JP2006128922A - プリディストータ及びプリディストーション方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力信号を線形伝達経路と歪発生経路に分配する分配器と、歪発生経路において分配された信号を(2k-1)上演算して歪成分を生成する(2k-1)次歪発生器と、その(2k-1)次歪発生器の出力の振幅と位相を調整するベクトル調整器と、そのベクトル調整器の出力と線形伝達経路の出力を加算し、前置歪付信号r(t)を出力する加算器とを有するプリディストータにおいて、上記(2k-1)次歪発生器は、分配された信号を(2k-1)乗演算する(2k-1)乗算器(27B4, 27B3, 27B2, 27B1)と、上記分配された信号を(2k-3)乗演算する(2k-3)乗算器(27B3, 27B2, 27B1)と、その(2k-3)乗算器の出力の振幅と位相を調整するベクトル調整器(27C3, 27C2, 27C1)と、そのベクトル調整器の出力と(2k-1)乗算器の出力を加算する加算器(27D)とから構成されている。
【選択図】図9
Description
プリディストータ10に入力された信号x(t)を分配器11により線形伝達経路PTH1と歪発生経路PTH2に分配する。歪発生経路PTH2では、分配された入力信号x(t)を例えば3次歪発生器13及び5次歪発生器15により処理してそれぞれ3次歪信号及び5次歪信号を生成する。これらの信号はそれぞれベクトル調整器14及び16によりベクトル(振幅及び位相)が調整され、加算器18で互いに加算される。
T.Nojima and T.Konno,"Cuber Predistortion Linearizer for Relay Equipment in 800 MHz Band Land Mobile Telephone System," IEEE Trans. on VehicuIar Tech.,Vol., VT-34, No.4, pp.169-177, Nov., 1985.
(2k-1)次の歪発生経路の(2k-1)次歪発生器は、プリディストータ10ヘの入力信号x(t)を(2k-1)乗して得た信号x(t)(2k-1)(以下、(2k-1)次信号と呼ぶ)を出力する。(2k-1)次歪発生器の出力信号は、入力信号x(t)の帯域幅Bの(2k-1)倍の帯域幅となる。図2に示すように、(2k-1)次歪発生経路から出力される信号2bは、線形伝達経路PTH1の出力信号2aの帯域と一部が重なっている(図2の斜線の領域)。そのため、歪発生経路の出力信号は線形伝達経路の出力信号に干渉を与える。ただし、歪発生経路の出力信号が線形伝達経路の出力信号と比較して小さい場合は、この干渉を無視することができる。しかしながら、高い効率を得るために飽和電力付近で電力増幅器を動作させると歪成分が増加するため、歪発生経路の出力信号の電力も大きくなる必要がある。そのため、歪発生経路の出力信号による線形伝達経路の出力信号に与える千渉が無視できなくなる。
k=1の項a1x(t)は線形伝達経路PTH1の出力信号を意味し、係数a1=α1は線形利得を表す。k>2の項は(2k-1)次歪発生経路の出力信号を表し、
x(t):プリディストータヘ入力される複素包絡線信号
r(t):プリディストータより出力される複素包絡線信号
とする。なお、ここでは数式は複素包絡線信号を用いて表現している。実際に送信されるRF帯の信号rRF(t)は、以下の関係式で表すことができる。
rRF(t)=Re{r(t)exp(j2πfct)} (2)
ここで、Re{}は複素変数の実部、fcは搬送波の中心周波数を表す。
x(t)=Acos(2πf0t) (3)
式(1)より、それぞれプリディストータの線形伝達経路の出力信号は、
α1Acos(2πf0t)
3次歪発生経路の出力信号は、
以上より、従来のプリディストータでは、(2k-1)次歪発生経路の出力信号に、線形伝達経路の出力信号と(2k-1)次未満の歪発生経路の出力信号に干渉を与える成分を含んでいることが問題であった。上記の説明は、等振幅2搬送波を例としたが、変調波の場合でも同様である。上記の問題を解決するためには、(2k-1)次歪発生経路において、(2k-1)次未満の歪発生経路の出力信号と線形伝達経路の出力信号に干渉を与える成分を低減する必要がある。そこで、本発明の目的は、(2k-1)次歪発生経路において、(2k-1)次信号から(2k-1)次未満の信号と線形信号を低減した信号を発生することができる歪発生器を持ったべき級数型プリディストータ及びプリディストーション方法を提供することにある.
