JP2006124812A - セラミック基板、及びめっき方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】めっき形成された金属皮膜に微細なクラックが生じるのを回避することができるようにする。
【解決手段】Zn成分が含有されたセラミック素体6の表面に導電部7が形成され、無電解Niめっきにより前記導電部7上にNi−P皮膜8が形成されたセラミック多層基板において、無電解Niめっきを施す前に錯化剤溶液で被めっき物を処理してZn成分を溶出させ、これによりNi−P皮膜8中のZn元素の含有量を0.6重量%以下に制御する。このようにZnの溶出処理を行なうことにより、セラミック素体6の表面6″からの深さAが少なくとも5μm以下の表層部6′におけるZn定元素の含有量は、表層部6′以外の領域よりも少なく、かつ表層部6′におけるZn元素の含有量が、セラミック素体6の内部から表面6″側へ略傾斜状に減少するように形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】Zn成分が含有されたセラミック素体6の表面に導電部7が形成され、無電解Niめっきにより前記導電部7上にNi−P皮膜8が形成されたセラミック多層基板において、無電解Niめっきを施す前に錯化剤溶液で被めっき物を処理してZn成分を溶出させ、これによりNi−P皮膜8中のZn元素の含有量を0.6重量%以下に制御する。このようにZnの溶出処理を行なうことにより、セラミック素体6の表面6″からの深さAが少なくとも5μm以下の表層部6′におけるZn定元素の含有量は、表層部6′以外の領域よりも少なく、かつ表層部6′におけるZn元素の含有量が、セラミック素体6の内部から表面6″側へ略傾斜状に減少するように形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明はセラミック基板、及びめっき方法に関し、より詳しくはガラス成分を含有した基体の表面にめっき皮膜をめっき形成したLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温焼結多層セラミック)基板等のセラミック基板、及び基体表面にめっき皮膜をめっき形成するめっき方法に関する。
ガラス成分を含有したガラスセラミックで基体を形成したLTCC基板等のセラミック基板は、高機能化・高信頼性に寄与することから、携帯電話その他の各種電子機器に搭載されている。
ところで、この種のセラミック基板では、めっき処理時に、ガラスに含まれるZn成分が、めっき浴中に溶出することがある。特にpHが6未満の酸性溶液に調製されたNiめっき液に基体を浸漬してめっき処理を施すと、成分の溶出が激しくなり、また基体が浸食されるため、品質上望ましくない。したがって、通常はめっき浴をpHが6〜9の中性ないしアルカリ性に調製して行っている。
しかしながら、Znは酸性溶液ではイオン化して安定であるが、中性ないしアルカリ性溶液では、めっき皮膜中にZn成分が共折することがある。
一方、めっき皮膜中にZn成分を意図的に含有させた技術としては、0.01mg/L〜20g/LのZn成分を含有した無電解Niめっき液を使用してガラス基板に無電解めっきを施したNi系めっき基板が知られている(特許文献1)。
この特許文献1では、3重量%以下のZn成分をNi系めっき皮膜中に意図的に含有させることにより、Ni系皮膜とガラス基板との間の密着性を向上させている。
しかしながら、特許文献1では、Ni系皮膜中にZnを意図的に含有させているが、中性ないしアルカリ性に調製されたNiめっき浴を使用して基体表面の導電部にNi皮膜を形成した場合、Ni系皮膜中にZnが共析することから、Ni皮膜が脆くなって該Ni系皮膜中に微細なクラックが発生しやすくなる。そして、このようなNi系皮膜中のクラックは、はんだ実装した際に電極喰われや接合強度の低下、電極のマグレーションの発生等を引き起こし、信頼性低下を招くおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、めっき形成されためっき皮膜に微細なクラックが生じるのを回避することができるセラミック基板、及びめっき方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、Znを含有したガラスセラミックで形成された基体の表面にAgやCu等の導電部を形成し、次いで無電解Niめっきを施して導電部上にNiを主成分とするめっき皮膜を形成し、該めっき皮膜中に共析するZnの影響について調査したところ、めっき皮膜中のZnの含有量を0.6重量%以下とすることにより、めっき皮膜中に微細なクラックが発生するのを回避することができるという知見を得た。
