JP2006131918A - エチレン性不飽和カルボン酸金属塩含有加硫性ゴム組成物 - Google Patents

エチレン性不飽和カルボン酸金属塩含有加硫性ゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩及び有機過酸化物を配合してなる加硫性ゴム組成物を加硫してなるゴム材料の強度特性、耐摩耗性等をさらに向上させること。
【解決手段】酸当量が2×10−3ephr以上、ムーニー粘度が15〜200、ヨウ素価が80以下のカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩及び有機過酸化物を配合してなり、かつ前記カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、炭素数4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水物によりカルボキシル化されたものである加硫性ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度で耐摩耗性が良好なゴム材料が得られる加硫性ゴム組成物に関し、詳しくは、カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩及び有機過酸化物を配合してなる加硫性ゴム組成物に関する。
エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムその他のジエン系ゴムおよびエチレン−プロピレン共重合体ゴムなどに、メタクリル酸その他のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、亜鉛のような二価の金属化合物および有機過酸化物を配合してなる加硫性エラストマー組成物は、高い機械的強度を有する加硫エラストマー製品を与えることが知られている(特開昭54−57553号、特開昭60−215085号、特開平1−306443号)。
これらの加硫性エラストマー組成物は、加硫時にエラストマー成分のみならず、メタクリル酸その他のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、亜鉛その他の二価の金属化合物および有機過酸化物が反応して架橋重合体を形成すると考えられる。
なかでも、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにメタクリル酸亜鉛塩及び有機過酸化物系架橋剤を配合してなる加硫性ゴム組成物を用いると、耐熱性及び耐油性に優れかつ強度特性に優れたゴム材料が得られることが報告されている(例えば、特開昭63−270753号報)。
しかし、近年のゴム材料に対する要求性能は益々高度になり、とくにベルト、ホースまたはゴムロール等の分野においては、強度特性に加えて耐摩耗性等の他の物性をさらに向上させることが望まれるようになり、従来の技術では不十分であって、さらに改良する必要が生じている。
本発明の目的は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩及び有機過酸化物を配合してなる加硫性ゴム組成物を加硫してなるゴム材料の強度特性、耐摩耗性等をさらに向上させることにある。
そこで本発明者は鋭意検討を重ねた結果、無水マレイン酸を付加して調製したカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにα,β−メタクリル酸及び酸化亜鉛を配合した加硫性ゴム組成物を加硫することにより、従来技術と比較して強度特性及び耐摩耗性をさらに改良できることを見いだし、この知見に基づき本発明を完成した。
かくして本発明によれば、下記(1)ないし(5)が提供される。
(1)酸当量が2×10−3ephr以上、ムーニー粘度が15〜200、ヨウ素価が80以下のカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩及び有機過酸化物を配合してなり、かつ前記カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、炭素数4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水物によりカルボキシル化されたものである加硫性ゴム組成物。
(2)前記カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、酸無水物基を含有する(1)の加硫性ゴム組成物。
(3)ベルト用である(1)または(2)の加硫性ゴム組成物。
(4)ロール用である(1)または(2)の加硫性ゴム組成物。
(5)ホース用である(1)または(2)の加硫用ゴム組成物。
かくして本発明によれば、高強度かつ耐摩耗性が改良されたゴム材料を得ることができる。本発明によって得られる加硫性ゴム組成物は、優れた耐摩耗性を有し、その加硫物は機械的強度に優れ、良好な耐油性、耐熱性、耐候性などを有するので各種シール材、ベルト類、ホース類、その他自動車用ゴム材料として有用である。
具体的には、O−リング、ガスケット、オイルシール、フレオンシールなどの各種シール材として好適であり、さらに、自動車用Vベルト、ポリ、リブベルト、歯付伝導ベルトなどのベルト類;自動車用パワーステアリングホース、建設機械など各種機械の油圧ホースなどの高圧耐油ホース、自動車用燃料ホースなどのホース類;ロール類;油井、ガス井で使用されるゴム製品[パッカー、ブローアウトプリベンター(BOP)、パイププロテクターなど];各種ダイアフラム;自動車用クラッチ板およびブレ−キシュー[これらはフェノール樹脂またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂とのその他の配合剤とブレンドし成型される)などを始めとし、各種の防振ゴム、電気製品、自動車部品、工業用品、はきものなど広範囲に利用することができる。
(カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム)
本発明で使用するカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとは、分子中にニトリル基を有し、炭素−炭素不飽和結合が少なく、且つゴム弾性を示す共重合体であって、さらにカルボキシル基を分子内に有するものである。
炭素−炭素不飽和結合の量は、ヨウ素価で代用的に表される。本発明のゴムは、ヨウ素価が80以下、好ましくは60以下のものである。80を超えるものでは、耐油性、耐熱性が低下してくる。
結合ニトリルの量は、特に限定されないが、通常、10〜60重量%、好ましくは15〜40重量%である。なお、結合ニトリルの量は、ケルダール法によって求めた値である。結合ニトリル量が多くなると耐油性、耐熱性が高くなり、結合ニトリル量が少なくなるとゴム弾性が大きくなるので、用途に応じて適宜選択する。
分子中のカルボキシル基の量としては、その酸当量が、2×10-3ephr以上、好ましくは2×10-3〜5×10-2ephr、さらに好ましくは5×10-3〜3×10-2ephrである。酸当量が過度に少ないとゴム材料としての強度特性が改良されないので好ましくない。
なお、酸当量は、ゴムをアセトンに溶解し、n−ヘキサンで再沈精製した後、該再沈精製ゴムをアセトンに再溶解し、このゴム溶液を、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて、チモールフタレインを指示薬として、滴定することによって測定して求めた値である。
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、15〜200、好ましくは30〜150のものである。ムーニー粘度が高いと練り加工性が悪くなり、逆に低いと、高圧下での耐久性が不充分で、圧縮永久歪み、つぶれ(圧縮緩和)が不十分になる。
さらに、そのメチルエチルケトン不溶解分が、通常、3重量%以下、好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下であり、実質的にゲルフリーである。メチルエチルケトン不溶解分が大きくなると耐摩耗性が向上しにくくなるので好ましくない。
