JP2006133254A - 電子写真画像形成方法、形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真画像形成方法、形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】高画質画像を得ることができ、高耐久性であり、かつキャリア付着の発生しにくい像担持体を用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供し、また、高画像濃度でかつ地汚れが少ない画像を得ることができるとともに、ドットのバラツキが小さくハイライトの再現性が良好であり、画像中の穂跡の発生が少ない画像形成方法及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ磁力により形成された磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に穂立ちを起こして像担持体に接触する現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成方法。
【選択図】図13

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法において、耐久性の高い像担持体と改良された二成分現像法を用い、長期にわたり安定して良好な画像が得られる画像形成方法及び画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式による複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成方法が広く用いられている。
これは、高画質画像を高速で得られること、モノクロだけでなくカラー画像形成も可能なこと、かなりの長期間の使用にも耐え且つ安定性を有していることがあげられる。
この電子写真用の感光体(以後、電子写真感光体、又は単に感光体と呼ぶ)は有機光導電性物質を含有する有機感光体が一般的に用いられている。このような感光体は、通常、導電性支持体に、有機電荷発生物質と結着材である有機高分子とを溶剤に混合した塗布液を塗布して電荷発生層を形成し、その上に有機電荷輸送物質と結着材である有機高分子とを溶剤に混合した塗布液を塗布して電荷輸送層を形成する方法で製造される。
利点として有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと等がある。
いわゆるカールソン方式の電子写真プロセスにおいては、感光体を全面に一様帯電した後、画像用の露光を与えて静電潜像を形成し、静電潜像をトナーで現像して可視化し、転写材に転写することで画像を形成するものである。このプロセス中に感光体の表面は、帯電、現像、転写、及びクリーニング等により、電気的、機械的な外力が直接加えられるため、感光体に高い耐久性が要求される。例えば、感光体上のトナーは全てが転写されることはなく、一部のトナーは感光体に残留する。汚れのない高画質な画像を得るために、残留トナーのクリーニングが必要となる。
残留トナーのクリーニングには種々の手段があり、主に性能、構成等から板状のゴム弾性体ブレードが用いられている。しかし、ブレードを感光体に押し当て強い摺擦力を与えることになるので、感光体に耐久性が求められる。
このように、摺擦による感光体表面の摩耗或いは傷の発生、異物の混入及び紙詰まり処理時の衝撃等による膜剥がれに対する機械的耐久性が要求される。なかでも衝撃による傷や膜剥がれに対する耐久性について、より高くすることが求められている。
これまで上記の要求を満たすため、幾つもの検討がなされてきた。
機械的耐久性に関しては、有機感光体の表面にBPZポリカーボネートを結着樹脂として用いることにより、表面の摩耗特性、トナーフィルミング特性が改善されることが報告されている。また、特開平6−118681号公報(特許文献1)では感光体の表面保護層としてコロイダルシリカ含有硬化性シリコーン樹脂を用いることが報告されている。
しかし、BPZポリカーボネートを結着樹脂に用いた感光体では、なお耐摩耗特性が不足しており、充分な耐久性を有していない。一方、コロイダルシリカ含有硬化性シリコーン樹脂の表面層では耐摩耗特性は改善されるが、繰り返し使用時の電子写真特性が不充分であり、カブリや画像ボケが発生する場合があり、これも耐久性が不充分である。
これを改善する方法として、特開平9−124943号公報(特許文献2)、特開平9−190004号公報(特許文献3)では有機ケイ素変性正孔輸送性化合物を硬化性有機ケイ素系高分子中に結合させた樹脂層を表面層として有する感光体を提案している。しかし、この技術では表面層が硬化されているため感光体表面が研磨されることがない。その結果、高温高湿環境で吸着された水分の影響で画像ボケが発生し易いこと、紙粉やトナーのフィルミングが生じ易いこと、筋状或いは斑点状の画像欠陥が発生し易い等の問題がある。
特に最近、画像形成装置の小型化から感光体の小径化が進み、画像形成装置の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わり、更に高耐久の感光体が切望されてきている。前述のように、有機感光体は化学的安定性に乏しいものであり、機械的に柔らかいものであるが、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像及びクリーニング或いは転写による機械的な負荷により摩耗が発生しやすいものであるにも関わらず、これまで以上に耐久性の向上が望まれている。
また、高画質化の要求から小粒径トナーを採用される場合が多く、クリーニング性向上のためにクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされる。このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。感光体が摩耗すると、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性が劣化し、その結果画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像が起こる。摩耗が局所的に発生した結果生じる傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。現状では感光体の寿命はこの摩耗及び傷が律速となり、交換に至っているといわれている。従って、有機感光体の高耐久化においては感光層の摩耗量を低減することが不可欠であり、最も解決が迫られている課題である。
感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)架橋型電荷輸送層に硬化性バインダーを用いたもの(特許文献4)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(特許文献5)、(3)架橋型電荷輸送層に無機フィラーを分散させたもの(特許文献6)等が挙げられる。これらうち(1)の硬化性バインダーを用いたものは、電荷輸送物質との相溶性が悪いこと、重合開始剤、未反応残基などの不純物により残留電位が上昇し画像濃度の低下が発生し易い傾向がある。また、(2)の高分子型電荷輸送物質を用いたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるが、有機感光体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。また、高分子型電荷輸送物質は材料の重合、精製が難しく高純度なものが得にくいため電気的特性が安定しにくい。更に塗工液が高粘度となる等の製造上の問題を起こす場合もある。(3)の無機フィラーを分散させたものは、通常の低分子電荷輸送物質を不活性高分子に分散させた感光体に比べて高い耐摩耗性が発揮されるが、無機フィラー表面に存在する電荷トラップにより残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。また、感光体表面の無機フィラーとバインター樹脂の凹凸が大きい場合には、クリーニング不良が発生し、トナーフィルミングや画像流れの原因となることがある。
これら(1)(2)(3)の技術では、有機感光体に求められる電気的、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
更に、(1)の耐摩耗性と耐傷性を改良するために多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させた感光体も知られている(特許文献7)。しかし、この感光体においては、感光層上に設けた保護層にこの多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させる旨の記載があるが、この保護層に電荷輸送物質を含有せしめてもよいことが記載されているのみで具体的な記載はなく、しかも、単に架橋型電荷輸送層に低分子の電荷輸送物を含有させた場合には、上記硬化物との相溶性の問題があり、低分子電荷輸送物質の析出、白濁が起こり、露光部電位の上昇により画像濃度が低下するばかりでなく機械強度も低下してしまうことがあった。更に、この感光体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、3次元網目構造が充分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでには至っていない。
これらに代わる感光層の耐摩耗技術として、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られている(特許文献8)。このバインダー樹脂は電荷発生層と硬化型電荷輸送層の接着性を向上させ、さらに厚膜硬化時の膜の内部応力を緩和させる役割を果たしていると考えられ、炭素−炭素二重結合を有し、上記電荷輸送剤に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有せず反応性を有しないものに大別される。この感光体は耐摩耗性と良好な電気的特性を両立しており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有しないものを使用した場合、バインダー樹脂と、上記モノマーと電荷輸送剤との反応により生成した硬化物との相溶性が悪く、架橋型電荷輸送層中で相分離が生じ、傷やトナー中の外添剤及び紙粉の固着の原因となることがある。また、上記したように、3次元網目構造が充分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでには至っていない。加えて、この感光体において使用される上記モノマーとして具体的に記載されているものは2官能性のものであり、これらの点で耐摩耗性の点では未だ満足するには至らなかった。また、反応性を有するバインダーを使用した場合においても、硬化物の分子量は増大するものの分子間架橋結合数は少なく、上記電荷輸送物質の結合量と架橋密度との両立は難しく、電気特性及び耐摩耗性も充分とはいえないものであった。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(特許文献9)。この感光層は架橋結合密度を高められるため高い硬度を有するが、嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、架橋表面層が長期間の使用においてクラックや剥がれが発生しやすい場合がある。これら従来技術における電荷輸送性構造を化学結合させた架橋感光層を有する感光体においても、現状では充分な総合特性を有しているとは言えない。
(現像方法)
画質向上のための現像方法の改良について述べる。
電子写真式の画像形成装置においては、転写性、ハーフトーンの再現性、温度・湿度に対する現像特性の安定性などの点から、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式が主流になってきている。現像装置では現像剤担持体上に2成分現像剤がブラシチェーン状に穂立ちを起こし、現像領域において現像剤中のトナーを潜像担持体上の潜像に供給するものである。
現像剤担持体は、通常円筒状に形成された現像スリーブと、スリーブ表面に現像剤が穂立ちするように磁界を形成する磁石ローラから構成され、キャリアが磁石ローラで生じる磁力線に沿うようにスリーブ上に穂立ちする。この穂立ちに係るキャリアに帯電トナーが付着している。上記磁石ローラは、複数の磁極を備え、各々の磁極を形成する磁石が棒状に形成されていて、特にスリーブ表面の現像領域部分では現像剤を立ち上げる現像主磁極を備えている。スリーブと磁石ローラの少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動するようになっている。現像領域に搬送された現像剤は現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、この現像剤のチェーン穂は撓むように潜像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が潜像担持体との相対線速差に基づいて潜像と擦れ合いながら、トナー供給を行なう。
しかしながら、このような現像装置においては、画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とが両立せず、高濃度部と低濃度部との双方を同時に改善することが困難である。即ち、画像濃度を高くするための現像条件としては、(1)潜像担持体と現像スリーブとの間隔である現像ギャップを狭くすること、あるいは(2)現像領域幅を広くすることなどが挙げられる。一方、低コントラスト画像を良好に得るための現像条件としては、(1’)現像ギャップを広くすること、あるいは(2’)現像領域幅を狭くすることなどがある。つまり、双方の現像条件は相対するものであって両立せず、全濃度域にわたって双方の条件を満たして良質な画像を得ることは一般に困難とされている。
例えば低コントラスト画像を重視する場合には、ベタラインのクロス部や黒ベタ、ハーフトーンベタ画像の後端部に白抜けを生じるいわゆる「後端白抜け」と称される異常画像が発生しやすい。また同じ幅で形成した格子画像の横線が縦線よりも細くなること、1ドットなどの小さい点画像が現像されないなどの現象も発生している。特に、画像形成速度が上がるとこの傾向が顕著になるといわれている。
以上のような「後端白抜け」現象に関して、図23に示したように、数cm角のベタ画像において後端にかかる状態で5mmφ程度の面積濃度を測定すると、図19における条件2での濃度特性(現像ニップ幅が4mm程度)として結果が表われる。
図19のグラフは、縦軸に図23に示したベタ画像の後端濃度を、横軸に現像スリーブ移動速度Ssと潜像担持体移動速度Spとの速度比を示すものである。線速比を例えば1.1程度から一段と増加すると、後端白抜けを起こす部分以外での濃度は上がるが、図12cに示した状態が著しく、したがって後端白抜けも著しくなり、その幅も次第に広がって、濃度測定位置での測定濃度結果に大きなばらつきがでる。
このような現象について、特開2000−305360公報(特許文献10)に記載がある。図16にあるように、現像スリーブ上に形成される磁気ブラシが像担持体と摺擦する部分に生じる接触部(現像ニップ)において、像担持体と現像スリーブの線速差(対感光体線速比)がある場合、上記現象が生じるといわれている。
