JP2006129022A - ボビン、コイル装置、および、スピーカ装置 - Google Patents

ボビン、コイル装置、および、スピーカ装置 Download PDF

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敏宏 石垣
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Abstract


【課題】 高入力でも安定した特性を提供できるスピーカ装置を提供する。
【解決手段】 チタン合金にて円筒状に形成したコイルボビン510の一端側外周面に、セラミック組成物や耐熱性樹脂組成部にて皮膜処理で絶縁層を被覆形成し表面に融着層を有した導線を巻回してボイスコイル520を巻装する。高入力時に、導線がショートせず、ボイスコイル520の巻装位置と巻装していない位置との境界部分に、高入力による長い距離で高速移動する際に大きな折曲力や屈曲力が作用してもコイルボビン510が破れず、安定した特性を提供できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐熱処理されたコイルが巻装されるボビン、コイル装置、および、スピーカ装置に関する。
従来、この種のコイル装置として、スピーカ装置に利用される構成が知られている。このスピーカ装置に利用されるコイル装置は、ボビンにボイスコイルが巻装された構成が採られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のものは、ジルコニウムの化合物およびシリコンの化合物を含むコーティング用組成物を、銅線である導体に塗布し、加熱硬化させ、セラミック絶縁皮膜を形成し、セラミック絶縁被覆導線を形成している。さらに、セラミック絶縁被覆導線の外周面に、ポリアミド系樹脂またはポリイミド系樹脂を有機溶剤により溶解させた塗料を塗布し、融着皮膜を形成し、自己融着性セラミック絶縁被覆導線を形成している。この自己融着性セラミック絶縁被覆導線を、円筒状のボビンの外周面に巻回して巻線を形成し、加熱して巻線全体を一体的に融着させ、スピーカー用ボイスコイルを形成している。
一方、ボイスコイルボビンとして、高剛性を有し耐熱性に優れるとともに、熱による熱膨張率が非常に小さい構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のものは、チアゾール環を含む芳香族ジアミンと無水ピロメリット酸とを合成した溶液を、所定の温度および押し出し圧力で紡糸し、熱処理してPIBT繊維を生成する。このPIBT繊維を平織りして形成した織布にシリコーン樹脂を含浸し、熱嵌挿して成形シートを形成する。そして、成形シートを円筒形状に接着してボイスコイルボビンを形成する構成が採られている。
特開2002−222616号公報(第4頁右欄−第5頁右欄) 特開平7−75197号公報(第2頁右欄−第3頁右欄)
ところで、コイル装置を備えたスピーカ装置やモータなどの電気機器として、近年より高出力化が望まれている。高出力に伴ってボイスコイルに係る負荷も大きくなり、より高い耐熱性が要求されるとともに、ボビンに作用する歪みや外力なども増大し、より高い高強度が要求される。このため、上述したような特許文献1に記載のような耐熱性のコイルを利用するコイル装置や特許文献2に記載のようなPIBT繊維を利用するボビンを利用するコイル装置を備えた電気機器としても、より高出力化に伴う安定した特性が望まれている点が一例として挙げられる。
本発明は、上述したような実情などに鑑みて、高入力でも安定した特性が得られるボビン、コイル装置、および、スピーカ装置を提供することを1つの目的とする。
請求項1に記載の発明は、耐熱処理されたコイルが外周面に巻装されるボビンであって、チタンを含有する金属材料にて略円筒状に形成されたことを特徴としたボビンである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボビンと、このボビンの外周面に巻装されるコイルと、を具備したことを特徴としたコイル装置である。
請求項11に記載の発明は、請求項2ないし請求項9のいずれかに記載のコイル装置と、このコイル装置が取り付けられる振動板と、磁性体と、前記振動板および前記磁性体を保持し前記磁性体とにより磁気回路を構成するヨークを備えたフレームと、を具備したことを特徴としたスピーカ装置である。
