JP2006131811A - 顔料分散体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は分散安定性に優れた顔料分散体の製造方法に関する。
塗料、インキなどの色材分野において、分散性、流動性、透明性、光沢、鮮明性、経時安定性などの適性を付与するために、有機顔料をできるだけ微細化し樹脂で被覆するという方法が一般的である。有機顔料とは発色性の有機化合物分子が規則的に配列し1次粒子と呼ばれる一定の形状を持った最小粒子単位から構成されるものであるが、それが塗料、インキ中では数個〜数十個単位で凝集した凝集体(凝集粒子または2次粒子と呼ばれる)として存在し、安定化されている。1次粒子(結晶)中の分子の並び方(結晶構造、α、β、γなどで分類される)、1次粒子の形、サイズはもちろん、凝集のしかたや、凝集した粒子数、サイズなどによって、塗料やインキの分散性など上記諸物性が大きく影響を受けることがよく知られている。以下有機顔料を単に顔料として表すことにする。
顔料の微粒子分散体を得る方法としては、化学合成して得られた大きな結晶(粗顔料またはクルードと呼ばれる)をニーダーやボールミルなどといった分散機を用いて、無機塩または硬質ビーズを共存することで所望のサイズまで粉砕し、アクリル系の水溶性ポリマーで顔料を被覆する方法が知られている(例えば特許文献1参照。)。顔料分散用と称してさまざまな分散剤が推奨され販売されている。
しかしながらこれらの方法はいずれにしても、いったん凝集してしまった顔料粉体にあとから処理を施しているという意味で、顔料を限りなく微細な状態で分散するためには過剰なエネルギーや工程を必要とする。
また、ニーダーによる磨砕は顔料の微細化や粒度分布をシャープにする面で優れているが、磨砕に大きなエネルギーを要したうえに磨砕の際に大量の塩を使用するため装置の劣化が早く、設備面での問題を抱えている。
ボールミルなどによる磨砕では顔料が細かくなるものの融着してしまうために、結局は磨砕後に再度有機溶剤中で再度加熱処理を行う必要がある。その際に所望の結晶形とは異なり、特定の方向にだけ選択的に成長した形状になりやすいといった問題があった。
また、ニーダーによる磨砕は顔料の微細化や粒度分布をシャープにする面で優れているが、磨砕に大きなエネルギーを要したうえに磨砕の際に大量の塩を使用するため装置の劣化が早く、設備面での問題を抱えている。
ボールミルなどによる磨砕では顔料が細かくなるものの融着してしまうために、結局は磨砕後に再度有機溶剤中で再度加熱処理を行う必要がある。その際に所望の結晶形とは異なり、特定の方向にだけ選択的に成長した形状になりやすいといった問題があった。
これに対して、顔料を溶解させて晶析する際に顔料を分散剤や樹脂などで被覆する方法が提唱されている。キナクリドン系顔料を苛性アルカリと水との共存下にジメチルスルホキシドに溶解し、これに塩基性基含有アクリル樹脂を溶解した酸を加えて、顔料を樹脂で被覆する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、同じくキナクリドン系顔料を硫酸に溶解し、樹脂酸を中和した水溶液とともに水中に取り出すことにより、同じく顔料を樹脂で被覆する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
これらの方法は、上記の他の方法と異なり多くのエネルギーを要さず、顔料の微細化と樹脂による安定化が同時に図られているために、顔料の微細化という観点で優れた方法である。しかしながらこれらの方法では晶析後に溶媒のジメチルスルホキシドを除去したり、アルカリや酸を中和したり、中和した塩を除去するなどの後工程を必要とする。この後工程では、それまでに良く分散し安定な距離を保っていた顔料粒子同士が、再び高濃度化されて凝集した状態になる。そのため顔料を分散安定化していた表面の樹脂吸着層が重なり、再分散させるときにほぐれなくなってしまう可能性がある。すなわち晶析直後の状態では確かに微細化されていても、ろ過洗浄後に再度分散すると粒子径が大きくなってしまうという問題があった。
特開平9−217019号公報
特開昭61−255964号公報
特開平11−302553号公報
本発明は、上述の背景技術の問題点を鑑みてなされたものであり、有機顔料の晶析工程で微粒子化を可能とし、更に後工程であるろ過、洗浄工程でも凝集が起こりにくく、再度水中に分散した際でも微粒子状態での分散安定性に優れた顔料分散体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、晶析工程において特定の樹脂の樹脂酸塩水溶液を用い有機顔料の被覆を行うことにより、ろ過洗浄した後でも分散安定性に優れた顔料分散体を得ることができる製造方法を見いだすに至った。
すなわち本発明は、酸価60〜200を有し、カルボン酸基が末端基である側鎖を有するアクリル樹脂であって、該側鎖が一般式(1)
で表される構造を有する樹脂(P)の樹脂酸塩水溶液と、有機顔料の溶液とを混合し、顔料を析出させることにより顔料分散体を得ることを特徴とする顔料分散体の製造方法である。
本発明によれば、晶析工程において特定の樹脂で被覆するために顔料の1次粒子が微細なままであり、分散安定化が図れる上、該樹脂の親水性基が水中に充分のばせる構造であるために、ろ過洗浄工程においても凝集を起こさず、再度水中に分散した際も分散安定性に優れた顔料分散体が得られる。
(樹脂(P))
本発明に用いられる樹脂(P)は、酸価60〜200を有し、カルボン酸基が末端基である側鎖を有するアクリル樹脂であって、該側鎖が一般式(1)
