JP2006137107A - 安全タイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤが外傷によってパンク状態となった時点から例えばタイヤ修理を行うことが出来る場所までの、最低限の移動を安全かつ確実に実現する安全タイヤを製造するための方法について提案する
【解決手段】 タイヤをリムに装着し、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子の多数を配置して安全タイヤを製造するに当たり、大気圧下での30℃における湿度(水蒸気含有率)を70%以下に調整した気体をタイヤ気室内に充填する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、タイヤが外傷によってパンク状態となった時点からタイヤ修理を行うことが出来る場所までの、最低限の移動を安全かつ確実に実現する安全タイヤ、特に汎用のタイヤと汎用のリムとの組み合わせにて実現でき、タイヤ受傷前の常用走行における耐久性、乗り心地性、省燃費性および汎用性に優れ、かつ生産性を犠牲にせずに低コストでパンク時の走行安全性を提供できる安全タイヤの製造方法に関するものである。
空気入りタイヤ、例えば乗用車用タイヤにおいては、タイヤ内部にゲージ圧で150kPaから250kPa程度の圧力下に空気を封じ込めて、タイヤのカーカスおよびベルト等のタイヤ骨格部に張力を発生させ、この張力によって、タイヤへの入力に対してタイヤの変形並びにその復元を可能としている。すなわち、タイヤの内圧が所定の範囲に保持されることによって、タイヤの骨格に一定の張力を発生させて、荷重支持機能を付与するとともに、剛性を高めて、駆動、制動および旋回性能などの、車両の走行に必要な基本性能を付与している。
ところで、この所定の内圧に保持されたタイヤが外傷を受けると、この外傷を介して高圧の空気が外部に漏れ出してタイヤ内圧が大気圧まで減少する、いわゆるパンク状態となるため、タイヤ骨格部に発生させていた張力はほとんど失われることになる。すると、タイヤに所定の内圧が付与されることによって得られる、荷重支持機能や、駆動、制動および旋回性能も失われる結果、そのタイヤを装着した車両は走行不能に陥るのである。
そこで、パンク状態においても走行を可能とする、いわゆる安全タイヤについて多くの提案がなされている。例えば、自動車用の空気入り安全タイヤ及びリム組立体としては、二重壁構造を有するもの、タイヤ内に荷重支持装置を配設したもの、タイヤサイド部を補強したものなど種々のタイプのものが提案されている。これらの提案の内、実際に使用されている技術としては、タイヤのサイドウォール部を中心にショルダー部からビ−ド部にかけての内面に比較的硬質のゴムからなる三日月状のサイド補強層を設けたタイヤがあり、この手法は主にへん平比が60%以下の、いわゆる『ランフラットタイヤ』に適用されている。
しかし、サイド補強層を追加する手法は、タイヤ重量を30%から40%も増加させ、またタイヤのヒステリシスロスも増加するため、転がり抵抗の大幅な悪化による省燃費性の悪化を避けられない。さらに、上記タイヤ重量の増加は車両のバネ下重量増加につながり、タイヤのバネ定数増加と相まって通常走行時の乗り心地性低下をまねく不利がある。また、タイヤのバネ定数増加によりサスペンションに入る走行入力が増加するため、車両の足回りの耐久性を向上させる設計変更が必要となる。従って、該タイヤを既存車両に補修用として装着すると、足回りの耐久性が不足しているために故障を招く危険がある。また、パンク後にランフラット走行するとサイド補強層の自己発熱により熱老化してしまうため、パンク受傷部の修理による再利用は基本的に対応できず廃棄せざるを得ないため、経済性および環境負荷の面からも、未だ汎用性に乏しい技術である。
一方、タイヤ断面高さの高い、へん平比が60%以上の空気入りタイヤにおいては、比較的高速かつ長距離の走行によるサイドウォール部の発熱を避けるために、リムに中子などの内部支持体を固定してパンク時の荷重を支持する構造とした、ランフラットタイヤが提案されている。
しかし、パンク後のランフラット時にタイヤと内部支持体との間で発生する、局所的な繰り返し入力にタイヤが耐えることができずに、結果としてパンク後の走行距離は100〜200km程度に限定されている。またパンク後のランフラット走行により、タイヤおよび内部支持体は大きなダメージを受けるために、再利用性が低く経済性および環境負荷の面からの不利は否めない。
加えて、内部支持体をタイヤ内部に配置してからタイヤをリムに組み付ける作業は、煩雑で長時間を要することも問題である。この点、リムの幅方向一端側と他端側とのリム径に差を設けて、内部支持体を挿入し易くした工夫も提案されているが、特殊な専用リム組み機を必要とするためインフラの再整備、組み付け作業者の特別教育などが必須なため、いまだ汎用性に乏しく、サービスを提供していくには課題が多い。また従来のタイヤとリムの組立体に比して、内部支持体が追加されることにより、トータル重量が30〜40%も増加してしまうため、上述のサイド補強タイプと同様の不利がある。
なお、サイド補強タイプや内部支持体をそなえるタイプのパンク後走行距離を延ばすには、骨格材を追加してタイヤ構造をより重厚にすることが考えられるが、骨格材を追加した分、通常使用時の転がり抵抗や乗り心地性がさらに悪化するため、この手法を採用することは現実的ではない。
その一方で、タイヤ受傷による内圧低下に対する対応力や、パンク後の走行能力が充分でないものの、前述のサイド補強タイプや内部支持体タイプほど通常走行での性能を悪化させない手段がある。
その1つ目は、いわゆるシーラントタイヤである。タイヤ内面に粘着性の高い層を配置し、タイヤに刺さった異物が抜ける時に受傷部を粘着層にて閉塞するものである。しかしこのタイプは、あくまで受傷タイヤの内圧低下を遅延させるものであり、駐車中にタイヤ内圧がゼロになった場合などではその後の走行(いわゆるランフラット走行)は出来ない。よってその後の走行のためには、スペアタイヤが必須であり、その場での交換作業が必要となる。また、異物近傍の粘着層が熱老化による硬化を起こすことがあり傷止能力の信頼性に欠けるため、実用性は充分ではない。
二つ目は、パンク修理剤である。粘着性のシール液と電動ポンプにより構成され、受傷後のタイヤを応急的に修理するものである。このものは、あくまで駐車中にタイヤ内圧がゼロになった場合、かつその事実に気がついた場合に、上述の修理によりその後の走行が可能となる。しかし、修理するためには安全な場所を選ばねばならず、特に冬季の氷雪路面上や治安の悪い市街地内では、命の危険にさらされる状況がありうるため、パンク修理のための路上駐車は出来るだけ避けるべきであり、安全な駐車場内などでのパンクトラブル時に限定的に用いられる手段といえる。
一方で走行中に受傷部からタイヤ内圧が徐々に抜けていく場合には、その異常にドライバーが気付かない限り、いつタイヤ内圧がゼロとなり走行不能に陥るか判らない中で走行することとなるため、実際にはきわめて危険な走行状況が続くこととなり、安全面から充分な技術とはいえない。
また、タイヤとこれに組付けるリムとの組立体の内部空洞へ独立気泡を有する発泡体を充填したタイヤが、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4などに記載されている。これらに提案されたタイヤは、主に農耕用タイヤ、ラリー用タイヤ、二輪車用タイヤおよび自転車用タイヤなど特殊な、または小型のタイヤに限定されるものである。従って、乗用車用タイヤやトラックおよびバス用タイヤなどのように、走行速度が高く、長期間の使用に耐え、とりわけ転がり抵抗や乗り心地性を重視するタイヤへの適用は未知数であった。そしていずれの発泡体も発泡倍率が低いために、気泡を有する発泡体のわりには重量が大きく、振動乗り心地性や燃費の悪化を避けられない上、その独立気泡内部は大気圧であるため、従来タイヤの高圧空気の代替とするには機能的に不十分であった。
さらに、特許文献5には、発泡体充填材を内周部に挿入したパンクレスタイヤが開示されているが、気泡内圧が大気圧に極めて近いことによる不利に加え、発泡体がウレタン系材料であるために、ウレタン基の分子間水素結合に起因するエネルギーロスが大きく、自己発熱性が高い。よって、ウレタン発泡体をタイヤ内に充填した場合、タイヤ転動時のくり返し変形により、発泡体が発熱し大幅に耐久性が低下する。また、気泡を独立して形成するのが難しい素材を用いているため、気泡が連通しやすく気体を保持することが難しいため、所望のタイヤ内圧(荷重支持能力又はたわみ抑制能力、以下同様)を得られない不利がある。
さらにまた、特許文献6には、独立気泡を主体とする多気泡体の外周をゴムや合成樹脂等の厚さ0.5〜3mmの外包皮膜で一体的に包被密封した膨張圧力気泡体の多数をタイヤ内に充填し、該タイヤを規定内圧に保持した、パンクレスタイヤが提案されている。この技術は、発泡体の気泡内気圧を常圧より高くするために、膨張圧力気泡体となる独立気泡体形成配合原料中の発泡剤配合量をタイヤ内容積に対して、少なくとも同等以上の発生ガスが発生する発泡剤配合量に設定しており、これによって通常の少なくとも空気入りタイヤと同様の性能を目指している。
