JP2006133669A - 光ファイバ素線、並びに、これを用いた光ファイバ着色心線、光ファイバテープ心線および光ファイバケーブル - Google Patents

光ファイバ素線、並びに、これを用いた光ファイバ着色心線、光ファイバテープ心線および光ファイバケーブル Download PDF

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彰 鯰江
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Abstract

【課題】 エタノールに対する耐性に優れる光ファイバ素線、並びに、これを用いた光ファイバ着色心線、光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】 光ファイバ裸線10と、光ファイバ裸線10の外周に順に設けられた一次被覆層11および二次被覆層12と、を備えた光ファイバ素線20において、一次被覆層11のエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度を30%以下とする。また、エタノールに浸漬した場合の光ファイバ素線20の被覆径の変化率を15%以下とする。一次被覆層11のエタノール中に浸漬した場合の飽和膨潤度を20%以上、30%以下、かつ、二次被覆層12の断面積に対する一次被覆層11の断面積の割合を70%以下とする。一次被覆層11のエタノール中に浸漬した場合の飽和膨潤度を20%以上、30%以下、かつ、二次被覆層12のエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度を5%以下とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光ファイバ素線、並びに、これを用いた光ファイバ着色心線、光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルに関する。
光ファイバ素線は、コアおよびクラッドからなる光ファイバ裸線と、この光ファイバ裸線の外周に順に設けられ、合成樹脂からなる一次被覆層および二次被覆層とから概略構成されている。
このような構成の光ファイバ素線において、異なる光ファイバ素線を互いに接続したり、光ファイバ素線を光コネクタなどに取り付けたりする場合、光ファイバ素線の端末の接続部をクリーニングしたり、光ファイバ素線の被覆層(一次被覆層および二次被覆層)を除去する必要がある。光ファイバ素線の端末の接続部をクリーニングしたり、光ファイバ素線の被覆層を除去するためには、主に、エタノールが用いられている。
従来、光ファイバ素線の被覆層を除去し易くするために、光ファイバ素線を長時間、エタノールに浸漬する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、光ファイバ裸線の表面に被覆層の屑が残留しないようにすることを目的として、光ファイバ心線の重量変化によって定義される一次被覆層の膨潤率を所定の範囲内に調整した、光ファイバ心線および光ファイバ心線の被覆除去方法が開示されている。
また、異なる光ファイバ素線を互いに接続したり、光ファイバ素線を光コネクタなどに取り付けたりするために、光ファイバ素線をエタノールに長時間浸漬する場合、光ファイバ素線の表面から(二次被覆層の表面から)、一次被覆層に達する傷が存在すると、エタノールに浸漬した端末以外の部分において被覆層が剥がれることがある。特に、表面が着色された光ファイバ素線では、着色剤からなる着色層が硬く、伸びが小さいために、より一層、被覆層が剥がれ易くなる。
また、光ファイバ素線の外周がジェリー(緩衝材)で包囲されてなる光ファイバケーブルにおいても、光ファイバ素線を、他の光ファイバ素線と接続したりするには、ジェリーを除去しなければならない。そこで、ジェリーを除去するためにエタノールを用いると、元来、エタノールではジェリーを除去し難いので、光ファイバケーブルをエタノールに長時間浸漬しなければならない。その結果、ここでは目的としていない被覆層が剥がれてしまうおそれがある。
さらに、特許文献1に開示されている発明では、光ファイバ心線の被覆層を除去し易くすることを目的として、光ファイバ心線の重量変化によって定義される一次被覆層の膨潤率を所定の範囲内に調整しているものの、光ファイバ素線をエタノールに長時間浸漬することによって生じる問題については検討されていない。