本発明に用いられる樹脂(P)は、酸価60〜200を有し、カルボン酸基が末端基である側鎖を有するアクリル樹脂であって、該側鎖が一般式(1)
で表される構造を有する樹脂である。
通常有機顔料に対する分散樹脂として用いられるアクリル樹脂は、官能基としてアクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルエタクリレート、βヒドロキシエチルアクリレート、スチレン、βメチルスチレン、ビニルトルエン、プロピルアミノアクリレート等の重合体であって側鎖に−COOH基を有する樹脂が挙げられる。これらの樹脂では、−COOH基が側鎖として主鎖から分岐しているとはいえ、−COOH基を有する側鎖の長さは必ずしも長いとは言えない。アクリル樹脂のうち−COOH基や−OH基の親水性が高いため、顔料を被覆した際にこれらの親水基が外を向いて、顔料を分散安定化させていると考えられる。
通常有機顔料に対する分散樹脂として用いられるアクリル樹脂は、官能基としてアクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルエタクリレート、βヒドロキシエチルアクリレート、スチレン、βメチルスチレン、ビニルトルエン、プロピルアミノアクリレート等の重合体であって側鎖に−COOH基を有する樹脂が挙げられる。これらの樹脂では、−COOH基が側鎖として主鎖から分岐しているとはいえ、−COOH基を有する側鎖の長さは必ずしも長いとは言えない。アクリル樹脂のうち−COOH基や−OH基の親水性が高いため、顔料を被覆した際にこれらの親水基が外を向いて、顔料を分散安定化させていると考えられる。
これに対し本発明の製造方法では、上記樹脂(P)を使用する。樹脂(P)は、親水基である−COO基を有する側鎖の長さが充分に長く、側鎖が主鎖から外へ伸び出すような構造を有する樹脂であるため、より高い分散安定性が図れ、ろ過・洗浄工程でも凝集を起こさず、再度水中に分散させた際にも凝集を起こしにくく、微粒子状態を保持するという優れた顔料分散性を有する。従って、樹脂(P)を晶析工程で用いる製造方法は、分散安定性に優れた顔料分散体を得る優れた製造方法である。
一般式(1)で表される樹脂(P)の側鎖の例としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸の長鎖アルキルエステルの末端にカルボン酸を有するものや、アルキル基の両端に水酸基とカルボン酸を持つ化合物をアクリル酸あるいはメタクリル酸とエステル化し、それを繰り返して伸ばしたものなどが挙げられる。またその側鎖は直鎖のものに限定されず、さらに分岐する側鎖を持っていても構わない。たとえば12ヒドロキシステアリン酸を2分子エステル化したものをメタクリル酸とエステル化すると、エステル結合部分にヘキシル基をさらなる側鎖として2本含有することになる。
また親水基としてカルボン酸の補助として、樹脂(P)の側鎖に水酸基を導入することも可能である。このような側鎖の例示としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸の長鎖アルキルエステルの末端に水酸基を有するものや、オキシエチレン基の繰り返し構造を持つポリオキシエチレングリコールをアクリル酸あるいはメタクリル酸にエステル化したものなどが挙げられる。その側鎖は直鎖のものに限定されず、さらに分岐する側鎖を持っていても構わない。
前記樹脂(P)の好ましい態様としては、一般式(2)
前記樹脂(P)の好ましい態様としては、一般式(2)
で表されるカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体5〜60質量%、及び一般式(2)で表される化合物と共重合可能なラジカル重合性単量体40〜95質量%を水性媒体中で乳化重合させたアクリル樹脂を挙げることができる。
さらに、一般式(2)で表されるラジカル重合性単量体として、R1が水素原子であり、−R2−が−C5H10−である一般式(3)
さらに、一般式(2)で表されるラジカル重合性単量体として、R1が水素原子であり、−R2−が−C5H10−である一般式(3)
で表される化合物が更に好ましい。
一般式(2)で表されるカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体は、例えば、(a)ω−ヒドロキシカルボン酸とカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とを反応させる方法、(b)α,ω−ポリエステルジカルボン酸とヒドロキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とを反応させる方法、(c)酸無水物とカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とエポキシ化合物とを反応させる方法および(d)特公平3−21536号公報に示されているようなカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とラクトンとを酸性触媒の存在下で反応させる方法等の、当業者に周知の方法で製造されるものである。しかしながら、前記(a)〜(c)の方法では、ラジカル重合性官能基が全くないもの、あるいは2個入ったものなどが副生成物として多量に生じることから、ラジカル重合性官能基を必ず1個含むカプロラクトンポリエステル不飽和単量体が得られる(d)の方法で長鎖カルボキシル基含有単量体を製造することが好ましい。
