各色画像の位置のずれを検出する従来の技術では、搬送ベルト、中間転写ベルト又は記録用紙等の媒体上に色合わせ調整用の各色画像を形成し、媒体上に形成した画像に対して光を照射し、各色画像からの反射光と画像が形成されていない媒体上の下地の部分からの反射光との強度差に基づいて各色画像の位置を検出している。通常、画像に対して照射される光は、全ての色画像に対して同一の光が用いられており、一般的には赤外光が用いられる。ところが、各色画像を形成する各現像剤は、各色に応じた互いに異なる光反射特性を有している。例えば、Kの現像剤は全ての光の波長に対して反射率が低く、一方Cの現像剤は、紫から緑色に渡る波長の光に対する反射率が高く、その他の波長の光に対しては反射率が低い。このため、各色画像からの反射光の強度が色に応じて異なることによって、反射光を検出する検出器の検出出力が変動するので、各色画像の位置を検出する精度が低下する。従って、各色画像の色合わせ調整を精度良く行うことができないという問題がある。
また、色合わせ調整用の各色画像を搬送ベルト又は中間転写ベルトのベルト上に形成する場合、画像の位置を精度良く検出するためには、ベルト上の画像が形成されていない下地の部分からの反射光の強度が安定していることが望ましい。しかし、一般にベルトの表面は滑らかな状態ではなく、汚れ、凹凸又は傷などが不規則に生じており、ベルトの表面からの反射光の強度は表面状態に応じて変動する。またベルトの表面状態は画像形成装置の使用に伴って変化する。従って、従来の技術では、ベルト上に形成した画像の位置をある程度以上の精度で検出することができないので、色合わせ調整を精度良く行うことができないという問題がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、各色画像の光反射特性に応じた検出を行うことによって、色合わせ調整を精度良く行うことができる画像形成装置、及び画像形成装置の調整方法を提供することにある。
また本発明の他の目的とするところは、色合わせ調整の際に、色画像からの反射光の強度と媒体上の画像が形成されていない下地の部分からの反射光の強度との差を明確にすることによって精度良く色画像を検出することができる画像形成装置を提供することにある。
また本発明の他の目的とするところは、ベルト上の画像が形成されていない下地の部分からの反射光の強度を安定させることにより、安定した精度で色合わせ調整を行うことができる画像形成装置を提供することにある。
本発明に係る画像形成装置は、移動する媒体上に互いに異なる色の色画像を夫々形成する複数の画像形成手段と、各色画像に光を照射する照射手段と、該照射手段が各色画像に照射した光の反射光を検出する検出手段と、該検出手段による検出結果に基づいて、前記複数の画像形成手段が形成する色画像の位置を調整する手段とを備える画像形成装置において、前記照射手段は、各色画像に応じた分光特性を有する光を照射する手段を有することを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、前記照射手段は、夫々に分光特性が異なる光を照射する複数の発光部を有することを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、前記検出手段は、前記複数の発光部の夫々が色画像に照射した光の反射光を受光する一の受光部を有することを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、前記各色画像に応じた分光特性を有する光は、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて他の波長成分の強度が大であることを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、前記各色画像に応じた分光特性を有する光は、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度が、他の波長成分の強度に比べて大であることを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、一の画像形成手段に、媒体上の所定領域を一色で着色した下地画像を形成させる手段と、他の画像形成手段に、前記下地画像に重ねて色画像を形成させる手段とを更に備え、前記照射手段が前記色画像に照射する光は、前記色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて前記下地画像からの反射光が含む波長成分の強度が大であることを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、移動する媒体上に互いに異なる色の色画像を夫々形成する複数の画像形成手段と、各色画像に光を照射する照射手段と、該照射手段が各色画像に照射した光の反射光を検出する検出手段とを備える画像形成装置を、前記検出手段の検出結果に基づいて調整する方法において、前記照射手段は、各色画像に応じた分光特性を有する光を照射し、前記検出手段は、各色画像に応じた光の反射光を検出し、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の画像形成手段が形成する色画像の位置を調整することを特徴とする。
