JP2006129151A - 移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 移動端末のハンドオーバ時に、移動端末の移動速度によらず、データの欠落を防ぐことを可能にする。
【解決手段】 移動端末MHの位置情報と移動速度情報とに基づいて、移動端末MHがその後接続すると予想されるいくつかの無線アクセスポイントAPを推定し、移動端末MHがこれらの無線アクセスポイントAPに接続を切り替えるまでに要する時間、およびゲートウェイGWから無線アクセスポイントAPに至る経路にラベルパスを設定するのに要する時間に基づいて、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントAPを決定した後、前記移動端末MHの移動速度状況にあわせて適応的にラベルパスを設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線LANによってアクセスする移動体通信ネットワークにおいて、適切な通信経路を確立するためのラベルパス制御方法に関する。
無線通信技術を用いた移動端末(MH;Mobile Host)向けのネットワークでは、移動端末MHの位置を管理するモビリティ管理を行うことが必要である。データ通信を前提とした無線LANによって移動端末MHがネットワークにアクセスする場合には、インターネットプロトコル(IP)をレイヤ3プロトコルとして使用することが一般的であるが、IPを用いたモビリティ管理の手法として、モバイルIPが開発されている(非特許文献1参照)。しかしながら、移動端末MHが高速に移動し、頻繁に接続先の無線アクセスポイント(AP;Access Point)を切り替える状況では、モバイルIPの処理負荷の大きさが通信効率を著しく低下させる懸念がある。
このような問題を解決するために、外部のネットワークとの接続点に位置するノードと複数の無線アクセスポイントAPを結ぶ中継ネットワークを構築し、移動端末MHが無線アクセスポイントAP間で接続関係を切り替えても、モバイルIPによらずに、中継ネットワーク内部で効率よくモビリティ管理を行う手法が提案されている。以下では、移動端末MHがある無線アクセスポイントAPから別の無線アクセスポイントAPに接続関係を切り替えることを、ハンドオーバと称する。
特許文献1では、中継ネットワーク内での移動端末MHのモビリティ管理のために、ネットワーク内での経路に対して設定されたトンネル識別子を用いる方法を述べている。
図19にネットワーク構成図を示す。図示するように、移動端末MHが移動するにともなってハンドオーバを行うと、外部ネットワークとの接続点に位置する接続局と新たに移動端末MHの接続先となった無線アクセスポイントAPの間を結ぶ経路に設定されているトンネル識別子が、移動端末MHに付与される。同時に接続局と無線アクセスポイントAPにおいても、移動端末MHとそれに付与されたトンネル識別子の対応関係を更新する。このように、移動端末MHがハンドオーバを行うたびに、ネットワーク側の認識している新たなトンネル識別子を割り当てる処理が行われるため、これによって移動端末MHの位置を管理することができる。このようなトンネル識別子の移動端末MHへの動的な割り当ては、中継ネットワーク内に設置されるネットワーク管理ユニットによって集中的に行われる。
この手法では、移動端末MHがハンドオーバを行った際にレイヤ3での複雑な処理過程が発生しないため、負荷の軽いモビリティ管理を実現できる利点がある。ただし、移動端末MHがハンドオーバを行うと新しいトンネル識別子を与えられるまでの間ネットワーク側との通信ができなくなり、その間のIPパケットの欠落をまねく問題点がある。
このようなIPパケットの欠落は、移動端末MHの移動を予測し、将来使用すると想定される無線アクセスポイントAPにも移動端末MH宛のデータを事前に送信しておくことで防ぐことが可能である。しかし、この手法では、移動端末MHの移動状況に適応させて、いくつかの特定の無線アクセスポイントAPを含むトンネル識別子を動的に設定することができない。
特許文献1では、接続局から複数の無線アクセスポイントAPにデータを送信するためのポイント−マルチポイントのトンネル識別子を予め設定しておき、外部ネットワークからのブロードキャスト(あるいはマルチキャスト)トラフィックをこれに対応付けることが述べられている。しかし、これは事前に固定的に設定されたものであり、上記のような動的な複数無線アクセスポイントAP向けトンネル識別子の設定の目的に沿うものではない。また、仮に上記の固定ポイント−マルチポイントトンネルをIPパケット欠落防止のために使用した場合は、ネットワークの帯域使用効率を著しく低下させることになる。
特許文献2では、ルータを階層的に配置したツリー状のトポロジで中継ネットワークを構築した上で、移動端末MHのハンドオーバにともなうモビリティ管理を各ルータがもつ経路情報(ルーティングテーブル)で行う手法を述べている。
図20にネットワーク構成図を示す。図示するように、最上位に位置するルータは外部ネットワークとの接続点に位置している。また、最下位に位置するルータは、無線アクセスポイントAPと直接接続している。各ルータは、自身の配下にある無線アクセスポイントAPまたは他のルータを事前に認識している。移動端末MHは新しい無線アクセスポイントAPにハンドオーバすると、ネットワーク側に位置登録メッセージを送信する。これを受信したルータは、ルーティングテーブルの更新、および必要な場合にはさらに上位のルータに前記位置登録メッセージの転送を行う。このように位置登録メッセージの受信を契機として、各ルータでルーティングテーブルの更新を行うことによって、分散的にモビリティ管理を行うことが特徴である。
この手法のもう一つの特徴は、移動端末MHの移動にあわせて、現在接続している無線アクセスポイントAP(現接続無線アクセスポイントAP)だけでなく、次に移動端末MHが接続すると予測される無線アクセスポイントAP(次接続無線アクセスポイントAP)に対しても事前にルートを設定しておき、当該無線アクセスポイントAP宛のデータを現接続無線アクセスポイントAPと次接続無線アクセスポイントAPの両方に送信しておくことが可能となっていることである。ただし、これは移動端末MHの移動方向に沿って無線アクセスポイントAPが配置されていることが前提である。このようにして、予め次接続無線アクセスポイントAPにデータを蓄積しておくことにより、ハンドオーバの際にルーティングテーブルが正しく更新されるまでの時間に送信されたIPパケットの欠落を防ぐことができる。
上記したように、2つの無線アクセスポイントAPに向けて同一データを送信するためには、最上位ルータから現接続無線アクセスポイントAPに至るルートを設定した上で、同ルート上にあるいずれかのルータで、次接続無線アクセスポイントAPに至る別のルートを分岐させて設定するか、あるいはいったん上位ルータに折り返す形で次接続無線アクセスポイントAPに至るルートを設定するか、いずれかの方法によって2つのルートを設定する必要がある。これらの2つのルート設定は、ルータのルーティングテーブルの更新によって行われる。
このように、この手法では、無線アクセスポイントAPやルータのトポロジ上の配置が簡易であることを利用したルーティングテーブルの更新により、処理負荷を大きくすることなく、モビリティ管理を行える利点がある。しかしながら、この手法では事前にルートを設定しておく無線アクセスポイントAPは1つ先に固定されるため、移動端末MHの移動速度によっては、ルーティングテーブルの更新に要する時間が許容できなくなり、本来の事前にデータを蓄積しておく動作が困難になる。また、移動端末MHからの位置登録メッセージの受信のみをルーティングテーブル更新の契機としているため、本メッセージが正常に届かない状況においては、予め移動端末MHの移動を予測して事前にルートを設定することはできない。
特開2004−135080号公報 特開2002−232436号公報 C,Perkins,「IP Mobility Support for IPv4」,IETF RFC3344,2002
以上に述べたように、従来の無線LANを使用した移動端末向けネットワークでは、移動端末MHの移動速度が大きくなった場合に、ハンドオーバの際に生じるデータの欠落を防ぐことができない問題があった。
本発明は、移動端末MHの移動速度によらずに、データの欠落を防ぐことが可能な移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ネットワーク側で移動端末MHの位置を正しく認識できない状況が発生した場合にも、データの欠落を最小限にとどめるための措置を取ることが可能な移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法は、移動端末のアドレスに一意に対応付けられるラベルの登録、削除が可能な無線アクセスポイントと、外部のネットワークとの間でデータの中継を行うゲートウェイと、前記ラベルに基づいてデータフレームを転送するスイッチと、前記無線アクセスポイントの位置と前記移動端末の位置とラベルパスとを管理する位置管理サーバとから構成される移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法であって、前記ゲートウェイは、前記移動体通信ネットワーク内のすべての移動端末のアドレスとラベルの対応関係を認識し、前記無線アクセスポイントは、自身に登録されたラベルに対応する移動端末のアドレスを認識し、前記移動端末が新しい無線アクセスポイントと無線リンクを確立するたびに前記位置管理サーバに届けられる位置登録メッセージ中に、前記移動端末のアドレスとラベル、および位置情報としての前記接続先無線アクセスポイントの識別情報、および前記移動端末自身が管理する移動速度を含め、前記位置管理サーバでは、前記移動端末の位置情報と移動速度情報とに基づいて、前記移動端末がその後接続すると予想されるいくつかの前記無線アクセスポイントを推定し、前記移動端末がこれらの前記無線アクセスポイントに接続を切り替えるまでに要する時間、および前記ゲートウェイから前記無線アクセスポイントに至る経路にラベルパスを設定するのに要する時間に基づいて、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定した後、前記移動端末の移動速度状況にあわせて適応的にラベルパスを設定し、さらに、過去に設定されたラベルパスの中で、前記移動端末が特定の無線アクセスポイントとの間の無線リンクを切断したことから不要であることが明らかなラベルパス、もしくは前記移動端末の過去の位置情報の履歴から不要であることが明らかなラベルパスを削除し、前記一連の処理を繰り返すことにより、前記移動端末が接続している前記無線アクセスポイントのみならず、その後接続することが想定される前記無線アクセスポイントにも同時にデータを送信することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、位置登録メッセージに移動速度報を含めて、ラベルパスを設定する無線アクセスポイントを適応的に制御する。また、無線アクセスポイントの配置は2次元的に広がっており、特定の方向に限定していない。