上記(2k-1)次歪発生器は、
上記歪発生経路に分配された入力信号を(2k-1)乗演算する(2k-1)乗算器と、
上記分配された入力信号を(2J-1)乗演算する(2J-1)乗算器と、Jはk>J≧1を満たす整数であり、
上記(2J-1)乗算器の出力の振幅と位相を調整する第1ベクトル調整器と、
上記第1ベクトル調整器の出力と上記(2k-1)乗算器の出力を加算し、加算結果を上記(2k-1)次歪発生器の出力とする第1加算器、
とを含み、上記第1ベクトル調整器は上記第1加算器の出力中の(2k-1)次未満の成分を低減するように振幅と位相を調整するように構成されている。
上記歪成分を発生する過程は、
上記歪発生経路に分配された入力信号を(2k-1)乗演算する過程と、
上記分配された入力信号を(2J-1)乗演算する過程と、Jはk>J≧1を満たす整数であり、
上記(2J-1)乗演算の結果を使用して上記(2k-1)乗演算の出力中の(2k-1)次未満の成分を低減して上記歪成分とする過程、
とを含む。
i=(2k-1)とおくと、従来のi次歪発生経路のi次歪発生器では、以下の演算を行なっていた。
di(t)=|x(t)|2(k-1)x(t) (5)
ここで、x(t)はi次歪発生器に入力される複素包絡線信号であり、di(t)はi次歪発生器より出力される複素包絡線信号である。本発明では、i次歪発生器にて以下の演算を行なう。
上記は、3次及び5次歪発生器の場合の説明であるが、一般にi次歪発生器についてbi1, bi3, …, bii-2を最適に選ぶことによって、i次未満の歪発生経路の出力に干渉を与える成分を低減できる。
図6にこの発明によるプリディストータの第1実施例を示す。この発明によるべき乗型プリディストータ20の基本構成自体は線形伝達経路及びi次歪発生経路を有している点で図1に示した従来技術の構成と類似しているが、各i次歪発生経路のi次歪発生器の構成が上記発明の原理に基づいて後述のように異なっている。
この発明では3次歪発生器23で3乗演算により生じた3次および1次成分から1次成分を除去して3次歪成分のみを出力し、5次歪発生器25で5乗演算により生じた5次、3次および1次成分から3次および1次成分を除去して5次歪成分のみを出力し、同様に7次歪発生器27から7次歪成分のみを出力する。これら3次、5次、7次歪成分はそれぞれベクトル調整器14,16,17によりベクトル(位相と振幅)が調整されて加算器18で加算され、歪発生経路PTH2の出力として加算器19に与えられる。加算器19は線形伝達経路PTH1の出力と歪発生経路PTH2の出力を加算し、その加算結果をこの発明のプリディストータ20により前置歪が付加された信号r(t)として出力する。図1の従来例と同様に、図示してない電力増幅器の出力から歪検出部34で歪成分を検出し、制御部35はその検出歪成分のレベルが最小となるよう、ベクトル調整器14,16,17によりそれぞれの歪成分のベクトルを調整する。
-b51x(t)=-b51Acos(2πf0t) (13)
に対応している。
3乗算器25B2は入力信号の3乗演算をして式(9)における1次及び3次成分を含む信号
図6に示したプリディストータの実施例においては、3次、5次及び7次歪発生器23,25,27を設ける場合を示したが、歪除去の対象である電力増幅器(図1参照)の特性によってはこれより次数の高い歪発生器を設けることが必要な場合もあるし、あるいは、いずれか1つまたは2つでよい場合もある。また、例えば図9に7次歪発生器27の構成例で示すように、7乗算器27B4に対し、理想的には1乗算器27B1、 3乗算器27B2、5乗算器27B3の3つを設けることが好ましいが、一般には電力増幅器に対し要求された歪特性を満足させるプリディストータの特性が得られればよいので、必ずしも5乗、3乗、1乗の乗算器をすべて設ける必要があるとは限らない。
また、第1実施例のべき乗型プリディストータは、ディジタル信号処理にて実現できる。
図10はこの発明によるプリディストータの第2実施例を示す。前述の図6に示した第1実施例においては、3次歪発生器23,5次歪発生器25,7次歪発生器27のそれぞれに3乗算器が設けられ同じ3乗演算が行われ、5次歪発生器25,7次歪発生器27のそれぞれに5乗算器が設けられ、同じ5乗演算が行われる冗長な構成となっている。そこで、第2実施例は、各i(=2k-1)乗算器の出力に対し、それより低次の各(2j-1)乗算器(k>j;j=1, 2, …)の出力をベクトル調整して加算するベクトル調整器と加算器が設けられ、各i(=2k-1)乗算器(k=1, 2,…, K)が1個ずつ、全体でK個の設けられた構成としている。即ち、第2実施例は、第1実施例の3次、5次、7次歪発生器23,25,27を一体として構成した歪発生器である。第2実施例では、7次まで図示されているが、それ以上の次数を含んでいてもよい。
