JP2006137938A - 磁気ディスク用磁気ヘッド搬送トレイ用樹脂組成物及び搬送トレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で機械的強度、帯電防止機能に優れ、炭素繊維の脱落が生じない磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイの提供。
【解決手段】 ガラス転移温度が100℃以上及び/または融点が200℃以上の耐熱性樹脂、及び平均繊維径が50〜130nmの気相法炭素繊維を前記耐熱性樹脂100質量部に対し1〜30質量部含有し、体積抵抗値が1×102〜1×108Ωcmの範囲内にあることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物及びその組成物からなる搬送トレイ。
【選択図】 なし
【解決手段】 ガラス転移温度が100℃以上及び/または融点が200℃以上の耐熱性樹脂、及び平均繊維径が50〜130nmの気相法炭素繊維を前記耐熱性樹脂100質量部に対し1〜30質量部含有し、体積抵抗値が1×102〜1×108Ωcmの範囲内にあることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物及びその組成物からなる搬送トレイ。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ハードディスクドライブ用の磁気ヘッドを搭載し、磁気ヘッドを加工、洗浄、移送、保管等を行うための、耐熱性及び帯電防止性等に優れたトレイ用樹脂組成物及びその組成物を用いた磁気ディスク用磁気ヘッド搬送トレイに関する。
磁気ヘッド用のトレイには、帯電(静電気)防止性能が要求されるため、従来、これらのトレイは、例えばABS、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂に、帯電防止剤、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性付与成分を配合分散させた導電性樹脂組成物を成形することにより製造されている。
しかしながら、帯電防止剤を配合した組成物は、導電機構がイオン伝導であることに起因して、環境湿度の影響を受け易く、また、洗浄や長時間の使用により帯電防止剤が流出し、帯電防止性が低下し、また大量に添加すると耐熱性を損なう等の問題がある。
カーボンブラックや炭素繊維は湿度、洗浄等の影響は受けないものの、成形体からカーボン粒子や炭素繊維が脱落しやすく、磁気ヘッドを損傷するなどの問題がある。
カーボンブラックや炭素繊維は湿度、洗浄等の影響は受けないものの、成形体からカーボン粒子や炭素繊維が脱落しやすく、磁気ヘッドを損傷するなどの問題がある。
これに対して、導電性付与成分として平均繊維径200nm以下の炭素フィブリルを配合した場合には、成形体からの脱落による問題が軽減されることから、導電性付与成分としてこのような炭素フィブリル(カーボンナノファイバー)を用いることが、静電気防止対策として有効であると考えられている(特許文献1)。
しかしながら、炭素フィブリルは比表面積が大きく表面エネルギーが高いため、凝集体を生成しやすく、樹脂中に分散しにくく、導電性付与のためには比較的多くの配合量を必要とするが、炭素フィブリルは極めて高価であるため、製品のコストアップにつながる。炭素フィブリルの添加量を少なくすると、得られる成形体の導電性が不十分となるといった欠点がある。
したがって、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、安価で機械的強度、帯電防止機能に優れ、炭素繊維の脱落が生じない磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、導電性フィラーとして特定の気相法炭素繊維を用いることにより、上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物、それを用いた搬送トレイ及びそれらの製造方法に関する。
すなわち、本発明は以下の構成からなる磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物、それを用いた搬送トレイ及びそれらの製造方法に関する。
[1]ガラス転移温度が100℃以上及び/または融点が200℃以上の耐熱性樹脂、及び平均繊維径が50〜130nmの気相法炭素繊維を前記耐熱性樹脂100質量部に対し1〜30質量部含有し、体積抵抗値が1×102〜1×108Ωcmの範囲内にあることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物。
[2]耐熱性樹脂が、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びシクロオレフィンポリマーから選ばれる少なくとも1種である前記1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[3]耐熱性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイドまたはシクロオレフィンポリマーである前記1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[4]気相法炭素繊維の比表面積が10〜50m2/g、平均アスペクト比が65〜500である前記1記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[5]気相法炭素繊維の比表面積が15〜40m2/g、平均アスペクト比が100〜200である前記4に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[6]気相法炭素繊維の長さあたりの分岐数が0.3個/μm以下である前記1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[7]耐熱性樹脂に気相法炭素繊維を溶融混合する前記1〜6のいずれかに記載の搬送トレイ用樹脂組成物の製造方法であって、溶融混合時における前記気相法炭素繊維の破断を20%以下に抑えることを特徴とする搬送トレイ用樹脂組成物の製造方法。
