以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
図1〜図22は、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した断面図もしくは平面図である。以下図面を用いて工程順に説明する。
まず、図1に示すように、たとえばp−型の単結晶シリコンからなる半導体基板1を用意し、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。素子分離領域2はたとえば以下のようにして形成できる。まず、半導体基板1の主面上にシリコン酸化膜(SiO)およびシリコン窒化膜(SiN)を順次形成し、このシリコン窒化膜をパターニングされたフォトレジスト膜を用いてエッチングし、このエッチングされたシリコン窒化膜をマスクとして半導体基板1に浅溝を形成する。その後、浅溝を埋め込む絶縁膜たとえばシリコン酸化膜を堆積し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いて浅溝以外の領域のシリコン酸化膜を除去し、さらにウェットエッチング法等によりシリコン窒化膜を除去する。これにより素子分離領域2が形成される。
次に、パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして不純物をイオン注入し、pウェル3およびnウェル4を形成する。pウェル3にはp型の導電型を示す不純物たとえばボロン(B)をイオン注入し、nウェル4にはn型の導電型を示す不純物たとえばリン(p)をイオン注入する。この後、各ウェル領域にMISFETのしきい値を制御するための不純物をイオン注入してもよい。
次に、ゲート絶縁膜5となるシリコン酸化膜、ゲート電極6となる多結晶シリコン膜およびキャップ絶縁膜7となるシリコン酸化膜を順次堆積して積層膜を形成し、フォトリソグラフィによりパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして前記積層膜をエッチングする。これにより、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6およびキャップ絶縁膜7を形成する。ゲート絶縁膜5はたとえば熱CVD法により形成することができ、ゲート電極6はCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成することができる。ゲート電極6の抵抗値を低減するためにn型あるいはp型の不純物をMISFETのチャネル型に応じてドープしてもよい。すなわち、nチャネルMISFETのゲート電極にはn型不純物を、pチャネルMISFETのゲート電極にはp型不純物をドープしてもよい。この場合イオン注入法を用いることができる。なお、ゲート電極6の上部にWSix、MoSix、TiSix、TaSixなどの高融点金属シリサイド膜を積層してもよく、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)等のバリアメタル層を介してタングステン等の金属層を形成してもよい。これによりゲート電極6のシート抵抗値を低減し、MISFETの動作速度を向上できる。キャップ絶縁膜7はたとえばCVD法により堆積することができる。
次に、半導体基板1上にたとえばCVD法でシリコン酸化膜を堆積した後、このシリコン酸化膜を異方性エッチングすることにより、ゲート電極6の側壁にサイドウォールスペーサ8を形成する。その後、フォトレジスト膜をマスクとして、pウェル3にn型不純物(たとえばリン、ヒ素)をイオン注入し、pウェル3上のゲート電極6の両側にn型半導体領域9を形成する。n型半導体領域9は、ゲート電極6およびサイドウォールスペーサ8に対して自己整合的に形成される。また、n型半導体領域9は、nチャネルMISFETQnのソース、ドレイン領域として機能する。同様に、フォトレジスト膜をマスクとして、nウェル4にp型不純物(たとえばボロン)をイオン注入し、nウェル4上のゲート電極6の両側にp型半導体領域10を形成する。p型半導体領域10は、ゲート電極6およびサイドウォールスペーサ8に対して自己整合的に形成され、pチャネルMISFETQpのソース、ドレイン領域として機能する。
なお、サイドウォールスペーサ8の形成前に低濃度の不純物半導体領域を形成し、サイドウォールスペーサ8の形成後に高濃度の不純物半導体領域を形成していわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造としてもよい。
次に、図2に示すように、半導体基板1上にスパッタ法またはCVD法でシリコン酸化膜を堆積した後、そのシリコン酸化膜をたとえばCMP法で研磨することにより、表面が平坦化された第1層間絶縁膜11を形成する。第1層間絶縁膜11は、シリコン窒化膜、SOG(Spin On Glass)膜、BPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)膜、PSG(Phosphor Silicate Glass)膜等の積層膜で形成しても良い。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて第1層間絶縁膜11に接続孔12を形成する。この接続孔12は、n型半導体領域9あるいはp型半導体領域10上の必要部分に形成する。
次に、接続孔12内にプラグ13をたとえば以下のようにして形成する。まず、接続孔12の内部を含む半導体基板1の全面に窒化チタン(TiN)膜を形成する。窒化チタン膜はたとえばCVD法により形成できる。CVD法は被膜の段差被覆性に優れるため、微細な接続孔12内にも均一な膜厚で窒化チタン膜を形成できる。次に、接続孔12を埋め込むタングステン(W)膜を形成する。タングステン膜は、たとえばCVD法で形成できる。CVD法であれば同様に微細な接続孔12内をタングステンで埋め込むことができる。次に、接続孔12以外の領域の窒化チタン膜およびタングステン膜をたとえばCMP法により除去してプラグ13を形成できる。なお、窒化チタン膜の形成前にたとえばチタン(Ti)膜を堆積し、熱処理を行って接続孔12の底部における半導体基板(n型あるいはp型の半導体領域9,10)をシリサイド化してもよい。このようなシリサイド層を形成することにより、接続孔12底部でのコンタクト抵抗を低減できる。
次に、半導体基板1の全面に、たとえばタングステン膜を形成し、このタングステン膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングし、第1配線層の配線14を形成する。タングステン膜は、CVD法あるいはスパッタ法により形成できる。
次に、図3に示すように、配線14を覆う絶縁膜たとえばシリコン酸化膜を形成し、この絶縁膜をCMP法により平坦化して第2層間絶縁膜15を形成する。
次に、第2層間絶縁膜15上に接続孔が形成される領域に開口を有するフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜をマスクとしてエッチングを施す。これにより第2層間絶縁膜15の所定の領域に接続孔16を形成する。
次に、接続孔16内にプラグ17を形成する。プラグ17は以下のようにして形成できる。まず、接続孔16の内部を含む半導体基板1の全面にバリア層を形成し、さらに接続孔16を埋め込む銅(Cu)膜を形成する。その後、接続孔16以外の領域の銅膜およびバリア膜をCMP法により除去してプラグ17を形成する。
バリア層は銅の第2層間絶縁膜15等周辺への拡散を防止する機能を有し、たとえば窒化チタン膜を例示できる。なお、窒化チタン膜には限られず、銅の拡散防止機能を有する限り他の金属膜であってもよい。たとえば、窒化チタンに代えてタンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)を用いることもできる。次工程以下のバリア層については窒化チタン膜を例示して説明するが、タンタル、窒化タンタル等に代えることができることは前記と同様である。
銅膜は主導電層として機能し、たとえばメッキ法で形成できる。メッキ膜の形成前にシード膜として薄い銅膜をスパッタ法により形成できる。また、銅膜は、スパッタ法により形成してもよい。この場合、スパッタにより銅膜を形成後、熱処理により銅膜を流動化させて、接続孔または配線溝へ埋め込み特性を向上するようにしてもよい。次工程以下の銅膜についてはメッキ法で形成する場合を例示するが、スパッタ法を用いてもよいことは前記と同様である。
次に、図4に示すように、第2層間絶縁膜15上にストッパ絶縁膜18を形成し、さらに第2配線層形成用の絶縁膜19を形成する。ストッパ絶縁膜18は、絶縁膜19への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜19に対してエッチング選択比を有する材料を用いる。ストッパ絶縁膜18は、たとえばシリコン窒化膜とする。絶縁膜19は、配線間の線間容量を低く抑えるため、誘電率の小さな材料を用いる。絶縁膜19は、たとえばシリコン酸化膜とする。なお、ストッパ絶縁膜18と絶縁膜19には次に説明する第2層配線が形成される。このため、その合計膜厚は第2配線層に必要な設計膜厚で決められる。また、配線間容量を低減することを考慮すれば、誘電率の高いシリコン窒化膜からなるストッパ絶縁膜18の膜厚はストッパ機能を達するに十分な膜厚であればできるだけ薄いことが望ましい。
次に、絶縁膜19上に配線パターンに開口が形成されたフォトレジスト膜をパターニングし、このフォトレジスト膜をマスクとして第1のエッチングを施す。この第1のエッチングにより絶縁膜19に配線溝20の一部を形成する。このエッチングの際にはシリコン酸化膜がエッチングされ易くシリコン窒化膜がエッチングされ難い条件を選択する。これによりストッパ絶縁膜18(シリコン窒化膜)をエッチングストッパとして用いる。その後、シリコン窒化膜がエッチングされる条件を選択して第2のエッチングを施す。前記したようにストッパ絶縁膜18の膜厚は十分に薄く形成されているため、第2のエッチングでのオーバーエッチングは少なくてよく、第2層間絶縁膜15の過剰エッチングを抑制できる。このように2段階のエッチングを用いることにより、配線溝20の深さを均一かつ確実に形成することができる。
次に、配線溝20の内部に第2配線層の配線21を形成する。配線21は、バリア層および主導電層からなり、バリア層はたとえば窒化チタン膜、主導電層はたとえば銅である。配線21の形成は以下のようにして行う。まず、配線溝20の内部を含む半導体基板1の全面に窒化チタン膜を形成し、その後配線溝20を埋め込む銅膜を形成する。窒化チタン膜の形成にはたとえばCVD法を、銅膜の形成にはたとえばメッキ法を用いる。メッキ法による銅膜の形成前にたとえばスパッタ法により銅のシード膜を形成できる。その後、配線溝20以外の領域の銅膜および窒化チタン膜をCMP法により除去して配線21を形成できる。なお、窒化チタン膜を他の材料に代えることができる点、銅膜をスパッタ法等他の製法により形成できる点は前記の通りである。
次に、図5に示すように、第2配線層の配線21および絶縁膜19上にストッパ絶縁膜22、層間絶縁膜23、配線形成用のストッパ絶縁膜24、配線形成用の絶縁膜25を順次形成する。ストッパ絶縁膜22,24は、層間絶縁膜23あるいは絶縁膜25に対してエッチング選択比を有する材料で構成され、たとえばシリコン窒化膜とすることができる。一方層間絶縁膜23あるいは絶縁膜25はシリコン酸化膜とすることができる。
