JP2006134573A - 情報記録媒体用基板、及び情報記録媒体、並びに情報記録媒体用基板表面の管理方法 - Google Patents

情報記録媒体用基板、及び情報記録媒体、並びに情報記録媒体用基板表面の管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 基板表面における表面粗さ、微小うねりを所定の範囲・関係にするこ
とによって、所望のグライド高さを達成する。
【解決手段】 情報記録媒体用基板は、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さをwa(95%PV値)とし、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さをRmaxとしたとき、該基板主表面のwaが5nm以下、Rmaxが12nm以下であることを特徴とする。但し、waは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は情報処理機器の記録媒体として使用される情報記録媒体用基板、及び該基板を用いた情報記録媒体、並びに情報記録媒体用基板表面の管理方法に関する。
情報記録媒体の一つとして磁気ディスクが知られている。磁気ディスクは、基板上に磁性層等の薄膜を形成して構成され、その基板として、アルミ基板やガラス基板が用いられてきた。しかし、最近では、高記録密度化の追求に呼応して、アルミ基板と比べて磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔をより狭くすることが可能なガラス基板の占める比率が次第に高くなってきている。
ガラス基板は、磁気ディスクドライブに装着された際の衝撃に耐え得るように一般に強度を増すために化学強化されて製造される。また、ガラス基板表面を加熱処理して結晶化させて強度を向上させた結晶化ガラス基板が製造される。また、ガラス基板表面は磁気ヘッドの浮上高さを極力下げることができるように、高精度に研磨して高記録密度化を実現している。
また、ガラス基板だけではなく、磁気ヘッドも薄膜ヘッドから磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)、巨大(大型)磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)へと推移し、高記録密度化に応えている。
しかし、いくら高精度に研磨して表面粗さ(Rmax(最大高さ)、Ra(中心線平均粗さ))を小さくしても、磁気ヘッドの浮上高さを下げることができないという問題が生じた。本発明者らはその原因について調べたところ、基板表面の表面粗さと微小うねり(マイクロウェイヴィビネス:Microwaviness)がある所定の範囲・関係を満足していないと、磁気ヘッドの低浮上化を実現できないことがわかった。
本発明は、基板表面における表面粗さ、微小うねりと、グライド高さ(タッチダウンハイト(TDH))との関係に密接な関係があることを見出し、基板表面における表面粗さ、微小うねりを所定の範囲・関係にすることによって、所望のグライド高さ(タッチダウンハイト)を達成する情報記録媒体用基板、及び情報記録媒体、並びに情報記録媒体用基板表面の管理方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述した目的に鑑みてなされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)
構成1に係る情報記録媒体用基板は、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さをwaとし、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さをRmaxとしたとき、該基板主表面のwaが5nm以下、Rmaxが12nm以下であることを特徴とする。但し、waは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値とする。
(構成2)
構成2に係る情報記録媒体用基板は、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さをwa、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さをRmaxとし、前記waをx、Rmaxをyと表わしたとき、x≦5nm、y≦12nm、y≧(10/3)x−10、y≦(10/3)x+2を満足することを特徴とする。但し、waは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値とする。
(構成3)