なお、メチルエチルケトン不溶解分は、ゴムを細かく切り刻み、これを80メッシュの金網製のかごに入れ、このかごを常温のメチルエチルケトンに48時間浸漬し、かごに残った固形分を乾燥し、乾燥物の重量を測定し、かごに最初に入れたゴムの重量に対する乾燥物の重量を百分率で表した値である。
本発明で使用するカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの製造方法は、特に限定されないが、通常は、ラジカル発生剤の存在下でのラジカル付加法、または、高温下でのエン型付加法が挙げられる。好適な方法としては、加熱密閉式混練機において、ゴム温度200〜280℃の範囲でニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とをエン型付加反応させる方法が挙げられる。
(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム)
エン型付加反応で使用するニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムの共役ジエン単位部分を水素化したものである。このニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、その結合ニトリル量が、通常、10〜60重量%、好ましくは15〜40重量%であり、ヨウ素価が、通常、80以下、好ましくは、60以下であり、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が、通常、30〜300未満、好ましくは50〜200の範囲、さらに好ましくは60〜150の範囲のものである。
ヨウ素価が大きくなると、耐熱性および強度が低下する。ヨウ素価の下限は格別限定されないが、過度に低いと加硫が困難になる場合があるので、概して、ヨウ素価が少くとも1のものが用いられる。ムーニー粘度が低くなると、高圧下での耐久性が不充分で、圧縮永久ひずみ、つぶれ(圧縮緩和)が改善されない。またムーニー粘度が大きくなると混練時の加工性が悪くなる。
上記のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを製造するために使用するエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体は、通常、エチレン性不飽和ニトリルと共役ジエンとを含有する単量体組成物を重合することによって得る。
エチレン性不飽和ニトリルの具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル等が挙げられる。これらのうちアクリロニトリルが好適に用いられる。エチレン性不飽和ニトリルの量は、単量体組成物中に、通常、10〜60重量%である。
共役ジエンの具体例としては、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン等が挙げられる。これらのうち1,3−ブタジエンが好適に用いられる。共役ジエンの量は、単量体組成物中に、通常、40〜90重量%である。
共役ジエンとして、1,3−ブタジエンおよびイソプレンを併用した場合(すなわち、イソプレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴムの場合)は、通常、結合共役ジエン合計量中の結合1,3−ブタジエン量は30〜70重量%、結合イソプレン量は70〜30重量%である。
単量体組成物には、エチレン性不飽和ニトリル及び共役ジエンと共重可能なエチレン性不飽和モノマーを0〜50重量%の範囲で共重合させることができる。
不飽和ニトリル及び共役ジエンと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンのごときビニル芳香族化合物;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸プロピル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ペンチル、マレイン酸ジ−n−ヘキシル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ペンチル、フマル酸ジ−n−ヘキシル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ペンチル、イタコン酸ジ−n−ヘキシル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、シトラコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、シトラコン酸ジプロピル、シトラコン酸ジ−n−ブチル、シトラコン酸ジイソブチル、シトラコン酸ジ−n−ペンチル、シトラコン酸ジ−n−ヘキシル、シトラコン酸ジ−2−エチルヘキシル、メサコン酸ジメチル、メサコン酸ジエチル、メサコン酸ジプロピル、メサコン酸ジ−n−ブチル、メサコン酸ジイソブチル、メサコン酸ジ−n−ペンチル、メサコン酸ジ−n−ヘキシル、メサコン酸ジ−2−エチルヘキシル、グルタコン酸ジメチル、グルタコン酸ジエチル、グルタコン酸ジプロピル、グルタコン酸ジ−n−ブチル、グルタコン酸ジイソブチル、グルタコン酸ジ−n−ペンチル、グルタコン酸ジ−n−ヘキシル、グルタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、アリルマロン酸ジメチル、アリルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジプロピル、アリルマロン酸ジ−n−ブチル、アリルマロン酸ジイソブチル、アリルマロン酸ジ−n−ペンチル、アリルマロン酸ジ−n−ヘキシル、アリルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、テラコン酸ジメチル、テラコン酸ジエチル、テラコン酸ジプロピル、テラコン酸ジ−n−ブチル、テラコン酸ジイソブチル、テラコン酸ジ−n−ペンチル、テラコン酸ジ−n−ヘキシル、テラコン酸ジ−2−エチルヘキシルのごときエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル;
メトキシアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレートのごときエチレン性不飽和カルボン酸アルコキシアルキルエステル;
α−およびβ−シアノエチルアクリレート、α−,β−およびγ−シアノプロピルアクリレート、シアノブチルアクリレート、シアノオクチルアクリレート、α−およびβ−シアノエチルメタクリレート、α−,β−およびγ−シアノプロピルメタクリレート、シアノブチルメタクリレート、シアノオクチルメタクリレートのごときエチレン性不飽和カルボン酸シアノ置換アルキルエステル;
2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートのごときエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシル基置換アルキルエステル;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミドのごときエチレン性不飽和アミド;
ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンのごとき非共役ジエン;エチレン性不飽和カルボン酸フルオロアルキルエステル等を挙げることができる。
エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムの具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン−ブトキシアクリレート共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合ゴム等が挙げられる。これらのうちNBRが好適に用いられる。
かかるエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムは、通常、ラジカル重合開始剤の存在下、必要に応じて分子量調整剤を用い、エチレン性不飽和ニトリルと共役ジエン、さらに必要に応じてその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合することによって調製される。
