JP2006132607A - 弁体 - Google Patents

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剛司 片野
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Abstract


【課題】 可動子の全周に効果的に流体を供給することで、流体の残留による可動子の作動不良を防止可能な弁体を提供する。
【解決手段】 弁体は、可動子が収容されるバルブ室と、バルブ室と導通し、バルブ室に流体を供給する供給口と、可動子の開閉によってバルブ室から流体が排出される排出口と、を有する。また、弁体は、流体が可動子の移動方向に対して略直角方向から供給されるように供給口が配設されており、可動子の周辺部の全体に適切に流体を供給する供給構造が設けられている。これにより、可動子の周辺部において、流体の残留を抑制することができる。したがって、低温環境下での起動時に残留した液体などが凍結し、可動子に作動不良が生じることはない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムなどに用いられる弁体に関する。
従来から、流体を排出するためのドレイン弁として機能する弁体が知られている。例えば、特許文献1には、流体が可動子の動方向に対して垂直方向から導入されるように流体供給口が設けられた弁体が記載されている。
しかし、特許文献1に記載された弁体では、可動子の動方向に対して垂直方向から流体が導入されるように流体供給口が配設されているため、流体がそのまま最短距離を通って排出口へ向う流れが強くなる傾向があった。そのため、バルブ室の流体供給口から離れた領域では流体の流れが小さく、流体が一旦その領域に入り込むと排出されにくくなることがある。特に、流体の流れが小さいために可動子の天井部分や側面に付着した流体が排出されずに、残留してしまう。これにより、流体が水などである場合、低温環境下での弁体の起動時に、可動子に付着した水が凍結して可動子が作動不良になる場合があった。
ところで、上記のような構成を有する弁体は、車両用の燃料電池システムにおいて生成水などを排出するために用いられている。この場合も、弁体内に生成水が残留すると、低温環境下での起動時に生成水が凍結し、弁体内の可動子の作動不良が生じてしまう場合があった。更に、車両用の燃料電池システムにおいては、弁体を車両の床下などに搭載することが望ましいため、弁体の取り付け高さを低くしたいという要望があるが、弁体を低く構成すると上記の生成水の残留が顕著になるという問題があった。
特開平10−53112号公報
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、可動子の全周に効果的に流体を供給することで、流体の残留による可動子の作動不良を防止可能な弁体を提供することにある。
本発明の1つの観点では、可動子が収容されるバルブ室と、前記バルブ室と導通し、前記バルブ室に流体を供給する供給口と、前記可動子の開閉によって前記バルブ室から前記流体を排出する排出口と、を有する弁体は、前記供給口は、前記流体が可動子の移動方向に対して略直角方向から供給されるように配設されており、前記バルブ室内に設けられ、前記可動子の周辺部の全体に前記流体を供給する供給構造を更に備えている。
上記の弁体は、流体が通過する流路などに設けられ、流体を外部へ排出するためのドレイン弁として機能する。弁体は、供給口より流体を取得し、取得した流体を排出口から排出する。この供給口はバルブ室と導通しており、バルブ室内には可動子が収容される。可動子は移動することによって弁体の開閉を行い、バルブ室から流体を排出する。また、上記の弁体では、可動子の動方向に対して略直角方向から供給されるように可動子が配設されているため、弁体の高さを低く構成することが可能となる。
更に、上記の弁体は、バルブ室内に設けられ、可動子の周辺部の全体に流体を供給する供給構造を有している。ここで、「可動子の周辺部」とは、可動子の摺動部分(例えば、可動子の側面)や天井部分、及びこれらの周辺にある空間をいう。また、可動子は移動するため、「可動子の周辺部」は、この可動子の移動も考慮に入れた空間を意味する。上記の供給構造は、可動子の周辺部の全てに適切に流体を供給するため、このような流体の供給によって、可動子の周辺部に存在する流体は排出される。これにより、可動子の周辺部に存在する流体の残留を抑制することが可能となる。したがって、低温環境下での起動時に、残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温により液体となったもの、の凍結が生じることがないため、可動子に作動不良が生じることはない。また、弁体が供給構造を備えているため、新たな流体の残留を生じさせることなく、弁体の高さを低く構成することができる。
上記の弁体の一態様では、前記供給構造は、前記バルブ室内に設けられる分配部によって構成され、前記分配部は、前記バルブ室内の流体を分配する構造を有している。
この態様では、バルブ室内の流体を分配して可動子の周辺部に供給するような構造を有する分配部が、バルブ室内に配置されている。この分配部は、バルブ室内の流体の流れを適量に分配させることにより、バルブ室内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせない。即ち、分配部は、バルブ室全体に流体の流れを生じさせることにより、バルブ室内の流体を可動子の周辺部全体に供給する。これにより、可動子の周辺部に存在する流体の残留を抑制することが可能となる。また、分配部は、弁体内に別途配置することが可能であるため、弁体とは別部材にて作成することができる。即ち、既存の弁体の構成を変更することなく、分配部を別に配置することができる。よって、分配部の設計自由度が増し、分配部の生産性も確保することができる。
上記の弁体において、好適には、前記流体が通過可能な部位と通過不可能な部位とを複数備える構成を有する。分配部が通過不可能な部位を有することにより、バルブ室内の流体は、複数設けられた通過不可能な部位を避けて流れるため、バルブ室内において様々な方向への流体の流れが生じる。したがって、バルブ室における流体の流れは、特定の領域に流れるもの、例えば供給口から排出口への最短距離を流れるものに偏ることはない。以上により、分配部は、可動子の周辺部全体に流体を供給することができる。
上記の弁体において、更に好適には、前記分配部は、多孔質体によって構成されている。多孔質体は、流体が通過可能な部位(即ち、「孔」)と通過不可能な部位によって構成されている。したがって、バルブ室内において流体の流れは特定の領域に偏ることはないため、多孔質体で構成された分配部は、多孔質体の孔の様々な箇所から可動子の周辺部全体へ流体を供給することができる。
上記の弁体の他の一態様では、前記供給構造は、前記供給口付近に配置されるじゃま板である。
この態様では、供給口から流入した流体は、じゃま板によって流れが阻害されるため、じゃま板を迂回して流れていく。よって、流体の流速が上昇し、バルブ室内において様々な方向への流体の流れが生じる。特に、じゃま板は、流体の流れを迂回させるため、流体が流れにくい、供給口から離れた領域における流体の流れを確保することができる。したがって、じゃま板は、バルブ室内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、流体の流れにくい領域からも確実に可動子の周辺部に流体を供給することができる。
上記の弁体の他の一態様では、前記供給構造は、前記可動子の周辺部における前記バルブ室の天井の高さが場所によって異なるように構成されている。
この態様では、可動子の周辺部のバルブ室の天井の高さが一定ではなく、場所によって異なるように構成されている。この場合、バルブ室内の流体は、天井の高さが低い場所よりも天井の高さが高い場所を流れようとするため、バルブ室内において様々な方向への流体の流れが生じる。したがって、バルブ室内において特定の領域に偏るような流体の流れが生じることはなく、可動子の周辺部全体に流体を供給することが可能となる。
上記の弁体において、好適には、前記供給構造は、前記可動子の周辺部における前記バルブ室の天井の高さが、前記供給口から離れるほど高くなるように構成されている。これにより、流体の流れにくい、供給口から離れた領域においても、流体の流れが確保される。したがって、流体の流れが特定の領域に偏って生じずに、流体の流れにくい領域からも確実に可動子の周辺部に流体が供給される。
上記の弁体の他の一態様では、前記供給口は、複数設けられている。この態様では、様々な位置に設けられた複数の供給口からバルブ室に流体を供給する。これにより、バルブ室内において様々な方向への流体の流れが生じ、可動子の周辺部の全体に流体を供給することができる。したがって、可動子の周辺部における流体の残留を抑制することが可能となる。
