JP2006124450A - エチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 重合体の抜き出し配管に重合体が付着することを防止し、安定的にエチレン−プロピレンブロック共重合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 立体規則性重合触媒と有機アルミニウムを用いるエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法であって、下記の第1工程と第2工程と、第2工程で得られたエチレン−プロピレンブロック共重合体を、配管を介してホッパーへ抜出す工程であって、該配管へ、酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加して抜出す第3工程とを有するエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法。
第1工程:少なくとも一段の重合によって、プロピレン単独重合体またはエチレンの含有量が3重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体を得る工程
第2工程:少なくとも一段の重合によって、エチレンの含有量が少なくとも20重量%であるエチレン−プロピレン共重合体を得る工程
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、重合体の抜き出し配管に重合体が付着することを防止し、安定的にエチレン−プロピレンブロック共重合体を製造する方法に関するものである。
エチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法としては、前段でプロピレンを、またはプロピレンと少量のエチレンを重合させ、後段でプロピレンと前段より多い量のエチレンを共重合させて、ブロック共重合体を製造する方法が知られている。
しかし、後段でプロピレンと前段より多い量のエチレンを共重合させることから、重合体が粘着することがあり、重合槽の中に塊が生じたり、重合槽や重合体の抜き出し配管に重合体が付着したりして、重合体の移送効率が低下し生産性も低下する場合があることや、さらには、抜き出し配管が閉塞して、重合体の製造を継続ができなくなる場合があることが知られている。
重合槽の中に塊が生成することを防止する方法や、重合槽への重合体が付着することを防止する方法として、例えば、特公昭63−54296号公報には、プロピレンブロック共重合体を操作性良く製造する方法として、標準状態で気体の含酸素化合物を、後の重合段階であるランダム共重合反応系へ供給するプロピレンブロック共重合体の製造方法が記載されている。
また、特許第3304462号公報には、安定的に重合反応を維持するエチレン−プロピレンブロック共重合体を製造する方法として、特定の固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、特定のケイ素化合物とを用いる第1工程と、前記ケイ素化合物と異なる特定のケイ素化合物をさらに添加する第2工程とを有するエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法が記載されている。
特公昭63−54296号公報 特許第3304462号公報
しかし、上記の公報等に記載されているエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法においても、重合体の抜き出し配管に重合体が付着することを防止し、重合体の移送効率を低下させることなく、そして、生産性も低下させないということや、さらに、抜き出し配管の閉塞を防止し、重合体の製造を十分に継続させるということに関しては、さらなる改良が求められていた。
また、特公昭63−54296号公報に記載の含酸素化合物や、特許第3304462号公報に記載のケイ素化合物は、触媒毒にもなり得る化合物であることから、第1工程または第2工程の重合槽へは、十分な量の化合物を添加することができず、この点についても改良が求められていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、重合体の抜き出し配管に重合体が付着することを防止し、安定的にエチレン−プロピレンブロック共重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
立体規則性重合触媒と有機アルミニウムを用いるエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法であって、
下記の第1工程と、下記の第2工程と、
第2工程で得られたエチレン−プロピレンブロック共重合体を、配管を介してホッパーへ抜出す工程であって、該配管へ、酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加して抜出す第3工程とを、
有するエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法に係るものである。
第1工程:
少なくとも一段の重合によって、プロピレン単独重合体または、エチレンとプロピレンの混合物を重合して得られるエチレンの含有量が3重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(I)50〜95重量%を得る工程
第2工程:
少なくとも一段の重合によって、エチレンとプロピレンの混合物を重合して得られるエチレンの含有量が少なくとも20重量%であるエチレン−プロピレン共重合体(II)5〜50重量%を得る工程
(ただし、第1工程で得られる単独重合体または共重合体(I)の重量と第2工程で得られる共重合体(II)の重量の合計を100重量%とする。また、共重合体(I)に含有されるエチレンの重量とプロピレンの重量の合計を100重量%とし、そして、共重合体(II)に含有されるエチレンの重量とプロピレンの重量の合計を100重量%とする。)
本発明で用いられる重合触媒は、立体規則性重合触媒であり、例えば、下記の固体触媒成分(B)と有機アルミニウム化合物(C)とを用いて得られる重合触媒であり、また、固体触媒成分(B)と有機アルミニウム化合物(C)と、必要に応じて、電子供与体(D)とを用いて得られる重合触媒である。
固体触媒成分(B)は、チタン、マグネシウムおよびハロゲンを必須成分として含有する触媒成分であり、例えば、一般に、チタン化合物を有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物で処理した後、四塩化チタンで処理して得られる触媒成分が挙げられる。