また、本発明者らが、上記めっき皮膜中の組成を分析したところ、基体表面からの深さが5μm以下の表層部でのZn含有量が表層部以外の領域よりも少なく、かつ表層部内のZn含有量は、基体内部から基体表面側へ略傾斜状に減少していることが判明し、これによりめっき皮膜中に取り込まれるZn量も低下させることができたものと思われる。
尚、略傾斜状に減少とは、実質的に単調減少しているものを指し、直線に限られるものではない。
そして、これらの知見はZn以外のめっき皮膜中に混入し得る基体の構成元素であるSn、Cu、Bi、Pb及びInについても適用することができると考えられる。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るセラミック基板は、Zn、Sn、Cu、Bi、Pb及びInの中から選択された少なくとも1種の特定元素を含むガラス成分を含有した基体の表面に、Niを主成分とするめっき皮膜が形成されたセラミック基板において、前記めっき皮膜中の前記特定元素の含有量が、0.6重量%以下に制御され、前記基体表面からの深さが少なくとも5μm以下の表層部における前記特定元素の含有量は、前記表層部以外の領域よりも少なく、かつ前記表層部における前記特定元素の含有量が、前記基体の内部から前記基体表面側に略傾斜状に減少するように形成されていることを特徴としている。
また、前記表層部は、前記基体表面からの深さが10μm以下の領域であることを特徴とするのも好ましい。
また、めっき皮膜中のZn等の特定元素の含有量は、めっき処理を施す前に、前記特定元素と錯体を形成する錯化剤を使用し、これら特定元素を錯化剤溶液中に溶出させることにより、容易に低減させることができる。
すなわち、本発明に係るめっき方法は、Zn、Sn、Cu、Bi、Pb及びInの中から選択された少なくとも1種の特定元素を含むガラス成分を含有したセラミック材料を主成分とする基体の表面に、Niを主成分とするめっき皮膜をめっき形成するめっき方法において、前記特定元素と錯体を形成する錯化剤を使用して前記特定元素を溶出させる溶出処理を行なった後、めっき処理を行なって前記基体の表面に前記めっき皮膜を形成することを特徴としている。
また、本発明のめっき方法は、前記特定元素と錯体を形成する錯化剤は、前記めっき処理に使用されるめっき液に含有された錯化剤と同一材料であることを特徴とするのが好ましい。
前記錯化剤としては、具体的にはアミノカルボン酸類(例えば、グリシン)を使用することができる。
また、本発明のめっき方法は、前記元素のめっき液中の濃度は、9×10-3kg/m3以下であることを特徴とし、さらに前記めっき処理に使用されるめっき液のpHは6〜9であることを特徴としている。
本発明のセラミック基板によれば、Zn、Sn、Cu、Bi、Pb及びInの中から選択された少なくとも1種の特定元素を含むガラス成分を含有した基体の表面に、Niを主成分とするめっき皮膜が形成されたセラミック基板において、前記めっき皮膜中の前記特定元素の含有量が、0.6重量%以下に制御されているので、めっき皮膜にクラックが発生するのを抑制することができる。
特に、前記基体表面からの深さが少なくとも5μm以下の表層部における前記特定元素の含有量は、前記表層部以外の領域よりも少なく、かつ前記表層部における前記特定元素の含有量が、前記基体の内部から前記表層部に向かって略傾斜状に減少するように形成されているので、めっき皮膜中の特定元素の含有量が表層部において少なく、これによりめっき皮膜への特定元素の取り込み量も低減され、めっき皮膜にクラックが発生するのを効果的に抑制することができる。
また、本発明のめっき方法によれば、Zn、Sn、Cu、Bi、Pb及びInの中から選択された少なくとも1種の特定元素を含むガラス成分を含有したセラミック材料を主成分とする基体の表面に、Niを主成分とするめっき皮膜をめっき形成するめっき方法において、前記特定元素と錯体を形成する錯化剤を使用して前記特定元素を溶出させる溶出処理を行なった後、めっき処理を行なって前記基体の表面に前記めっき皮膜を形成するので、めっき処理を行なう前に基体中の特定元素が錯化剤で処理され、錯体となって溶出し、これによりめっき皮膜中に混入し得る特定元素の含有量を効果的に低減することができ、めっき皮膜にクラックが生じることのないめっき方法を実現することができる。
また、前記特定元素と錯体を形成する錯化剤が、前記めっき処理に使用されるめっき液に含有された錯化剤と同一種であるので、めっき液の浴特性に影響を与えることもない。
前記錯化剤として、グリシン等のアミノカルボン酸類を使用することにより、上記作用効果を容易に奏することができる。