[8]前記1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、アーム部品と、このアーム部品の先端に取り付けられたヘッドチップと、ヘッドチップに結線されたリード線とを有することを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ。
[9]熱伝導率が0.8W/mK以上である前記8に記載の搬送トレイ。
[10]少なくとも磁気ヘッドが搭載される部位の、カットオフ波長2.5mmの測定における十点平均粗さ(Rz)が10μm以下である前記8に記載の搬送トレイ。
[11]純水500ml中に、表面積100〜1000cm2のトレイを浸漬し、40KHzの超音波を60秒間印加したときに、トレイの表面から脱落する粒径1μm以上のパーティクルの数が該トレイの単位表面積当り5000pcs/cm2以下である前記8に記載の搬送トレイ。
[12]ヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの総アウトガス量が1μg/g以下、塩化メチレン発生量が0.1μg/g以下、及び炭化水素発生量が0.5μg/g以下である前記8に記載の搬送トレイ。
[13]前記1〜6のいずれかに記載の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物を射出成形により成形することを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイの製造方法。
[2]耐熱性樹脂が、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びシクロオレフィンポリマーから選ばれる少なくとも1種である前記1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[3]耐熱性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイドまたはシクロオレフィンポリマーである前記1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[4]気相法炭素繊維の比表面積が10〜50m2/g、平均アスペクト比が65〜500である前記1記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[5]気相法炭素繊維の比表面積が15〜40m2/g、平均アスペクト比が100〜200である前記4に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[6]気相法炭素繊維の長さあたりの分岐数が0.3個/μm以下である前記1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
[7]耐熱性樹脂に気相法炭素繊維を溶融混合する前記1〜6のいずれかに記載の搬送トレイ用樹脂組成物の製造方法であって、溶融混合時における前記気相法炭素繊維の破断を20%以下に抑えることを特徴とする搬送トレイ用樹脂組成物の製造方法。
[8]前記1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、アーム部品と、このアーム部品の先端に取り付けられたヘッドチップと、ヘッドチップに結線されたリード線とを有することを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ。
[9]熱伝導率が0.8W/mK以上である前記8に記載の搬送トレイ。
[10]少なくとも磁気ヘッドが搭載される部位の、カットオフ波長2.5mmの測定における十点平均粗さ(Rz)が10μm以下である前記8に記載の搬送トレイ。
[11]純水500ml中に、表面積100〜1000cm2のトレイを浸漬し、40KHzの超音波を60秒間印加したときに、トレイの表面から脱落する粒径1μm以上のパーティクルの数が該トレイの単位表面積当り5000pcs/cm2以下である前記8に記載の搬送トレイ。
[12]ヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの総アウトガス量が1μg/g以下、塩化メチレン発生量が0.1μg/g以下、及び炭化水素発生量が0.5μg/g以下である前記8に記載の搬送トレイ。
[13]前記1〜6のいずれかに記載の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物を射出成形により成形することを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイの製造方法。
本発明の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイは、導電性フィラーとして、耐熱性樹脂内に良好に分散することができ、少量の配合で所望の帯電防止性能が得られる特定の気相法炭素繊維を使用したものであり、導電性フィラーとしてカーボンブラックを用いた場合のように脱落が生じないため、磁気ヘッドの損傷が防止できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる耐熱性樹脂は、ガラス転移温度が100℃以上及び/または融点が200℃以上の耐熱性樹脂であり、この条件を満たすものであれば熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれもが使用可能である。具体的には、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、芳香族ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びシクロオレフィンポリマーから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの中でも、耐熱性、寸法精度及びコストの面で、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはシクロオレフィンポリマーが好ましい。
本発明で用いる耐熱性樹脂は、ガラス転移温度が100℃以上及び/または融点が200℃以上の耐熱性樹脂であり、この条件を満たすものであれば熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれもが使用可能である。具体的には、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、芳香族ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びシクロオレフィンポリマーから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの中でも、耐熱性、寸法精度及びコストの面で、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはシクロオレフィンポリマーが好ましい。
本発明で使用する気相法炭素繊維の平均繊維径は50〜130nmが好ましい。平均繊維径が50nmより小さくなると表面エネルギーが指数関数的に大きくなり、繊維同士の凝集力が急激に増大する。このような気相法炭素繊維を樹脂に単純に混練した場合、十分に分散されず、樹脂マトリックス中に凝集物が点在し、導電ネットワークを形成することができない。混練時に大きな剪断力を加えると、凝集物が破壊されてマトリックス中に分散させることができるが、凝集物が破壊するときに繊維の破断が進行し、所望の導電性を得ることができなくなる。また、平均繊維径が130nmを超えると、所望の導電性を得るためにより多くの炭素繊維を配合することが必要となり、機械的強度や他の物性に悪影響を及ぼす。
本発明で使用する気相法炭素繊維のアスペクト比は、好ましくは65〜500であり、より好ましくは100〜200である。
アスペクト比が大きくなる(すなわち、繊維長が長くなる)と繊維同士が絡まりあい、容易にほぐすことができなくなり、十分な分散が得られなくなる。一方、アスペクト比が65より小さくなると、導電性の連結骨格構造を形成するために10質量%以上のフィラーを添加しなければならず、樹脂の流動性や引張強度の低下が顕著になるので好ましくない。
アスペクト比が大きくなる(すなわち、繊維長が長くなる)と繊維同士が絡まりあい、容易にほぐすことができなくなり、十分な分散が得られなくなる。一方、アスペクト比が65より小さくなると、導電性の連結骨格構造を形成するために10質量%以上のフィラーを添加しなければならず、樹脂の流動性や引張強度の低下が顕著になるので好ましくない。
本発明で使用する気相法炭素繊維の分岐度は0.3個/μm以下が好ましい。より好ましくは0.2個/μm以下、さらに好ましくは0.1個/μm以下である。分岐度が0.3個/μmを超えると、炭素繊維が強固な凝集体を形成してしまい、少量で効率的な導電性付与が困難になる。
本発明で使用する気相法炭素繊維のX線回折法による平均面間隔d002は、好ましくは0.345nm以下、より好ましくは0.343nm以下、さらに好ましくは0.340nm以下である。平均面間隔d002が0.345nmを超えるものは、グラファイト結晶が十分発達していないため、炭素繊維単身の抵抗率は、結晶化したものに比べて10倍以上に増大する。さらに、樹脂などに混合した場合、炭素繊維/樹脂/炭素繊維間の電子の移動が困難になる。具体的には、グラファイト結晶が発達した炭素繊維に比べ、2倍以上のフィラー量を添加しなければ同程度の導電性を得ることができない。
本発明で使用する気相法炭素繊維のBET比表面積は、10〜50m2/gが好ましく、より好ましくは15〜40m2/gである。BET比表面積が大きくなると炭素繊維の表面エネルギーが大きくなり、付着・凝集力が強くなるため分散が困難になる。さらに、マトリックスと炭素繊維の界面積が大きくなり、マトリックスが十分に繊維を被覆することができなくなったり、炭素繊維のマトリックスからの剥離確率が増大する原因となる。その結果、樹脂との複合体を作製した場合、電気伝導性のみならず機械的強度の劣化を招くので好ましくない。
本発明で使用する気相法炭素繊維のラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)は、0.1〜1.4が好ましい。より好ましくは0.15〜1.3、さらに好ましくは0.2〜1.2である。
本発明で使用する上記の特性を有する気相法炭素繊維は、有機遷移金属化合物の存在下、炭素源(有機化合物)を熱分解することにより製造することができる。
炭素繊維の原料となる炭素源(有機化合物)は、トルエン、ベンゼン、ナフタレン、エチレン、アセチレン、エタン、天然ガス、一酸化炭素等のガス及びそれらの混合物も可能である。中でもトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素が好ましい。
有機遷移金属化合物は、触媒となる遷移金属を含む。遷移金属は、周期律表第4〜10の元素である。好ましい有機遷移金属化合物としてはフェロセン、ニッケロセン等が挙げられる。
炭素繊維の原料となる炭素源(有機化合物)は、トルエン、ベンゼン、ナフタレン、エチレン、アセチレン、エタン、天然ガス、一酸化炭素等のガス及びそれらの混合物も可能である。中でもトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素が好ましい。
有機遷移金属化合物は、触媒となる遷移金属を含む。遷移金属は、周期律表第4〜10の元素である。好ましい有機遷移金属化合物としてはフェロセン、ニッケロセン等が挙げられる。
熱分解反応雰囲気下で、遷移金属触媒粒子表面に吸着した水素などのガスを効率的に除去し、触媒活性を高めるための助触媒として、硫黄、チオフェンなどの硫黄化合物を用いることができる。
水素などの還元性ガスをキャリアガスに用い、上記有機化合物と有機遷移金属化合物、及び硫黄化合物を800〜1300℃に加熱した反応炉へ供給し、熱分解反応させて炭素繊維を得る。