構成3に係る情報記録媒体用基板は、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さwa(単位:nm)と、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さRmax(単位:nm)との積(Rmax×wa)と、前記情報記録媒体用基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成してタッチダウンハイト試験を行った結果とを対比し、前記Rmaxとwaとの積(Rmax×wa)と、タッチダウンハイトとの相関関係から、タッチダウンハイトが所望の値となるような所定のRmax×waを有することを特徴とする。但し、waは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値とする。
(構成4)
構成4に係る情報記録媒体用基板は、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さをwa(単位:nm)とし、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さをRmax(単位:nm)としたとき、
Rmax×wa≦58(nm×nm)
を満足することを特徴とする。但し、waは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値とする。
(構成5)
構成5に係る情報記録媒体用基板は、構成1乃至4の何れか一に記載の情報記録媒体用基板において、前記waが、測定ポイントにおいて異常突起の点を除外して得られる値であることを特徴とする。
(構成6)
構成6に係る情報記録媒体用基板は、構成1乃至5の何れか一に記載の情報記録媒体用基板において、前記基板がガラス基板であることを特徴とする。
(構成7)
構成7に係る情報記録媒体用基板は、構成1乃至6の何れか一に係る情報記録媒体用基板において、前記基板が磁気ディスク用基板であることを特徴とする。
(構成8)
構成8に係る情報記録媒体は、構成1乃至7の何れか一に係る情報記録媒体用ガラス基板上に少なくとも記録層を形成してなることを特徴とする。
(構成9)
構成9に係る情報記録媒体は、構成8に係る情報記録媒体において、前記記録層が磁性層であることを特徴とする。
(構成10)
構成10に係る情報記録媒体用基板表面の管理方法は、情報記録媒体用基板の主表面を測定した、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さwa(単位:nm)と、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さRmax(単位:nm)との積(Rmax×wa)と、前記情報記録媒体用基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成したときの該情報記録媒体のタッチダウンハイトとの相関関係を求め、求めた相関関係から前記情報記録媒体が所望のタッチダウンハイトとなるように、前記情報記録媒体用基板のRmax×waを決定することを特徴とする。但し、waは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値とする。
(構成11)
構成11に係る情報記録媒体用基板表面の管理方法は、構成10に係る情報記録媒体用基板表面の管理方法において、前記waが、測定ポイントにおいて異常突起の点を除外して得られる値であることを特徴とする。
以上詳述したように本発明によれば、基板表面における表面粗さ、微小うねりを所定の範囲・関係にすることによって、所望のグライド高さ(タッチダウンハイト)を達成することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
まず、図3(a),(b)に示す各種測定値の定義を参照しながら、本発明の一実施の形態の情報記録媒体用基板について説明する。
図3(a)は、ヘッドスライダーが本発明の一実施の形態の情報記録媒体用基板の主表面上をトレースしている状態を示す概略側断面図である。図において、IDA,ODAは、微小うねりの測定エリアの一例を示す。このうち、IDAは、情報記録媒体用基板の記録再生領域のうち、径方向の内側に位置する測定エリアを示し、ODAは、同じく径方向の外側に位置する測定エリアを示す。
この情報記録媒体用基板の平坦性は、例えば、基板の全主表面に亘る最高点と最低点との値の差によって表わされる。したがって、この基板の平坦性は、情報記録媒体用基板に生じた微小うねりや表面粗さの影響を受けることになる。また、この情報記録媒体用基板の外周端部や内周端部の形状は、スキージャンプ値とロールオフ値とによって定義される。これらの値は、本願特許出願人が出願した特開2001−167427号公報に詳細に記載されている。しかし、これらの値は、本願発明とは、直接には関係がないので、ここでは、説明を省略する。
図3(b)は、上記基板に生じた微小うねりや表面粗さを示す波形図である。図において、横方向は、情報記録媒体用基板の径方向に対応し、縦方向は、基板の厚さ方向に対応する。そして、実線で示される波形は、微小うねりを示す。この微小うねりには、その一部を拡大して示すように、表面粗さを有している。A1は、うねりの測定エリアを示し、A2は、微小うねりの測定エリアを示す。Ra'は、微小うねりの平均高さを示し、waは、微小うねりの最大高さを示す。