上記技術では、膨張圧力気泡体中の気泡内ガスの散逸を防ぐために、外包皮膜で一体的に包被密封しているが、この外包皮膜の材料として例示されているものは、自動車用チューブまたは該チューブ形成用配合物のような材料のみである。つまり、タイヤチューブ等に用いられる、窒素ガス透過性の低いブチルラバーを主体とした軟質弾性外包皮膜にて包被密封を施し、これらの多数をタイヤ内に充填している。製法としては、軟質弾性外包皮膜として未加硫のタイヤチューブを、膨張圧力気泡体として未加硫の独立気泡体形成配合原料を用い、これらの多数をタイヤとリムの組立体内部に配置後、加熱により発泡させ、発泡体充填タイヤを得ている。発泡体の膨張によるタイヤ内部の常圧空気は、リムに開けられた排気小孔から自然排気される。
ここで、乗用車用タイヤの内圧は、一般的に常温における150〜250kPa程度に設定されるため、上記の発泡体充填タイヤを製造するには、その加硫成形の加熱時(140℃程度)の状態において、絶対圧で上記内圧の約1.5倍程度になっているものと、気体の状態方程式から推定される。ところが、この程度の圧力レベルでは、加硫圧力不足をまねいてブローンが発生するのを避けることは出来ない。このブローン現象を回避するためには、加硫時の圧力を増やすために発泡剤配合量を大幅に増量するか、加熱温度を高めて架橋反応を促進させる必要がある。
しかしながら、発泡剤配合量を増加する手法は、発泡剤配合量の増加により常温時の内圧が300kPaを大きく超えてしまうため、従来の空気入りタイヤの代替品とするのは困難であった。また、加熱温度を高める手法は、熱老化によるタイヤのダメージが大きくなってタイヤの耐久性を大幅に悪化させるため、長期使用における耐久性に問題が生じる。一方、タイヤとリムの組立体の内部には、軟質弾性外包皮膜に包まれた膨張圧力気泡体が多数配置されているが、上記ブローンが発生した軟質弾性外包皮膜同士の摩擦、タイヤ内面およびリム内面との摩擦等、耐久性面での問題が大きい。以上から上記の問題は、膨張圧力気泡体の形状が一体的なドーナツ形状をとるのとは異なり、分割された多数の膨張圧力気泡体を配置することに起因する、大きな欠点とも言える。また、リムに開けられた排気小孔は、膨張圧力気泡体の膨張によるタイヤ内部の常圧空気を自然排気するためには有効であるものの、膨張圧力気泡体中の気泡内ガスの散逸経路となってしまう。よって膨張圧力気泡体中の圧力が長期間保持できず、長期間の使用に耐えうるものではない。
さらに、軟質弾性外包皮膜として、タイヤチューブ等の、窒素ガス透過性が小さいブチルラバーを主体とした配合組成物を用いているが、ブチルラバーは加硫反応速度が極めて遅いために、反応を完結させるためには、140℃程度の温度では多大なる加熱時間を必要とする。このことは、軟質弾性外包皮膜の架橋密度不足を意味し、軟質弾性外包皮膜の剥離発生の一要因になることはいうまでもない。また、加熱時間の延長は、前述した熱老化によるタイヤのダメージを更に大きくするため、耐久性の低下を避けられず、得策とはいえない。
また、特許文献7には、ガスを包蔵した中空小球をタイヤ内に配置し、パンク受傷部を閉塞して内圧の漏洩を遅らせる発明がある。この発明では膨張材として液化ガスを用いた膨張性樹脂粒子を加熱膨張させて得られた中空粒子の多数をタイヤ内に配置している。しかし、加熱膨張後の中空部圧力は環境温度とガスの蒸気圧によって決定されるため、タイヤ内に配置して所定の内圧まで空気を充填すると、中空部圧力が低いために中空粒子は球形状を保つことが出来ず、つぶれたラグビーボール的な形でタイヤ内に存在することとなる。このようにつぶれた形状ではパンク時の受傷部を閉塞するに際し好ましくない。タイヤ内圧が50kpa程度の低い内圧下にてタイヤを受傷させると、該中空粒子が略球形状を保てているため、2.5mmφ程度の釘による受傷部であれば閉塞出来る。しかし、常用走行に必要な200kpa程度の高い内圧下にてタイヤを受傷させると、2.5mmφの釘による受傷部が閉塞できず、中空粒子が噴出してしまう。また、現在の市場でのパンク実態調査から、タイヤに刺さる異物の平均直径は3.5mmφ程度であるため、上記技術では不十分である。さらに、タイヤ内圧を200kpaとし1000kmの常用走行後に中空粒子を取り出したところ、ほとんどの粒子は破壊してしまっており、略球形状であるものはほとんど見られなかった。さらに上記1000km走行後のタイヤに、200kpa下にて2.5mmφの釘刺し受傷を与えたが、受傷部を閉塞することが出来ず、中空粒子の破砕物が噴出した。以上から、中空粒子をタイヤ内に配置するだけでは、受傷部を的確に閉塞することが出来ず、また常用走行にて破壊してしまうため、十分な技術とはいえない。
特開平6−127207号公報 特開平6−183226号公報 特開平7−186610号公報 特開平8−332805号公報 特許第2987076号公報 特開昭48−47002号公報 特開昭51−126604号公報
かような技術的背景の下、常用走行使用時には何ら特別の制約を受けることなく使用でき、且つタイヤが外傷によってパンク状態となった時点から例えばタイヤ修理を行うことが出来る場所までの、最低限の移動を安全かつ確実に実現する安全タイヤの提供が希求されていたのである。
そこで、本発明は、上記の要求を満足する安全タイヤを実現するための安全タイヤの新規な製造方法について提案することを目的とする。
発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、外傷によってタイヤ気室内の気体が漏れ出た際に、その後の走行に必要な最低限のタイヤ気室の圧力を適正に与えることによって失った圧力を回復させる手段として、熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子の多数をタイヤ気室内配置することが有効であることを知見した。さらに、この中空粒子を収容した安全タイヤの提供には、通常走行下における中空粒子の耐熱耐久性を大幅に向上させつつ、さらに発熱要因を除くことが不可欠であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)タイヤをリムに装着し、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子の多数を配置して安全タイヤを製造するに当たり、大気圧下での30℃における湿度(水蒸気含有率)を70%以下に調整した気体をタイヤ気室内に充填することを特徴とする安全タイヤの製造方法。
ここで、上記湿度とは水蒸気含有率を指し、具体的には30℃における上記気体の飽和水蒸気量に対する、実際の水蒸気量との比を百分率にて表した数値である。
(2)中空粒子は、常用走行使用時の車両指定タイヤ内圧の70%以上の中空部圧力を持ち、且つ中空粒子を加熱したときの膨張開始温度Ts2が90℃〜200℃の範囲にあることを特徴とする上記(1)に記載の安全タイヤの製造方法。
(3)中空粒子は、常用走行使用時の車両指定タイヤ内圧以上の高圧気体とともに耐圧容器内に収容され、該耐圧容器からタイヤ気室に供給されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の安全タイヤの製造方法。
(4)耐圧容器を、リムに装着後のタイヤに管を介して連結し、該タイヤの内圧に比して耐圧容器の内圧を高くして、その差圧をもって中空粒子を気体とともに耐圧容器からタイヤ内部へ移送し、タイヤの内部に中空粒子を充填することを特徴とする上記(3)に記載の安全タイヤの製造方法。
(5)高圧気体が窒素であることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(6)下記式(I)に従う中空粒子の充填率を5vol%以上80vol%以下とすることを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。

中空粒子の充填率=(粒子体積値/タイヤ気室容積値)×100 ---(I)
ここで、
粒子体積値:タイヤ気室に配置した全中空粒子の大気圧下での合計体積
と粒子周囲の空隙体積との合計量(cm
タイヤ気室容積値:タイヤとリムとの組立体に空気のみを充填して使用
内圧(kPa)に調整した後、充填空気を内圧が大気圧になるまで排出した
際の充填空気排出量(cm)を用いて、次式(II)から求めた値(cm

タイヤ気室容積値=(充填空気排出量)/(使用内圧/大気圧)---(II)
なお、式(II)において使用内圧はゲージ圧値(kPa)を、大気圧値
は気圧計による絶対値(kPa)を用いる。
(7)中空粒子の充填率を10vol%以上とすることを特徴とする上記(6)に記載の安全タイヤの製造方法。