また、前記特定元素のめっき液中の濃度を9×10-3kg/m3(9μg/mL)以下とすることにより、めっき皮膜中の特定元素の混入を0.6重量%以下に低減でき、まためっき液のpHが6〜9であるので、めっき液が中性ないしアルカリ性の場合であっても、めっき皮膜中に特定元素が混入することもなく、クラックの発生することのない良質のめっき皮膜を得ることができる。
図1は本発明に係るセラミック基板としてのセラミック多層基板の一実施の形態を示す断面図であって、該セラミック多層基板は、複数のセラミックグリーンシート(第1〜第5のセラミックグリーンシート1a〜1e)が積層されてセラミック素体6を形成している。
そして、セラミック素体6の表面には外部電極4(4a〜4c)が形成されると共に、該セラミック素体6の内部には所定パターンの内部電極3(3a〜3h)が埋設されており、ビアホール5(5a〜5k)を介して各内部電極間3、又は内部電極3と外部電極4とが電気的に接続されている。そして、本実施の形態では、第4のセラミックグリーンシート1dを介して内部電極3gと内部電極3eとが対向状に配されてコンデンサ部を形成し、外部電極4c及び内部電極3h、3f、3d、3bはビアホール5k、5g、5e、5cを介して電気的に接続されインダクタ部を形成している。
また、外部電極4は、図2に示すように、AgやCuを主成分とする導電部7の表面にNi−P皮膜(めっき皮膜)8が形成され、該Ni−P皮膜8の表面にAu皮膜9が形成されている。
セラミック素体6(第1〜第5のセラミックグリーンシート1a〜1e)は、Si、Al、B等のガラス成分を含有した低温焼結可能なガラスセラミックからなり、該セラミック素体6には、Zn、Sn、Cu、Bi、Pb、及びInの中から選択された少なくとも1種の特定元素が含有されている。
また、Ni−P皮膜8中には前記特定元素の含有量が0.6重量%以下に制御されている。
これはNi−P皮膜8における前記特定元素の含有率が0.6重量%を超えると、Ni−P皮膜8が脆化して微細なクラックが発生し、信頼性低下を招くからである。
また、セラミック素体6は、具体的には、その表面6″からの深さAが少なくとも5μm以下の表層部6′における特定元素の含有量が、表層部6′以外の領域よりも少なく、かつ表層部6′における特定元素の含有量が、セラミック素体6の内部から表面6″に向かって略傾斜状に減少するように形成されており、したがって、Ni−P皮膜8中に特定元素が取り込まれるのが極力抑制される形態となっており、これによりNi−P皮膜8でのクラック発生防止をより一層効果的なものとしている。
尚、表面6″から深さAが10μm以下の領域を表層部6′とし、上述のように表層部6′における特定元素の含有量が、表層部6′以外の領域よりも少なく、かつ表層部6′における特定元素の含有量が、セラミック素体6の内部から表面6″に向かって略傾斜状に減少するように形成することによっても、クラック発生防止という所期の目的を十分に達成することができる。
次に、上記セラミック多層基板の製造方法を説明する。
まず、所定形状に成形されたセラミックグリーンシート1に対し、必要に応じてビアホール5を形成し、次いで、導電性ペーストを使用し、所定の配線パターンをセラミックグリーンシート1a〜1d上にスクリーン印刷して内部電極3を形成し、その後、第1〜第5のセラミックグリーンシート1a〜1eを積層し、所定温度で焼成処理してセラミック素体6を形成する。
次いで、セラミック素体6の表面にCuやAgを主成分とする導電性ペーストを塗布して焼成処理を行ない、該導電性ペーストが焼結されてなる厚膜の導電部7が形成し、これにより被めっき物を作製する。
そしてこの後、被めっき物に一連の前処理を行なった後、無電解めっき処理を行なう。
図3は無電解めっき処理のめっき方法を示すめっき工程図である。
まず、脱脂工程11では、セラミック素体6上に導電部7を形成した被めっき物を用意し、該被めっき物から有機物質や無機物質による汚染を除去するため、該被めっき物に脱脂処理を施す。
尚、脱脂処理はNaPO3/NaOH水溶液等のアルカリ溶液で実施することが望ましいが、アセトン等の非水系溶液や、pH4〜10のエマルジョン系脱脂液や水を使用してもよい。
続くエッチング工程12では、被めっき物をエッチング液に浸漬して導電部7の表面に固着している酸化物をエッチング除去し、また表面形状を適度に平滑化或いは粗化等して表面形状の微調整を行う。
ここで、エッチング液としては、一般には硫酸塩やクエン酸等の酸性水溶液を使用することができる、また電極材料によってはアルカリ性水溶液も使用可能である。
