JP2006124912A - 砕石飛散防止構造および砕石飛散防止方法 - Google Patents

砕石飛散防止構造および砕石飛散防止方法 Download PDF

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唯行 迫部
So Yamaguchi
創 山口
Reiichi Hazama
令一 波左間
Takuya Uenoyama
卓也 上野山
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Abstract

【課題】 砕石が使用されている鉄道の道床または砂利敷設道路において、簡単な工事で、しかも環境に負荷を与えないようにして、砕石の飛散を防止できるようにする。
【解決手段】 砕石が使用されている鉄道の道床または砂利敷設道路が、生分解性樹脂で被覆されている。また、砕石が使用されている鉄道の道床上または砂利敷設道路上に、チップ状または繊維状の生分解性樹脂を散布し、この生分解性樹脂を溶融させて前記鉄道の道床または砂利敷設道路を被覆させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、砕石が使用されている鉄道の道床または砂利敷設道路を車両が通過するときに砕石を飛散させることを防止するための、砕石飛散防止構造および砕石飛散防止方法に関する。
砕石が敷き詰められている鉄道の道床や砂利道路では、列車や自動車などの車両が通過する際に、何らかの原因で砕石を飛散させることがあり、このような飛散砕石により、ヒトやその他の生物が負傷を受けたり、線路際や道路際の住宅が損傷したりするなどの事故が発生している。そこで近年、合成樹脂を付着させた合成繊維製のネットを道床上に敷設して砕石を固定化する方法が提案されている(特許文献1、2)。
特開平07−018608号公報 特開平07−018609号公報
しかし、上記のように道床上にネットを敷設するためには、ロール状に巻かれたネットを走行台車に設置したうえで、台車を走行させながら、ロールからネットを繰り出すという作業が必要であるために、相応の時間と費用が必要になる。また工事が完了した後に砕石を追加して敷き詰めたい場合には、古いネットの撤去が必要であるとともに、新しいネットの再敷設が必要であるため、そのための工事が大掛かりになってしまう。しかも合成繊維製のネットであるために、使用後に廃棄などを行おうとすると地球環境に負荷を与えることになる。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、簡単な工事で、しかも環境に負荷を与えないようにして、砕石の飛散を防止できるようにすることを目的とする。
この目的を達成するため本発明の砕石飛散防止構造は、砕石が使用されている鉄道の道床または砂利敷設道路を、生分解性樹脂で被覆したことを特徴とする。
本発明の砕石飛散防止構造によれば、上記において、生分解性樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂であることが好適である。
また本発明の砕石飛散防止構造によれば、上記において、生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂であることが好適である。
本発明の砕石飛散防止方法は、砕石が使用されている鉄道の道床上または砂利敷設道路上に、チップ状または繊維状の生分解性樹脂を散布し、この生分解性樹脂を溶融させて前記鉄道の道床または砂利敷設道路を被覆させることを特徴とする。
本発明の砕石飛散防止方法によれば、上記において、生分解性樹脂を散布した後に、この生分解性樹脂に外部から熱を供給して、この生分解性樹脂を溶融させることが好適である。
また本発明の砕石飛散防止方法によれば、上記において、あらかじめ砕石を加熱したうえで、生分解性樹脂を散布することで、この生分解性樹脂を溶融させることが好適である。
本発明によれば、砕石が使用されている鉄道の道床または砂利敷設道路を生分解性樹脂で被覆するだけの簡単な工事を行うだけで、この生分解性樹脂によって道床や道路の砕石を固定することができて、その飛散を防止することができる。また生分解性樹脂を用いているため、使用後の廃棄時などにおける環境ヘの負荷を小さくすることができる。
特に本発明によれば、砕石が使用されている鉄道の道床上または砂利敷設道路上に、チップ状または繊維状の生分解性樹脂を散布したうえで、この生分解性樹脂を溶融させるだけの工事で、道床や道路の砕石を簡単に固定することができる。
本発明において使用する生分解性樹脂は、自然界で分解するものであれば種類は不問であり、特に限定するものではない。しかし、熱可塑性や液状加工性などの取扱性の点から、脂肪族ポリエステルが好ましい。脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネートが挙げられる。なかでも、原料が植物由来であるポリ乳酸が、環境面において特に好ましい。
砕石が使用されている鉄道の道床または砂利敷設道路を生分解性樹脂によって被覆する手法についても、特に限定するものではないが、砕石を用いる理由であるところの、道床や道路における雨水などの除去を阻害するような手法や、衝撃緩和や路盤への衝撃の均等な伝達を阻害するような手法は好ましくない。また、作業に時間や費用が多く発生する手法も、本発明の目的にそぐわない。すなわち、たとえば生分解性樹脂にて形成されたフィルムやネットを被覆する手法は好ましくない。