図24に示すように、後端白抜け、及び白抜け部ギザギザ発生のメカニズムの考察により、その原因が磁気ブラシ先端のキャリアにあるトナーのドリフト現象によって生じたカウンターチャージにあること、更に現像スリーブの長手方向に穂の起きあがりにバラツキがあるとこの白抜け部のギザギザが発生する考察された。図24は、後端白抜けに関わる穂立ちから穂倒れまで(H1〜H4)の磁気ブラシ先端のキャリアとトナーを示している。像担持体とキャリア粒子の間のトナー粒子の各種取り合いを示す図12のa〜dの順にキャリアにあるトナーが画像部後端における電界によりドリフトする現象が説明されている。
この公報においては、磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に穂立ちを起こして、潜像担持体に接触するように構成する解決方法を提案した。あるいは磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に潜像担持体から離間して、穂倒れを起こすように構成する解決方法を提案した。また、現像領域で穂立ちを起こす主磁極の法線方向磁束密度の減衰率を40%以上、好ましくは50%以上とすることで、上記課題が解決されることを示した。磁極の減衰率が大きくなるということは、磁気ブラシの立ち上がり・倒れの間の穂立ち幅が小さくなることで、その結果、磁気ブラシは短く且つ密に立ち上がることとなる。このような短く且つ密な立ち上がりをする磁気ブラシは、スリーブ長手方向において考察すると、立ち上がり・倒れの均一化をもたらすものであると効果が説明された。
しかしながら、穂立ちを起こす主磁極の法線方向磁束密度の減衰率を40%以上にすることは、基本的に磁気ブラシ先端のキャリアの拘束力を急激に弱めることになり、拘束状態から離れたキャリアが像担持体に付着し、像担持体に傷が付く場合がある。また、定着ローラの傷の原因にもなる。高速の画像形成において前記線速比が上がると磁気ブラシが像担持体に接触した場合の衝撃力が大きくなり、この傾向が大きくなる。更に、通常、キャリアは粒径分布を持つが、例えば重量平均粒径50μmであっても、20μm以下或いは10μm以下の小さいキャリアが含まれる。このような小さい粒径のキャリアはより磁力の拘束から離れ易く、上記のキャリア付着の原因になり易いという問題がある。
特開平6−118681号公報 特開平9−124943号公報 特開平9−190004号公報 特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特許第3194392号公報 特開2000−66425号公報 特開2000−305360号公報
本発明の第1の目的は、高画質画像を得ることができ、高耐久性であり、かつキャリア付着の発生しにくい像担持体を用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。第2の目的は、高画像濃度でかつ地汚れが少ない画像を得ることができるとともに、ドットのバラツキが小さくハイライトの再現性が良好であり、画像中の穂跡の発生が少ない画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。第3の目的は、細線の再現性、後端白抜け及びギザギザ発生を改善した画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。更には、以上3つの目的を同時に満足することである。
すなわち、上記課題は本発明の(1)〜(17)によって解決される。
(1)「像担持体に画像露光し、潜像を形成し、現像手段によってトナー像を形成し、転写材に転写し、転写材上のトナー像を定着する画像形成方法において、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ磁力により形成された磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に穂立ちを起こして像担持体に接触する現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成方法」;
(2)「像担持体に画像露光し、潜像を形成し、現像手段によってトナー像を形成し、転写材に転写し、転写材上のトナー像を定着する画像形成方法において、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ磁力により形成された磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に像担持体から離間し、穂倒れを起こす現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成方法」;
(3)「像担持体に画像露光し、潜像を形成し、現像手段によってトナー像を形成し、転写材に転写し、転写材上のトナー像を定着する画像形成方法において、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ現像剤を立ち上げる主磁極の磁力形成を補助する補助磁極を形成する構成を有する現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成方法」;
(4)「現像剤を立ち上げる主磁極と現像剤搬送方向上流側及び/又は下流側の搬送磁極との間に主磁極磁力の形成を補助する補助磁極を形成することを特徴とする前記第(3)項に記載の画像形成方法」;
(5)「前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の画像形成方法に使用する現像手段であって、該現像手段の現像剤担持体が非磁性スリーブと当該スリーブ内に固定配置された磁石ローラとからなり、該磁石ローラが現像剤汲み上げ磁極、現像剤搬送磁極、現像剤穂立ちのための主磁極を備え、前記主磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とする画像形成方法」;
(6)「架橋型電荷輸送層の膜厚が1μm以上、10μm以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の画像形成方法」;
(7)「前記架橋型電荷輸送層の膜厚が2μm以上、8μm以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の画像形成方法」;
(8)「前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物のラジカル重合官能基がアクリロイルキシ基および/又はメタクリロイルキシ基であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の画像形成方法」;
(9)「上記主磁極を形成する磁石が希土類金属合金によって構成されることを特徴とする前記第(5)項に記載の画像形成方法」;
(10)「現像剤担持体が非磁性スリーブと該スリーブ内に固定配置された磁石ローラとからなり、該磁石ローラが現像剤汲み上げ磁極、現像剤搬送磁極、現像剤穂立ちのための主磁極を備える現像剤担持体であって、上記主磁極の半値幅が22°以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の画像形成方法」;
(11)「現像剤担持体が非磁性スリーブと該スリーブ内に固定配置された磁石ローラとからなり、該磁石ローラが現像剤汲み上げ磁極、現像剤搬送磁極、現像剤穂立ちのための主磁極を備える現像装置であって、前記主磁極の磁力形成を補助する補助磁石を備えた現像装置を搭載することを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれかに記載の画像形成方法」;
(12)「上記補助磁石を、上記主磁極を形成する主磁石の現像剤搬送方向上流側及び/又は下流側に配置することを特徴とする前記第(11)項に記載の画像形成方法」;
(13)「上記主磁石と補助磁石とによる磁石ローラにおける中心角を35°以下で構成することを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成方法」;
(14)「上記補助磁石の半値幅を40°以下で構成することを特徴とする前記第(11)項又は第(12)項に記載の画像形成方法」;
(15)「上記補助磁石と更にその外側に位置する現像剤搬送磁極のための磁石との磁極変極点による磁石ローラにおける中心角を120°以下で構成することを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成方法」;
(16)前記第(1)項乃至第(15)項のいずれかに記載の画像形成方法を用いた画像形成装置」;
(17)「少なくとも像担持体と現像手段を有し、画像形成装置に搭載される画像形成装置用プロセスカートリッジであって、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ磁力により形成された磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に穂立ちを起こして像担持体に接触する現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ」。
本発明は、磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に均一に穂立ちを起こして像担持体に接触する現像手段が、磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に均一に像担持体から離間し穂倒れを起こす現像手段が、或いは現像剤を立ち上げる主磁極の磁力形成を補助する補助磁極を形成する現像手段が、長期繰り返し画像形成においてキャリア付着を起こし易いという欠点を、感光体側から改良したものである。
即ち、表面層にフィラーを含有させないで機械的強度を向上させるために、架橋密度の高い緻密な架橋型電荷輸送層を表面に有する感光体を用いることにより、長期繰り返し画像形成において摩耗量を適度に制御し、結果として画像流れのない高画質な画像を安定して得られる画像形成方法及び装置を提供できたものである。加えて、後端白抜け及びギザギザ発生がない画像を提供できたものである。また、耐久性評価後においても、細線再現性、特に縦横比、ドット再現性が優れた画像が得られることが判明したものである。
キャリア付着の問題は、フィラーを含有する表面層を有する電子写真感光体の場合に、次のように考えられた。一般に、感光体に使用される有機材料の誘電率は2から10以下である。例えばルチル型酸化チタンは110程度であり、これが表面層に含有されると(膜厚、含有割合にもよるが)感光層と表面層の誘電率が1桁以上異なることがある。従って、長期の繰り返し時に機械的摩耗で表面層の膜厚が変化すると感光体の誘電率が大きく変化し、感光体の特性、現像状態が変化し、画像が安定性して得られないことがある。特に、高画質化のために小粒径キャリアを使用すると、もともとの粒径分布に対して小粒径側のキャリアが優先的にキャリア付着し易いことが判明したが、感光体の誘電率の変化に起因して更にキャリア付着し易くなると認められた。
その理由は、まだ明確になっていないが、画像形成時においてフィラーが含有された表面層があると、膜厚変化により表面層に蓄積される電荷の分布状態或いは電荷量が変化するため、現像時、穂のキャリア粒子の電荷との引き合いに関係して、小粒径のキャリアほど拘束力を振り切ってキャリア付着し易くなるものと考えられる。長期繰り返し画像形成において、フィラーを含有する表面層を有する感光体の誘電率の変化は予想されるものであり、表面層にフィラーを使用しない本発明の感光体が好ましいものである。
また、感光層が僅かに削れることが好ましい。感光層が全く削れないと別の不具合が生じる。即ち、画像形成プロセス中に発生するオゾン、NOX等が原因物質になって高温高湿環境において感光層の表面抵抗が減少し画像流れが発生し易くなるので、感光体の誘電率の安定性と制御された摩耗性が必要になっている。
したがって、本発明によれば、特定の架橋型電荷輸送層を有する感光体と改良された現像方法により、画像濃度が高く、地汚れが少なく、細線再現性が良好で後端白抜けとそのギザギザ部がない良好な画像形成方法を提供できる。更に、特定の粒径分布を有する小粒径キャリアを使用した現像剤を用いることにより、小径ドットの再現性が向上するためハイライトの再現性が良好となり、穂跡の目立たない高画質な画像を提供できるものである。加えて、長期の繰り返しに対して耐久性があり、しかも高温高湿環境においても安定した高画質画像を形成できる画像形成方法、及び画像形成装置を提供できる。更に、本発明の感光体の摩耗量が適切に制御されるため、キャリア付着による感光体への深い傷が発生し難いこと並びに画像流れが発生しないという特徴がある。
(感光体)
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(1)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(2)と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層(3)とさらに架橋型電荷輸送層(4)が積層された積層構造の感光体である。図2に示されるような従来の厚い電荷輸送層にする必要がない。
<導電性支持体について>
導電性支持体(1)としては、体積抵抗1011Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
<感光層について>
(電荷発生層)
電荷発生層(2)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
中でも以下の下記構造式(1)で示されるオキシチタニウムフタロシアニンが好ましいものの一つである。
Figure 2006133254
式中、X、X、XおよびXはClまたはBrを示し、h、i、j、kは0〜4の整数である。本発明においては、オキシチタニウムフタロシアニンの結晶形は特に限られるものではないが、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン、あるいは9.6°および27.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンのいずれかであることが、感度特性の点からはより好ましい。
電荷発生層(1)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
前者の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
また、電荷発生層(1)には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(1)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
(電荷輸送層について)