本発明においては、記録用紙又はベルト等の移動する媒体上に互いに異なった色からなる色画像を形成する複数の画像形成手段を備える画像形成装置は、媒体上に各色の色画像からなるテスト画像を形成し、光学的に各色画像の位置を検出し、検出結果に基づいて色画像を形成する位置を調整するに際して、各色画像の色に応じた分光特性を有する光を色画像に照射し、照射された光の反射光を検出することによって各色画像の検出を行う。
また本発明においては、画像形成装置は、夫々に異なった分光特性を有する光を媒体上の色画像に対して照射する複数の発光部を備える。
また本発明においては、複数の発光部の夫々から色画像に対して照射された光の反射光を単一の受光部で受光して検出する。
また本発明においては、色画像に照射される光は、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて他の波長成分の強度が大であり、色画像を形成していない下地からの反射光に比べて色画像の反射光の検出強度が減少することによって色画像が検出される。
また本発明においては、色画像に照射される光は、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度が他の波長成分の強度に比べて大であり、色画像を形成していない下地からの反射光に比べて色画像の反射光の検出強度が増加することによって色画像が検出される。
また本発明においては、色画像とは別の色の下地画像に重ねて色画像を形成し、色画像に照射される光は、下地画像からの反射光が含む波長成分の強度が前記色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて大であり、下地画像からの反射光に比べて色画像の反射光の検出強度が減少することによって色画像が検出される。
本発明にあっては、色合わせ調整のために形成した各色画像を検出する際に、各色画像の光反射特性に応じた分光特性を有する光を照射することにより、各色画像に対応する反射光の検出出力を適正な値に定めることが可能となるので、反射光の検出出力に基づいて各色画像の位置を高精度に検出することが可能となる。従って、精度良く検出した色テスト画像の位置に基づいて、精度の良い色合わせ調整を行うことができる。
また本発明にあっては、光を照射する発光部を複数備え、赤色光と青色光とのように夫々に異なる分光特性を有する光を夫々の発光部が照射する構成としたので、互いに異なる分光特性を有する複数種類の光を容易に発生させることができる。
また本発明にあっては、複数の発光部の夫々が照射する光の反射光を同一の受光部で受光することにより、反射光を検出する検出器が異なることによる検出誤差の発生を防止することができるので、複数種類の光の夫々に対応した色画像を精度良く検出することができる。
また本発明にあっては、シアンの色画像に対して赤色光を照射し、イエローの色画像に対して青色光を照射する等のように、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて他の波長成分の強度が大である光を各色画像に照射することにより、色画像の部分と色画像を形成していない下地の部分とからの反射光の検出強度の差が明確となるので、複数種類の光の夫々に対応した色画像を精度良く検出することができる。
また本発明にあっては、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度が他の波長成分の強度に比べて大である光を各色画像に照射することにより、色画像と色画像を形成していない下地の部分とからの反射光の検出強度の差が明確となるので、複数種類の光の夫々に対応した色画像を精度良く検出することができる。
