yes)場合はステップS49Lに進み、そうでない(no)場合はステップS49Mに進み、入力待ちループ処理を実行する。
ステップS49Lでは、異なる色のモノトーン画像を作成し、各々の画像に設定された透過度により重み付けを行った後、加算処理を行い、その結果を示す画面を表示するモノトーン/加算処理を実行して、ステップS49Mに進み、入力待ちループ処理を実行する。
ステップS49Mでは、ステップS490と同様に画像処理ユニット312によって入力待ちループ処理を行い、操作者が何らかの入力を行なうのを監視する。
図38は、モノトーン/加算処理の詳細を示す図である。このモノトーン/加算処理における画像データは、1画素あたりRGBの3成分を持つものである。まず最初のステップS500では、入力がカラー画像か、グレースケール画像かのカラー画像判定を行い、yesの場合はステップS501に進み、noの場合は次のステップS502に進む。
ステップS501では、入力がカラー画像なので、そのカラー画像を白黒画像に変換するグレースケール変換処理を行い、ステップS502に進む。
ステップS502では、処理対象が画像表示領域480に表示されている画像か否か、すなわち現在表示中画像であるか否かの判定を行い、yesの場合はステップS503に進み、noの場合はステップS505に進む。
ステップS503では、画像データが持つRGB成分のうち、R成分に白黒変換した後の画素値を代入(コピー)し、他のG成分及びB成分には0を代入するというR成分代入処理を実行する。この時点で画像はR成分の濃淡として表現される。
ステップS504では、現在表示中の画像と比較対象画像の合成比、つまり現在表示中の画像に重み付けを行う透過度演算処理を行い、ステップS505に進む。
ステップS505では、処理対象が比較対象画像か否かの判定を行い、yesの場合はステップS506に進み、noの場合はステップS508に進む。
ステップS506では、ステップS503と同様に比較対象画像に対して、RBG成分の中でG成分に白黒変換後の画像の画素値を代入し、他のR成分及びB成分には0を代入するというG成分代入処理を実行する。この時点で比較対象となる画像はG成分の濃淡として表現される。
ステップS507では、ステップS504と同様に現在表示中の画像と比較対象画像の合成比、つまり比較対象画像に重み付けを行う透過度演算処理を行い、ステップS508に進む。
ここで、ステップS504とステップS507の透過度演算処理の場合、ステップS504の処理における透過度が高いと比較対象画像が強調され、ステップS507の処理における透過度が高いと現在表示中の画像が強調して表示されることになる。
ステップS508では、ステップS504及びステップS507の透過度演算処理の結果画像を加算処理する。ここで、ステップS504の透過度演算処理後の画像はR成分だけを持ち、ステップS507の透過度演算処理後の画像はG成分のみを持つので、ステップS508の加算処理後は、両者の画像データの重複画素部分はRG成分を持つ画像となり、両者で重複していない画素はR成分、またはG成分のみの画素値をもつこととなる。このようにして、モノトーン/加算処理により、色成分で2つの画像の相違点を表現することができる。
上述の実施の形態では、現在のカメラの位置を示す印あるいは移動したい位置を示す印が表示されている培養器上の位置を保存している。保存された情報はいつでも読み出すことができ、位置情報を読み出した後、移動命令を発行することにより、保存された位置へ正確に移動することができる。また、操作端末上に表示されている培養器の図の背景を用途に応じて選択できる機能を備えている。例えば、培養器内の位置が細胞観察上重要である場合は、背景がグリッドであると撮影位置が決定しやすく、細胞の粗密が重要である場合にはコロニー分布図を表示しながらの方が撮影位置を決定しやすい。さらに、操作端末上の培養器図上に過去に画像が保存された印を表示する。この印を選択すると、その位置での画像が表示される。操作者がこの印を選択せずに撮影された画像を表示した場合には、培養器の図の上に表示画像を示す印を点滅あるいは反転表示する。また、異なる時刻に撮影された画像を保存し、読み出す際には異なる色のモノトーン画像に変換し、変換した画像を加算処理して表示する。各々の画像の透過度を任意に設定することにより、異なる時刻の画像を比較することができる。