図11に変調信号を第1実施例及び第2実施例のプリディストータに入力した場合の3次歪発生器出力信号のスペクトルの一例を示す。横軸は規格化周波数、縦軸はパワーを示す。図11には、従来技術による3次歪発生器出力信号と本発明による3次歪発生器出力信号を示す。従来の3次歪発生器では、規格化周波数0を中心とする1次成分が現れているが、第1実施例及び第2実施例による3次歪発生器出力信号のスペクトルは、無歪の送信信号に相当する1次成分が除去されている。この発明による5次、7次の歪発生器でも同様にそれぞれの次数未満の成分を低減することができる。
Claims (6)
- 入力信号を線形伝達経路と歪発生経路に分配し、上記歪発生経路に分配された信号を(2k-1)次歪発生器により(2k-1)乗演算して歪成分を発生し、kは2以上の整数であり、上記(2k-1)次歪発生器の出力信号の振幅と位相を調整して上記線形伝達経路の出力信号と加算することにより入力信号に前置歪を付加するプリディストータにおいて、
上記(2k-1)次歪発生器は、
上記歪発生経路に分配された入力信号を(2k-1)乗演算する(2k-1)乗算器と、
上記分配された入力信号を(2J-1)乗演算する(2J-1)乗算器と、Jはk>J≧1を満たす整数であり、
上記(2J-1)乗算器の出力の振幅と位相を調整する第1ベクトル調整器と、
上記第1ベクトル調整器の出力と上記(2k-1)乗算器の出力を加算し、加算結果を上記(2k-1)次歪発生器の出力とする第1加算器、
とを含み、上記第1ベクトル調整器は上記第1加算器の出力中の(2k-1)次未満の成分を低減するように振幅と位相を調整することを特徴とするプリディストータ。 - 請求項1記載のプリディストータにおいて、上記(2k-1)次歪発生器はさらに、
上記分配された入力信号を(2h-1)乗演算する(2h-1)乗算器と、hはJ>h≧1を満たす整数であり、
上記(2h-1)乗算器の出力の振幅と位相を調整し上記加算器に与える第2ベクトル調整器、
とを含み、上記第2ベクトル調整器は上記第1ベクトル調整器と共に上記加算器の出力中の上記(2k-1)次未満の成分を低減するように振幅と位相を調整することを特徴とするプリディストータ。 - 請求項1記載のプリディストータにおいて、上記(2k-1)次歪発生器の上記第1ベクトル調整器を制御する設定部が設けられていることを特徴とするプリディストータ。
- 請求項2記載のプリディストータにおいて、上記(2k-1)次歪発生器の上記第1及び第2ベクトル調整器を制御する設定部が設けられている。
- 請求項1,2、3または4のいずれか記載のプリディストータにおいて、さらに上記分配された入力信号を(2k’-1)乗演算して歪成分を発生する(2k’-1)次歪発生器が設けられ、その出力の振幅と位相が調整されて上記線形伝達経路に更に加算されており、k’はkより大の整数であり、
上記(2k’-1)次歪発生器は、
上記歪発生経路に分配された入力信号を(2k’-1)乗演算する(2k’-1)乗算器と、
上記分配された入力信号を(2J’-1)乗演算する(2J’-1)乗算器と、J’はk’>J’≧1を満たす整数であり、
上記(2J’-1)乗算器の出力の振幅と位相を調整する第3ベクトル調整器と、
上記第3ベクトル調整器の出力と上記(2J’-1)乗算器の出力を加算し、加算結果を上記(2k’-1)次歪発生器の出力とする第2加算器、
とを含み、上記第3ベクトル調整器は上記第2加算器の出力中の(2k’-1)次未満の成分を低減するように振幅と位相を調整することを特徴とするプリディストータ。 - 入力信号を線形伝達経路と歪発生経路に分配し、上記歪発生経路に分配された信号を(2k-1)乗演算して歪成分を発生し、kは2以上の整数であり、発生した上記歪成分の振幅と位相を調整して上記線形伝達経路の出力信号と加算することにより入力信号に前置歪を付加するプリディストーション方法において、
上記歪成分を発生する過程は、
上記歪発生経路に分配された入力信号を(2k-1)乗演算する過程と、
上記分配された入力信号を(2J-1)乗演算する過程と、Jはk>J≧1を満たす整数であり、
上記(2J-1)乗演算の結果を使用して上記(2k-1)乗演算の出力中の(2k-1)次未満の成分を低減して上記歪成分とする過程、
とを含むことを特徴とするプリディストーション方法。
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