一般式(2)で表されるカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体は、例えば、(a)ω−ヒドロキシカルボン酸とカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とを反応させる方法、(b)α,ω−ポリエステルジカルボン酸とヒドロキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とを反応させる方法、(c)酸無水物とカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とエポキシ化合物とを反応させる方法および(d)特公平3−21536号公報に示されているようなカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とラクトンとを酸性触媒の存在下で反応させる方法等の、当業者に周知の方法で製造されるものである。しかしながら、前記(a)〜(c)の方法では、ラジカル重合性官能基が全くないもの、あるいは2個入ったものなどが副生成物として多量に生じることから、ラジカル重合性官能基を必ず1個含むカプロラクトンポリエステル不飽和単量体が得られる(d)の方法で長鎖カルボキシル基含有単量体を製造することが好ましい。
特に(d)の方法では、1分子中のε-カプロラクトン単位数が1〜5なる長鎖カルボキシル基含有単量体であるα−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))が主に得られる。1分子中のε-カプロラクトン単位数については、1〜10の範囲内が好ましく、更には1以上5以下がより好ましい。具体的には、1分子中のε-カプロラクトン単位の平均数が2なる商品名アロニクスM−5300(東亜合成化学工業(株))を、一般式(2)で表されるカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体として好適に用いることができる。
前記一般式(2)で表される化合物と共重合可能なラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;
ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;
メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有単量体;
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチル、イタコン酸モノn−ブチル、クロトン酸等の、一般式(2)に表されるカルボキシル基含有単量体以外のカルボキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸(2−ヒドロキシメチル)エチル、アクリル酸(2−ヒドロキシメチル)ブチル、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類;アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如き水酸基を含有するアリル化合物;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基を含有するビニルエーテル化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールクロトン酸アミドの如き水酸基を有する不飽和カルボン酸アミド化合物;
リシノール酸等の水酸基含有不飽和脂肪酸類;リシノール酸アルキル等の水酸基含有不飽和脂肪酸エステル類;
水酸基含有モノマーをエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの如きアルキレンオキサイドと付加反応せしめて得られる単量体等;
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の3級アミノ基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体類;
フタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、アクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の1分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体類などが挙げられ、これらを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一般式(2)で表されるカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と、これと共重合可能なラジカル重合性単量体との共重合比率は、5/95〜60/40(重量比)となるような範囲が好ましく、10/90〜50/50の範囲がより好ましい。この範囲であれば、樹脂(P)を水に容易に溶解させることができ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を製造することができる。