更に本発明にあっては、色画像とは別の色の下地画像に重ねて色画像を形成することにより、色画像の下地からの光の反射が安定するので、安定した精度で色画像を検出することができる。また下地画像、色画像及び照射光の組み合わせは、下地画像からの反射光が含む波長成分の強度が色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて大である照射光を用いる組み合わせとすることにより、下地画像と色画像との反射光の検出強度差が大きくなるので、各色画像を精度良く検出することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の内部構成例を示す断面図である。画像形成装置1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーを用いて多色画像を形成するように構成されている。画像形成装置1は、感光体ドラム11a,11b,11c,11d、現像ユニット12a,12b,12c,12d、帯電器13a,13b,13c,13d、クリーナユニット14a,14b,14c,14dを備えている。各符号に付したa,b,c,dの記号は、夫々K,C,M,Yに対応する。感光体ドラム、現像ユニット、帯電器及びクリーナユニットは、各色について一組に構成されており、K,C,M,Yに対応する4個の組が直線状に並んでいる。また各色の感光体ドラム、現像ユニット、帯電器及びクリーナユニットの組は本発明に係る画像形成手段に対応する。以下、特定の色に対応する部材を指定する場合を除き、各色に対して設けられている部材をまとめて感光体ドラム11、現像ユニット12、帯電器13及びクリーナユニット14と記載する。
画像形成装置1は、感光体ドラム11の下方に、レーザ光を発して感光体ドラム11上に静電潜像を生成させる露光ユニット3を備えている。露光ユニット3は、ポリゴンミラー31を備え、図示しないレーザ照射部から発せられてポリゴンミラー31の回転により走査されたレーザ光を反射させて感光体ドラム11a上に照射させる反射ミラー32aを備えている。また露光ユニット3は、同様に感光体ドラム11b,11c,11dに対応する反射ミラー32b及び33b,32c及び33c,32d及び33dを備えている。
帯電器13は、感光体ドラム11の表面を所定の電位に均一に帯電させるように構成されている。帯電器13は、感光体ドラム11に接触するローラ型又はブラシ型の他に、感光体ドラム11に接触しないチャージャ型等が用いられる。現像ユニット12は、各色のトナーを収納しており、露光ユニット3により感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像に各色のトナーを供給してトナー像に顕像化する。クリーナユニット14は、画像を転写した後に感光体ドラム11の表面に残留しているトナーを回収及び除去する。
画像形成装置1は、また、感光体ドラム11の上方に、感光体ドラム11上のトナー像を転写させる中間転写ベルト4を備えている。中間転写ベルト4は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に構成されている。中間転写ベルト4は、ベルト駆動ローラ41と従動ローラ42との間に張架され、ベルト駆動ローラ41の駆動力により図中に示した矢印方向へ回転するように構成されている。中間転写ベルト4はその表面に感光体ドラム11が接触するように配置されており、中間転写ベルト4を挟んで感光体ドラム11に対向する一次転写ローラ15a,15b,15c,15dが備えられている。なお、以下では、各色に対応した一次転写ローラ15a,15b,15c,15dをまとめて一次転写ローラ15と記載する。一次転写ローラ15は、中間転写ベルト4の裏側に接触しており、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト4へ転写させるための電圧、即ちトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加されている。一次転写ローラ15は中間転写ベルト4に均一に高電圧を印加することにより、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ローラ11へ転写させる。中間転写ベルト4は図1中の矢印の方向へ移動し、感光体ドラム11d,11c,11b,11aが順に中間転写ベルト4に接することによって、各色のトナー像は、Y,M,C,Kの順に形成される。