原料の形態としては、芳香族炭化水素に有機遷移金属化合物および硫黄化合物を溶解させたものや、500℃以下で気化させたものを用いることができる。しかし、液体原料の場合、反応管壁において原料の気化・分解が起き、反応管内に局所的に原料濃度分布が生じるため、生成した炭素繊維同士が凝集する傾向を示す。したがって、原料の形態としては、反応管中における原料濃度を一定化した気化原料が好ましい。
遷移金属触媒と硫黄化合物助触媒比(遷移金属/(遷移金属+硫黄))としては15〜35質量%が好ましい。15質量%以下の場合、触媒活性が高まり、繊維の分岐数が増大したり、放射状に繊維が生成したりする等、繊維同士の相互作用が増加して強固な凝集体を形成するため好ましくない。また、35質量%以上の場合、触媒に吸着した水素を十分除去できないため、触媒への炭素源供給が阻害され炭素繊維以外の炭素粒子が発生するため好ましくない。
炭素繊維の分岐数および凝集体のほぐれ具合は、合成時の原料濃度により決定される。すなわち、気相中の原料濃度が高いと、生成した炭素繊維表面に触媒粒子の不均一な核が発生し、炭素繊維表面からさらに炭素繊維が生成し、樹氷状の炭素繊維が形成される。また、高濃度で生成した炭素繊維同士が絡み合い、容易にほぐすことができない。したがって、反応管中の原料供給量とキャリアガス流量の比は、1g/リットル以下が好ましく、0.5g/リットルがより好ましく、0.2g/リットルがさらに好ましい。
炭素繊維表面に付着したタールなどの有機物を除去するために不活性雰囲気中で900〜1300℃で熱処理することが好ましい。炭素繊維の導電率を向上させるためには、さらに不活性雰囲気下で2000〜3500℃で熱処理を行い、結晶を発達させることが好ましい。
結晶を発達させるために使用する熱処理炉は、2000℃以上、好ましくは2300℃以上の所望する温度に保持できる炉であればよく、通常の、アチソン炉、抵抗炉、高周波炉他の何れの装置でもよい。また、場合によっては、粉体または成形体に直接通電して加熱する方法も使用できる。
熱処理の雰囲気は非酸化性の雰囲気、好ましくはアルゴン、ヘリウム、ネオン等の1種もしくは2種以上の希ガス雰囲気がよい。熱処理の時間は、生産性の面からは出来るだけ、短い方が好ましい。長時間加熱を続けると、焼結し固まってくるので、製品収率も悪化する。従って、成形体等の中心部の温度が目標温度に達した後、その温度に10分〜1時間保持すれば十分である。
炭素繊維の結晶をさらに発達させ、導電性を向上させるために、不活性雰囲気下で2000〜3500℃で加熱する黒鉛化処理を行う際に、炭化ホウ素(B4C)、酸化ホウ素(B2O3)、元素状ホウ素、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩等のホウ素化合物を混合してもよい。
ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するため一概に規定できないが、例えば炭化ホウ素(B4C)を使用した場合には、炭素繊維に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲がよい。
ホウ素化合物との熱処理により、炭素繊維の炭素の結晶性が向上し、導電性が向上する。炭素繊維の結晶内あるいは結晶表面に含まれるホウ素量としては0.01〜5質量%がよい。炭素繊維の導電性や樹脂との親和性を改善するには、より好ましくは0.1質量%以上のホウ素が必要である。また、グラフェンシートに置換し得るホウ素量は3質量%程度であり、それ以上特に5質量%以上のホウ素はホウ素炭化物やホウ素酸化物として存在し、導電性の低下の要因となり得るので好ましくない。
また、炭素繊維と樹脂との親和性を向上させるために炭素繊維を酸化処理して繊維表面にフェノール性水酸基、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基を導入することもできる。さらに、シラン系あるいはチタネート系、アルミニウム系、リン酸エステル系のカップリング剤等により、表面処理を施してもよい。
本発明の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイのための樹脂組成物は、上記の耐熱性樹脂及び気相法炭素繊維を含む。
気相法炭素繊維の配合量は、耐熱性樹脂100質量部に対し1〜30質量部であり、3〜15質量部が好ましい。気相法炭素繊維の配合量が1質量部未満だと、導電性ネットワークの形成が困難であり、所望の導電性が得られない。一方、30質量%を超えると、特に衝撃特性の低下が顕著になる。
気相法炭素繊維の配合量は、耐熱性樹脂100質量部に対し1〜30質量部であり、3〜15質量部が好ましい。気相法炭素繊維の配合量が1質量部未満だと、導電性ネットワークの形成が困難であり、所望の導電性が得られない。一方、30質量%を超えると、特に衝撃特性の低下が顕著になる。
以上の各成分を混合・混練する際には、気相法炭素繊維の破断を極力抑えることが好ましい。具体的には、気相法炭素繊維の破断率を20%以下に抑えることが好ましく、15%以下が更に好ましく、10%以下が特に好ましい。破断率は、混合・混練の前後での炭素繊維のアスペクト比(例えば電子顕微鏡(SEM)写真像により測定)を比較することにより評価できる。
気相法炭素繊維の破断を極力抑えた混合・混練を行うには、例えば、以下のような手法を用いることができる。
気相法炭素繊維の破断を極力抑えた混合・混練を行うには、例えば、以下のような手法を用いることができる。
一般に、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に無機フィラーを溶融混練する場合、凝集した無機フィラーに高せん断力を加え、無機フィラーを破壊し、微細化して、溶融樹脂中へ無機フィラーを均一に分散させる。高せん断力を発生させる混練機としては、石臼機構を利用したものや、同方向2軸押出機でスクリューエレメント中に高せん断力のかかるニーディングディスクを導入したものが数多く使用されている。しかし、このような混練機を使用すると、混練工程中に気相法炭素繊維が破断してしまう。また、せん断力の弱い単軸押出機の場合は、繊維の破断は抑えられるが、繊維の分散が均一にならない。したがって、繊維の破断を抑えながら、均一な分散を図るためには、ニーディングディスクを使用しない同方向2軸押出機でせん断力を低減したり、加圧ニーダーのような、高せん断力がかからなくて、時間を掛けて分散が達成できるものや、単軸押出機において特殊なミキシングエレメントを使用することが望ましい。
