JP2006125309A - 内燃機関の温度調整装置 - Google Patents

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正博 山下
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Abstract

【課題】 排気ガスから回収される熱量を広い範囲でコントロールできる内燃機関の温度調整装置を提供する。
【解決手段】 エンジンの温度調整装置は、内壁22に囲まれた位置に形成され、排気が流れる排気ポート31と、内壁22との間に管外空間36を設けるように配置され、排気ポート31内で排気の流れ方向に沿って延びるガス案内管35と、ガス案内管35の内側に配置されたバルブ51と、バルブ51に接続され、バルブ51の開閉を制御するアクチュエータとを備える。
【選択図】 図3

Description

この発明は、一般的には、内燃機関の温度調整装置に関し、より特定的には、排気ポート内にバルブが設けられた内燃機関の温度調整装置に関する。
従来の内燃機関の温度調整装置に関して、たとえば、特開平10−317995号公報には、内燃機関の負荷を過大に上昇させることなく暖機を促進させ、結果、燃費を向上させることを目的とした暖機促進装置が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された暖機促進装置では、ディーゼルエンジンの排気ポートに、排気絞り弁が設けられている。排気ポートの周りには、排気絞り弁が設けられた位置に対応して、冷却水路が形成されている。排気絞り弁を閉じると、排気ポートに流れる排気ガスに圧力損失が生じ、排気絞り弁を設けた位置で発熱が生じる。その熱の多くは、冷却水路に流れる冷却水によって回収されるため、エンジンの暖機を促進させることができる。
また、特開平8−226349号公報には、高負荷時の排気ガス温度の過上昇を抑え、排気通路周辺の装置に対する熱害を防止することを目的とした内燃機関の排気通路構造が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された排気通路構造では、排気通路内に、筒状の隔壁が設けられている。
特開平10−317995号公報 特開平8−226349号公報
内燃機関で排出される排気ガスの熱は、内燃機関の暖機や、ヒーターを用いた暖房等に使用されている。上述の特許文献1では、排気ポート内に排気絞り弁を設けることで、排気ガスの熱を効率良く冷却水に回収し、これらに使用する熱量を増大させている。しかしながら、排気絞り弁を閉弁しても、排気ガスの圧力損失によって発熱が生じるのは、排気絞り弁が設けられた位置に限られる。したがって、特許文献1に開示された暖機促進装置では、熱の回収効率を局所的にしか向上させることができず、排気ガスから回収する熱量を十分に増大させることができない。
また、排気ガスの熱は、排気ガスを浄化する触媒の暖機にも使用される。内燃機関の始動時に、触媒による浄化作用を十分に発揮させるためには、触媒を早期に暖機させなければならない。したがって、この場合には、冷却水に回収される熱量を小さくして、触媒に供給する熱量を大きくする必要がある。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、排気ガスから回収される熱量を広い範囲でコントロールできる内燃機関の温度調整装置を提供することである。
この発明に従った内燃機関の温度調整装置は、内壁に囲まれた位置に形成され、排気が流れる排気ポートと、内壁との間に空間を設けるように配置され、排気ポート内で排気の流れ方向に沿って延びる筒状部材と、筒状部材の内側に配置されたバルブと、バルブに接続され、バルブの開閉を制御するアクチュエータとを備える。
このように構成された内燃機関の温度調整装置によれば、アクチュエータによるバルブの開閉により、筒状部材の内側に流れる排気の流量を増減させることができる。これにより、筒状部材の外側に設けられた内壁との間の空間で、内壁に沿って流れる排気の流速を変化させ、排気から内壁を介して内燃機関に回収する熱量を調整することができる。つまり、筒状部材の内側に流れる排気の流量を減少させると、内壁に沿って流れる排気の流速が大きくなり、排気から回収する熱量が大きくなる。また、筒状部材の内側に流れる排気の流量を増大させると、内壁に沿って流れる排気の流速が小さくなり、排気から回収する熱量が小さくなる。したがって、バルブの開閉を適当なタイミングで行なうことにより、排気から内燃機関に回収する熱量を、その熱の利用目的に合わせて幅広くコントロールすることができる。