被覆のための手法として、好ましくは、熱可塑性を有する生分解性樹脂を用いて、溶融させた状態で道床上や道路上に塗布する方法や、チップ状や繊維状の生分解性樹脂を道床上や道路上に散布した上でヒーターなどで外部から熱を供給して溶融させる方法などが挙げられる。あるいは、砕石をバーナーなどであらかじめ加熱しておき、その状態でチップ状や繊維状の生分解性樹脂を散布することで、砕石の保有する熱によって生分解性樹脂を溶融させるようにしてもよい。
本発明において、繊維状とは、バラバラの短繊維状であるものを含む概念であるとともに、繊維をウエブや不織布の形態としたものなどをも含む概念である。このように繊維状すなわち長細い形状もしくはそれが集合した形態とすることで、チップ状のものに比べて、砕石どうしの間に入り込みにくく、このため道床や道路の表面のみを確実に被覆することができるため、少量で所期の性能を発揮することができる。樹脂が砕石どうしの間に入り込むと、その分だけ樹脂を多量に使用することになってしまう。また、繊維状であることで、加熱の際の吸熱性が良好で溶融しやすいという利点がある。なお、繊維状であることで、散布中に飛散するものが存在する可能性があるが、生分解性樹脂であることで、このように飛散したものについての環境への負荷は小さい。また、強風などで散布中の飛散量が多くなることが懸念される場合には、上述した不織布の形態で使用することが好ましい。不織布としては、速やかに溶融させるために目付けの低いものが好ましく、具体的には目付けが100g/m以下のものが好適に用いられる。
同様に、使用した生分解性樹脂のうち、砕石に付着せずに道床や道路からこぼれ落ちるものが多少は発生する可能性があるが、生分解性を有するために、このようにこぼれ落ちたものが環境へ与える負荷は小さい。
砕石をしっかりと固定したい場合には、たとえば加熱装置を備えたミキサーを用いて、これに砕石と熱可塑性の生分解性樹脂との両方を投入して、良好に混合した後に敷設および溶融固定することが好ましい。
生分解性樹脂として、液状加工特性が良好なものを用いる場合には、液状化させた溶液を道床や道路に塗布する手法を用いることもできる。液状化する方法としては、樹脂が溶解する溶媒で溶液化する方法がもっとも好ましい。このとき、脂肪族ポリエステルなどの有機高分子は有機溶媒にしか溶融しないために、施工時に悪臭が発生したり、生態系に影響を及ぼしたりするなどの問題が懸念される。そのため、エマルジョンや水性化されたものによる塗布がより好ましい。
[実施例]
次に本発明の実施例について説明する。
まず、長さ10m×幅3mの、シルト砂からなる道路に、平均粒径が15mmの砕石を平均5cmの厚さで敷き詰め、以下の実施例、比較例に供するテスト道路を作製した。
(実施例1)
ポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬社製、プラセマL110)を、上記のテスト道路に0.5リットル/mの割合で噴霧し、2日間放置して砕石を固定し、実施例1の被験道路を得た。
(実施例2)
上記のテスト道路の表面を市販のバーナーを用いて十分に加熱した後、速やかに、ポリ乳酸短繊維(ユニチカファイバー社製、3.3mmカット品)を2kg/mの割合で均等に散布して、加熱された砕石の余熱でポリ乳酸短繊維を溶解させ、その後の自然冷却により砕石を固定して、実施例2の被験道路を得た。
(比較例1)
砕石を敷き詰めただけで、樹脂を適用しなかつた道床を、比較例1の被験道路とした。
実施例1、2および比較例1の被験道路上を、重量約2tの自動車で30km/hの速度で通過したときの状況を観察した。そうしたところ、実施例1および実施例2では、砕石が飛散することはなかった。これに対し比較例1では、砂塵の発生とともに砕石の飛散が見られた。

Claims (6)

  1. 砕石が使用されている鉄道の道床または砂利敷設道路を、生分解性樹脂で被覆したことを特徴とする砕石飛散防止構造。
  2. 生分解性樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の砕石飛散防止構造。
  3. 生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂であることを特徴とする請求項2記載の砕石飛散防止構造。
  4. 砕石が使用されている鉄道の道床上または砂利敷設道路上に、チップ状または繊維状の生分解性樹脂を散布し、この生分解性樹脂を溶融させて前記鉄道の道床または砂利敷設道路を被覆させることを特徴とする砕石飛散防止方法。
  5. 生分解性樹脂を散布した後に、この生分解性樹脂に外部から熱を供給して、この生分解性樹脂を溶融させることを特徴とする請求項4記載の砕石飛散防止方法。
  6. あらかじめ砕石を加熱したうえで、生分解性樹脂を散布することで、この生分解性樹脂を溶融させることを特徴とする請求項4記載の砕石飛散防止方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008019630A (ja) * 2006-07-13 2008-01-31 Railway Technical Res Inst 噴泥防止方法
JP2021116562A (ja) * 2020-01-23 2021-08-10 三井住友建設株式会社 建設資材製造方法、生分解プラスチック混合土、および、地盤固化方法

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