(8)中空粒子に、ガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた膨張性樹脂粒子を混合して、タイヤ気室に充填することを特徴とする上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(9)中空粒子の熱膨張開始温度Ts2が110℃〜200℃であることを特徴とする上記(2)ないし(8)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(10)中空粒子の熱膨張開始温度Ts2が130℃〜200℃であることを特徴とする上記(2)ないし(9)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(11)中空粒子の熱膨張開始温度Ts2が160℃〜200℃であることを特徴とする上記(2)ないし(10)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(12)中空粒子は、中空部内の圧力をタイヤの使用内圧の80%以上に調整して用いることを特徴とする上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(13)中空粒子は、中空部内の圧力をタイヤの使用内圧の90%以上に調整して用いることを特徴とする上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(14)中空粒子は、中空部内の圧力をタイヤの使用内圧の100%以上に調整して用いることを特徴とする上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(15)タイヤ気室に充填する中空粒子群の平均粒径が40〜200μmの範囲にあり、かつ該中空粒子群の平均真比重が0.01〜0.06g/cmの範囲にあることを特徴とする上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(16)中空粒子の中空部内の気体が、窒素、空気、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
−O−R ---- (III)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(17)中空粒子の連続相である樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれか少なくとも1種から成ることを特徴とする上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(18)中空粒子の連続相がアクリロニトリル系重合体から成り、該アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体およびアクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(19)タイヤ気室内に、大気圧下での平均嵩比重が該中空粒子の平均真比重よりも大きい発泡体の多数を配置し、傷口の閉塞に中空粒子群と混用することを特徴とする上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
(20)前記発泡体は、直径が1〜15mmの略球体形状または一辺が1〜15mmの立方体形状であり、平均嵩比重が0.06〜0.3(g/cc)であり、独立気泡または連通気泡を有するものであることを特徴とする上記(19)に記載の安全タイヤの製造方法。
ここで、本文中で記載するタイヤ気室の圧力とは、特に記載しない場合はゲージ圧(ゲージに示される圧力)を指す。
本発明によれば、常用走行における中空粒子の部分的発熱が未然に防止されるから、タイヤが外傷によってパンク状態となった時点からの最低限の移動を安全かつ確実に実現するための機能を保持でき、タイヤ受傷前の通常走行時における転がり抵抗および乗り心地性を犠牲にすることなしに、タイヤ受傷状態にあっても安定した走行を可能とした安全タイヤを提供することができる。
まず、本発明が対象とする安全タイヤについて、その幅方向断面を示す図1に基づいて説明する。
すなわち、図示の安全タイヤは、タイヤ1をリム2に装着し、該タイヤ1とリム2とで区画されたタイヤ気室3に、熱膨張可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子4の多数を配置して成る。なお、タイヤ1は、各種自動車用タイヤ、トラックやバス用のタイヤ等、例えば乗用車用タイヤなどの一般に従うタイヤであれば、特に構造を限定する必要はない。すなわち、本発明はタイヤとリムの組立体のすべてに適用できる技術である。例えば、図示のタイヤは一般的な自動車用タイヤであり、1対のビードコア5間でトロイド状に延びるカーカス6のクラウン部に、その半径方向外側へ順にベルト7およびトレッド8を配置して成る。
なお、図において、符号9はインナーライナー層、符号10は中空粒子4周囲の空隙および11はサイド部である。
上記中空粒子4は、略球形状の樹脂による連続相で囲まれた独立気泡を有する、例えば粒径が10μm〜500μm程度の範囲で粒径分布を持った中空体、あるいは独立気泡による小部屋の多数を含む海綿状構造体である。すなわち、該中空粒子4は、外部と連通せずに密閉された独立気泡を内包する粒子であり、該独立気泡の数は単数であってもよいし、複数であってもよい。本発明では、この『中空粒子群の独立気泡内部』を総称して『中空部』と表現する。また、この粒子が独立気泡を有することは、該粒子が独立気泡を密閉状態で内包するための『樹脂製の殻』を有することを指す。さらに、上記の樹脂による連続相とは、この『樹脂製の殻を構成する成分組成上の連続相』を指す。なお、この樹脂製の殻の組成は後述のとおりである。
この中空粒子4の多数個である中空粒子群は、高圧気体とともにタイヤ気室3の内側に配置することによって、通常の使用条件下ではタイヤの『使用内圧』を部分的に担うと共に、タイヤ受傷時には、タイヤ気室3内の失った圧力を復活させる機能を発現する源となる。この『内圧復活機能』については後述する。ここで、『使用内圧』とは、『自動車メーカーが各車両毎に指定した、装着位置ごとのタイヤ気室圧力値(ゲージ圧力値)』を指す。
さて、従来の空気入りタイヤは、タイヤ気室圧力が大気圧まで低下した状態で走行すると、荷重によりタイヤが大きく撓み、そのサイド部が路面に接地してしまうため、路面との摩擦と繰り返し屈曲変形とに起因した発熱によって骨格のカーカス材が疲労し、サイド部の磨耗傷が最終的にタイヤ気室内まで貫通することで破壊に到る。
そこで、本発明が対象とする安全タイヤでは、外傷によってタイヤ気室内の気体が漏れ出た際に、傷口を閉塞した上で、その後の走行に必要な最低限のタイヤ気室圧力を適正に与え、失った圧力を回復させることを主目的としている。よって本発明では、タイヤとリムの組立体を圧力容器と捉えている。すなわち、パンクにより傷ついてしまった圧力容器の傷口を、タイヤ気室内に配置した中空粒子群により暫定的に閉塞した上で、中空粒子を機能させて失った圧力を回復することによって、この目的を達成しようとするものである。従って、前述した従来の空気入りタイヤのように、パンク後の走行自体がタイヤ、すなわち圧力容器を故障破壊に導くような事があってはならない。
すなわち、タイヤ気室圧力が大気圧にまで低下したとしても、早期に上述の機能を発揮させることによって、前述のタイヤ破壊に至ることを回避し、圧力容器として機能させることが重要であり、そのために、中空粒子を適正に充填して適性に機能させることによって、タイヤ気室内の圧力を『少なくともタイヤのサイド部が接地しなくなる圧力またはインナーライナー面同士が接触しなくなる圧力』まで復活させることが肝要である。
具体的には、タイヤ気室に配置する中空粒子について、下記式(I)に従う中空粒子の充填率を5vol%以上80vol%以下とすることが好ましい。

中空粒子の充填率=(粒子体積値/タイヤ気室容積値)×100 ---(I)
ここで、粒子体積値は、タイヤ気室に配置した全中空粒子の大気圧下での合計体積と粒子周囲の空隙体積との合計量(cm)である。
また、タイヤ気室容積値は、タイヤとリムとの組立体に空気のみを充填して使用内圧(kPa)に調整した後、充填空気を内圧が大気圧になるまで排出した際の充填空気排出量(cm)を用いて、次式(II)から求めた値(cm)である。
タイヤ気室容積値=(充填空気排出量)/(使用内圧/大気圧)---(II)
なお、式(II)において使用内圧はゲージ圧値(kPa)を、大気圧値は気圧計による絶対値(kPa)を用いる。すなわち、大気圧はゲージ圧で0[kPa]で表されるが、大気圧値自体は日々刻々と変動するものであるため、その時点での気圧計から観測される絶対値を用いる。よって、例えばある時の大気圧が1013hPaであった場合は、大気圧絶対値として101.3kPaを式(II)に用いる。ここで、『使用内圧』とは、『自動車メーカーが各車両毎に指定した、装着位置ごとのタイヤ気室圧力値(ゲージ圧力値)』を指す。
さらに、中空粒子の中空部内の圧力は、タイヤ気室の圧力(通常は使用内圧)の少なくとも70%とすることにより、粒子形状が略球形に保たれて粒子の耐久性が保証されるため、中空粒子の中空部内圧力を使用内圧の70%以上とすることが肝要である。
以上述べてきたように、中空粒子の中空部内の圧力を所望のタイヤ気室内の圧力に対して少なくとも70%とした中空粒子を、タイヤ気室内に所定の充填量で配置することにより、該タイヤ気室の圧力が大気圧となった状態(つまりパンク状態)から走行した時に、少なくとも該タイヤのサイド部が接地しなくなる、またはインナーライナー面同士が接触しなくなるタイヤ気室圧力まで、該タイヤ気室の圧力を回復させることを実現する必要がある。
以下に、そのタイヤ内圧の復活機構を説明する。
さて、上述した中空粒子群をタイヤ気室内に配置したタイヤとリムとの組立体にあっては、該タイヤが受傷すると、中空粒子4相互間の空隙10に存在するタイヤ気室内の高圧気体がタイヤの外側に漏れ出る結果、タイヤ気室の圧力は大気圧と同程度の圧力にまで低下する。そして、このタイヤ気室圧力低下の過程において、以下の事がタイヤ気室内で起こっている。