電荷輸送層(2)は電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(1)上に塗布、乾燥することにより形成させる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(1)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、架橋型電荷輸送層塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、電荷輸送層の下層部分の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。このようにして形成された電荷輸送層上に、前述の架橋型電荷輸送層塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光照射の外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋型電荷輸送層が形成される。
<架橋型電荷輸送層について>
架橋型電荷輸送層(図1中の4、網かけ部)は電荷輸送機能を有する架橋構造を有する層で、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷輸送層(3)上に塗布、乾燥することにより形成させる。
本発明の架橋型電荷輸送層塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
〈1〉1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 2006133254
(ただし、式中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わす。)、または−S−基を表わす。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
〈2〉1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 2006133254
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式10のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型電荷輸送層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型電荷輸送層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋型電荷輸送層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が効果が高く、中でも下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 2006133254
Figure 2006133254
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 2006133254
(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表わされるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していてもよい。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 2006133254
で表わされ、
は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2006133254
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 2006133254
を表わす。)上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 2006133254
Figure 2006133254
Figure 2006133254
Figure 2006133254
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また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋型電荷輸送層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%以上では電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の架橋型電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、本発明の架橋型電荷輸送層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために架橋型電荷輸送層塗布液中に重合開始剤を含有させてもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の架橋型電荷輸送層塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋型電荷輸送層は、少なくとも上記の電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を後に記載の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
本発明においては、かかる架橋型電荷輸送層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、架橋型電荷輸送層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない。170℃より高温では硬化反応が不均一に進行し架橋型電荷輸送層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、50mW/cm未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cmより強いと反応の進行が不均一となり、架橋型電荷輸送層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
本発明の架橋型電荷輸送層の膜厚は、1μm以上、10μm以下、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。10μmより厚い場合、前述のようにクラックや膜剥がれが発生しやすくなり、8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能で、さらに耐摩耗性を高める材料選択や硬化条件の設定が可能となる。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm以下で、この膜厚以下の架橋型電荷輸送層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、架橋型電荷輸送層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生ずる。架橋型電荷輸送層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の架橋型電荷輸送層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分ができるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには架橋型電荷輸送層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
架橋型電荷輸送層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる。具体的には塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20重量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20重量%以下とすることが望ましい。さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10重量%以下にすることが好ましい。更に電荷発生層、電荷輸送層、架橋型電荷輸送層を順次積層した構成において、最表面の架橋型電荷輸送層が有機溶剤に対し不溶性であることが、耐摩耗性、耐傷性が達成させることに好ましい。本発明の構成において、架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)架橋型電荷輸送層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)架橋型電荷輸送層の塗工方法の選択、(4)架橋型電荷輸送層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。架橋型電荷輸送層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、架橋型電荷輸送層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
架橋型電荷輸送層の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm、5秒〜5分で且つ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
本発明の構成において架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にする手法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、架橋型電荷輸送層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば200mW/cmのUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、複数のランプからドラム周方向を均一30秒程度照射すればよい。このときドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の電子写真感光体を得る。
本発明の電子写真感光体を用いることで、目的が達成できる理由として以下の要因が挙げられる。
電子写真感光体は帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段の一連のプロセスが繰り返される環境で使用され、この過程で感光体が摩耗したり傷が発生することにより、画像劣化を引き起こし寿命となる。この摩耗、傷をもたらす要因としては、(1)帯電、除電時の放電による感光体表面組成物の分解及び酸化性ガスによる化学的劣化、(2)現像時におけるキャリア付着、(3)転写時における紙との摩擦、(4)クリーニング時におけるクリーニングブラシ、クリーニングブレード及び介在するトナーや付着キャリアとの摩擦などが挙げられる。これらのハザードに強い感光体を設計するためには、表面層を高硬度、高弾性で且つ均一にすることが重要で、膜構造からは緻密で且つ均質な3次元網目構造を形成する方法が有望である。本発明の表面にあたる架橋電荷輸送層は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造有するため3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度、且つ高弾性表面層が得られ、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。このように感光体表面の架橋密度すなわち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋層の膜厚が厚くなるほど増加するため電荷輸送層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
この問題を解決する方法としては、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる、などの硬化樹脂層を柔らかくする方向性が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。これに対し、本発明の感光体は、電荷輸送層上に3次元の網目構造が発達した架橋密度の高い架橋型電荷輸送層を1μm以上、10μm以下の膜厚で設けることで、上記のクラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性が達成される。かかる架橋型電荷輸送層の膜厚を2μm以上、8μm以下の膜厚にすることにより、さらに上記問題に対する余裕度が向上することに加え、更なる耐摩耗性向上に繋がる高架橋密度化の材料選択が可能となる。本発明の感光体がクラックや膜剥がれを抑制できる理由としては、架橋型電荷輸送層を薄膜化できるため内部応力が大きくならないこと、下層に電荷輸送層を有するため表面の架橋型電荷輸送層の内部応力を緩和できることなどによる。このため架橋型電荷輸送層に高分子材料を多量に含有させる必要がなく、このとき生ずる、高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との不相溶が原因の傷やトナーフィルミングも起こりにくい。さらに、電荷輸送層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による吸収から内部への光透過が制限され、硬化反応が充分に進行しない現象が起こることがある。本発明の架橋型電荷輸送層においては、10μm以下の薄膜から内部まで均一に硬化反応が進行し、表面と同様に内部でも高い耐摩耗性が維持される。また、本発明の最表面層の形成においては、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、さらに1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。一方、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが非常に大きくなり、架橋型電荷輸送層の内部応力が高まる原因となる。
更に、本発明の感光体は良好な電気的特性を有し、このため長期間にわたり高画質化が実現される。これは架橋型電荷輸送層の構成材料として1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化したことに起因する。上記のように官能基を有しない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こり、感度の低下、残留電位の上昇等繰り返し使用における電気的特性の劣化が著しい。2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。さらに、本発明の感光体においては、下層の電荷輸送層として従来感光体の電荷トラップの少ない高移動度な設計が適応可能で、架橋電荷輸送層の電気的副作用を最小限に抑えることができる。