また画像形成装置1は、記録用紙を収納する給紙トレイ7を備えている。また画像形成装置1は、中間転写ベルト4を挟んでベルト駆動ローラ41に対向する二次転写ローラ43を備えている。給紙トレイ7に収納されている記録用紙は、図中に一点鎖線で示される搬送路を通って、中間転写ベルト4と二次転写ローラ43との間へ搬送される。前述のように、感光体ドラム11上で形成された各色のトナー像は中間転写ベルト4上に順次転写され、多色のトナーにより表現された多色画像が中間転写ベルト4上に形成されている。中間転写ベルト4上の多色トナー像は、中間転写ベルト4の回転に従って移動し、中間転写ベルト4と二次転写ローラ43との間へ搬送されてきた記録用紙に転写される。このとき、中間転写ベルト4及び二次転写ローラ43は記録用紙を挟んで圧接され、また二次転写ローラ43には中間転写ベルト4上の多色画像を記録用紙上に転写させるための電圧、即ちトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。こうして中間転写ベルト4上の画像が記録用紙に転写される。また画像形成装置1は、記録用紙に転写されずに中間転写ベルト4上に残存したトナーを除去するクリーニングユニット44を備えている。
前述の如き記録用紙に多色画像を形成する過程においては、中間転写ベルト4上に感光体ドラム11から各色のトナー像が転写されるタイミングにより、各色画像が中間転写ベルト4上に形成される位置が決定される。中間転写ベルト4上に転写される各色画像の位置が互いにずれていた場合は、色ずれが発生した多色画像が記録用紙上に形成されることとなる。画像形成装置1は、各色のトナー画像が中間転写ベルト4上に転写されるタイミングを制御する制御部5を備えている。制御部5は、各色画像が中間転写ベルト4上で重なるように転写のタイミングを制御すべく構成されている。しかし、感光体ドラム11の取り付け誤差、偏芯、回転ムラ、又は中間転写ベルト4の温度・湿度変化による伸縮、移動ムラ等の種々の原因により、中間転写ベルト4上に形成される各色画像の位置が互いにずれ、色ずれが発生する。
本発明の画像形成装置1は、互いに各色の画像が所定の距離だけ離れるような各色の色画像からなるテスト画像を本発明に係る媒体である中間転写ベルト4上に形成し、テスト画像に含まれる各色画像間の実際の距離を計測し、各色画像が記録用紙に転写されるタイミングを調整する色合わせ調整の処理を行う。画像形成装置1は、中間転写ベルト4上に形成されたテスト画像を検出するための検出センサ21、及び画像形成装置1内の温度・湿度を検出する温湿度センサ22を備えている。
検出センサ21は、中間転写ベルト4上に形成されたテスト画像を検出することを目的として、中間転写ベルト4が感光体ドラム11aを通過し終えた位置であって、かつ、二次転写ローラ43に至る前の位置に設けられている。温湿度センサ22は、急激な温度又は湿度の変化が発生しない部分に設置されており、画像形成装置内の温度・湿度を検出する。
図2は、検出センサ21の構成例を示す模式図である。図2(a)は検出センサ21の模式的斜視図であり、図2(b)は検出センサ21の模式的断面図である。検出センサ21は、中間転写ベルト4上に形成されたテスト画像に対して光を照射する第1照射部23及び第2照射部24を備え、第1照射部23又は第2照射部24からテスト画像に光が照射されることによって生じる正反射光を検出できる位置に、反射光を検出する検出部(検出手段)25を備えている。検出部25は本発明に係る受光部として機能する。第1照射部23及び第2照射部24は本発明に係る照射手段であり、互いに分光特性の異なる光を照射する構成となっている。第1照射部23と第2照射部24とが発生する光は、スペクトルに含まれる波長成分の強度の割合が互いに異なっており、例えば、第1照射部23は、赤色LEDを用いて、赤色の波長成分の強度が他の波長成分よりも大きい赤色光を照射し、第2照射部24は、青色LED又は青緑色LEDを用いて、青色の波長成分の強度が他の波長成分よりも大きい青色光を照射する構成とする。検出部25が検出する反射光の強度変化により、テスト画像を検出することができる。なお、検出センサ21は、テスト画像からの正反射光ではなく乱反射光を検出する検出部を備えた形態であってもよく、また正反射光を検出する検出部と乱反射光を検出する検出部とを共に備えた形態であってもよい。
図3は、制御部5の内部構成例を示すブロック図である。制御部5は、演算を行うCPU51を備え、CPU51には、演算に伴った一時的な情報を記憶するRAM52と、画像形成装置を制御するための制御プログラムを記憶するROM53とが接続されている。CPU51は、ROM53が記憶している制御プログラムに従って画像形成装置に必要な処理を行う。またCPU51には、計時を行う時計部55が接続されており、CPU51は、時計部55が計測する時間に基づいて各種の処理を行う。またCPU51には、タッチパネル又はテンキー等により構成された、使用者からの操作による指示を受け付ける操作部56が接続されている。