次に、絶縁膜25およびストッパ絶縁膜24に配線溝26を、層間絶縁膜23およびストッパ絶縁膜22に接続孔27を形成する。この配線溝26および接続孔27の形成には、本発明による溝および孔の形成方法である後述の第5配線層の溝44および孔45の形成方法が適用でき、この溝および孔形成方法は、第5配線層の説明の際に詳述するので、ここでの説明は省略する。
次に、配線溝26および接続孔27の内部に第3配線層の配線28を形成する。この配線28と下層配線である配線21とを接続する接続部材は、配線28と一体に形成される。すなわち、配線28はいわゆるデュアルダマシン法により形成される。配線28の形成方法はたとえば以下のように行なう。まず、配線溝26および接続孔27の内部を含む半導体基板1の全面にバリア層となる窒化チタン膜をたとえばCVD法により形成し、その後配線溝26および接続孔27を埋め込む銅膜をたとえばメッキ法により形成する。その後、CMP法を用いて配線溝26以外の領域の銅膜および窒化チタン膜を除去し、接続部材と一体に形成された配線28を形成する。
なお、前記した第2配線層のように、まず接続部材(プラグ)を形成し、その後配線溝に配線28を形成するいわゆるシングルダマシン法を用いてもよい。
次に、図6に示すように、絶縁膜25および配線28上に、ストッパ絶縁膜29、層間絶縁膜30、配線形成用のストッパ絶縁膜31、配線形成用の絶縁膜32を順次形成する。これらの絶縁膜29〜32については、各々前記ストッパ絶縁膜22、層間絶縁膜23、配線形成用のストッパ絶縁膜24、配線形成用の絶縁膜25と同様である。また、ストッパ絶縁膜29および層間絶縁膜30に接続部材用の接続孔33aを、ストッパ絶縁膜31および絶縁膜32に配線溝33bを前記第3配線層の場合と同様に形成する。この溝33aおよび孔33bの形成方法は、次に説明する第5配線層の溝44および孔45の加工方法を適用できる。さらに、第3配線層の配線28と同様に第4配線層の配線33を形成する。配線33は前記の通り下層の配線28と接続する接続部材と一体に形成されるデュアルダマシン法で形成されるが、接続部材と配線とが別々に形成されるシングルダマシン法で形成してもよいことは第3配線層の場合と同じである。
次に、本発明による溝および孔形成方法である第5配線層の形成方法を説明する。図7に示すように、第4配線層の配線33および絶縁膜32上に絶縁膜34〜38を順次堆積する。絶縁膜34、36は、たとえば各々シリコン窒化膜からなり、膜厚はたとえば各々50nmとする。絶縁膜35は、たとえばシリコン酸化膜からなり、膜厚はたとえば450nmとする。絶縁膜37は、たとえばシリコン酸化膜からなり、膜厚は、たとえば350nmとする。絶縁膜38は、たとえばシリコン窒化膜からなり、膜厚は、たとえば100nmとする。
シリコン窒化膜(絶縁膜34,36,38)は、たとえばプラズマCVD法を用いて形成できる。プラズマCVD法を用いることにより成膜温度の低温化を図ることができる。配線形成工程は、半導体装置の製造工程(いわゆる前工程)のうち、最終工程に近い工程のため、すでに形成されたデバイス構造(不純物拡散層、シリサイド層等)に影響を及ぼさない温度(たとえば400℃程度の低温)で処理することが望まれる。このような低温化の要請に合致する成膜方法としてプラズマCVD法はメリットが大きい。また、シリコン酸化膜(絶縁膜35,37)は、たとえばプラズマCVD法を用いて形成できる。プラズマCVD法を用いる場合には原料ガスとしてTEOS(Tetraethylorthosilicate:テトラエトキシシラン)を用いることができる。TEOSを用いてシリコン酸化膜(以下TEOS酸化膜という)を形成すると、膜形成時のクラスタ流動性を高くでき、ステップカバレッジに優れたシリコン酸化膜が形成できる。また、比較的低温(たとえば400℃以下)の成膜温度で緻密なシリコン酸化膜が形成できる。なお、TEOS酸化膜に代えて、低誘電率のSOG(Spin On Glass)膜を用いることもできる。たとえばフッ素を含むSOG膜等である。低誘電率のSOGを用いれば、配線間容量を低減でき、半導体装置の高性能化に寄与できる。
絶縁膜34、35には、後に説明するように接続孔45が形成され、絶縁膜34は接続孔45を形成する際のエッチングストッパとして機能する。すなわち、絶縁膜35に対して絶縁膜34がエッチングされにくい条件で絶縁膜35をエッチングする。絶縁膜34に適用されるシリコン窒化膜はシリコン酸化膜に比較して高誘電率の材料であり、配線間容量を低減するにはその膜厚はできるだけ薄いことが望ましい。絶縁膜34の膜厚は、接続孔形成の際のエッチングストッパに要求される必要最低限の膜厚を選択できる。絶縁膜34の膜厚を低く抑えることにより配線層間の配線間容量を低減できる。前記50nmはこのような要求に従ったものである。
絶縁膜36、37には、後に説明するように配線溝44が形成され、絶縁膜34,35の場合と同様に、絶縁膜36は配線溝44を形成する際のエッチングストッパとして機能する。絶縁膜36は配線溝が形成される際のエッチングストッパとしての機能が要求されるのみであり、前記したセルフアライン方式のように、配線溝形成時のエッチングストッパとしての機能、および接続孔形成時のエッチングマスクとしての機能の両方の機能が要求されるわけではない。このため、絶縁膜36の膜厚をセルフアライン方式の場合より薄く形成でき、配線間容量を低減できる。絶縁膜36にもシリコン窒化膜が適用されるため、絶縁膜34の場合と同様、シリコン窒化膜の膜厚はできるだけ薄いことが望ましい。前記50nmはこのような要求に従ったものである。
絶縁膜38は、後に説明するように、配線溝形成時のマスクとして機能する。絶縁膜38は、後に説明するように、配線形成時には除去することが可能であるため、その膜厚が配線間容量(デバイス特性)に及ぼす影響はない。よって、絶縁膜38の膜厚は、マスクとして機能する膜厚よりも大きければよく、必ずしも必要最小限の膜厚である必要はない。前記100nmはこのような条件を考慮したものである。
なお、本実施の形態では、接続孔45あるいは配線溝44を形成する際のストッパ膜としてシリコン窒化膜を例示しているが、シリコン酸化膜やSOG膜に対するエッチング選択比を有する材料であればシリコン窒化膜には限られない。たとえばTEOS酸化膜に対してエッチング選択比を有する他のシリコン酸化膜であってもよい。
シリコン酸化膜(絶縁膜35、37)の膜厚は、配線に要求される厚さ、および配線層間の離間距離により任意に選択できる。ただし、配線厚さは、配線幅との関連で必要な配線断面積を確保できる条件で設計値が選択され、配線層間の離間距離は、配線間の耐電圧あるいは線間容量から要求される設計値が選択される。よって、シリコン酸化膜の膜厚はこれら設計値を考慮して選択される。
次に、図8に示すように、絶縁膜38上に、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜39を形成する。レジスト膜39は、配線パターン40aおよびスタックドビア(Stacked Via)部40bである配線溝が形成される領域に開口が形成されるように、つまり配線溝パターンおよびビアパターンにパターニングされる。パターン幅dL は、たとえば350nmである。
また、図13(a)に示すように、配線パターン40aは、それが直線的に形成される部分では、同一幅で形成される。つまり、図13(b)に示すように、接続孔が形成される領域に、接続孔用のフォトマスクと配線溝用のフォトマスクとの合わせズレを考慮して、配線溝用のパターンにパターン幅(配線溝幅)よりも広い領域(いわゆるドックボーン領域D)を設ける場合があるが、本実施の形態ではそのような広い領域を形成しない。このため、配線間隔Saを最小限に形成でき、配線形成の集積度を向上でき、論理を高集積化できる。また、配線パターン40aが直線状で単純であるため、フォトリソグラフィ時の露光光の干渉が生じず、現像パターンの加工精度を向上できる。
なお、レジスト膜39の形成前に反射防止膜を形成してもよい。本実施の形態では第4配線層の形成にCMP法を用いているため、また、第4配線層上にCVD法を用いて絶縁膜34〜38を形成しているため、絶縁膜38上は平坦化されて形成される。しかし、絶縁膜は一般に露光光の波長領域で透明であり、仮に反射防止膜が形成されなければ、第4配線層の配線33にまで露光光が到達し、配線33により散乱光が生じ、散乱光によるレジスト膜39の露光精度が低下して精密な加工が阻害される。しかし、絶縁膜38上に反射防止膜を形成する場合には、このような散乱光は発生せず、レジスト膜39の加工(パターニング)精度を向上できる。
次に、図9に示すように、レジスト膜39の存在下でドライエッチング処理を施し、絶縁膜38に(反射防止膜が形成されている場合には反射防止膜にも)配線溝パターン40a,40bを転写する。ドライエッチングの条件は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件を選択する。すなわち、圧力をたとえば50mTorr、エッチングガスをたとえばCHF3、O2、Arの混合ガスとし、その流量をたとえば各々20、20、200sccm、RF(Radio Frequency)投入電力をたとえば1200W、基板温度をたとえば0℃の条件を選択できる。このような条件を選択した場合、シリコン窒化膜である絶縁膜38のエッチング速度とその下層の絶縁膜37(シリコン酸化膜)のエッチング速度がほぼ同じとなる。つまり絶縁膜38を絶縁膜37に対して選択的にエッチングすることは困難である。しかし、前記の通り、絶縁膜38の膜厚は、絶縁膜37に対して十分に薄く、絶縁膜38のエッチング処理の際に多少オーバーエッチングを行っても絶縁膜37のエッチングされる量はその膜厚に比して相対的に少ない量である。このため、このエッチング処理においては選択性は特に要求されない。
なお、反射防止膜が形成されている場合には、反射防止膜のエッチングは、以下の条件を選択できる。すなわち、すなわち、圧力をたとえば750mTorr、エッチングガスをたとえばCHF3、CF4、Arの混合ガスとし、その流量をたとえば各々10、90、950sccm、RF投入電力をたとえば900W、基板温度をたとえば40℃の条件を選択できる。
次に、図10に示すように、レジスト膜39を除去する。このようにして配線の溝パターン40a,40bが転写された配線溝パターン層が形成される。配線溝パターン層は、シリコン窒化膜である絶縁膜38からなる。
次に、図11に示すように、配線溝パターン層である絶縁膜38を覆うように反射防止膜41を形成し、さらにレジスト膜42を形成する。反射防止膜41は、たとえばノボラック系樹脂等の有機材料を用いることができる。本実施の形態では、前記の通り絶縁膜38を薄く形成しているため、反射防止膜41を通常に塗布するのみで、溝パターン40(絶縁膜38の段差)を埋め込んで反射防止膜41の表面を平坦化することができる。すなわち、反射防止膜41は、表面を平坦化する平坦化膜として作用する。平坦化膜である反射防止膜を設けることによりレジスト膜42を平坦に形成して露光による散乱あるいは段差に起因する露光焦点のズレを防止し、レジスト膜42のパターニング精度を向上できる。