また、内燃機関の温度調整装置は、内壁を挟んで排気ポートに隣り合う位置に設けられたウォータジャケットをさらに備える。好ましくは、ウォータジャケットに流れる冷却水から廃熱回収を積極的に行なう時、アクチュエータは、バルブを閉じる側に制御する。なお、バルブを閉じる側に制御するとは、バルブが排気の流れに与える影響が大きくなる方向にバルブを制御することを指す。
このように構成された内燃機関の温度調整装置によれば、バルブを閉じる側に制御することで、筒状部材の内側に流れる排気の流量を減少させ、内壁に沿って流れる排気の流速を大きくする。これにより、排気から冷却水に回収する熱量を増大させ、冷却水を介して行なう廃熱回収を積極的に行なうことができる。
また好ましくは、筒状部材は、排気ポートに流れる排気の流れ方向において、ウォータジャケットに対応する位置に設けられている。このように構成された内燃機関の温度調整装置によれば、バルブを閉じる側に制御した時に、内壁に沿って流れる排気の流速を、筒状部材を設けた位置で効果的に大きくすることができる。このため、筒状部材を設ける位置と、ウォータジャケットを設ける位置とを一致させることで、排気から冷却水に回収する熱量を効果的に増大させることができる。
また好ましくは、廃熱回収を積極的に行なう時は、内燃機関の暖機途上の間を含む。なお、暖機途上の間とは、冷却水が、一定推移する所定の温度まで上昇するまでの間を指す。このように構成された内燃機関の温度調整装置によれば、内燃機関を暖めて早期に適温にすることで、燃費を向上させることができる。また、冷却水と熱交換を行なうヒーターの暖房性能を早期に確保することができる。
また好ましくは、廃熱回収を積極的に行なう時は、暖房要求が高い時を含む。このように構成された内燃機関の温度調整装置によれば、冷寒地にある場合等、暖房要求が高い場合に、ヒーターの暖房性能を十分に向上させることができる。
また、排気ポートには、バルブに対して排気ポートに流れる排気の下流側に位置して、触媒が接続されている。好ましくは、アクチュエータは、内燃機関の始動時から所定の期間、バルブを開いた状態に制御する。なお、バルブを開いた状態とは、バルブが排気の流れに与える影響が最も小さくなる状態を指す。
このように構成された内燃機関の温度調整装置によれば、バルブを開いた状態に制御することで、筒状部材の内側に流れる排気の流量を増大させ、内壁に沿って流れる排気の流速を小さくする。この場合、排気から内燃機関に回収する熱量を小さく抑え、触媒に供給する熱量を増大させることができる。これにより、触媒の暖機を早め、内燃機関の始動直後のエミッション性能を向上させることができる。
また好ましくは、アクチュエータは、内燃機関の暖機後であって、かつ暖房要求が存在しない時は、バルブを開いた状態に制御する。このように構成された内燃機関の温度調整装置によれば、廃熱回収を積極的に行なう必要がない場合には、排気効率の維持により、内燃機関の排気圧損が増大することを防止できる。
以上説明したように、この発明に従えば、排気ガスから回収される熱量を広い範囲でコントロールできる内燃機関の温度調整装置を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における温度調整装置が搭載されたエンジンの冷却系を示す斜視図である。図1を参照して、車両用のエンジン10は、シリンダヘッド11を備える。シリンダヘッド11には、エンジン10の吸気ポートや排気ポートの周りを通って延びるウォータジャケットが、シリンダブロックとの間に渡って形成されている。そのウォータジャケットは、ホースを介してラジエータ13に接続されている。ウォータジャケットには、ラジエータ13から冷却水が供給され、その冷却水は、エンジン10を冷却する。冷却によって温度が上昇した冷却水は、その一部が図示しないヒーターに導かれ、残る部分がラジエータ13に戻される。