上記の弁体の他の一態様では、前記供給口は、前記排出口の中心に対して偏芯した位置に設けられている。この態様では、供給口は、排出口の中心、即ちバルブ室の中心に対して偏芯した位置に設けられる。言い換えると、バルブ室と接続される供給流路は、その軸中心が排出口の中心に対して偏芯するように設けられる。このような位置に設けた供給口からバルブ室に流体を供給することにより、バルブ室内では旋回的な、言い換えるとスパイラル状の流体の流れが生じる。このような流れを生じさせることにより、バルブ室内の流体を巻き込んで可動子の周辺部全体に供給することができる。したがって、可動子の周辺部における流体の残留を抑制することが可能となる。
上記の弁体において、好適には、前記可動子は、略円筒形状を有し、前記流体と接触する部分の径が、前記流体と接触しない部分の径よりも細く構成されている。この場合、可動子は、流体の流れに晒される外壁面、即ちバルブ室内の流体と接触する外壁面、によって囲まれた部分が他の部分よりも細く構成されている。このように可動子を細く構成することにより、バルブ室に流入した流体は、可動子付近を流れる際に受ける抵抗が少なくなるため、供給口から離れた、可動子の裏側などの部分にまで確実に流れていく。したがって、バルブ室内において、流体の流れにくい場所を減少させることができる。
上記の弁体において好適には、前記流体は、水を含む。更に好適には、上記の弁体は、燃料電池システムに備えられる。車両等に搭載される燃料電池は、発電により水(生成水)を発生するため、低温環境下での起動時に弁体内において水の凍結が問題となる場合がある。したがって、上記のように構成された弁体を燃料電池システム内に設けることにより、弁体内の可動子の周辺部に水を残留させることなく、適切に水の排出を行うことができる。そのため、低温環境下での起動時に可動子の周辺部に残留した水(水蒸気が状態変化して水(液体)となったものも含む)が凍結し、水の排出が適切に行われないといった現象は生じない。また、弁体が供給構造を備えていることにより、新たな流体の残留を生じさせることなく、弁体の高さを低く構成することができる。したがって、弁体を車両の床下などに搭載する場合、弁体の取り付け高さを低く構成することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
[弁体の構成]
まず、本発明の実施形態に係る弁体90について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る弁体90を示す概略構成図であり、流体の流れる方向に平行な切断面に沿った弁体90の断面図を示す。なお、図1では、説明の便宜のため、分配部7(破線で示す)を透視して表した図を示す。また、図1は、弁体90が開の状態を示している。
弁体90は、主に、可動子1と、バネ(コイルバネ)2と、アウターボディ3と、インナーボディ4と、コイル(ソレノイドコイル)5と、を備える。弁体90は、流体(液体、気体を含む)が流通する流路上に設けられ、流体を外部へ排出するためのドレイン弁として機能する。
アウターボディ3は、弁体90へ流体を供給する流路及び弁体90内で流体が流れる流路を形成する。具体的には、アウターボディ3は、弁体90に流体を供給する供給流路12、及び弁体90から流体を排出する排出流路13を形成する。また、アウターボディ3の内底面3aには、排出口11が設けられている。更に、アウターボディ3内部には、インナーボディ4がはめ込まれている。
また、アウターボディ3内の排出口11の上部にある空間には、可動子1が収容されている。なお、本明細書では、アウターボディ3の内底面3aと、アウターボディ3の内壁面3bと、インナーボディ4の底面4aとで囲まれた空間を「バルブ室6」と呼ぶ。
インナーボディ4は、アウターボディ3に固定されている。そして、インナーボディ4は、バルブ室6の上部に配置されている。インナーボディ4は、中央の空洞部分に可動子1とバネ2を保持しており、外周にコイル5を保持している。コイル5は通電されると可動子1に電磁吸引力を作用させる。これにより、可動子1が矢印29の方向へ移動する。なお、コイル5は、図示しないコントローラなどによって電流が流される。この場合、コイル5への通電時間比率などを制御することにより、弁体90が通過させる流体の流量を制御することができる。
可動子1は、その上部がインナーボディ4の空洞内に収容され、下端部がアウターボディ3の内底面3aにより支持される。可動子1は、流体が供給される方向と略直角方向に移動する。即ち、弁体90は、可動子1の移動方向に対して略直角方向から流体を供給する構成を有する。また、可動子1の外周にはバネ2が設けられている。バネ2の上端はインナーボディ4の底面4aに形成された凹部4bにより支持されており、バネ2の下端は可動子1の下端近傍に形成されたフランジ1bにより支持されている。
可動子1は、コイル5が通電されていないとき及び通電量(即ち、コントローラより流される電流量)が所定量以下であるときは、バネ2の作用力によりアウターボディ3の内底面3aに対して矢印30の方向へ押し当てられて静止している。このとき、弁体90は閉状態であり、流体は排出されない。一方、コイル5の通電量が所定量以上となったときには、上記の電磁吸引力がバネ2の作用力に打ち勝ち、可動子1は矢印29の方向へ移動する。これにより、弁体90は開状態となり、バルブ室6内の流体は排出口11より排出される。
ここで、図2を用いて、可動子1の形状について説明する。図2は、上図に可動子1の側面図を示し、下図に可動子1の底面図を示す。可動子1は、略円柱の形状を有し、その底面にシール部材1aを備える。シール部材1aは、リング形状を有し、その中心は可動子1の中心軸と一致している。シール部材1aは、可動子1とアウターボディ3の内底面3aとの接触部に生じる衝撃を吸収するとともに、可動子1と内底面3aとの密着性を確保するために設けられている。よって、シール部材1aは、ゴムなどの弾性体で構成されることが好ましい。
図1に戻ると、バルブ室6には、可動子1やバネ2などが収容される。ここで、バルブ室6内の流体の流れについて具体的に説明する。矢印31で示すように供給口10を通過した流体は、例えば矢印32、33で示すようにバルブ室6内を流れていく。矢印32で示す流体は、供給口10を通過してバルブ室6に流入し、そのまま最短距離を通過して排出口11に到達した流体である。また、矢印33で示す流体は、アウターボディ3の内壁面3bに沿って供給口10から離れた位置にある可動子1の裏側(破線で示す領域C)にまで流れていき、排出口11に到達した流体である。このように排出口11に到達した流体は、排出口11を通過して矢印34で示すように排出される。
なお、弁体90は、可動子1を電磁的にコイル5によって駆動する構成に限定はされない。例えば、コイル5の代わりに、連続的にストロークするリニアソレノイドを用いてもよいし、或いは、ギア部分によって変位方向を変更させるモータを用いてもよい。また、可動子1にシール部材1aを設ける構造には限定されず、可動子1にシール部材1aを設ける代わりに、アウターボディ3の排出口11付近に別途シール部材を設けて、いわゆるパイロット式に弁体90の開閉を行ってもよい。
本実施形態に係る弁体90においては、バルブ室6の流体を可動子1の周辺部の全体に供給する供給構造がバルブ室6内に設けられる点に特徴を有する。なお、図1においては、説明の便宜上、供給構造の一例として後述する第1実施形態に係る分配部7を示している。
ここで、本実施形態に係る供給構造の機能について簡単に説明する。通常は、供給口10よりバルブ室6に流入した流体は、流れる際の抵抗が少ない場所を流れ、且つ、排出口11への最短距離を通過するように流れる傾向がある。つまり、供給口10から離れた場所にある可動子1の側面や可動子1の天井部分などにおいては、流体の流速及び流量は小さい。そのため、弁体90による流体の排出を停止したときに、上記のような場所に流体が残留し、可動子1の側面などに液体が付着したままとなる場合がある。これにより、低温環境下での起動時に、残留した流体が凍結し、可動子1が作動不良を生じる可能性がある。また、弁体90の高さを低く構成するとバルブ室6内の流体の流速は上昇するが、より多くの流体が最短距離を流れるようになり、供給口10から離れた場所にある可動子1の側面や可動子1の天井部分などには流体が流れにくくなり、流体の残留が顕著になる場合もある。