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載のコイル装置と、磁性体と、前記コイル装置のボビンの振動板および前記磁性体を保持し、前記磁性体とにより磁気回路を構成するヨークを備えたフレームと、を具備したことを特徴としたスピーカ装置である。
以下に、本発明のスピーカ装置の一実施の形態の構成について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、コーン型のスピーカ装置について例示するが、この限りではない。図1は、本発明における一実施の形態に係るスピーカ装置の概略構成を示す断面図である。図2は、ボイスコイルボビンの概略構成を示す断面図である。図3は、導線を示す断面図である。
〔スピーカ装置の構成〕
図1において、100はスピーカ装置で、このスピーカ装置100は、電気的に接続される再生装置からの電気信号である音声データを発音により出力する。このスピーカ装置100は、本体部200と、磁石300と、振動板400と、コイル装置としてのボイスコイルボビン500と、図示しない保護部材と、を備えている。
本体部200は、例えば硬質の合成樹脂やアルミニウム合金などの軽量金属材料などにて形成されている。そして、本体部200は、一面側に向けて拡開する略凹状のフレーム210と、このフレーム210に一体的に設けられた磁気回路部220と、を備えている。
フレーム210は、底面略中央に略円形の開口211が穿設され一面側に向けて開口する略円筒形の底部212を有している。この底部212の外周縁には、略放射状に架橋部213が先端側で互いに拡開する状態に複数一連に設けられている。また、底部212の拡開する側の周縁部には、底面に略平行な第1取付面を有した第1取付段差部214Aが設けられている。この第1取付段差部214Aの外周縁には、略放射状に架橋部213が先端側で互いに拡開する状態に複数一連に設けられている。さらに、架橋部213の先端には、略リング状で、底部212の底面に略平行な第2取付段差部214Bが一連に設けられている。この第2取付段差部214Bの外周縁には、底部212と略同軸状の円筒状に形成された位置決め筒部215が一連に設けられている。また、フレーム210には、電気信号の音声データが入力される端子216Aを有するターミナル216が一体的に取り付けられている。
磁気回路部220は、プレート221と、ヨーク222と、を備えている。プレート221は、磁性材料にて略リング状に形成されている。このプレート221は、例えば接着剤などにてフレーム210の底面に、内周が底部212の開口211と同軸上となる状態に一体的に取り付けられる。ヨーク222は、例えばプレート221と同材質に形成されている。このヨーク222は、略円板上の板部222Aの略中央に一面側に略円筒状に突起部222Bを有した略凸状に形成されている。そして、ヨーク222は、板部222Aがプレート221とにより磁石300を挾持する状態に例えば接着剤にて磁石300を介してプレート221に一体的に取り付けられる。このヨーク222が取り付けられた状態は、突起部222Bの外周面がプレート221の内周面に所定の間隙で対向して磁気ギャップを形成する状態となっている。
磁石300は、例えばリング状に形成され、軸方向の両端面に磁極面が形成されている。そして、磁石300は、上述したように、プレート221とヨーク222の板部222Aとの間に挾持される状態で、例えば接着剤にて取り付けられている。この取り付けられた状態は、磁石300の内周側にヨーク222の突起部222Bが略同軸上に貫通する状態となっている。この磁石300の取り付けにより、ヨーク222の突起部222Bの外周面とプレート221の内周面とが異なる磁極で対向する状態となり、磁石300および磁気回路部220にて磁気回路が構成される。