図2は、バルブを開いた状態に制御した時の、図1中のエンジンに搭載された温度調整装置を示す断面図である。図3は、バルブを閉じた状態に制御した時の温度調整装置を示す断面図である。図2および図3を参照して、本実施の形態における温度調整装置は、シリンダヘッド11に形成された排気ポート31と、排気ポート31に隣り合ってシリンダヘッド11に形成され、その内部に冷却水が循環されるウォータジャケット23および24と、排気ポート31内に設けられ、筒形状を有するガス案内管35と、ガス案内管35が有する筒形状の内側に配置されたバルブ51と、バルブ51を、図2および図3のそれぞれに示す開閉状態へと制御する図示しないアクチュエータとを備える。バルブ51は、90°回転することにより、ガス案内管35内の開閉を行なうバタフライバルブである。
シリンダヘッド11には、シリンダブロックのシリンダから延びて形成された燃焼室25と、それぞれ異なる方向から燃焼室25に連通する吸気ポート26および排気ポート31とが設けられている。排気ポート31は、シリンダヘッド11の内壁22に囲まれた位置に形成されている。吸気ポート26および排気ポート31には、燃焼室25とそれぞれのポートとの間を開閉する吸気バルブ27および排気バルブ28が設けられている。吸気バルブ27および排気バルブ28は、それぞれが設けられたポートから燃焼室25の内部にまで延びて形成されている。
排気ポート31は、燃焼室25に連なる一方端31mと、シリンダヘッド11に取り付けられた図示しないエキゾーストマニホールドへと連なる他方端31nとを有する。排気ポート31は、まず、一方端31mから排気バルブ28が延びる方向とほぼ同じ方向へと延び、さらに、吸気ポート26から離れる方向に曲りながら他方端31nに向けて延びている。排気ポート31内には、エンジン10の排気行程時に燃焼室25から排出された排気ガスが、一方端31mから他方端31nに向けて流れる。
シリンダヘッド11には、排気ポート31の上下に位置して、相対的に小さい断面形状を有するウォータジャケット24と、相対的に大きい断面形状を有するウォータジャケット23とがそれぞれ形成されている。これらのウォータジャケットには、冷却水が強制循環されており、その冷却水によって、排気ポート31内に流れる排気ガスの熱が回収される。
ガス案内管35は、ガス案内管35の外周面35aと内壁22との間に隙間が設けられるように配置されている。ガス案内管35は、一方端31mから他方端31nへと向かう排気ガスの流れる方向に沿って延びている。ガス案内管35は、ウォータジャケット24とウォータジャケット23とに挟まれた排気ポート31内の位置に配置されている。ガス案内管35は、排気ポート31内の空間を、ガス案内管35の内側に位置する管内空間37と、ガス案内管35の外側に位置する管外空間36とに区画している。管外空間36は、外周面35aと内壁22との間に形成されている。バルブ51は、管内空間37に位置して設けられている。なお、バルブ51は、管内空間37のいずれの位置に設けられていても良く、排気ガスの流れ方向の両端に設けられていても良い。
図4は、図3中のIV−IV線上に沿った温度調整装置の断面図である。図中に示す断面は、排気ガスの流れる方向に直交する平面で、排気ポート31を切断して得られる断面である。図4を参照して、排気ポート31は、略円形の断面形状を有する。その排気ポート31の断面形状のほぼ中心を通るように、回転軸102が延びている。バルブ51は、回転軸102に沿って延びる弁軸52と、弁軸52に形成された弁体53とから構成されている。
弁軸52は、軸受け部材54を介してシリンダヘッド11に支持されており、回転軸102を中心に回転自在に設けられている。弁体53は、弁軸52から、弁軸52が中心を通る略円形状に広がって形成されている。弁体53は、図3および図4中に示すバルブ51を閉じた状態で、排気ガスの流れる方向に見て管内空間37とほぼ重なるように形成されている。
図5は、図4中のバルブを開閉駆動させるためのアクチュエータを示す模式図である。図5を参照して、バルブ51は、吸気ポート26に生じる負圧を作動源とするアクチュエータ40に接続されている。アクチュエータ40は、弾性を有するダイヤフラム45が設けられたハウジング41と、ダイヤフラム45と弁軸52とを連結するロッド46とを備える。ハウジング41内には、ダイヤフラム45を挟んで、大気圧室42と負圧室43とが区画形成されている。