そこで、本実施形態に係る弁体90は、バルブ室6内に供給構造を設けて、上記したような可動子1の周辺部の流体の残留を防止している。具体的には、バルブ室6内に設けられた供給構造は、バルブ室6内において特定の場所に偏るような流体の流れを生じさせないようにし、バルブ室6内を流れる流体は、可動子1の周辺部全体に供給されるようになる。したがって、可動子1の周辺部に存在する流体は残留することなく全て排出される。以上により、本実施形態に係る弁体90においては、低温環境下での起動時に、残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温により液体となったもの、の凍結が生じることがないため、可動子1に作動不良が生じることが防止される。
[供給構造の構成]
以下で、本実施形態に係る供給構造の具体的な構成について説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る供給構造の構成について、図3〜図5を用いて説明する。第1実施形態に係る供給構造は、分配部7によって構成されている。この分配部7は、図1の破線で示した位置に設けられる。
図3は、第1実施形態に係る分配部7の形状を示す図である。図3は、上図に分配部7の側面図を示し、下図に分配部7の底面図を示す。分配部7は、略円筒状の形状を有しており、その外周壁7bに複数のスリット7aが形成されている。また、分配部7の高さは、バルブ室6の高さとほぼ一致するように構成されている。言い換えると、分配部7の高さは、インナーボディ4の底面4aとアウターボディ3の内底面3aとの間の距離に相当する。なお、スリット7aの形状及び個数などは、図示したものに限定はされない。
また、分配部7の外周壁7bの上端には、複数の舌部7cが設けられている。舌部7cは、側方から見て略L字型の形状を有しており、本例では分配部7の外周上の4箇所に等間隔で設けられている。この舌部7cは、分配部7が、バルブ室6に流入する流体の流れによって動かない(回転しない)ようにする「回転止め」として機能する。具体的には、舌部7cは、アウターボディ3の内壁面3bに設けられた溝3dにはめ込まれる。これにより、分配部7はアウターボディ3に対して固定され、バルブ室6に流入する流体の流れにより回転しなくなる。
図4は、図1中の切断線A1−A1’に沿った断面図を示す。図4に示すように、供給流路12とバルブ室6の内壁はアウターボディ3によって形成されている。詳しくは、バルブ室6は、アウターボディ3の内底面3aによって底面が形成され、インナーボディ4の底面4aによって頂面が形成され、アウターボディ3の内壁面3bによって側面が形成されている。また、バルブ室6は、略円形の断面形状を有しており、その中央部付近に破線で示す排出口11が位置している。この排出口11の周りには、可動子1のシール部材1aが配置される。また、分配部7は、可動子1の外側を囲むように設けられる。
次に、バルブ室6に流入した流体が分配部7を通過して排出口11に到達するまでの流体の流れを、図5を用いて説明する。図5は、図1中の切断線A2−A2’に沿った断面図を示す。切断線A2−A2’は、切断線A1−A1’と異なり、切断線上に可動子1のシール部材1aが位置しない。図5においては、説明の便宜上、アウターボディ3を省略して供給流路12とバルブ室6の内壁の外形線のみを示している。更に、図5においては、可動子1は開状態であり、可動子1のシール部材1aと排出口11が位置する場所を破線で示している。
図5中の矢印35で示すように、流体は、供給流路12を通過して供給口10からバルブ室6へ流入する。供給口10から流入した直後の流体は、供給口10付近に位置する分配部7の外周壁7bにより流れが阻害され、その一部のみがスリット7aを通過する。即ち、供給口10から流入した流体は、その一部のみが供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過して排出口11に到達する。よって、バルブ室6内における供給口10から排出口11へ向かう流体の流れは、供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過するものに偏ることはない。言い換えると、可動子1の周辺部に供給される流体は、供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過した流体に偏ることはない。このように、分配部7の外周壁7bは流体が通過不可能な部位として機能し、スリット7aは流体が通過可能な部位として機能する。
供給口10からバルブ室6に流入した流体は、供給口10付近において、外周壁7bによって流れが阻害されるため、バルブ室6内の流体の流速は上昇する。したがって、供給口10付近のスリット7aを通過できなかった流体は、供給口10から流入する後続の流体によって押し出されて、矢印36aで示すようにアウターボディ3の内壁面3bと分配部7の外周壁7bとによって形成された空間を供給口10から離れる方向へ流れていく。そして、矢印36aで示すように流れる流体は、供給口10から流入する後続の流体により押し出されて、それらの一部が次々と異なるスリット7aを矢印36bで示すように通過して排出口11に到達する。これにより、可動子1の周辺部には、異なる箇所にある複数のスリット7aから流体が供給される。
一方、矢印36aで示す流れの中でスリット7aを通過しなかった流体は、矢印36cで示すように供給口10から離れた可動子1の裏側(領域C)にまで回り込んでいき、アウターボディ3の内壁面3bに衝突して押し戻されて、スリット7aを通過して排出口11に到達する。これにより、供給口10から離れた部分にある領域Cにおいても流体の流れが確保され、可動子1の周辺部には領域Cからも適切に流体が供給される。
このように、バルブ室6内に設けられた分配部7は、バルブ室6内の流体を適量に分配することによって、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、バルブ室6全体に適切な流体の流れを生じさせる。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、可動子1の周辺部(例えば、可動子1の天井や側面など)に存在する流体は残留することなく全て排出される。また、分配部7の壁面に付着した流体は底面に移動するため、可動子1の壁面には流体は付着しにくい。以上により、低温環境下での起動時に、可動子1の周辺部に残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温により液体となったものが凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。
また、弁体90の高さを低く構成しても、弁体90内の分配部7がバルブ室6内の流体の流速を更に上昇させることにより、バルブ室6内の全体における流体の流れが確保されるため、適切に可動子1の周辺部に流体を供給することができる。したがって、弁体90に分配部7を設けることにより、弁体90の高さを低く構成することができるため、弁体90の取り付け高さを低く構成することができる。
更に、分配部7は、アウターボディ3とは別部材にて作成することが可能であるため、既存の弁体を変更することなく、分配部7を挿入することのみで弁体90を作成することができる。したがって、分配部7の設計自由度が増し、生産性も確保することができる。
なお、分配部7は、その内部に「鋳巣」があっても問題はない。分配部7は、流体を完全に遮断する必要がないからである。したがって、分配部7は、流体が通過しないように表面をシール加工する必要もない。例えば、分配部7は、水素などの気体が通過不可なように水素シールなどを施す必要はない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る供給構造の構成について、図6を用いて説明する。第2実施形態に係る供給構造は、分配部16によって構成されている。即ち、弁体90は、供給構造として分配部16がバルブ室6内に設けられている。
図6(a)は、分配部16の形状を示す斜視図である。図示のように、分配部16は、略円筒状の形状を有している。また、分配部16の高さは、バルブ室6の高さとほぼ一致している。
更に、分配部16は多孔質の材料により多孔質体として構成されている。したがって、分配部16は、その内部に多数の孔が形成されているため、流体を通過させることができる。つまり、多孔質体内の孔は流体を通過可能な部位として機能し、多孔質体の孔が存在しない部分は流体が通過不可能な部位として機能する。多孔質体の孔の径や気孔率は、弁体90に流入する流体の種類を考慮して選択することが好適である。
図6(b)は、分配部16をバルブ室6内に配置したときの図であり、図1中の切断線A2−A2’に沿った断面図を示す。図6(b)においては、説明の便宜上、アウターボディ3を省略して供給流路12とバルブ室6の内壁の外形線のみを示している。また、可動子1は開状態であり、可動子1のシール部材1aと排出口11が位置する場所を破線で示している。図示のように、分配部16は、可動子1の外側を囲むようにバルブ室6内に配置される。