まず、タイヤが受傷しタイヤ気室の圧力が低下し始めると、中空粒子の多数が受傷部を閉塞し、急激な気室圧力の低下を抑制する。
すなわち、傷口はタイヤ気室内の気体が漏れ出る流路となるが、その流路長さはタイヤの肉厚分にほぼ相当する。本発明の中空粒子は、上記流路内において『圧密』状態で入り込んで多数の中空粒子によって流路を詰まらせることができる。更に後述する内圧復活機構によりタイヤ気室内の圧力が大気圧から増圧されると、タイヤ骨格に張力が与えられることにより、傷口の内径は絞り込まれるように減少していく。ゆえに傷口内に圧密状態で入り込んだ中空粒子群には、タイヤ気室内の増圧によりタイヤ側から絞り込まれるように圧縮力が働く。ここで、本発明の中空粒子は、中空部圧力が高いために、この圧縮力に対して中空部圧力に起因する反力が発生するため、圧密の度合いを高めることができ、より大きな内径の傷口においても、タイヤ気室内の気体がほとんど漏れ出さない程度まで傷口を閉塞できるのである。
したがって、パンクの原因となった傷口は、瞬時にかつ確実に中空粒子によって塞ぐことができるのである。
一方、気室圧力の低下に伴いタイヤの撓み量は増加し、タイヤ気室容積が減少する。さらに、気室圧力が低下するとタイヤが大きく撓み、タイヤ気室内に配置した中空粒子は、タイヤ内面とリム内面との間に挟まれながら、圧縮とせん断の入力を受けることとなる。
上述の使用内圧下で存在していた中空粒子の中空部内の圧力(独立気泡中の気泡内圧力)は、受傷後も上記使用内圧に準じた高い圧力を保ったまま、言い換えれば、受傷前の粒子体積と中空部圧力を保持したままタイヤ気室内に存在する事となる。よって、さらにタイヤが転動する事により、中空粒子そのものが直接的に荷重を負担しつつ中空粒子同士が摩擦を引き起こし自己発熱するために、タイヤ気室内の中空粒子の温度が急上昇する。そして、該温度が、中空粒子の殻部である連続相を形成する樹脂の熱膨張開始温度Ts2(該樹脂のガラス転移温度に相当する)を超えると、該粒子の殻は軟化し始める。このとき、中空粒子の中空部内の圧力が使用内圧に準じた高い圧力であるのに加え、中空粒子温度の急上昇によりさらに中空部内圧力が上昇しているために、中空粒子が一気に体積膨張し粒子周囲の空隙気体を圧縮する事になるため、タイヤ気室の圧力を少なくともタイヤのサイド部が接地しなくなるタイヤ気室圧力まで回復させる事ができるのである。
上記の機構によって中空粒子の中空部内の圧力を大気圧以上の高い圧力に設定すれば、内圧復活機能を発現させることができる。
すなわち、前述のサイド部が接地しないタイヤ内圧までタイヤ気室の圧力を復活させるには、前述の中空部内の圧力が使用内圧の少なくとも70%である中空粒子を、5vol%以上80vol%以下の充填率の下にタイヤ気室内に配置しておくことが肝要である。その理由を、以下に示す。
中空粒子の充填率が5vol%未満であると、受傷部の閉塞は問題なく行えるが、該中空粒子の絶対量が不足しているために、サイド部が接地しないまたはインナーライナー面同士が接触しなくなる圧力レベルまでの充分な復活内圧を得る事が難しくなる。
一方、中空粒子の充填率が80vol%を超えると、タイヤによっては常用時の高速走行での粒子摩擦による発熱のために、前述した中空粒子の膨張開始温度Ts2を超えて膨張してしまい、本発明の主たる機能である内圧復活機能が失われる可能性が有る。この常用時の高速走行での粒子の発熱に関しては後述する。
また、前述した内圧復活機能を確実に発現させるためには、該内圧復活機能が発現する前に、受傷部を確実に閉塞する事が肝要である。すなわち、受傷部の閉塞が不完全であると、復活したはずの圧力が受傷部から漏洩してしまう結果、内圧復活機能により得られた圧力がその後の走行能力に一時的にしか貢献できないために、受傷後の走行性能を保証できなくなる恐れがあるからである。該中空粒子は、中空構造による低比重かつ弾力性に富んだ粒子であるために、タイヤが受傷し受傷部から中空粒子周囲の空隙気体が漏洩し始めると、空隙気体の漏洩による流れに乗って即座に受傷部に密集し、受傷部の傷口を瞬時に閉塞する。従って、中空粒子による受傷部の閉塞機能は、本発明が対象とする安全タイヤの内圧復活機能を支える必須機能である。
以上述べたように、本発明に従う中空粒子を充填した安全タイヤは、パンク後の内圧低下に伴うタイヤ気室容積の減少とタイヤの撓み量の増大により、中空粒子間の摩擦を引き起こすことで中空粒子の急激な温度上昇とともに中空粒子の膨張による内圧復活を果たし、パンク後の安全走行を実現できる。
ここで、中空粒子の中空部内の圧力を所望のタイヤ気室内の圧力に対して少なくとも70%とした中空粒子を、タイヤ気室内に所定の充填量で配置するには、タイヤの使用内圧以上の高圧気体中に中空粒子の多数を収容した耐圧容器から、タイヤ気室に中空粒子並びに高圧気体を充填することが肝要である。
まず、耐圧容器内に中空粒子および高圧気体を収容することの意義から説明する。
すなわち、中空粒子4は耐圧容器の内部に高圧気体とともに収容されているが、耐圧容器内に高圧気体とともに収容した当初は、中空粒子の中空部内の圧力(独立気泡内の圧力)が大気圧とほぼ等しく容器内の圧力より小さいために、粒子は体積減少する。この時点での中空粒子の形状は略球形状ではなく、球形状から扁平化して歪んだ形状となっている。この粒子形状が扁平化して歪んだ状態のままの中空粒子をタイヤ内に充填すると、中空部内の圧力(独立気泡内の圧力)が大気圧とほぼ等しい中空粒子であるために、前述した傷口の閉塞機構に比べて閉塞能力が低いレベルに留まることになる。すなわち、閉塞できる傷口の大きさは、小さい場合に限定されてしまう。また、中空粒子がタイヤ外部に噴出することはないにしても、中空粒子が扁平化して歪んだ形状であるためにミクロな通路が多く、よってタイヤ気室内の気体が漏洩することがある。更に、その後の走行により中空粒子は、球形状の場合と比べて粒子同士の衝突やタイヤおよびリム内面との衝突により、破壊しやすくなる。すなわち、中空粒子が扁平化して歪んだ形状では、衝突による入力を均一に分散させることができず、耐久性の面で大きな不利をもたらすことになる。
一方、扁平化して歪んだ中空粒子は、その中空部内の圧力と容器内の圧力との差により体積減少した状態であるわけだが、一定期間にわたり耐圧容器内の圧力を保ち続けることによって、中空粒子の中空部内の圧力、言い換えれば該粒子内の独立気泡内の圧力を、耐圧容器の圧力程度に高めることができる。すなわち、扁平化した中空粒子は変形させられているため、その殻の部分には元の略球形状に戻ろうとする力が働いている。また、扁平化した中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内圧力よりも低いことから、その圧力差を解消するために、耐圧容器内の気体の分子が樹脂による連続相の殻を通過して粒子の中空部内に浸透する。さらに、中空粒子の中空部は独立気泡であり、その中の気体は発泡剤に起因するガスで満たされているため、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の気体とは異なる場合がある。この場合は、上述の単なる圧力差だけではなく気体の分圧差に従いながら、その分圧差を解消するまで耐圧容器内の高圧気体が粒子中空部内へ浸透していく。このように、耐圧容器内の高圧気体は、時間と共に中空粒子の中空部内へ浸透していくため、この中空部内に浸透した分だけ、耐圧容器内の圧力が低下することとなる。よって、中空粒子の中空部内に浸透した分を補うために、高圧気体を充填した上で所望の圧力をかけ続けることにより、所望の使用内圧に調整した内容物を有する耐圧容器を早期に得ることができる。
かように、中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の圧力に近づきながら、一旦減少した粒子体積を回復していき、粒子形状は扁平化されて歪んだ形状から元の略球形状へと回復していく。この形状を回復していく過程の中で、中空粒子中空部内の圧力が耐圧容器内の圧力に対して少なくとも70%にまで増加することにより、粒子形状は扁平化した状態から略球形へ回復することが出来、これによって上述した中空粒子の耐久性を保証することが出来る。
かように、中空粒子をタイヤとは別の耐圧容器内に配置し、粒子周囲の空隙圧力を少なくとも所望のタイヤ気室内の使用圧力に対して70%以上まで高めた状態に保持し、この圧力をかけ続けたまま該耐圧容器内にて適切な時間保管したうえで、中空粒子の中空部内の圧力が増加した状態の粒子をその周囲の雰囲気と共にタイヤ気室内に供給することによって、上述の粒子体積を回復した中空粒子においては、粒子形状が略球形に回復するため、中空粒子充填後のタイヤにおける転動時の繰り返し変形に伴って粒子に加わる疲労や破壊も大幅に低減できる結果、中空粒子の耐久性が損なわれることはない。中空粒子の耐久性が損われない範囲は、タイヤ気室内の圧力が、装着する車両指定内圧等の所望する高圧下環境のなかで中空粒子の中空部の圧力が所望のタイヤ気室内の圧力に対して少なくとも70%であることが好ましい。さらには、80%以上、90%以上、そして100%以上と高く設定することが推奨される。