またCPU51には、検出センサ21及び温湿度センサ22が接続されている。CPU51は、検出センサ21及び温湿度センサ22から検出結果を入力され、入力された検出結果に基づいた処理を行う。またCPU51には、ベルト駆動ローラ41を駆動させるモータ等の駆動部50が接続されている。CPU51は、駆動部50の動作を制御することにより、中間転写ベルト4を移動させる。またCPU51には、露光ユニット3が接続されている。CPU51は、露光ユニット3が感光体ドラム11上に静電潜像を形成するタイミングを制御することにより、各色画像が中間転写ベルト4上に形成されるタイミングを制御する。更にCPU51には、各色画像が形成されるタイミングの調整量を記憶する調整量記憶部54が接続されている。
以上の如き構成による本発明の画像形成装置1は、電源投入時、電源投入から所定時間経過後、又は所定枚数の画像を形成したとき等、予め定められた状態となったときに色合わせ調整の処理を行う。また温湿度センサ22が所定の温度・湿度を検出した場合、又は温湿度センサ22により所定以上の温度・湿度の変化が検出された場合にも、画像形成装置は色合わせ調整の処理を行う。また顕著な色ずれが使用者によって確認された場合又はメンテナンス時に、使用者又はサービスマンによる色合わせ調整の指示を操作部56にて受け付けることにより、画像形成装置1は色合わせ調整の処理を行う。画像形成装置1は、多食画像を中間転写ベルト4上に形成する際には順にY,M,C,Kの順に各色画像を形成していくところを、色合わせ調整を行う際には、各色画像を同時に形成することによって、各色画像を形成する相対的な位置から感光体ドラム11間の距離等により定められる各色に応じた距離だけ離れた中間転写ベルト4上の位置に各色画像が形成される。
図4は、本発明の画像形成装置1が中間転写ベルト4上に形成するテスト画像の例を示す模式図である。図中の矢印は中間転写ベルト4の移動方向を示す。色合わせ調整を行うためのテスト画像は互いに離隔したKCMYの各色画像からなり、各色画像は、複数の線画像が中間転写ベルト4の移動方向に所定間隔で並んで構成される。ここで、各色の線画像の数をNとする。ブラックの線画像LK1,LK2,…,LKN、シアンの線画像LC1,LC2,…,LCN、マゼンタの線画像LM1,LM2,…,LMN、イエローの線画像LY1,LY2,…,LYNが順に中間転写ベルト4上に形成されている。
本発明においては、色合わせ調整を行うために検出センサ21を用いてテスト画像の位置を検出する際に、各色テスト画像に応じた分光特性を有する光を照射することによって各色テスト画像の位置を検出する。具体的には、K及びCの色画像に対して、赤色LED等で構成される第1照射部23から赤色光を照射し、赤色光の反射光を検出部25で検出することによってK及びCの色画像に含まれる各線画像の位置を検出する。またM及びYの色画像に対しては、青色LED等で構成される第2照射部24から青色光を照射し、青色光の反射光を検出部25で検出することによってM及びYの色画像に含まれる各線画像の位置を検出する。
まず、従来の方法でテスト画像を検出した検出結果を示す。図5は、中間転写ベルト4の表面に形成した各色画像を同一の光を用いて検出した検出結果を示す特性図である。図5(a)は、従来の画像形成装置と同様にテスト画像に赤外光を照射することによって得られた検出結果を示し、図5(b)は、赤色LED等を用いた赤色光を照射することによって得られた検出結果を示し、図5(c)は青色LED等を用いた青色光を照射することによって得られた検出結果を示す。図中の縦軸は検出部25での反射光の検出強度を示し、横軸は時間を示す。また図中のK,C,M,Yは、夫々K,C,M,Yの色画像に含まれる線画像に対応する検出結果であることを示している。また図5中には、中間転写ベルト4表面からの反射光の検出強度を波線で示している。
図5(a)に示す如く、KCMYの夫々のトナーは、中間転写ベルト4の表面よりも光の反射率が低いので、各色画像からの反射光の検出強度は中間転写ベルト4表面からの検出強度よりも減少した値で得られる。例えば中間転写ベルト4表面からの検出強度のレベルから色画像に対応する検出強度が立ち下がった時刻を計測することによって、各色画像の位置を検出する。赤外光に含まれる波長成分の内、各色画像が反射する波長成分の強度が異なるので、色画像の色に応じて各色画像に対応する検出強度が異なる。
また図5(b)に示す如く、照射光として赤色光を用いた場合は、赤色光はM及びYの色画像で反射される波長成分の強度が大であるので、M及びYの色画像に対応する検出強度は、中間転写ベルト4表面に対応する検出強度よりも増加した値で得られる。図5(b)には、Yの色画像に赤色光を照射した場合の検出強度を一点鎖線で示している。赤色光には、Cの色画像で反射される波長成分がほとんど含まれていないので、Cの色画像に対応する検出強度は中間転写ベルト4表面に対応する検出強度のレベルから大きく減少した量となる。