ここで、分配部16を通過する流体の流れについて具体的に説明する。図6(b)中の矢印37で示すように、流体は、供給流路12を通過して供給口10よりバルブ室6へ流入する。供給口10から流入した流体は、分配部16の全ての部分が通過可能でないため、その一部のみが矢印38aで示すように多孔質体の孔を通過する。即ち、供給口10から流入した流体は、その一部のみが供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過して排出口11に到達する。よって、供給口10から排出口11へ向かう流体の流れは、供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過するものに偏ることはない。即ち、可動子1の周辺部に供給される流体は、供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過した流体に偏ることはない。
供給口10から流入した流体は、供給口10付近において、多孔質体の孔がない部分によって流れが阻害されるため、バルブ室6内の流体の流速は上昇する。したがって、供給口10付近の多孔質体の孔を通過できなかった流体は、供給口10から流入する後続の流体により押し出されて、矢印38bで示すようにアウターボディ3の内壁面3bと分配部16の外周面とで形成された空間を供給口10から離れる方向へ流れていく。そして、矢印38bで示すように流れる流体は、供給口10から流入する後続の流体により押し出されて、それらの一部が次々と異なる箇所にある孔を矢印38cで示すように通過して排出口11に到達する。これにより、可動子1の周辺部には、多孔質体の全周から流体が供給される。
一方、矢印38bで示す流れの中で多孔質体の孔を通過しなかった流体は、矢印38dで示すように供給口10から離れた可動子1の裏側(領域C)にまで回り込んでいき、アウターボディ3の内壁面3bに衝突して押し戻されてから、多孔質体の孔を通過して排出口11に到達する。これにより、供給口10から離れた部分にある領域Cにおいても流体の流れが確保され、可動子1の周辺部には領域Cからも適切に流体が供給される。
このように、多孔質体で構成された分配部16は、効果的に排出口11に到達させる流体を適量に分配する。よって、分配部16は、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、バルブ室6全体に適切な流体の流れを生じさせる。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、可動子1の周辺部に存在する流体は残留することなく全て排出される。また、分配部16の壁面に付着した流体は底面に移動するため、可動子1の壁面に流体は付着しにくい。以上により、低温環境下での起動時に、可動子1の周辺部に残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温により液体となったものが凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。
なお、分配部16において、領域Cで示す部分に位置する多孔質体の気孔率を、供給口10付近に位置する多孔質体の気孔率よりも大きく構成することが好適である。これにより、流体が流れにくい領域C付近にまで、確実に流体を回り込ませることができる。また、第2実施形態に係る分配部16は多孔質体にて構成することに限定はされず、分配部16をメッシュデミスタなどで構成してもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る供給構造の構成について、図7を用いて説明する。第3実施形態に係る供給構造は、じゃま板17によって構成されている。即ち、弁体90は、供給構造としてじゃま板17がバルブ室6内に設けられている。
図7(a)は、じゃま板17の形状を示す斜視図である。図示のように、じゃま板17は、略円筒の一部からなる形状、言い換えると湾曲した平板の形状を有している。また、じゃま板17の高さは、バルブ室6の高さとほぼ一致しており、アウターボディ3の内壁面3bのカーブとその曲率が概ね一致するように構成されている。
図7(b)は、じゃま板17をバルブ室6内に配置したときの図であり、図1中の切断線A2−A2’に沿った断面図を示す。図7(b)においては、説明の便宜上、アウターボディ3を省略して供給流路12とバルブ室6の内壁の外形線のみを示している。また、可動子1は開状態であり、可動子1のシール部材1aと排出口11が位置する場所を破線で示している。図示のように、じゃま板17は、供給口10付近のバルブ室6内に配置される。
ここで、じゃま板17を通過する流体の流れについて具体的に説明する。図7(b)中の矢印39で示すように、流体は、供給流路12を通過して供給口10からバルブ室6へ流入する。供給口10から流入した直後の流体は、じゃま板17に衝突するため、矢印40aで示すようにじゃま板17を迂回して流れる。そして、流体は、じゃま板17の外周面とアウターボディ3の内壁面3bによって形成された空間を通過していく。この場合、じゃま板17によって流体の流れが阻害されたため、流体の流速は上昇する。そのため、じゃま板17の外周面と内壁面3bによって形成された空間を通過した流体は、供給口10から流入する後続の流体により押し出されて、流れる方向を転換して、矢印40bで示すようにじゃま板17を回り込んで排出口11に到達する。また、流れる方向を転換して矢印40bで示すように排出口11に到達しなかった流体は、流入する後続の流体により更に押し出されて、アウターボディ3の内壁面3bに沿って供給口10から離れる方向へ流れていく中で、次々と異なる方向から矢印40cで示すように排出口11へ到達する。一方、このような流れの中で排出口11に到達しなかった流体は、矢印40dで示すようにアウターボディ3の内壁面3bに衝突して押し戻されて排出口11へ到達する。
このように、バルブ室6内にじゃま板17を設けることによって、供給口10から流入した流体の流れを阻害することにより、バルブ室6内において様々な方向への流体の流れを生じさせることができる。特に、じゃま板17は、流体が流れにくい、領域Cにおける流体の流れを確保する。よって、じゃま板17は、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、バルブ室6全体に適切な流体の流れを生じさせる。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、可動子1の周辺部に存在する流体は残留することなく全て排出される。したがって、低温環境下での起動時に、可動子1の周辺部に残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温により液体となったものが凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。
なお、じゃま板17は、単純な形状を有しているので簡便に作成することができ、バルブ室6内にも容易に配置させることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る供給構造の構成について、図8を用いて説明する。第4実施形態に係る供給構造は、天井部材18によって構成されている。即ち、弁体90は、供給構造として天井部材18がバルブ室6内に設けられている。
図8(a)は、天井部材18の形状を示す斜視図である。図示のように、天井部材18は、略円筒形状を有する部材18a及び円盤状の部材18bが一体形成された形状を有する。略円筒形状の部材18aは、その下端が斜めに切り取られたような底面18aaを有している。また、天井部材18は、中央部分に空洞部18cが設けられている。
図8(b)は、天井部材18をバルブ室6内に配置したときの図であり、弁体90を流体の流れる方向に平行な面にて切断し、排出口11付近を拡大して示した断面図である。図示のように、天井部材18は、バルブ室6の天井部分を構成するように、バルブ室6内に配置される。詳しくは、部材18bがアウターボディ3の溝3dにはめ込まれることによって、天井部材18はアウターボディ3に対して固定される。また、天井部材18の空洞部18cには、可動子1が収容される。天井部材18の高さは、バルブ室6の高さよりも低く構成されているため、天井部材18の底面18aaとアウターボディ3の内底面3aとの間には隙間60が生じる。よって、供給口10から流入した流体は、この隙間60を通過して排出口11に到達する。