請求項2に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法は、前記位置管理サーバは、前記位置登録メッセージに含まれる、前記移動端末の前記接続先無線アクセスポイントの過去の履歴または移動速度情報から、前記移動端末の移動の向きを判別し、さらに、前記移動端末がその後接続すると予想されるいくつかの前記無線アクセスポイントを、前記移動端末の移動の向きで限定することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、無線アクセスポイントの位置が移動端末の移動方向に沿っているため、請求項1の発明よりも処理の効率化を図ることができる。
請求項3に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法は、請求項1または請求項2に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、前記位置登録メッセージ中に、前記位置情報として前記接続先無線アクセスポイントの識別情報に加えて、これよりも細かい精度で前記移動端末の位置を特定可能な地理的情報を含め、前記位置管理サーバでは、前記移動速度と前記接続先無線アクセスポイントの識別情報と前記地理的情報とから成る前記移動端末の位置情報を用いて、前記移動端末が将来接続すると予想される前記無線アクセスポイントに接続を切り替えるまでに要する時間を算出し、前記算出された時間に基づいてラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、前記移動端末の前記位置情報に応じて適応的にラベルパスを設定することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、位置登録メッセージに、走行距離等のより細かな地理情報を加えることにより、より精密に適用制御を行うことができる。
請求項4に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法は、請求項1または請求項2に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、前記位置管理サーバは、ある無線アクセスポイントから前記位置登録メッセージを受信すると、前記移動端末の位置情報としての接続先無線アクセスポイントの識別情報と移動速度、および無線アクセスポイントの位置に基づいて、次に位置登録メッセージを受信するまでの時間を、現接続無線アクセスポイントと接続先無線アクセスポイントとの距離および前記移動端末の移動速度の関係から算出し、前記算出された時間内は前記位置登録メッセージの受信待機状態にあり、前記算出された時間内に前記位置登録メッセージの受信を確認できない場合には、過去に正常に受信した位置登録メッセージの情報を使用して、その後前記移動端末が接続すると予想される無線アクセスポイントを推定するとともに、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、前記移動端末が予測通りに前記無線アクセスポイントの接続切り替えを行わない状況においても、適応的にラベルパスを設定することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、予測エラーが生じた場合の対処を含めることができる。また、請求項4では、位置登録メッセージの到着間隔を予測エラーの判断材料とする。到着間隔の基準時間は、無線アクセスポイント間の距離と移動端末の移動速度で計算する。
請求項5に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法は、請求項3に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、前記位置管理サーバは、ある無線アクセスポイントから前記位置登録メッセージを受信すると、前記移動端末の地理的情報を含む位置情報と移動速度および前記無線アクセスポイントの位置に基づいて、次に位置登録メッセージを受信するまでの時間を、前記移動端末と前記無線アクセスポイントとの距離と前記移動端末の移動速度の関係から算出し、前記算出された時間内は前記位置登録メッセージの受信待機状態に入り、前記算出された時間内に前記位置登録メッセージの受信を確認できない場合には、過去に正常に受信した位置登録メッセージの情報を使用して、その後前記移動端末が接続すると予想される無線アクセスポイントを推定するとともに、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、前記移動端末が予測通りに前記無線アクセスポイントの接続切り替えを行わない状況においても、適応的にラベルパスを設定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4と同様に、予測エラーが生じた場合の対処を含めることができる。請求項5では、位置登録メッセージの到着間隔を予測エラーの判断材料とする。ただし、到着時間の基準間隔は、無線アクセスポイントの位置、移動端末の位置、および移動端末の移動速度で計算する。
請求項6に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、前記移動端末は、新しい無線アクセスポイントに接続を切り替える前に接続している前記無線アクセスポイントに対して明示的に接続解除の要求を行い、前記接続解除要求を受けた前記無線アクセスポイントは、前記移動端末との無線リンクを切断したことを通知する接続解除通知メッセージを前記位置登録サーバに送り、前記接続解除通知メッセージを受信した前記位置登録サーバは、現接続無線アクセスポイントに隣接する無線アクセスポイントから届けられるべき前記位置登録メッセージの受信待機状態に入り、その後、自身が定める基準時間を経過しても前記位置登録メッセージの受信を確認できない場合には、過去に正常に受信した位置登録メッセージの情報を使用して、その後前記移動端末が接続すると予想される無線アクセスポイントを推定するとともに、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、前記移動端末が予測通りに前記無線アクセスポイントの接続切り替えを行わない状況でも、適応的にラベルパスを設定することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、請求項4、5と同様に、予測エラーが生じた場合の対処を含めることができる。ただし、請求項6では、接続解除通知受信から位置登録メッセージの到着間隔を予測エラーの判断材料とする。
本発明によれば、移動端末の移動速度や位置の状況にあわせ、適応的にラベルパスを設定するため、移動端末の移動速度によらずに、移動端末が現在接続している無線アクセスポイントとその後接続することが想定される無線アクセスポイントに同時にデータを送信しておくことが可能となり、ハンドオーバ時のデータの欠落を防ぐことができる。
また、ネットワーク側で移動端末の位置を正しく認識できない場合にも、過去の情報から移動端末の移動を予測してラベルパスを設定するため、その後移動端末が接続することが想定される無線アクセスポイントに事前にデータを送信しておくが可能となり、データの欠落を最小限に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全図面において、同一機能を有するものは、その繰り返しの説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1〜図6を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態の特徴的部分は、移動端末MHからのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに移動速度情報を含め、無線アクセスポイントAPは2次元的に広がっていることである。この実施形態は、請求項1に対応する。
図1は、本実施形態において使用する移動体通信のためのネットワークの全体構成の一例を示す図である。このネットワークは、大きく分けて、移動端末(MH;Mobile Host)、中継ネットワーク、位置登録サーバ(LR;Location Register)、および外部ネットワークから成る。