特開2004−78092号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、エタノールに対する耐性に優れる光ファイバ素線およびこれを用いた光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、光ファイバ裸線と、該光ファイバ裸線の外周に順に設けられた一次被覆層および二次被覆層と、を備えた光ファイバ素線であって、前記一次被覆層はエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度が30%以下である光ファイバ素線を提供する。
上記構成の光ファイバ素線において、エタノールに浸漬した場合の被覆径の変化率が15%以下であることが好ましい。
上記構成の光ファイバ素線において、前記一次被覆層はエタノール中に浸漬した場合の飽和膨潤度が20%以上、30%以下、かつ、前記二次被覆層の断面積に対する前記一次被覆層の断面積の割合が70%以下であることが好ましい。
上記構成の光ファイバ素線において、前記一次被覆層はエタノール中に浸漬した場合の飽和膨潤度が20%以上、30%以下、かつ、前記二次被覆層はエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度が5%以下であることが好ましい。
本発明は、上記の光ファイバ素線を備えた光ファイバ着色心線を提供する。
本発明は、上記の光ファイバ素線を備えた光ファイバテープ心線を提供する。
本発明は、上記の光ファイバ素線を備えた光ファイバケーブルを提供する。
本発明の光ファイバ素線は、一次被覆層のエタノールに対する飽和膨潤度や、エタノールに浸漬した場合の被覆径の変化率を規定することにより、エタノールに浸漬した際に被覆層が剥がれなくなる。その結果、被覆層が剥がれて、光ファイバ裸線が剥き出しになり、光ファイバ裸線が断線することがなくなる。また、被覆層が足りなくなった結果、光ファイバ素線の接続余長がなくなり、光ファイバ素線に必要とされる長さが不足して、敷設できなくなるなどの不具合が生じるのを防ぐことができる。
以下、本発明を実施した光ファイバ素線、並びに、これを用いた光ファイバ着色心線、光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルについて詳細に説明する。
図1は、本発明の光ファイバ素線の一実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の光ファイバ素線20は、石英ガラスを主成分とするコアおよびクラッドからなる光ファイバ裸線10と、この光ファイバ裸線10の外周に順に設けられた一次被覆層11および二次被覆層12とから概略構成されている。
一次被覆層11および二次被覆層12をなす材料としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ブタジエンアクリレート系などの紫外線硬化型樹脂が挙げられる。
また、一次被覆層11は、エタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度が30%以下であり、この飽和膨潤度が20%以下であることがより好ましい。
エタノールに浸漬した場合の被覆層(一次被覆層11および二次被覆層12)の飽和膨潤度とは、被覆層がエタノールを吸収して飽和した状態において、被覆層の膨潤度を表わすものである。本発明では、エタノールに浸漬した場合の被覆層の飽和膨潤度を、以下の式(1)によって定義する。
なお、被覆層の膨潤度は、被覆層をなす樹脂のシートを作成し、この樹脂シートの膨潤度を測定することにより求める。例えば、被覆層をなす紫外線硬化型樹脂をアクリル板上にスピンコートし、これに照度300mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、厚み0.2mmのシートを作製し、このシートを直径50mmの円形状に成形する。そして、この円形状のシートを、膨潤度測定用のサンプルとする。この円形状シートを用いた被覆層の飽和膨潤度の測定は、以下の式(1)に従う。
飽和膨潤度(%)=[(エタノール浸漬後の円形状の樹脂シートの直径)−(エタノール浸漬前の円形状の樹脂シートの直径)]/(エタノール浸漬前の円形状の樹脂シートの直径)×100(1)
エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度を30%以下とすることにより、一次被覆層11がエタノールを吸収し難くなるから、一次被覆層11のエタノールに対する耐性が向上し、光ファイバ裸線10に対する一次被覆層11の密着性が向上する。その結果、光ファイバ素線20を他の光ファイバ素線と接続したり、光コネクタなどに取り付けたりする際に、その端末をクリーニングしたり、その端末の被覆層を除去するために、光ファイバ素線20の端末をエタノールに長時間浸漬しても、エタノールに浸漬した端末以外の部分において被覆層が剥がれ難くなる。さらに、この飽和膨潤度を20%以下とすれば、二次被覆層12の飽和膨潤度などに影響されることなく、光ファイバ素線20の端末をエタノールに長時間浸漬しても、被覆層が剥がれなくなる。
エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度が30%を超えると、光ファイバ素線20の端末の被覆層を除去するために、光ファイバ素線20をエタノールに長時間浸漬すると、光ファイバ素線20の被覆層が端末のみならず、それ以上に剥がれてしまう。また、光ファイバ素線20の外周をジェリーなどの緩衝材で包囲されてなる光ファイバケーブルにおいて、ジェリーを除去するために、この光ファイバケーブルをエタノールに長時間浸漬すると、ジェリーのみならず被覆層が剥がれてしまう。
なお、一次被覆層11の飽和膨潤度は、一次被覆層11をなす紫外線硬化型樹脂の材質に依存し、一次被覆層11の形成方法には依存しない。
また、光ファイバ素線20では、エタノールに浸漬した場合の被覆径の変化率が15%以下であることが好ましい。
なお、光ファイバ素線の被覆径とは、光ファイバ素線の直径のことである。また、本発明では、エタノールに浸漬した場合の光ファイバ素線の被覆径の変化率を、以下の式(2)によって定義する。
被覆径の変化率(%)=[(エタノール浸漬後の光ファイバ素線の被覆径)−(エタノール浸漬前の光ファイバ素線の被覆径)]/(エタノール浸漬前の光ファイバ素線の被覆径)×100 (2)
エタノールに浸漬した場合の被覆径の変化率を15%以下とすることにより、一次被覆層11がエタノールを吸収し難くなるから、一次被覆層11のエタノールに対する耐性が向上し、光ファイバ裸線10に対する一次被覆層11の密着性が向上する。その結果、光ファイバ素線20を他の光ファイバ素線と接続したり、光コネクタなどに取り付けたりする際に、その端末をクリーニングしたり、その端末の被覆層を除去するために、光ファイバ素線20の端末をエタノールに長時間浸漬しても、エタノールに浸漬した端末以外の部分において被覆層が剥がれなくなる。
エタノールに浸漬した場合の光ファイバ素線20の被覆径の変化率が15%を超えると、光ファイバ素線20の端末の被覆層を除去するために、光ファイバ素線20をエタノールに長時間浸漬すると、光ファイバ素線20の被覆層(一次被覆層11および二次被覆層12)が端末のみならず、それ以上に剥がれてしまう。また、光ファイバ素線20の外周をジェリーなどの緩衝材で包囲されてなる光ファイバケーブルにおいて、ジェリーを除去するために、この光ファイバケーブルをエタノールに長時間浸漬すると、ジェリーのみならず被覆層が剥がれてしまう。
また、光ファイバ素線20では、エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度が20%以上、30%以下、かつ、二次被覆層12の断面積に対する一次被覆層11の断面積の割合が70%以下であることが好ましい。
エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度を20%以上、30%以下、かつ、二次被覆層12の断面積に対する一次被覆層11の断面積の割合を70%以下とすることにより、一次被覆層11がエタノールを吸収し難くなるから、一次被覆層11のエタノールに対する耐性が向上し、光ファイバ裸線10に対する一次被覆層11の密着性が向上する。その結果、光ファイバ素線20を他の光ファイバ素線と接続したり、光コネクタなどに取り付けたりする際に、その端末をクリーニングしたり、その端末の被覆層を除去するために、光ファイバ素線20の端末をエタノールに長時間浸漬しても、エタノールに浸漬した端末以外の部分において被覆層が剥がれ難くなる。
エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度が20%未満の場合には、二次被覆層12の断面積に対する一次被覆層11の断面積の割合によらず、光ファイバ素線20の被覆層(一次被覆層11および二次被覆層12)は剥がれない。また、飽和膨潤度が30%を超えると、二次被覆層12の断面積に対する一次被覆層11の断面積の割合によらず、光ファイバ素線20の被覆層は剥がれる。
さらに、光ファイバ素線20では、エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度が20%以上、30%以下、かつ、エタノールに浸漬した場合の二次被覆層12の飽和膨潤度が5%以下であることが好ましい。
エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度を20%以上、30%以下、かつ、エタノールに浸漬した場合の二次被覆層12の飽和膨潤度を5%以下とすることにより、一次被覆層11がエタノールを吸収し難くなるから、一次被覆層11のエタノールに対する耐性が向上し、光ファイバ裸線10に対する一次被覆層11の密着性が向上する。その結果、光ファイバ素線20を他の光ファイバ素線と接続したり、光コネクタなどに取り付けたりする際に、その端末をクリーニングしたり、その端末の被覆層を除去するために、光ファイバ素線20の端末をエタノールに長時間浸漬しても、エタノールに浸漬した端末以外の部分において被覆層が、一次被覆層11の飽和膨潤度のみを20%以上、30%以下とした場合よりも、より剥がれ難くなる。
エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度が20%未満の場合には、エタノールに浸漬した場合の二次被覆層12の飽和膨潤度によらず、光ファイバ素線20の被覆層は剥がれない。また、エタノールに浸漬した場合の一次被覆層11の飽和膨潤度が20%以上、30%以下の場合には、被覆層の光ファイバ裸線10に対する密着度は、一次二次被覆層12の断面積に対する一次被覆層11の断面積の割合や、二次被覆層12の飽和膨潤度に依存するので、これを調整すれば前記密着度を向上させることができる。さらに、飽和膨潤度が30%を超えると、エタノールに浸漬した場合の二次被覆層12の飽和膨潤度によらず、光ファイバ素線20の被覆層は剥がれる。
なお、この実施形態では、光ファイバ裸線10と、この光ファイバ裸線10の外周に順に設けられた一次被覆層11および二次被覆層12とからなる光ファイバ素線20を例示したが、本発明の光ファイバ素線はこれに限定されない。本発明の光ファイバ素線にあっては、二次被覆層12の外周に着色剤からなる着色層が設けられていてもよい。
また、光ファイバ素線20の外周を、ジェリー、ヤーンなどの緩衝材で包囲し、この緩衝材とともに光ファイバ素線20を被覆層で一括に被覆して、光ファイバケーブルとしてもよい。
このような光ファイバケーブルは、これを構成する光ファイバ素線20を他の光ファイバ素線と接続したり、光コネクタなどに取り付けたりする際に、ジェリーを除去するために、この光ファイバケーブルをエタノールに長時間浸漬しても、ジェリーのみが除去されて、被覆層が剥がれることがない。
次に、この実施形態の光ファイバ素線20の製造方法を説明する。
この実施形態の光ファイバ素線20の製造方法においては、まず、石英系ガラスを主成分とする光ファイバ母材を、紡糸炉内に軸方向に移動可能に取り付けて、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガス雰囲気中で、その下端部分を約2000℃に高温加熱し、溶融紡糸して、光ファイバ裸線10とする。
続いて、光ファイバ裸線10を冷却筒内に送り込むか、または、自然冷却により、光ファイバ裸線10を次工程の一次被覆層11の形成に好適な温度まで急冷する。
続いて、冷却筒において冷却された光ファイバ裸線10は、一次被覆層形成用の第一の被覆層塗布装置において、その外周を覆うように紫外線硬化型樹脂が塗布され、引き続き、この紫外線硬化型樹脂が第一の架橋筒に設けられたUVランプなどからなる架橋灯から照射される紫外線などの光により硬化されて、一次被覆層11が形成される。
なお、この一次被覆層を形成する工程において、エタノールに浸漬した場合の一次被覆層の飽和膨潤度を上述のように30%以下とするには、硬化後の一次被覆層のエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度がこの範囲内になるような材質の紫外線硬化型樹脂を適宜選択する。また、光ファイバ素線の被覆径の変化率を15%以下にするには、一次被覆層をなす紫外線硬化型樹脂が硬化不良にならない程度に、紫外線を照射する。
さらに、二次被覆層形成用の第二の被覆層塗布装置において、一次被覆層11の外周を覆うように紫外線硬化型樹脂が塗布され、引き続き、この紫外線硬化型樹脂が第二の架橋筒に設けられたUVランプなどからなる架橋灯から照射される紫外線などの光により硬化されて、二次被覆層12が形成され、光ファイバ素線20となる。
さらに、この光ファイバ素線20は、ターンプーリによって別方向に向きを変えられ、引取機、ダンサーロールを経て、巻取ドラムに巻き取られる。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
(実験例1)
光ファイバ裸線と、この外周に順に設けられた一次被覆層および二次被覆層と、二次被覆層の外周に設けられた着色剤とからなり、一次被覆層のエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度が異なる8種類の光ファイバ素線を作製した。さらに、これらの光ファイバ素線の外周に着色層を設け、光ファイバ着色心線とした。