ここで、上述した微小うねりや微小うねりの最大高さwa等についてさらに詳細に説明する。
本発明の情報記録媒体用基板の主表面は、比較的周期の大きい凹凸と、比較的周期の小さい凹凸とから成っている。比較的周期の大きい凹凸は、凹凸の周期によってうねり、微小うねりに分けることができる。また、比較的周期の小さい凹凸は、基板表面の表面粗さを示している。これらのうねり、微小うねり、表面粗さは測定方法の違いによって分別して測定することができる。ここで、周期とは、凹凸の山と山又は、谷と谷との距離を示す。
中でも微小うねりは、うねりの周期が2μm〜4mm程度のものであって、この微小うねりは、平均高さRa'や最大高さwaによって表すことができる。平均高さRa'は、中心線から測定曲線までの偏差の絶対値の平均を示す。この平均高さRa'を図3(b)に一点鎖線で示す。waは、第3図(b)に示すように、測定エリアA2において、全測定ポイントにおいて測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値を示す。この微小うねりは、例えば、フェイズ・シフトテクノロジー社(PHASE SHIFT TECHNOLOGY)製の多機能表面解析装置(MicroXAM)によって測定される。この装置を用いた測定方法は、従来の触針式の測定方法とは異なり、白色光などの光を用いて基板面の所定領域を走査し、基板面からの反射光と基準面からの反射光とを合成し、合成点に生じた干渉縞より、微小うねりの平均高さRa'や最大高さwaを計算するものである。
図4がその測定原理を簡単に模式化したものである。図4のように、干渉計の原理により、光波を二つに分け、その後に合成するものである。すなわち、入射光線は、対物レンズによってビームスプリッタに導かれ、ビームスプリッタによって2つに光線に分割される。この2つの光線は、それぞれ基準面と基板面とによって反射された後、合成され、再結合光線として出力される。このような構成によれば、干渉縞は、A→Bの光路と、C→Dの光路との光路差によって現れる。
また、この多機能表面解析装置(MicroXAM)の場合、基板の任意の領域(記録再生領域)、好ましくは中心部又は、端部から所定距離だけ離間した領域に50μm□(スクエア)〜4mm□(スクエア)の範囲内の中から適宜矩形領域を選択して微小うねりを測定する。例えば、ヘッドスライダーのスライダー面の面積よりも小さい領域であって、約500μm×約600μmの矩形領域(約250,000ピクセル)を選択する。このように、実際にヘッドスライダーが磁気ディスク表面上を走行する際に寄与するヘッドスライダーのスライダー面を基準にし、スライダー面の面積よりも小さい領域を選択することにより、タッチダウンハイトとの相関関係が得られるので好ましい。特に微小うねりの周期が2〜650μmのものを抽出して基板表面を測定すると良い。例えば一般に使われている30%スライダー面の面積(1.25mm×1.00mm)の場合、1.25mm2以下が好ましい。このようにして計算されたうねりを微小うねりという。
一方、Rmaxは、微小うねりの1周期の間に通常いくつもの周期(山と山、谷と谷)が存在し、JIS規格(JIS B 0601)で定められている。Rmaxは、最大高さを示し、最も高い山頂から最も深い谷底までの高さ方向の距離を示す。この表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)で測定される。
上述のように微小うねりを定義したとき、構成1にあるように情報記録媒体用基板の主表面において、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、微小うねりの最大高さをwaとしたとき、waが5nm以下、Rmaxが12nm以下とすることによって、タッチダウンハイトが15nm以下を達成することができる。基板表面の凹凸を示すwa、Rmaxの両方のパラメータが上記範囲になければ所望のタッチダウンハイトを達成することができない。タッチダウンハイトが8nm以下を達成するためには、waが4nm以下、且つRmaxが8nm以下、さらにタッチダウンハイトが6nm以下を達成するためには、waが3nm以下、且つRmaxが6nm以下、さらにタッチダウンハイトが4.5nm以下を達成するためには、waが2.5nm以下、且つRmaxが3nm以下としなければならない。