移動端末MHが中継ネットワークを利用するための無線アクセスポイント(AP;Access Point)は、有線インターフェイスによって中継ネットワークを構成するスイッチ(SW:Switch)のポートに接続される。スイッチSWは宛先アドレスにしたがって適切なポートにデータを転送するが、この際アドレスの他にラベルを認識し、各ポートにおいて登録されたラベルを有するデータフレームだけをフィルタリングして転送する機能を有するものとする。
1つのポートに登録するラベルの個数は複数であってもよい。このようなスイッチSWとしては、例えばVLANをラベルとして用いるイーサーネット(Ethernet「登録商標」)スイッチがある。本実施形態では、ラベルは移動端末MHに対して固定的に一意に与える。移動端末MHが中継ネットワークに複数存在する場合は、各移動端末MHのラベルが重複しないように与える。
移動端末MHは、中継ネットワークを介して、外部ネットワークに属する端末(CH;Correspondent Host)と通信を行うことができる。この際データは、外部ネットワークとの接続点に位置するゲートウェイ(GW;Gateway)を介して中継される。ゲートウェイGWではこの中継機能を実行するために、移動端末MHのアドレス情報と上記ラベルの対応関係を記憶する。ここで移動端末MHのアドレス情報とは、外部ネットワークおよび中継ネットワークで使用するアドレスのことである。例えば、外部ネットワークがIPネットワークであり、また中継ネットワークが移動端末MHを認識するイーサーネット(Ethernet)スイッチで構築されている場合であれば、ゲートウェイGWでは移動端末MHのIPアドレス、MACアドレスと、ラベルとして使用するVLAN IDを関連付けて記憶する。
位置登録サーバLRは、中継ネットワーク内のいずれかのスイッチSWのポートに接続される。位置登録サーバLRは、中継ネットワーク内で無線アクセスポイントAPや移動端末MHの位置を管理するとともに、スイッチSWのポートや無線アクセスポイントAPに登録するラベルの管理も行う。すなわち、位置登録サーバLRは、移動端末MHの移動にともなって適宜位置登録メッセージを受け取り、その情報をもとにラベル登録または削除の処理を開始する。この処理の手順を以下で述べる。
図2は、移動端末MHのハンドオーバにともなう位置登録と、それに引き続いて行われるラベル登録の処理手順を示したものである。移動端末MHは図1で示すように、新しく無線アクセスポイントAP4に接続したものとする。移動端末MHはハンドオーバの際に、現在接続している無線アクセスポイントAPとは別の新しい無線アクセスポイントAPに対して、アソシエーション・リクエスト(Association Request)フレームを送信する。そしてこれを受信した無線アクセスポイントAPが移動端末MHにアソシエーション・レスポンス(Association Response)フレームを返信する。このアソシエーション・リクエスト(Association Request)とアソシエーション・レスポンス(Association Response)フレームの送受をアソシエーション(Association)処理と呼ぶ。アソシエーション(Association)処理は無線リンクを確立するためのものである。ハンドオーバに際しては、アソシエーション(Association)処理を行う前に、その時点で接続している無線アクセスポイントAPに対して明示的に接続解除の要求を行うディスアソシエーション(Disassociation)処理や、新しい無線アクセスポイントAPとの間で無線区間の認証を行う認証処理を含めることも可能であるが、本実施形態の手順においては必須のものではないので、簡単のために省略する。
なお、移動端末MHがハンドオーバの処理を開始する契機は、移動端末MH自身が観測する電波状況から判断してもよいし、あるいはネットワーク側から明示的に指示を与えてもよい。アソシエーション(Association)処理が実行されることが以降の手順で必須であり、いずれの方法で移動端末MHが処理開始の契機を認識しても、以降の手順に変わりはない。
アソシエーション(Association)処理が完了すると、移動端末MHは、新しい無線アクセスポイントAPに接続したことを位置登録サーバLRに通知する。これは位置登録メッセージ、すなわちロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームの送信によって行う。本フレームには、移動端末MHのアドレス情報とラベルの他に、接続先無線アクセスポイントAPのアドレス情報、および移動端末MHの移動速度情報を含む。接続先無線アクセスポイントAPのアドレス情報は、移動端末MHの位置情報として接続先無線アクセスポイントAPの位置を用いるために必要である。移動速度情報には、絶対値としてのスピードは最低限必要であるが、その他に移動の向きや、加速度を含めてもよい。
位置登録サーバLRは、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信すると、そこに含まれる情報をもとにして、ラベル登録の処理を開始する。最初に移動端末MHの接続先となった無線アクセスポイントAPにラベルが登録されているかどうかを確認し、未登録の場合にはラベル登録を行う。さらに、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに含まれる移動端末MHの移動速度をもとに、その後の移動端末MHの移動にともなって接続先となることが予想される無線アクセスポイントAPを推定し、そこに当該移動端末MHのラベルを登録する。
無線アクセスポイントAPへのラベル登録の指示は、当該無線アクセスポイントAPにラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを送信することで行う。図2では、移動端末MHの接続先となった無線アクセスポイントAP4にラベルが未登録であったために、最初に無線アクセスポイントAP4にラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを送信している。また、その後の移動端末MHの接続先無線アクセスポイントAPの予想として、無線アクセスポイントAP2、AP3、AP5、AP6、AP7を特定した上で、これらの無線アクセスポイントAPに向けてラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを送信している。ここで、これら無線アクセスポイントAPを特定するための判断の処理過程をカルキュレーション(Calculation)と表現している。なお、ラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームには登録すべき移動端末MHのラベルとアドレス情報が含まれており、無線アクセスポイントAPではこれらをセットにして登録するものとする。
位置登録サーバLRでのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレーム受信後に行われるラベル登録の処理には、上記無線アクセスポイントAPにおける登録の他に、ゲートウェイGWと当該無線アクセスポイントAPを結ぶ経路上にある全スイッチSWのポートにおける登録もある。これを行うためには、スイッチSWのポートで制御フレームの送受信を行うことにより、動的にラベル登録が行える必要がある。このような要求を満たす技術として、例えばVLANを認識するイーサーネット(Ethernet)スイッチでは、IEEEによって開発されたGVRP(GARP VLAN Registration Protocol)がある。図2では、ラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを受信した無線アクセスポイントAPが、自身が接続するスイッチSWのポートに向けて、ラベル登録のための制御フレームを送信する場合を示している。図2では、制御フレームの送受によって行う動的ラベル登録の処理をラベルレジストレーション(Label Registration)と表している。
ここで、図2で示したカルキュレーション(Calculation)、すなわち予測によってラベルを登録する無線アクセスポイントAPを特定する判断の処理について述べる。図3に、関数演算によってこれを行う方法を示す。位置登録サーバLRがj回目のロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信すると、本フレームの受信時刻と、本フレーム中に含まれる無線アクセスポイントAPのアドレス情報、移動端末MHのアドレス情報、ラベル、移動速度を記録する。そして得られた無線アクセスポイントAPのアドレス情報から、移動端末MHの接続先無線アクセスポイントAPの位置を検索するとともに、その後周囲の無線アクセスポイントAP、ならびにゲートウェイGWから当該無線アクセスポイントAPに至る経路上のスイッチSWのポートに対してラベルを登録するのに要すると見積もられる処理時間を算出する。これは固定値で与えてもよいし、あるいは位置登録サーバLRにおいてスイッチSWの構成等のトポロジ情報まで管理している場合は、無線アクセスポイントAPごとに処理時間の見積もり値を与えてもよい。