なお、上述の適切な保持時間は、中空粒子の殻の部分、すなわち粒子の連続相に対する空隙気体の透過性と、粒子中空部内の気体と空隙気体との分圧差とを考慮して、設定すればよい。
以上の機構と粒子の形状、体積の変化過程に則り、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)に充填する気体の種類と圧力とを適宜に選択、そして調節することによって、中空粒子の中空部内の圧力を所望の範囲に設定できる。
かように耐圧容器内で調整された中空粒子は、タイヤ気室内へ供給された段階で、その中空部内の圧力(独立気泡中の気泡内圧力)が、上記使用内圧に準じた高い圧力を保ったまま、言い換えれば、粒子体積と中空部圧力を保持したままタイヤ気室内に存在する結果、上述の内圧復活機能を有する安全タイヤが得られるのである。
なお、上述の内圧復活機能を有する安全タイヤを得る手段は、上記手法に限定されるものではなく、耐圧容器を用いずにタイヤとリムの組立体内にてタイヤ気室を耐圧容器の代替としても同様の安全タイヤを得ることができる。
さらに、上記タイヤを得るにあたり、タイヤ気室内に充填する高圧気体は、大気圧下での30℃における湿度を70%以下に調整することが肝要である。
さて、中空粒子を充填した安全タイヤの転動中、該タイヤ内の中空粒子は転動に伴う遠心力によりタイヤクラウン部の内面側で層を形成している。この中空粒子群の層内では、中空粒子同士の摩擦発熱により中空粒子温度が上昇するが、一方で活発な中空粒子の移動とリム内面側空隙に存在する気体の冷却効果とによって、その熱収支が保たれる結果、中空粒子の温度は、その膨張開始温度Ts2以下の範囲で安定している。
しかしながら、中空粒子群が存在するタイヤ気室内において、その雰囲気の湿度が高い場合、中空粒子の特徴である優れた流動性が低下し、中空粒子が凝集することがある。すると、通常走行でのタイヤ転動中に、中空粒子の相互移動が妨げられる結果、中空粒子同士の摩擦発熱が限定された領域で生じる一方、中空粒子の移動抑制に伴って冷却能が低下するため、中空粒子群の層内に部分的な蓄熱領域が発生する。この部分的な蓄熱領域では、中空粒子の膨張開始温度Ts2を超えて膨張する粒子が散発し、中空粒子の総体積の増加をまねく。これは、空隙体積の減少を意味しており、中空粒子の相互移動はさらに制約されて冷却能の低下を加速することになる。最悪の場合は、上記蓄熱領域が発生する初期段階でタイヤ気室内の中空粒子温度が一気に上昇し、全中空粒子が膨張開始温度Ts2を超えてしまう結果、内圧復活機能を喪失するに至る場合もある。
かような事態を回避するには、通常走行におけるタイヤ気室内温度が30℃〜70℃程度であることから、その温度域の下限である30℃における湿度を70%以下に調整することが重要である。
次に、タイヤ気室内に中空粒子を適正に充填して安全タイヤを製造する方法について、より具体的に説明する。
すなわち、粉粒体をリムに装着後のタイヤ気室内に充填するには、ダイヤフラムポンプ等を用いた圧入充填法が選択されるのが通例である。しかしながら、特に中空粒子が微粉であるため、かような手法を用いると、配管内において中空粒子が圧密現象を引き起し、中空粒子の移送が行えなくなるという問題が発生する。この圧密現象は、中空粒子の移送系において固気比、すなわち移送される流体に含まれる固体成分V(リットル)と気体成分V(リットル)との比V/Vが上昇するために発生するものである。これを回避するためには、予め固気比を極めて低くしておくことが有効であるが、固気比の低下は、言い換えるなら移送効率が極端に低下することを示している。従って、生産性を著しく阻害するため、この手法を採用することは難しい。
一方、固気比を変化させない移送手法としては、吸引充填法が挙げられる。吸引充填法は、タイヤの内部、あるいは中空リング体の内部に通ずる開口部を複数箇所に設け、一方の開口部より内部の空気を吸引し、その空気の流れに乗じて、他方の開口部より中空粒子の充填を行うものである。この手法の場合、固気比一定のまま充填が行えるため、圧密現象を回避することが可能である。しかしながら、複数箇所の開口部を必要とすることから、特に安全タイヤへの適用に特殊な専用ホイールの使用が前提となり、実現性に乏しい。
そこで、発明者らは、固気比の変化に着目し、開口部が一箇所でありながら中空粒子を圧密させることなく充填する方法について鋭意研究した結果、生産性をも向上させ得る、本発明方法を導くに到ったのである。
すなわち、図2に示すように、リム2に装着されたタイヤ1と、中空粒子4が充填された耐圧容器12とを管13によって連結し、タイヤの内圧に比して耐圧容器12の内圧を高く設定しておく。このとき、管13の中間にボールバルブなどの圧力閉塞弁14を設置し、両者間の圧力差が平衡に達しないようにしておく。次いで、圧力閉塞弁14を開放すると、耐圧容器12の内圧とタイヤの内圧との差(以下、差圧という)によって、耐圧容器12内の高圧気体がタイヤ1内へと流れ込み、その気流に乗せて中空粒子4を移送し、タイヤ1の気室内に中空粒子4を充填することができる。その際、耐圧容器12内の高圧気体には乾燥した空気または窒素などの湿度を70%以下に調整した気体を用いることが肝要である。
また、管13からの分岐にフィルター15および圧力閉塞弁16を設け、所定量の中空粒子4を充填した後に圧力閉塞弁14を閉じる一方、圧力閉塞弁16を開けてタイヤ内圧を一旦大気圧まで低下させてから、圧力閉塞弁16側から乾燥気体を充填し、タイヤ気室内の湿度および内圧を調整することも可能である。
ここで、圧密の支配因子である固気比を詳細に考察してみる。移送中は、耐圧容器12〜タイヤ1間に圧力勾配が発生している。従って、移送中の気体は、タイヤに近づくにつれ圧力が減少し、同時にその体積を増加させてゆくことになる。一方、中空粒子4の連続相、つまり樹脂製の殻は、常温(T:ガラス転移点以下)においてはガラス状態であるため、周囲の圧力変動に呼応して体積変化を生じることはない。たとえ、その内部に高圧ガスを封入していたとしても、中空粒子4の体積変化は極めて微小で、実質的にその変化が固気比に影響を与えることはないため、タイヤに近づくほど気体成分のリッチな、つまり固気比の小さな状態となる。最終的には、圧力平衡に達した時点で中空粒子4の移送は停止するが、上記の基本原理により、この発明の手法は、開口部が一箇所であっても圧密が発生せず、良好な充填効率を発揮することができる。更に、従来の充填手法よりも、非常に速い移送速度を得ることが可能となる。
また、この中空粒子の移送時の差圧は、100kPa以上であることが好ましい。なぜなら、耐圧容器12からタイヤ内部への中空粒子の移送速度は、耐圧容器12およびタイヤの差圧に依存するため、この差圧が100kPa以下では移送効率の低下が著しい上、前述の基本原理から明らかなように、圧密を回避するためには固気比を低下せしめる必要が有るが、圧力差が100kPa以下では充分な圧力勾配が得られない為、固気比の低下が不十分で圧密を引き起しやすい。
なお、中空粒子をタイヤ気室内に所定充填率で充填するには、次の手法が適している。すなわち、対象となるタイヤ内容積を明確にした上で、体積が既知の中空粒子を収容した透明な容器から、タイヤ気室内に中空粒子を充填し、充填後に容器内に残存する中空粒子体積からタイヤ気室内に充填された中空粒子量を確認する手法が適合する。
ところで、タイヤは、サイズおよびリムとの組合わせによってその容積が異なる。また、パンクにより内圧が低下した場合、サイド部が路面に接地する内圧値もタイヤによって異なる。本発明では、パンク受傷後もタイヤを圧力容器として活用する狙いがあること、サイド部が路面に接地する内圧値以下の低内圧走行では、圧力容器であるタイヤが故障してしまうことを鑑み、以下の前提条件が必須となる。
すなわち、既知であるタイヤ/リム組立体の内容積に対し、サイド部が路面に接地しなくなる、またはインナーライナー面同士が接触しなくなる内圧値以上まで復活内圧を得るに必要な中空粒子体積をあらかじめ求めておき、求めた規定体積以上の中空粒子を充填することである。
また、発明者らは中空粒子の発熱と膨張の実態について鋭意検討し、中空粒子の適正な範囲を見出した。さて、中空粒子はその原料である『膨張性樹脂粒子』、すなわちガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた粒子を加熱膨張することにより得られ、この膨張性樹脂粒子には膨張開始温度Ts1が存在する。更に、加熱膨張によって得られた中空粒子を室温から再度加熱すると、中空粒子は更なる膨張を開始し、ここに中空粒子の再膨張開始温度Ts2が存在する。発明者らは、これまで多くの膨張性樹脂粒子から中空粒子を製造し検討を重ねてきた結果、Ts1を膨張特性の指標としてきたが、中空粒子の膨張特性の指標としてはTs2が適切であることを見出すに到った。
まず、膨張性樹脂粒子を加熱膨張させる場合における膨張挙動を観察した。膨張性樹脂粒子は膨張する前の段階にあるため、中空粒子の状態に比して粒径が極端に小さく、樹脂製の殻部の厚さが極端に厚い。よって、マイクロカプセルとしての剛性が高い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で樹脂製の殻部の連続相がガラス転移点を越えても、更なる加熱により殻部がある程度柔らかくなるまでは、内部ガスの拡張力が殻部の剛性にうち勝つことが出来ない。よって、Ts1は実際の殻部のガラス点移転よりも高い値を示す。