また、天井部材18の底面18aaは円盤状の部材18bに対して斜めに形成されているため、底面18aaとアウターボディ3の内底面3aとの距離(即ち、隙間60の高さ)は、供給口10から奥に進むにつれて大きくなる。詳しくは、底面18aaとアウターボディ3の内底面3aとの距離は、供給口10付近の距離H1に対して可動子1の裏側付近(領域C)の距離H2が大きくなっている。
ここで、弁体90内に天井部材18を設けたときの、バルブ室6内の流体の流れについて説明する。通常、流体は流れる際の抵抗が少ない箇所を通過する傾向があるため、バルブ室6内の流体も、流れる際の抵抗が少ない、隙間60の高さが高くなっている場所を流れて排出口11に到達する傾向にある。そのため、流体は、隙間60の高さが高く構成された領域Cの方向に向かって流れていく。したがって、供給口10より流入した流体は、その一部のみが供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過して排出口11に到達する。よって、供給口10から流入した流体は、適量の流体がバルブ室6の奥(領域C)の方向に向かって、部材18aの外周面とアウターボディ3の内壁面3bとによって形成された空間を供給口10から離れる方向へ流れていく。そして、流体は、部材18aの外周面と内壁面3bとによって形成された空間を流れていく中で、次々と異なる方向から隙間60を通過して排出口11に到達する。また、このような流れの中で隙間60を通過しなかった流体は、領域Cにまで達し、アウターボディ3の内壁面3bに衝突して押し戻されてから、隙間60を通過して排出口11に到達する。
以上のように、バルブ室6内に天井部材18を設けることにより、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、バルブ室6全体に流体の流れを生じさせることができる。特に、流体が流れにくい、領域Cにおける流体の流れが確保される。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、可動子1の周辺部に存在する流体は残留することなく全て排出される。したがって、低温環境下での起動時に、可動子1の周辺部に残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温により液体となったものが凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。
なお、上記のように、バルブ室6内に天井部材18を別途設けることなく、アウターボディ3に天井部材18を一体形成してもよい。即ち、アウターボディ3がバルブ室6の天井部分を構成し、この天井部分がバルブ室6の奥にいくに従って内底面3aとの距離が大きくなるような形状を有するようにしてもよい。
また、弁体90において、上記の天井部材18を設けると共に、前述した分配部7、16、及びじゃま板17のいずれかを更に設けてもよい。これにより、可動子1の天井や側面などの隅々にまで流体が効果的に供給され、可動子1の周辺部に存在する流体の排出性を更に向上させることができる。
なお、天井部材18は、部材18bをアウターボディ3に形成した溝3dにはめ込むことによりアウターボディ3に対して固定することに限定はされない。第1実施形態の分配部7と同様にその外周端に複数の舌部を形成し、その舌部をアウターボディ3に形成した溝3dにはめ込むことによりアウターボディ3に対して固定してもよい。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る供給構造の構成について、図9を用いて説明する。第5実施形態に係る弁体90は、上記したアウターボディ3の代わりにアウターボディ21を有する。アウターボディ21の内底面21aには、アウターボディ3の内底面3aとは異なり、複数の凹部21eが設けられている。アウターボディ21が弁体90に設けられる位置、弁体90の各構成要素との位置関係、及びアウターボディ21の形状などは、アウターボディ3と同様であるため、これらの説明は省略する。
第5実施形態に係る供給構造は、上記の凹部21e及び天井部材19によって構成されている。即ち、弁体90は、供給構造として凹部21eと天井部材19とがバルブ室6内に設けられている。
図9(a)は、天井部材19の形状を示す斜視図である。図示のように、天井部材19は、略円筒形状を有する部材19aと円盤状の部材19bとが一体形成された形状を有する。この場合、部材19aの底面19aaは、第4実施形態で示した部材18aの底面部18aaと異なり部材19bの面と略平行に形成されている。天井部材19も、バルブ室6内において天井部材18と同様の位置に配置される。即ち、天井部材19は、バルブ室6の天井部分を構成するように、バルブ室6内に配置される。詳しくは、部材19bがアウターボディ21の溝21dにはめ込まれることによって、天井部材19はアウターボディ21に対して固定される。更に、天井部材19の中央部分には空洞部19cが設けられており、空洞部19cには可動子1が収容される。
図9(b)は、アウターボディ21によって形成されている供給流路12及びバルブ室6を上部から見た平面図を示す。即ち、供給流路12及びバルブ室6を構成するアウターボディ21の内壁面21aを示している。なお、図9(b)中においては、破線は天井部材19の底面19aaを示している。また、図9(c)は、図9(b)中の切断線B1−B1’に沿ったアウターボディ21及び天井部材19の断面図を示しており、図9(d)は、図9(b)中の切断線B2−B2’に沿ったアウターボディ21及び天井部材19の断面図を示している。図9(c)、(d)に示すように、天井部材19の高さは、バルブ室6の高さよりも低く構成されているため、天井部材19の底面19aaとアウターボディ21の内底面21aとの間には隙間61が生じる。よって、供給口10から流入した流体は、この隙間61を通過して排出口11に到達する。
また、図9(b)に示すように、弁体90のアウターボディ21は、内底面21aに複数の凹部21eが設けられている。複数の凹部21eは、バルブ室6において放射状に設けられており、凹部21eの長さ方向にバルブ室6の中心が概ね位置するように配置されている。また、図9(c)に示すように、凹部21eは、天井部材19の底面19aaと対向する内底面21aに設けられている。これにより、底面19aaとアウターボディ21の内底面21aとの距離は、図9(d)のように凹部21eが設けられていない部分よりも、図9(c)に示すように凹部21eが設けられた部分のほうが大きくなっている。言い換えると、凹部21eが設けられた部分の隙間61の高さは、凹部21eが設けられていない部分の隙間61の高さよりも高くなっている。
ここで、バルブ室6内に天井部材19を設け、アウターボディ21に凹部21eを設けたときの、バルブ室6内の流体の流れについて説明する。通常、流体は流れる際の抵抗が少ない箇所を通過する傾向があるため、バルブ室6内の流体も、流れる際の抵抗が少ない、隙間61の高さが高くなっている場所を流れて排出口11に到達する傾向にある。言い換えると、バルブ室6内の流体は、凹部21eが設けられていない部分の隙間61よりも凹部21eが設けられた部分の隙間61を通過する傾向にある。したがって、供給口10より流入した流体は、その一部のみが供給口10から排出口11へ向かう最短距離を通過して排出口11に到達する。よって、供給口10から流入した流体は、適量の流体がバルブ室6の奥(領域C)の方向に向かって、部材19aの外周面とアウターボディ21の内底面21bとによって形成された空間を流れていく。そして、流体は、部材19aの外周面と内壁面21bとによって形成された空間を流れていく中で、次々と異なる方向から隙間61を通過して排出口11に到達する。この場合、流体は、凹部21eがある隙間61をより多く通過し、凹部21eがない隙間61は少量しか通過せず、隙間61を通過しなかった流体は、供給口10から遠い領域Cの方に向かって更に流れていく。一方、部材19aの外周面と内壁面21bとによって形成された空間を流れていく中で隙間61を通過しなかった流体は、領域Cにまで達し、アウターボディ21の内壁面21bに衝突して押し戻されてから、隙間61を通過して排出口11に到達する。
以上のように、バルブ室6内に天井部材19を設けて、アウターボディ21に凹部21eを設けることにより、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、バルブ室6全体に流体の流れを生じさせることができる。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、可動子1の周辺部に存在する流体は残留することなく全て排出される。したがって、低温環境下での起動時に、可動子1の周辺部に残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温により液体となったものが凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。