使用するラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、1,1´−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;
メチルエチルパーオキシド、クメンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等の過酸化物類などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。重合開始剤の量は、単量体組成物100重量部に対して、通常、0.005〜3重量部である。また、重合温度は開始剤の種類によって異なるが、通常、0〜100℃である。
分子量調整剤としては、2,2',4,6,6'−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、2,4,4−トリメチルペンタン−2−チオール、ドデカン−12−チオール、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−4−メタンチオール、2,4,6−トリメチルノナン−4−チオール等のアルキルチオール化合物類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;
四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー(2−4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが50重量%以上のものが好ましい)、2,5−ジヒドロフラン、3,6−ジヒドロ−2H−ピン、フタラン、1,2−ブタジエン、1,4−ヘキサジエン等を挙げることができる。分子量調整剤の量は、単量体合計量100重量部に対し、通常、0.005〜3重量部である。
重合の方法は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、懸濁重合あるいは乳化重合等を必要に応じて適宜選択することができる。なかでも、乳化重合が好適である。乳化重合によって製造する場合には、たとえば、公知の乳化重合の手法により重合を行い、所定の転化率に達した時にヒドロキシルアミン、カルバミン酸ナトリウム等を加えて重合を停止し、次いで、残存単量体を加熱、水蒸気蒸留等によって除去し、さらに、得られた重合体ラテックスに無機の凝固剤、高分子凝集剤または感熱凝固剤等の通常の乳化重合で使用される凝固剤を加え、共重合体を凝固、回収することができる。
エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムの共役ジエン単位部分を水素化する方法はとくに限定されず、通常の水素化方法を用いることにより行なわれる。具体的には、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムを溶媒に溶解した状態で、水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。
溶媒は、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムを溶解可能なものである。具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼンのごとき芳香族化合物;シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンのごときケトン;テトラヒドロフラン;酢酸エチル;ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
水素化触媒としては、例えば、パラジウム/シリカおよびパラジウム錯体(特開平3−252405号)等が挙げられる。さらに、特開昭62−125858号、特開昭62−42937号、特開平1−45402号、特開平1−45403号、特開平1−45404号、特開平1−45405号等に記載されているようなロジウムまたはルテニウム化合物を使用することもできる。
水素化反応温度は、通常、5〜150℃、好ましくは10〜100℃である。高温では、水素化触媒が失活したり、又は副反応が起こりやすくなる。副反応としては、ニトリル基が水素化されたりする反応等が挙げられる。
(エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物)
エン型付加反応で使用するエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物は、特に限定されないが、その炭素数が4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水物、特に無水マレイン酸が好適である。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸のごときエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸のごときエチレン性不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸のごときエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物;
マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノ−n−ペンチル、マレイン酸モノ−n−ヘキシル、マレイン酸モノ−2−エチルヘキシル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノイソブチル、フマル酸モノ−n−ペンチル、フマル酸モノ−n−ヘキシル、フマル酸モノ−2−エチルヘキシル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノ−n−ブチル、イタコン酸モノイソブチル、イタコン酸モノ−n−ペンチル、イタコン酸モノ−n−ヘキシル、イタコン酸モノ−2−エチルヘキシル、シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノ−n−ブチル、シトラコン酸モノイソブチル、シトラコン酸モノ−n−ペンチル、シトラコン酸モノ−n−ヘキシル、シトラコン酸モノ−2−エチルヘキシル、
メサコン酸モノメチル、メサコン酸モノエチル、メサコン酸モノプロピル、メサコン酸モノ−n−ブチル、メサコン酸モノイソブチル、メサコン酸モノ−n−ペンチル、メサコン酸モノ−n−ヘキシル、メサコン酸モノ−2−エチルヘキシル、グルタコン酸モノメチル、グルタコン酸モノエチル、グルタコン酸モノプロピル、グルタコン酸モノ−n−ブチル、グルタコン酸モノイソブチル、グルタコン酸モノ−n−ペンチル、グルタコン酸モノ−n−ヘキシル、グルタコン酸モノ−2−エチルヘキシル、アリルマロン酸モノメチル、アリルマロン酸モノエチル、アリルマロン酸モノプロピル、アリルマロン酸モノ−n−ブチル、アリルマロン酸モノイソブチル、アリルマロン酸モノ−n−ペンチル、アリルマロン酸モノ−n−ヘキシル、アリルマロン酸モノ−2−エチルヘキシル、テラコン酸モノメチル、テラコン酸モノエチル、テラコン酸モノプロピル、テラコン酸モノ−n−ブチル、テラコン酸モノイソブチル、テラコン酸モノ−n−ペンチル、テラコン酸モノ−n−ヘキシル、テラコン酸モノ−2−エチルヘキシル等のごとき不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
(無水マレイン酸付加反応)
無水マレイン酸付加反応としては、とくに限定されないが、ラジカル発生剤の存在下でのラジカル付加法、高温下でのエン型付加法等が採用される。
しかし、ラジカル発生剤を使用すると、ゲルの発生やゴムのムーニー粘度の上昇を来し、また、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとがラジカル型付加反応を起こ等、反応を十分に制御できないことがあるので好ましくない。