固体触媒成分(B)に用いられるチタン化合物としては、例えば、式 Ti(OR3b4-b(R3は、炭素数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、bは0<b≦4の数字を表わす。)で表される化合物が挙げられる。
3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、アミル基、iso−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、プロペニル基等のアリル基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
固体触媒成分(B)に用いられる有機マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシウム−炭素の結合を含有する任意の型の有機マグネシウム化合物が挙げられる。
好ましくは、式 R4MgX(式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲンを表す。)で表わされるグリニャール化合物、または、式 R44’Mg(式中、R4またはR4’は炭素数1〜20の炭化水素基を表わし、R4とR4’は同一でも異なっていてもよい。)で表わされるマグネシウム化合物である。
式 R4MgXで表わされるグリニャール化合物としては、例えば、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムアイオダイド、プロピルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、sec−ブチルマグネシウムクロリド、sec−ブチルマグネシウムブロミド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムブロミド、アミルマグネシウムクロリド、iso−アミルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド等が挙げられる。
式 R44’Mgで表されるマグネシウム化合物としては、例えば、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジ−iso−プロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジ−sec−ブチルマグネシウム、ジ−tert−ブチルマグネシウム、ブチル−sec−ブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物(C)は、少なくとも分子内に1個のAl−炭素結合を有する化合物である。
有機アルミニウム化合物(C)としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハライド、ジイソブチルアルミニウムハライド等のジアルキルアルミニウムハライド、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、テトラエチルジアルモキサン、テトラブチルジアルモキサン等のアルキルアルモキサンが挙げられる。
好ましくは、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、アルキルアルモキサンであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロリドの混合物およびテトラエチルジアルモキサンである。
有機アルミニウム化合物(C)の使用量は、通常、固体触媒成分(B)に含有されるチタン原子1モル当り1〜1000モルであり、好ましくは5〜600モルである。
電子供与体(D)としては、例えば、式 R5 cSi(OR64-c(式中、R5は炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子、R6は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R5およびR6は、それぞれ同一分子内に異なった置換基を有していても良く、cは0≦c≦3である)で表されるケイ素化合物が挙げられる。
式 R5 cSi(OR64-cで表されるケイ素化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ブチルメチルジメトキシシラン、ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルエチルジメトキシシラン、ドデシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチル−tert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−tert−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルイソブチルジメトキシシラン、フェニル−tert−ブチルジメトキシシラン、フェニルシクロペンチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ブチルメチルジエトキシシラン、ブチルエチルジエトキシシラン、tert−ブチルメチルジエトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、ヘキシルエチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン等が挙げられる。
本発明の第1工程は、少なくとも一段の重合によって、プロピレン単独重合体または、エチレンとプロピレンの混合物を重合して得られるエチレンの含有量が3重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(I)50〜95重量%を得る工程である。(ただし、第1工程で得られる単独重合体または共重合体(I)の重量と第2工程で得られる共重合体(II)の重量の合計を100重量%とする。また、共重合体(I)に含有されるエチレンの重量とプロピレンの重量の合計を100重量%とする。)
エチレンとプロピレンの混合物を重合して得られるエチレン−プロピレン共重合体(I)に含有されるエチレンの含有量として、好ましくは、1.5重量%以下である。