一方で、中空粒子を再度加熱膨張させる場合では、中空粒子の殻部の厚さが極端に薄く、中空体としての剛性が低い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で殻部の連続相がガラス転移点を越えると同時に膨張を開始するため、Ts2はTs1より低い位置づけとなる。
本発明では、一旦膨張させた中空粒子の更なる膨張特性を活用する。
すなわち、中空粒子のTs2は、90℃以上200℃以下であることが肝要である。なぜなら、中空粒子のTs2が90℃未満では、常用走行時のタイヤ気室内の温度環境下にて膨張する可能性があるからである。
一方200℃を超えると、パンク受傷後のランフラット走行において、中空粒子の摩擦発熱に起因する急激な温度上昇が起こっても、Ts2に達することが出来ない場合があり、よって目的とする『内圧復活機能』を十分に発現させることが出来なくなる場合がある。
よって、Ts2の範囲は90℃以上200℃以下であり、好ましくは110℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、もっとも好ましくは160℃以上の範囲である。
以上のように、上記した上限値および下限値に従う膨張開始温度Ts2を有する中空粒子を配置することにより、内圧復活機能を確実に発現させる一方、常用走行での『内圧復活機能保持』が達成される。
次に、中空粒子の中空部(独立気泡)を構成する気体としては、窒素、空気、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
−O−R---- (III)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。また、タイヤ気室内に充填する気体は空気でも良いが、上記粒子中の気体がフルオロ化物でない場合には、安全性の面から酸素を含まない気体、たとえば窒素や不活性ガス等が好ましい。
尚、独立気泡を有する中空粒子を得る方法は特に限定されないが、発泡剤を用いて『膨張性樹脂粒子』を作製し、これを加熱膨張させる方法が一般的である。この発泡剤としては、高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用する手法、熱分解によって気体を発生する熱分解性発泡剤を活用する手法などを挙げることができる。
後者の熱分解性発泡剤には窒素を発生させる特徴のあるものが多く、これらによる発泡によって得られる膨張性樹脂粒子の反応を適宜制御することによって得た粒子は気泡内に主に窒素を有するものとなる。この熱分解性発泡剤としては特に限定されないがジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、パラトルエンスルフォニルヒドラジンおよびその誘導体、そしてオキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジンを好適に挙げることができる。
次に、前者の高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用して中空粒子となる『膨張性樹脂粒子』を得る手法を説明する。
中空粒子を形成する前記樹脂による連続相を重合する際、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
−O−R---- (III)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種を発泡剤として高圧下で液化させ、反応溶媒中に分散させつつ、乳化重合させる手法である。これにより上記に示されるガス成分を液体状態の発泡剤として前術の樹脂連続相にて封じ込めた『膨張性樹脂粒子』を得ることができ、これを加熱膨張させる事によって、所望の中空粒子を得る事が出来る。
また、前記『膨張性樹脂粒子』の表面に、シリカ粒子等のアンチブロッキング剤、カーボンブラック微粉、帯電防止剤、界面活性剤等をコーティングした上で加熱膨張させることにより、目的の中空粒子を得ることができる。
また、受傷によりタイヤ気室圧力が低下した状態において、該中空粒子によって必要最低限の内圧を付与するには、中空粒子の中空部内に所定圧力で封入された気体が、粒子外部へ漏れ出ないこと、換言すると、中空粒子の殻の部分に相当する樹脂による連続相が気体を透過し難い性質を有することが肝要である。すなわち、連続相を構成する樹脂はガス透過性の低い材質によること、具体的には、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体のいずれか少なくとも1種から成ることが肝要である。これらの材料は、タイヤ変形による入力に対して中空粒子としての柔軟性を有するため、本発明に特に有効である。
とりわけ、中空粒子の連続相には、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれかを適用することが好ましい。さらに詳しくは、重合体を構成するモノマーが、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メチルメタクリレート、メタクリル酸、塩化ビニリデンから選択される重合体であり、好ましくはアクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種がそれぞれ有利に適合する。これらの材料は、いずれもガス透過係数が小さくて気体が透過し難いために、中空粒子の中空部内の気体が外部に漏れ難く、中空部内の圧力を適切に保持することができる。
さらに、中空粒子の連続相は、30℃におけるガス透過係数が300×10-12 (cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下、好ましくは30℃におけるガス透過係数が20×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下、さらに好ましくは30℃におけるガス透過係数が2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下であることが推奨される。なぜなら、通常の空気入りタイヤにおけるインナーライナー層のガス透過係数は300×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下のレベルにあって十分な内圧保持機能を有している実績を鑑み、粒子の連続相についても、30℃におけるガス透過係数を300×10-12(cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下とした。ただし、このガス透過係数のレベルでは、3〜6カ月に1度程度の内圧補充が必要であるから、そのメンテナンス性の点からも、20×10-12 (cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下、さらに好ましくは2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下とすることが推奨される。
ここで、本発明に従ってタイヤ気室に中空粒子を充填するにあたり、タイヤが損傷した際のタイヤ受傷部の閉塞機能を高めるために、タイヤ気室内に、大気圧下での平均嵩比重が該中空粒子の平均真比重よりも大きい発泡体の多数を配置し、傷口の閉塞に中空粒子群と混用することが有効である。すなわち、あらかじめタイヤ気室内に発泡体の多数を配置しておくか、或いは該中空粒子群と一緒に充填する手段が有効である。具体的には、直径が1〜15mmの略球体形状または一辺が1〜15mmの立方体形状であり独立または連通気泡を有し、平均嵩比重が0.06〜0.3g/ccでありかつ中空粒子の平均真比重よりも大きい嵩比重値である発泡体の多数を加えることにより、該内圧復活機能の発現期間を延ばし、タイヤ受傷後の走行能力を増大させることが可能である。ちなみに、中空粒子群の平均真比重は0.01〜0.06g/cmの範囲にあることが好ましい。
すなわち、中空粒子は略球形状であるために流動性が高く、よってタイヤバルブ等の内径の小さい導入口からタイヤ気室内部に、容易に配置することができる。その一方、タイヤが受傷したとき、該受傷部からタイヤの外側へ中空粒子がタイヤ気室の高圧気体と共に吹き出ようとして受傷部内面に集まることになる。しかしながら、受傷部内面からタイヤ外周面までの受傷経路は直線ではなく複雑に入り組んだ形状を呈するため、タイヤ内面傷口から入り込んだ該粒子は、該経路の途上行く手を阻まれる結果、多数の中空粒子が受傷部内面に圧縮状態で集合することになり、受傷部が暫定的に閉塞される。ここで、暫定的に閉塞とは、中空粒子そのものの漏洩はないが、該粒子周囲の空隙気体が徐々に漏洩する状態を指す。
その際、受傷部の傷の大きさが極端に大きい場合には、粒子のみによる暫定的閉塞が不完全な場合があり、中空粒子がタイヤ外部に漏れ出してしまう場合がある。このような場合において、上述した発泡体の多数を加えておくことにより、次のように傷口閉塞のレベルを向上させることができる。