また、磁気ヘッドの浮上安定性や、モジュレーションの低減、媒体ノイズの低減の点から、さらに好ましくは、構成2にあるように、情報記録媒体用基板の主表面において、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、微小うねりの最大高さをwa、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さをRmaxとし、前記waをx、Rmaxをyとしたとき、x≦5nm、y≦12nm、y≧(10/3)x−10、y≦(10/3)x+2とすることにより、タッチダウンハイトが15nm以下を達成することができるとともに、モジュレーションや媒体ノイズを低減でき、記録再生特性が良好な磁気記録媒体となるので好ましい。さらに、これらのモジュレーションや媒体ノイズの低減の効果を得つつ、タッチダウンハイトを8nm以下を達成するためには、x≦4nm、y≦8nm、y≧(10/3)x−10、y≦(10/3)x+2、さらにタッチダウンハイトを6nm以下を達成するためには、x≦3nm、y≦6nm、y≧(10/3)
x−10、y≦(10/3)x+2、さらにタッチダウンハイトを4.5nm以下を達成するためには、x≦2.5nm、y≦3mm、y≧(10/3)x−10、y≦(10/3)x+2を満たさなければならない。
基板表面の凹凸と、タッチダウンハイトとの関係を数多くの実験を重ね調べた結果、上述のように比較的大きい凹凸(微小うねり)の最大高さwa、原子間力顕微鏡によって測定した比較的小さい凹凸の最大高さRmaxの両パラメータと、タッチダウンハイトは相関関係があることを本発明で突き止めた。特に、構成3のように、waとRmaxの積(Rmax×wa)とタッチダウンハイトは相関関係があることを突き止めた。
構成3にあるように、情報記録媒体用基板であって、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さwa(単位:nm)と、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さRmax(単位:nm)の積(Rmax×wa)と、前記情報記録媒体用基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成してタッチダウンハイト試験を行った結果とを対比し、前記Rmaxとwaとの積(Rmax×wa)と、タッチダウンハイトとの相関関係から、タッチダウンハイトが所望の値となるような所定のRmax×waを有することで、タッチダウンハイトが良好な情報記録媒体用基板を得ることができる。
具体的には、構成4にあるように、情報記録媒体用基板の主表面において、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、微小うねりの最大高さをwa、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さをRmaxとしたとき、Rmax×wa≦58(nm×nm)とすることにより、タッチダウンハイトを15nm以下を達成することができる。さらに、タッチダウンハイトを10nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦33(nm×nm)、さらにタッチダウンハイトを8nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦24(nm×nm)、さらにタッチダウンハイトを6nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦14(nm×nm)、さらにタッチダウンハイト4.5nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦7(nm×nm)としなければならない。
タッチダウンハイトは、磁気ディスクの凸部が検査ヘッドに衝突し始めるときの検査ヘッドの浮上高さの値によって表わされる。検査ヘッドの浮上高さは、この浮上高さと磁気ディスクの回転速度との関係をあらかじめヘッド浮上高さ測定装置によって測定することにより、そのときの磁気ディスクの回転速度から知ることができる。
このように、磁気ディスクの凸部が検査ヘッドに衝突し始めるときのヘッドの浮上高さの値をタッチダウンハイトとする。なお、タッチダウンハイトは、表面に存在する凸部の高さに略等しいものとなる。このような特性から、比較的大きい凹凸(微小うねり)、比較的小さい凹凸はいずれも最大高さwa、Rmaxを選定することが良い。
尚、微小うねりの最大高さwaの測定領域は、ヘッドスライダー(磁気ヘッド)のスライダー面の面積よりも小さい領域とすることが好ましい。ヘッドスライダーの面積よりも大きい領域を測定すると、ヘッドスライダーが磁気ディスク上を浮上走行する際、表面のうねりの周期が大きいとヘッドに追従することになるが、タッチダウンハイトとは関係のないうねりの周期が大きいものも含まれるからである。
また、基板表面にはパーティクルなどの異常突起などがあり、構成4にあるように、微小うねりの最大高さwaを、測定点測定ポイントにおいて異常突起の測定値を除外したものとすることにより、よりタッチダウンハイトとの相関が得られるので好ましい。