大気圧室42は、ハウジング41外に連通して形成されている。ロッド46は、ダイヤフラム45から大気圧室42側へと延び、弁軸52に向かっている。負圧室43には、そのロッド46が延びる方向に弾性力を有するコイルバネ44が設けられている。負圧室43は、吸気通路を介して吸気ポート26に接続されている。アクチュエータ40は、その吸気通路上に位置して設けられたバキュームタンク48をさらに備える。バキュームタンク48と負圧室43との間、バキュームタンク48と吸気ポート26との間には、それぞれ、スイッチングバルブ47およびチェック弁49が設けられている。
吸気ポート26に発生する負圧は、まずバキュームタンク48に蓄圧される。その状態で、スイッチングバルブ47を開いてバキュームタンク48と負圧室43との間を連通させると、バキュームタンク48内の負圧に基づき、負圧室43からバキュームタンク48へと空気が流れ込む。これにより、ダイヤフラム45は、コイルバネ44の弾性力に抗して変形し、ロッド46を負圧室43側へと移動させる。また、スイッチングバルブ47を閉じた場合には、バキュームタンク48と負圧室43との間が遮断される。これにより、ダイヤフラム45は、コイルバネ44の弾性力によって元の形状に戻り、ロッド46を負圧室43側から引き離す方向へと移動させる。
アクチュエータ40では、このような構成によってロッド46を移動させ、その移動を弁軸52の回転運動に変換してバルブ51を開閉駆動させる。なお、以上に説明したアクチュエータ40のほか、弁軸52に直接、直流モータやステッピングモータを接続して、アクチュエータを構成しても良い。
続いて、バルブ51の開閉駆動と、排気ガスから冷却水に回収される熱量との関係について、説明を行なう。図2を参照して、バルブ51を開いた状態では、弁体53が、排気ガスの流れる方向に沿って延在するように位置決めされる。このとき、排気ガスの流れは、バルブ51から影響を受けない。このため、排気ガスは、管内空間37および管外空間36の双方に流れ、内壁22に沿った位置の排気ガスの流速が、後に説明するバルブ51を閉じた状態と比較して、小さくなる。これにより、排気ガスからウォータジャケット23および24内の冷却水への熱伝達が、抑制され、排気ガスから冷却水に回収される熱量が小さくなる。また、排気ガスは、弁体53によって妨げられることなく排気ポート31内を流れるため、通常のエンジンと同様の排気圧損を得ることができる。
図3および図4を参照して、一方、バルブ51を閉じた状態では、弁軸52が回転することによって、弁体53が、排気ガスの流れる方向に直交する方向に延在するように位置決めされる。このとき、排気ガスの流れは、弁体53により管内空間37で妨げられ、管外空間36に集中する。このため、排気ガスの流速は、内壁22に沿った位置で大きくなり、特に、ガス案内管35が排気ガスの流れる方向に沿って延びる間で大きくなる。これにより、排気ガスからウォータジャケット23および24内の冷却水への熱伝達が促進され、より多くの熱量が排気ガスから冷却水に回収される。なお、排気ガスの熱は、シリンダヘッド11の内壁22から冷却水へと伝わるほか、排気ガスの流れの中に配置されたバルブ51から、軸受け部材54およびシリンダヘッド11を順に介して、冷却水へと伝わる。
続いて、バルブ制御のタイミングを説明するため、図1中のエンジン10に接続される触媒について、簡単な説明を行なう。図6は、図1中のエンジンのエキゾースト系を示す斜視図である。図6を参照して、エンジン10には、シリンダヘッド11に形成された排気ポートに連通するように、エキゾーストマニホールド61が接続されている。エキゾーストマニホールド61からマフラーへと延びる排気経路上には、三元触媒62が2箇所に設けられている。
図7は、本実施の形態における温度調整装置のバルブ制御のタイミングを示す図である。図7を参照して、まず、エンジン10の始動初期には、バルブ51を開いた状態に制御することで、冷却水に回収される熱量を低く抑え、排気ガスの温度を上昇させる。これにより、図6中の三元触媒62が早期に暖機され、エンジン始動時のエミッション性能の向上を図ることができる。