上記で得た移動端末MHの移動速度とラベル登録処理時間は、関数演算のための入力パラメータとして用いる。図3では、関数演算の例として、ラベル登録処理時間にガードタイムを加えた時間に移動速度を乗ずることにより、「予想エリア」の半径を求めている。予想エリアとは、その範囲に含まれる無線アクセスポイントAPをラベル登録の対象とするための基準となる地理的範囲を意味する。位置登録サーバLRでは、この他に「隣接エリア」を管理する。隣接エリアも予想エリアと同様に、基準となる地理的範囲を意味するが、予想エリアが移動端末MHの移動速度から算出されるのに対し、隣接エリアは移動速度とは無関係に、無線アクセスポイントAPごとに固定的に与えられる。隣接エリアを決定する要素としては、例えば、無線アクセスポイントAPの電波出力や周囲の電波環境などがある。図3に示すように、最終的にラベル登録の対象とする無線アクセスポイントAPは、隣接エリアと予想エリアのいずれかに含まれる無線アクセスポイントAPを検索することにより、決定する。なお、これは前述のように、位置登録サーバLRで無線アクセスポイントAPの位置を把握していることにより可能となる。図1では、隣接エリアと予想エリアがそれぞれ一定の半径をもつ円で構成される場合について、この様子を示している。
ここまでに述べた位置登録とラベル登録の処理により、移動端末MHが新しい無線アクセスポイントAPにハンドオーバするたびに、ゲートウェイGWから移動端末MHの接続先無線アクセスポイントAPに至る経路、およびゲートウェイGWからその後移動端末MHが接続すると予想される無線アクセスポイントAPに至る経路がラベルによって規定されることになる。このようにラベルによって規定される経路をラベルパスと呼ぶ。上記ラベル登録の処理の完了後は、結果としてゲートウェイGWから複数の無線アクセスポイントAPに分岐するラベルパスが形成されることになる。図4では、例として、移動端末MHが無線アクセスポイントAP4に接続した後に行われるラベル登録の結果形成され、ゲートウェイGWから複数の無線アクセスポイントAPに分岐するラベルパスを太線で示している。
ここで、ゲートウェイGWから移動端末MHに宛ててデータフレームを送信する際に、宛先アドレスとして移動端末MHのアドレスではなく、ブロードキャストアドレス(あるいはマルチキャストアドレス)を使用すると、このデータフレームは当該移動端末MHのラベルに対応した分岐のあるラベルパスにしたがって、複数の無線アクセスポイントAPに届けられる。このように、外部ネットワークに属する端末CHから移動端末MHに宛てて送信されたデータは、ゲートウェイGWで宛先アドレスの変換をすることにより、現在接続している先の無線アクセスポイントAPだけでなく、その後の移動にともなって、移動端末MHがハンドオーバすると想定される無線アクセスポイントAPにも事前に届けておくことができる。このとき、データフレームを受信した無線アクセスポイントAPは、当該ラベルに対応する移動端末MHとアソシエーション(Association)が確立している場合、無線インターフェイスを介して当該移動端末MHにデータフレームの転送を行う。
一方、当該移動端末MHとアソシエーション(Association)が確立していない無線アクセスポイントAPでは、バッファにデータフレームの蓄積を行い、その後アソシエーション(Association)が確立した段階で蓄積していたデータフレーム転送を行う。なお、無線インターフェイスを介して無線アクセスポイントAPから移動端末MHにデータフレームを送信する際には、宛先アドレスとしてブロードキャストアドレスから本来の移動端末MHのアドレスに変換する。これは、無線アクセスポイントAPにおいて、移動端末MHのラベルとアドレスの対応関係を認識していることによって可能となる。
このように、分岐のあるラベルパスにしたがってブロードキャストを行う場合は、ネットワークの帯域使用効率をなるべく低下させないようにするために、分岐の数を抑制する必要がある。このためには、移動端末MHの移動にともない、当該移動端末MH宛てのデータを受信、蓄積しておくこと必要がなくなった無線アクセスポイントAPについては、当該無線アクセスポイントAPのラベルを削除することが望ましい。この目的で、位置登録サーバLRは、ラベル登録の処理の他にラベル削除の処理も行う。その様子を図5と図6に示す。
図5では、図1に時点から移動端末MHが移動し、無線アクセスポイントAP4から無線アクセスポイントAP6に接続先を切り替えた場合を示している。この場合もアソシエーション(Association)処理の後にロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームが位置登録サーバLRに届けられ、位置登録サーバLRではそれにもとづいてラベル登録先の無線アクセスポイントAPを決定する。図5に示す予想エリア、隣接エリアに含まれる無線アクセスポイントAPと、図1に示す予想エリア、隣接エリアに含まれる無線アクセスポイントAPを比較すると、新たに無線アクセスポイントAP9がエリアに含まれる一方、無線アクセスポイントAP2はエリアから外れることがわかる。したがって、位置登録サーバLRは無線アクセスポイントAP9に対してラベル登録の指示を与える一方、無線アクセスポイントAP2に対してはラベル削除の指示を与える。図6に示すように、ラベル削除の指示は当該無線アクセスポイントAPにラベルエリミネーション・オーダ(Label Elimination Order)フレームを送信することで行う。これを受信した無線アクセスポイントAPでは、当該移動端末MHのラベルとアドレスを削除するとともに、自身が接続するスイッチSWのポートに対してラベル削除の制御フレームを送信する。この制御フレームの交換による動的なラベル削除の処理過程は、動的ラベル登録の処理過程と同様のものであり、図6ではこれをラベル・デレジストレーション(Label De-registration)と表している。先述のGVRPでも、このような移動端末MHの削除方法が規定されている。なお、ラベルが削除された無線アクセスポイントAPでは、当該ラベルを有する移動端末MH宛てのデータフレームがバッファに蓄積されていれば、これらデータフレームをバッファから削除する。
以上述べたように、本実施形態では、移動端末MHの移動速度に適応させてラベルパスの設定処理を行うため、移動端末MHの移動速度が大きくなった場合にも、将来接続すると想定される無線アクセスポイントAPへのデータの事前送信が可能であり、このためハンドオーバ時のデータ欠落を防ぐことができる。また、不要なラベルパスを適切に削除するため、ネットワークの帯域使用効率の劣化を防ぐことができる。
(第2の実施形態)
図7〜図14を参照して、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の特徴的部分は、移動端末MHからのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに、移動速度情報を含め、無線アクセスポイントAPは移動端末MHの移動方向に沿って並んでいることである。この実施形態は、請求項1、2に対応する。
図7に、本実施形態において使用する高速移動体通信のためのネットワークの全体構成例を示す。本ネットワークは、大きく分けて、移動端末MH、中継ネットワーク、位置登録サーバLR、および外部ネットワークから成る。
移動端末MHが中継ネットワークを利用するための無線アクセスポイントAPは、移動端末MHの移動の方向に沿って配置されており、これらは有線インターフェイスによって、中継ネットワークを構成するスイッチSWのポートに接続される。ここで、移動端末MHの移動方向は急激に変化することはなく、したがって無線アクセスポイントAPの配置の順序関係も明確であることを前提としている。スイッチSWは、宛先アドレスにしたがって適切なポートにデータを転送する。また、スイッチSWはアドレスの他にラベルを認識し、各ポートにおいて登録されたラベルを有するデータフレームだけをフィルタリングして転送する機能を有するものとする。1つのポートに登録するラベルの個数は複数であってもよい。このようなスイッチSWとしては、例えばVLANをラベルとして用いるイーサーネット(Ethernet)スイッチがある。本実施形態では、ラベルは移動端末MHに対して固定的に一意に与える。移動端末MHが中継ネットワークに複数存在する場合は、各移動端末MHのラベルが重複しないように与える。
移動端末MHは、中継ネットワークを介して、外部ネットワークに属する端末CHと通信を行うことができる。このとき、データは、外部ネットワークとの接続点に位置するゲートウェイGWを介して中継される。ゲートウェイGWは、この中継機能を実行するために、移動端末MHのアドレス情報と上記ラベルの対応関係を記憶する。ここで移動端末MHのアドレス情報とは、外部ネットワークおよび中継ネットワークで使用するアドレスのことである。例えば外部ネットワークがIPネットワークであり、また中継ネットワークがVLANを認識するイーサーネット(Ethernet)スイッチで構築されている場合であれば、ゲートウェイGWでは移動端末MHのIPアドレス、MACアドレスと、ラベルとして使用するVLAN IDを関連付けて記憶する。
位置登録サーバLRは、中継ネットワーク内のいずれかのスイッチSWのポートに接続される。位置登録サーバLRは、中継ネットワーク内で移動端末MHの位置を管理するとともに、スイッチSWのポートや無線アクセスポイントAPにラベルを登録する処理に関与する。すなわち、位置登録サーバLRは、移動端末MHの移動にともなって適宜位置登録メッセージを受け取り、その情報をもとにラベル登録の処理を開始する。この処理の手順を以下で述べる。
図8は、移動端末MHのハンドオーバにともなう位置登録と、それに引き続いて行われるラベル登録の処理手順を示したものである。移動端末MHはハンドオーバの際に、現在接続している無線アクセスポイントAPとは別の新しい無線アクセスポイントAPとの間でアソシエーション(Association)処理を行う。アソシエーション(Association)処理の前に、ディスアソシエーション(Disassociation)処理や認証処理を含めることも可能であるが、本実施形態の手順においては必須のものではないので、簡単のために省略する。