このようにしてエッチング工程12が終了した後、水洗工程13で被めっき物を純水で洗浄し、その後溶出処理工程14に進み、被めっき物を錯化剤溶液に浸漬し、被めっき物に含有されている特定元素を錯化剤溶液中に溶出させる。
錯化剤溶液としては、特定元素と錯体を形成するものであれば特に限定されることはなく、例えばグリシン等のアミノカルボン酸、コハク酸等のジカルボン酸、クエン酸等のオキシカルボン酸などを使用することができるが、後述するNiめっき処理で影響を与えないためには無電解Niめっき液に含有される錯化剤と同一の錯化剤を使用するのが好ましい。
尚、溶出処理の程度としては、Niめっき液中の特定元素の含有率が9×10-3kg/m3以下となるようにする必要がある。これは特定元素のNiめっき液中の含有率が9×10-3kg/m3を超えると無電解Niめっき処理により形成されるNi−P皮膜8中の特定元素の含有率が0.6重量%を超えてしまうおそれがあるからである。
次に、触媒化工程15に進み、被めっき物をPd触媒液に浸漬して導電部7の表面に触媒を付与し、Niめっき工程16で被めっき物を無電解Niめっき液に浸漬し、導電部7の表面にNi−P皮膜8を形成する。
ここで、無電解Niめっき液には、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等のニッケル塩やホスフィン酸塩等の還元剤が含有され、さらに上述した溶出処理で使用される錯化剤が含有され、また、必要に応じて微量の界面活性剤や各種安定剤が添加される。
また、無電解Niめっき液は酸性になるとセラミック成分の溶出が顕著になることから、水酸化ナトリウム等のpH調整剤を適宜添加してpHが6〜9の中性〜アルカリ性に調製される。
次に、水洗工程17を経た後、Auめっき工程18にて、浴温が35〜70℃に調製された上記金めっき液に被めっき物を浸漬し、Auめっきを施す。
すなわち、Ni−P皮膜8が形成された被めっき物をAuめっき液に浸漬すると、電気化学的に卑な金属であるNiが溶出して電子(e−)を放出し、該放出された電子(e−)によって貴なAu+或いはAu3+が還元され、AuがNi−P皮膜8上に析出し、これによりAu皮膜9が形成され、これによりセラミック多層基板が製造される。
このように本実施の形態では、無電解めっき処理の前処理として溶出処理を行い、セラミック素体6に含有される特定元素を錯化剤溶液に溶出させているので、その後無電解Niめっき処理を行ってもNi−P皮膜8中の特定元素の含有量を0.6重量%以下に抑制することができ、また、表層部6′での特定元素の含有量をそれ以外の領域よりも少なく、しかも、表層部6′内で内部から表面6″に向かって略傾斜状に減少させているので、Ni−P皮膜8内での特定元素の共析が効果的に抑制され、したがって微細なクラックも生じず、はんだ濡れ性の劣化等信頼性低下が生じるのを回避することができる。
また、中性〜アルカリ性の無電解Niめっき液を使用して無電解Niめっきを行った場合、無電解Niめっき液に含有される錯化剤や界面活性剤等のC成分やH成分をNi−P皮膜8中に共析し易いが、上記特定元素を予め溶出処理により溶出除去し、これによりNiめっき液中のZn濃度が、上述したように9×10-3kg/m3以下に制御されてNi−P皮膜8中への特定元素の含有量が0.6重量%以下に抑制される結果、無電解Niめっき液に含有される錯化剤や界面活性剤を構成するC成分やH成分のNi−P皮膜8中への浸入も連動して抑制され、より良好で信頼性の優れた膜質のNi−P皮膜8を得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、めっき皮膜としてNi−P皮膜について説明したが、Niを主成分とするものであれば良く、例えばNi−B皮膜や純Ni皮膜であってもよく、また、Niめっき方法についても無電解Niめっきに限定されるものではなく、電解Niめっきにも適用することができる。
さらに、上記実施の形態では、セラミック多層基板について説明したが、多層構造でなくともセラミック基板であれば適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
Mg、Al、Zn等を含有したガラスセラミックからなる縦3.2mm、横2.4mm、厚み1.4mmの被めっき物を700個用意した。この各被めっき物には膜厚1×10-2mmのCu電極が形成されており、Cu電極の総表面積は1×10-2m2であった。
次いで、エマルジョン系脱脂液を使用して脱脂処理を行った後、過硫酸アンモニウム系エッチング液を使用してエッチング処理を行い、その後純水で水洗処理を行った。