また、無機フィラーを樹脂中に充填するためには、溶融樹脂に対する無機フィラーの濡れ性が重要であり、無機フィラーを溶融樹脂中に導入する場合、溶融樹脂と無機フィラーの界面に相当する面積を増すことが不可欠である。濡れ性を向上させる方法としては、例えば、気相法炭素繊維の表面を酸化処理する方法がある。
本発明で使用する気相法炭素繊維が、嵩比重として0.01〜0.1g/cm3程度のふわふわした状態のものの場合には、空気を巻き込みやすいため、通常の単軸押出機や同方向2軸押出機では脱気が難しく、充填に困難を伴う。このような場合には、充填性が良好で、繊維の破断を極力抑える混練機として、バッチ式の加圧ニーダーが好ましい。バッチ式加圧ニーダーで混練したものは、固化する前に単軸押出機に投入して、ペレット化することができる。
本発明の搬送用トレイ用樹脂組成物は、気相法炭素繊維の物性及びその配合量等を調整することにより、磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイに適した体積固有抵抗値:1×102〜1×108Ωcm、好ましくは1×103〜1×108Ωcm、より好ましくは1×104〜1×107Ωcmとすることができ、表面抵抗値としては1×102〜1×1010Ω/□、好ましくは1×104〜1×108Ω/□とすることができる。
抵抗値を上記範囲に調整できることにより、耐電防止性に優れるだけでなく、磁気ヘッドとトレイとの接触により、磁気ヘッドに過大な接触電流が流れることを防止することができる。
抵抗値を上記範囲に調整できることにより、耐電防止性に優れるだけでなく、磁気ヘッドとトレイとの接触により、磁気ヘッドに過大な接触電流が流れることを防止することができる。
前記各成分を混合分散させて組成物とした後、これを搬送用トレイに成形する。成形は一般的な方法で行うことができる。具体的には上記の方法により得られた樹脂組成物を各種の溶融成形法で成形する。成形方法としては、プレス成形、押し出し成形、真空成形、ブロー成形、射出成形などを挙げることができるが、中でも射出成形が好ましい。
射出成形方法としては、一般的な射出成形法の他に、インサート射出成形法による金属部品、その他の部品との一体成形や、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法等の各種成形法を用いることができる。射出成形においては、樹脂温度、金型温度、成形圧力によって製品の表面抵抗値が変化するので、適切な条件を設定する必要がある。
射出成形法における金型のキャビティより樹脂組成物を注入する際のゲート(注入口)としては、サイドゲート、フィルムゲート、サブマリンゲート、ピンゲート等を使用することができる。これらのゲートの断面積としては、0.2mm2以上が望ましい。
中でも成形後にゲート処理が不要なピンゲートが生産性の点で望ましいが、その場合には、ピンゲートの直径が0.5〜3mm、特に1.0〜2.5mmであることが望ましい。ピンゲートのゲート直径は、樹脂が金型内に十分に充填できる範囲内であれば、小さい方が望ましく、一般的に0.2〜0.5mmである。しかしながら、ゲート径(断面積)が小さいと、ゲート部分を樹脂組成物が流れる際に、過度の剪断を受けるため、気相法炭素繊維による導電性ネットワークの破壊が起こりやすい。一方、ゲート径が大き過ぎると、成形体のゲート部の切れが悪化して仕上がりが悪くなる。
中でも成形後にゲート処理が不要なピンゲートが生産性の点で望ましいが、その場合には、ピンゲートの直径が0.5〜3mm、特に1.0〜2.5mmであることが望ましい。ピンゲートのゲート直径は、樹脂が金型内に十分に充填できる範囲内であれば、小さい方が望ましく、一般的に0.2〜0.5mmである。しかしながら、ゲート径(断面積)が小さいと、ゲート部分を樹脂組成物が流れる際に、過度の剪断を受けるため、気相法炭素繊維による導電性ネットワークの破壊が起こりやすい。一方、ゲート径が大き過ぎると、成形体のゲート部の切れが悪化して仕上がりが悪くなる。
また、本発明の樹脂組成物は流動性がよく金型の転写性が良好である。上述のようにゲートが比較的大きいと更に転写しやすくなる。かかる成形体の金型においては、パーティング面に対して80〜100度(垂直に近い)の角度を有する平面部位の表面が滑らかであることが望ましい。
パーティング面に垂直に近い面の表面粗さが粗いと、これを樹脂が転写し、金型から製品を取出す際に必要な力が大きくなり、成形体の破損などの不具合が生じる。従って、このパーティング面に対して垂直に近い面の表面粗さは、カットオフ波長2.5mmの測定における10点平均粗さ(Rz)で10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
搬送用トレイはトレイから発生するガスにより磁気ヘッドを腐食損傷させることがあるが、本発明の搬送用トレイはこのようなガスの発生量が少ないものが好ましい。具体的にはヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.8cm2からの総アウトガス量が1μg/g以下、さらには0.5μg/g以下、塩化メチレン発生量が0.1μg/g以下、さらには0.02μg/g以下、炭化水素発生量が0.5μg/g以下、さらには0.2μg/g以下であることが好ましい。ここで、炭化水素としては、例えば樹脂の製造において使用されるn−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。このようなトレイを得るためには、樹脂組成物の製造時に揮発成分を脱気するか、重合溶媒を使用しない製造方法で重合された耐熱性樹脂を使用することが望ましい。
本発明の搬送用トレイは、純水500ml中に、表面積100〜1000cm2のトレイを浸漬し、40KHzの超音波を60秒間印加したときに、トレイの表面から脱落する粒径1μm以上のパーティクルの数(パーティクル発生量)が5000pcs/cm2以下であるような、表面の均一性、安定性に優れたものが好ましい。このようなトレイであれば、ひっかきや摩耗、洗浄により脱落するパーティクルによる磁気ヘッドの物理的ないし化学的な汚染や損傷を防止することができる。