なお、移動端末MHがハンドオーバの処理を開始する契機は、移動端末MH自身が観測する電波状況から判断してもよいし、あるいは移動体通信ネットワーク側から明示的に指示を与えてもよい。アソシエーション(Association)処理が実行されることが以降の手順で必須であり、いずれの方法で移動端末MHが処理開始の契機を認識しても、以降の手順に変わりはない。
アソシエーション(Association)処理が完了すると、移動端末MHは、新しい無線アクセスポイントAPに接続したことを位置登録サーバLRに通知する。これは位置登録メッセージ、すなわちロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームの送信によって行う。本フレームには、移動端末MHのアドレス情報とラベルの他に、接続先無線アクセスポイントAPのアドレス情報、および移動端末MHの移動速度情報を含む。ここで移動速度情報には、絶対値としてのスピードは最低限必要であるが、その他に移動の向きや、加速度を含めてもよい。
位置登録サーバLRは、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信すると、そこに含まれる情報をもとにして、ラベル登録の処理を開始する。具体的には、移動端末MHの現接続先無線アクセスポイントAPの情報から、その後移動端末MHの接続先となることが予想される無線アクセスポイントAPを特定し、そこに当該移動端末MHのラベルを登録する。ここで位置登録サーバLRは、無線アクセスポイントAPの配置の順序関係を無線アクセスポイントAPのアドレス情報と対応付けて、事前に認識しているものとする。上述のように、無線アクセスポイントAPは移動端末MHの移動方向に沿って配置されているため、移動端末MHの過去の接続先無線アクセスポイントAPの履歴から、その後の接続先無線アクセスポイントAPを特定することが可能となる。
図8では、移動端末MHが無線アクセスポイントAP1に接続した後に位置登録サーバLRにロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを送信し、これを受信した位置登録サーバLRが、無線アクセスポイントAP1の次に移動端末MHの接続先となることが予測される無線アクセスポイントAP2に対して、ラベル登録の指示を与えている。この指示は、位置登録サーバLRから無線アクセスポイントAP2にラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを送信することで行う。本フレームには登録すべき移動端末MHのラベルとアドレス情報が含まれており、無線アクセスポイントAPではこれらをセットにして登録する。
位置登録サーバLRでのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレーム受信後に行われるラベル登録の処理には、上記無線アクセスポイントAPにおける登録の他に、ゲートウェイGWと当該無線アクセスポイントAPを結ぶ経路上にある全スイッチSWのポートにおける登録もある。これを行うためには、スイッチSWのポートで制御フレームの送受信を行うことにより、動的にラベル登録が行える必要がある。このような要求を満たす技術としては、例えばVLANを認識するイーサーネット(Ethernet)スイッチでは、IEEEによって開発されたGVRP(GARP VLAN Registration Protocol)がある。図2では、ラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを受信した無線アクセスポイントAPが、自身が接続するスイッチSWのポートに向けて、ラベル登録のための制御フレームを送信する場合を示している。ここでは、制御フレームの送受によって行う動的ラベル登録の処理をラベルレジストレーション(Label Registration)と表している。
ここまでに述べた位置登録とラベル登録の処理により、移動端末MHが新しい無線アクセスポイントAPにハンドオーバするたびに、ゲートウェイGWからその後移動端末MHが接続すると予想される無線アクセスポイントAPに至る経路がラベルによって規定されることになる。このようにラベルによって規定される経路をラベルパスと呼ぶ。ゲートウェイGWから移動端末MHがその時点で接続している無線アクセスポイントAPに至るラベルパスは、それよりも以前に設定されている。したがって、上記ラベル登録の処理の完了後は、結果としてゲートウェイGWから複数の無線アクセスポイントAPに分岐するラベルパスが形成されることになる。図9では、例として、移動端末MHが無線アクセスポイントAP1に接続した後に行われるラベル登録の結果形成され、ゲートウェイGWから無線アクセスポイントAP1と無線アクセスポイントAP2に分岐するラベルパスを太線で示している。
ここで、ゲートウェイGWから移動端末MHに宛ててデータフレームを送信する際に、宛先アドレスとして移動端末MHのアドレスではなく、ブロードキャストアドレス(あるいはマルチキャストアドレス)を使用すると、このデータフレームは当該移動端末MHのラベルに対応した分岐のあるラベルパスにしたがって、複数の無線アクセスポイントAPに届けられる。このように、外部ネットワークに属する端末CHから移動端末MHに宛てて送信されたデータは、ゲートウェイGWで宛先アドレスの変換をすることにより、現在接続している先の無線アクセスポイントAPだけでなく、その後の移動にともなって移動端末MHがハンドオーバすると想定される無線アクセスポイントAPにも事前に届けておくことができる。このとき、データフレームを受信した無線アクセスポイントAPでは、当該ラベルに対応する移動端末MHとアソシエーション(Association)が確立している場合、無線インターフェイスを介して当該移動端末MHにデータフレームの転送を行う。一方、当該移動端末MHとアソシエーション(Association)が確立していない無線アクセスポイントAPでは、バッファにデータフレームの蓄積を行い、その後アソシエーション(Association)が確立した段階で蓄積していたデータフレームの転送を行う。なお、無線インターフェイスを介して無線アクセスポイントAPから移動端末MHにデータフレームを送信する際には、宛先アドレスとしてブロードキャストアドレスから本来の移動端末MHのアドレスに変換する。これは、無線アクセスポイントAPにおいて、移動端末MHのラベルとアドレスの対応関係を認識していることによって可能となる。
このように、分岐のあるラベルパスにしたがってブロードキャストを行う場合は、ネットワークの帯域使用効率をなるべく低下させないようにするために、分岐の数を抑制する必要がある。このためには、移動端末MHがすでに通過してしまっており、当該移動端末MH宛てのデータを受信、蓄積しておくこと必要がなくなった無線アクセスポイントAPについては、当該無線アクセスポイントAPのラベルを削除することが望ましい。この目的で、位置登録サーバLRは、ラベル登録の処理の他にラベル削除の処理も行う。すなわち、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信した位置登録サーバLRは、本フレームに含まれる移動端末MHの接続先無線アクセスポイントAPよりも前に使用されていた無線アクセスポイントAPは当該移動端末MHの通信に不要であると判断できるため、ラベルエリミネーション・オーダ(Label Elimination Order)フレームによって不要となる無線アクセスポイントAPにラベル削除の指示を与える。図10に示す例では、移動端末MHが無線アクセスポイントAP1からAP2に移動しているとき、移動端末MHが無線アクセスポイントAP2にハンドオーバしてロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを送信した後、位置登録サーバLRは無線アクセスポイントAP1に対してラベルエリミネーション・オーダ(Label Elimination Order)を送信する。これを受信した無線アクセスポイントAP1では、当該移動端末MHのラベルとアドレスを削除するとともに、自身が接続するスイッチSWのポートに対してラベル削除の制御フレームを送信する。この制御フレームの交換による動的なラベル削除の処理過程は、動的ラベル登録の処理過程と同様のものであり、図10ではこれをラベル・デレジストレーション(Label De-registration)と表している。先述のGVRPでも、このようなVLANにおける削除の方法が規定されている。なお、ラベルが削除された無線アクセスポイントAPは、当該ラベルを有する移動端末MH宛てのデータフレームがバッファに蓄積されていれば、これらデータフレームをバッファから削除する。
以上述べたように、本実施形態では、ネットワークの使用効率を劣化させることなく、移動端末MH宛てのデータを、当該移動端末MHが現在接続している無線アクセスポイントAPだけでなく、次に使用する無線アクセスポイントAPにも事前に届けておくことができる。したがって、移動端末MHがハンドオーバする際に通信が途切れる時間があっても、この間のデータの欠落を防ぐことが可能となる。
さらに本実施形態では、以下で説明する手法を用いることにより、次のような状況にも柔軟に対処することができる。
すなわち、(1)移動端末MHの移動速度が大きくなり、移動端末MHが2つの無線アクセスポイントAP間を通過する時間に比して、ラベル登録に要する時間が十分小さいとはいえない状況、あるいは(2)位置登録サーバLRにおいて、移動端末MHからのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを正常に受信できていない状況、である。