具体的には、全部の測定点について、測定値の絶対値を横軸に、その測定値の絶対値が得られた測定個数を縦軸に表したヒストグラムをとったときに、そのもっとも多い分布を示した測定値の絶対値から次第に大きくしていきながら各測定値の絶対値に対応する個数を累積していったときに、その累積個数が全個数の95%になったとき、残りの5%を異常突起の測定値とみなし、全部の測定点から除外して得られた測定点の最小値と最大値の差を「95%PV値」とし、この「95%PV値」を最大高さwaとし、この最大高さwaを微小うねりと表現することもできる。尚、上述の微小うねりの平均高さRa'とこの95%PV値には相関関係がある。
異常突起を除外するラインは、適宜調整することができる。例えば、上記95%を98%や90%にしても構わない。
また、本発明において基板の種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。基板の種類としては、ガラス、セラミック、シリコン、カーボン、プラスチック、ポリカーボネート、またはアルミ等の金属などが挙げられる。中でも、構成6にあるようにガラス基板が平坦性、平滑性、機械的強度、コスト面などから他の材質と比べてよい。ガラス基板の材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダ#アルミノ珪酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、または結晶化ガラス等のガラスセラミックスなどが挙げられる。一般に、平滑性(表面粗さ低減)の点では、基板表面に結晶相と非結晶相が存在する結晶化ガラスよりも、結晶相が存在しないアモルファスガラスが好ましい。特に機械的強度や、耐衝撃性、耐振動性等の点からアルミノシリケートガラスなどの化学強化ガラスがよい。また、平坦性(うねりや微小うねり低減)の点では、ヤング率の高さや、結晶化ガラスの結晶粒により、同じ表面粗さにおいてはアモルファスガラスよりも結晶化ガラスがよい。
アルミノシリケートガラスとしては、SiO2 :58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化ガラス(化学強化ガラスA)や、TiO2:5〜30モル%、CaO:1〜45モル%、MgO+CaO:10〜45モル%、Na2O+Li2O:3〜30モル%、Al2O3:0〜15モル%、SiO2:35〜60モル%を含有する化学強化ガラス(化学強化ガラスB)等が好ましい。このような組成のアルミノシリケートガラス等は、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れる。尚、微小うねりのwaと平坦性の制御のし易さの点では、ヤング率の大きい前述でいうと化学強化ガラスBが好ましい。
本発明の基板では、耐衝撃性、耐振動性等の向上を目的として、ガラス基板の表面に低温型イオン交換法による化学強化処理を施すことがある。ここで、化学強化方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に制限されないが、例えば、ガラス転移点の観点から転移温度を超えない領域でイオン交換を行う低温型化学強化法などが好ましい。化学強化に用いるアルカリ溶融塩としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、或いはそれらを混合した硝酸塩などが挙げられる。
なお、化学強化ガラスは平滑度を高めるために、一般にポリッシング工程を複数の段階を経て所望の表面粗さを得るが、ラッピング工程で整えられた平坦度やうねりをポリッシング工程で使用する研磨パッドの弾性や定盤精度(合致度)により、悪化してしまう要因がある。
一方、結晶化ガラスの場合は、機械的強度が比較的大きいので、比較的粒度の細かいダイヤモンドペレットを使用している。これにより、ある程度の平滑性を有し、平坦度を出しているため、ポリッシング工程の負荷が少なく、比較的微小うねりの小さいものが得られやすい。
結晶化ガラスとしては、平滑性を考慮して結晶粒径が比較的小さい主結晶としてエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化ガラスが好ましく、その組成として、例えば、SiO2:35〜65モル%、Al2O3:5〜25モル%、MgO:10〜40モル%、TiO2:5〜15モル%を含有するものが好ましい。
また、本発明の情報記録媒体用基板は、磁気記録媒体用基板、光磁気ディスク用基板、光ディスク用基板などの電子工学用ディスク基板として利用できる。中でも情報記録媒体の記録再生時に、媒体表面にヘッドスライダーが走行して行なう磁気ヘッドによる記録再生を行なう磁気記録媒体や、光ピックアップレンズ(ソリッドイマージョンレンズ等)を備えたヘッドスライダーによる記録再生を行なう光磁気ディスクなどに使用される基板に対して、本発明の情報記録媒体用基板が適している。なぜなら、基板表面のうねり、微小うねりがヘッドスライダーの浮上高さに影響するからである。
特に、構成6にあるように情報記録媒体用基板が、磁気記録媒体用基板、例えば、磁気抵抗型ヘッド(巨大(大型)磁気抵抗型ヘッド)で記録再生する磁気抵抗型ヘッド用の磁気ディスク用基板として好適に利用できる。