無水マレイン酸付加反応としては、安定した反応を行うことができることから、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とを、エン型付加反応させる方法が採用される。
エン型付加反応させるためには、通常、ラジカル発生剤を使用することなく、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物を溶解する不活性溶剤中で加熱することにより、あるいは、加熱密閉式混練機において、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン高温下で前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とを混練する。
(加熱密閉式混練機を使用するエン型付加反応)
なかでも、加熱密閉式混練機を使用する方法は、製造コストが低く、生産性が高いために好適である。ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物の量は特に限定されないが、通常、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物0.05〜10重量部、好ましくは、0.2〜6重量部である。
エン型付加反応で使用する加熱密閉混練機としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー等のバッチ式加熱密閉混練機の中から任意に選ぶことができ、なかでも、加圧ニーダーが好ましい。加熱密閉混練機を使用せずに、例えばロール型混練機のような開放型混練機を用いた場合は、融解した無水マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物が飛散し、十分な付加反応を行なうことが出来ないので好ましくない。
また、単軸押出機、同方向二軸押出機、異方向回転二軸押出機等の連続式混練機の場合は、押出機出口に滞留するゴムがゲル化することによりダイヘッドの詰まりが発生する等、効率よく付加反応を行なうことが出来ない場合がある。また、ゴム中に多量に未反応のエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物が残存する。
エン型付加反応を加熱密閉式混練機を用いて行い、カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合ゴムの製造を行う際に、以下の条件を採用することにより、ゴム分子中に高い割合でカルボン酸無水基を存在させることができる。一般に、ゴム分子中のカルボン酸無水物基が分解してカルボキシル基の含有量が増大すると、配合剤の酸化亜鉛等との反応速度が促進されるために加硫がスコーチしやすく、また、耐摩耗性や耐圧縮永久歪性が低下する傾向がみられるので好ましくない。
具体的な製造方法としては、まず、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物をニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにエン型付加反応により付加させる前に、実質的にエン型付加反応が起こらない温度において、具体的には、ゴム温度を60〜170℃、好ましくは、100〜150℃の範囲において、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとを予混練し、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物をニトリル基含有高飽和共重合体中に均一に分散させることが好ましい。この予混練の温度が過度に低いと、ゴムが混練機内でスリップして、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとの混合が十分に行えない。また、予混練の温度が過度に高いと、混練機中に投入するエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物が大量に飛散することがあり、エン型付加反応率が低下する。
次に、エン型付加反応を行うべく、混練機のジャケット温度を上昇させ、混練中のゴムとエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物との混合物の温度(以下、ゴム温度と記すことがある。)が200〜280℃、好ましくは220〜260℃に保つことが必要である。ゴム温度をこの範囲に保つ方法は、特に限定されないが、通常は、混練機のジャケットに温水を流す方法、または、せん断発熱を利用することにより達せられる。
加熱密閉混練機のジャケット温度は、通常、70〜250℃、好ましくは130〜200℃である。また、せん断発熱を利用する場合は、混練機による混練を、せん断速度30〜1000S-1、好ましくは300〜700S-1の範囲内で行なうことが好ましい。特に、せん断発熱を利用する場合は、ゴム温度の制御を容易に行なうことが出来るので好ましい。加熱密閉混練機中の混練時間は、とくに限定されないが、通常、120秒〜120分、好ましくは180秒〜60分である。
ゴム温度が過度に低いと、エン型付加反応が十分に進行しない。また、過度に高い場合は、ゲル化や焼け物の発生等が起こりその結果、製品にゲルが混入し好ましくない。また、せん断速度が過度に大きいと、せん断発熱によるゴム温度の制御が難しく、ゴム温度が280℃を超えてしまうためゲルや焼け物の発生等が起こり工業的な製造方法として好ましくない。また、せん断速度が過度に小さいと、ゴム温度が200℃に達せず充分なエン型付加反応が期待できない。
かかる加熱密閉式混練機中で混練するに際して、老化防止剤を添加することにより、ゴムのゲル化、ムーニー粘度の上昇を防止することができる。老化防止剤の種類は、特に限定されないが、アミン系、アミンケトン系、フェノール系、ベンゾイミダゾール系その他ゴム用の老化防止剤を使用することができる。
アミン系老化防止剤としては、フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、P−(P−トルエンスルフォニルアミド)ジフェニルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−P−フェニレンジアミン、N,N−ジフェニル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−イソプロピル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−(1,3−ジメチルブチル)−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−(3−メテクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−P−フェニレンジアミン等が挙げられる。
アミンケトン系老化防止剤としては2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン等が挙げられる。
フェノール系老化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン等が挙げられる。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤としては2−メルカプトベンゾイミダゾール、2メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2メルカプトメチルベンゾイミダゾールの金属塩等が挙げられる。これら、老化防止剤の量は、ゴム100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
以上の製造方法によれば、エン型付加反応に使用するエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物の仕込量の80%以上をニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに付加させることができる。さらに、ゴム中に残存する未反応のエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物を5%以下にすることができ、工業的に安定生産する上で極めて有用な製造方法として利用できるものである。