樹脂(P)の製造方法は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と、前記カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体との共重合により得ることができる。該重合方法は、得られる共重合体の重合反応操作及び分子量調節が容易であることから、例えば、乳化重合法、有機溶剤を用いた溶剤重合法及び塊状重合法等のラジカル重合開始剤を用いた方法が挙げられる。特に、有機溶剤量を削減できる観点、操作性の観点から、乳化重合法が好ましい。
共重合体の製造方法である乳化重合法は、乳化剤を添加した水中でモノマーを添加、撹拌しながら乳化分散させ、重合反応させる方法である。例えば、水又は必要に応じてアルコールなどのような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を添加し、加熱撹拌の下、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体、前記したカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体及びラジカル重合開始剤等を一括仕込み、連続滴下又は分割添加し、重合反応させる方法である。このとき、乳化剤と水とを用いて予め乳化させた各種ラジカル重合性単量体を同様に滴下してもよい。
乳化重合法で使用することのできる乳化剤としては、一般的な乳化重合に用いられているものであれば、アニオン性、カチオン性及びノニオン性のいずれの乳化剤でも特に制限なく使用することができる。
特に、アニオン性乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
また、カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
またノニオン性乳化剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
また、一般的に、反応性乳化剤と称されるラジカル重合性不飽和基を分子内に有する乳化剤も使用することができる。それらのうち特に代表的なものとしては、例えばスルホン酸基またはその塩を有する「ラテムルS−180A」[花王(株)製]または「エレミノールJS−2」[三洋化成(株)製]、硫酸基またはその塩を有する「アクアロンKH−1025」[第一工業製薬(株)製]または「アデカリアソープSR−10」[旭電化工業(株)製]、リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」[第一工業製薬(株)製]等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。しかし、一般式(2)で示すカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体のカルボキシル基を中和させたものを、反応性乳化剤として使用する方が、乳化剤の使用量を減らすことができるためより好ましい。
乳化剤の使用量は、一般的に乳化重合法において使用されているような量、すなわち、水溶性樹脂に使用するカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体及び前記したカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部なる範囲内が好ましく、0.2〜5質量部なる範囲内がより好ましい。
共重合体の製造方法である乳化重合法の重合条件のうち、反応温度は、使用するラジカル重合開始剤のラジカル発生方法によって決定されるものであり、例えば熱分解反応でラジカルを発生させる場合は60〜90℃であり、過硫酸系・過酸化物系開始剤と還元剤との組み合わせたレドックス反応の場合では30〜70℃であること好ましい。また、反応時間は、1〜10時間であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルまたはその塩酸塩、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドあるいは過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。
また、これらのラジカル重合開始剤と共に、還元剤を併用することも可能であり、例えば、ナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等を使用することができる。
また、これらのラジカル重合開始剤と共に、還元剤を併用することも可能であり、例えば、ナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等を使用することができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体及び前記したカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体の合計100質量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜2重量部がより好ましい。
ラジカル重合開始剤と併用可能な還元剤としては、例えば、ナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸などが挙げられる。
水溶性樹脂に使用する共重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を使用することができる。それらのうち代表的なものとしては、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ヘキサデシルメルカプタンなどのような各種のアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタンなどのような各種のアルキルベンジルメルカプタン類;チオグリコール酸、チオリンゴ酸などのような各種のチオカルボン酸類あるいはその塩類;n−ブチルチオグリコネート、ドデシル−3−メルカプトプロピオネートなどのような各種のチオカルボン酸アルキルエステル類;モノエタノールアミンチオグリコレートのような、各種の含窒素チオール類;トリメトキシシリルプロピルメルカプタンなどに代表されるような各種の反応性官能基含有メルカプタン類;α−メチルスチレンダイマーなどのような各種のダイマー型連鎖移動剤などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することができる。
また、共重合体の製造方法である乳化重合法としては、前記した乳化重合法に加えて、例えば無乳化剤乳化重合法、シード乳化重合法、マイクロエマルション重合法、パワーフィード法、ショットグロース法などのような種々の方法を適用することも可能である。
(重量平均分子量)
樹脂Pの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは5,000〜50,000であり、更に好ましくは、5,000〜30,000である。この範囲であれば、樹脂(P)の樹脂酸塩を水に容易に溶解させることができ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を製造することができる。
樹脂Pの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは5,000〜50,000であり、更に好ましくは、5,000〜30,000である。この範囲であれば、樹脂(P)の樹脂酸塩を水に容易に溶解させることができ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を製造することができる。
(酸価)
樹脂Pの酸価は、60〜200の範囲であるが、さらに好ましくは80〜150の範囲である。この範囲であれば、樹脂(P)の樹脂酸塩を水に容易に溶解させることができ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を製造することができる。
樹脂Pの酸価は、60〜200の範囲であるが、さらに好ましくは80〜150の範囲である。この範囲であれば、樹脂(P)の樹脂酸塩を水に容易に溶解させることができ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を製造することができる。
(樹脂酸塩)
樹脂(P)の樹脂酸塩は、樹脂(P)と塩基とを反応させることにより得ることができる。本発明に使用することのできる塩基化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのような各種の無機塩基;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソブチルアミン、またはジプロピルアミンのような各種のアルキルアミンなどをはじめ、さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような各種のアミノアルコール類、またはモルホリンなどのような各種の有機アミン類;あるいはアンモニアなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物で使用することができる。塩基の添加量は、樹脂(P)の酸価に対して0.5〜1.5当量となる範囲で用いることが好ましく、0.8〜1.2当量の範囲で用いることがより好ましい。
樹脂(P)の樹脂酸塩は、樹脂(P)と塩基とを反応させることにより得ることができる。本発明に使用することのできる塩基化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのような各種の無機塩基;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソブチルアミン、またはジプロピルアミンのような各種のアルキルアミンなどをはじめ、さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような各種のアミノアルコール類、またはモルホリンなどのような各種の有機アミン類;あるいはアンモニアなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物で使用することができる。塩基の添加量は、樹脂(P)の酸価に対して0.5〜1.5当量となる範囲で用いることが好ましく、0.8〜1.2当量の範囲で用いることがより好ましい。
(有機顔料)
本発明の対象となる顔料は、塗料やインキに使われる有機顔料全般であり、公知慣用のものがいずれも挙げられる。溶媒に溶解することが前提であり、硫酸を用いた場合は、耐酸性の弱いアゾ系顔料を除いたすべての有機顔料が利用できるが、苛性アルカリ水溶液と水溶性有機溶剤の混合溶媒とした場合には、キナクリドン骨格を有するキナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、アントラキノン系顔料などが溶解できるため好ましい。キナクリドン系顔料の例を挙げると、無置換キナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、3,10または4,11−ジクロロキナクリドンなどである。