なお、凹部21eの形状、設ける個数、及び設ける位置は、図示したものに限定はされない。供給口10付近よりも領域C付近に、多くの凹部21eを設けることが好ましい。これは、流体が流れにくい領域Cにまで、効果的に流体を回り込ませることができるからである。また、同様の理由から、供給口10付近よりも領域C付近の方が凹部21eの深さが深くなるように構成することが好ましい。
なお、上記のように、バルブ室6内に天井部材19を別途設けることなく、アウターボディ21に天井部材19を一体形成してもよい。即ち、アウターボディ21がバルブ室6の天井部分を構成し、且つ、アウターボディ21の内底面21aに凹部21eを設けてもよい。
更に、弁体90において、上記の天井部材19及び凹部21eを設けると共に、前述した分配部7、16、及びじゃま板17のいずれかを更に設けてもよい。また、天井部材19の代わりに、第4実施形態で示した天井部材18を用いて弁体90を構成してもよい。このようにすることにより、可動子1の天井や側面などの隅々にまで流体が効果的に供給され、可動子1の周辺部に存在する流体の排出性を更に向上させることができる。
なお、天井部材19は、部材19bをアウターボディ21に形成した溝21dにはめ込むことによりアウターボディ21に対して固定することに限定はされない。第1実施形態の分配部7と同様にその外周端に複数の舌部を形成し、その舌部をアウターボディ21に形成した溝21dにはめ込むことによりアウターボディ21に対して固定してもよい。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る供給構造の構成について、図10〜図12を用いて説明する。
図10は、第6実施形態に係る弁体91を示す概略構成図であり、流体の流れる方向に平行な切断面に沿った弁体91の断面図を示す。第6実施形態に係る弁体91は、上記したアウターボディ3、21の代わりにアウターボディ22を有する点で、上記した弁体90と構成が異なる。また、弁体91は、第1乃至第5実施形態で示した弁体90と異なり、バルブ室6内に分配部7、16やじゃま板17や天井部材18、19などの部材が設けられていない。なお、弁体91においては、弁体90と同一の構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図10に示すように、第6実施形態に係る弁体91においては、前述した第1乃至第5実施形態で示した弁体90とは異なり、2つの供給口22a、22bからバルブ室6へ流体を供給している。具体的には、弁体91が有するアウターボディ22には、2つの供給口22a、22b、及び2つの供給流路22c、22dが形成されている。この場合、供給流路22cを流れる流体は矢印45aで示すように供給口22aを通過してバルブ室6内に流入し、供給流路22dを流れる流体は矢印45bで示すように供給口22bを通過してバルブ室6内に流入する。そして、バルブ室6に流入した流体は、矢印45c、45dに示すように排出口11を通過して、矢印45eで示すように排出流路13を流れていく。
次に、図11を用いて、バルブ室6内の流体の流れについて具体的に説明する。図11は、図10中の切断線D1−D1’に沿ったアウターボディ22の断面図を示す。図示のように、供給口22a、22bは、バルブ室6上において対面する位置に、即ち供給流路22c、22dの中心軸が同一直線上に位置するように設けられている。なお、図11においては、可動子1は開状態であり、可動子1のシール部材1aと排出口11が位置する場所を破線で示している。
図11に示すように、供給流路22cを流れる流体は矢印45aで示すように供給口22aを通過してバルブ室6内に流入し、供給流路22dを流れる流体は矢印45bで示すように供給口22bを通過してバルブ室6内に流入する。この場合、2つの供給口22a、22bは、バルブ室6上において対面する位置に設けられているため、バルブ室6には逆方向から流体が供給される。言い換えると、図11において、上方向からと下方向から流体が供給される。バルブ室6へ流入した流体は、矢印45fa、45fbで示すように、供給口22a、22bから排出口11へ向かう最短距離を通過して排出口11に到達するものや、矢印45ha、45hbで示すように、アウターボディ22の内壁面22eに沿って流れて排出口11に到達するものなどがある。以上から、2つの供給口22a、22bからバルブ室6に流体を供給することにより、バルブ室6において様々な方向への流体の流れが生じていることがわかる。これにより、バルブ室6全体において流体の流れが生じ、流体の流れが小さい場所が生じない。
このように、バルブ室6に2つの供給口22a、22bから流体を供給することによって、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れが生じることなく、バルブ室6全体に適切な流体の流れが生じる。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、可動子1の周辺部に存在する流体は残留することなく全て排出される。したがって、低温環境下での起動時に、可動子1の周辺部に残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温によって液体となったものが凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。
なお、上記では、2つの供給口22a、22bからバルブ室6に流体を供給するものを示したが、3つ以上の供給口からバルブ室6に流体を供給してもよい。第6実施形態の変形例では、3つの供給口からバルブ室6に流体を供給する例と、4つの供給口からバルブ室6に流体を供給する例を示す。図12に、3つの供給口からバルブ室6に流体を供給するように構成されたアウターボディ23と、4つの供給口からバルブ室6に流体を供給するように構成されたアウターボディ24と、を示す。これらの場合、弁体91は、上記したアウターボディ22の代わりに、アウターボディ23又はアウターボディ24を備えている。それ以外の構成要素は、上記した弁体91のものと同一であるため説明は省略する。
図12(a)は、図10に示した切断線D1−D1’と同一の切断線を用いた、アウターボディ23の断面図を示す。図12(a)に示すように、アウターボディ23には、3つの供給流路23d、23e、23f、及び3つの供給口23a、23b、23cが形成されている。この場合、供給流路23d、23e、23fを流れた流体は、それぞれ供給口23a、23b、23cを通過して、バルブ室6内に流入する。このようにアウターボディ23を構成することにより、3方向からバルブ室6に流体を供給することができる。
図12(b)は、図10に示した切断線D1−D1’と同一の切断線を用いた、アウターボディ24の断面図を示す。図12(b)に示すように、アウターボディ24には、4つの供給流路24e、24f、24g、24h、及び4つの供給口24a、24b、24c、24dが形成されている。この場合、供給流路24e、24f、24g、24hを流れた流体は、それぞれ供給口24a、24b、24c、24dを通過して、バルブ室6内に流入する。このようにアウターボディ24を構成することにより、4方向からバルブ室6に流体を供給することができる。
以上のように、バルブ室6に流体を供給する供給口を3つ以上設けても、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、バルブ室6全体に適切な流体の流れを生じさせることができる。このように、第6実施形態においては、複数設けられた供給口が、可動子1の周辺部全体に流体を供給する供給構造を構成する。
なお、弁体91において、バルブ室6に流体を供給する供給口を複数設けると共に、バルブ室6内に分配部7、16、又はじゃま板17、若しくは天井部材18、19の少なくともいずれかの部材を設けてもよい。これにより、可動子1の天井や側面などの隅々にまで流体が効果的に供給され、可動子1の周辺部に存在する流体の排出性を更に向上させることができる。
なお、バルブ室6に流体を供給する供給口を3つ以上設けた場合、その構造から角部が増えるため、表面張力によって残留する流体が増加する場合がある。また、供給口を3つ以上設けると供給流路の体積が大きくなるため、流体が残留可能な空間が増加してしまう場合がある。また、供給口を3つ以上設けると流体の流量や流速の低下が生じるため、流体の排出性が低下する場合がある。以上から、供給口を3つ以上設けた場合には、バルブ室6内に分配部7、16や、じゃま板17や、天井部材18、19などを更に設けることが好ましい。更に、供給口を3つ以上設けた場合には、複数の供給流路へ供給する流体を均等分配する必要がある。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態に係る供給構造の構成について、図13及び図14を用いて説明する。