次に、被めっき物をPd触媒液に1分間浸漬してCu電極の表面にPd触媒を付与し、触媒活性化した後、浴温80℃とされた1×10-3m3のグリシン水溶液(濃度:7.0×102mol/m3)に被めっき物を10分間浸漬し、これにより被めっき物に含有されているZn成分をグリシン水溶液中に溶出させた。
次いで、下記組成を有する1×10-3m3の無電解Niめっき液に被めっき物を30分間浸漬し、Cu電極の表面に膜厚3μmのNi−P皮膜を形成した。
〔無電解Niめっき液の組成〕
金属塩 1.2×102mol/m3
錯化剤 3.0×102mol/m3
還元剤 2.0×102mol/m3
pH:7.5
浴温 60℃
次に、純水で水洗した後、無電解Auめっき液として奥野製薬社製ムデンノーブルAu(pH:7.0、浴温:65℃)を用意し、この無電解Auめっき液1×10-3m3に被めっき物を15分間浸漬し、Ni−P皮膜上に膜厚0.16μmのAu皮膜を形成し、実施例のセラミック基板を作製した。
金属塩 1.2×102mol/m3
錯化剤 3.0×102mol/m3
還元剤 2.0×102mol/m3
pH:7.5
浴温 60℃
次に、純水で水洗した後、無電解Auめっき液として奥野製薬社製ムデンノーブルAu(pH:7.0、浴温:65℃)を用意し、この無電解Auめっき液1×10-3m3に被めっき物を15分間浸漬し、Ni−P皮膜上に膜厚0.16μmのAu皮膜を形成し、実施例のセラミック基板を作製した。
また、上記溶出処理を行わなかった以外は同様の方法・手順を使用して比較例のセラミック基板を作製した。
次に、実施例及び比較例のセラミック基板について、XRF(X-ray Fluorescence Spectrometer:蛍光X線分析装置)を使用し、Ni−P皮膜中のZn含有量を定量したところ、比較例は0.8重量%であったのに対し、実施例は0.1重量%であり、溶出処理を行うことによってNi−P皮膜中のZn含有量を低減できることが確認された。
次に、実施例及び比較例のセラミック基板について、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)を使用し、Ni−P皮膜中のクラックの有無を観察した。
図4及び図5はその観察結果であって、図4が実施例、図5が比較例を示している。
この図4及び図5から明らかなように、図5の比較例では微細なクラックが発生しているのが認められるのに対し、図4の実施例ではクラックが発生しないことが確認された。
次に、ICP−AES(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy:誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を使用し、実施例及び比較例で使用した無電解Niめっき液中のZn濃度を定量した。
図6はその測定結果を示している。
この図6から明らかなように比較例はZnの溶出処理を行っていないため、無電解Niめっき液中のZn濃度が12×10-3kg/m3と高いのに対し、実施例はZnの溶出処理を行っているので、無電解Niめっき液中のZn濃度が0.5×10-3kg/m3と低くなることが分かった。
次に、GDS(Glow Discharge Spectrometer:グロー放電発光分光分析装置)を使用して実施例及び比較例のNi−P皮膜の組成分析を行い、C成分及びH成分の存在強度を測定した。
図7はC成分の存在強度を示し、図8はH成分の存在強度を示している。ここで、横軸は時間(秒)、縦軸は存在強度(V)を示している。
この図7及び図8から明らかなように、実施例は比較例に比べ、C成分及びH成分の存在強度が低く、Ni−P皮膜中のC成分及びH成分が低減されることが分かった。
次に、SEM−EDX(Scanning Electron Microscope – Energy Dispersive X-ray :エネルギー分散型X線走査型電子顕微鏡)を使用し、実施例のセラミック基板中のZn量分布を測定した。
図9はその測定結果を示している。横軸はセラミック基板の表面からの深さ(μm)であり、縦軸はX線強度(任意単位)である。
この図9から明らかなように、表面から10μmよりも深い位置ではZnのX線強度(含有量)が大きくなるが、前記10μmよりも表面側ではZnは傾斜状に減少しており、特に、表面から5μmよりも浅い位置では存在強度(含有量)が小さく、Zn成分のNi−P皮膜中への混入が効果的に抑制されることが推認される。
図10は実施例のセラミック基板の断面図であって、セラミック素体11の表面にCu電極12、Ni−P皮膜13、及びAu皮膜14が形成されている。そして、セラミック素体11の表面から深さが10μm以下の表面部11′では、溶出処理によりZnが溶出し、このため表層部11は、表層部11以外の領域に比べてZn量が少なく、しかもZn量は表面側に浅くなるに従い略傾斜状に減少する。