振動板400は、例えば表面が防触処理されたマグネシウム薄板や、チタン合金、紙パルプ、各種繊維のシート部材などにて略薄膜状に形成されている。この振動板400は、一面側に向けて拡開する略裁頭形状(コーン形状)の振動部410を有している。振動部410の外周縁には、振動部410が拡開する側と同方向に突出する状態に断面略U字状に屈曲するエッジ部420が一連に設けられている。さらに、エッジ部420の外周縁には、外方に鍔状に突出し、フレーム210の第2取付段差部214Bの取付面に例えば接着剤にてリング状の取付部材440にて挾持される状態に取り付けられ、フレーム210に支持される。また、振動板の内周縁には、略円筒状に一連に設けられた取付部450が設けられている。なお、エッジ部420を別部材として、振動部410の外周縁近傍に接着などにより取り付けて一連に振動板400を構成してもよい。
また、振動板400には、ボイスコイルボビン500が一体的に設けられている。このボイスコイルボビン500は、図1および図2に示すように、略円筒状のコイルボビン510と、このコイルボビン510の外周面に巻装されるコイルであるボイスコイル520と、を備えている。
コイルボビン510は、チタンを含有する金属材料、例えばチタンを主成分とする金属材料であるチタン合金にて略円筒状に形成されている。そして、コイルボビン510は、外径が振動板400の取付部450の内径と略同寸法に形成され、軸方向の一端側が例えば接着剤などを用いて一体的に取り付けられている。なお、コイルボビン510は、振動板400が拡開する側の一端側に端面を閉塞する球面ドーム状のダストキャップが例えば接着剤にて接着されて一体的に設けられた構成としてもよい。
ボイスコイル520は、コイルボビン510の軸方向の他端側の外周面に巻装されている。このボイスコイル520は、耐熱処理された導線521がコイルボビン510に巻回されて構成されている。ここで、耐熱処理された導線521としては、図3に示すように、導線である銅線521Aの表面に耐熱性の絶縁層521Bが被覆形成されている。
絶縁層521Bは、例えばジルコニア(Zr)および珪素(Si)のうちの少なくともいずれか一方を含有するセラミック組成物、具体的にはジルコニウム化合物およびシリコン化合物のうちの少なくともいずれか一方を含有する被覆用組成物が塗布されて熱硬化などの皮膜処理により皮膜状に形成されたものや、ジルコニア(Zr)および珪素(Si)のうちの少なくともいずれか一方を含有するセラミック組成物が蒸着などの皮膜処理により皮膜状に形成されたもの、あるいは、イミド基を有する環状化合物を構成モノマとして含有する耐熱性樹脂組成物が塗布されて熱硬化などの皮膜処理により皮膜状に形成されたものや、上述の耐熱性樹脂組成物に粒径が1nm以上10μm以下のセラミック粉末が含有された組成物が塗布されて熱硬化などの皮膜処理により皮膜薄膜状に形成されたもの、または、上述した耐熱性樹脂組成物を構成する環状化合物に無機元素が置換などにより化学的に結合されたいわゆるハイブリッド耐熱性樹脂組成物が同様に皮膜処理されて形成されたもの、などが例示できる。なお、イミド基を有する環状化合物を構成モノマとして含有する耐熱性樹脂組成物としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドなどが例示できる。さらに、環状化合物に化学的に結合される無機元素としては、例えばSiなどが例示できる。
さらに、耐熱処理された導線521の表面には、融着層521Cが被覆形成されている。この融着層521Cは、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ならびにこれら樹脂を2種類以上組み合わせたワニスなどの樹脂組成物が塗布され、熱硬化などにより皮膜処理されて形成される。
そして、ボイスコイルボビン500は、耐熱処理された導線521がコイルボビン510に適宜巻回されて加熱され、隣り合う導線521同士さらにはコイルボビン510と融着されてボイスコイル520が巻装される。なお、ボイスコイル520の導線521の両端部が引き出され、フレーム210に設けられたターミナル216の端子216Aに接続されて音声データの入力端となる。