また図5(c)に示す如く、照射光として青色光を用いた場合は、青色光はCの色画像で反射される波長成分の強度が大であるので、Cの色画像に対応する検出強度は、中間転写ベルト4表面に対応する検出強度よりも増加した値で得られる。図5(c)には、Cの色画像に青色光を照射した場合の検出強度を一点鎖線で示している。青色光に含まれる波長成分の内、M及びYの色画像から反射される波長成分の強度は他の波長成分の強度よりも小であるので、M及びYの色画像に対応する検出強度は中間転写ベルト4表面に対応する検出強度のレベルから大きく減少した量となる。
このように、各色画像を形成する各色のトナーの光反射特性が異なっているので、同一の光を用いた場合は各色画像に対応する検出センサ21の検出強度が色に応じて変動する。このため、同一の光を用いる従来の方法では、検出センサ21の検出強度に基づいて各色画像を構成する各線画像の位置を検出する精度が低下する。
次に、本発明を用いてテスト画像を検出した検出結果を示す。図6は、中間転写ベルト4の表面に形成した各色画像を本発明を用いて検出した検出結果を示す特性図である。K及びCの色画像に対応する検出強度は、赤色光の反射光を検出部25で検出することにより、中間転写ベルト4表面に対応する検出強度のレベルから大きく減少した量で得られる。またM及びYの色画像に対応する検出強度は、青色光の反射光を検出部25で検出することにより、同様に中間転写ベルト4表面に対応する検出強度のレベルから大きく減少した量で得られる。このように、各色画像の光反射特性に応じた分光特性を有する光を照射して各色画像の位置を検出することにより、高精度で各色画像の位置を検出することが可能となる。
CPU51は、色合わせ調整の際に、検出センサ21の動作を制御し、検出センサ21の検出結果、各色画像に含まれる線画像の数、及び時計部55が計時する時間に基づいて、検出センサ21により光を照射される色画像がCからMへと変わるタイミングで、テスト画像へ光を照射する照射部を赤色光を照射する第1照射部23から青色光を照射する第2照射部24へ切り替えることによって、本発明を実現させる。CPU51は、検出センサ21の検出結果に基づいて、各色の対応する線画像間の距離を計測し、複数の線画像間距離を平均することによって、テスト画像内での各色画像間の距離を計測する。各色画像間の距離が、感光体ドラム11間の設計上の距離等によって定められている所定の距離と異なっている場合は、予め定められているタイミングで各色画像を形成した際に各色画像の位置がずれて色ずれが発生する。CPU51は、テスト画像内での各色画像間の距離に基づいて、多色画像を中間転写ベルト4上に形成する際に各色画像の位置が重なるように、各色画像を形成するタイミングを調整する。CPU51は、次に、タイミングの調整量を調整量記憶部54に記憶させる。以上で色合わせ調整が終了する。色合わせ調整を行った以降は、調整量記憶部54が記憶するタイミングの調整量に基づいたタイミングで各色画像を中間転写ベルト4上に形成することにより、色ずれのない多色画像が形成可能となる。
以上詳述した如く、本発明においては、色合わせ調整のために形成したテスト画像に含まれる各色画像を検出する際に、各色画像の光反射特性に応じた分光特性を有する光を照射することにより、各色画像に対応する反射光の検出出力を適正な値に定めることが可能となるので、反射光の検出出力に基づいて各色画像の位置を高精度に検出することが可能となる。従って、精度良く検出した色テスト画像の位置に基づいて、精度の良い色合わせ調整を行うことができる。
また本発明においては、光をテスト画像に照射する発光部を複数備え、夫々の発光部である第1照射部23と第2照射部24とが、赤色光と青色光とのように夫々に異なる分光特性を有する光を照射する構成としたので、互いに異なる分光特性を有する複数種類の光を容易に発生させることができる。
また本発明においては、複数の発光部である第1照射部23及び第2照射部24が照射する光の反射光を同一の検出部25で検出することにより、検出器が異なることによる検出誤差の発生を防止することができるので、複数種類の光の夫々に対応した色画像を精度良く検出することができる。
また本発明においては、K及びCの色画像に対して赤色光を照射し、M及びYの色画像に対して青色光を照射する等のように、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて他の波長成分の強度が大である光を各色画像に照射することにより、色画像の部分と色画像を形成していない下地の部分とからの反射光の検出強度の差が明確となるので、複数種類の光の夫々に対応した色画像を精度良く検出することができる。