次に、暖機中には、バルブ51を閉じた状態に制御する。これにより、ヒーターに送られる冷却水の温度を短時間で上昇させ、暖房性能を早期に向上させることができる。次に、サーモスタットが作動し、冷却水がラジエータに供給されるようになれば、再びバルブ51を開いた状態に制御する。これにより、冷却水の急激な温度上昇を抑え、ラジエータの冷却ファンが頻繁に駆動することを防止できる。また、エンジン10が搭載された車両が冷寒地を走行している場合などには、バルブ51を閉じた状態に制御し、暖房性能を確保すればよい。なお、以上に説明したバルブ制御のタイミングは、一例であり、その時々の状況に応じて適当な制御を行なうことが可能である。
この発明の実施の形態1における内燃機関としてのエンジン10の温度調整装置は、内壁22に囲まれた位置に形成され、排気が流れる排気ポート31と、内壁22との間に空間としての管外空間36を設けるように配置され、排気ポート31内で排気の流れ方向に沿って延びる筒状部材としてのガス案内管35と、ガス案内管35の内側に配置されたバルブ51と、バルブ51に接続され、バルブ51の開閉を制御するアクチュエータ40とを備える。エンジン10の温度調整装置は、内壁22を挟んで排気ポート31に隣り合う位置に設けられたウォータジャケット23および24をさらに備える。ウォータジャケット23および24に流れる冷却水から廃熱回収を積極的に行なう時、アクチュエータ40は、バルブ51を閉じる側に制御する。
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるエンジン10の温度調整装置によれば、ガス案内管35の内側にバルブ51を設けることで、バルブ51を閉じた時の排気ガスの流れを、ガス案内管35の外周面35aと内壁22との間に形成された管外空間36に集中させている。このため、内壁22に沿って流れる排気ガスの流速を、ガス案内管35が設けられた範囲で確実に増大させることができる。これにより、排気ガスからウォータジャケット23および24内の冷却水に回収する熱量を十分に増大させ、冷却水を介して行なう排気ガスの廃熱利用を促進させることができる。
また、バルブ51を開いた状態に制御することにより、ウォータジャケット23および24内の冷却水に回収する熱量を小さくすることができる。これにより、三元触媒62の暖機時間の短縮化を図り、排気ガスの浄化作用が早期に確保されるエンジン10を実現することができる。
なお、本実施の形態では、ガス案内管35の外周面35aと内壁22との間に形成される管外空間36が、内壁22の全周に渡っている場合について説明したが、管外空間36は、内壁22の周方向の一部の範囲にのみ形成されていても良い。この場合、管外空間36が、ウォータジャケット23および24にそれぞれ向い合う位置に設けられていれば、排気ガスから冷却水に回収する熱量をより効果的に増大させることができる。
(実施の形態2)
図8は、この発明の実施の形態2におけるエンジンの温度調整装置を示す断面図である。図中では、排気ポート部分が拡大して示されており、実施の形態1における図2と同様、バルブを開いた状態が示されている。図9は、図8中のIX−IX線上に沿った温度調整装置の断面図である。本実施の形態における温度調整装置は、実施の形態1における温度調整装置と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
図8および図9を参照して、本実施の形態では、シリンダヘッド11に、内壁22からガス案内管35の外周面35aに向かって延びるフィン71が形成されている。フィン71は、内壁22および外周面35aの周方向に沿って、所定の角度ごとに複数、形成されている。互いに隣り合うフィン71の間には、排気ガスが流れる管外空間36が形成されている。フィン71は、排気ガスの流れ方向に延びて形成されており、外周面35aと内壁22とを接続している。ガス案内管35は、フィン71によって、排気ポート31内の所定位置に位置決めされている。
この発明の実施の形態2におけるエンジン10の温度調整装置は、内壁22に形成され、内壁22とガス案内管35との間を接続するフィン71をさらに備える。フィン71は、ガス案内管35と内壁22との間に設けられた空間としての管外空間36に位置して形成されている。