さらに、かかる製造方法を採用することにより製造されるカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、酸当量が2×10-3ephr以上、赤外線吸光分析において[カルボン酸無水物基のピーク高]/([カルボン酸無水物基のピーク高]+[カルボキシル基のピーク高])が0.50以上、好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.9以上にすることができる。0.50未満になると、加硫反応においてスコーチが起きやすい傾向になる。
ここで、[カルボン酸無水物基のピーク高]/([カルボン酸無水物基のピーク高]+[カルボキシル基のピーク高])は、赤外線吸光分析機を用いた測定において、カルボン酸無水物基は1785cm-1付近に、カルボキシル基は1710〜1740cm-1付近にそれぞれ観測される吸収ピークに基づき定めたものである。
(エチレン性不飽和カルボン酸金属塩)
本発明で使用するエチレン性不飽和カルボン酸金属塩としては、1または2以上のカルボキシル基を有する炭素数5以下のエチレン性不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合した構造を持つものであればよい。
エチレン性不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸;マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜8のアルキル基を有するモノエステル化合物等が挙げられる。
金属としては、上記エチレン性不飽和カルボン酸と塩を形成するものであれば特に制限されないが、通常、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、錫、鉛等を使用でき、これらの中でも強度特性の点から、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムが適しており、とくに亜鉛が好ましい。
上記のエチレン性不飽和カルボン酸と金属とのモル比は、1/0.5〜1/3の範囲内が好ましい。
これらのエチレン性不飽和カルボン酸金属塩は、他の成分と配合、混練してエラストマー組成物を製造する時に、金属塩の形でエラストマーに配合してもよく、また前記のエチレン性不飽和カルボン酸と前記金属の酸化物、水酸化物、または炭酸塩とを添加して混練等の操作中にこれらを反応させて生成させてもよい。
エチレン性不飽和カルボン酸金属塩の使用量は特に制限されないが、通常、エラストマー100重量部あたり3〜120重量部、好ましくは5〜100重量部、とくに好ましくは10〜60重量部の範囲で使用される。使用量が過度に少ないとき、又は、過度に多いときはエラストマー製品の強度特性が劣るので好ましくない。
(有機過酸化物)
本発明で使用する有機過酸化物はとくに限定されないが、通常はジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどが挙げられる。これらの有機過酸化物は1種または2種以上併用して使用され、通常エラストマー100重量部に対し0.2〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲で使用される。
本発明の加硫性ゴム組成物には、加硫成型する際に全型離型性を良好にする目的で、硫黄又はリン元素含有陰イオン界面活性剤を配合することができる。硫黄元素又はリン元素含有陰イオン界面活性剤は、(1)スルホン酸のIA、IIA又はIIB金属の塩であるスルホン酸塩系界面活性剤、(2)硫酸とアルコールとのエステルのIA、IIA又はIIB金属の塩である硫酸エステル塩系界面活性剤、および(3)リン酸エステルのIA、IIA又はIIB金属の塩であるリン酸エステル塩系界面活性剤である。
IA、IIA又はIIB金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛等が挙げられる。なかでもナトリウムが賞用される。
これらの化合物以外にも、アルキルホスホン酸、アルキルアリールホスホン酸、ホスフィン酸アミン塩、アシルオキシホスホン酸、ケトホスホン酸、ホスホン酸硫酸エステル等のホスホン酸;アルキルスルフィン酸、アルキルチオ硫酸エステル、アルキルヒドロ亜硫酸エステル、アルキル過硫酸エステル、アルキルスルファミン酸、アミド結合スルファミン酸、アルキルスルホンアミド、アルキルアシルスルホンアミド、アルキルジスルホンイミド、アルキルスルホニル尿素、アルキルジチオカルバミン酸等も使用することが可能である。
これらの陰イオン界面活性剤はそれぞれ単独で配合、または2種以上を併用して配合することができる。該界面活性剤のなかでも、スルホン酸塩系界面活性剤(1)が賞用され、とりわけ炭素数10〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、とくに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
陰イオン界面活性剤の使用量はとくに限定されないが、通常はエラストマー100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。使用量が過度に少ないときは、金属離型性が改善されない。また、過度に多いときは、エラストマー加硫物の強度特性が低下するので好ましくない。
また、必要に応じて高級脂肪酸金属塩をさらに配合することができる。高級脂肪酸の例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
これらの高級脂肪酸の金属塩の合成に使用する金属は、特に限定されるものではないが、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属;マグネシウム;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属;亜鉛、カドミウム等の亜鉛族金属;錫、鉛等の炭素族金属;ニッケル等のVIII族金属が好ましく、エラストマー製品の特性からは、なかでも、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛族金属、炭素族金属が、とりわけ、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、錫が好ましい。
高級脂肪酸の金属塩の使用量は、エラストマー100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
本発明の加硫性ゴム組成物は、前記のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムおよび各配合剤をロール、バンバリー等で混練し、調製される。これら配合剤以外にも、通常エラストマー工業で使用されている各種のカーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の充填剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、軟化剤、発泡剤、着色剤などの各種の配合剤を配合することができる。
本発明の加硫性ゴム組成物の加硫は1段階でも2段階でもよいが、2段階で行う場合、1段目の加硫温度は約140〜180℃が好ましい。加硫時間はその温度に依存するが、一般に2分〜20分である。2段目の加硫温度は1段目の温度より約10℃高いのが好ましい。
本発明の加硫性ゴム組成物は、金型プレス成形、射出成形、トランスファー成形等の公知の成形方法により各種ゴム製品に加硫成形することができる。かかる加硫成形は、有機フツ素化合物系離型剤を塗布した金型中で行うことにより、加硫ゴムを効率良く成形することができる。
使用する有機フツ素化合物系離型剤は、加硫ゴムの成形温度において液体または固体を形成するものであり、例えば、パーフルオロスルホン酸塩系、フツ素化有機化合物系、フツ素化オレフィンの付加ポリマー系およびフツ素化エーテル系の有機フツ素化合物を含有するものを挙げることができる。