培養は、培養器内の培地の交換や、継代培養のための他の培養器への再播種などといった煩雑な作業が手作業で行われているのが現状であり、また、熟練した作業者を必要とするものであるため、容易に実施しがたいものである。そのために、細胞の培養を自動的に行わせる培養装置が種々提案されている。これらの培養装置は、ほとんどが電気的に制御され、基本的にはCPUで実現されるものであり、プログラマブルであるため、カスタマイズしやすく、信頼性の高いものである。しかしながら、細胞の培養は通常数週間と長期にわたり、その間、培養装置は連続稼動状態にしなければならない。一般に広く使われているCPUやメモリからなる制御装置いわゆるパーソナルコンピュータ等を応用することが可能であるが、これらの制御装置は、細胞を自動的にかつ長期的に増殖させる装置として信頼性を確保するには不十分であった。そこで、自動培養装置を自動的にかつ長期的に高い信頼性で稼働させることができるような構成を採用した。
本発明を適用してなる培養装置の基本構成を示すブロック図である。 本発明を適用してなる培養装置の機構部の詳細図であり、図1におけるシステムコントローラ11を省いた実際の構成を示している。 図2の培養器38の詳細構成を示す図である。 図2の培養装置の制御ブロック図の詳細を示し、複数の培養装置を接続してそれをプラント化した場合を示すブロック図である。 培養装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図5のステップS55の「培養器をシャッフリングし、均一化・播種」の動作の一例を示す図である。 上述の実施の形態に係る培養装置の培養器38の第1の変形例を示す図であり、図7(A)は、上面から見て図を、図7(B)はその側面図を示す。 上述の実施の形態に係る培養装置の培養器38の第2の変形例を示す図である。 図8の培養器を用いた培養装置の動作を説明するためのフローチャートである。 上述の実施の形態に係る培養装置の培養器38の第3の変形例を示す断面図である。 細胞を均一に播種する手法の一例を示す図である。 上述の実施の形態における培養器とチューブの接続方法の一例を示す図である。 上述の実施の形態における培養装置の一部の滅菌法を示す図である。 本発明を適用してなる培養装置の別の実施の形態に係る機構部の詳細図を示す図である。 図14で使用される培養器の詳細を示す図である。 培養器における第1ポート141、第2ポート142、第3ポート143の詳細を示す図である。 図15の一部断面を示す図であり、培養器内の培地を排出する場合を示す図である。 図14の培養装置の保温箱16の制御ブロックを示す図であり、図4の中から説明に必要な部分を抜き出し、他は省略して示したものである。 カメラ撮影システムに概略構成を示すブロック図である。 図14の中におけるカメラ撮影システムに関係する部分を抽出して模式的に示す図である。 CCDカメラの走査の様子を示す図である。 CCDカメラの走査の様子を示す図である。 CCDカメラの走査の様子を示す図である。 図19の画像処理ユニット312の詳細を示す図である。 画像処理ユニット14が実行するコロニー判別の処理手順を示すフローチャート図である。 培養装置内の各構成手段の配置の概略を示す図である。 任意の焦点で培養器140の画像を撮影する場合の画像処理ユニットの実行する細胞抽出処理の一例を示すフローチャート図である。 カメラの移動距離と隣り合う画素値の差の総和との関係を示す図である。 対物レンズ382の焦点位置が培養器140の底面に位置する場合の画像の一例を示す図である。 対物レンズ382の焦点位置が培養器140の底面よりも前側にある場合の画像の一例を示す図であり、 対物レンズ382の焦点位置が培養器140の底面よりも後側にある場合の画像の一例を示す図である。 図30及び図31の画像に対する差分・位置合わせ処理の結果、細胞数が最小で、かつ、その細胞の長さの合計が最大となる差分画像について、二値化処理を施した場合の画像を示す図である。 カメラを所望の位置に移動することのできるカメラ位置調整機能を備えたカメラ撮影システムの概略を示す図である。 図14の保温箱160内の培養器140と、カメラ31との関係を模式的に示す図である。 撮影位置設定・表示の操作画面の一例を示す図である。 モニタに表示される画像の表示例を示す図であり、画像処理ユニット312によって表示される図である。 撮影位置設定・表示処理ソフトウェアの処理の一例を示すフローチャート図である。 モノトーン/加算処理の詳細を示す図である。
符号の説明
1…培養器
2…可撓性管部材
3…ポンプ
4…リザーブタンク
5…可撓性管部材
6…ポンプ
7…廃液タンク
8…駆動手段
9…カメラ
10…光源
11…システムコントローラ
15…本体