本発明の架橋型電荷輸送層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、層全体としては3次元の網目構造が発達し高い架橋密度を有するが、上記成分以外の含有物(例えば、1または2官能モノマー、高分子バインダー、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤などの添加剤及び下層からの溶解混入成分)や硬化条件により、局部的に架橋密度が希薄になったり、高密度に架橋した微小な硬化物の集合体として形成されることがある。このような架橋型電荷輸送層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、且つ電子写真プロセス中で繰り返し使用されるなかで、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の3次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行し硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性が達成される。
<中間層について>
本発明の感光体においては、電荷輸送層と架橋型電荷輸送層の間に、架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分混入を抑える又は両層間の接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。このため、中間層としては架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性または難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
<下引き層について>
本発明の感光体においては、導電性支持体(1)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
<各層への酸化防止剤の添加について>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋型電荷輸送層、電荷輸送層、電荷発生層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
<1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
Figure 2006133254
元素分析値(%)
Figure 2006133254
Figure 2006133254
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
Figure 2006133254
元素分析値(%)
<2官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における2官能の電荷輸送性構造を有する化合物ジヒドロキメチルトリフェニルアミンは、公知の方法にて製造できる。
Figure 2006133254
ステップA
温度計、冷却管、攪拌装置、滴下ロートの付いたフラスコに、化合物(1)49gとオキシ塩化リン184gを入れ加熱溶解した。滴下ロートよりジメチルホルムアミド117gを徐々に滴下し、その後反応液温を85〜95℃に保ち、約15時間攪拌を行なった。次に反応液を大過剰の温水に徐々に注いだ後、攪拌しながらゆっくり冷却した。
析出した結晶を濾過及び乾燥した後、シリカゲル等により不純物吸着及びアセトニトリルでの再結晶により精製を行なって化合物(2)を得た。収量は30gであった。
ステップB
化合物(2)30gとエタノール100mlをフラスコに投入し攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム1.9gを徐々に添加した後、液温を40〜60℃に保ち、約2時間攪拌を行なった。次に反応液を約300mlの水に徐々にあけ、攪拌して結晶を析出させた。濾過後充分水洗して、乾燥し化合物(3)を得た。収量は30gであった。
次に、本発明にはクリーニング工程を含めることもできる。その代表例について説明する。本発明においては公知のクリーニング条件、ブレード材料を使用できる。その際、感光体回転方向に対してカウンターに当接して使用することが好ましい。図3に本発明に用いられるクリーニング機構について断面図の概略を例示した。
当接荷重(P)はクリーニングブレードを感光体に当接させたときの圧接力法線方向ベクトル値である。また当接角(θ)は感光体の当接点における接線と変形前のブレードとのなす角を表す。また、前記クリーニングブレード自由長(L)は支持部材の端部から変形前のブレード先端点の長さを表わす。
本発明においてクリーニングブレードの感光体への当接荷重(P)、当接角(θ)の好ましい値としては、P=5〜50g/cm、θ=5〜35°である。自由長L=3〜15mmが好ましい。厚さ0.5〜10mmが好ましい。
前記ブレードクリーニング方式に用いられるゴムブレードの材質としてはウレタンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、ウレタンゴム特に好ましい。ゴムブレードの硬度と反発弾性を同時にコントロールすることにより有効にブレードの反転を抑制できることが知られている。25±5℃におけるブレードのJISA硬度が65よりも小さくなるとブレードの反転が起こり易くなり、80より大きくなるとクリーニング性能が低下する。また、反発弾性が75%を超えるとブレードの反転がおこり易く、20%以下だとクリーニング性能が低下する(JISA硬度及び反発弾性ともJISK6301の加硫ゴム物理試験方法に基づき測定する)。
(装置)
図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。本発明の画像形成方法は、4つの感光体を並列したタンデム型カラープリンタ、或いは1つの感光体に4つの現像装置を設けたリボルバー型のプリンタ等に適用できる。図4は、本発明の画像形成方法をタンデム方式フルカラー画像形成装置に採用したプリンタの概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図4において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体表面に図示しない露光部材からのレーザ光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なるだけで、その他は全て同様の構成となっている。
図4に示す構成のカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M, 1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に露光部でレーザ光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙(7)上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。尚、図の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の画像形成要素は、図5に示すようなフルカラー画像形成用プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に少なくとも帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段、分離手段、クリーニング手段等の何れか1つを組み合わせて構成された1つの装置(部品)である。この図のプロセスカートリッジ例は、像保持手段としてのドラム状感光体(1)の周囲に帯電手段(2)、像露光手段(4)、現像手段(3)、転写手段(5)及びクリーニング手段(7)が配置されたものであり、二成分系現像剤が用いられる現像手段(3)は現像剤を現像箇所に均一な層状で供給する現像スリーブ(3−1)、現像剤量を規制するための現像剤規制手段(3−2)を有し、また、クリーニング手段(7)にはクリーニングブレード(7―1)が設けられている。
(現像装置)
次に、本発明の画像形成方法に用いる現像手段の詳細を図に示す例に基づいて説明する。図6は、本発明の現像装置を含む感光体ユニット全体である。
図6において、像担持体である感光体ドラム(1)の周囲に、帯電装置(2)、画像露光(3)、現像装置(4)、転写装置(5)、クリーニング装置(7)、除電ランプ(8)が配設されている。
現像装置(4)の構成を図7に基づいて説明する。
現像装置(4)内には、現像ローラ(41)が感光体ドラム(1)に近接するように配置されていて、双方の対向部分には、感光体ドラムと磁気ブラシが接触する現像領域が形成されている。現像ローラ(41)では、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形にした現像スリーブ(43)が不図示の回転駆動機構によって時計回り方向に回転されるようになっている。
好ましい実施形態としては、感光体ドラム(1)の直径が60mm、ドラム線速が240mm/秒に設定され、現像スリーブ(43)のスリーブ径が20mmで、スリーブ線速が600mm/秒に設定されている。したがって、ドラム線速に対するスリーブ線速の比は2.5である。また感光体ドラム(1)と現像スリーブ(43)との間隔である現像ギャップは0.4mmに設定されている。現像ギャップは、従来ではキャリア粒径が50μmであれば0.65mmから0.8mm程度、言換すれば、現像剤粒径の10倍以上に設定されていたが、通常、10倍以下(0.55mm)に設定するのがよい。これより広くすると望ましいとされる画像濃度が出にくくなる。
現像剤の搬送方向(図で見て時計回り方向)における現像領域の上流側には、現像剤チェーン穂の穂高さ、即ち、現像スリーブ上の現像剤量を規制するドクタブレード(45)が設置されている。このドクタブレード(45)と現像スリーブ(43)との間隔であるドクタギャップは0.4mmに設定されている。更に現像ローラの感光体ドラムとは反対側領域には、現像ケーシング(46)内の現像剤を攪拌しながら現像ローラ(41)へ汲み上げるためのスクリュー(47)が設置されている。
上記現像スリーブ(43)内には、当該現像スリーブ(43)の周表面に現像剤の穂立ちを生じるように磁界を形成する磁石ローラ体(磁石ローラ)(44)が固定状態で備えられている。この磁石ローラ体から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤のキャリアが現像スリーブ(43)上にチェーン状に穂立ちを起こし、このチェーン状に穂立ちを生じたキャリアに帯電トナーが付着されて、磁気ブラシが構成される。磁気ブラシは現像スリーブ(43)の回転によって現像スリーブ(43)と同方向(図で見て時計回り方向)に移送される。上記磁石ローラ体(44)は、複数の磁極(磁石)を備えている。具体的には、図8に詳細を示すように、現像領域部分に現像剤の穂立ちを生じる現像主磁石(P1b)、主磁極の磁力形成を補助する主磁極磁力形成補助磁石(P1a、P1c)、現像スリーブ(43)上に現像剤を汲み上げるための磁石(P4)、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送する磁石(P5、P6)、現像後の領域で現像剤を搬送する磁極(P2、P3)を備えている。これら各磁石(P1b、P1a、P1c、P4、P5、P2及びP3)は、現像スリーブ(43)の半径方向に向けて配置されている。本例では、磁石ローラ体(44)を8極の磁石によって構成しているが、汲み上げ性、黒ベタ画像追従性を向上させるために(P3)極からドクタブレード(45)の間に磁石(磁極)を更に増やして10極や12極で構成してもよい。
特に図7に示すように、現像主極群(P1)は、(P1a,P1b,P1c)の順で上流側から並ぶ横断面の小さな磁石から構成されている。横断面の小さいこれら磁石は希土類金属合金により作製されているが、サマリウム合金系磁石、特にサマリウムコバルト合金系磁石などを用いることもできる。希土類金属合金磁石のうち代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石では最大エネルギー積が358kJ/mであり、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石では最大エネルギー積が80kJ/m前後である。このような磁石によって従来の磁石と異なり、相当に小サイズ化しても必要な現像ローラ表面磁力を確保できる。従来の通常フェライト磁石やフェライトボンド磁石では最大エネルギー積がそれぞれ36kJ/m前後、20kJ/m前後である。スリーブ径を大きくすることが許容される場合には、フェライト磁石やフェライトボンド磁石を用いて形状を大きくとり、あるいはスリーブ側に向いた磁石先端を細く形成することによっても半値幅を狭くすることが可能である。
本例では、現像主磁石(P1b)と、現像スリーブ(43)上に現像剤を汲み上げるための磁石(P4)と、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送する磁石(P6)と、現像後の領域で現像剤を搬送する磁極(P2,P3)がN極をなし、主磁極の磁力形成を補助する主磁極磁力形成補助磁石(P1a,P1c)と、汲み上げられた現像剤を搬送する磁石(P5)がS極をなしている。法線方向の磁束密度を測定し円チャートグラフとして示した図8で理解できるように、主磁石(P1b)として、現像ローラ上で85mT以上の法線方向磁力を有する磁石が用いられた。本例では、キャリア付着等の抑制のため、主磁石(P1b)より回転下流側の主磁極磁力形成補助磁石(P1c)として60mT以上の磁力を有する磁石を用いるが、必ずしも万全ではない。より小さい磁力の場合にはキャリア付着が発生することがある。キャリア付着に関係する磁力は接線磁力であり、この接線磁力を大きくするためには(P1b)、(P1c)の磁力を大きくする必要があるが、どちらかを充分に大きくすることでキャリア付着の発生をある程度抑えることができる。磁石(P1a,P1b,P1c)の磁石幅は2mmであった。このときの(P1b)の半値幅は16°であった。
なお別の例として図9に示すように、主磁石(P1b)の下流側のみに主磁極磁力形成補助磁石(P1c)を配置したところ、主磁石(P1b)での半値幅は変わりなかったが、主磁極(P1b部分)の磁力が数%低下した。上流側に主磁極磁力形成補助磁石(P1a)がないために(P1a)部分の磁力は低下し、30mT程度になったことが確認された。更に磁石の幅を狭くすることで、半値幅は更に細くなることが確認された。1.6mm幅の磁石を用いた際の主磁極の半値幅は12°であった。
法線方向の磁力密度の減衰率を考察するにあたり、改めて図8に戻る。当該図は法線磁力パターンを示すもので、実線は現像スリーブ表面上の磁束密度を測定して円チャートグラフである。破線は現像スリーブ表面から1mm離れたところでの法線方向の磁束密度を測定した円チャートグラフである。対照のため、図10に従来の磁石ローラでの磁力詳細を概略的に示す。
測定に使用した計測装置はADS社製ガウスメーター(HGM-8300)並びにADS社製A1型アキシャルプローブであり、円チャートレコーダにて記録した。