また、構成7、8にあるように、上記構成1〜6の情報記録媒体用基板上に少なくとも記録層が形成された情報記録媒体、特に、記録層が磁性層とする磁気記録媒体にすることによって、タッチダウンハイトの悪化を防ぐことができるので、高記録密度の記録再生が可能となる。例えば、本発明の情報記録媒体は、本発明の情報記録媒体用基板上に少なくとも磁性層等の記録層を形成したものである。
例えば、磁気記録媒体は、通常、所定の平坦度、表面粗さを有し、必要に応じ表面の化学強化処理を施した磁気ディスク用基板上に、下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層して製造される。
磁気記録媒体における下地層は、磁性層に応じて選択される。
下地層としては、例えば、Cr、Mo,Ta、Ti、W、V、B、Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料からなる下地層等が挙げられる。Coを主成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体や、Cr合金であることが好ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造とすることもできる。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層等が挙げられる。
磁気記録媒体における磁性層の材料は特に制限はない。
磁性層としては、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CpPtCr、CoNiPtやCoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtTaNb、CoCrPtSiOなどの磁性膜が挙げられる。磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成としてもよい。
磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は巨大磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層としては、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、Ge、Sn、Znから選択される不純物元素、またはこれらの不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれる。
また、磁性層としては、上記のほか、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO2、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性層は、面内型、垂直型のいずれの記録形式のものであってもよい。
磁気記録媒体における保護層の材料にも特に制限はない。保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金膜、カーボン膜、ジルコニア膜、シリカ膜などが挙げられる。これらの保護膜は、下地層、磁性層等とともにインライン型スパッタリング装置で連続して形成できる。また、これらの保護膜は、単層としてもよく、或いは同一又は異種の膜からなる多層構成としてもよい。
本発明では、上記保護層上に、あるいは、上記保護層に替えて他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr膜の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒に希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散させて塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2 )膜を形成してもよい。
磁気記録媒体における潤滑層にも特に制限はない。潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパーフルオロポリエーテルをフレオン系などの溶媒で希釈し、媒体表面にディップ法、スピンコート法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を行って形成する。