次に、図12に示すように、レジスト膜42に孔パターン43を形成する。孔パターン43の形成は、孔パターンに整形された露光光の照射と現像とによる通常のフォトリソグラフィ手法を用いる。本実施の形態では、図13(a)に示すように、孔パターン43の口径dHは、溝パターン40a,40bのパターン幅dLと同じに形成する。このため、溝パターン40a,40bと孔パターン43とのマスク合わせにズレが生じた場合、図13(a)に示すように、孔パターン43は、溝パターン40a,40bからはみ出して形成される。一般に溝パターン40a,40bと孔パターン43とを正確に合わせることは困難なため、本実施の形態は溝パターン40a,40bと孔パターン43がずれて形成されることを前提としている。すなわち、本実施の形態の場合、孔パターン43は、溝パターン40a,40bの開口が形成されていない領域つまり絶縁膜38が残されている領域上にも形成される。この点、図13(b)に示すように、配線溝Gの一部を広げた領域(ドッグボーン領域D)を有するような場合と相違する。このような場合には、配線ピッチPbを図13(a)の場合の配線ピッチPaより大きくする(Pb>Pa)必要があり、配線密度が低下する。また、孔パターン43のマスクズレを考慮してドッグボーン領域Dを形成しているため、孔パターン43の下部には絶縁膜38に相当する膜(シリコン窒化膜で構成される)は形成されない。その結果、本実施の形態とは次に説明する接続孔のエッチング条件が相違する。すなわち、本実施の形態では、シリコン窒化膜38がエッチングされる条件で孔パターン43が転写されるが、図13(b)のような場合にはシリコン窒化膜38がエッチングされないような条件でエッチングされる。これにより、図17および図22を用いて後述するように、孔パターン43の平面形状を有する接続孔45に層間接続配線50a,50bが形成され、溝パターン40a,40bと孔パターン43の和の平面形状を有する配線溝44a,44bに配線49a,49bが形成される。
なお、図13(a)のA−B線に沿った断面が図12のA−Bに対応する。このように、本実施の形態においては、配線パターン40aおよびビア部40bの幅dLと、孔パターン43の口径dHを同じに形成しているので、溝パターンである配線パターン40a、ビア部40b間の間隔、配線ピッチを縮小でき、配線を高密度化して論理を高集積化できる。また、絶縁膜38をエッチングする条件で孔パターン43を転写することにより、接続孔45を孔パターン43の平面形状で形成でき、その口径をdHにすることができるとともに配線49a,49bのパターンの平面形状を溝パターン40a,40bと孔パターン43との和の平面形状にすることができるので、配線49a,49bと接続孔45との重なり面積を孔パターン43の平面形状とすることができ、配線49a,49bの抵抗を低減できる。このように、本実施の形態においては、配線を高密度化できるとともに配線49a,49bの抵抗を低減できる。すなわち、ビア部40bにおいても、ビア配線49bの平面形状は、溝パターン40bと孔パターン43との和の平面形状で形成され、ビア配線49bと接続孔45との重なり面積を孔パターン43の平面形状とすることができるので、ビア配線であるスタックドビア部49bの抵抗を低減できる。すなわち、層間接続配線50a,50bを、配線49a,49bの幅Lwと同じ寸法を有し、かつ孔パターン43の平面形状で形成できる。また、GND電位やVcc(Vcc>GND電位)を供給する電源配線やクロック配線など、配線49a,49bよりも配線幅の広い配線40cは、図13(c)に示すように、ドッグボーンを設けなくてもよく、同一幅で直線的に形成されており、加工精度を向上できる。すなわち、本実施の形態では、図13(a)および図13(c)に示す溝パターン40a,40b,40cで構成される。
次に、図14に示すように、孔パターン43が形成されたレジスト膜42の存在下でエッチング処理を施し、反射防止膜41、絶縁膜37、36、絶縁膜38の一部に孔パターン43を転写する。反射防止膜41のエッチングには、前記同様、圧力をたとえば750mTorr、エッチングガスをたとえばCHF3、CF4、Arの混合ガスとし、その流量をたとえば各々10、90、950sccm、RF投入電力をたとえば900W、基板温度をたとえば40℃の条件を選択できる。絶縁膜37、36、絶縁膜38の一部のエッチング処理には、次の2通りの方法を採ることができる。
第1の方法は、図14に示したような孔パターン43を、1ステップでエッチング処理する方法である。この場合、エッチング処理の条件は、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜とが同等のエッチング速度でエッチングされる条件を選択する。たとえば、圧力を50mTorr、エッチングガスをCHF3、O2、Arの混合ガスとし、その流量を各々50、10、500sccm、RF投入電力を3200W、基板温度を−20℃の条件を選択できる。このような条件を選択した場合、シリコン窒化膜からなる絶縁膜38、シリコン酸化膜からなる絶縁膜37、およびシリコン窒化膜からなる絶縁膜36までほぼ同じ速度でエッチングされる。エッチングの深さ(孔パターン43の深さ)は、エッチング処理時間で制御できる。
第2の方法は、まずシリコン窒化膜がエッチングされる条件で絶縁膜38の一部を除去する第1ステップのエッチングと、シリコン酸化膜はエッチングされるがシリコン窒化膜はエッチングされ難い選択エッチングの条件で絶縁膜37をエッチングする第2ステップのエッチングと、さらにシリコン窒化膜がエッチングされる条件で絶縁膜36をエッチングする第3ステップのエッチングとの3段階のエッチングを行なう方式である。このような3段階方式によれば、孔パターン43のエッチング深さを容易に制御できる。すなわち、第2段階のエッチングを選択エッチングとすることにより、絶縁膜36を第2段階のエッチング処理のストッパとして機能させることができ、時間管理によらなくても孔パターン43の深さを均一化することができる。第1ステップおよび第3ステップのエッチング条件は、たとえば圧力を30mTorr、エッチングガスをC4F8、O2、Arの混合ガスとし、その流量を各々12、7、400sccm、RF投入電力を3400W、基板温度を0℃の条件を選択できる。第2ステップのエッチング条件は、たとえば圧力を50mTorr、エッチングガスをCHF3、O2の混合ガスとし、その流量を各々20、20sccm、RF投入電力を1200W、基板温度を0℃の条件を選択できる。
前記第1の方法、第2の方法のいずれの方法においても、孔パターン43は絶縁膜38を貫通して形成される。すなわち、孔パターン43と溝パターン40a,40bとがずれて形成されても、孔パターン43は溝パターン40a,40bに対して自己整合的に形成されず、孔パターン43の開口径は設計通りの値dHが確保できる。すなわち孔パターン43は溝パターン40a,40bによらずその口径dHが確保され、従来のセルフアライン方式の場合のような接続孔径の減少の不具合は発生しない。
また、前記第1の方法、第2の方法、のいずれの方法においても、この段階で絶縁膜36を突き抜けて孔パターン43が絶縁膜36に形成される。すなわち、絶縁膜36に孔パターン43が転写される。これは、後に説明するように配線溝形成のためのエッチング処理において、同時に接続孔形成を行うためである。すなわち、絶縁膜37をエッチングして配線溝を形成する際に、絶縁膜36を貫通して孔パターン43が絶縁膜36に形成されていると、その孔パターン43領域の絶縁膜35も同時にエッチングされ、接続孔の一部が配線溝と同時に形成できる。この点は、後に詳述する。
なお、前記第1の方法の場合、孔パターン43と溝パターン40a,40bの目外れ(ズレ)に起因して、図示するように孔パターン43の底部に段差Sが生じる。このような段差Sが生じても、後に説明するように、絶縁膜34がストッパ機能を果たすため孔底部のエッチング深さが均一化され、問題は生じない。
次に、図15に示すように、たとえばアッシング法を用いて、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。この段階で絶縁膜38(溝パターン層)による溝パターン40a,40b、絶縁膜36,37および絶縁膜38の一部による孔パターン43が形成される。
その後、図16に示すように、溝パターン40a,40bおよび孔パターン43の存在下で、エッチング処理を施し、溝パターン40a,40bを絶縁膜37に、孔パターン43を絶縁膜35に転写する。これにより配線溝44a,44bおよび接続孔45の一部が形成される。すなわち、溝パターン40a,40bおよび孔パターン43以外の領域には絶縁膜38が形成されているため、これがマスクとして機能し、溝パターン40a,40bの領域で絶縁膜37がエッチングされる。孔パターン43の領域では、すでに絶縁膜37,36に孔パターンが形成されているため、絶縁膜35がエッチングされる。このエッチングは溝および孔の両パターン領域で同時に進行し、配線溝44a,44bおよび接続孔45の一部が同時に形成される。すなわち、接続孔45は、孔パターン43の平面形状で形成されるので、接続孔45の寸法Lwは、実質的に配線溝44a,44bの配線幅Lwと等しく構成される。これにより配線49a,49bの抵抗を低減できる。
このエッチング処理の条件は、シリコン窒化膜がエッチングされ難く、シリコン酸化膜がエッチングされる条件を選択する。すなわち、たとえば、圧力を30mTorr、エッチングガスをC4F8、Ar、O2、COの混合ガスとし、その流量を各々20、500、9、100sccm、RF投入電力を3600W、基板温度を−20℃とすることができる。
このような条件を選択すれば、シリコン窒化膜がエッチングされ難く、シリコン酸化膜がエッチングされやすいため、絶縁膜36が溝エッチングのストッパとして、絶縁膜34が孔エッチングのストッパとして機能する。これにより多少のオーバーエッチングは許容され、溝深さおよび孔深さの均一性を向上できる。また、溝深さおよび孔深さの制御を時間管理により行う必要がなく、安定して溝および孔加工が施せる。さらに、溝底部と孔底部のエッチング終了時点を揃える必要がなく、溝あるいは孔のいずれかが先にエッチングを終了してもよい。また、前記した孔パターン43底部の段差Sが存在する場合でもオーバーエッチングの段階で段差Sが吸収され、孔底部の平坦性が実現できる。
ただし、絶縁膜35および37の膜厚を最適化して出来るだけ溝および孔のエッチング終了時点を揃えることが好ましい。エッチング終了時点を揃えることにより、ストッパとして機能する絶縁膜34、36の膜厚を薄くすることができ、つまり誘電率の高いシリコン窒化膜の膜厚を薄くでき、線間容量の低減に寄与できる。
次に、図17に示すように、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でエッチング処理を行い、絶縁膜38、溝パターン40a,40b底部の絶縁膜36、孔パターン43底部の絶縁膜34をエッチングする。これにより配線溝44a,44bおよび接続孔45を完成する。このエッチング処理の条件は、たとえば、圧力を50mTorr、エッチングガスをCHF3、O2、Arの混合ガスとし、その流量を各々20、20、400または600sccm、RF投入電力を1200W、基板温度を0℃の条件を選択できる。このエッチング処理によりシリコン酸化膜もエッチングされ得るが、絶縁膜38、36、34の膜厚は絶縁膜35,37に比較して十分薄いため、多少のオーバーエッチングを施しても特に問題は生じない。また、絶縁膜38は絶縁膜36,34に比較して厚く形成しているが、前記溝および孔の同時エッチングの際にマスクとして機能しているためその膜厚が減少し、本エッチング工程においては容易にエッチングされ除去される。