1点目の、移動端末MHの移動速度が大きくなった状況への対処を述べる。上記で述べた制御フレームの交換による動的なラベル登録では、登録が必要な全スイッチSWのポートと無線アクセスポイントAPで処理を完了するまでに有限の時間を要する。上記のようにデータ欠落を防ぐためには、移動端末MHが新しい無線アクセスポイントAPにハンドオーバを完了するまでに、当該無線アクセスポイントAPとゲートウェイGWを結ぶ経路上でラベル登録を完了している必要があるが、これを移動端末MHの移動速度によらずに実現するためには、位置登録サーバLRがロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信した後に送信するラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)の送信先無線アクセスポイントAPを、移動端末MHの移動速度によって可変的に設定することが有効である。こうした可変的な設定例を図8に示す。図8では、移動端末MHが無線アクセスポイントAP1に接続した際には、移動端末MHの移動速度が小さいため、これより1つ先の無線アクセスポイントAP2に対してのみラベル登録の処理を指示している。これに対し、移動端末MHが無線アクセスポイントAP2に接続した際には、移動端末MHの移動速度が大きくなったため、1つ先の無線アクセスポイントAP3だけでなく、2つ先の無線アクセスポイントAP4に対してもラベル登録の指示を行っている。このように、位置登録サーバLRでは移動端末MHの移動速度にあわせて適応的にラベルを管理する。図8では、こうしたラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)の送信先決定処理の過程をカルキュレーション(Calculation)と表している。
図11に、位置登録サーバLRで行うカルキュレーション(Calculation)の例を示す。この例では、関数の演算によってラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームの送信先無線アクセスポイントAPを決定する。位置登録サーバLRでj回目のロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信すると、本フレームの受信時刻と、本フレーム中に含まれる無線アクセスポイントAPのアドレス情報、移動端末MHのアドレス情報、ラベル、移動速度を記録する。
得られた無線アクセスポイントAPのアドレス情報からは、無線アクセスポイントAPの配置間隔やラベル登録に要すると見積もられる処理時間を計算する。このとき、位置登録サーバLRは、無線アクセスポイントAPのアドレス情報に対応した位置情報や、ゲートウェイGWから無線アクセスポイントAPに至る経路のトポロジ上の情報を管理しているものとする。無線アクセスポイントAPの配置間隔は位置情報から、またラベル登録に要する時間は経路のトポロジ情報から、それぞれ計算または情報検索によって決定される。
こうして決定された値は、ラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレーム送信先無線アクセスポイントAPを決定するための関数に入力される。関数の例として、ここでは、ラベル登録処理時間に一定のガードタイムを加えた時間と、移動端末MHが上記移動速度で無線アクセスポイントAP間を通過する時間との比をとり、これを切り上げて整数としている。この関数演算の結果、現在移動端末MHが接続している無線アクセスポイントAPからいくつ先の無線アクセスポイントAPまでラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを送信するかを表すパラメータM(j)の値を決定する。このようなM(j)の計算結果例を図12に示す。ただし、図12の計算では、無線アクセスポイントAPの配置間隔とラベル登録処理時間は定数として与えている。
位置登録サーバLRで行うカルキュレーション(Calculation)は、図11、図12ではM(j)の値を関数の演算によって与えているが、これ以外の方法として、移動速度等とM(j)の値を対応付けた表を予め作成しておき、この表の検索によってM(j)の値を決定する方式としてもよい。
なお、M(j)が2以上となり、ラベル登録の処理が複数無線アクセスポイントAPにおいてなされた場合、その次にラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを送信すべき無線アクセスポイントAPでは、すでに当該ラベルの登録が完了していることがある。このような場合は、上書きする形で再びラベル登録処理を行ってもよいし、あるいは、すでに登録がなされている無線アクセスポイントAPにはラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームを送信しないこととしてもよい。
2点目の、位置登録サーバLRで移動端末MHからのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを正常に受信できない状況への対処を述べる。これは、例えば、ある無線アクセスポイントAPが故障によって使用不能となっており、当該無線アクセスポイントAPを接続先として指定したロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームが位置登録サーバLRに届かない、といった場合に相当する。データ欠落を最小限に抑えるためには、このような状況においても、移動端末MHがその後いずれかの無線アクセスポイントAPに接続した際に、その無線アクセスポイントAPを含むラベル登録の処理が完了していることが望ましい。そのためには、位置登録サーバLRにおいて、正常動作時とは異なるラベル管理が必要となる。この目的で、位置登録サーバLRでは「予測エラー」の状態を認識する。予測エラーとなる条件としては、移動端末MHからのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームが、最後に正常に受信してから基準時間以上届かないこととする。ここで基準時間は、例えば、移動端末MHの接続先無線アクセスポイントAPと次に移動端末MHが接続すると想定される無線アクセスポイントAPとの配置間隔と、移動端末MHの移動速度の関係から、次のハンドオーバが行われるまでの時間を算出することによって決定する。
位置登録サーバLRで予測エラーを認識した場合は、正常動作時とは異なる関数演算を行い、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信していない状態でもラベルアローケーション・オーダ(Label Allocation Order)フレームの送信を開始する。このように予測エラーの状態を含むカルキュレーション(Calculation)の処理フローの例を図13に示す。また、図14は予測エラーが発生した場合の関数演算の例を示している。ここでは、図11で示した関数演算を正常動作時のものとした上で、予測エラー時の関数演算は、最後に正常動作時の関数演算がなされた結果の値M(j)を用いて、これをk倍(kは自然数)する(得られた結果をMeと表している)。kの値は、パラメータとして可変的に与えるか、あるいは定数として与えておく。
以上述べたように、本実施形態では、移動端末MHの移動速度に適応させてラベル登録の処理を行うため、移動端末MHの移動速度が大きくなった場合にも、将来接続すると想定される無線アクセスポイントAPへのデータの事前送信が可能であり、このためハンドオーバ時のデータ欠落を防ぐことができる。また、移動端末MHが行う位置登録にエラーが発生した場合にも迅速かつ適応的にラベル登録の処理を開始することが可能であり、これによってデータの欠落を最小限に防ぐことが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態の特徴的部分は、移動端末MHからのロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに、走行距離などの位置情報を含めることである。この実施形態は、請求項3、5に対応する。
本実施形態では、移動端末MHがアソシエーション(Association)後に位置登録サーバLRに送信するロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに含む情報が、第2の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態では、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに、移動端末MHのアドレス情報とラベル、接続先無線アクセスポイントAPのアドレス情報、移動端末MHの移動速度情報の他に、移動端末MH自身が管理する地理的情報を含む。この移動端末MH自身が管理する地理的情報とは、地図上の絶対的な位置であってもよいし、あるいはある地点を基点とした相対的な位置であってもよい。前者には、例えばGPS(Global Positioning System)を用いた地図上の地点情報が相当する。また後者には、例えばレールに沿って走行する列車が管理する走行距離情報が相当する。
このように、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに、位置情報として、接続先無線アクセスポイントAPの情報に加えてより詳細な移動端末MHの地理的情報を加えることの利点は、位置登録サーバLRでの移動端末MHのモビリティ管理をより精密に行うことが可能となり、そのためラベル登録処理もより的確に、効率よく行うことも可能となることである。
例えば、図11のカルキュレーション(Calculation)では、いくつ先の無線アクセスポイントAPまでラベルを登録するかを決定するが、この決定プロセスを状況により適応的にすることができる。つまり、移動端末MHの移動速度と位置、および無線アクセスポイントAPの位置との関係から、次の無線アクセスポイントAPへのハンドオーバが起こる時間を高い精度で予測することができるため、これによってラベル登録先無線アクセスポイントAPの数を変化させる処理が可能である。