第1工程で得られるエチレン−プロピレン共重合体(I)の含有量として、好ましくは、60〜90重量%である。
第1工程において、固体触媒成分(B)と有機アルミニウム化合物(C)が、または、固体触媒成分(B)と有機アルミニウム化合物(C)と電子供与体(D)が、重合系に供給される。固体触媒成分(B)、有機アルミニウム化合物(C)、または電子供与体(D)の各成分はそれぞれ別個に重合系に供給されても良く、予め、任意の2成分、または3成分が予備混合された後に、重合系に供給されても良い。
固体触媒成分(B)の使用量は、Ti原子換算で重合量1kg当たり、通常、0.005〜5gであり、好ましくは0.01〜2gである。
有機アルミニウム化合物(C)の使用量は、固体触媒成分(B)に含有されているチタンに対する有機アルミニウム化合物(C)に含有されるアルミニウムのモル比(Al/Ti(モル/モル))で、通常、1〜1000であり、好ましくは5〜600である。
電子供与体(D)の使用量は、固体触媒成分(B)に含有されているチタンに対する電子供与体(D)のモル比((D)/Ti(モル/モル))で、通常、0.05〜500であり、好ましくは1〜200である。
第1工程の重合温度は、通常、20〜200℃であり、好ましくは50〜90℃である。
重合圧力は、通常、0.6〜10MPaであり、好ましくは1.0〜5.0MPaである。
第1工程は、少なくとも2段階に分けて行ってもよく、その際の各段階の重合条件は異なってもよい。また、第1工程で得られる重合体の極限粘度(〔η〕)は、H2を適宜、供給することによって、調整することができる。
本発明の第2工程は、少なくとも一段の重合によって、エチレンとプロピレンの混合物を重合して得られるエチレンの含有量が少なくとも20重量%であるエチレン−プロピレン共重合体(II)5〜50重量%を得る工程である。(ただし、第1工程で得られる単独重合体または共重合体(I)の重量と第2工程で得られる共重合体(II)の重量の合計を100重量%とする。また、共重合体(II)に含有されるエチレンの重量とプロピレンの重量の合計を100重量%とする。)
第2工程で得られるエチレン−プロピレン共重合体(II)の含有量として、好ましくは、10〜40重量%である。
第2工程の重合温度は、通常、20〜120℃であり、好ましくは50〜90℃である。重合圧力は、通常、0.6〜5MPaであり、好ましくは0.8〜2.0MPaである。
第2工程で得られるエチレン−プロピレン共重合体(II)の135℃デカリン中で測定される極限粘度(〔η〕)は、通常、0.5〜7dl/gであり、好ましくは1〜4dl/gである。共重合体(II)の極限粘度(〔η〕)は、H2を用いて制御される。
第2工程も、少なくとも2段階に分けて行ってもよく、その際の各段階の重合条件は異なってもよい。
本発明の第3工程は、第2工程で得られたエチレン−プロピレンブロック共重合体を、配管を介してホッパーへ抜出す工程であって、該配管へ、酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加して抜出す工程である。
第3工程で用いられる配管として、好ましくは、径が100mm以下で長さが2m以上の配管である。
エチレン−プロピレンブロック共重合体が抜出される第2工程の重合槽の圧力とホッパーの圧力の差が大きい方が好ましく、第2工程の重合槽の圧力とホッパーの圧力の差として、好ましくは、0.5MPa以上である。
ホッパーの圧力は、通常、大気圧〜0.3MPaであり、ホッパーの温度は、通常、20〜120℃であり、好ましくは50〜90℃である。
酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種は、第3工程だけに添加しても良く、第2工程および第3工程の両方に添加しても良い。
第3工程で用いられる酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加量として、好ましくは、エチレン−プロピレンブロック共重合体に含有されるアルミニウム原子の含有量に対して、モル比で10-4〜10(酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種/アルミニウム原子(モル/モル))である。
以下、実施例、参考例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明する。
参考例
(a)有機マグネシウム化合物の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計を備えた1Lのフラスコをアルゴンで置換した後、グリニヤール用削状マグネシウム32.0gを投入した。滴下ロートにブチルクロリド120gとジブチルエーテル500mlを仕込み、フラスコ中のマグネシウムに約30ml滴下し、反応を開始させた。反応開始後、50℃で4時間かけて滴下を続け、滴下終了後、60℃で更に1時間反応を続けた。その後、反応溶液を室温に冷却し、固形分を濾別した。ジブチルエーテル中のブチルマグネシウムクロリドを1規定硫酸で加水分解し、指示薬としてフェノールフタレインを使用して1規定水酸化ナトリウム水溶液で逆滴定して濃度を決定したところ、濃度は2.1mol/Lであった。
(b)固体生成物の合成
撹拌機、滴下ロートを備えた500mlのフラスコをアルゴンで置換したのち、ヘキサン240ml、テトラブトキシチタン5.4g(15.8mmol)およびテトラエトキシシラン61.4g(295mmol)を投入し、均一溶液とした。次に、(a)で合成した有機マグネシウム化合物150mlを、フラスコ内の温度を5℃に保ちながら、滴下ロートから4時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、室温で更に1時間撹拌したのち室温で固液分離し、ヘキサン240mlで3回洗浄を繰り返したのち減圧乾燥して、茶褐色の固体生成物45.0gを得た。固体生成物中にはチタン原子が1.7重量%、エトキシ基が33.8重量%、ブトキシ基が2.9重量%含有されていた。又、この固体生成物のCu−Ka線による広角X線回折図には、明瞭な回折ピークは全く認められず、非晶構造であった。
(c)エステル処理固体の合成
100mlのフラスコをアルゴンで置換した後、(b)で合成した固体生成物6.5g、トルエン16.2mlおよびフタル酸ジイソブチル4.3ml(16mmol)を加え、95℃で1時間反応を行った。反応後、固液分離し、トルエン33mlで3回洗浄を行った。
(d)固体触媒の合成(活性化処理)