本例の磁石ローラによる観測では、主磁極(P1b)のスリーブ表面上の法線方向磁束密度は95mTを示し、スリーブ表面から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は44.2mTであり、磁束密度の変化量は50.8mTの磁力差であった。このときの法線方向磁束密度の減衰率(スリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値からとスリーブ表面から1mm離れたところでの法線方向磁束密度のピーク値の差をスリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値で割った比率)は53.5%である。主磁極(P1b)の上流側に位置する主磁極磁力形成補助磁石(P1a)のスリーブ表面上の法線方向磁束密度は93mTを示し、スリーブ表面上から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は49.6mTであり、磁束密度の変化量は43.4mTの磁力差であった。このときの法線方向磁束密度の減衰率は46.7%である。主磁極(P1b)の下流側に位置する主磁極磁力形成補助磁石(P1c)のスリーブ表面上の法線方向磁束密度は92mTを示し、スリーブ表面上から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は51.7mTであり、磁束密度の変化量は40.3mTの磁力差であった。
このときの法線方向磁束密度の減衰率は43.8%である。本例では、磁石ローラ上に発生した磁力線に沿って形成された磁気ブラシは、主磁極(P1b)に形成されるブラシ部分のみが感光体に接し、感光体上の静電潜像を顕像化する。この際、感光体が接しない状態で測定すると当該箇所での磁気ブラシの長さは約1.5mmで、従来の磁石ローラで形成される磁気ブラシ(約3mm)よりも穂立ちが短く、密になった状態を作り出すことが可能となった。現像剤規制部材と現像スリーブの間の距離が従来と同じである場合には、現像剤規制部材を通過する現像剤量が同じであるので、現像領域にある磁気ブラシは短く、密になっていることが確認できた。
この現象は図8の法線磁力パターンからも理解でき、現像スリーブ表面から1mm離れたところでの法線磁束密度が大きく減少しているので、磁気ブラシは現像スリーブより離れたところではブラシチェーンを形成することができず、磁気ブラシが短く現像スリーブ表面に密に形成することとなる。ちなみに従来の磁石ローラ図10では、主磁極のスリーブ表面上の法線方向磁束密度は73mTを示し、スリーブ表面上から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は51.8mTであり、磁束密度の変化量は21.2mTの磁力差であった。このときの法線方向磁束密度の減衰率は29%である。
本発明の磁石ローラの法線方向磁力分布とその大きさを示す図8を基にして、主磁石(P1b)と補助磁石(P1a,P1c)の位置関係を表わした図11から分かるように、主磁石の最高法線磁力が95mTであるときの半値は47.5mTで、その半値幅は22°である。この主磁極の半値幅22°を境に、それより大きくすると異常画像の発生があることが確認された。
主磁極磁力形成補助磁石(P1a,P1c)の半値幅は35°以下に形成する。この部分での半値幅は外側に位置するP2やP6の半値幅が大きいために主磁極でのように半値幅を相対的に狭く設定することができない。また主磁石(P1b)の両側にある主磁極磁力形成補助磁石(P1a,P1c)による挟角を30°以下に形成する。主磁極の現像剤搬送方向上流及び下流に補助磁極を形成した上記の例では、主磁極での半値幅を16°に設定するために当該挟角は22°とした。更に主磁極磁力形成補助磁石(P1a,P1c)と当該補助磁石の外側にある磁石(P2,P6)とによる変極点(0mT:磁力がN極からS極、S極からN極に変わる点)の挟角を120°以下にする。
具体的な例として、16mm径と20mm径での本発明に係るFeNdBボンドの磁石ローラでの磁束密度等を従来構成での磁石ローラとの比較において表4に示す。当該磁石ローラの測定は既述したADS社製TS−10A型プローブ、ガウスメータHGM−8900Sを用いて行なった。法線方向、接線方向の磁束密度測定のホール素子の位置はスリーブ表面より0.5mmに設定した。
Figure 2006133254
以上の条件により、後端白抜け及びギザギザ形状の発生が抑制される。つまり、主磁極の半値幅を狭くしたことで、短い磁気ブラシでの立ち上がりと穂倒れを実現して現像ニップを狭くし、図12bに示された磁気ブラシ先端側トナーの根元側への移動を極力少なくし、スリーブ長手方向においては、その立ち上がりと倒れを均一化するので、画像後端におけるギザギザ形状と白抜けの発生がし難くなるのである。
図13は磁気ブラシ穂立ち均一度と画像後端白抜けランクの関係を示していて、磁気ブラシが主磁極によって発生する磁力線に沿って穂立ちを起こす穂立ち均一度をランクで表わした。ランク数が小さい方が穂立ちのばらつきがある状態であり、ランク数字が大きい方が穂立ちの均一性に優れている。穂立ち均一度が上がるほど画像後端白抜けランクもよくなることが分かる。
磁気ブラシの穂立ち均一度が悪い場合、図14bに示すように、像担持体に接する部分における磁気ブラシが不均一になるため、トナー移動の挙動が現像スリーブ長手方向各位置によって異なり、非画像部の電荷により移動するトナーの距離が変わり、像担持体近傍のトナー濃度が長手方向に対して不均一になってしまい、画像後端白抜けが起きやすくなる。また、画像後端部が波打った状態で画像後端白抜けが発生する。反対に穂立ち均一度がよい場合には、図14aのように、潜像担持体に接触する際に磁気ブラシが長手方向に対して均一に接触するため、トナーの移動が均一となり、画像後端白抜けの発生を抑えることができる。このようなことは磁気ブラシが潜像担持体から離間する側でも同じであり、均一に離間することが望ましく、磁気ブラシが現像領域から抜ける際、スリーブ長手方向において均一な状態でブラシ穂が現像スリーブに倒れる状態となると、スキャベンジが均一となる。従来の磁石ローラのように不均一に磁気ブラシが現像スリーブに穂倒れを起こす場合にはスキャベンジ量に差が生まれ、画像後端部を磁気ブラシが掃き取る状態を作り出して、異常画像の発生を促してしまう。
本発明によれば、後端白抜けやギザギザ形状の発生抑制と同様に、横線の再現性(特に縦横比の確保)、ドットの再現性、トナー付着の均一性が改善される。そのイメージを図15に示し、図16と比較する。
主磁極が更に制御され、キャリアの穂列を1列のみ感光体に接触可能である場合は、[キャリア粒径×線速比(Ss/Sp)]以上のニップ幅で現像が可能となる。
磁気ブラシ均一度は半値幅によって表わすことが可能である。図17は主磁極半値幅と磁気ブラシの穂立ち均一度の関係を表わす。
半値幅が小さくなるほど磁気ブラシの穂立ちの均一性が向上する。穂立ちが均一になることによって画像がよくなることは図13より明らかである。
また半値幅を狭くすることによって後端白抜けランクがよくなることは図18から明らかである。
この図18は図13と図17に示される関係から導き出せるもので、半値幅が狭くなるほど磁気ブラシの穂立ち均一度が上がり(図17)、当該穂立ち均一度が上がるほど画像後端白抜けランクも上がる(図13)であるから、図18に示されるような関係が成り立つのである。
穂立ちの均一性が良い状態は、減衰率の高い磁石ローラを用いて主磁極を形成させることによって、作り出すことができる。実験値では半値幅を小さくすることによって減衰率が高まることが判明している。半値幅を小さくするには、磁石の幅(スリーブ円周方向での幅)を小さくすることによって達成できるが、半値幅を狭くすることにより隣り合う磁石に回り込む磁力線量が増え、スリーブ表面より離れた部分での法線磁束密度が低下する。磁石ローラと現像スリーブの間には、磁石ローラが固定され現像スリーブが回転するのに必要な空間と現像スリーブの肉厚分とに基づく実質空隙が存在し、接線磁束密度位置が実質的に現像スリーブ側に集中するので、法線磁束密度はスリーブ表面から遠ざかるほど低下するのである。
減衰率の高い磁石ローラを使用すると磁気ブラシは短く密に形成される。これに対して、減衰率の低い従来の磁石ローラでは磁気ブラシは長く疎に形成される。これは、減衰率の大きい磁石により形成された磁界は隣の磁石(例えばP1bに対するP1a,P1c)に引き付けられやすくなり、法線方向に磁束が広がるよりも接線方向に磁束が回り込む寄与が高くなり、法線方向の磁束密度が小さくなることによって法線方向に磁気ブラシが形成されにくくなり、短く且つ密に磁気ブラシが形成されるのである。例えば減衰率の高い磁石P1bに形成される磁気ブラシは細長く個別に形成されるよりも隣り合って短く形成された方が安定する。減衰率の低い従来の磁石ローラでは現像剤の汲み上げ量を少なくしても磁気ブラシは短くならず、ほぼ前述した磁気ブラシと同等の長さとなってしまう。
減衰率を高くするには、主磁極と隣り合う主磁極形成補助磁石を(スリーブ周方向において)主磁極位置に近づけることでも達成可能である。こうすることにより、主磁極から発せられる磁力線が隣り合う主磁極形成補助磁極に流れ込む磁力線が増すことになって、減衰率が高くなる。
主磁極の半値幅を狭くして、短い磁気ブラシでの立ち上がりと穂倒れを実現し、スリーブ長手方向においては、その立ち上がりと倒れを均一化することで、図19に破線で示した曲線の如く、線速比が大きくなっても後端濃度の低下がない特性となること(条件1)が確認された。これにより、後端白抜け/ギザギザが発生しない画質向上を実現する現像装置を提供することができる。
尚、条件1は従来の磁石ローラを搭載した現像手段によるものであり、線速比が上がると共に後端白抜け/ギザギザが発生する。
次に、本発明の適用を電子写真式カラー複写機(株式会社リコー製プリテール300を例にとる。以下、カラー複写機という)に広げて説明する。まず、図20を用いて、本カラー複写機の概略構成及び動作について説明する。
このカラー複写機は、カラー画像読取装置(以下、カラースキャナという)(11)、カラー画像記録装置(以下、カラープリンタという)(12)、給紙バンク(13)等で構成されている。
上記カラースキャナ(11)は、コンタクトガラス(101)上の原稿(10)の画像を照明ランプ(102)、ミラー群(103a,103b,103c)及びレンズ(104)を介してカラーセンサ(105)に結像して、原稿(10)のカラー画像情報を、例えば赤、緑、青(以下、それぞれR,G,Bという)の色分解光毎に読み取り、電気的な画像信号に変換する。ここで、カラーセンサ(105)は、本例ではR,G,Bの色分解手段とCCDのような光電変換素子で構成され、原稿(10)の画像を色分解した3色のカラー画像を同時に読み取っている。そして、このカラースキャナ(11)で得たR,G,Bの色分解画像信号強度レベルを基にして、不図示の画像処理部で色変換処理を行ない、黒(以下、Bkという)、シアン(以下、Cという)、マゼンタ(以下、Mという)、イエロー(以下、Yという)のカラー画像データを得る。
上記Bk、C、M、Yのカラー画像データを得るためのカラースキャナ(11)の動作は次のとおりである。後述のカラープリンタ(12)の動作とタイミングを取ったスキャナスタート信号を受けて、照明ランプ(102)及びミラー群(103a,103b,103c)等からなる光学系が矢印左方向へ原稿(10)を走査し、1回の走査毎に1色のカラー画像データを得る。この動作を合計4回繰り返すことによって、順次4色のカラー画像データを得る。そして、その都度カラープリンタ(12)で順次顕像化しつつ、これを重ね合わせて最終的な4色フルカラー画像を形成する。
上記カラープリンタ(12)は、像担持体としての感光体ドラム(20)、書き込み光学ユニット(22)、リボルバ現像ユニット(23)、中間転写装置(26)、定着装置(27)等で構成されている。
上記感光体ドラム(20)は矢印の反時計方向に回転し、その周りには、感光体クリーニング装置(201)、除電ランプ(202)、帯電器(203)、電位センサ(204)、リボルバ現像ユニット(23)の選択された現像器、現像濃度パターン検知器(205)、中間転写装置(26)の中間転写ベルト(261)などが配置されている。
また、上記書き込み光学ユニット(22)は、カラースキャナ(11)からのカラー画像データを光信号に変換して、原稿(10)の画像に対応した光書き込みを行ない、感光体ドラム(20)に静電潜像を形成する。この書き込み光学ユニット(22)は、光源としての半導体レーザ(221)、不図示のレーザ発光駆動制御部、ポリゴンミラー(222)とその回転用モータ(223)、f/θレンズ(224)、反射ミラー(225)などで構成されている。
また、上記リボルバ現像ユニット(23)は、Bk現像器(231K)、C現像器(231C)、M現像器(231M)及びY現像器(231Y)と、各現像器を矢印の反時計方向に回転させる後述のリボルバ回転駆動部などで構成されている。各現像器は、静電潜像を現像するために現像剤の穂を感光体ドラム(20)の表面に接触させて回転する現像スリーブと、現像剤を汲み上げて攪拌するために回転する現像剤パドルなどで構成されている。各現像器(231)内のトナーはフェライトキャリアとの攪拌によって負極性に帯電され、また、各現像スリーブには不図示の現像バイアス電源によって負の直流電圧Vdcに交流電圧Vacが重畳された現像バイアスが印加され、現像スリーブが感光体ドラム(20)の金属基体層に対して所定電位にバイアスされている。複写機本体の待機状態では、リボルバ現像ユニット(23)はBk現像器(231K)が現像位置にセットされており、コピー動作が開始されると、カラースキャナ(11)で所定のタイミングからBkカラー画像データの読み取りが開始され、このカラー画像データに基づいてレーザ光による光書き込み、静電潜像形成が始まる(以下、Bk画像データによる静電潜像をBk潜像という。C、M、Yについても同様)。このBk潜像の先端部から現像可能とすべくBk現像位置に静電潜像先端部が到達する前にBk現像スリーブを回転開始しておいて、Bk潜像をBKトナーで現像する。Bk潜像領域の現像動作が続いて、静電潜像後端部がBk現像位置を通過した時点で、速やかに次の色の現像器(本例では通常C現像器)が現像位置にくるまで、リボルバ現像ユニット(23)が回転する。これは少なくとも、次の画像データによる静電潜像先端部が到達する前に完了する。
このリボルバ現像ユニット(23)については、後で詳しく説明する。上記中間転写装置(26)は、中間転写ベルト(261)、ベルトクリーニング装置(262)、紙転写コロナ放電器(以下、紙転写器という)(263)などで構成されている。中間転写ベルト(261)は駆動ローラ(264a)、転写対向ローラ(264b)、クリーニング対向ローラ(264c)及び従動ローラ群に張架されており、不図示の駆動モータにより、駆動制御される。またベルトクリーニング装置(262)は、入口シール、ゴムブレード、排出コイル、入口シール及びゴムブレードの接離機構等で構成されており、1色目のBk画像を中間転写ベルト(261)に転写した後の2、3、4色目の画像をベルト転写している間は接離機構によって中間転写ベルト(261)の表面から入口シール、ブレードを離間させておく。また紙転写器(263)は、コロナ放電方式にてAC電圧+DC電圧、又はDC電圧を印加して、中間転写ベルト(261)上の重ねトナー像を記録紙に一括転写する。