なお、本エッチング工程では、孔パターン43底部の絶縁膜34が除去されれば十分であり、必ずしも絶縁膜36,38が除去される必要はない。すなわち、本工程の目的は接続孔45の完成であり、接続孔45が開口されればそれで十分である。しかし、前記の通り絶縁膜36,38も絶縁膜34と同時にエッチングされるものであり、絶縁膜36がエッチングされれば配線溝底部の高誘電率材料であるシリコン窒化膜が除去され、配線間容量の低減に寄与できる。また、絶縁膜38が除去されても同様に配線間容量を低減できる。このような効果は存在する。
次に、図18に示すように、バリアメタル層46を形成する。バリアメタル層46は配線および層間接続配線の主成分である銅の拡散を防止するとともに、銅とシリコン酸化膜との接着性を向上させる機能を有する。バリアメタル層46としてはたとえばタンタル(Ta)膜を用いることができる。タンタル膜をバリアメタル層46に適用する場合、その膜厚は絶縁膜37上(基板平面上)において100nm程度とする。なお、タンタル膜に代えて窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)等を用いても良い。これらの金属化合物膜であっても銅の拡散を防止できる限りバリアメタル層46に適用できる。バリアメタル層46は、たとえばターゲットと基板との距離が200mm程度離間したロングスロースパッタ法を用いることができる。これにより、微細な接続孔45の底部にも比較的均一な膜厚でバリアメタル層46を形成できる。なお、ロングスロースパッタ法に代えてCVD法を用いてもよく、また、通常のスパッタ法を用いてもよい。
次に、図19に示すように、バリアメタル層46上にシード層47を形成する。シード層47は、次に説明する銅のメッキ層を形成するための種(シード)となる層であり、銅で構成される。シード層47は前記のロングスロースパッタ法を用いることができるが、それに代えてCVD法をあるいは通常のスパッタ法を用いてもよい。シード層47の膜厚は基板平面上で100nm程度とする。
次に、図20に示すように、銅のメッキ層48を形成する。メッキ法は、電解メッキ、無電解メッキのいずれの方法を用いても良い。メッキ層48の膜厚は基板平面上で300nm程度とする。これにより配線溝44a,44bおよび接続孔45を同時に埋め込む。
なお、本実施の形態では、メッキ法による銅膜(メッキ層48)の形成を示したが、スパッタ法により形成しても良い。この場合、シード層47は必要ではない。スパッタ法により銅膜を形成する場合には、接続孔45および配線溝44a,44bに銅が埋め込まれるように熱処理を施して銅をリフローさせることができる。
次に、図21に示すように、CMP法を用いてメッキ層48およびシード層47を研磨する。銅は研磨速度が大きいので、まず先に銅の部分が除去される。
さらに研磨を継続し、図22に示すように、絶縁膜37上のバリアメタル層46(タンタル膜)も除去する。これにより配線溝44の領域以外のバリアメタル層46および銅膜(メッキ層48およびシード層47)を除去する。
CMP法による研磨には過酸化水素等の酸化剤を含みアルミナ砥粒が分散された研磨スラリーを使用できる。また、銅膜とバリアメタル層(タンタル膜)を同一プラテンで一括研磨する方法を採ることができる。研磨所要時間は、バリアメタル層46の除去が終了する状態(100%研磨)で2.5分、オーバー研磨0.5分を含めて3分とした。なお、CMP法による研磨の後、濃度0.1%のアンモニア水溶液を用いた洗浄さらに純水を用いた洗浄の2段階のブラシスクラブ洗浄により、基板表面に付着した研磨砥粒及び銅を除去できる。
以上のようにして、第5配線層の配線49a,49bと、第4配線層の配線33と接続する層間接続配線50a,50bが完成する。配線49a,49bには層間接続配線50a,50bが一体に形成されることは前記説明から明らかである。これにより、層間接続配線50a,50bの寸法Lwを実質的に配線49a,49bの配線幅Lwと等しく構成できる。また、層間接続配線50a,50bの平面形状は、孔パターン43の平面形状で構成され、配線49a,49bは、溝パターン40a,40bと孔パターン43の和の平面形状で構成される。
その後、同様の方法で第6配線層以上の任意の配線層が形成できるが詳細な説明は省略する。なお、前述の通り、第3配線層の配線28、第4配線層の配線33も、第5配線層の配線49a,49bと同様の方法で形成される。また、第1配線層、第2配線層の配線を第5配線層の配線49a,49bと同様の方法で形成しても良いのは無論である。
本実施の形態によれば、前記各工程で説明した効果に加えて、微細な配線を信頼性よく、また、低い配線間容量で形成できる。すなわち、先孔方式のように孔パターンの開口径で接続孔を形成できるため、層間接続配線の配線断面積を確保でき、一方、先孔方式の場合に問題となった深い孔内へのレジストあるいは反射防止材料の充填をする必要がない。このため、レジストあるいは反射防止材料の残留による信頼性の低下等の問題が発生しない。また、本実施の形態では中間ストッパとして機能する絶縁膜36を薄く形成できるため、セルフアライン方式で問題となったよう配線間容量の増加が生じない。また、孔パターン43の口径dHと、溝パターン40a,40bのパターン幅dLとを同じ寸法で形成することにより、配線49a,49bのピッチを縮小でき、配線密度を向上し、集積化できる。また、溝パターン40a,40bの形成後、孔パターン43を形成し、孔パターン43を溝パターン40a,40bに転写する、すなわち、シリコン窒化膜38を孔パターン43の形状にエッチングすることにより、層間接続配線50a,50bを孔パターン43の平面形状で形成でき、配線49a,49bの抵抗を低減できる。このように、配線ピッチを縮小でき、配線の密度を向上し、集積化できるとともに、配線49a,49bの抵抗を低減できる。
なお、本実施の形態では、図14の工程において孔パターン43の形成を絶縁膜35の途中で止めたが、図25に示すように、絶縁膜34の表面に達するまで行ってもよい。このような場合でも、絶縁膜34(シリコン窒化膜)が形成されているため、前記の図15と同様にレジスト膜42、反射防止膜41の除去工程におけるマスクとして作用し(図26)、また、図26のような状態で、図16と同様に溝パターン40a,40bの転写を絶縁膜37に行ったとしても、絶縁膜34がこの転写の際のエッチングストッパとして機能する。
また、配線のうち、上下配線を接続するスタックドビア部49bについては、配線溝形成用の溝パターンの形成を省略できる。すなわち、図27に示すように、上下配線を接続する部分についてはパターニングせず、配線層内に延在する配線パターン51のパターニングを行い、次に、図28に示すように、孔パターン52a,52bが形成されたレジスト膜53を形成する。次に、レジスト膜53の存在下で前記図14におけるエッチング処理を行う。このエッチングではシリコン窒化膜がエッチングされる条件で絶縁膜38がエッチングされるため、図29のように孔パターン52bの下部に絶縁膜38が形成されていてもよい。このような場合、上下配線を接続する部分の配線溝パターン40bと接続孔パターン43の合わせズレを考慮する必要がなく、工程を簡略化できるとともに、ビア配線49bの抵抗を低抵抗に確保できる。
なお、図23(a)に本実施の形態により形成される配線49aの平面パターンを示す。図23(b)および(c)は、図23(a)におけるA−B線断面図およびC−D線断面図を各々示す。図示するように、配線ピッチPaを縮小しても接続孔50aの径dhは口径Wより大きくなり、接続孔部分の抵抗を低減でき、集積度の向上と接続孔部の低抵抗化をはかれる。
一方、図24に、接続孔をセルフアライメントで形成する場合(シリコン窒化膜38が図14の工程でエッチングされない場合)を比較として示す。図示するように、孔パターン43が配線49aに対して目外れして形成される場合には、接続孔は、孔パターン43と配線49aの重なり部分に形成される。このため、接続孔の口径d’は、孔パターン43の口径dより小さくなり(d’<d)、接続孔部分の抵抗が大きくなる。これを防止するために孔パターン43の口径を大きくすれば、パターンの合わせずれを考慮して配線49aのピッチPcを大きくせざるを得ず、本実施の形態の場合のピッチPaよりも大きくなる(Pc>Pa)。ただし、図24に示すようなセルフアラインで形成した場合には、図14に示すエッチング工程で2段階のエッチングを行う必要がなく、それに相当するエッチング工程を簡略化して1段階のエッチング工程にできるというメリットがある。
(実施の形態2)
図30および図31は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造方法をその工程順に示した一部断面図である。図30および図31では、実施の形態1の第5配線層のみを示し、また、図1〜図29における左側部分を示して図面を簡略化している。
本実施の形態の製造方法は、実施の形態1における図12までの工程と同様の工程の後、図30(a)に示すように、第4配線層上に、絶縁膜34〜38を順次形成し、絶縁膜38に溝パターン40をパターニングした後、反射防止膜41、レジスト膜42を形成し、レジスト膜42に孔パターン43を形成する。なお、図13(a)に示すように、孔パターン43が溝パターン40に対して外れていることも同様である。
次に、図30(b)に示すように、孔パターン43が形成されたレジスト膜42の存在下でこれをマスクとし、エッチング処理を施す。反射防止膜41のエッチング条件は実施の形態1と同様である。絶縁膜36のエッチング条件は、実施の形態1の場合と相違し、シリコン酸化膜がエッチングされ、シリコン窒化膜がエッチングされ難い条件で行う。たとえば圧力を50mTorr、エッチングガスをCHF3、O2の混合ガスとし、その流量を各々20、20sccm、RF投入電力を1200W、基板温度を0℃の条件を選択できる。このような条件では、シリコン酸化膜はエッチングされるが、シリコン窒化膜がエッチングされ難いため、絶縁膜38がエッチングされず、絶縁膜38はレジスト膜42とともに絶縁膜37のエッチングマスクとして機能する。このため、絶縁膜38(シリコン窒化膜)がその上部に形成されている領域の絶縁膜37はエッチングされず、孔パターン43と溝パターン40とがずれて形成されている領域では、孔パターン43は絶縁膜38に対して自己整合的に形成される。このため、接続孔は配線溝から外れて形成されることはなく、配線間寸法が小さく、高密度に配線が形成されていても配線溝と接続孔とのマスクずれの影響が生じない。
なお、本実施の形態においても、絶縁膜36に孔パターン43が転写されている必要がある。絶縁膜36をエッチングする際にはシリコン窒化膜がエッチングされる条件でエッチングを行う必要がある。このため、本実施の形態では、絶縁膜37、36に孔パターン43を転写するに際して、シリコン窒化膜がエッチングされ難い条件の第1ステップのエッチングと、シリコン窒化膜がエッチングされる条件の第2ステップのエッチングとの2段階で行うこととなる。