パーティクル発生量が5000pcs/cm2を超えると、ひっかきや摩擦、洗浄時に脱落したパーティクルによる汚染や損傷が発生する。本発明では、特に、パーティクル発生量は1000pcs/cm2以下であることが好ましい。
パーティクル発生量が5000pcs/cm2を超えると、ひっかきや摩擦、洗浄時に脱落したパーティクルによる汚染や損傷が発生する。本発明では、特に、パーティクル発生量は1000pcs/cm2以下であることが好ましい。
本発明の搬送用トレイは、熱伝導率を0.8W/mK以上とすることができる。熱伝導率が0.8W/mK以上となることにより、その放熱性により熱処理工程及び熱処理工程後のハンドリング時のトレイの変形および傷付き性が大幅に改善される。
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜9
表1に実施例及び比較例組成物の配合条件を示す。表1に従って樹脂及び導電性フィラーを溶融混練し、その混練物を射出成形して体積固有抵抗測定用の平板を作成した。
使用した樹脂、導電性フィラー、混練条件、成形条件、評価方法の詳細を以下に示す。また、各実施例及び比較例で得られたサンプルについての体積固有抵抗、凝集塊の有無、破断率、熱伝導率、十点平均粗さ、アウトガス量、及びパーティクルの脱離量を表1に併せて示す。
また、実施例3で得られた導電性樹脂組成物の電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を図1に示す。
表1に実施例及び比較例組成物の配合条件を示す。表1に従って樹脂及び導電性フィラーを溶融混練し、その混練物を射出成形して体積固有抵抗測定用の平板を作成した。
使用した樹脂、導電性フィラー、混練条件、成形条件、評価方法の詳細を以下に示す。また、各実施例及び比較例で得られたサンプルについての体積固有抵抗、凝集塊の有無、破断率、熱伝導率、十点平均粗さ、アウトガス量、及びパーティクルの脱離量を表1に併せて示す。
また、実施例3で得られた導電性樹脂組成物の電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を図1に示す。
[使用した熱可塑性樹脂]
イ)ポリカーボネート樹脂(PC):帝人化成(株)製パンライト(登録商標)L−1225L。
ロ)変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m−PPE):日本GEプラスチックス(株)製ノリル(登録商標)534。
イ)ポリカーボネート樹脂(PC):帝人化成(株)製パンライト(登録商標)L−1225L。
ロ)変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m−PPE):日本GEプラスチックス(株)製ノリル(登録商標)534。
[混練方法]
池貝製同方向2軸押出機(PCM30)を使用した。PCの混練温度は270℃、及びm−PPEは260℃で実施した。
池貝製同方向2軸押出機(PCM30)を使用した。PCの混練温度は270℃、及びm−PPEは260℃で実施した。
[成形方法]
住友重機(株)製サイキャップ型締力75トン射出成形機を使用して、平板(100×100×2mm厚)を成形した。PCの成形温度は280℃、m−PPEは270℃で実施した。
住友重機(株)製サイキャップ型締力75トン射出成形機を使用して、平板(100×100×2mm厚)を成形した。PCの成形温度は280℃、m−PPEは270℃で実施した。
[気相法炭素繊維]
イ)VGCF(登録商標):昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:150nm、平均繊維長:10μm、比表面積:13m2/g、アスペクト比:67、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:33)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ロ)VGCF−S:昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:100nm、平均繊維長:11μm、比表面積:20m2/g、アスペクト比:110、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:50)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ハ)VGNF(登録商標):昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:80nm、平均繊維長:10μm、比表面積:25m2/g、アスペクト比:125、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:63)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ニ)カーボンナノチューブ(CNT:中空炭素フィブリル):ハイペリオンキャタリシス(株)製PCマスターバッチ(RMB6015−00:CNT15質量%含有)を使用した。CNTの平均繊維径は10nm、平均繊維長は5μm、比表面積は250m2/g(カタログ値)、アスペクト比は500である。
イ)VGCF(登録商標):昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:150nm、平均繊維長:10μm、比表面積:13m2/g、アスペクト比:67、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:33)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ロ)VGCF−S:昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:100nm、平均繊維長:11μm、比表面積:20m2/g、アスペクト比:110、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:50)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ハ)VGNF(登録商標):昭和電工製気相法炭素繊維(平均繊維径:80nm、平均繊維長:10μm、比表面積:25m2/g、アスペクト比:125、I0=0.2)を使用した。また、平均繊維長5μm(アスペクト比:63)については、ジェットミル粉砕により調整した。