一次被覆径(光ファイバ裸線と、一次被覆層とからなるものの直径)を190μm、二次被覆径(光ファイバ裸線と、一次被覆層と、二次被覆層とからなるものの直径)を245μm、着色径(光ファイバ裸線と、一次被覆層と、二次被覆層と、着色層とからなるものの直径)を260μmとした。
これらの光ファイバ着色心線について、(1)エタノールに対する耐性の評価、および、(2)エタノールに浸漬した場合の被覆層(一次被覆層および二次被覆層)の膨潤度の測定を行い、これらの関係を調査した。
(1)エタノールに対する耐性の評価
図2に示すように、所定の長さに切断した光ファイバ着色心線40を、試験管30内のエタノール31に浸漬した。光ファイバ着色心線40をエタノール31に浸漬した後、試験管30を、水槽50内で30℃に保たれた水51に漬けた。試験管30を水51に漬けてから、光ファイバ着色心線40の被覆層(一次被覆層および二次被覆層)が剥がれるまでの時間を測定した。光ファイバ着色心線40の被覆層が剥がれるまでの時間の測定を1ヶ月間継続し、1ヶ月経過後に被覆層が剥がれなかった場合、被覆層の剥がれ無しとした。
結果を表1に示す。
(2)エタノールに浸漬した場合の被覆層の膨潤度の測定
上記の8種類の光ファイバ素線を構成する一次被覆層(A〜H)と二次被覆層(I〜L)を、エタノールに浸漬した場合の膨潤度を測定した。
一次被覆層(A〜H)をなす紫外線硬化型樹脂、および、二次被覆層(I〜L)をなす紫外線硬化型樹脂を、それぞれアクリル板上にスピンコートし、これに照度300mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、厚み0.2mmのシートを作製した。
それぞれのシートを直径50mmの円形状に成形し、この円形状のシートを、膨潤度測定用のサンプルとした。
このサンプルを、密閉容器内で30℃に保たれたエタノールに浸漬した。サンプルをエタノールに浸漬した後、所定時間毎にエタノール中から取り出して、サンプルの膨潤度を測定した。サンプルの膨潤度の測定を、サンプルをエタノールに浸漬してからの累積時間が30分となるまで継続した。
なお、サンプルの膨潤度を、以下の式に従って算出した。
膨潤度(%)=[(エタノール浸漬後のサンプルの直径)−(エタノール浸漬前のサンプルの直径)]/(エタノール浸漬前のサンプルの直径)×100
結果を表1および図3に示す。
Figure 2006133669
表1の結果から、膨潤度が大きいほどエタノール中で被覆が剥がれるまでの時間が短く、一次被覆層の膨潤度が30%以下であれば、光ファイバ着色心線をエタノールに浸漬しても被覆層が剥がれるまでの時間が1日以上となることが分かった。また、一次被覆層の膨潤度が20%以上、30%以下、かつ、二次被覆層の膨潤度が5%以下であれば(一次被覆材がDまたはE、二次被覆材がKの場合)、被覆層が剥がれるまでの時間が3日以上となることが分かった。これにより、二次被覆層のエタノールによる膨潤度も低いことが好ましいことを確認できた。
さらに、表1の結果をもとにして、一次被覆層と、被覆層が剥がれるまでの時間との関係を図4に示す。すると、表1および図4から、一次被覆層の膨潤度が20%未満であれば、二次被覆層の膨潤度によらず、被覆層が剥がれないことが分かった。
また、図3の結果から、一次被覆層(A〜H)は、エタノールに浸漬してから10分〜15分程度でほぼ飽和状態になっていることが分かった。したがって、この実験例1において、エタノールに浸漬してから30分後の一次被覆層(A〜H)の膨潤度は、飽和膨潤度であるといえる。
(実験例2)
実験例1で用いた光ファイバ着色心線の中でも、一次被覆材がE、二次被覆材がKからなるものと材質および基本的な構成が等しく、二次被覆層の断面積に対する一次被覆層の断面積の割合が異なる3種類の光ファイバ着色心線を作製した。
一次被覆径(光ファイバ裸線と、一次被覆層とからなるものの直径)、すなわち、一次被覆層の厚みを変化させ、二次被覆径(光ファイバ裸線と、一次被覆層と、二次被覆層とからなるものの直径)を245μmで一定とし、着色径(光ファイバ裸線と、一次被覆層と、二次被覆層と、着色層とからなるものの直径)を260μmで一定とした。
これらの光ファイバ着色心線について、二次被覆層の断面積に対する一次被覆層の断面積の割合と、被覆層が剥がれるまでの時間との関係を調査した。結果を表2に示す。
Figure 2006133669
表2の結果から、光ファイバ着色心線において、二次被覆層の断面積に対する一次被覆層の断面積の割合が小さくなると、被覆層が剥がれ難くなることが分かった。
(実験例3)
光ファイバ裸線と、この外周に順に設けられた一次被覆層および二次被覆層と、二次被覆層の外周に設けられた着色層とからなり、エタノールに浸漬した場合の被覆径の変化率が異なる8種類の光ファイバ着色心線(M〜T)を作製した。