また、構成10にあるように、所望のタッチダウンハイトを得るための情報記録媒体用基板表面の管理方法を提供する。具体的には、情報記録媒体用基板の主表面を測定した、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さwa(単位:nm)と、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さRmax(単位:nm)の積(Rmax×wa)と、前記情報記録媒体用基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成したときの該情報記録媒体のタッチダウンハイトとの相関関係を求め、求めた相関関係から前記情報記録媒体が所望のタッチダウンハイトとなるように、前記情報記録媒体用基板のRmax×waを決定する。このような基板表面の管理方法を適用することで、所望のタッチダウンハイトの磁気記録媒体を得るための基板表面の設計が容易となり、タッチダウンハイトを高精度に制御するこ
とができる。Rmaxとwaは、研磨条件(ポリシャ、研磨剤、研磨剤平均粒形、加工圧力、加工時間等)によって適宜調整される。また、構成11にあるように、微小うねりの最大高さwaを、測定点測定ポイントにおいて異常突起の測定値を除外したものとすることにより、よりタッチダウンハイトとの相関が得られるので好ましい。
実施例
実施例1〜15、比較例1〜4
磁気ディスク用ガラス基板、及び磁気ディスクの製造方法については、公知の加工技術や成膜技術を使用すれば良く、ここでは特に詳述しない。
本発明の化学強化ガラス基板、磁気ディスクは、
素材加工→粗ラッピング工程→形状加工工程→端面鏡面加工工程→精ラッピング工程→第1ポリッシング工程→第2ポリッシング工程→(第3ポリッシング工程)→洗浄→化学強化工程→洗浄→磁気ディスク製造工程の順序で作製した。尚、第3ポリッシング工程は、実施例1〜4の磁気ディスク用ガラス基板を作製するときのみ行った。
また、本発明の結晶化ガラス基板、磁気ディスクは、
素材加工→結晶化工程→形状加工工程→端面鏡面加工工程→精ラッピング工程→第1ポリッシング工程→第2ポリッシング工程→洗浄→磁気ディスク製造工程の順序で作製した。
また、本実施例で使用するガラスは、化学強化ガラスA、化学強化ガラスB、結晶化ガラスの3種類準備した。これらの各ガラスとしては、次の組成のものを使用した。
化学強化ガラスA
SiO2 :58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有するアルミノシリケートガラス。
化学強化ガラスB
TiO2:5〜30モル%、CaO:1〜45モル%、MgO+CaO:10〜45モル%、Na2O+Li2O:3〜30モル%、Al2O3:0〜15モル%、SiO2:35〜60モル%を含有するアルミノシリケートガラス。
結晶化ガラス
SiO2:35〜65モル%、Al2O3:5〜25モル%、MgO:10〜40モル%、TiO2:5〜15モル%を含有する主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化ガラス。
また、第1ポリッシング工程においては、硬質ポリシャを使用し、酸化セリウムの研磨剤によって、第2ポリッシング工程においては、軟質ポリシャを使用し、酸化セリウムの研磨剤によって、第3ポリッシング工程においては、超軟質ポリシャを使用し、コロイダルシリカの研磨剤によって両面ポリッシング装置によって研磨を行った。
また、実施例、比較例の表面粗さRmax、微小うねりの最大高さwaは、使用するポリシャの硬度、研磨剤の平均粒径、化学強化前の洗浄条件(洗浄液、処理温度、洗浄液の濃度)等を適宜調整してガラス基板を作製した。
また、磁気ディスクの製造工程では、インライン型スパッタリング装置を用いて、NiAlのシード層、CrMo下地層、CoCrPtTa磁性層、水素化カーボン保護層を順次成膜し、さらにディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を成膜して磁気ディスクを作製した。
以下に上記の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板の微小うねりの最大高さwa=95%PV値、表面粗さRmaxとタッチダウンハイト(TDH)を測定した結果を表及び図1に示す。
尚、微小うねりの最大高さ(95%PV値)は、多機能表面解析装置(MicroXAM:フェイズ・シフトテクノロジー社(PHASE SHIFT TECHNOLOGY)製:×10対物レンズ使用;測定波長2〜500μm;測定範囲554.34μm×617.87μm)によって、表面粗さRmaxは、原子間力顕微鏡(AFM)(5μmエリア角の測定)で測定した値である。
尚、微小うねりの最大高さ(95%PV値)は、基板主表面内において0°、90°、180°、270°での各ID側の点(記録再生領域の半径方向の内側の点)、MDの点(記録再生領域の半径方向の中間点)、OD側の点(記録再生領域の半径方向の外側の点)の各12点で測定した値の平均値である。
Figure 2006134573
表1、図1、図2の結果から見てもわかるように、