これらの中でも、パーフルオロスルホン酸塩系が性能上優れている。これらの有機フツ素化合物系離型剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を併用してもよい。また、有機フツ素化合物系離型剤以外の離型剤、例えば、シリコン系離型剤または金属セッケン系離型剤等を併用してもよい。その使用量は、有機フツ素化合物系離型剤の性能を損なわないという観点から有機フツ素化合物系離型剤に対して50重量%以下、好ましくは30重量%以下が適当である。
使用する有機フツ素化合物系離型剤は、通常、有機溶剤または水性媒体中に溶解または分散させて使用する。有機フツ素化合物系離型剤の有機溶剤溶液または水性分散液中の濃度は、通常、0.05〜10重量%程度にするのが好ましい。
金型に有機フツ素化合物系離型剤を塗布するには、公知の方法を用いることができる。例えば、金型を離型剤の溶液または分散液中に浸漬する方法、金型に離型剤の溶液または分散液を吹き付けまたは刷毛塗りすること等により、または布に浸みこませて塗り付けることにより塗布し、その後、有機溶剤または水を蒸発除去する方法等がある。
(ゴム組成物と繊維との複合体)
本発明のゴム組成物は、良好な加工性を示しナイロン等の各種繊維との接着性が改良されることから、該ゴムと繊維との複合体は、加硫接着によって接着強度及び機械的強度に優れた製品が得られる。この複合体は、ベルト、ホース等に有用である。使用される繊維には木綿のような天然繊維、レーヨンのような再生繊維、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、芳香族ポリアミド繊維のような合成繊維、スチル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維などが含まれる。これらの繊維は単独でも、または、二種以上組合せて用いてもよい。これらの繊維はステーブル、フィラメントまたはコード状、ロープ状、帆布、すだれ状などの織布の形態で抗張体としてニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに埋設して用いられるが、繊維の種類および形態は目的とするベルトその他の種類(用途)に応じて適宜決定することができる。
繊維は共重合体ゴムと複合化するに先立って、それぞれの繊維に通常実施されている方法で接着前処理を行なうが、特別な処理は必要としない。例えば、レーヨン、ナイロンの場合は通常レゾルシン−ホルマリンの初期縮合物の水溶液(以下、RFと略記する)とゴムラテックスとの混合物(以下、RFLと略記する)によって接着処理が施される。
一方、ポリエステル、芳香族ポリアミドなどの繊維では分子構造上ゴムとの接着性が劣るため、前記RFLによる接着処理では充分な接着力が得られず、そのため、RFL処理に先立ってイソシアネート類、エチレンチオ尿素類、エポキシ類などの化合物またはこれらの化合物を適当に組合せた処理液で繊維を処理した後、熱処理し、次にRFL処理が行なわれる。ガラス繊維はRFL処理に先立ってエポキシシラン、アミノシラン(例、アミノプロピルトリエトキシシラン)等のシランカップリング剤による処理が一般的に有効である。
RFL処理で使用されるゴムラテックスは特に限定されることなく、例えばアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン−メタアクリル酸共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン−ビニルピリジン酸共重合体ラテックスおよびこれらの共重合体のブタジエン部分を水素化したものなどのニトリル系共重合体ラテックス・エピクロロヒドリン重合体、エピクロロヒドリンと一種以上の他のエポキシドまたはオキセタンとの共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、架橋用モノマーとして塩素含有モノマーを共重合した塩素含有アクリルゴム、臭素化ブチルゴム、ポリ塩化ビニリデン;塩素化または臭素化ジエン系ゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴムなど)、塩素化または臭素化エチレン−プロピレン−ジエンモノマー−三元共重合体ゴムなどのハロゲン化重合体などのハロゲン含有重合体ラテックスが例示される。
RFL処理に使用されるラテックスとして、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの水性エマルジョンを用いた場合にはゴム配合物と繊維との接着力をさらに強固なものにすることができるので好ましい。これらのゴムラテックスは単独であるいは混合して使用することができる。
該ゴムラテックスは乳化重合で製造されるものはその重合体ラテックスとしてそのまま使用でき、固形の重合体として入手できるものは通常の転相法によりラテックス化して使用できるが、本発明においてはラテックスの製造方法は特に制限されない。
繊維を処理するためのRFL液は前記のゴムラテックスとRFとの混合液であり、該混合液の構成割合は特に限定されないが、通常該ラテックス対RFはそれぞれの固形分重量割合で10:1〜2:1の範囲にあることが望ましい。また、RF液におけるレゾルシン対ホルマリンのモル比も特に限定されないが、通常1:3〜3:1の割合であることが望ましい。さらに望ましくは1:1〜1.5:1の範囲である。また、RF液はゴム配合物と繊維の加硫接着用に常用されている該混合液が使用でき、特に制限されない。
かかるRFL処理液による繊維の処理方法は本発明においては特に限定されないが、浸漬法に従って前記繊維を浸漬し、しかる後、熱処理を行なうのが一般的である。熱処理の条件も本発明においては特に限定されるものではなく、繊維の種類に従って多少の変動はあるが、浸漬により付着したRFLを反応定着するに十分な湿度と時間であり、通常140〜210℃位で数分間行なわれる。なお、通常、繊維の種類によっては前記熱処理液への浸漬に先立って繊維を予めイソシアネート溶液、エポキシ溶液またはそれらの混合液に浸漬し、乾燥処理しておくことも可能である。この場合、乾燥湿度は、後続の熱処理温度以下が望ましい。
(ゴムと繊維との複合)
上述のようなRFL処理を行なった繊維をニトリル基含有高飽和共重合体ゴム配合物と加硫接着させるが、該繊維はニトリル基含有高飽和共重合体ゴム配合物に混合され、また該ゴム配合物と積層されるなどした後、該ゴム配合物の通常の加硫条件に従って加硫が行なわれる。加硫の条件はとくに限定されないが、通常は0.5〜10MPaの加圧下、130〜200℃で1〜120分間である。ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム配合物は該ゴムとゴム工業で常用されている各種配合剤とを通常の混合液を用いて配合ゴム組成物とされる。配合剤の種類および使用量はゴム−繊維複合体の使用目的(用途)に従って決められ、本発明においては特に限定されない。
(ベルト)
ベルトの製造方法は、とくに限定されないが、通常、本発明の加硫性ゴム組成物単独で、場合によっては本発明の主旨が損なわれない範囲で他のゴムと併用して、これに通常使用される充填剤、補強剤、加硫剤、可塑性、老化防止剤、その他の配合剤を通常の混合機を用いて混練混合してゴム配合組成物とし、接着前処理した繊維とを通常のベルトの製造方法に従って複合化し、目的に応じた形状に成形され、加硫工程を経てベルトとされる。
接着前処理としては、例えば、レーヨン、ナイロンの場合は通常レゾルシン−ホルマリンの初期縮合物の水溶液(以下、RFと略記する)とゴムラテツクスとの混合物(以下、RFLと略記する)によって接着処理が施される。
一方、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の繊維では分子構造上ゴムとの接着性が劣るため、前記RFLによる接着処理では充分な接着力が得られず、そのため、RFL処理に先立ってイソシアネート類、エチレンチオ尿素類、エポキシ類等の化合物あるいはこれらの化合物を適当に組合せた処理液で繊維を処理した後、熱処理し、次にRFL処理が行われる。