本発明の対象となる顔料は、塗料やインキに使われる有機顔料全般であり、公知慣用のものがいずれも挙げられる。溶媒に溶解することが前提であり、硫酸を用いた場合は、耐酸性の弱いアゾ系顔料を除いたすべての有機顔料が利用できるが、苛性アルカリ水溶液と水溶性有機溶剤の混合溶媒とした場合には、キナクリドン骨格を有するキナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、アントラキノン系顔料などが溶解できるため好ましい。キナクリドン系顔料の例を挙げると、無置換キナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、3,10または4,11−ジクロロキナクリドンなどである。
(溶媒)
有機顔料の溶液に用いられる溶媒としては、顔料を溶解できるものであれば特に制限はない。現実的には顔料はほとんどの溶媒に極めて溶解しにくく、濃硫酸や強アルカリ下で水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が溶解性に優れている。特に溶解後の分子安定性から、苛性アルカリ水溶液と水溶性有機溶剤の混合溶媒が望ましく、水溶性有機溶媒としてはジメチルスルホキシドが最も溶解性に優れている。またこれらの水溶性有機溶媒と水との混合比は、おおむね水が10〜15%で顔料の溶解性が最大になり、20%以上では溶解性が低下するため、水を20%以下に抑えることが望ましい。苛性アルカリとしては水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが望ましく、水に対する濃度で10%以上が望ましい。
有機顔料の溶液に用いられる溶媒としては、顔料を溶解できるものであれば特に制限はない。現実的には顔料はほとんどの溶媒に極めて溶解しにくく、濃硫酸や強アルカリ下で水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が溶解性に優れている。特に溶解後の分子安定性から、苛性アルカリ水溶液と水溶性有機溶剤の混合溶媒が望ましく、水溶性有機溶媒としてはジメチルスルホキシドが最も溶解性に優れている。またこれらの水溶性有機溶媒と水との混合比は、おおむね水が10〜15%で顔料の溶解性が最大になり、20%以上では溶解性が低下するため、水を20%以下に抑えることが望ましい。苛性アルカリとしては水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが望ましく、水に対する濃度で10%以上が望ましい。
(樹脂(P)と有機顔料との配合比)
有機顔料100質量部に対して樹脂(P)30〜180質量部であることが好ましく、30〜120質量部であることが更に好ましい。樹脂(P)の含有量がこの範囲内であると、顔料分散体の製造においてろ過洗浄した後でも分散安定性に優れた顔料分散体を得ることができる。
有機顔料100質量部に対して樹脂(P)30〜180質量部であることが好ましく、30〜120質量部であることが更に好ましい。樹脂(P)の含有量がこの範囲内であると、顔料分散体の製造においてろ過洗浄した後でも分散安定性に優れた顔料分散体を得ることができる。
(晶析方法)
本発明において顔料を析出させる晶析方法としては、上記溶媒に溶解した有機顔料溶液を、攪拌している樹脂(P)の樹脂酸塩水溶液中に滴下していく方法が一般的であるが、必ずしもこの方法に限定されるものではなく、その逆のケースであってもよい。滴加速度や攪拌速度もまた限定されるものではないが、滴下は少量ずつ、攪拌は速くするほど微粒子化に有利である。顔料の濃度もやはり限定されるものではないが、顔料濃度が高いほど生産効率は高くなるが、低いほど凝集防止には有利である。
本発明において顔料を析出させる晶析方法としては、上記溶媒に溶解した有機顔料溶液を、攪拌している樹脂(P)の樹脂酸塩水溶液中に滴下していく方法が一般的であるが、必ずしもこの方法に限定されるものではなく、その逆のケースであってもよい。滴加速度や攪拌速度もまた限定されるものではないが、滴下は少量ずつ、攪拌は速くするほど微粒子化に有利である。顔料の濃度もやはり限定されるものではないが、顔料濃度が高いほど生産効率は高くなるが、低いほど凝集防止には有利である。
晶析後の顔料スラリー中にはアルカリや水溶性有機溶媒が大量に混入している。そこで通常顔料を水洗するのと同様の方法で、本発明の場合も顔料のろ過、水洗を繰り返すことが望ましい。アルカリを効率よく除くために弱酸性水溶液で洗浄することも可能である。
本発明の方法により得られる顔料分散体は、環境負荷の低減と高外観が要求される水性塗料や水性印刷インキ等の用途として有用に使用することができる。
本発明の方法により得られる顔料分散体は、その用途に応じて顔料、造膜助剤、分散剤、消泡剤、凍結防止剤、防腐剤、増粘剤などの添加剤を添加することができる。
以下、製造例及び実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(製造例)
構造式がCH2=C(CH3)COO(C5H10COO)nH(nの平均が約2)であるアロニクスM5300(東亞合成化学製、以下M5300と略記)の16部、メタクリル酸(以下MAAと略記)の8部、スチレン(以下STと略記)の20部、メタクリル酸メチル(以下MMAと略記)の20部、ポリオキシエチレン繰り返し単位を約8とするポリエチレングリコールをメタクリル酸とエステル化したモノマーの40部を混合しラジカル重合性単量体混合液(M)とした。