次に、実施の形態1の図15の工程と同様にレジスト膜42および反射防止膜41を除去し(図30(c))、その後、実施の形態1の図16の工程と同様に配線溝の溝パターン40を絶縁膜37に、孔パターン43を絶縁膜35に転写する(図31(d))。さらに図31(e)に示すように、シリコン窒化膜である絶縁膜38、溝パターン40底部の絶縁膜36、孔パターン43底部の絶縁膜34を除去し、配線溝44および接続孔45を形成する。その後の工程は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態の製造方法によれば、接続孔45が配線溝44に対して自己整合的に形成され、配線の形成密度の向上に寄与できる。
(実施の形態3)
図32および図33は、本発明のさらに他の実施の形態である半導体装置の製造方法をその工程順に示した一部断面図である。図32および図33では、実施の形態2と同様に実施の形態1の第5配線層のみを示し、また、図1〜図29における左側部分を示して図面を簡略化している。
本実施の形態の製造方法は、実施の形態1における図12までの工程と同様の工程の後、第4配線層上に、絶縁膜34〜38を順次形成し、絶縁膜38には溝パターン40をパターニングする。その後反射防止膜41、孔パターン43を有するレジスト膜42を形成する。なお、本実施の形態では、孔パターン43が溝パターン40に対して目外れしていない場合を説明する(図32(a))。
次に、図32(b)に示すように、孔パターン43が形成されたレジスト膜42の存在下でこれをマスクとし、エッチング処理を施す。反射防止膜41のエッチング条件は実施の形態1と同様である。このエッチング処理により、絶縁膜37、36に孔パターン43を転写する。この場合のエッチング処理は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件による絶縁膜37、36の連続エッチング、あるいはシリコン酸化膜がエッチングされるがシリコン窒化膜はエッチングされない条件による第1ステップのエッチングの後、シリコン窒化膜がエッチングされる条件による第2ステップのエッチングの2段階エッチングのいずれかを選択できる。シリコン窒化膜がエッチングされる条件、シリコン酸化膜はエッチングされるがシリコン窒化膜がエッチングされ難い条件は、前記例示した条件を各々選択できる。
なお、本実施の形態においても、絶縁膜36に孔パターン43が転写されている必要がある。
次に、実施の形態1の図15の工程と同様にレジスト膜42および反射防止膜41を除去し(図32(c))、その後、実施の形態1の図16の工程と同様に配線溝の溝パターン40を絶縁膜37に、孔パターン43を絶縁膜35に転写する(図33(d))。さらに図33(e)に示すように、シリコン窒化膜である絶縁膜38、溝パターン40底部の絶縁膜36、孔パターン43底部の絶縁膜34を除去し、配線溝44および接続孔45を形成する。その後の工程は、実施の形態1と同様である。
(実施の形態4)
図34および図35は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造方法をその工程順に示した一部断面図である。図34および図35では、実施の形態2と同様に実施の形態1の第5配線層のみを示し、また、図1〜図29における左側部分を示して図面を簡略化している。
本実施の形態の製造方法は、実施の形態1における図15までの工程と同様の工程の後、第4配線層の配線33および絶縁膜32上に、絶縁膜34〜38を順次形成し、絶縁膜38には溝パターン40を形成する。その後孔パターン43を有するレジスト膜を用いて絶縁膜37,36に孔パターン43を転写し、レジスト膜(および反射防止膜)を除去する(図34(a))。
ただし、絶縁膜38の膜厚は実施の形態1の場合(100nm)よりも薄くし、70nmとする。
次に、図34(b)に示すように、配線溝の溝パターン40を絶縁膜37に、孔パターン43を絶縁膜35に転写する。この転写の際のエッチング条件は、実施の形態1の場合と同様である。また、この転写の際のエッチングにおいては、絶縁膜38が70nmと薄く形成されているため、エッチングの途中で絶縁膜38の端部がエッチングされて後退する。この結果、図34(b)に示すように、溝パターン40の端部になだらかな肩部54が形成される。また、溝パターン40の絶縁膜37への転写が終了し、絶縁膜36が溝パターン40底部に露出した後は、絶縁膜36がエッチング雰囲気に曝されることとなる。このときさらにエッチングを継続すれば、絶縁膜36の端部も同様にエッチングにより後退し、孔パターン43の端部にもなだらかな肩部55が形成される。
このような肩部54,55が形成されることにより、配線溝および接続孔の開口部が広がり、金属膜の埋め込みを容易にできる。なお、この肩部54,55の断面形状は、前記した形成の原理(マスク層端部のエッチングによる後退)から、表面に向かうに従いより大きな傾きで配線溝あるいは接続孔の幅を増大させた形状となる。
次に、図34(c)に示すように、絶縁膜38、溝パターン40底部の絶縁膜36、および孔パターン43底部の絶縁膜34をエッチングにより除去する。これにより配線溝44および接続孔45を形成する。本工程のエッチング条件は、実施の形態1の場合と同様である。
次に、実施の形態1の図18の工程と同様にバリアメタル層46を形成し(図34(d))、さらに実施の形態1の図19、20の工程と同様に、シード層47およびメッキ層48を形成する(図35(e))。なお、本実施の形態の場合は、接続孔45および配線溝44の開口部が肩部54、55によりラウンディングが形成されているため、バリアメタル層46、シード層47のスパッタが容易に行える。すなわち、開口が広がっているため、溝あるいは孔の側壁、底面にも成膜されやすい。また、メッキ層48の形成においても開口が広がっているため、埋め込み特性に優れる。
次に、図35(f)に示すように、メッキ層48およびシード層47をCMP法により研磨し、さらに、図35(g)に示すように、バリアメタル層46もCMP法により除去する。本工程のCMP法は、実施の形態1の場合と同様である。
ただし、本実施の形態のCMP法による研磨では、絶縁膜37上のバリアメタル層46が除去された状態(ジャストエッチング)で研磨を停止するのではなく、さらに絶縁膜37の上面をも研磨するようにオーバーエッチング(オーバー研磨)を施す。このオーバーエッチングは配線溝44の肩部54の幅が一定以上縮小されるまで行う。このようにオーバーエッチングを施すことにより、肩部54のラウンディング部分を除去し、配線幅を小さくして配線間のショートあるいは耐電圧の低下を防止することができる。すなわち、肩部54のラウンディングが残存した状態で研磨を終了すれば、配線間の距離が肩部54の広がり分だけ短くなり、隣接配線間ショートの発生や隣接配線間の耐電圧の低下原因になる可能性がある。しかし本実施の形態のように絶縁膜37の表面を余分に研磨し、肩部54の相当部分まで除去すれば、配線幅の広がりが縮小され、前記のような不具合は生じない。
その後の工程は実施の形態1と同様である。
本実施の形態によれば、配線溝44および接続孔45の開口部を広く形成し、バリアメタル層46、シード層47、メッキ層48の形成を容易に、あるいは埋め込み特性を良好にすることができる。
また、配線形成時のCMP法をオーバー研磨することにより、配線溝44の開口部の広がり部分を除去し、配線間隔を広く保って、配線間のリーク電流の低下、絶縁耐圧の向上を図れる。
なお、本実施の形態において配線用金属の形成は、メッキ法を例示したが、スパッタ法と熱処理によるリフローにより形成しても良い。特にリフローを用いる場合には、本実施の形態の肩部54,55(ラウンディング部)の形成は、なめらかな金属原子の流動を促進し、埋め込み特性向上の効果は顕著である。
(実施の形態5)
本実施の形態5は、実施の形態4の肩部54,55の形成方法が異なる。すなわち、本実施の形態4の肩部54,55は、図36に示すような方法によっても実現できる。図36は、本発明のさらに他の実施の形態である半導体装置の製造方法をその工程順に示した一部断面図である。
すなわち、実施の形態1の図16に示す工程と同様に溝パターン40を絶縁膜37に転写する(図36(a))。このとき。孔パターン43は絶縁膜34に達しないようにエッチングを停止する。また、この段階では溝パターン40の肩だれは生じないように絶縁膜38の膜厚は十分に厚く形成する(たとえば100nm)。
次に、図36(b)に示すように、シリコン窒化膜がエッチングされる条件で絶縁膜38および絶縁膜36の一部をエッチングする。この段階で、絶縁膜38、36の端部56がエッチングにより除去される。
次に、図36(c)に示すように、シリコン酸化膜がエッチングされるがシリコン窒化膜がエッチングされ難い条件でエッチングを継続する。絶縁膜38、36の端部56にはシリコン窒化膜が形成されていないため、端部56の部分はエッチングマスクとして機能せず、また、この部分はシリコン窒化膜が薄く形成されることとなるため、このエッチング工程で肩部57が形成される。
その後、図36(d)に示すように、絶縁膜38、溝パターン40底部の絶縁膜36、および孔パターン43底部の絶縁膜34をエッチングにより除去する。これにより配線溝44および接続孔45を形成する。その後の工程は実施の形態4と同様である。
本実施の形態によれば、実施の形態4と同様に肩部57にラウンディングを形成するため、実施の形態4と同様の効果が得られる。
(実施の形態6)
図37は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した一部断面図である。図37では、実施の形態1の第5配線層の任意の部分を示し、また、配線部分とその下層の層間接続配線の部分とを示して図面を簡略化している。
本実施の形態では、実施の形態1において中間ストッパとして機能する絶縁膜36が無い場合を説明する。
まず、図37(a)に示すように、下層配線33上に絶縁膜34、35および絶縁膜38を順次形成する、絶縁膜34、38はたとえばシリコン窒化膜からなり、絶縁膜35はたとえばシリコン酸化膜からなる、絶縁膜34,35,38は実施の形態1と同様であるが、絶縁膜35は1層で絶縁膜37の役割をも兼ねるため、その膜厚は850〜900nmとする。次に、実施の形態1と同様にレジスト膜39を用いて絶縁膜38に溝パターン40を転写する。
次に、図37(b)に示すように、絶縁膜38の溝パターン40を埋め込む反射防止膜41を実施の形態1と同様に形成し、さらに孔パターン43を有するレジスト膜42を実施の形態1と同様に形成する。
次に、図37(c)に示すように、レジスト膜42をマスクとして、絶縁膜35に孔パターン43を転写する。転写は、実施の形態1におけると同様にシリコン酸化膜がエッチングされる条件でエッチング処理により行い、孔パターン43の絶縁膜35における深さは500nmとする。孔パターン43の深さ制御はエッチング処理時間の管理により行う。
次に、図37(d)に示すように、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。除去方法は実施の形態1と同様である。
次に、図37(e)に示すように、溝パターン40を有する絶縁膜38をマスクとして、溝パターン40を絶縁膜35に転写する。転写はシリコン酸化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。エッチング条件は実施の形態1と同様である。溝パターン40の深さは400nmとし、その深さ制御はエッチング処理時間の時間管理により行う。
このエッチング処理の際、あらかじめ絶縁膜35に孔パターン43が転写されているため、この孔パターン43の領域も同時にエッチングされ、溝パターン40が400nmの深さでエッチングされた段階で、孔パターン43の底部は絶縁膜34に達する。