被覆径(光ファイバ裸線と、一次被覆層と、二次被覆層とからなるものの直径)を245μm、着色径(光ファイバ裸線と、一次被覆層と、二次被覆層と、着色層とからなるものの直径)を260μmとした。
これらの光ファイバ着色心線について、(1)被覆層が剥がれるまでの時間の測定、および、(2)光ファイバ素線の被覆径の変化率の測定を行い、これらの関係を調査した。
なお、被覆層が剥がれるまでの時間の測定には、光ファイバ着色心線を用いた。また、着色層を設けて光ファイバ着色心線とすることにより、光ファイバ着色心線の外径の変化が制限されるので、被覆径の変化には着色層が設けられていない光ファイバ素線を用いた。
(1)被覆層が剥がれるまでの時間の測定
実験例1と同様にして光ファイバ着色心線をエタノールに浸漬し、被覆層が剥がれるまでの時間を測定した。光ファイバ着色心線の被覆径、および、被覆層が剥がれるまでの時間の測定を1ヶ月間継続し、1ヶ月経過後に被覆層が剥がれなかった場合、被覆層の剥がれ無しとした。
結果を表3に示す。
(2)光ファイバ素線の被覆径の変化率の測定
常温のエタノールに、光ファイバ素線を1週間浸漬した後、その被覆径を測定し、エタノールに浸漬する前の被覆径と、エタノールに浸漬した後の被覆径とから、光ファイバ素線の被覆径の変化率を算出した。
なお、光ファイバ素線の被覆径の変化率を、以下の式に従って算出した。
被覆径の変化率(%)=[(エタノール浸漬後の光ファイバ素線の被覆径)−(エタノール浸漬前の光ファイバ素線の被覆径)]/(エタノール浸漬前の光ファイバ素線の被覆径)×100
結果を表3に示す。
Figure 2006133669
表3の結果から、エタノールに浸漬した場合の被覆径の変化率が小さく、被覆径の変化率が15%以下の光ファイバ素線は、被覆層が剥がれないことが確認された。
本発明の光ファイバ素線、並びに、これを用いた光ファイバ着色心線、光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルは、情報通信に用いられ、シングルモードファイバ、分散シフトファイバなど、あらゆる種類の光ファイバにも適用できる。また、本発明の光ファイバ素線、並びに、これを用いた光ファイバ着色心線、光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルは、光部品にも適用できる。
本発明の光ファイバ素線の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の実験例において、光ファイバ着色心線をエタノールに浸漬する方法を示す模式図である。 エタノールに浸漬した場合の光ファイバ素線の一次被覆層の膨潤度の経時変化を示すグラフである。 光ファイバ素線の一次被覆層と、被覆層が剥がれるまでの時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
10・・・光ファイバ裸線、11・・・一次被覆層、12・・・二次被覆層、20・・・光ファイバ素線。

Claims (7)

  1. 光ファイバ裸線と、該光ファイバ裸線の外周に順に設けられた一次被覆層および二次被覆層と、を備えた光ファイバ素線であって、
    前記一次被覆層はエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度が30%以下であることを特徴とする光ファイバ素線。
  2. エタノールに浸漬した場合の被覆径の変化率が15%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線。
  3. 前記一次被覆層はエタノール中に浸漬した場合の飽和膨潤度が20%以上、30%以下、かつ、前記二次被覆層の断面積に対する前記一次被覆層の断面積の割合が70%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ素線。
  4. 前記一次被覆層はエタノール中に浸漬した場合の飽和膨潤度が20%以上、30%以下、かつ、前記二次被覆層はエタノールに浸漬した場合の飽和膨潤度が5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ素線。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の光ファイバ素線を備えたことを特徴とする光ファイバ着色心線。
  6. 請求項1ないし4のいずれかに記載の光ファイバ素線を備えたことを特徴とする光ファイバテープ心線。
  7. 請求項1ないし4のいずれかに記載の光ファイバ素線を備えたことを特徴とする光ファイバケーブル。

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