また、ボイスコイルボビン500には、いわゆるダンパである略円板状の取付支持部600が一体的に設けられている。この取付支持部600は、例えば振動板400あるいはコイルボビン510と同材質に形成されている。そして、取付支持部600は、図1に示すように、略中央にコイルボビン510が嵌挿される略円筒状で、内周面がコイルボビン510の外周面に例えば接着剤などにて一体的に取り付けられる図示しない円筒部を有している。さらに、取付支持部600は、円筒部の軸方向の一端に径方向に鍔状で、径方向に波形状に形成された可動部620が一連に設けられている。また、この可動部620の外周縁には、鍔状に突出し、フレーム210の第1取付段差部214Aに例えば接着剤にて取り付けられる鍔部630が一連に設けられている。そして、取付支持部600の鍔部630がフレーム210の第1取付段差部214Aに取り付けられるとともに、振動板400のエッジ部420の取付鍔部430がフレーム210の第2取付段差部214Bに取り付けられ、ボイスコイルボビン500が一体的に取り付けられた振動板400がフレーム210に配設される。この配設された状態で、ボイスコイル520が磁気ギャップに位置する。
保護部材は、例えば合成樹脂や金属材料などにて例えばメッシュ状に形成され、振動板400の拡開する側を覆う状態にフレーム210の位置決め筒部215に取り付けられる。この保護部材の取り付けは、例えば接着剤などにて取り付けられる他、嵌合固定やねじ止めなど、いずれの方法で取り付けられる。また、スピーカ装置100は、保護部材を設けない構成としてもよい。
〔スピーカ装置の作用〕
次に、上記スピーカ装置100の作用として、ボイスコイルボビン500の特性について各種実験結果を利用して図面に基づき説明する。図4は、コイルボビンの材料強度の実験結果を表形式で対比した説明図である。図5は、スピーカ装置の強度実験のための実験装置を示すブロック図である。図6は、スピーカ装置における本実施の形態と比較例1との強度実験結果を示すグラフである。
(ボビン材の強度)
まず、所定の寸法に切り出したコイルボビン510の材料強度の実験を実施した。この材料強度の実験に利用する試料としては、厚さ寸法が0.10mmのチタン製のコイルボビン510から切り出したものを本実施の形態1、厚さ寸法が0.15mmのチタン製のコイルボビン510から切り出したものを本実施の形態2とした。なお、比較例として、アルミニウム製で厚さ寸法が0.10mmのものを比較例1、アルミニウム製で厚さ寸法が0.15mmのものを比較例2、フェノール樹脂をガラスクロスに含浸した繊維製で厚さ寸法が0.075mmのものを比較例3とした。そして、強度実験としては、引張強度と、25mm幅で切り出したボビン材に1kgの錘を付け、片側90°で往復180°の屈曲を毎分30往復の速度で実施する屈曲試験とを実施し、ボビン材が破断するまでの回数を計測した。その結果を図4に示す。
この図4に示す結果から、チタン製の本実施の形態1,2のものは、各比較例1〜3に比して引張強度が高いことが認められた。また、屈曲強度についても、繊維製の比較例3では1回の屈曲で破断し、比較例1,2のアルミニウム製でも2,3回程度で破断した。一方、本実施の形態1,2のものでは、比較的に引張強度が高かった比較例1,2のアルミニウム製に比して、約5〜10倍程度の屈曲強度を有することが認められた。
(スピーカ装置における強度)
実験に利用するボイスコイルボビン500としては、上述した材料強度実験における厚さ寸法が0.10mmのチタン製のコイルボビン510に、アミドイミド樹脂に数nmのシリカ粒子を分散させた組成物を銅線521Aに塗布して熱硬化し絶縁層521Bを形成し、さらにエポキシ樹脂およびポリアミド樹脂を主成分とするワニスを皮膜処理して融着層521Cを形成した導線521を巻回して抵抗値4Ωのボイスコイル520を巻装したものを用い、スピーカ口径30cmのスピーカ装置100を試料(本実施の形態1)とした。一方、比較例として、上述した材料強度実験におけるフェノール樹脂をガラスクロスに含浸して形成したコイルボビンに、ポリエステル絶縁電線にエポキシ樹脂とポリアミド樹脂を主成分とするワニスを融着層として焼き付けた導線(東京特殊電線株式会社製 自己融着性ポリエステル電線)を巻回して抵抗値4Ωのボイスコイルを巻装したものでスピーカ装置を組み立てたものを比較例1とした。また、比較例1のコイルボビンに、本実施の形態1で利用した導線521を巻回してボイスコイル520を巻装したものを用いたスピーカ装置を比較例2とした。さらに、本実施の形態1のチタン製のコイルボビン510に比較例1の導線を巻回したものを用いたスピーカ装置を比較例3とした。