次に、図37(f)に示すように、絶縁膜38および孔パターン43底部の絶縁膜34が除去され、配線溝44および接続孔45が完成する。この除去工程は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。その後の工程は実施の形態1と同様である。
本実施の形態の製造方法によれば、中間ストッパであるシリコン窒化膜が形成されていないので、誘電率の高いシリコン窒化膜が配線溝底部に形成されない。この結果、配線間容量を減少し、半導体装置の性能を向上できる。
(実施の形態7)
図38は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した一部断面図である。図38では、実施の形態1の第5配線層の任意の部分を示し、また、配線部分とその下層の層間接続配線の部分とを示して図面を簡略化している。
本実施の形態では、実施の形態1において中間ストッパとして機能する絶縁膜36がなく、配線溝および接続孔形成用の絶縁膜にマーカ層58を有する場合を説明する。
まず、図38(a)に示すように、下層配線33上に絶縁膜34、絶縁膜35、マーカ層58、絶縁膜37および絶縁膜38を順次形成する。絶縁膜34,35,37,38については実施の形態1と同様である。マーカ層58は、たとえばシリコン窒化膜、PSG(Phosphor-Silicate-Glass)、BPSG(Boron-Phosphor-Silicate-Glass)等を用いることができ、その膜厚は10〜50nmとすることができる。マーカ層58は、後に説明するようにエッチングの際のマーカに用いることができる。絶縁膜35,37の膜厚は、合計850nmとなるように形成し、マーカ層58の位置は、次工程で説明する孔パターンの形成深さに位置するように形成する。たとえば絶縁膜37の上面から500nmの位置とする。すなわち、絶縁膜35の膜厚を約350nm、絶縁膜37の膜厚を約500nmとする(このときマーカ層の膜厚を無視している)。
次に、実施の形態1と同様にレジスト膜39を用いて絶縁膜38に溝パターン40を転写する。
次に、図38(b)に示すように、絶縁膜38の溝パターン40を埋め込む反射防止膜41を実施の形態1と同様に形成し、さらに孔パターン43を有するレジスト膜42を実施の形態1と同様に形成する。
次に、図38(c)に示すように、レジスト膜42をマスクとして、絶縁膜35に孔パターン43を転写する。転写は、実施の形態1におけると同様にシリコン酸化膜がエッチングされる条件でエッチング処理により行う。孔パターン43の深さはマーカ層58により検出する。すなわち、マーカ層58には窒素(N)、ボロン(B)、リン(P)等が含まれるため、エッチング処理のプラズマ発光分析(プラズマ分光分析)を行い、窒素、ボロン、リン等のマーカ層58に含まれる元素発光をモニタし、この発光が検出された時点でエッチングを停止し、孔パターン43の深さを制御できる。これにより、孔パターン43の深さ制御を容易に行うことができる。
次に、図38(d)に示すように、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。除去方法は実施の形態1と同様である。
次に、図38(e)に示すように、溝パターン40を有する絶縁膜38をマスクとして、溝パターン40を絶縁膜35に転写する。転写はシリコン酸化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。エッチング条件は実施の形態1と同様である。溝パターン40の深さは400nmとし、その深さ制御はエッチング処理時間の時間管理により行う。このエッチング処理の際、あらかじめ絶縁膜35に孔パターン43が転写されているため、この孔パターン43の領域も同時にエッチングされ、孔パターン43の底部が絶縁膜34に達することは実施の形態6と同様である。
次に、図38(f)に示すように、絶縁膜38および孔パターン43底部の絶縁膜34が除去され、配線溝44および接続孔45が完成する。この除去工程は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。その後の工程は実施の形態1と同様である。
本実施の形態の製造方法によれば、誘電率の高いシリコン窒化膜が中間層に用いられないため、配線間容量を減少し半導体装置の性能を向上できることに加え、孔パターン43転写の際のパターン深さの制御を容易に行うことができる。
なお、本実施の形態の製造方法により形成される半導体装置では、配線底部より下層にマーカ層が形成されることとなる。
(実施の形態8)
図39は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した一部断面図である。図39では、実施の形態1の第5配線層の任意の部分を示し、また、配線部分とその下層の層間接続配線の部分とを示して図面を簡略化している。
まず、図39(a)に示すように、下層配線33上に絶縁膜34〜37、マーカ層58、絶縁膜37’および絶縁膜38を順次形成する。絶縁膜34,36,38はたとえばシリコン窒化膜からなり、絶縁膜35,37,37’は、たとえばシリコン酸化膜からなる。これら絶縁膜は実施の形態1と同様である。また、マーカ層58は、実施の形態7と同様である。
絶縁膜37,37’の膜厚は合計で450nmとし、マーカ層58の位置は絶縁膜37’の上面から400nmの位置とする。すなわち、絶縁膜37の膜厚は、マーカ層58の膜厚を無視すれば50nmである。
次に、実施の形態1と同様にレジスト膜39を用いて絶縁膜38に溝パターン40を転写する。
次に、図39(b)に示すように、絶縁膜38の溝パターン40を埋め込む反射防止膜41を実施の形態1と同様に形成し、さらに孔パターン43を有するレジスト膜42を実施の形態1と同様に形成する。
次に、図39(c)に示すように、レジスト膜42をマスクとして、絶縁膜35に孔パターン43を転写する。転写は、シリコン酸化膜はエッチングされるがシリコン窒化膜がエッチングされ難い条件のエッチング処理により行う。すなわち、シリコン窒化膜である絶縁膜36をエッチングストッパに用いる。これにより、孔パターン43のパターン深さを容易に制御できる。さらに孔パターン43底部の絶縁膜36をエッチングして除去する。
次に、図39(d)に示すように、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。除去方法は実施の形態1と同様である。
次に、図39(e)に示すように、溝パターン40を有する絶縁膜38をマスクとして、溝パターン40を絶縁膜37’に転写する。転写はシリコン酸化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。エッチング条件は実施の形態1と同様である。ここで、溝パターン40のエッチング深さ制御にマーカ層58を用いる。すなわち、マーカ層58に窒素、ボロン、リン等の含まれる元素発光をプラズマ発光分析によりモニタし、この発光が検出された時点でエッチングを停止し、溝パターン40の深さを制御できる。これにより、溝パターン40の深さ制御を容易に行うことができる。溝パターン40の深さはマーカ層58の形成深さである400nmに制御性よく形成される。このエッチング処理の際、あらかじめ絶縁膜35に孔パターン43が転写されているため、この孔パターン43の領域も同時にエッチングされ、孔パターン43の底部が絶縁膜34に達することは実施の形態6と同様である。なお、シリコン窒化膜である絶縁膜34が形成されているため、孔パターン43底部で多少のオーバーエッチングが行われても問題は生じない。
次に、図39(f)に示すように、絶縁膜38および孔パターン43底部の絶縁膜34が除去され、配線溝44および接続孔45が完成する。この除去工程は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。その後の工程は実施の形態1と同様である。
本実施の形態の製造方法によれば、誘電率の高いシリコン窒化膜が中間層に用いられるものの、そのシリコン窒化膜は配線溝底面より下層に形成されるため、配線間容量の増加には大きくは寄与しない。すなわち、シリコン窒化膜(絶縁膜36は配線間を接続する層間接続配線に接して形成されており、このような層間接続配線は配線形成領域に全部に形成されているわけではない。つまり、配線の形成されるごく一部にのみ層間接続配線が形成されるので、層間接続配線と絶縁膜36で構成されるキャパシタのトータル容量は少なくなる。一方、本実施の形態によれば孔パターン43の深さ制御、およびパターン40の深さ制御ともに容易に制御できる。すなわち配線溝と接続孔の形成が精密に行える。このような深さ方向の精密性(加工容易性)の向上はストッパ絶縁膜(絶縁膜34,36)の膜厚を低減できる余地を生み、配線間の容量を低減できる可能性を提供する。つまり半導体装置の性能向上に寄与できる。
(実施の形態9)
図40は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した一部断面図である。図40では、実施の形態1の第5配線層の任意の部分を示し、また、配線部分とその下層の層間接続配線の部分とを示して図面を簡略化している。
本実施の形態では、実施の形態8における絶縁膜36を用いない場合を説明する。
まず、図40(a)に示すように、下層配線33上に絶縁膜34、35、マーカ層58、絶縁膜35’および絶縁膜38を順次形成する。絶縁膜34,38はたとえばシリコン窒化膜からなり、絶縁膜35,35’は、たとえばシリコン酸化膜からなる。これら絶縁膜は実施の形態1と同様である。また、マーカ層58は、実施の形態7と同様である。
絶縁膜35,35’の膜厚は合計で850nmとし、マーカ層58の位置は絶縁膜35’の上面から400nmの位置とする。すなわち、絶縁膜35の膜厚は、マーカ層58の膜厚を無視すれば450nmである。
次に、実施の形態1と同様にレジスト膜39を用いて絶縁膜38に溝パターン40を転写する。
次に、図40(b)に示すように、絶縁膜38の溝パターン40を埋め込む反射防止膜41を実施の形態1と同様に形成し、さらに孔パターン43を有するレジスト膜42を実施の形態1と同様に形成する。
次に、図40(c)に示すように、レジスト膜42をマスクとして、絶縁膜35,35’に孔パターン43を転写する。転写は、シリコン酸化膜がエッチングされる条件のエッチング処理により行う。また、孔パターン43の深さは時間管理により制御し、その深さは500nmとする。なお、このエッチングの際に孔パターン43はマーカ層58を貫通することとなるが、マーカ層からのプラズマ発光は無視する。
次に、図40(d)に示すように、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。除去方法は実施の形態1と同様である。
次に、図40(e)に示すように、溝パターン40を有する絶縁膜38をマスクとして、溝パターン40を絶縁膜35’に転写する。転写はシリコン酸化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。エッチング条件は実施の形態1と同様である。ここで、実施の形態8と同様に溝パターン40のエッチング深さ制御にマーカ層58を用いる。すなわち、マーカ層58に含まれる元素発光をプラズマ発光分析によりモニタし、この発光が検出された時点でエッチングを停止し、溝パターン40の深さを制御する。これにより、溝パターン40の深さ制御を容易に行うことができる。このエッチング処理の際、あらかじめ絶縁膜35に孔パターン43が転写されているため、この孔パターン43の領域も同時にエッチングされ、孔パターン43の底部が絶縁膜34に達することは実施の形態6と同様である。なお、シリコン窒化膜である絶縁膜34が形成されているため、孔パターン43底部で多少のオーバーエッチングが行われても問題は生じない。