まず、上述の発泡体の多数をあらかじめタイヤ気室内に配置しておけば、パンクによるタイヤ気室内の気体の漏洩と共に、該発泡体が傷口内面に密着し、タイヤ気室内の圧力と回転に伴う遠心力とによって、さらに傷口内部に潜り込んだ様態となる。その後の修理により、中空粒子を充填すると、発泡体が潜り込んだ傷口を閉塞する形となり、極めて確実な閉塞状態を得ることができる。
一方、転動中のタイヤ気室内では、速度に応じた遠心力が発生しており、その遠心力下において嵩比重の大きい発泡体はタイヤのインナーライナー側へ、そして真比重の小さい中空粒子は該発泡体よりは回転中心に近い側へ夫々偏在する。この状態において、もし中空粒子のみでは閉塞できない程の大きさの傷を受けたとしても、タイヤ内面のインナーライナー面近傍に、該発泡体が多数偏在しているため、該発泡体がタイヤ外部へ吹き出ようとして、受傷部の傷口内面にいち早く密着することによって受傷部を閉塞する事となり、極めて有効である。
特に、発泡体が連通気泡を持つ発泡体の場合、圧縮性が高く、傷口の形状に密着しやすく、傷口内部まで潜り込み易い事と、結果的に大きな傷口を該発泡体により極めて複雑かつ微細化できる事によって、その複雑・微細化された気体の散逸流路を該中空粒子にて閉塞するに最も適した様態へ変化させることが出来るため、大変有効な手段となる。
図1に示した一般的構造を満たす表1に示すサイズのタイヤに、表1に示すサイズのリムを組み込み、乗用車用タイヤとリムとの組立体を準備した。次に、タイヤサイズ毎に対象となる車両を選定し4名乗車相当の荷重を搭載した上で、高圧の空気を充填しタイヤ気室の圧力を200kPaに調整し、それぞれのタイヤとリムとの組立体を前軸左側に装着した。ここで、荷重が負荷された状態を保ちながらタイヤ気室圧力を徐々に抜いていき、タイヤのサイド部が路面に接地するか、インナーライナー面同士が接触するタイヤ気室圧力値をもとめた。このタイヤ気室圧力値を『RF走行限界内圧値』と定義した。
表1に示す中空粒子を作製し、それぞれ表1に示す条件に従って図3に示した耐圧容器12内に収容して表1に示した圧力下にて一定期間保管し、この耐圧容器から中空粒子および高圧気体を供給して安全タイヤを作製した。
すなわち、図2に示したところに従って、内容積50リットルの耐圧容器12下部に設けられた排出口と、リムに装着後の乗用車用タイヤのタイヤバルブとを耐圧ホース(管)13にて連結した。このとき、タイヤバルブのコアは取り除いておいた。なお、耐圧ホース13の中間部にはボールバルブ(圧力閉塞弁)14を設置し耐圧容器12およびタイヤ1間を分断し、さらにタイヤ側の耐圧ホース13は途中で分岐しており、一方はタイヤ1のバルブに、他方はフィルター15を経由した後、ボールバルブ(圧力閉塞弁)16にて閉塞されている。
次いで、圧力閉塞弁14を開放し、耐圧容器12内の中空粒子を、大気圧にあるタイヤ内に移送した。
所定量の中空粒子が全てタイヤ内への移送が完了した後、ボールバルブ14を閉め、次いでボールバルブ16を開放した。ここで、ボールバルブ16を開放すると、タイヤ内の高圧エアーは排出されるが、ボールバルブ16以前に設置されたフィルター15により、中空粒子がタイヤ外に出てくることはない。この操作により、タイヤ内の圧力が大気圧にまで戻った後、タイヤバルブから耐圧ホース13を抜き、バルブコアを装着したのち、表1に示す種々の湿度の気体を充填し使用内圧に調整し、安全タイヤを得た。
かくして得られた安全タイヤについて、その走行能力について調査した結果を表1に併記する。
なお、図2に示した差圧充填法に用いた耐圧容器は、具体的には図3に示すとおりである。すなわち、耐圧容器12は、例えば図3に示すように、第1タンク12a及び第2タンク12bから構成し、第1タンク12aから所定量に計量した中空粒子を第2タンク12bに移送し、この第2タンク12bから正確な量の中空粒子をタイヤ1に充填することが可能である。この場合、第1タンク12aは大量の材料をストックしておくため大型であるので、精密な計量には適さないが、第2タンク12bに計量機能を持たせるとよい。すなわち、予め所定の重量を計量して第2タンク12bに移送し、タイヤに充填して減った重量を測定することにより、正確な充填量を導き出すことができる。例えば、第2タンク12bを天秤20の上に置き、その状態で充填することによって、計量に併せた充填が実現する。
なお、表1における、中空粒子の連続相を構成する組成物の種類は表2に示すとおりである。この表2に示す膨張性樹脂粒子を加熱して膨張させることによって中空粒子とし、得られた粒子群の平均粒径および平均真比重を測定した結果は表3に示した。表3に示した中空粒子を表1に示す充填率の下で、各タイヤ気室に充填した。
まず、得られたタイヤとリムとの組立体を用いて、高速発熱ドラム試験を実施した。
すなわち、試験環境温度38℃に設定したドラム試験機に、各内圧値に調整した上記評価対象の組立体を取り付け、表1に示した負荷荷重を与えながら速度100km/hにて走行を開始し、5分ごとに速度を10km/hずつ上昇させ、タイヤ気室内の中空粒子温度およびタイヤ気室圧力の変化を計測した。
なお、評価を行うリムの内面には、タイヤ気室圧力をモニターする圧力センサーを、インナーライナー内面のタイヤ幅方向中央部には中空粒子の温度を計測する熱電対を配置し、測定した圧力データおよび温度データの信号を、一般に使用されているテレメータを用いて電波伝送し、試験室内に設置した受信機にて受信しながらタイヤ気室圧力および中空粒子温度の変化を計測した。
本試験では、各タイヤの速度記号に準じた保証速度に10km/hを加えた速度を『上限速度』として評価した。すなわち、上述の上限速度に達する前に中空粒子の温度が中空粒子の再膨張開始温度であるTs2に到達した場合は、その時点の速度のままで走行を停止した。また、上限速度下においても中空粒子の温度が中空粒子の再膨張開始温度であるTs2に到達しない場合は、その上限速度までにて走行を停止した。そして走行停止を判断した時点の速度が、各タイヤの速度記号に準じた保証速度と同等以上である場合を合格と判定した。
また、別の各評価タイヤとリムとの組立体の気室圧力を各内圧値に調整し、表1に示した負荷荷重を与えながら速度90km/hで距離50000kmにわたるドラム走行を実施し、走行による履歴を加えた。
その後、各サイズのタイヤに相当するクラスの乗用車を4名乗車相当の積載量に設定後、評価タイヤを左前輪に装着し、この車両の左前輪での軸重量を測定した。次に、直径5.0mm、長さ50mmの釘4本を該組立体のトレッド表面からタイヤ内部に向けて踏み抜き、タイヤ気室圧力が大気圧にまで低下するのを確認した後、90km/hの速度でテストコースの周回路をランフラット走行させ、タイヤ気室内の粒子温度と気室圧力とを連続的に計測し、内圧復活機能の発現状況を調査した。
なお、評価を行うタイヤとリムとの組立体のリム内面には、タイヤ気室圧力をモニターする圧力センサーを組み込み、測定した圧力データの信号を一般に使用されているテレメータを用いて電波伝送し、試験車両内部に設置した受信機にて受信することで圧力の変化を計測しながら、最大100kmの走行を実施した。前述の『タイヤのサイド部が路面に接地するか、またはインナーライナー内面同士が接触するタイヤ気室圧力値』である『RF走行限界内圧値』に対して、ランフラット走行下での内圧復活機能発現によるタイヤ気室内の圧力値が優った場合を合格と判断した。
これらの調査結果を表1に併記する。
Figure 2006137107
Figure 2006137107
Figure 2006137107
ここで、表1におけるタイヤの気室容積は、荷重が負荷されていない状態下でタイヤの気室圧力を使用内圧である200kPaに調整し、気室内の高圧空気を排出させることで気体の排出量を求めて算出した。
すなわち、タイヤの気室容積の測定は、以下に示す手順によって行った。
〔タイヤ気室容積の測定方法〕
手順1:タイヤとリムの組立体に荷重がかからない状態を保持したまま、常温の空気を充填し、所定内圧(使用内圧)Pに調整する。このとき、P下における目的のタイヤ気室容積をVとする。
手順2:タイヤバルブを開放し、タイヤ気室内の空気を大気圧P1に放出させつつ積算流量計に流し、充填空気排出量Vを測定する。なお積算流量計には、品川精機(株)製 DC DRYガスメーター DC−2C、インテリジェントカウンターSSF を用いた。
以上の各測定値を用いて、
タイヤ気室容積値=(充填空気排出量)/(使用内圧/大気圧)---(II)
に従って、使用内圧P時のタイヤ気室容積Vを求めることができる。
なお、式(II)において使用内圧はゲージ圧値(kPa)を、大気圧値は気圧計による絶対値(kPa)を用いた。
また、表1に示したタイヤ気室に配置した耐圧容器内の中空粒子の中空部内の圧力は、次のように測定した。
〔中空部内の圧力レベル確認方法〕
容積が既知の容器内に中空粒子を配置し所望の使用内圧Pに一定期間保った、目的の容器を準備する。容器上のバルブにはフィルターを配置することで、バルブを開放した時、中空粒子が容器内に留まり、高圧の気体だけが排出される状態を得られる。次に、一旦容器の圧力を大気圧とし、再度気体を充填した上でPの50%に相当する圧力P50%に調整し、容器上のバルブを開放して容器内の空気を大気圧P1に放出させつつ積算流量計に流し、空気排出量V50%を測定する。そして、次式
50%下における粒子周囲空隙容積値V(cm)=
〔空気排出量値V50%(cm)〕/〔内圧値P50%(kPa)/大気圧P1(kPa )〕