そして、実験としては、図4に示す実験装置700に上述したスピーカ装置100の他、各種材料にて形成したボイスコイルボビンを用いたスピーカ装置を比較例として、スピーカ装置の破壊限界を観察した。この図4に示す実験装置700は、ピンクノイズ発振器710と、ウエイティングネットワーク(IEC268−1C準拠)720と、クリッピング回路730と、アンプ740と、実効値型電圧計750と、を備えている。この実験装置700は、ピンクノイズ発振器710にて発生したピンクノイズを、ウエイティングネットワーク720で試験用周波数特性に変換し、クリッピング回路730にて所定の周波数帯に切り出し、アンプ740にて適宜増幅させ、このアンプ740に接続されたスピーカ装置100や比較例のスピーカ装置に供給して駆動させる。この駆動時に実効値型電圧計750により電圧を計測し、電力を求めた。なお、試験開始入力ワット数で1分間駆動させ、2分間休止するサイクルで10サイクル実施し、ボイスコイルの断線あるいはコイルボビンの破壊が生じるまで、入力ワット数を10Wずつ上昇させてスピーカの破壊限界を観察した。その結果を、図6に示す。
この図6に示す結果から、繊維製のコイルボビンに自己融着性ポリエステル電線を巻回したボイスコイルボビンを備えた比較例1では、2000W入力で電線がショートした。また、繊維製のコイルボビンに、耐熱処理した導線521を巻回したボイスコイルボビンを備えた比較例2では、入力限界が多少上昇したが、2500W入力でコイルボビンが破れた。そして、チタン製のコイルボビン510に、自己融着性ポリエステル電線を巻回したボイスコイルボビンを備えた比較例3では、比較例1と同様に、2000W入力で電線がショートした。一方、本実施の形態であるチタン製のコイルボビン510に耐熱処理した導線521を巻回したボイスコイルボビン500を備えたスピーカ装置100では、3000W入力でもショートやコイルボビン510の破れなどが生じず、安定した特性が得られた。
このように、スピーカ装置100における高出力化のためには、以下の3つの条件を満たす必要があることが認められた。
1.ボイスコイル520の導線521の耐熱性が高く高負荷でもショートしにくいこと。
2.移動距離が長く、かつ移動速度が速い振幅でコイルボビン510に作用する引張力に対して高強度、すなわちコイルボビン510の引張強度が高いこと。
3.高入力時のボイスコイルボビンの振幅移動時に、ボイスコイルが巻装されていない位置で歪みが生じ、巻装された位置と巻装されていない位置との間に折曲力が作用し、屈曲によりコイルボビンが破れることが認められたことから、コイルボビン510として屈曲強さが強い耐屈曲性に優れていること。
〔スピーカ装置の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態によれば、耐熱処理されたボイスコイル520が巻装されるコイルボビン510を、チタンを主成分とする金属材料にて略円筒状に形成している。このため、スピーカ装置100に利用してボイスコイル520に高入力を供給することで、コイルボビン510に大きな引張力や折曲力が作用しても、破れることを抑制でき、高出力のスピーカ装置100が得られる。さらに、耐熱処理されたボイスコイル520およびチタンを主成分とする金属材料製のコイルボビン510を利用するため、高温環境でも利用可能で、汎用性も向上できる。
そして、高速で振幅移動され高入力時に大きな折曲力および屈曲力が作用するスピーカ装置100に利用するので、特に有効である。さらには、スピーカ装置100に利用するボイスコイルボビン500ではコイルボビン510の一端側にのみボイスコイル520が巻装され、巻装された位置と巻装されていない位置との間に歪みによる折曲力が作用する構成でも、この境界部分で破れることを抑制でき、特に有効である。
また、チタンを主成分とするチタン合金にて形成することで、高引張強度および高屈曲強度が得られ、より高出力のスピーカ装置100が得られる。すなわち、高入力時に大きな折曲力や屈曲力が特に作用するボイスコイル520が巻装された位置と巻装されていない位置との境界部分を補強したり肉厚としたりするなどの構成が不要で、一連に形成した構成でも破れを抑制でき、良好で安定した特性が容易に得られる。
そして、耐熱処理したボイスコイル520として、銅線521Aの表面に耐熱性の絶縁層521Bを被覆形成した導線521を巻回することで巻装している。このため、耐熱性が高く高負荷でもショートしにくいボイスコイル520が容易に得られる。