次に、図40(f)に示すように、絶縁膜38および孔パターン43底部の絶縁膜34が除去され、配線溝44および接続孔45が完成する。この除去工程は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。その後の工程は実施の形態1と同様である。
本実施の形態の製造方法によれば、誘電率の高いシリコン窒化膜が中間層に用いられず、シリコン窒化膜による配線間容量の増加が生じない。この結果半導体装置の性能を向上できる。一方、配線溝44の形成はマーカ層58を用いて制御性よく行うことができる。
(実施の形態10)
図41は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した一部断面図である。図41では、実施の形態1の第5配線層の任意の部分を示し、また、配線部分とその下層の層間接続配線の部分とを示して図面を簡略化している。
まず、図41(a)に示すように、下層配線33上に絶縁膜34、絶縁膜59、59’および絶縁膜38を順次形成する。絶縁膜34,38はたとえばシリコン窒化膜からなり、絶縁膜59、59’は、たとえばシリコン酸化膜からなる。絶縁膜59には接続孔が形成され接続孔内には層間接続配線が形成される。すなわち、絶縁膜59は層間絶縁膜として機能する。絶縁膜59’には配線溝が形成され、配線溝内には配線が形成される。すなわち絶縁膜59’は線間絶縁膜として機能する。
また、絶縁膜59にはTEOS酸化膜を用いることができるが、絶縁膜59’にはたとえばTEOS酸化膜に対してエッチング選択比を有する材料を用いることができる。たとえばSOG(Spin On Glass)等である。このように絶縁膜59’として、絶縁膜59に対してエッチング選択比を有する材料を用いることにより、溝パターンを絶縁膜59’に転写する際に、絶縁膜59をエッチングストッパとして用いることができる。さらに、絶縁膜59’には有機SOG、フッ素含有のSOG等低誘電率材料を用いることができる。このように低誘電率材料を線間絶縁膜(絶縁膜59’)に用いることにより、同層配線間の線間容量を低減できる。一方配線層間の線間容量は、絶縁膜59の膜厚を増加することにより低減できる。なお、絶縁膜59の膜厚は450nmとし、絶縁膜59’の膜厚は400nmとする。
次に、実施の形態1と同様にレジスト膜39を用いて絶縁膜38に溝パターン40を転写する。
次に、図41(b)に示すように、絶縁膜38の溝パターン40を埋め込む反射防止膜41を実施の形態1と同様に形成し、さらに孔パターン43を有するレジスト膜42を実施の形態1と同様に形成する。
次に、図41(c)に示すように、レジスト膜42をマスクとして、絶縁膜59,59’に孔パターン43を転写する。この転写工程は、まず、CHF3およびC4F8の混合ガスを用いたエッチングによる第1処理と、C4F8ガスを用いたエッチングによる第2処理の2段階のエッチングにより行う。第1処理のエッチングはSOGがエッチングされるがTEOS酸化膜がエッチングされ難い条件であり、絶縁膜59(TEOS酸化膜)の上面でエッチングがストップする。すなわち絶縁膜59を第1処理のエッチングストッパに用いる。これにより孔パターン43の深さ調整を容易に行い、深さの均一性を向上できる。一方、第2処理のエッチングは、TEOS酸化膜がエッチングされる条件であり、絶縁膜59にも孔パターン43を転写できる。第2処理によるエッチング深さは約50nmとする。
次に、図41(d)に示すように、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。除去方法は実施の形態1と同様である。
次に、図41(e)に示すように、溝パターン40を有する絶縁膜38をマスクとして、溝パターン40を絶縁膜59’に転写する。転写はSOGおよびTEOS酸化膜(絶縁膜59および59’)がともにエッチングされる条件(C4F8の混合ガスを用いたエッチング)で行う。これにより、溝パターン40が絶縁膜59’に転写されるとともに、孔パターン43が絶縁膜59にさらに深く転写される。溝パターン40の深さはエッチング処理の時間管理により制御する。なお、孔パターン43の底部には絶縁膜34が形成されているため多少のオーバーエッチングは問題にならない。一方、溝パターン40の底部が絶縁膜59の上面に達した段階で孔パターン43の底部が絶縁膜34の上面に達している必要がある。このため、前記図41(c)の工程の段階で十分に深い孔パターン43が形成されている必要がある。また、図41(e)の工程における絶縁膜59’(SOG)と絶縁膜59(TEOS酸化膜)とのエッチング速度の相違は、それを見込んで前記図41(c)の工程の段階における孔パターン43の深さに反映する。このような孔パターン43の深さの調整は、前記第2処理のエッチングにより行うことができる。
次に、図41(f)に示すように、絶縁膜38および孔パターン43底部の絶縁膜34が除去され、配線溝44および接続孔45が完成する。この除去工程は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。その後の工程は実施の形態1と同様である。
本実施の形態の製造方法によれば、誘電率の高いシリコン窒化膜が中間層に用いられず、シリコン窒化膜による配線間容量の増加が生じない。また、絶縁膜59,59’のエッチング速度の相違を利用して孔パターン43の深さおよび溝パターン40の深さを制御性よく調整できる。さらに、線間絶縁膜(絶縁膜59’)に低誘電率の材料(有機SOG、フッ素含有SOG)等を用いて配線間容量を低減し、半導体装置の性能を向上できる。
なお、絶縁膜59に有機SOG、フッ素含有のSOG等低誘電率材料を用い、絶縁膜59’にTEOS酸化膜を用いても良いことは無論である。
(実施の形態11)
図42は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した一部断面図である。図42では、実施の形態1の第5配線層の任意の部分を示し、また、配線部分とその下層の層間接続配線の部分とを示して図面を簡略化している。
まず、図42(a)に示すように、下層配線33上に絶縁膜34〜37、ハードマスク層60、転写マスク層61を順次形成する。絶縁膜34〜37は実施の形態1と同様である。ハードマスク層60は、金属層でありたとえばタングステンからなる。転写マスク層61は、たとえばTEOS酸化膜である。ハードマスク層60および転写マスク層61の膜厚は各々たとえば200nm、100nmである。ハードマスク層60は、たとえばスパッタ法により、あるいはCVD法により形成できる。
転写マスク層61およびハードマスク層60は、実施の形態1における絶縁膜38と同様に溝パターン40の転写マスクとして機能するものである。転写マスクとしては、パターンの肩だれを防止する観点からはできるだけ厚い方がよい。ところが、あまりに厚い転写マスクを用いると、反射防止膜による埋め込みが十分にできず、孔パターンが形成されたレジスト膜を形成する際に段差が形成され、孔パターンの形成精度が低下する。本実施の形態では、転写マスク層61とハードマスク層60とにより溝パターン40の形成の際の肩だれを防止するとともに転写マスクの段差を低減することができる。
次に、実施の形態1と同様に溝パターン40を有するレジスト膜39を形成し、レジスト膜39を用いて転写マスク層61に溝パターン40を転写する。
次に、図42(b)に示すように、転写マスク層61の溝パターン40を埋め込む反射防止膜41を実施の形態1と同様に形成し、さらに孔パターン43を有するレジスト膜42を実施の形態1と同様に形成する。この段階での転写マスク層61の段差はたかだか100nmなのでその段差を反射防止膜41により十分に埋め込むことができる。
次に、図42(c)に示すように、レジスト膜42をマスクとして、ハードマスク層60、絶縁膜37、36、絶縁膜35の一部に孔パターン43を転写する。孔パターン43の深さはエッチング処理の時間管理により制御する。
次に、図42(d)に示すように、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。除去方法は実施の形態1と同様である。さらに、転写マスク層61をマスクにしてハードマスク層60に溝パターン40を転写する。この転写は、タングステンが選択的にエッチングされる条件で行う。
次に、図42(e)に示すように、溝パターン40を有する転写マスク層61およびハードマスク層60をマスクとして、溝パターン40を絶縁膜37に転写する。転写はシリコン酸化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。このエッチングにより転写マスク層61がエッチングされて除去されるが、ハードマスク層60が存在するため、溝パターン40は正確に転写される。エッチング条件は実施の形態1と同様である。溝パターン40の深さは絶縁膜36をエッチングストッパとして機能させることにより制御できる。なお、本実施の形態では、絶縁膜36は特に必要ではない。この場合、溝パターン40の深さは本工程のエッチング処理の時間管理により制御できる。このエッチング処理の際、あらかじめ絶縁膜36を貫通して絶縁膜35の一部に孔パターン43が転写されているため、この孔パターン43の領域も同時にエッチングされ、孔パターン43の底部が絶縁膜34に達することは実施の形態1と同様である。
次に、図42(f)に示すように、溝パターン40底部の絶縁膜36、孔パターン43底部の絶縁膜34が除去され、配線溝44および接続孔45が完成する。この除去工程は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。その後の工程は実施の形態1と同様である。
なお、本実施の形態では、ハードマスク層60はこの段階では除去せず絶縁膜37上に残存させる。ハードマスク層60は金属膜で構成されるため、配線となるメッキ層の形成工程において基板表面の導電率を低下し、メッキ層の形成を容易に行うことができる。この場合、配線形成のためのCMP研磨工程において、ハードマスク層60が除去されることはいうまでもない。
本実施の形態の製造方法によれば、ハードマスク層60を用いて配線の溝パターン40を形成するため、溝パターン40の加工精度を向上できる。一方、ハードマスク層60への溝パターン40の転写は転写マスク層61を用いて行うため、孔パターン43を有するレジスト膜42の形成を高精度に行うことができる。
なお、ハードマスク層60と転写マスク層61との順序を入れ替えて形成しても良い。すなわち、溝パターン40の絶縁膜37への転写の際にハードマスク層60および転写マスク層61がトータルとしてマスクとして機能すれば十分であり、その形成順序は問題ではない。
(実施の形態12)
図43は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に示した一部断面図である。図43では、実施の形態1の第5配線層の任意の部分を示し、また、配線部分とその下層の層間接続配線の部分とを示して図面を簡略化している。