16…ガス透過膜
17…培地
18…チューブ接続部材
19…チューブ接続部材
20…堰
21…供給チューブ
22…ロータ
23…廃液チューブ
24…ピンチ弁
25…ケーブルドラム
26…巻き取りドラム
27…カムフォロア
28…ピニオン
29…培養器駆動モータ
30…保温箱(フレーム)
31…CCDカメラ
32…観察窓
33…フィルター
34…光源
35…ガイド部材
36…チューブ固定部材
37…しごきポンプ
38…培養器
381…傾斜部
39…針
40…エアーフィルター
41…針
42…エアーフィルター
50…シャッターモータ
51…シャッター
52…培養前細胞を貯留する容器
53…針
56…細胞注入チューブ
55…ピペッターアーム
54…軸
57…ピペッタ回転動モータ
58…回転部材
59…ピペッタ上下動モータ
60…プーリ
62…ホルダー部
61…ベルト
63…モータ
65…ファン
66a,66b…ピンチ弁
67…培地タンク
68…緩衝液タンク
69,70,71…細胞剥離剤タンク
72,105,73,74,75…ピンチ弁
78,79…空気流入口
80…断熱箱
81…シャッターモータ
82…シャッター
83…針
84…培養後細胞を貯留する容器
85…ピペッタアーム
87…軸
88…ピペッタ回転動モータ
89…回転部材
90…ピペッタ上下動モータ
91…プーリ
92…ベルト
93…ホルダー部
94…モータ
95…送りねじ
96,97…スタンド
98…廃液回収箱
99…ガイド部材
100…チューブ固定部材
101…しごきポンプ
102…廃液タンク
103…ピンチ弁
104…ピンチ弁
106…温度センサ
107…継ぎ手
108…ヒータ
120…I/O
121…バス
122…CPU
123…操作卓
124…メモリ
125…コンピュータネットワークドライバ
126…操作器
127,128,129…培養装置
130…制御監視装置
167,168,169…培養器
170a〜170d…培養器
171…チューブ
174a〜174d…チューブ接続部材
175a〜175d…チューブ接続部材
182…供給チューブ
183,184…接続チューブ
185…廃液チューブ
186,187,188…ピンチ弁
191,192…培養補助板
195…培養器本体
197…供給チューブ
199…蓋
201,202…培養補助板
250…画像取り込みボード
278,279,282,283,284,285…鏡
280…CCDカメラ
281…光源
286…フィルター
288…ユニット
300…培養器本体
301…蓋
302…供給用チューブ接続部材
307,308,309,310…磁石
303,304,305,306…球状部材
314…供給用チューブ接続部材
315…棒状部材
320…供給チューブ
321,327…栓
322,328…針
323…供給チューブ
324…シリンジ
325…培養器
326…廃液チューブ
329…廃液チューブ
381…傾斜部
140…培養器
141…第1ポート
142…第2ポート
143…第3ポート
141b…廃液チューブ
144,145…しごきポンプ
142b…供給チューブ
142c…供給チューブ
142d…補助供給チューブ
146,147…しごきポンプ
146a,147a…ピンチ弁
143a…チューブ
143b…エアーフィルター
148…保持リング
149…フック
150…レバー
151…チルトモータ
153…ロータ
160…保温箱(インキュベータ)
170…加温バッグ
172…ピンチ弁
173…エアーフィルター
177…ペーハー測定部
29a…培養器駆動モータ
109…ペルチェ素子
110…放熱ヒートシンク
111…吸熱ヒートシンク
201〜204…ヒータ
205,206…放熱板
205…二酸化炭素センサ

Claims (2)

  1. 水平な面に沿って培養される物が外部から観察可能に構成された透明な培養器本体と、
    前記培養器本体の開口部を塞ぎ、前記培養器本体手段の周縁部に培養細胞の注入と回収を行う少なくとも2つのポート部を備えた蓋部材と、
    前記ポート部の1つには前記培養器本体の内側底面部にその先端部が接するように突出した管部材とを備え、
    上記培養細胞の注入と回収の状態を外部から観察可能としたことを特徴とする培養器。
  2. 請求項1に記載された培養器の前記管部材がある方に対して、前記管部材がない方を相対的に上昇させ、前記管部材から前記培養器内部の液体を吸引可能としたことを特徴とする培養装置。
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