また、カラープリンタ(12)内の記録紙カセット(207)及び給紙バンク(13)内の記録紙カセット(30a,30b,30c)には、各種サイズの記録紙が収納されており、指定されたサイズの記録紙のカセットから、給紙コロ(28,31a,31b,31c)によってレジストローラ対(29)方向に給紙、搬送される。また、プリンタ(12)の図で見て右側面には、OHP用紙や厚紙などの手差し給紙用の手差しトレイ(21)が設けられている。
上記構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、まず感光体ドラム(20)は矢印の反時計方向に、中間転写ベルト(261)は矢印の時計回りに不図示の駆動モータによって回転される。中間転写ベルト(261)の回転に伴ってBkトナー像形成、Cトナー像形成、Mトナー像形成、Yトナー像形成が行なわれ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト(261)上に重ねてトナー像が形成される。
上記Bkトナー像形成は次のように行なわれる。帯電器(203)はコロナ放電によって感光体ドラム(20)を負電荷で約−700Vに一様帯電する。そして、半導体レーザ(221)はBkカラー画像信号に基づいてラスタ露光を行なう。このラスタ像が露光されたとき、当初一様荷電された感光体ドラム(20)の露光部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk潜像が形成される。そして、このBk潜像にBk現像スリーブ上の負帯電のBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(20)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分、つまり露光された部分にはBkトナーが吸着され、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。そして、感光体ドラム(20)上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム(20)と接触状態で等速駆動している中間転写ベルト(261)の表面に、ベルト転写器(265)によって転写される(以下、感光体ドラム(20)から中間転写ベルト(261)へのトナー像転写をベルト転写という)。
感光体ドラム(20)上の若干の未転写残留トナーは、感光体ドラム(20)の再使用に備えて感光体クリーニング装置(201)で清掃される。ここで回収されたトナーは回収パイプを経由して不図示の排トナータンクに蓄えられる。
感光体ドラム(20)側ではBk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナ(11)によるC画像データ読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みで、C潜像形成が行なわれる。そして、先のBk潜像の後端部が通過した後で、かつC潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット(23)の回転動作が行なわれ、C現像器(231)Cが現像位置にセットされてC潜像がCトナーで現像される。C潜像領域の現像が続いて、C潜像の後端部が現像位置を通過した時点で、先のBk現像器(231B)の場合と同様にリボルバ現像ユニット(23)の回転動作がなされ、次のM現像器(231M)を現像位置に移動させる。これもやはり次のM潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。
なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明を省略する。
上記中間転写ベルト(261)には、感光体ドラム(20)に順次形成されるBk、C、M、Yのトナー像を、同一面に順次位置合わせして、4色重ねのトナー像が形成され、次の転写工程において、この4色のトナー像が記録紙に紙転写器(263)により一括転写される。
上記画像形成動作が開始される時期に、記録紙は上記記録紙カセット又は手差しトレイのいずれかから給送され、レジストローラ対(29)のニップで待機している。そして、紙転写器(263)に中間転写ベルト(261)上のトナー像先端がさしかかるときに、ちょうど記録紙の先端がこのトナー像の先端に一致するようにレジストローラ対(29)が、駆動され、記録紙とトナー像とのレジスト合わせが行なわれる。そして、記録紙が中間転写ベルト(261)上のトナー像と重ねられて正電位の紙転写器(263)の上を通過する。このときコロナ放電電流で記録紙が正電荷で荷電され、トナー画像が記録紙上に転写される。続いて紙転写器(263)の図で見て左側に配置されるべき不図示のAC+DCコロナによる分離除電器との対向部を通過するときに、記録紙は除電され、中間転写ベルト(261)から剥離して搬送ベルト(211)に移る。
そして、中間転写ベルト(261)面から4色重ねトナー像を一括転写された記録紙は、搬送ベルト(211)で定着装置(27)に搬送され、所定温度に制御された定着ローラ(271)と加圧ローラ(272)のニップ部でトナー像が溶融定着され、排出ローラ対(32)で装置本体外に送り出され、不図示のコピートレイに表向きにスタックされ、フルカラーコピーを得る。
一方、ベルト転写後の感光体ドラム(20)の表面は、感光体クリーニング装置(201)(ブラシローラ、ゴムブレード)でクリーニングされ、除電ランプ(202)で均一に除電される。また、記録紙にトナー像を転写した後の中間転写ベルト(261)の表面は、ベルトクリーニング装置(262)のブレードを再びブレード接離機構で押圧することによってクリーニングされる。
次に、上記リボルバ現像ユニット(23)について説明する。図21は、各現像器(231K,231C,231M,231Y)が一体となったリボルバ現像ユニット(23)の内部構造を示す断面図である。
このリボルバ現像ユニット(23)の各現像器(231K,231C,231M,231Y)は、不図示の前後端板間に設けられた中空角筒状のステー部材(242)によってそれぞれ支持されている。また、各現像器(231K,231C,231M,231Y)は、それぞれ同型の現像器ケーシング部(283K,283C,283M,283Y)を備えている。これら各現像器ケーシング部(283K,283C,283M,283Y)には、現像剤としてのキャリア及び各色のトナーからなる二成分現像剤がそれぞれ収容されている。図示の例では感光体ドラム(20)に対向する現像位置にあるのが黒トナーとキャリアを収容したBk現像器(231K)で、図中反時計回りの順に、イエロートナーとキャリアを収容したY現像器(231Y)、マゼンタトナーとキャリアを収容したM現像器(231M)、シアントナーとキャリアを収容したC現像器(231C)になっている。
ここで、4つの各現像器の内部構造はまったく同様なので、以下、図21において現像位置にあるBk現像器(231K)を例にとってその内部構造を説明し、他の現像器の内部構造については、対応する部材の符号として、Bk現像器における符号と同じ数字にイエロー、マゼンタ、シアンの各現像器を区別するためY,M,Cの添字を付した符号を図中に示し、その説明を省略する。
図21に示すように現像装置に設けられている現像剤担持体としての現像ローラ(284)は、潜像担持体としての感光体ドラム(20)に近接するようにして配置されており、両者の対向部分に現像領域が形成されるようになっている。上記現像ローラ(284)には、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒状に形成してなる現像スリーブ(285)が不図示の回転駆動機構によって時計回り方向に回転されるようにして備えられている。本例においては、感光体ドラム(20)のドラム径が90mmに設定されているとともに、ドラム線速が200mm/secが設定されている。また現像スリーブ(285)のスリーブ径は30mmに設定されているとともに、スリーブ線速は240mm/secに設定されている。したがって感光体ドラム(20)のドラム線速に対する現像スリーブ(285)のスリーブ線速の比は1.2である。また感光体ドラム(20)と現像スリーブ(285)との間隔である現像ギャップは0.4mmに設定されている。
上記現像スリーブ(285)内には当該現像スリーブ(285)の表面上に現像剤を立ち上げるように磁界を形成する磁石ローラ体(286)が固定状態で備えられている。このとき現像剤を構成するキャリアは、上記磁石ローラ体(286)から発せられる磁力線に沿うようにして現像スリーブ(285)上にチェーン状に穂立ちを起こすとともに、このチェーン状に穂立ちを起こしたキャリアに対して帯電トナーが付着されて磁気ブラシが構成されるようになっている。この磁気ブラシは、現像スリーブ(285)の回転移送にともなって現像スリーブ(285)と同方向(時計回り方向)に移送されることとなる。上記磁石ローラ体(286)は、複数の磁極を備えている。具体的には、図22に詳細を示すように、現像領域部分に現像剤を立ち上げる現像主磁極(P1b)と、現像主磁極磁力の形成を補助する主磁極形成補助部材(P1a,P1c)、現像スリーブ(285)上に現像剤を汲み上げるための磁極(P4,P5)、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送させる磁極(P6,P7,P8)、現像後の領域で現像剤を搬送させる磁極(P2,P3)を備えている。これらの各磁極(P1b,P1a,P1c,P4,P5,P6,P7,P8,P2及びP3)は、現像スリーブ(285)の半径方向に向けて配置されている。その30mm径での本発明に係るFeNdBボンドの磁石ローラでの磁束密度等を従来構成での磁石ローラとの比較において表5に示す。
Figure 2006133254
上記磁石ローラ(286)は10極によって構成されている。汲み上げ性、黒ベタ画像追従性を向上させるためにP3極からドクタブレード間に磁極を更に増やして12極で構成する磁石ローラとしてもよい。磁石の形状に関しては、上記磁石ローラ内部の個々の磁石断面形状は四角でもよいが、その他に扇型、竹輪型などが考えられる。
上記磁石ローラの測定は既述したADS社製TS−10A型プローブ、ガウスメータHGM−8900Sを用いて行なった。法線方向、接線方向の磁束密度の測定のホール素子の位置はスリーブ表面より0.5mmに設定した。
以上のような構成を有する現像ローラを有する現像装置において、現像器ケーシング部(283K)内には、現像ローラ(284)に担持され感光体ドラム(20)との対向部に搬送される現像剤量を規制するドクタブレード(287)、当該ドクタブレード(287)で規制されて現像器ケーシング内に押し留められた現像剤の−部を中心軸線方向に沿って後から前に搬送する第1搬送スクリュー(288)、及び、中心軸線方向に沿って上記第1搬送スクリュー(288)とは逆の向きに現像剤を搬送する第2搬送スクリュー(289)が配設されている。この第2搬送スクリュー(289)の下方の現像器ケーシング部(283K)には、現像器ケーシング部(283K)に収容されている現像剤のトナー濃度を検出するためのトナー濃度センサが設置されている。
[感光体]
(感光体製造例1)
φ90mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、17μmの電荷輸送層を形成した。この電荷輸送層上に下記組成の最表面層用塗工液をスプレー塗工し、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:200mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で30分乾燥を加え5μmの表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体I−5を得た。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂(ベッコゾール 1307-60-EL,大日本インキ化学工業製) 6部
メラミン樹脂(スーパーベッカミン G-821-60,大日本インキ化学工業製) 4部
酸化チタン 40部
メチルエチルケトン 50部
〔電荷発生層用塗工液〕
下記構造式(a)のビスアゾ顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
Figure 2006133254
〔電荷輸送層用塗工液〕
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライト TS-2050,帝人化成製) 10部
下記構造式(h)の低分子電荷輸送物質 7部
テトラヒドロフラン 100部
シリコーンオイル1%含有テトラヒドロフラン溶液(KF50-100CS,信越化学工業製)
0.2部
酸化防止剤(ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート) 0.02部
Figure 2006133254
〔架橋型表面層用塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート(カヤラッドTMPTA,日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
また、表6にあるように感光体I−1の製造例において、電荷輸送層と架橋型表面層の膜厚を変え、それらの合計膜厚を21μmにした以外同様にして感光体I−1、I−2、I−3、I−8、I−10を製造した。
(感光体製造例2)
感光体製造例1において、以下の架橋型表面層塗工液を用いた以外同様にして2μmの架橋表面層を有する感光体II−2を製造した。
〔架橋型表面層用塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート(カヤラッドTMPTA,日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.127)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(感光体製造例3)
感光体製造例1において、架橋型表面層に代えて以下のフィラーを含有した4.0μm表面保護層を設けた以外全く同様にして感光体III−4を製造した。
〔表面保護層用塗工液〕
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS-2050,帝人化成製) 10部
下記構造式(h)の低分子電荷輸送物質 7部
酸化チタン(石原産業社製:CR97) 7部
テトラヒドロフラン 100部
シリコーンオイル1%含有テトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50-100CS,信越化学工業製)
酸化防止剤(ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート) 0.02部
Figure 2006133254
(感光体製造例4)
感光体製造例1において、以下の表面層塗工液を用いた以外同様にして4.0μmの表面層に高分子型電荷輸送物質を含有する感光体IV−4製造した。尚P9は、電荷輸送性構造を有するユニットと電荷輸送性構造を有しないユニットがランダム共重合(数字は比率を表わす)したものである。
(表面層用塗工液)
下記構造式の高分子電荷輸送物質(P9) 15部
Figure 2006133254
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイルのテトラフラン溶液