又、ガラス繊維はRFL処理に先立ってエポキシシラン、アミノシラン等のシラン化合物による処理が一般的に有効である。
RFL処理で使用されるラテツクスは特に限定されないが、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテツクス、アクリロニトリル−ブタジエン−メタアクリル酸共重合体ラテツクス、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体ラテツクス、アクリロニトリル−ブタジエン−ビニルピリジン酸共重合体ラテツクス等が特に好ましいものとして挙げられる。
又芳香族ポリアミドの前処理剤としてはエポキシが好ましい。
ガラス繊維用の前処理剤はアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤が好ましい。
使用される繊維は木綿のような天然繊維、レーヨンのような再生繊維、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、芳香族ポリアミド繊維のような合成繊維、スチル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等が含まれる。これらの繊維は単独でも、また二種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの繊維はステープル、フイラメントあるいはコード状、ロープ状、帆布、すだれ状等の織物の形態で抗張体として本発明の共重合体ゴムに埋設して用いられるが、繊維の種類および形態はベルトの種類(用途)に応じて適宜決定することができる。
(ホース)
ホースは2層構造又は3層構造のものを挙げることができ、その製造方法はとくに限定されないが、通常は以下のとおりである。ホースの各層は、各層に使用される各ゴムと、それぞれのゴムに対して従来から使用されている加硫系(硫黄加硫系、有機過酸化物系)、補強剤及び/又は充填剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤等の配合剤とを混合混練して調製した配合物で形成される。3層構造のホースでは、通常、先ず、内層用のゴム配合物を押出機にて押出し、接着剤を塗布後、中間層用のゴム配合物を同様にして内層上に押出し、続いてその上に編組補強糸層を形成し、接着剤を塗布し、その上に外層用ゴム配合物を押出し、加硫工程を経て3層構造のホースが製造される。
2層構造のホースでは、内層を形成し、編組補強糸層を形成した後接着剤を塗布し、その上に外層を押出し、加硫工程を経て2層構造のホースが製造される。加硫条件は通常150〜170℃で30〜60分である。各ゴムに対して使用される配合剤の種類及び使用量は、本発明においては特に限定されない。また、編組補強糸層の糸の種類も、耐熱性を有する繊維の糸であれば本発明では特に制限されないが、通常は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等が用いられる。
(ゴムロール)
ゴムロールの製造方法はとくに限定されないが、一般にゴムロールの作成に採られているのと同様な手法によって作成することができる。すなわち、金属製の回転軸などのロール状基材を芯金としてロール金型内に入れ、そこにゴム組成物を入れて、芯金の周囲にロール状に賦形し、次いで、100〜250℃に加熱して加硫する方法が採られる。
加硫成形後、得られたゴムロールは、必要に応じて表面の摩擦抵抗を下げたり、粘着力を低減するために、表面処理を行うことが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%は特に断りのないかぎり重量基準である。実施例および比較例において、ゴムのムーニー粘度はJISK6383に従って100℃において測定した。
評価方法は以下のとおりである。
(1)高速加硫性評価試験
日本ゴム協会規格SRIS 3102 に従い、表1の配合処方によって調製した未加硫ゴム組成物約10グラムを用いて、キュラストメーターによって、170℃におけるスコーチ時間(T10、T50、T90)(単位:分)、最大トルク(Vmax )及び最小トルク(Vmin )(単位:kg/cm)を測定した。T10等の値は小さいほど加硫速度が速い。また、Vmax の値は大きいほど架橋効率が高い。
(2)加硫物性評価試験
日本工業規格JIS K6301に従い、表1の配合処方によって調製した未加硫ゴム組成物を170℃×20分の条件で加硫して得られた厚さ2mmのシートを、3号形ダンベルを用いて打ち抜いて試験片を作成し、引張り強さ(単位:kgf/cm2 )、20%、50%、100%、200%、300%引張り応力(単位:kgf/cm2 )および伸び(単位:%)を測定した。また、硬さはJISスプリング式A形硬さ試験機を用いて測定した。ピコ摩耗試験は、ASTMD2228−88に準拠して行い、摩耗減量を測定した。値が小さい方が耐摩耗性が高いことを示す。
なお、無水マレイン酸付加水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムのカルボン酸付加率等の測定は以下のとおりである。
(酸当量とカルボン酸付加率)
ゴムをアセトンに溶解し、n−ヘキサンで再沈精製した後、該再沈精製ゴムをアセトンに再溶解し、このゴム溶液を、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて、チモールフタレインを指示薬として、滴定することによって酸当量又は付加量を求めた。仕込んだ無水マレイン酸の量に対する付加量(酸当量を換算して求めた)の割合で求めた。
(カルボン酸残存率)
ゴムをアセトンに溶解し、この溶液を、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて、チモールフタレインを指示薬として、滴定することによって求めた値から、前記付加量を減じ、その差を仕込んだ無水マレイン酸の量に対する割合で求めた。
(赤外線吸光分析)
赤外線吸光分析機((株)エス・ティ・ジャパン社製、アイリス走査型赤外顕微システムを用いて測定した。カルボン酸無水物基は1785cm-1付近に、カルボキシル基は1710〜1740cm-1付近にピークが出現する。
(MEK不溶解分)
ゴムを細かく切り刻み、これを80メッシュの金網製のかごに入れ、このかごを常温のメチルエチルケトンに48時間浸漬し、かごに残った固形分を乾燥し、乾燥物の重量を測定し、かごに最初に入れたゴムの重量に対する乾燥物の重量の百分率を求めた。
(無水マレイン酸付加水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムの製造)
ニトリル基含有高飽和重合体ゴム(水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ヨウ素価28、ニトリル含量36%、ムーニー粘度58)100部を、加熱密閉式混練機である加圧ニーダー(森山製作所製、混合量75リットル、MS式)を用いて素練りした。
このとき、加圧ニーダーは、混合槽、側板、加圧蓋、ブレード軸のジャケットに蒸気圧3(kg/cm )の圧力でスチームを流し、ジャケットを130℃に加熱し、ブレード回転数30/25rpm、せん断速度500S−1の条件で運転した。加圧ニーダー内の充填率は、ニーダーの全容量に対し約89.5体積%であった。
ゴム温度が130℃まで上昇した後、65℃で加熱溶融した無水マレイン酸1.8部及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)0.5部をプランジャーポンプを用いて加圧ニーダー内に投入し、引き続き混練(予混練)した。
混練によって発生するせん断発熱を利用してゴム温度が250℃になるように調整し、その温度で、さらに混練を行ない、エン型付加反応をさせた。ゴム温度を制御は、加圧ニーダーのジャケット部に35℃の水を流して行った。
最後に、加圧ニーダーの混合槽を倒し、約30秒間空練りして、ゴム混合物を落下させ、加圧ニーダーから取り出し、カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを得た。加圧ニーダーのブレードの汚れは全く認められなかった。
得られたカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、カルボン酸付加率89%、酸当量16.3×10-3ephr、赤外線吸光分析による[カルボン酸無水物基のピーク高]/([カルボン酸無水物基のピーク高]+[カルボキシル基のピーク高])の値0.96、MEK不溶解分0.2%、カルボン酸残存率3%の無水マレイン酸付加水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(マレイン酸変性ZP−1)である。
(オートクレーブによる無水マレイン酸付加アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムの調製)
オートクレーブ中にニトリル基含有高飽和重合体ゴム(水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ヨウ素価28、アクリロニトリル含量36%、ムーニー粘度58)のメチルエチルケトン溶液(濃度11%)を仕込み、該ゴム100部に対して無水マレイン酸30部を添加した後、不活性ガス雰囲気下でベンゾイルパーオキサイド7部を溶解したメチルエチルケトン溶液を連続添加しつつ、95℃で4時間反応させた。反応生成物はn−ヘキサン/ジエチルエーテル混合溶剤で再沈精製した。得られた反応生成物は、カルボン酸付加率6%、酸当量18.3×10-3ephr、赤外線吸光分析による[カルボン酸無水物基のピーク高]/([カルボン酸無水物基のピーク高]+[カルボキシル基のピーク高])の値0.45、MEK不溶解分7.1%、カルボン酸残存率9%の無水マレイン酸付加水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(マレイン酸変性ZP−2)である。
実施例1、2、3 比較例1
前記で調製した無水マレイン酸付加水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(マレイン酸変性ZP−1、マレイン酸変性ZP−2)を使用し、これに二メタクリル酸亜鉛塩(Zn(MAA)2)及び有機過酸化物系化合物(バルカップ40KE 1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン濃度40重量%品)を表1の処方に従い配合し、高速加硫試験及び加硫物性試験を行った。なお、市販の水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ゼットポール2020L ムーニー粘度58、ヨウ素価28、結合アクリロニトリル量36日本ゼオン株式会社)を混合して使用した場合も同様に評価した。
Figure 2006131918
表1の結果から、本発明の加硫性ゴム組成物を用いることにより、従来技術と比較して、低変形における引張応力及び引張強さの両方が改良されたゴム材料が得られることが分かる。さらに、このゴム材料は強度特性のみならずとくに耐摩耗性が大幅に改良されることがわかる。このように、低変形領域における強度特性が良好であること、および、耐摩耗性が大幅に改良された性質は、とくに、ベルト、ホースおよびロール用ゴム材料として好適である。
さらに、本発明で使用するカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの、赤外線吸光分析における[カルボン酸無水物基のピーク高]/([カルボン酸無水物基のピーク高]+[カルボキシル基のピーク高])が大きい値ものは、これらの物性がさらに改良されることが分かる。
(本発明の請求項1に係る耐油性組成物の具体的実施態様)
(1)カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、加熱密閉式混練機において、ゴム温度200〜280℃の範囲でニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とをエン型付加反応させて得られるものである。
(2)ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムの共役ジエン単位部分を水素化したものであり、その結合ニトリル量が、通常、10〜60重量%、好ましくは15〜40重量%であり、ヨウ素価が、通常、80以下、好ましくは、60以下であり、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が、通常、30〜300未満、好ましくは50〜200の範囲、さらに好ましくは60〜150の範囲のものである。
(3)エチレン性不飽和ニトリルが、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル等である。
(4)共役ジエンが、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン等である。
(5)エン型付加反応で使用するエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物が、その炭素数が4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水物である。
(6)カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、酸当量が2×10-3ephr以上、赤外線吸光分析において[カルボン酸無水物基のピーク高]/([カルボン酸無水物基のピーク高]+[カルボキシル基のピーク高])が0.50以上、好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.9以上である。
(7)エチレン性不飽和カルボン酸金属塩が、1または2以上のカルボキシル基を有する炭素数5以下のエチレン性不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合した構造を持つものである。
(8)エチレン性不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸;マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜8のアルキル基を有するモノエステル化合物等である。
(9)金属が、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、錫、鉛等である。
(10)エチレン性不飽和カルボン酸と金属とのモル比が、1/0.5〜1/3の範囲内である。
(11)エチレン性不飽和カルボン酸金属塩の使用量が、通常、エラストマー100重量部あたり3〜120重量部、好ましくは5〜100重量部である。
(12)有機過酸化物が、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどである。
(13)有機過酸化物の使用量が、通常エラストマー100重量部に対し0.2〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲である。

Claims (5)

  1. 酸当量が2×10−3ephr以上、ムーニー粘度が15〜200、ヨウ素価が80以下のカルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩及び有機過酸化物を配合してなり、かつ前記カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、炭素数4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水物によりカルボキシル化されたものであることを特徴とする加硫性ゴム組成物。
  2. 前記カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、酸無水物基を含有することを特徴とする請求項1に記載の加硫性ゴム組成物。
  3. ベルト用である請求項1または請求項2に記載の加硫性ゴム組成物。
  4. ロール用である請求項1または請求項2に記載の加硫性ゴム組成物。
  5. ホース用である請求項1または請求項2に記載の加硫用ゴム組成物。
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