ニ)カーボンナノチューブ(CNT:中空炭素フィブリル):ハイペリオンキャタリシス(株)製PCマスターバッチ(RMB6015−00:CNT15質量%含有)を使用した。CNTの平均繊維径は10nm、平均繊維長は5μm、比表面積は250m2/g(カタログ値)、アスペクト比は500である。
[カーボンブラック]
KB(ケッチェンブラック)EC600JD:ライオン(株)製を使用した。比表面積800m2/g。
KB(ケッチェンブラック)EC600JD:ライオン(株)製を使用した。比表面積800m2/g。
[評価物性の測定方法]
イ)体積固有抵抗:JIS K7194に準拠し、四探針法により測定した。
イ)体積固有抵抗:JIS K7194に準拠し、四探針法により測定した。
ロ)炭素繊維の凝集塊:フィルム状サンプルの破断面を電子顕微鏡(SEM)により観察し(2000倍)、繊維の凝集した塊の有無について以下の基準により評価した。
凝集塊のサイズ(長径)
○:0.5μm未満、
△:0.5〜5μm未満、
×:5μm超。
凝集塊のサイズ(長径)
○:0.5μm未満、
△:0.5〜5μm未満、
×:5μm超。
ハ)炭素繊維の破断率(%):以下の式により求めた。
炭素繊維の破断率(%)={1−(組成物成形品の炭素繊維のアスペクト比/混合・混
練する前の炭素繊維のアスペクト比)}×100
ここで、アスペクト比は、電子顕微鏡SEM観察により測定、算出した。
炭素繊維の破断率(%)={1−(組成物成形品の炭素繊維のアスペクト比/混合・混
練する前の炭素繊維のアスペクト比)}×100
ここで、アスペクト比は、電子顕微鏡SEM観察により測定、算出した。
ニ)ラマン散乱スペクトル:1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I0=I1360/I1580)で測定した。
ホ)熱伝導率:京都電子工業(株)製迅速熱伝導率計を使用し、熱線法で測定した。
へ)十点平均粗さ(Rz):
東京精密社製の表面粗さ計「サーフコム」を使用して、カットオフ波長2.5mm、測定長5mm、測定スピード0.3mm/sにて、粗さ曲線の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和より算出した。
東京精密社製の表面粗さ計「サーフコム」を使用して、カットオフ波長2.5mm、測定長5mm、測定スピード0.3mm/sにて、粗さ曲線の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和より算出した。
ト)パーティクル脱離
純水500ml中に、100mm×100mm×2mmの平板サンプルを浸漬し、40KHzの超音波を60秒間印加した。その後、抽出した純水を液中パーティクルカウンターにて吸引し、粒径1μm以上の数量を測定した。
純水500ml中に、100mm×100mm×2mmの平板サンプルを浸漬し、40KHzの超音波を60秒間印加した。その後、抽出した純水を液中パーティクルカウンターにて吸引し、粒径1μm以上の数量を測定した。
チ)アウトガス測定
ヘッドスペースガスクロマトグラムを用いて、特開2001−118222に記載の方法に従って、n−ヘプタン、塩化メチレン及び総アウトガスの量を測定した。具体的な測定方法は以下の通りである。
トレイより分析サンプルとして22mm×10mm×3mmのサンプルを2ピース(総表面積12.6cm2)切り出して、内部標準物質としてn−オクタンを10μL添加した容量22mLのバイアル中で、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件でガスを抽出した。バイアル中に発生したガスをガスクロマトグラム(GC/MS)にて測定した。このときの測定条件は以下の通りである。
ヘッドスペースガスクロマトグラムを用いて、特開2001−118222に記載の方法に従って、n−ヘプタン、塩化メチレン及び総アウトガスの量を測定した。具体的な測定方法は以下の通りである。
トレイより分析サンプルとして22mm×10mm×3mmのサンプルを2ピース(総表面積12.6cm2)切り出して、内部標準物質としてn−オクタンを10μL添加した容量22mLのバイアル中で、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件でガスを抽出した。バイアル中に発生したガスをガスクロマトグラム(GC/MS)にて測定した。このときの測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所社製「GC/MS QP5050」、
カラム:CHROMPAK PORAPLOT Q 0.32mm×25m、
カラム温度:35〜240℃(10℃/min)、
注入口温度:230℃、
インターフェース温度:280℃、
トレイガス:ヘリウム、
注入口圧力:100KPas、
全流量:60mL/min、
注入量:2mL。
カラム:CHROMPAK PORAPLOT Q 0.32mm×25m、
カラム温度:35〜240℃(10℃/min)、
注入口温度:230℃、
インターフェース温度:280℃、
トレイガス:ヘリウム、
注入口圧力:100KPas、
全流量:60mL/min、
注入量:2mL。
総アウトガス量、塩化メチレン発生量及びn−ヘプタン発生量の算出方法は以下の通りである。
総アウトガス量(μg/g)=(サンプル総ピーク面積−ブランク総ピーク面積)/(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの質量(g))×1/(サンプル質量(g))