(KF50−100CS、信越化学工業製) 0.3部
(感光体製造例5)
感光体製造例1において、アルミニウムシリンダー上に下引き層、電荷発生層、電荷移動層まで全く同様にした感光体を得た。次に下記構造式(f)で示される電荷輸送材料45部および下記構造式(g)示される電荷輸送材料5部、下記構造式(e)で示される熱重合開始剤0.4部、クロルメタン30部およびトルエン70部のこの保護層塗工液を電荷輸送層上に塗布し、140度で2時間熱硬化反応を行ない厚さ約2.0μmの保護層を形成し感光体V−2を製造した。
Figure 2006133254
Figure 2006133254
Figure 2006133254
(感光体製造例6)
実施例1と同様に支持体上に、以下の下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、樹脂層を設け、感光体VI−2を製造した。
〈下引き層〉
以下の成分を混合し、溶解して中間層塗布液を調製した。
チタンキレート化合物(松本製薬製:TC−750) 30部
シランカップリング剤 17部
2−プロパノール 150部
この塗布液を支持体上に浸漬塗布法で塗布し、120℃1時間乾燥して膜厚1.0μmの下引き層を形成した。
〈電荷発生層〉
以下の成分を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。
Y型チタニルフタロシアニン 60部
シリコーン樹脂溶液 700部
(信越化学社製:KR5240、15%キシレン−ブタノール溶液)
2−ブタノン 2000部
この塗布液を前記下引き層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
〈電荷輸送層〉
以下の成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。
電荷輸送材 200部
4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 300部
1,2−ジクロロエタン 2000部
この塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
〈表面保護層〉
以下の成分を混合して60℃で2時間攪拌した後、さらに370部の1−ブタノールを加えて48時間攪拌を続けた。
トリメトキシメチルシラン 180部
1−ブタノール 280部
1%酢酸水溶液 106部
これに、前述のジヒドロキシメチルトリフェニルアミン(2官能の電荷輸送性構造を有する化合物)67.5部、酸化防止剤(サノールLS2626:三共社製)1.7部、ジブチル錫アセテート4.5部を加えて混合した。次いで、この塗布液を塗布して、120℃1時間の加熱硬化を行ない、膜厚1μmの樹脂層を設けた感光体VI−1製造した。
[現像剤]
本発明において、トナー、キャリア、現像剤と特性等は以下の方法による。
<被覆率>
Figure 2006133254
前記式中、Dcはキャリアの重量平均粒径(μm)、Dtはトナーの重量平均粒径(μm)、Wtはトナーの重量(g)、Wcはキャリアの重量(g)、ρtはトナー真密度(g/cm)、ρcはキャリア真密度(g/cm)をそれぞれ表わす。トナーの真比重は、1.25g/cm(但し、カーボン量は8.8%)とする。
<重量平均粒径Dw>
キャリア、キャリア芯材及びトナーに関していう重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。この場合の重量平均粒径Dwは以下の式で表わされる。
Figure 2006133254
前記式中、Dは各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示す。なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すもので、本発明の場合には、2μmの長さを採用した。また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
<個数平均粒径Dp>
本発明明細書においてキャリア及びキャリア芯材粒子に関していう個数平均粒径Dpは、個数基準で測定された粒子の粒径分布に基づいて算出されたものである。この場合の個数平均粒径Dpは以下の式で表わされる。
Figure 2006133254
前記式中、Nは計測した全粒子数を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示し、Dは各チャネル(2μm)に存在する粒子粒径の下限値を示す。
粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計(モデルHRA 9320−X100:Honewell社製)を用いた。その測定条件は以下のとおりである。
(1)粒径範囲:100〜8μm
(2)チャネル長さ(チャネル幅):2μm
(3)チャネル数:46
<磁気モーメント>
磁気モーメントの測定は、B−Hトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒のセルにキャリア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし3000エルステッドまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくし3000エルステッドとする。更に徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを図示し、この図より1000エルステッドの磁気モーメントを算出する。
<キャリア抵抗>
キャリア抵抗率の測定は、図26に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極(12a、12b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(11)にキャリア(13)を充填し、両極間に100Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A High Resistance Meter;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定し、電気抵抗率LogR(Ωcm)を算出する。
[トナーの製造例]
(トナー製造例1)
ポリエステル樹脂 60部
スチレンアクリル樹脂 25部
カルナウバワックス1号品 5部
カーボンブラック(三菱化学社製:#44) 9部
含クロムアゾ化合物(保土ヶ谷化学T−77) 3部
以上の各成分をブレンダーにて充分に混合した後、2軸式押出し機にて溶融混練し、放冷後カッターミルで粗粉砕し、ついでジェット気流式微粉砕機で微粉砕し、さらに風力分級機を用いて分級して、重量平均平均粒径8.3μm、真比重1.25g/cmのトナー母粒子を得た。更に、このトナー母粒子100部に対して、疎水性シリカ微粒子(R972:日本アエロジル社製)0.7部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーIを得た。
(トナー製造例2)
風力分級機で重量平均粒径4.8μm、真比重1.25g/cmにした以外、トナー製造例1と同様にして、トナーIIを得た。
[キャリアの製造例]
本発明で使用するキャリアの一覧表を表6に示した。
(キャリア製造例1)
シリコーン樹脂(SR2411:トーレダウコーニングシリコーン社製)を希釈して、シリコーン樹脂溶液(固形分:5%)を得た。流動床型コーティング装置を用いて、表6に示した性状を持つキャリア芯材粒子(1)(Cu−Znフェライト)5Kgの粒子表面上に、上記のシリコーン樹脂溶液を100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に270℃で2時間加熱して、膜厚0.43μm、真比重5.0g/cmのキャリアAを得た。膜厚の調整はコート液量により行なった。
(キャリア製造例2)
表6のキャリア芯材粒子(2)を使用する以外は製造実施例1と全く同様にして、膜厚0.43μm、真比重5.0g/cmの比較用キャリアBを得た。
(キャリア製造例3)
表6のキャリア芯材粒子(3)を使用する以外は製造実施例1と全く同様にして、膜厚0.42μm、真比重5.0g/cmの比較用キャリアCを得た。
(キャリア製造例4)
表6のキャリア芯材粒子(4)を使用する以外は製造実施例1と全く同様にして、膜厚0.43μm、真比重5.0g/cmの比較用キャリアDを得た。
(キャリア製造例5)
シリコーン樹脂(SR2411:トーレダウコーニングシリコーン社製)を希釈して、固形分5%のシリコーン樹脂溶液を得た。流動床型コーティング装置を用いて、表6に示したキャリア芯材粒子(1)(Cu−Znフェライト)5Kgの各粒子表面上に、上記のシリコーン樹脂溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に230℃で2時間加熱して、膜厚0.41μm、真比重5.0g/cmのキャリアEを得た。膜厚の調整はコート液量により行なった。
(キャリア製造例6)
シリコーン樹脂(SR2411:トーレダウコーニングシリコーン社製)中に、樹脂固形分に対して7%のカーボン(ライオンアクゾ社製、ケッチェンブラックEC−DJ600)をボールミルにて60分間分散し、この分散液を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。流動床型コーティング装置を用いて、表6に示したキャリア芯材粒子(1)(Cu−Znフェライト)5Kgの各粒子表面上に、上記の分散液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に350℃で2時間加熱して、膜厚0.43μm、真比重5.1g/cmのキャリアFを得た。膜厚の調整はコート液量により行なった。
(キャリア製造例7)
表6のキャリア芯材粒子(5)を使用する以外は製造実施例1と全く同様にして、膜厚0.44μm真比重5.1g/cmのキャリアGを得た。
(キャリア製造例8)
シリコーン樹脂(SR2411:トーレダウコーニングシリコーン社製)に、樹脂固形分に対して7%のカーボン(ライオンアクゾ社製、ケッチェンブラックEC−DJ600)をボールミルにて60分間分散し、この分散液を希釈して、固形分5%の分散液を得た後、これに更にミノシランカップリング剤(NH(CH)3Si(OCH)を、シリコーン樹脂の固形分に対して3%添加・混合させて分散液を得た。流動床型コーティング装置を用いて、表6に示したキャリア芯材粒子(1)(Cu−Znフェライト)5Kgの各粒子表面上に、上記の分散液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に200℃で2時間加熱して、膜厚0.44μm、真比重5.1g/cmのキャリアHを得た。膜厚の調整はコート液量により行なった。
(キャリア製造例9)
表6のキャリア芯材粒子(6)(Cu−Znフェライト)を使用する以外は製造実施例1と全く同様にして、膜厚0.44μmのキャリアIを得た。
(キャリア製造例10)
表6のキャリア芯材(4)・5Kgを、超音波発振振動子を有する振動ふるい機で5分間振動させて、表6に示す性状を持つキャリア芯材(7)を得た。振動ふるい機は図1に示す構造を有するもので、フレーム(9)に支持された70cmφの金網(635メッシュ)(5)に直接接触して共振リング(6)を取付け、そのリング(6)に36kHzの超音波を発振する振動子(8)を設けたふるい装置(1)である。金網(5)は、ベース(4)にスプリング(3)を介して支持された円筒容器(2)内に配設されている。ベース(4)内には図示しない振動モータが設置され、その駆動により発生する高周波電流はケーブル(7)を介して共振リング(6)に取付けた振動子(8)に送られ、超音波が発振される。この超音波により、共振リング(6)が振動し、その振動は網面(5)全体の垂直方向の振動を生じさせる。円筒容器(2)内の金網(5)上に供給されたキャリア芯材(4)はふるい処理を受けた後、円筒容器(2)の下部にキャリア芯材(7)として回収された。メッシュの目詰まりは全くなかった。超音波発振器付きの振動ふるい機(1)を用いることにより、22μm未満の比率を6.3重量%から0.2重量%と極めて少量にすることが出来た。収率は、約92重量%あった。このキャリア芯材を用い、キャリア製造例1と全く同じ方法でコートキャリアJを得た。
(キャリア製造例11)
キャリア製造例4でキャリア芯材(4)を用いて得た比較用のキャリアDを、キャリア製造例で用いたふるい装置(1)によりふるい処理(微粒子をカット)して、表6に示す粒径特性をもつ本発明のキャリアD’を得た。キャリアDの芯材(4)は22μm未満の粒子を6.3重量%含有するものであったが、ふるい処理により、キャリアD’の22μm未満粒子含有量は0.4重量%となっていた。ふるい処理中、メッシュの目詰まりは全くなかった。
(キャリア製造例12及び13)
表6のキャリア芯材粒子(8)及び(9)(Mn−フェライト)をキャリア芯材粒子(1)に代えて使用する以外は製造例1と全く同様にして、それぞれ膜厚0.43μm及び0.44μmのキャリアK及びLを得た。キャリアK及びLに用いた芯材粒子の1KOeの磁界を印加時の磁気モーメントはそれぞれ76emu/g及び85emu/gであった。
Figure 2006133254
(感光体及び現像剤の評価)
以上の感光体製造例で得た感光体I〜VIを画像形成機(図20、プリテール300改造機)に搭載した。また、トナー製造例で得たトナーIとIIと、キャリア製造例1〜13で得たキャリアA〜Lを用いて、種々の現像剤を製造した。そして、得られた現像剤を用いて画像形成を行ない、その画像品質確認および耐久性試験等の特性試験を行なった。
以下の画像形成の実施例において採用した試験方法は次のとおりである。
(1)画像濃度:上記現像条件における、30mm×30mmのベタ部の中心をマクベス濃度計で5個所測定し平均値を出す。(目標:1.30以上)
(2)地汚れ:上記現像条件における地肌部の地汚れを10段階で評価した。ランクが高い程地汚れが少なく、ランク10が最少の地汚れを示す。(目標:ランク7以上)
(3)平均ドット径/ばらつきの分散:プリンターモードで、400DPIの1ドット独立(主走査・副走査共)の網点画像を作成し、ドット16個を5個所計測して、合計80個のドット径の平均径と、それらのドット平均径のバラツキ(分散:σ)を計測した。(目標:σ≦0.15)
(4)穂跡:現像バイアスを350V印加したときの、黒ベタ部の穂跡を10段階で評価した。ランクが高い程穂跡が少なく、ランク10が最少の穂跡を示す。(目標:ランク6以上)
(5)キャリア付着:キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。キャリア付着しても全て紙に転写して来ないので、評価が難しい。そこで、キャリア付着を直接感光体ドラム上で観察・評価した。また、現像バイアスが同じでも、画像パターンによってキャリア付着発生のし方が異なるため、次の方法でキャリア付着の起こり難さを評価した。即ち、画像全体を地肌(即ち、非画像部であり帯電電位は−700ボルトである)とし、現像バイアスを標準のDC−450Vから変化させて、キャリア付着の発生し始める電圧(Vc)を求めた。印加するバイアスの絶対値が小さいほど、キャリア付着しにくいキャリア、または現像剤である。