上記(c)での洗浄終了後、フラスコにトルエン16.2ml、フタル酸ジイソブチル0.36ml(1.3mmol)、ブチルエーテル2.2ml(13mmol)および四塩化チタン38.0ml(346mmol)を加え、95℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃で固液分離した後、同温度でトルエン33mlで2回洗浄を行った。上述したフタル酸ジイソブチルとブチルエーテル及び四塩化チタンとの混合物による処理を同一条件で更にもう一度繰り返し、ヘキサン33mlで3回洗浄して、黄土色の固体触媒5.0gを得た。固体触媒中には、チタン原子が2.1重量%、マグネシウム原子が19.9重量%、フタル酸エステルが12.7重量%含まれていた。
実施例
(a)触媒成分
十分に精製したヘキサンを撹拌機付反応器に添加し、系内を十分チッソ置換したのち、トリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)0.25mol、および参考例(d)で得られる固体触媒をTi原子に換算して5.0g添加する。15℃を維持しながらプロピレン88gを2時間にわたって連続的に添加した。
(b)重合
直列の気相重合槽3槽、抜き出し配管、ホッパーからなる装置を用いた。3槽をそれぞれX、Y、Z槽とする。
〔第1工程〕
X、Y槽でプロピレンの単独重合を行う。圧力はX槽2.2MPa、Y槽1.8MPa、温度はX、Y槽共に80℃で重合を行った。反応時間はX、Y槽の合計した平均の滞留時間4時間となるように(a)で調製した触媒成分をヘキサンで希釈して、Tiに換算して2.1mmol/hrで連続的にX槽に供給した。同時にX槽にTEA4.2mmol/hr、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下CHEDMSと略す)0.4mmol/hr供給し、さらにX、Y槽での水素濃度が6%になるように水素を連続的に供給した。
〔第2工程〕
Y槽から抜き出した重合体をZ槽に移送し圧力1.3MPa、温度70℃、滞留時間1時間でプロピレンとエチレンを重合した。エチレン濃度は27%、水素濃度が2%になるようにエチレン、プロピレン、水素を供給した。重合体の粘着を低下させるため、酸素を、重合体中のアルミニウムとのモル比が0.4mmol−酸素/mol−Alとなるように添加した。また、テトラエトキシシラン(以下TESと略す)を、重合体中のアルミニウムとのモル比が0.1mol−TES/mol−Alとなるように添加した。
〔第3工程〕
抜き出し配管に酸素を、重合体中のアルミニウムとのモル比が0.005mol−酸素/mol−Alとなるように連続的に添加した。Z槽での重合量は得られたエチレン−プロピレンブロック共重合体全体量に対して20wt%であった。触媒の活性は40000g−PP/mmolTiであった。25日間の連続運転を行い、抜き出し配管の抜き出し能力低下、閉塞が発生すること無く、安定的に運転できた。
比較例1
抜き出し配管に酸素を供給しないこと以外は、実施例1と同様にして重合した。運転開始から12日目に、Z槽からの重合体の抜き出し効率が低下し、運転を停止した。開放点検の結果、抜き出し配管に重合体が付着し、有効な管径が約50%に減少していた。
比較例2
抜き出し配管に酸素を添加しないこと、Z槽にTESを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして重合した。運転開始から5日目に、Z槽からの重合体の抜き出し効率が低下し、運転を停止した。開放点検の結果、抜き出し配管に重合体が付着し、有効な管径が約50%に減少していた。

Claims (3)

  1. 立体規則性重合触媒と有機アルミニウムを用いるエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法であって、
    下記の第1工程と、下記の第2工程と、
    第2工程で得られたエチレン−プロピレンブロック共重合体を、配管を介してホッパーへ抜出す工程であって、該配管へ、酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加して抜出す第3工程とを、
    有するエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法。
    第1工程:
    少なくとも一段の重合によって、プロピレン単独重合体または、エチレンとプロピレンの混合物を重合して得られるエチレンの含有量が3重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(I)50〜95重量%を得る工程
    第2工程:
    少なくとも一段の重合によって、エチレンとプロピレンの混合物を重合して得られるエチレンの含有量が少なくとも20重量%であるエチレン−プロピレン共重合体(II)5〜50重量%を得る工程
    (ただし、第1工程で得られる単独重合体または共重合体(I)の重量と第2工程で得られる共重合体(II)の重量の合計を100重量%とする。また、共重合体(I)に含有されるエチレンの重量とプロピレンの重量の合計を100重量%とし、そして、共重合体(II)に含有されるエチレンの重量とプロピレンの重量の合計を100重量%とする。)
  2. 酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を第2工程、および、第3工程で添加する請求項1に記載のエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法。
  3. 第3工程で添加される酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加量が、エチレン−プロピレンブロック共重合体に含有されるアルミニウム原子の含有量に対して、モル比で10-4〜10(酸素、一酸化炭素および二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種/アルミニウム原子(モル/モル))である請求項1または2に記載のエチレン−プロピレンブロック共重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013209635A (ja) * 2012-02-28 2013-10-10 Sumitomo Chemical Co Ltd ポリプロピレン系樹脂、それからなるフィルムおよびポリプロピレン系樹脂の製造方法

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