タッチダウンハイト15nmを達成するには、wa(95%PV値)が5nm以下、Rmaxが12nm以下としなければならず、また、タッチダウンハイトが7nmを達成するためには、wa(95%PV値)が4nm以下、且つRmaxが8nm以下、さらにタッチダウンハイトが6nmを達成するためには、wa(95%PV値)が3.5nm以下、且つRmaxが6nm以下、さらにタッチダウンハイトが4.5nmを達成するためには、wa(95%PV値)が2.5nm以下、且つRmaxが4nm以下としなければならないことがわかる。
また、上記wa(95%PV値)とRmaxの条件とともに、wa(95%PV値)をx、Rmaxをyとしたときに、y≧10/3x-10、y≦10/3x+2の条件を満足する実施例1〜15と、y≧10/3x-10、y≦10/3x+2の条件を満足しない比較例2〜6を比べてみると、比較例2と6は、媒体ノイズ悪化の傾向にあり、また比較例3〜5は、モジュレーション悪化の傾向にあり、好ましくない。従って、所望のタッチダウンハイトと、モジュレーションや媒体ノイズが低減の効果を得るためには、上記wa(95%PV値)とRmaxの条件とともに、wa(95%PV値)をx、Rmaxをyとしたときに、y≧10/3x-10、y≦10/3x+2の条件を満足することが好ましいことがわかる。
また、第2図のように、wa(95%PV値)とRmaxの積(Rmax×wa)をパラメータとすることで、タッチダウンハイトと相関関係があることがわかる。したがって、予め微小うねりの最大高さwa(単位:nm)と、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さRmax(単位:nm)の積(Rmax×wa)と、前記磁気記録媒体用基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成したときの磁気記録媒体のタッチダウンハイトとの相関関係を求めておくことにより、求めた相関関係から所望のタッチダウンハイトに対応するRmax×waを決定して、研磨条件を適宜調整し決定したRmax×waに基板表面を仕上げることにより、所望のタッチダウンハイトを得ることが容易となる。具体的には、第2図に示すように、Rmax×wa≦58(nm×nm)とすることにより、タッチダウンハイトを15nm以下を達成することができる。また、タッチダウンハイトを10nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦33(nm×nm)、さらにタッチダウンハイトを8nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦24(nm×nm)、さらにタッチダウンハイトを6nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦14(nm×nm)、さらにタッチダウンハイト4.5nm以下を達成するためには、Rmax×wa≦7(nm×nm)としなければならないことがわかる。
また、約同じ表面粗さRmaxである実施例5の結晶化ガラスと、実施例13,14のアモルファスガラスを比較すると、結晶化ガラスのほうが微小うねりの値が低い傾向にあることがわかる。
以上詳述したように本発明によれば、基板表面における表面粗さ、微小うねりを所定の範囲・関係にすることによって、所望のグライド高さ(タッチダウンハイト)を達成することができる。
一実施の形態におけるRmaxと95%PV値との関係を示す特性図である。 一実施の形態におけるRmax×95%PV値とタッチダウンハイト(TDH)との関係を示す特性図である。 一実施の形態における情報記録媒体用基板を説明するための図である。 一実施の形態における微小うねりの測定原理を模式化して示す図である。

Claims (6)

  1. 情報記録媒体用基板であって、微小うねりの周期が2μm〜4mmであって、この微小うねりの最大高さをwa(単位:nm)とし、原子間力顕微鏡によって測定した最大高さをRmax(単位:nm)としたとき、
    Rmax×wa≦58(nm×nm)
    を満足することを特徴とする情報記録媒体用基板。
    但し、waは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点の高さの差の値とする。
  2. 前記waは、測定ポイントにおいて異常突起の点を除外して得られる値であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用基板。
  3. 前記基板はガラス基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体用基板。
  4. 前記基板は磁気ディスク用基板であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の情報記録媒体用基板。
  5. 請求項1乃至7の何れか一に記載の情報記録媒体用ガラス基板上に少なくとも記録層を形成することを特徴とする情報記録媒体。
  6. 前記記録層が磁性層であることを特徴とする請求項5記載の情報記録媒体。
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