(6)地汚れ:トナーを補給しながら画像面積率6%の文字画像チャートでランニング評価を行なった。上記現像条件における地肌部の地汚れを10段階で評価した。ランクが高い程地汚れ少なく、ランク10が最少の地汚れを示す。(目標:ランク7以上)
(7)画像流れ:高温高湿環境(30℃85%)下、20万枚ランニング後に文字画像にて判定した。
文字画像チャートの画数の多い文字を3つ指定して、不明瞭になった度合いにより分けた。×:3つ判読不可、△:2つ判読不可、○:3つ判読可能、◎:初期画像と同等に判読可能
(8)後端白抜け:ランク1〜5(ランクが高い程良好)
5cm角ベタ画像で紙の進行方向後端に係る部分の約5mmφの面積を画像濃度測定し、ランク1〜5に付けした。
(9)縦横線比:ランク1〜5(ランクが高い程良好)
オリジナル画像及び標準サンプルを参考にして目視評価した。
(10)感光体表面の観察
目視、ルーペ、顕微鏡にて凹凸、傷を観察し、キャリア付着が原因の深い傷を数えた。
(実施例1)
キャリアA(100部)に対して、トナーI(11.0部)を加えて、ボールミルで20分攪拌して、10.0%の現像剤を作成した。キャリアに対するトナーの被覆率は50%であり、トナー帯電量は、−43μc/gであった。そして、常温常湿環境(25℃65%)にて前記画像評価装置を使用し、前述の測定評価方法により、まず画像品質の確認を行なった。画像濃度は1.42、地汚れはランク8、分散が0.17とバラツキの少ない小径ドットが形成されていた。また、キャリア付着、穂跡はほとんど発生しておらず、高画質であった。引き続いて、画像面積率6%の文字画像チャート5万枚のランニング評価を行なった。5万枚ランニング後の地汚れはランク8であり良好であり、他の画像品質も高画質が維持されていた。次いで、高温高湿環境(30℃85%)下、画像面積率6%の文字画像チャートで20万枚ランニング評価をした。20万枚ランニング後に、地汚れを確認したところ、地汚れはランク8と良好なレベルであり、他の画像品質も初期と同じ高画質が維持されていた。画像流れがないことを確認した。又、感光体を取り出し、目視、顕微鏡或いはルーペにて感光体表面にある凹凸、傷を観察したが、キャリア付着による深い傷はなかった。
(実施例2〜12)
組み合わせ表7に示すように変えて、被覆率50%の現像剤を作成した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。尚、実施例6において、現像条件のうち現像バイアスDC−450Vに換えて4KHzの矩形波を用い、AC電圧の積分平均値で表示した電圧が−450Vとなる値にした。
(実施例13)
キャリアB(100部)に対して、トナーI(11.0部)を加えて、ボールミルで20分攪拌して、トナー濃度10.0%の現像剤を得た。キャリアに対する被覆率は50%であり、トナー帯電量は−43μC/gであった。実施例1と全く同様にして画像評価を行なったところ、キャリア付着は問題なかったが、ドットのバラツキが大きく、また穂跡も発生していた。高温高湿環境にて20万枚ランニングしたところ、地汚れが増えているが許容できる程度であったが、ドット周辺でトナー散りが見られた。
(実施例14、15)
表6に示すようにして画像評価を行なったところ、実施例13と同じくキャリア付着は問題なかったが、ドットのバラツキが大きく、また穂跡も発生していた。高温高湿環境にて20万枚ランニングしたところ、地汚れが増えているが許容できる程度であったが、ドット周辺でトナー散りが見られた。
(比較例1)
本発明の好適な小粒径キャリアを用いた場合であっても、感光体の表面層にフィラーを含有させるとキャリア付着電位が550Vになり、キャリア付着し易いことが判明した。また、高温高湿環境における20万枚のランニング後に、感光体表面に深い傷が認められた。顕微鏡観察の結果、この傷は感光体表面にキャリアが付着し、クリーニングブレードに捲き込まれ、押圧力によってキャリアが感光体表面に押し込まれて生じたと判定された。
(比較例2〜4)
本発明の好適な小粒径キャリアを採用しても、長期の繰り返し画像形成において、感光体表面の強度が不足し摩耗する感光体を使用した比較例5の場合は、感光体の誘電的性質が変化するために、トナー現像の安定性が乏しく、また感光体表面の強度が高く摩耗しない比較例6、7であっては、誘電的性質が変化しないが、摩耗量が少な過ぎて画像流れが発生した。
(比較例5〜6)
実施例1の画像形成評価機に、従来の磁石ローラ(表4に記載された構成の磁性ローラ)を搭載した現像装置を取付け、本発明の感光体I−2、III−4とトナーIとキャリアAとを搭載し、常温常湿、高温高湿の画像品質を耐久評価した。その結果を表7に示す。
Figure 2006133254
本発明における電子写真感光体の断面図を示す図である。 従来の電子写真感光体の断面図を示す図である。 本発明におけるクリーニング機構についての概略を示す断面図である。 本発明における画像形成方法をタンデム方式フルカラー画像形成装置に採用したプリンタの概略図である。 本発明におけるフルカラー画像形成用プロセスカートリッジを搭載した画像形成装置の一例を示す図である。 本発明における現像装置を含む感光体ユニット全体を示す図である。 図6における現像装置の構成を示す図である。 本発明における磁石ローラの法線方向磁石分布と大きさを表わす図である。 本発明における磁石ローラの構成を示す図である。 従来の磁石ローラでの磁力詳細を示す図である。 図8を基にして主磁石と補助磁石の位置関係を表わした図である。 像担持体とキャリア粒子の間の各種トナー粒子の取り合いを示す図である。 磁気ブラシ穂立ち均一度と画像後端白抜けランクの関係を示す図である。 磁気ブラシの穂立ち均一度の違いによる画像後端白抜けが起き易さを説明する図である。 主磁極の制御状態―現像時のニップ幅が後端白抜け、ギザギザ形状の発生抑制と同様に、横線の再現性(特に縦横比の確保)、ドットの再現性、トナー付着の均一性に与える影響を概念的に説明する図である。 主磁極の制御状態―現像時のニップ幅が後端白抜け、ギザギザ形状の発生抑制と同様に、横線の再現性(特に縦横比の確保)、ドットの再現性、トナー付着の均一性に与える影響を概念的に説明する図である。 主磁極半値幅と磁気ブラシの穂立ち均一度の関係を表わす図である。 半値幅と後端白抜けランクの関係を表わす図である。 ベタ画像の後端濃度と現像スリーブ移動速度Ssと潜像担持体移動速度Spを示す図である。 本発明におけるカラー複写機の概略構成及び動作を表わす図である。 本発明における現像器が一体となったリボルバ現像ユニットの内部構造を示す図である。 本発明における磁石ローラ体が複数の磁極を備えることを示す図である。 ベタ画像の後端濃度の測定結果を表わす図である。 後端白抜けに関わる磁気ブラシ先端のキャリアとトナーを示す図である。 本発明に用いる現像剤の帯電量測定法例を説明する図である。 本発明に用いるトナーの別の帯電量測定法を説明する図である。
符号の説明
図1及び図2
1 導電支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4 架橋型電荷輸送層

図3
P 当接荷重
θ 当接角

図4
1C,1M,1Y,1K 感光体
2C,2M,2Y,2K 帯電部材
3C,3M,3Y,3K レーザ光
4C,4M,4Y,4K 現像部材
5C,5M,5Y,5K クリーニング部材
6C,6M,6Y,6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11C,11M,11Y,11K 転写ブラシ
12 定着装置

図5
1 ドラム状感光体
2 帯電手段
3 現像手段
3−1 現像スリーブ
3−2 現像剤規制手段
4 像露光手段
5 転写手段
7 クリーニング手段
7−1 クリーニングブレード
図6
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 画像露光
4 現像装置
5 転写装置
7 クリーニング装置
8 除電ランプ

図7
41 現像ローラ
43 現像スリーブ
44 磁石ローラ体
45 ドクタブレード
46 現像ケーシング
47 スクリュー
P1b 現像主磁石
P1a,P1b 主磁極磁力形成補助磁石
P2,P3 磁極
P4,P5,P6 磁石

図20
10 原稿
11 カラースキャナ
12 カラープリンタ
13 給紙バンク
20 感光ドラム
21 手差しトレイ
22 書き込み光学ユニット
23 リボルバ現像ユニット
26 中間転写装置
27 定着装置
28 給紙コロ
29 レジストローラ対
30a,30b,30c 記録紙カセット
31a,31b,31c 給紙コロ
101 コンタクトガラス
102 照明ランプ
103a,103b,103c ガラス群
104 レンズ
105 カラーセンサ
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電器
204 電位センサ
205 現像濃度パターン検知器
207 記録紙カセット
211 搬送ベルト
221 半導体レーザ
222 ポリゴンミラー
223 回転用モータ
224 f/θレンズ
225 反射ミラー
231K,231C,231M,231Y 現像器
261 中間転写ベルト
262 ベルトクリーニング装置
263 紙転写器
265 ベルト転写器
271 定着ローラ
272 加圧ローラ

図21
283 現像器ケーシング部
284 現像ローラ
285 現像スリーブ
286 磁石ローラ体
287 ドクタブレード
288 第1搬送スクリュー
289 第2搬送スクリュー

Claims (17)

  1. 像担持体に画像露光し、潜像を形成し、現像手段によってトナー像を形成し、転写材に転写し、転写材上のトナー像を定着する画像形成方法において、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ磁力により形成された磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に穂立ちを起こして像担持体に接触する現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 像担持体に画像露光し、潜像を形成し、現像手段によってトナー像を形成し、転写材に転写し、転写材上のトナー像を定着する画像形成方法において、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ磁力により形成された磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に像担持体から離間し、穂倒れを起こす現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成方法。
  3. 像担持体に画像露光し、潜像を形成し、現像手段によってトナー像を形成し、転写材に転写し、転写材上のトナー像を定着する画像形成方法において、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ現像剤を立ち上げる主磁極の磁力形成を補助する補助磁極を形成する構成を有する現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成方法。
  4. 現像剤を立ち上げる主磁極と現像剤搬送方向上流側及び/又は下流側の搬送磁極との間に主磁極磁力の形成を補助する補助磁極を形成することを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法に使用する現像手段であって、該現像手段の現像剤担持体が非磁性スリーブと当該スリーブ内に固定配置された磁石ローラとからなり、該磁石ローラが現像剤汲み上げ磁極、現像剤搬送磁極、現像剤穂立ちのための主磁極を備え、前記主磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とする画像形成方法。
  6. 架橋型電荷輸送層の膜厚が1μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 前記架橋型電荷輸送層の膜厚が2μm以上、8μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物のラジカル重合官能基がアクリロイルキシ基および/又はメタクリロイルキシ基であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 上記主磁極を形成する磁石が希土類金属合金によって構成されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  10. 現像剤担持体が非磁性スリーブと該スリーブ内に固定配置された磁石ローラとからなり、該磁石ローラが現像剤汲み上げ磁極、現像剤搬送磁極、現像剤穂立ちのための主磁極を備える現像剤担持体であって、上記主磁極の半値幅が22°以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 現像剤担持体が非磁性スリーブと該スリーブ内に固定配置された磁石ローラとからなり、該磁石ローラが現像剤汲み上げ磁極、現像剤搬送磁極、現像剤穂立ちのための主磁極を備える現像装置であって、前記主磁極の磁力形成を補助する補助磁石を備えた現像装置を搭載することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 上記補助磁石を、上記主磁極を形成する主磁石の現像剤搬送方向上流側及び/又は下流側に配置することを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  13. 上記主磁石と補助磁石とによる磁石ローラにおける中心角を35°以下で構成することを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。
  14. 上記補助磁石の半値幅を40°以下で構成することを特徴とする請求項11又は12に記載の画像形成方法。
  15. 上記補助磁石と更にその外側に位置する現像剤搬送磁極のための磁石との磁極変極点による磁石ローラにおける中心角を120°以下で構成することを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。
  16. 前記請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成方法を用いた画像形成装置。
  17. 少なくとも像担持体と現像手段を有し、画像形成装置に搭載される画像形成装置用プロセスカートリッジであって、該現像手段がトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用し、且つ磁力により形成された磁気ブラシが現像スリーブ長手方向に対し均一に穂立ちを起こして像担持体に接触する現像手段であり、該像担持体が少なくとも感光層と架橋型電荷輸送層を有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された像担持体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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