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるエンジン10の温度調整装置によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。加えて、排気ガスは、フィン71と接触しながら管外空間36内を流れるため、シリンダヘッド11側の受熱面積を増加させることができる。また、管内空間37内を流れる排気ガスの熱も、ガス案内管35からフィン71を介して、シリンダヘッド11側へと伝わる。これらの理由から、本実施の形態によれば、排気ガスからウォータジャケット23および24内の冷却水に回収する熱量を、さらに効果的に増大させることができる。また、フィン71は、ガス案内管35を所定位置に保持する役割も果たしているため、ガス案内管35の保持構造を別途、設ける必要がない。
なお、フィン71は、ガス案内管35に接続されることなく、内壁22に形成されていても良い。この場合、内壁22から突出するフィン71の長さが小さくなり、エンジン10の排気圧損が増加することを防止できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態1における温度調整装置が搭載されたエンジンの冷却系を示す斜視図である。 バルブを開いた状態に制御した時の、図1中のエンジンに搭載された温度調整装置を示す断面図である。 バルブを閉じた状態に制御した時の温度調整装置を示す断面図である。 図3中のIV−IV線上に沿った温度調整装置の断面図である。 図4中のバルブを開閉駆動させるためのアクチュエータを示す模式図である。 図1中のエンジンのエキゾースト系を示す斜視図である。 本実施の形態における温度調整装置のバルブ制御のタイミングを示す図である。 この発明の実施の形態2におけるエンジンの温度調整装置を示す断面図である。 図8中のIX−IX線上に沿った温度調整装置の断面図である。
符号の説明
10 エンジン、22 内壁、23,24 ウォータジャケット、31 排気ポート、35 ガス案内管、40 アクチュエータ、51 バルブ、61 エキゾーストマニホールド、62 三元触媒、71 フィン。

Claims (7)

  1. 内壁に囲まれた位置に形成され、排気が流れる排気ポートと、
    前記内壁との間に空間を設けるように配置され、前記排気ポート内で排気の流れ方向に沿って延びる筒状部材と、
    前記筒状部材の内側に配置されたバルブと、
    前記バルブに接続され、前記バルブの開閉を制御するアクチュエータとを備える、内燃機関の温度調整装置。
  2. 前記内壁を挟んで前記排気ポートに隣り合う位置に設けられたウォータジャケットをさらに備え、
    前記ウォータジャケットに流れる冷却水から廃熱回収を積極的に行なう時、前記アクチュエータは、前記バルブを閉じる側に制御する、請求項1に記載の内燃機関の温度調整装置。
  3. 前記筒状部材は、前記排気ポートに流れる排気の流れ方向において、前記ウォータジャケットに対応する位置に設けられている、請求項2に記載の内燃機関の温度調整装置。
  4. 前記廃熱回収を積極的に行なう時は、内燃機関の暖機途上の間を含む、請求項2または3に記載の内燃機関の温度調整装置。
  5. 前記廃熱回収を積極的に行なう時は、暖房要求が高い時を含む、請求項2から4のいずれか1項に記載の内燃機関の温度調整装置。
  6. 前記排気ポートには、前記バルブに対して前記排気ポートに流れる排気の下流側に位置して、触媒が接続されており、
    前記アクチュエータは、内燃機関の始動時から所定の期間、前記バルブを開いた状態に制御する、請求項1から5のいずれか1項に記載の内燃機関の温度調整装置。
  7. 前記アクチュエータは、内燃機関の暖機後であって、かつ暖房要求が存在しない時は、前記バルブを開いた状態に制御する、請求項1から6のいずれか1項に記載の内燃機関の温度調整装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105179097A (zh) * 2015-10-30 2015-12-23 浙江钱江摩托股份有限公司 一种摩托车内燃机的风冷结构

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