塩化メチレン発生量(μg/g)=(塩化メチレンピーク面積)/(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの質量(g))×1/(サンプル質量(g))、
ヘプタン発生量(μg/g)=(ヘプタンピーク面積)/(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの質量(g))×1/(サンプル質量(g))。
総アウトガス量(μg/g)=(サンプル総ピーク面積−ブランク総ピーク面積)/(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの質量(g))×1/(サンプル質量(g))
塩化メチレン発生量(μg/g)=(塩化メチレンピーク面積)/(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの質量(g))×1/(サンプル質量(g))、
ヘプタン発生量(μg/g)=(ヘプタンピーク面積)/(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの質量(g))×1/(サンプル質量(g))。
Claims (13)
- ガラス転移温度が100℃以上及び/または融点が200℃以上の耐熱性樹脂、及び平均繊維径が50〜130nmの気相法炭素繊維を前記耐熱性樹脂100質量部に対し1〜30質量部含有し、体積抵抗値が1×102〜1×108Ωcmの範囲内にあることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物。
- 耐熱性樹脂が、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及びシクロオレフィンポリマーから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
- 耐熱性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイドまたはシクロオレフィンポリマーである請求項1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
- 気相法炭素繊維の比表面積が10〜50m2/g、平均アスペクト比が65〜500である請求項1記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
- 気相法炭素繊維の比表面積が15〜40m2/g、平均アスペクト比が100〜200である請求項4に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
- 気相法炭素繊維の長さあたりの分岐数が0.3個/μm以下である請求項1に記載の搬送トレイ用樹脂組成物。
- 耐熱性樹脂に気相法炭素繊維を溶融混合する請求項1〜6のいずれかに記載の搬送トレイ用樹脂組成物の製造方法であって、溶融混合時における前記気相法炭素繊維の破断を20%以下に抑えることを特徴とする搬送トレイ用樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、アーム部品と、このアーム部品の先端に取り付けられたヘッドチップと、ヘッドチップに結線されたリード線とを有することを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ。
- 熱伝導率が0.8W/mK以上である請求項8に記載の搬送トレイ。
- 少なくとも磁気ヘッドが搭載される部位の、カットオフ波長2.5mmの測定における十点平均粗さ(Rz)が10μm以下である請求項8に記載の搬送トレイ。
- 純水500ml中に、表面積100〜1000cm2のトレイを浸漬し、40KHzの超音波を60秒間印加したときに、トレイの表面から脱落する粒径1μm以上のパーティクルの数が該トレイの単位表面積当り5000pcs/cm2以下である請求項8に記載の搬送トレイ。
- ヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの総アウトガス量が1μg/g以下、塩化メチレン発生量が0.1μg/g以下、及び炭化水素発生量が0.5μg/g以下である請求項8に記載の搬送トレイ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイ用樹脂組成物を射出成形により成形することを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送トレイの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005297403A JP2006137938A (ja) | 2004-10-12 | 2005-10-12 | 磁気ディスク用磁気ヘッド搬送トレイ用樹脂組成物及び搬送トレイ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008260187A (ja) * | 2007-04-11 | 2008-10-30 | Yamato Esuron Kk | 導電性樹脂積層シート及び非帯電樹脂容器 |
JP2014051604A (ja) * | 2012-09-07 | 2014-03-20 | Yuka Denshi Co Ltd | 導電性熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
-
2005
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JP4651638B2 (ja) * | 2007-04-11 | 2011-03-16 | ヤマトエスロン株式会社 | 導電性樹脂積層シート及び非帯電樹脂容器 |
JP2014051604A (ja) * | 2012-09-07 | 2014-03-20 | Yuka Denshi Co Ltd | 導電性熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
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