により、圧力P50%における粒子周囲空隙容積値Vを求める。同様に、P30%、70%、80%、90%等の各圧力水準における粒子周囲空隙容積を算出する。もし、中空部内圧力が容器内の圧力に満たない場合は、中空粒子体積が減少するためその分粒子周囲空隙容積が増加した状態となる。よって、充分に低い圧力水準から上記測定を開始し、粒子周囲空隙容積が増加し始めた水準の圧力をもって、中空粒子の中空部内の圧力レベルとした。
さらに、中空粒子の平均真比重の計測法は、次に示す通りである。
[平均真比重の計測法]
粒子の平均真比重値は、イソプロパノールを用いた、常法である液置換法(アルキメデス法)により測定するのが一般的であり、本発明においても、この常法に従うこととした。
また、中空粒子の平均粒径および粒径分布の計測法は、次に示す通りである。
機器:Sympatec Gmbh 社製 レーザ回折式粒度分布測定装置 HELOS&RODOSシステム
測定条件:2S−100ms/DRY
分散圧:2.00bar、送り:50.00%、回転:60.00%
形状係数:1.00
上記の条件にて測定し、以下の測定値を採用する。
すなわち、体積基準平均粒径を、本発明の平均粒径値(D50値)とする。
さらに、各膨張性樹脂粒子の熱膨張開始温度Ts1及び各中空粒子の再膨張開始温度Ts2の測定法は、以下に示す通りである。
〔粒子の熱膨張開始温度測定法〕
表2における熱膨張開始温度Ts1およびTs2は、以下に示す条件にて膨張変位量を測定し、その変位量の立ち上がり時の温度とした。
機器:PERKIN−ELMER 7Series
“Thermal Analysis System”
測定条件:昇温速度10km/min、測定開始温度25℃、測定終了温度220℃、
測定物理量:加熱による膨張変位量を測定。
また、表1に示した『充填した気体の湿度』は、以下の計器にて計測した。
計器:神栄(株)製 温湿度計 TRH−7X型
発明例1および2では、湿度70%以下の気体を充填したため、高速発熱ドラム試験での限界速度が、タイヤの速度記号にて規定される最高速度と同等またはそれ以上であったため合格である。また、ランフラット走行試験においても、限界内圧値を上回る復活圧力を示し、100kmの走行に耐えることができた。
一方、比較例1および2では、高湿度の気体を充填したため、高速発熱ドラム試験での限界速度が低下してしまい、タイヤの速度記号にて規定される最高速度を下回ったため不合格となった。また、ランフラット走行試験においても、復活圧力が実施例対比低く、100kmの走行に耐えることができない例もあった。
本発明に従って得られる安全タイヤの幅方向断面図である。 本発明に従う安全タイヤの製造方法を示す図である。 耐圧容器の具体例を示す図である。
符号の説明
1 タイヤ
2 リム
3 タイヤ気室
4 中空粒子
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト
8 トレッド
9 インナーライナー層
11 サイド部
12 耐圧容器
13 耐圧ホース(管)
14 圧力閉塞弁
15 フィルター
16 圧力閉塞弁

Claims (20)

  1. タイヤをリムに装着し、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子の多数を配置して安全タイヤを製造するに当たり、大気圧下での30℃における湿度(水蒸気含有率)を70%以下に調整した気体をタイヤ気室内に充填することを特徴とする安全タイヤの製造方法。
  2. 中空粒子は、常用走行使用時の車両指定タイヤ内圧の70%以上の中空部圧力を持ち、且つ中空粒子を加熱したときの膨張開始温度Ts2が90℃〜200℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の安全タイヤの製造方法。
  3. 中空粒子は、常用走行使用時の車両指定タイヤ内圧以上の高圧気体とともに耐圧容器内に収容され、該耐圧容器からタイヤ気室に供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の安全タイヤの製造方法。
  4. 耐圧容器を、リムに装着後のタイヤに管を介して連結し、該タイヤの内圧に比して耐圧容器の内圧を高くして、その差圧をもって中空粒子を気体とともに耐圧容器からタイヤ内部へ移送し、タイヤの内部に中空粒子を充填することを特徴とする請求項3に記載の安全タイヤの製造方法。
  5. 高圧気体が窒素であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  6. 下記式(I)に従う中空粒子の充填率を5vol%以上80vol%以下とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。

    中空粒子の充填率=(粒子体積値/タイヤ気室容積値)×100 ---(I)
    ここで、
    粒子体積値:タイヤ気室に配置した全中空粒子の大気圧下での合計体積
    と粒子周囲の空隙体積との合計量(cm
    タイヤ気室容積値:タイヤとリムとの組立体に空気のみを充填して使用
    内圧(kPa)に調整した後、充填空気を内圧が大気圧になるまで排出した
    際の充填空気排出量(cm)を用いて、次式(II)から求めた値(cm

    タイヤ気室容積値=(充填空気排出量)/(使用内圧/大気圧)---(II)
    なお、式(II)において使用内圧はゲージ圧値(kPa)を、大気圧値
    は気圧計による絶対値(kPa)を用いる。
  7. 中空粒子の充填率を10vol%以上とすることを特徴とする請求項6に記載の安全タイヤの製造方法。
  8. 中空粒子に、ガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた膨張性樹脂粒子を混合して、タイヤ気室に充填することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  9. 中空粒子の熱膨張開始温度Ts2が110℃〜200℃であることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  10. 中空粒子の熱膨張開始温度Ts2が130℃〜200℃であることを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  11. 中空粒子の熱膨張開始温度Ts2が160℃〜200℃であることを特徴とする請求項2ないし10のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  12. 中空粒子は、中空部内の圧力をタイヤの使用内圧の80%以上に調整して用いることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  13. 中空粒子は、中空部内の圧力をタイヤの使用内圧の90%以上に調整して用いることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  14. 中空粒子は、中空部内の圧力をタイヤの使用内圧の100%以上に調整して用いることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  15. タイヤ気室に充填する中空粒子群の平均粒径が40〜200μmの範囲にあり、かつ該中空粒子群の平均真比重が0.01〜0.06g/cmの範囲にあることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  16. 中空粒子の中空部内の気体が、窒素、空気、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
    −O−R ---- (III)
    (式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  17. 中空粒子の連続相である樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれか少なくとも1種から成ることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  18. 中空粒子の連続相がアクリロニトリル系重合体から成り、該アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体およびアクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  19. タイヤ気室内に、大気圧下での平均嵩比重が該中空粒子の平均真比重よりも大きい発泡体の多数を配置し、傷口の閉塞に中空粒子群と混用することを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の安全タイヤの製造方法。
  20. 発泡体は、直径が1〜15mmの略球体形状または一辺が1〜15mmの立方体形状であり、平均嵩比重が0.06〜0.3(g/cc)であり、独立気泡または連通気泡を有するものであることを特徴とする請求項19に記載の安全タイヤの製造方法。
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