同様に、位置登録サーバLRにおいてロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームが一定時間以上届かないことを予測エラーの条件とする場合では、その判断の条件となる基準時間の設定を、最後に受け取ったロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームに含まれる移動端末MHの移動速度、位置情報から精密に行うことが可能となる。
以上述べたように、本実施形態では移動端末MHと無線アクセスポイントAPの位置関係を積極的に用いることにより、第2の実施形態で述べた効果を維持しつつ、より的確かつ効率のよいラベル登録処理を行うことができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を説明する。第4の実施形態が、前記した第1、第2、第3の実施形態と異なるのは、第1、第2、第3の実施形態において、無線アクセスポイントAPがロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームの送信を行い、その代わりに、アソシエーション・リクエスト(Association Request)に速度や位置情報を含ませることである。これにより、処理手順を軽減することができる。この実施形態は、全ての請求項に関連する。
以下では、図15、図16を参照して、第4の実施形態を説明する。本実施形態では、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを送信するのが移動端末MHではなく、新しく移動端末MHとアソシエーション(Association)を確立した無線アクセスポイントAPである点が、第1、第2、第3の実施形態と異なる。
上記第2の実施形態で説明したのと同様に、移動する移動端末MHはハンドオーバの際に新しい無線アクセスポイントAPとの間でアソシエーション(Association)処理を行う。図15にこの様子を示す。本実施形態においても、ディスアソシエーション(Disassociation)処理や認証処理は必須のものではないので、簡単のために省略している。
本実施形態では、移動端末MHはアソシエーション・リクエスト(Association Request)フレームの中に自身のアドレス情報、ラベル情報と、移動速度情報を含めて無線アクセスポイントAPに送信する。あるいは、第3の実施形態と同様に、移動端末MH自身が管理する位置情報をこれらに加えてもよい。
本フレームを受信した無線アクセスポイントAPは、移動端末MHに向けてアソシエーション・レスポンス(Association Response)フレームを返信するだけでなく、位置登録サーバLRに向けてロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを送信する。このとき、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームには、アソシエーション・リクエスト(Association Request)フレームに含まれていた移動端末MHに関する情報の他に、送信する無線アクセスポイントAP自身のアドレス情報を加えて送信する。これを位置登録サーバLRが受信した後のラベル登録の処理は、第2、第3の実施形態と同様である。
また、図16に示すように、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信した位置登録サーバLRではラベル削除の処理も行うが、この際のロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームも無線アクセスポイントAPから送信されたものである。
本実施形態では、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームの送受信が無線アクセスポイントAPと位置登録サーバLRの間の有線区間のみであるため、第2、第3の実施形態で述べた効果を維持しつつ、より迅速に移動端末MHのモビリティ管理を行うことができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態を説明する。第5の実施形態の特徴的な部分は、第1、第2、第3、または第4の実施形態において、ディスアソシエーション(Disassociation)によるラベル削除処理を加えることである。これにより、処理手順を軽減することができ、すばやくラベル削除がなされるので、帯域使用効率の観点からも好ましい。この実施形態は、全ての請求項に関連する。
以下では、図17を参照して、第5の実施形態を説明する。本実施形態では、移動端末MHのハンドオーバの際に、ディスアソシエーション(Disassociation)処理を必ず行う点が、第1、第2、第3、第4の実施形態と異なる。
本実施形態で行うディスアソシエーション(Disassociation)処理は、移動端末MHが現在接続している先の無線アクセスポイントAPに対して、明示的に接続関係(association)の解除を要求するものである。これは、移動端末MHから無線アクセスポイントAPに対してディスアソシエーション(Disassociation)フレームを送信することで行う。
図17に示すように、ディスアソシエーション(Disassociation)フレームを受信した無線アクセスポイントAPでは、自身に登録していた当該移動端末MHのラベルとアドレス情報を削除するとともに、ゲートウェイGWと自身を結ぶ経路上のスイッチSWのポートでのラベル削除処理を開始する。つまり、接続するスイッチSWのポートに向けてラベル削除のための制御フレームの送信を行う。
移動端末MHはディスアソシエーション(Disassociation)フレームを送信した後で、新しい無線アクセスポイントAPとの間でアソシエーション(Association)処理を行う。アソシエーション(Association)処理を行う前に認証処理を行ってもよいが、これは本実施形態の手順に必須のものではないため、図17では省略している。アソシエーション(Association)が確立した後の手順は、第1、第2、第3の実施形態と同様に、位置登録とラベル登録の処理を行う。
本実施形態では、第2、第3、第4の実施形態で述べた効果を維持しつつ、不要となったラベル削除の処理を迅速に行うことが可能である。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態を説明する。第6の実施形態の特徴的な部分は、第5の実施形態において、無線アクセスポイントAPから位置登録サーバLRへのディスアソシエーション・アナウンスメント(Disassociation Announcement)を加えるたことである。すなわち、予測エラー認識の条件を追加することで、より迅速な処理が可能となる。本実施形態は、請求項6に対応する。
以下では、図18を参照して、第6の実施形態を説明する。本実施形態では、移動端末MHのハンドオーバの際に、ディスアソシエーション(Disassociation)処理を必ず行い、かつこれを受信した無線アクセスポイントAPが接続解除通知メッセージ、すなわち、ディスアソシエーション・アナウンスメント(Disassociation Announcement)フレームを位置登録サーバLRに送信する点が、第2、第3、第4、第5の実施形態と異なる。
ディスアソシエーション・アナウンスメント(Disassociation Announcement)フレームには、当該フレームを送信する無線アクセスポイントAPのアドレス情報の他に、当該移動端末MHのアドレス情報、ラベルを情報として含む。あるいは、移動端末MHが無線アクセスポイントAPに送信するディスアソシエーション(Disassociation)の中に移動速度を含め、ディスアソシエーション・アナウンスメント(Disassociation Announcement)フレームに移動速度を加えて送ってもよい。
位置登録サーバLRがディスアソシエーション・アナウンスメント(Disassociation Announcement)フレームを受信すると、その内容とともに、受信した時刻を記録する。正常な動作時においては、その後に別の無線アクセスポイントAPからロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームを受信することが想定されるため、これを受信するまでの時間を計測する。
当該時間が一定の基準時間よりも小さい場合には、図14に示す正常時の関数演算が行われる。逆に、基準時間を経過してもロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームの受信が確認できない場合には、図14に示す予測エラー時の関数演算が行われる。ここで、基準時間とは位置登録サーバLR自身が管理する時間であり、これは定数で与えられるか、または移動速度から計算によって求められる。
本実施形態では、移動端末MHの移動を把握するために、ロケーションレジストレーション・リクエスト(Location Registration Request)フレームだけでなく、ディスアソシエーション・アナウンスメント(Disassociation Announcement)フレームも使用するため、予測エラーの状態をより迅速に把握することが可能となる。したがって、第2、第3、第4、第5の実施形態で述べた効果を維持しつつ、より的確なラベル登録処理が可能となる。
本発明は、移動体通信ネットワークの分野において、産業上大いに利用することができる。