特に、絶縁層521Bとして、ジルコニア(Zr)および珪素(Si)のうちの少なくともいずれか一方を含有するセラミック組成物を被覆形成、例えばジルコニウム化合物およびシリコン化合物のうちの少なくともいずれか一方を含有する被覆用組成物が塗布されて熱硬化などの皮膜処理、あるいは、ZrおよびSiのうちの少なくともいずれか一方を含有するセラミック組成物が蒸着などの皮膜処理により被覆形成することで、高い絶縁性および高い耐熱性が得られる。また、イミド基を有する環状化合物を構成モノマとして含有する耐熱性樹脂組成物が塗布されて熱硬化などの皮膜処理により絶縁層521Bを形成した場合、絶縁性および耐熱性が得られるとともに、皮膜形成が比較的に容易で、製造性の向上が得られる。さらに、この耐熱性樹脂組成物に、粒径が1nm以上10μm以下のセラミック粉末を含有した組成物を塗布して熱硬化などの皮膜処理により絶縁層521Bを形成した場合には、より耐熱性を向上できる。また、耐熱性樹脂組成物を構成する環状化合物にSiなどの無機元素が置換などにより化学的に結合されたいわゆるハイブリッド耐熱性樹脂組成物を用いて皮膜処理により絶縁層521Bを形成する場合では、より高い耐熱性が得られるとともに、塗布するための組成物の調合が容易で、製造性の向上が図れる。
また、絶縁層521Bの表面に融着層521Cを被覆形成している。このため、導線521を巻回した後に加熱処理にて硬化させて固定化させることができ、製造性の向上が容易に得られる。
〔実施の形態の変形〕
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
すなわち、コーン型のスピーカ装置100について説明したが、例えばホーン型などの他の形式のものに利用されるものでも適用できる。さらには、スピーカ装置100のボイスコイルボビン500として利用する構成の他、例えばモータなど、コイルが巻装されるボビンを備えたいずれの電気機器に提供することができる。
そして、コイルボビン510に、ダストキャップを一体成形したり、振動板400を一体形成したりしてもよい。このような構成とすることで、製造性の向上が得られる。さらに、振動板400もコイルボビン510と同様にチタン製となり、ボイスコイルボビン500の振幅による振動にて生じる屈曲力に対して破れにくくなり、より高出力化が得られる。
また、耐熱処理された導線521としては、上述したようなセラミック組成物を絶縁層521Bとして被覆形成したものや耐熱性樹脂組成物を皮膜処理して絶縁層521Bを被覆形成する構成に限らず、他のいずれの耐熱処理を適用してもよい。
そして、融着層521Cをあらかじめ被覆形成した導線521を用いてボイスコイル520を巻装したが、融着層521Cを有しない絶縁層521Bを被覆形成した導線を、接着剤を塗布しつつ巻回して固定化し、ボイスコイル520を巻装するなどしてもよい。この接着剤としては、融着層521Cと同材質のほか、いずれの熱硬化型、さらには乾燥により硬化するものなど、いずれのものが利用できる。
また、ボイスコイルボビン500に取付支持部600を設けて説明したが、振動板400に取付支持部600を一連に設けた構成としてもよい。
さらに、本体部200の構成として、上述したフレーム210および磁気回路部220を有し一面側に拡開する構造に限られない。例えば、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器に利用される小型のものとする場合に利用される略円筒形状のものとするなど、いずれの形状とすることができる。さらには、磁気回路部220としても、内磁型、外磁型など、いずれの磁気回路を構成するいずれの形状のものでも適用できる。
また、保護部材を設けて説明したが、上述したように保護部材を設けなくてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
〔実施の形態の作用効果〕
上述したように、耐熱処理されたボイスコイル520が巻装されるコイルボビン510を、チタンを主成分とする金属材料にて略円筒状に形成している。このため、スピーカ装置100に利用してボイスコイル520に高入力を供給することで、コイルボビン510に大きな引張力や折曲力が作用しても、破れることを抑制でき、高出力のスピーカ装置100を提供することができる。