第7実施形態においては、弁体91は、第6実施形態で示したアウターボディ22の代わりにアウターボディ25を有している。それ以外の構成要素は、上記した弁体91のものと同一であるため説明は省略する。また、第7実施形態に係る弁体91は、第1乃至第5実施形態で示した弁体90と異なり、バルブ室6内に分配部7、16やじゃま板17や天井部材18、19などの部材が設けられていない。
図13は、図10に示した切断線D1−D1’と同一の切断線を用いた、アウターボディ25の断面図を示す。ここでは、排出口11が位置する場所を破線で示している。アウターボディ25には、供給口25a及び供給流路25bが形成されている。第7実施形態に係るアウターボディ25には、第6実施形態で示したアウターボディ22〜24とは異なり、1つの供給口25a及び1つの供給流路25bのみが形成されている。更に、第7実施形態に係るアウターボディ25においては、供給流路25bは、排出口11の中心E1に対して偏芯した位置に設けられている。言い換えると、供給流路25bは、供給流路25bの中心軸E2が排出口11の中心E1と交わらない位置に設けられている。
次に、アウターボディ25を上記のように構成した場合における、バルブ室6の流体の流れについて説明する。供給口25aからバルブ室6に流入した流体は、図13中の実線矢印で示すように、バルブ室6内において旋回的に流れていることがわかる。言い換えると、バルブ室6内において、スパイラル状の流体の流れが生じている。このような流れを生じさせることにより、バルブ室6内の流体を巻き込んで可動子1の周辺部全体に供給することができる。
このように、供給流路25bを排出口11の中心E1に対して偏芯した位置に設けることにより、バルブ室6内において旋回的な流体の流れが生じるため、バルブ室6全体に適切な流体の流れを生じさせることができる。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、可動子1の周辺部に存在する流体は残留することなく全て排出される。したがって、低温環境下での起動時に、可動子1の周辺部に残留した流体中の液体成分、若しくは流体中の気体成分が低温によって液体となったものが凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。このように、第7実施形態においては、供給口25aを排出口11の中心E1に対して偏芯させた位置に設けることによって、可動子1の周辺部全体に流体を供給する供給構造を構成する。
なお、上記では、1つの供給口25aからバルブ室6に流体を供給するものを示したが、複数の供給口からバルブ室6に流体を供給してもよい。図14に、第7実施形態の変形例に係るアウターボディ26を示す。第7実施形態の変形例に係る弁体91は、アウターボディ25の代わりに、アウターボディ26を備えている。それ以外の構成要素は、上記した弁体91のものと同一であるため説明は省略する。
図14は、図10に示した切断線D1−D1’と同一の切断線を用いた、アウターボディ26の断面図を示す。図14に示すように、アウターボディ26には2つの供給流路26c、26d、及び2つの供給口26a、26bが形成されている。この場合、供給流路26c、26dは、共に、排出口11の中心E1に対して偏芯した位置に設けられている。言い換えると、供給流路26cは、供給流路26cの中心軸E3が排出口11の中心E1と交わらない位置に設けられており、供給流路26dは、供給流路26dの中心軸E4が排出口11の中心E1と交わらない位置に設けられている。また、供給流路26c、26dは、供給流路26cの中心軸E3と供給流路26dの中心軸E4とが交わらないように設けられている。以上のようにアウターボディ26を構成することにより、供給口26a、26bからバルブ室6に流入した流体は、図14中の実線矢印で示すように、バルブ室6内において旋回的に流れる、言い換えるとスパイラル状に流れる。
なお、弁体91において、供給口25a、26a、26bを排出口11の中心E1に対して偏芯させると共に、バルブ室6内に分配部7、16、又はじゃま板17、若しくは天井部材18、19の少なくともいずれかの部材を更に設けてもよい。
なお、排出口11はバルブ室6の概ね中心に位置するため、供給流路25b、26c、26dはバルブ室6の中心に対しても偏芯している。
(変形例)
以下で、可動子1の周辺部全体に流体を供給する供給構造に関する、第1の変形例及び第2の変形例について図15及び図16を用いて説明する。
第1の変形例は、アウターボディが形成するバルブ室を広く形成する点に特徴を有する。図15は、説明の便宜上、上記したアウターボディ3が形成するバルブ室6の内壁3bの外形線と、第1の変形例に係るアウターボディ27が形成するバルブ室6の内壁27bの外形線とを、比較のために重ねて示している。また、アウターボディ3が形成するバルブ室6の内壁3bを実線で示し、アウターボディ27が形成するバルブ室6の内壁面27bを一点鎖線で示している。なお、図15では、アウターボディ3を示しているが、アウターボディ3の代わりに上記したアウターボディ21〜26のいずれかを適用してもよい。
図15に示すように、第1実施形態の変形例に係るアウターボディ27が形成する内壁面27bは、アウターボディ3が形成する内壁面3bと比較すると、その直径が大きくなるように構成されている。即ち、バルブ室6を形成する空間がより広くなっている。つまり、第1の変形例では、バルブ室6を形成する空間、言い換えると可動子1の周辺の空間をより広く構成する。これにより、バルブ室6に流入した流体は、バルブ室6内を流れる際に抵抗を受ける場所が少ないため、バルブ室6内を均一に流れていく。したがって、バルブ室6内で流体が流れにくい場所が生じにくくなる。例えば、供給口10から離れた、可動子1の裏側(前述した領域C)における流体の流れが確保される。
次に、第2の変形例について説明する。第2の変形例では、バルブ室6全体における適切な流体の流れが確保されるように、可動子の形状が構成されている。図16は、第2の変形例に係る可動子1e、1fを示す断面図である。なお、可動子1e、1fは、前述した弁体90、91のいずれに適用してもよい。また、図16では、アウターボディ3を示しているが、アウターボディ3の代わりに上記したアウターボディ21〜27のいずれかを適用してもよい。
図16(a)は、第2の変形例に係る可動子1eの断面図を示している。図16(a)に示すように、可動子1eは、外壁面1eaによって外壁が囲まれた円柱の径が、他の部分と比べて細く構成されている。詳しくは、可動子1eの外壁面1eaは、流体の流れに晒される壁面、即ちバルブ室6内の流体と接触する壁面に該当する。このように、可動子1eを流体と接触する部分の径が流体と接触しない部分の径よりも細く構成することにより、バルブ室6に流入した流体は、可動子1e付近を流れる際に受ける抵抗が少なくなるので、供給口10から離れた、可動子1eの裏側などの部分(例えば、前述した領域C)にまで効果的に流れていく。
また、可動子1eの形状は上記したものに限定はされず、図16(b)に示す可動子1fを適用してもよい。図16(b)は、可動子1fの断面図を示している。可動子1fは、外壁面1faによって囲まれた部分がテーパー形状に構成されている。詳しくは、可動子1fの径は、シール部材1aの方向に向かうにつれた細くなる。可動子1fの外壁面1faは、流体の流れに晒される壁面、即ちバルブ室6内の流体と接触する壁面に該当する。このように、可動子1fをテーパー形状に構成することにより、言い換えると流体と接触する部分の径を流体と接触しない部分の径よりも細く構成することにより、バルブ室6に流入した流体は、可動子1f付近を流れる際に受ける抵抗が少なくなるので、供給口10から離れた、可動子1fの裏側などの部分(例えば、前述した領域C)にまで効果的に流れていく。また、可動子1fをテーパー形状に構成することにより、外壁面1faに付着した流体が排出口11の方向に移動しやすくなる。
なお、第1の変形例又は第2の変形例を弁体に適用すると共に、上記の第1乃至第7実施形態で示した供給構造の少なくともいずれかを更に適用することが好ましい。例えば、第1の変形例又は第2の変形例を弁体に適用すると共に、バルブ室6内に分配部7、16やじゃま板17や天井部材18、19などの部材を設けることができる。これにより、例えばバルブ室6に供給される流体の流量や流速が小さい場合であっても、バルブ室6内の流体の流速を上昇させることができるので、可動子の周辺部全体への流体の供給を確保することができる。
[弁体の適用例]
以下では、本発明の弁体の好適な適用例について、図17を用いて説明する。