〔実施例1〕の溶出処理における溶出時間を0、2、3、10分に異ならせた試料番号1〜4のセラミック基板を作製した。
次に、ICP−AESを使用して試料番号1〜4に使用した無電解Niめっき液中のZn濃度を定量し、XRFを使用して試料番号1〜4のNi−P皮膜中のZn含有量を測定し、さらにクラックの有無をSEMで観察した。
表1はその測定結果を示している。
この表1から明らかなように溶出時間が長くなるに伴い、無電解Niめっき液中のZn濃度は低くなり、また、無電解Niめっき液中のZn濃度が低くなるのに伴い、Ni−P皮膜中のZn含有量が低くなることが確認された。そして、無電解Niめっき液中のZn濃度が9×10-3kg/m3以下になるとNi−P皮膜中のZn含有量が0.6重量%以下となり、またNi−P皮膜中のZn含有量が0.6重量%以下でNi−P皮膜にクラックが発生しないことが確認された。
6 セラミック素体(基体)
8 Ni−P皮膜(めっき皮膜)
14 溶出処理工程
16 Niめっき工程
8 Ni−P皮膜(めっき皮膜)
14 溶出処理工程
16 Niめっき工程
Claims (8)
- Zn、Sn、Cu、Bi、Pb及びInの中から選択された少なくとも1種の特定元素を含むガラス成分を含有した基体の表面に、Niを主成分とするめっき皮膜が形成されたセラミック基板において、
前記めっき皮膜中の前記特定元素の含有量が、0.6重量%以下に制御され、
前記基体表面からの深さが少なくとも5μm以下の表層部における前記特定元素の含有量は、前記表層部以外の領域よりも少なく、かつ前記表層部における前記特定元素の含有量が、前記基体の内部から前記基体表面側へ略傾斜状に減少するように形成されていることを特徴とするセラミック基板。 - 前記表層部は、前記基体表面からの深さが10μm以下の領域であることを特徴とする請求項1記載のセラミック基板。
- Zn、Sn、Cu、Bi、Pb及びInの中から選択された少なくとも1種の特定元素を含むガラス成分を含有したセラミック材料を主成分とする基体の表面に、Niを主成分とするめっき皮膜をめっき形成するめっき方法において、
前記特定元素と錯体を形成する錯化剤を使用して前記特定元素を溶出させる溶出処理を行なった後、めっき処理を行なって前記基体の表面に前記めっき皮膜を形成することを特徴とするめっき方法。 - 前記特定元素と錯体を形成する錯化剤は、前記めっき処理に使用されるめっき液に含有された錯化剤と同一材料であることを特徴とする請求項3記載のめっき方法。
- 前記錯化剤は、アミノカルボン酸類であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のめっき方法。
- 前記アミノカルボン酸類は、グリシンであることを特徴とする請求項5記載のめっき方法。
- 前記特定元素のめっき液中の濃度は、9×10−3kg/m3以下であることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のめっき方法。
- 前記めっき処理に使用されるめっき液のpHは6〜9であることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれかにめっき方法。
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JP2008248335A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Tdk Corp | セラミックス電子部品の製造方法 |
JP2011184748A (ja) * | 2010-03-09 | 2011-09-22 | Murata Mfg Co Ltd | めっき方法 |
JP2012504706A (ja) * | 2008-10-02 | 2012-02-23 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | ニッケル−金めっき可能な厚膜銀ペースト、および、低温同時焼成セラミックデバイスのためのめっき方法、および、それから形成されたltccデバイス |
CN109336645A (zh) * | 2013-06-05 | 2019-02-15 | 陶瓷技术有限责任公司 | 在陶瓷基材上的金属层 |
-
2004
- 2004-11-01 JP JP2004317816A patent/JP2006124812A/ja active Pending
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