まず、図43(a)に示すように、下層配線33上に絶縁膜34、35を順次形成する、絶縁膜34、35は実施の形態6と同様である。次に、絶縁膜35上にレジスト膜62を形成する。レジスト膜62には溝パターン40を形成する。このように、本実施の形態では絶縁膜38に相当する膜を形成せず、レジスト膜によって直接溝パターンを形成する。なお、レジスト膜62の材料には、たとえば感光性ポリイミドを用いることができる。このように感光性ポリイミドを用いることにより、次工程で説明する孔パターン用のレジスト膜に対してエッチング選択比を持たせることができ、孔パターン用レジスト膜をレジスト膜62に対して選択的に除去できる。
次に、図43(b)に示すように、レジスト膜62上に孔パターン43を有するレジスト膜63を形成する。レジスト膜63は、通常のレジスト膜(たとえばノボラック系フォトレジスト膜)を用いる。
次に、図43(c)に示すように、レジスト膜63をマスクとして、絶縁膜35に孔パターン43を転写する。孔パターン43の絶縁膜35における深さは500nmとする。孔パターン43の深さ制御はエッチング処理時間の管理により行う。
次に、図43(d)に示すように、レジスト膜63を除去する。除去方法は、たとえば酸素プラズマのアッシング法を用いる。酸素プラズマアッシングによれば、ポリイミド系レジスト膜には耐アッシング性があるため、レジスト膜62を残存させ、レジスト膜63のみを除去することが可能である。
次に、図43(e)に示すように、溝パターン40を有するレジスト膜62をマスクとして、溝パターン40を絶縁膜35に転写する。転写はシリコン酸化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。エッチング条件は実施の形態1と同様である。溝パターン40の深さは400nmとし、その深さ制御はエッチング処理時間の時間管理により行う。
このエッチング処理の際、あらかじめ絶縁膜35に孔パターン43が転写されているため、この孔パターン43の領域も同時にエッチングされ、溝パターン40が400nmの深さでエッチングされた段階で、孔パターン43の底部は絶縁膜34に達する。この点は実施の形態6と同様である。
次に、図43(f)に示すように、レジスト膜62を除去する。レジスト膜62の除去には、たとえば酢酸ブチルを溶剤とするウェットエッチングにより行う。さらに、孔パターン43底部の絶縁膜34を除去する。これにより配線溝44および接続孔45が完成する。この除去工程は、シリコン窒化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。その後の工程は実施の形態1と同様である。
(実施の形態13)
図44(a)は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を示した断面図であり、実施の形態1における孔パターン43形成用のレジスト膜42の露光方法を示した断面図である。
実施の形態1の図11においてレジスト膜42を塗布形成した後、図12に示すようにフォトリソグラフィを用いて孔パターン43を形成するが、この段階をより詳細に示したのが図44(a)である。
図44(a)において、第4配線層の配線33と同層に形成されているのは第4配線層のマーカ64である。また、レジスト膜42上に形成されているのは、孔パターンのマスク65であり、マスク65には孔パターン43とともにマスク65のマーカ66も設けられている。
ここで、マスク65を用いてレジスト膜42を露光するが、マスク65のアライメント(マスク合わせ)は、第4配線層(下層配線)のマーカ64を基準に行う。つまり、第4配線層のマーカ64とマスク65のマーカ66とが一致するようにマスク65のアライメントを行い、その後マスク65の上面より露光光を照射してレジスト膜42を感光させる。感光部67は、その後の化学的処理により除去されて孔パターン43が図12に示すとおり形成される。
このような製造方法により、孔パターン43のアライメントを容易に、また、正確に行うことができる。すなわち、実施の形態1で説明した通り、溝パターン40は絶縁膜38に形成されるが、この溝パターン40を基準に孔パターン43を形成するとマスク合わせが困難になる。つまり、絶縁膜38の膜厚はせいぜい100nmと薄く、また、絶縁膜38は一般に可視光に対して透明であるため、絶縁膜38にマーカを設けてもそのマーカの検出は困難である。仮に検出したとしても絶縁膜38のマーカの読みとりは困難であるためそれを基準にマスク65のマーカを合わせることは難しい。一方、配線33のマーカ64は金属で構成されるため、マスクアライナーによる読みとりは容易であり、マスク合わせも正確に行える。また、孔パターン43を下層配線のマーカ64を基準に形成することにより、下層配線33と接続孔45とのずれを最小に抑制でき、確実な上下配線間のコンタクトを実現できる。他方、溝パターン40は下層配線のマーカ64を基準に形成されるが、孔パターン43に対してマスクずれが生じても特に問題を生じないことは前記の通りである。よって、本実施の形態によれば、前記の通り孔パターン43のアライメントを容易に、また、正確に行うことができる。
なお、図44(b)に示すように、絶縁膜38にもマーカ68を設け、このマーカ68とマーカ64との中央にマスク65のマーカ66を合わせてアライメントを行うことができる。このようにしてもマスク65のアライメントを容易に行うことができ、また、絶縁膜38のマーカ68の読みとり誤差を最小限に抑えることができる。
(実施の形態14)
図45は、本発明のさらに他の実施の形態を示した平面図および断面図である。本実施の形態では、実施の形態2における孔パターン43の形状を、その配線溝方向(x方向)に垂直な方向(y方向)の長さ(寸法)を、溝パターン40の幅よりも大きくした場合について説明する。すなわち、図45(a)の平面図に示すように、孔パターン43のy方向の長さLyを配線溝(溝パターン40)の幅Lwより大きくした場合である。孔パターン43のy方向の長さLyは、たとえば幅Lw+合わせ余裕で構成される。このような場合、実施の形態2の製造方法によれば、孔パターン43のy方向でのエッチング端部は溝パターン40で規定され、つまり溝パターン40に自己整合的に形成され、孔パターン43の開口径が口径Lwより縮小されることがない。一方、孔パターン43のy方向の寸法は溝パターン40で規定されるため、溝パターン40の幅Lwより大きく形成されることがない。その結果、層間接続配線50の断面積(Lw×Lx)を確保してその抵抗を低減し、かつ、配線間の寸法を最小にすることができ、半導体装置の高性能化、高集積化と高信頼化に寄与できる。
次に、断面図(b1,c1〜b3,c3)に従って説明する。なお、図45(b1)〜(b3)は、図45(a)におけるb−b’線断面図を示し、図45(c1)〜(c3)は、図45(a)におけるc−c’線断面図を示す。
まず、図45(b1),(c1)に示すように、下層配線33上に実施の形態6と同様な絶縁膜34、35および絶縁膜38を順次形成し、実施の形態1と同様に絶縁膜38に溝パターン40を転写する。その後、絶縁膜38の溝パターン40を埋め込む反射防止膜41を実施の形態1と同様に形成し、さらに孔パターン43を有するレジスト膜42を実施の形態1と同様に形成する。このとき、図45(c1)に示すように、c−c’線方向(y方向)においては、孔パターン43は溝パターン40よりも広く形成される。
次に、図45(b2)、(c2)に示すように、レジスト膜42をマスクとして、絶縁膜35に孔パターン43を転写する。転写は、実施の形態2におけると同様にシリコン酸化膜がエッチングされるが、シリコン窒化膜がエッチングされ難い条件でエッチング処理することにより行う。従って、図45(c2)に示すように、y方向においては孔パターン43は溝パターン40に対して自己整合的に形成され、レジスト膜42の孔パターン43にかかる絶縁膜38は、その一部がエッチングされるのみで絶縁膜38下部の絶縁膜35はエッチングされない。
なお、孔パターン43の絶縁膜35における深さは500nmとし、その深さ制御はエッチング処理時間の管理により行う。
次に、レジスト膜42および反射防止膜41を除去する。除去方法は実施の形態1と同様である。
次に、図45(b3)、(c3)に示すように、絶縁膜38(溝パターン40)をマスクとして、絶縁膜35にエッチング処理を施す。これにより溝パターン40を絶縁膜35に転写する。転写はシリコン酸化膜がエッチングされる条件でのエッチング処理により行う。エッチング条件は実施の形態1と同様である。これにより、接続孔45の寸法Lwを実質的に配線44の幅Lwと等しくできる。溝パターン40の深さは400nmとし、その深さ制御はエッチング処理時間の時間管理により行う。このエッチング処理の際、あらかじめ絶縁膜35に孔パターン43が転写されているため、この孔パターン43の領域も同時にエッチングされ、溝パターン40が400nmの深さでエッチングされた段階で、孔パターン43の底部は絶縁膜34に達することは実施の形態1と同様である。その後の工程は実施の形態1と同様である。これにより、実施の形態1と同様に、配線44、接続孔45が形成され、そこに配線49(層間接続配線50)が形成される。
本実施の形態の製造方法によれば、レジスト膜42の孔パターン43を広く形成し、かつ、絶縁膜38(溝パターン40)に対して自己整合的に孔パターンを形成するため、孔パターン43と溝パターン40とのマスク合わせにずれが発生してもy方向においてはそのずれを吸収する事ができる。また、y方向にずれを生じても接続孔が欠けることがなく、その断面積(口径)を設計通り口径Lwに確保することができる。すなわち、接続孔45の寸法Lwを実質的に配線44の幅Lwと等しくできる。これにより、配線49の抵抗を低減でき、層間配線接続の信頼性を向上し、半導体装置の性能、信頼性の向上に寄与できる。また、孔パターン43のy方向における幅Lyを配線溝の幅Lwより大きく形成しても、絶縁膜35に形成される孔パターン43のy方向の幅は配線幅Lwにより規定され、それより大きく形成されることがない。このため配線間隔を設計の最小限に設定することができ、配線密度の向上を図り、半導体装置の高集積化に寄与できる。
なお、図46(a)に、本実施の形態により形成される配線49aの平面パターンを示す。図46(b)は(a)におけるG−H線断面図を示す。図示するように、配線49aのパターンと孔パターン43の重複部分に接続孔(斜線のハッチングを施した部分)が形成される。形成される接続孔の口径は配線49aの幅Wと同じであり、接続孔部分の抵抗を低くすることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
たとえば、上記実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で、相互に組み合わせて適用できる。たとえば、実施の形態4,5で説明した肩部のラウンディングを実施の形態11を除く他の実施の形態に適用できる。
また、上記実施の形態のうち絶縁膜38を有するものについては、絶縁膜38としてシリコン窒化膜を例示したが、下層のシリコン酸化膜とエッチング選択比を有する限り他の材料を用いてもよい。たとえばタングステン、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、または、これらの窒化物等を用いても良い。