移動体通信のネットワーク構成を示す図である。 位置登録とラベル登録処理手順を示す図である。 関数演算によるカルキュレーション(Calculation)の例を示す図である。 分岐のあるラベルパスを示す図である。 移動体が移動した後における移動体通信のネットワーク構成を示す図である。 位置登録とラベル登録および削除処理手順を示す図である。 移動体の移動方向に沿って無線アクセスポイントが配置される場合の移動体通信のネットワーク構成を示す図である。 位置登録とラベル登録処理手順を示す図である。 分岐のあるラベルパスを示す図である。 位置登録とラベル削除処理手順を示す図である。 関数演算によるカルキュレーション(Calculation)の例を示す図である。 関数演算の結果の例を示す図である。 予測エラーを含むカルキュレーション(Calculation)処理フローを示す図である。 予測エラーの場合のカルキュレーション(Calculation)処理フローを示す図である。 位置登録とラベル登録処理手順を示す図である。 ラベル削除処理手順を示す図である。 位置登録とラベル削除・登録処理手順を示す図である。 位置登録と接続解除通知手順を示す図である。 第1の従来例を示す図である。 第2の従来例を示す図である。
符号の説明
AP,AP1…AP9 無線アクセスポイント
MH 移動端末
LR 位置登録サーバ
GW ゲートウェイ
CH 外部ネットワークに属する端末
SW1,SW2…SW6 スイッチ

Claims (6)

  1. 移動端末のアドレスに一意に対応付けられるラベルの登録、削除が可能な無線アクセスポイントと、
    外部のネットワークとの間でデータの中継を行うゲートウェイと、
    前記ラベルに基づいてデータフレームを転送するスイッチと、
    前記無線アクセスポイントの位置と前記移動端末の位置とラベルパスとを管理する位置管理サーバとから構成される移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法であって、
    前記ゲートウェイは、前記移動体通信ネットワーク内のすべての移動端末のアドレスとラベルの対応関係を認識し、
    前記無線アクセスポイントは、自身に登録されたラベルに対応する移動端末のアドレスを認識し、
    前記移動端末が新しい無線アクセスポイントと無線リンクを確立するたびに前記位置管理サーバに届けられる位置登録メッセージ中に、前記移動端末のアドレスとラベル、および位置情報としての前記接続先無線アクセスポイントの識別情報、および前記移動端末自身が管理する移動速度を含め、
    前記位置管理サーバでは、前記移動端末の位置情報と移動速度情報とに基づいて、前記移動端末がその後接続すると予想されるいくつかの前記無線アクセスポイントを推定し、前記移動端末がこれらの前記無線アクセスポイントに接続を切り替えるまでに要する時間、および前記ゲートウェイから前記無線アクセスポイントに至る経路にラベルパスを設定するのに要する時間に基づいて、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定した後、前記移動端末の移動速度状況にあわせて適応的にラベルパスを設定し、
    さらに、過去に設定されたラベルパスの中で、前記移動端末が特定の無線アクセスポイントとの間の無線リンクを切断したことから不要であることが明らかなラベルパス、もしくは前記移動端末の過去の位置情報の履歴から不要であることが明らかなラベルパスを削除し、
    前記一連の処理を繰り返すことにより、前記移動端末が接続している前記無線アクセスポイントのみならず、その後接続することが想定される前記無線アクセスポイントにも同時にデータを送信することを特徴とする移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法。
  2. 請求項1に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、
    前記位置管理サーバは、前記位置登録メッセージに含まれる、前記移動端末の前記接続先無線アクセスポイントの過去の履歴または移動速度情報から、前記移動端末の移動の向きを判別し、
    さらに、前記移動端末がその後接続すると予想されるいくつかの前記無線アクセスポイントを、前記移動端末の移動の向きで限定することを特徴とする移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、
    前記位置登録メッセージ中に、前記位置情報として前記接続先無線アクセスポイントの識別情報に加えて、これよりも細かい精度で前記移動端末の位置を特定可能な地理的情報を含め、
    前記位置管理サーバでは、前記移動速度と前記接続先無線アクセスポイントの識別情報と前記地理的情報とから成る前記移動端末の位置情報を用いて、前記移動端末が将来接続すると予想される前記無線アクセスポイントに接続を切り替えるまでに要する時間を算出し、前記算出された時間に基づいてラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、
    前記移動端末の前記位置情報に応じて適応的にラベルパスを設定することを特徴とする移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、
    前記位置管理サーバは、ある無線アクセスポイントから前記位置登録メッセージを受信すると、前記移動端末の位置情報としての接続先無線アクセスポイントの識別情報と移動速度、および無線アクセスポイントの位置に基づいて、次に位置登録メッセージを受信するまでの時間を、現接続無線アクセスポイントと接続先無線アクセスポイントとの距離および前記移動端末の移動速度の関係から算出し、前記算出された時間内は前記位置登録メッセージの受信待機状態にあり、
    前記算出された時間内に前記位置登録メッセージの受信を確認できない場合には、過去に正常に受信した位置登録メッセージの情報を使用して、その後前記移動端末が接続すると予想される無線アクセスポイントを推定するとともに、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、
    前記移動端末が予測通りに前記無線アクセスポイントの接続切り替えを行わない状況においても、適応的にラベルパスを設定することを特徴とする移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法。
  5. 請求項3に記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、
    前記位置管理サーバは、ある無線アクセスポイントから前記位置登録メッセージを受信すると、前記移動端末の地理的情報を含む位置情報と移動速度および前記無線アクセスポイントの位置に基づいて、次に位置登録メッセージを受信するまでの時間を、前記移動端末と前記無線アクセスポイントとの距離と前記移動端末の移動速度の関係から算出し、前記算出された時間内は前記位置登録メッセージの受信待機状態に入り、
    前記算出された時間内に前記位置登録メッセージの受信を確認できない場合には、過去に正常に受信した位置登録メッセージの情報を使用して、その後前記移動端末が接続すると予想される無線アクセスポイントを推定するとともに、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、
    前記移動端末が予測通りに前記無線アクセスポイントの接続切り替えを行わない状況においても、適応的にラベルパスを設定することを特徴とする移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法。
  6. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法において、
    前記移動端末は、新しい無線アクセスポイントに接続を切り替える前に接続している前記無線アクセスポイントに対して明示的に接続解除の要求を行い、
    前記接続解除要求を受けた前記無線アクセスポイントは、前記移動端末との無線リンクを切断したことを通知する接続解除通知メッセージを前記位置登録サーバに送り、
    前記接続解除通知メッセージを受信した前記位置登録サーバは、現接続無線アクセスポイントに隣接する無線アクセスポイントから届けられるべき前記位置登録メッセージの受信待機状態に入り、
    その後、自身が定める基準時間を経過しても前記位置登録メッセージの受信を確認できない場合には、過去に正常に受信した位置登録メッセージの情報を使用して、その後前記移動端末が接続すると予想される無線アクセスポイントを推定するとともに、ラベルパス設定処理を行う少なくとも1つの無線アクセスポイントを決定し、
    前記移動端末が予測通りに前記無線アクセスポイントの接続切り替えを行わない状況でも、適応的にラベルパスを設定することを特徴とする移動体通信ネットワークにおけるラベルパス制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101396777B1 (ko) 2012-07-10 2014-05-20 주식회사에어플러그 경로에 따른 접속점 순차정보를 생성하고, 그 생성된 접속점 순차정보를 이용하여 무선 통신망을 접속하는 방법과 장치
JP2015535416A (ja) * 2012-11-02 2015-12-10 クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated ワイヤレス通信のレンジ拡大(rangeextension)のためのシステム、装置、および方法

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