図17は、本発明の弁体90を適用した燃料電池システム50の概略構成図である。燃料電池システム50は、燃料電池(燃料電池スタック)51と、気液分離器55と、コントローラ52と、供給流路53a、53bと、排出流路54a、54b、54c、54d、54eと、弁体(排出弁)90と、を備える。燃料電池システム50は、燃料電池自動車(以下、単に「車両」と呼ぶ)などに搭載されるシステムである。なお、弁体90の代わりに弁体91を燃料電池システム50に適用してもよいが、以下では、弁体90で代表して燃料電池システム50の説明を行う。
燃料電池51は、電解質膜の両面に、ガスが拡散可能な多孔質層等の構造を有する電極を成膜した電池セルを、層間に導電性のセパレータを挟んで積層したもので、積層数に応じた出力電圧を取り出すことができる。図中には、説明の便宜のため電解質膜面にカソード極(空気極)51aと、アノード極(燃料極)51bが形成された電池セルの構造のみを示している。カソード極51aには供給流路53aよりエア(空気)が供給される。また、アノード極51bには供給流路53bより燃料(水素)が供給される。燃料電池51内では、供給される空気と水素が化学反応を起こすことにより電力が生成される。
燃料電池51は、車両駆動用のモータの給電源であり、300V程度の直流の高電圧を発生する。燃料電池51の発電電圧は、モータに指令トルク等に応じた電流を供給する図示しないインバータなどに出力される。また、燃料電池51の発電電圧は、DC−DCコンバータで降圧されて、車両に搭載される種々の補機や、これらへの給電用の二次電池であるバッテリーに出力する。
燃料電池51の発電により生成した水(生成水)などの不純物や電力生成のために用いられなかった水素は、排出流路54a、54bから排出される。排出流路54aには、カソード極51aから排出される空気などが流通する。排出流路54bには、アノード極51bから排出される水素や水(主に、燃料電池51の発電により生成された生成水)や不純物が流通する。
排出流路54b中には、気液分離器55が設けられている。アノード極51bから排出される水素や水や不純物は、気液分離器55にて処理される。気液分離器55は、排出流路54bから流入した流体を、気体と液体に分離する。即ち、気液分離システム10は、水素と、水及び不純物とを分離する。これにより、排出流路54cからは水素が排出される。更に、排出流路54bからは、水及び不純物が排出される。この分離された水及び不純物は、前述した弁体90を用いて排出される。
弁体90は、前述のように、主に可動子1と、バネ2と、アウターボディ3と、インナーボディ4と、コイル5と、を備える。弁体90は、コイル5が通電されることにより可動子1が移動し、開状態になる。コイル5への通電は、電流制御ドライバとしての機能を有するコントローラ52からの制御信号S1により制御される。なお、弁体90は、気液分離器55と一体形成してもよい。また、弁体90は、アウターボディ3の代わりに、上記したアウターボディ21〜27を適用してもよい。
更に、弁体90は、前述したような供給構造を有する。この供給構造は、バルブ室6内において特定の領域に偏るような流体の流れを生じさせずに、バルブ室6全体に流体の流れを生じさせることができる。これにより、可動子1の周辺部全体に流体が供給されるので、具体的には可動子1の天井や側面などの隅々にまで流体が供給されるため、可動子1の周辺部に存在する水は残留することなく全て排出される。したがって、可動子1の周辺部に残留した水が低温環境下での起動時に凍結して、可動子1に作動不良が生じることはない。
また、弁体90が供給構造を備えていることにより、弁体90の高さを低く構成しても可動子1の周辺部全体への流体の流れを確保することができるため、可動子1の周辺部の水の残留が新たに生じることがない。したがって、弁体90(気液分離器55を含めてもよい)を車両の床下などに搭載する場合、弁体90の車両への取り付け高さを低く構成することができる。また、可動子1の全周において流体の流量を確保することにより弁体による流体の流れを高効率化することができるので、要求される流量に対して、より小型の弁体を使用することが可能となり、車両への搭載において有利となる。
コントローラ52は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インタフェイスなどを含んで構成される。コントローラ52は、燃料電池システム50内の状況や外部の状況を取得して、信号S1にて弁体90内のコイル5への通電量を制御する。例えば、コントローラ52は、コイル5への通電時間比率などを制御することにより、弁体90から排出される水の量を調節する。
本発明の実施形態に係る弁体の概略構成を示す図である。 可動子の形状の概略図を示す。 本発明の第1実施形態に係る分配部の形状を示す図である。 図1中の切断線A1−A1’に沿った弁体の断面図を示す。 第1実施形態に係る分配部を設けたときの流体の流れを示す図である。 第2実施形態に係る分配部を説明するための図である。 第3実施形態に係るじゃま板を説明するための図である。 第4実施形態に係る供給構造の構成を示す図である。 第5実施形態に係る供給構造の構成を示す図である。 第6実施形態に係る弁体の概略構成を示す図である。 図10中の切断線D1−D1’に沿った弁体の断面図を示す。 第6実施形態の変形例に係るアウターボディの断面図を示す。 第7実施形態に係るアウターボディの断面図を示す。 第7実施形態の変形例に係るアウターボディの断面図を示す。 第1の変形例に係るバルブ室の構成を示す図である。 第2の変形例に係る可動子の断面図を示す。 本発明に係る弁体を適用した燃料電池システムの概略構成を示す図である。
符号の説明
1、1e、1f 可動子
2 バネ
3、21、22、23、24、25、26、27 アウターボディ
4 インナーボディ
5 コイル
6 バルブ室
7、16 分配部
10、22a、22b、25a、26a、26b 供給口
11 排出口
17 じゃま板
18、19 天井部材
50 燃料電池システム
52 コントローラ
90、91 弁体

Claims (12)

  1. 可動子が収容されるバルブ室と、
    前記バルブ室と導通し、前記バルブ室に流体を供給する供給口と、
    前記可動子の開閉によって前記バルブ室から前記流体を排出する排出口と、を有する弁体であって、
    前記供給口は、前記流体が可動子の移動方向に対して略直角方向から供給されるように配設されており、
    前記可動子の周辺部の全体に前記流体を供給する供給構造を更に備えていることを特徴とする弁体。
  2. 前記供給構造は、前記バルブ室内に設けられる分配部によって構成され、
    前記分配部は、前記バルブ室内の流体を分配する構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の弁体。
  3. 前記分配部は、前記流体が通過可能な部位と通過不可能な部位とを複数備える構成を有することを特徴とする請求項2に記載の弁体。
  4. 前記分配部は、多孔質体によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載の弁体。
  5. 前記供給構造は、前記供給口付近に配置されるじゃま板であることを特徴とする請求項1に記載の弁体。
  6. 前記供給構造は、前記可動子の周辺部における前記バルブ室の天井の高さが場所によって異なるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の弁体。
  7. 前記供給構造は、前記可動子の周辺部における前記バルブ室の天井の高さが、前記供給口から離れるほど高くなるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の弁体。
  8. 前記供給口は、複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の弁体。
  9. 前記供給口は、前記排出口の中心に対して偏芯した位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の弁体。
  10. 前記可動子は、略円筒形状を有し、前記流体と接触する部分の径が、前記流体と接触しない部分の径よりも細く構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の弁体。
  11. 前記流体は水を含むことを特徴とする請求項1及至10のいずれか一項に記載の弁体。
  12. 燃料電池システムに備えられることを特徴とする請求項1及至11のいずれか一項に記載の弁体。
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