本発明の一実施の形態におけるスピーカ装置の概略構成を示す断面図である。 前記実施の形態におけるボイスコイルボビンの概略構成を示す断面図である。 前記実施の形態における導線を示す断面図である。 前記実施の形態に係るコイルボビンの材料強度の実験結果を表形式で対比した説明図である。 前記実施の形態に係るスピーカ装置の強度実験のための実験装置を示すブロック図である。 前記実施の形態に係るスピーカ装置における本実施の形態と比較例1との強度実験結果を示すグラフである。
符号の説明
100……スピーカ装置
200……本体部
210……フレーム
220……磁気回路部
221……プレート
222……ヨーク
300……磁石
400……振動板
500……コイル装置としてのボイスコイルボビン
510……ボビンであるコイルボビン
520……コイルであるボイスコイル
521……導線
521B…絶縁層
521C…融着層

Claims (12)

  1. 耐熱処理されたコイルが外周面に巻装されるボビンであって、
    チタンを主成分とする金属材料にて略円筒状に形成された
    ことを特徴としたボビン。
  2. 請求項1に記載のボビンと、
    このボビンの外周面に巻装されるコイルと、
    を具備したことを特徴としたコイル装置。
  3. 請求項2に記載のコイル装置であって、
    前記コイルは、前記ボビンの軸方向における一部に巻装された
    ことを特徴としたコイル装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のコイル装置であって、
    前記コイルは、耐熱処理された導線が前記ボビンの外周面に巻回されて構成された
    ことを特徴としたコイル装置。
  5. 請求項4に記載のコイル装置であって、
    前記耐熱処理された導線は、ジルコニア(Zr)および珪素(Si)のうちの少なくともいずれか一方を含むセラミック組成物が導線の表面に被覆形成されたものである
    ことを特徴としたコイル装置。
  6. 請求項4に記載のコイル装置であって、
    前記耐熱処理された導線は、イミド基を有する環状化合物を構成モノマとして含有する耐熱性樹脂組成物が導線の表面に塗布されて皮膜処理されたものである
    ことを特徴としたコイル装置。
  7. 請求項6に記載のコイル装置であって、
    前記耐熱性樹脂組成物は、粒径が1nm以上10μm以下のセラミック粉末を含有するものである
    ことを特徴としたコイル装置。
  8. 請求項6に記載のコイル装置であって、
    前記構成モノマは、前記環状化合物に無機元素が化学的に結合されたものである
    ことを特徴としたコイル装置。
  9. 請求項4ないし請求項8のいずれかに記載のコイル装置であって、
    前記耐熱処理された導線は、表面に融着層が被覆形成された
    ことを特徴としたコイル装置。
  10. 請求項2ないし請求項9のいずれかに記載のコイル装置であって、
    前記ボビンは、軸方向の一端に一連に拡開形成された振動板を有した
    ことを特徴としたコイル装置。
  11. 請求項2ないし請求項9のいずれかに記載のコイル装置と、
    このコイル装置が取り付けられる振動板と、
    磁性体と、
    前記振動板および前記磁性体を保持し前記磁性体とにより磁気回路を構成するヨークを備えたフレームと、
    を具備したことを特徴としたスピーカ装置。
  12. 請求項10に記載のコイル装置と、
    磁性体と、
    前記コイル装置のボビンの振動板および前記磁性体を保持し、前記磁性体とにより磁気回路を構成するヨークを備えたフレームと、
    を具備したことを特徴としたスピーカ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015065744A (ja) * 2013-09-24 2015-04-09 株式会社荏原製作所 キャンドモータ、キャンの製造方法
JP2016048877A (ja) * 2014-08-28 2016-04-07 パナソニックIpマネジメント株式会社 導線とこれを用いたコイル、および前記コイルを用いたラウドスピーカ

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