構造式がCH2=C(CH3)COO(C5H10COO)nH(nの平均が約2)であるアロニクスM5300(東亞合成化学製、以下M5300と略記)の16部、メタクリル酸(以下MAAと略記)の8部、スチレン(以下STと略記)の20部、メタクリル酸メチル(以下MMAと略記)の20部、ポリオキシエチレン繰り返し単位を約8とするポリエチレングリコールをメタクリル酸とエステル化したモノマーの40部を混合しラジカル重合性単量体混合液(M)とした。
しかるのち、攪拌機、温度計、冷却器および滴下漏斗を取り付けた2リットル反応容器に、イオン交換水の620部と、ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム、有効成分=約30%)の9部とを仕込み、窒素ガスを送り込みつつ攪拌しながら釜内温度を80℃に昇温した。昇温後、重合開始剤として過硫酸ナトリウムの1.5部を添加し、次いでラジカル重合性単量体混合液(M)の滴下を開始した。2時間で滴下し、滴下終了後80℃で1時間攪拌した。その後、25℃まで冷却し、アンモニア水によって中和することにより、目的とする水溶性樹脂酸塩組成物(P−1)を得た。水溶性樹脂酸塩組成物(P−1)の性状を下記に示した。固形分:30.2%、粘度:112mPa・s、pH:8.0。前記水溶性樹脂組成物中の水溶性樹脂の酸価:75.0、重量平均分子量:11,300、光線透過率(固形分を25%に調整):90%
大日本インキ製無置換キナクリドン顔料(PigmentViolet19)5部を、ジメチルスルホキシド225部に加え、50℃に保ち充分に攪拌した後、20%水酸化ナトリウム水溶液25部を加えて、顔料を充分に溶解した。溶液は青色を呈した(顔料溶液)。上記製造例で製造した水溶性樹脂酸塩組成物(P−1)の2%水溶液250部を50℃に保ちマグネチックスターラーで攪拌しながら、顔料溶液をゆっくりと滴下した。分散液は赤く変化した。その後50℃に保ったまま30分以上攪拌を続けた。攪拌を止めても顔料は丸1日沈降せず極めて分散安定であった。
得られた顔料分散体の分散性を評価するためにガードナー製グラインドゲージによる試験を行ったが、1μm以上の粗粒は観察されなかった。
この顔料分散体をろ過し、1000部の水で充分に洗浄した。この操作を更に2回繰り返したのち、得られた顔料の含水物を再び水200部に投入し、ホモディスパーを用いて2,000rpmで10分間攪拌し再分散させた。この顔料分散体の分散性を評価するためにガードナー製グラインドゲージによる試験を行ったが、やはり1μm以上の粗粒は観察されなかった。濾過・洗浄工程の前後での顔料の粒子径の顕著な増加は見られなかった。
(比較例1)
実施例1において晶析用樹脂として用いた水溶性樹脂酸塩組成物(P−1)の代わりにビックケミー社製アクリルマレイン酸樹脂(酸価60)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、赤い顔料分散液を得た。
実施例1において晶析用樹脂として用いた水溶性樹脂酸塩組成物(P−1)の代わりにビックケミー社製アクリルマレイン酸樹脂(酸価60)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、赤い顔料分散液を得た。
得られた顔料分散体の分散性を評価するためにガードナー製グラインドゲージによる試験を行ったが、こちらもまた1μm以上の粗粒は観察されなかった。
この顔料分散体をろ過し、1000部の水で充分に洗浄した。この操作を更に2回繰り返したのち、得られた顔料の含水物を再び水200部に投入し、ホモディスパーを用いて2,000rpmで10分間攪拌し再分散した。この顔料分散体の分散性を評価するためにガードナー製グラインドゲージによる試験を行ったところ、10μm程度の粗粒の存在が複数観察された。濾過・洗浄工程の前後での顔料の凝集が生じたことがわかった。
本発明の製造方法で得られた顔料分散体は、塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルター、ジェットインキ、熱転写インキなどの色材用に適正の優れた顔料を提供する。
Claims (7)
- 前記有機顔料と前記樹脂(P)の配合比が、前記有機顔料100質量部に対して前記樹脂(P)30〜180質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
- 樹脂(P)の重量平均分子量が、5,000〜50,000である請求項1〜3のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
- 前記有機顔料がキナクリドン骨格を有するキナクリドン系顔料である請求項1〜3のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
- 前記の有機顔料の溶液に用いられる溶媒が苛性アルカリ水溶液と水溶性有機溶剤の混合溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
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JP2019001908A (ja) * | 2017-06-15 | 2019-01-10 | Dic株式会社 | 水性顔料分散体及び水性顔料分散体の製造方法 |
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2004
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