なお、本実施の形態においては、K及びCの色画像に対して赤色光を照射し、M及びYの色画像に対して青色光を照射する例を示したが、検出センサ21をより多くの種類の光を発光可能な構成とし、Kの色画像に対して赤外光を照射し、Cの色画像に対して赤色光を照射し、Mの色画像に対して緑色光を照射し、Yの色画像に対して紫外光を照射する等、より色画像と下地との反射光の検出強度の差が明確となる照射光と色画像との組み合わせで色合わせ調整を行う形態であってもよい。また中間転写ベルト4の表面の光反射率が低い場合は、以上の例とは逆に、Cの色画像に対して青色光を照射し、M及びYの色画像に対して赤色光を照射する等のように、照射対象の色画像からの反射光が含む波長成分の強度が他の波長成分の強度に比べて大である光を各色画像に照射することにより、色画像と下地との反射光の検出強度の差が明確となる構成としてもよい。この構成においても、複数種類の光の夫々に対応した色画像を精度良く検出することが可能となる。
ところで、テスト画像が形成される中間転写ベルト4の表面状態は汚れ等により不安定であるので、図5に示す如く、中間転写ベルト4表面からの検出強度は不規則に変動している。従って、色画像を形成していない下地の部分である中間転写ベルト4表面からの反射光の検出強度は不安定であるので、各色画像に対応する検出強度の減少量も不安定となる。そこで、この問題を解決するために、本発明の画像形成装置1は、本発明の画像形成装置1は、反射光の検出強度を安定させるための下地画像を中間転写ベルト4上に一旦形成し、下地画像に重ねて形成した各色画像を検出する形態であってもよい。
図7は、下地画像に重ねて色画像を形成することによって画像形成装置1が中間転写ベルト4上に形成するテスト画像の例を示す模式図である。イエローの下地画像に重なって、ブラックの線画像LK1,LK2,…,LKNからなるKの色画像、及びシアンの線画像LC1,LC2,…,LCNからなるCの色画像が形成されている。更にシアンの下地画像に重なって、マゼンタの線画像LM1,LM2,…,LMNからなるMの色画像、及びイエローの線画像LY1,LY2,…,LYNからなるYの色画像が中間転写ベルト4上に形成されている。このように形成されたテスト画像に対し、画像形成装置1は、K及びCの色画像に対して赤色光を照射し、M及びYの色画像に対して青色光を照射することによって各色画像の検出を行う。
図8は、下地画像に重ねて形成した各色画像を本発明を用いて検出した検出結果を示す特性図である。図中には、中間転写ベルト4表面からの反射光の検出強度を波線で示している。図5(b)に示した如く、イエローのトナーで構成されたYの色画像は中間転写ベルト4の表面よりも赤色光の反射率が高いので、図8に示す如く、イエローの下地画像に赤色光を照射した反射光の検出強度は、中間転写ベルト4表面からの検出強度よりも増加した値で得られる。イエローのトナーで形成された下地画像の表面状態は中間転写ベルト4とは異なって安定しているので、イエローの下地画像に対応する検出強度は略一定で安定している。
同様に、図5(c)に示した如く、シアンのトナーで構成されたCの色画像は中間転写ベルト4の表面よりも青色光の反射率が高いので、図8に示す如く、シアンの下地画像に青色光を照射した反射光の検出強度は、中間転写ベルト4表面からの検出強度よりも増加した値で得られ、シアンの下地画像に対応する検出強度は略一定で安定している。
イエローの下地画像に重ねてK及びCの色画像が形成されているので、赤色光を照射することによるイエローの安定した検出強度からK及びCの各色画像に対応する検出強度が減少することにより、K及びCの色画像が検出される。またシアンの下地画像に重ねてM及びYの色画像が形成されているので、青色光を照射することによるシアンの安定した検出強度からM及びYの各色画像に対応する検出強度が減少することにより、M及びYの色画像が検出される。このように色画像の下地からの光の反射が安定するので、安定した精度で色画像を検出することができる。また下地画像、色画像及び照射光の組み合わせは、下地画像からの反射光が含む波長成分の強度が色画像からの反射光が含む波長成分の強度に比べて大である照射光を用いる組み合わせとすることにより、下地画像と色画像との反射光の検出強度差が大きくなるので、各色画像を精度良く検出することが可能となる。
なお本実施の形態においては、本発明の画像形成装置1は、中間転写ベルト4上に画像を形成し、中間転写ベルト4上の画像を記録用紙に転写することによって画像を形成する中間転写方式であるとしたが、これに限るものではなく、記録用紙に対して直接に画像を転写する直接転写方式の画像形成装置であってもよい。