JP2006123200A - インクジェット記録装置及び印刷制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色再現性を低下させることなく、同一色相の濃インク及び淡インクについてそれらのインク切れをほぼ同時期の発生させることができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】各インクタンクに設けられたEEPROM51,52,・・・,56にはインク残量データが記憶されている。CPU17は、ホストコンピュータ100から画像データが送られたときに、同一色相の濃インク及び淡インクについて、当該濃インクの残量と当該淡インクの残量とを比較し、その比較結果に基づいて、RAM14に記憶されている複数の出力γ補正LUTの中から、当該濃インクの残量と当該淡インクの残量との差を小さくすることができるような出力γ補正LUTを選択し、その選択した出力γ補正LUTを用いて当該画像データに出力γ補正処理を施す。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の記録ヘッドと複数の記録ヘッドの各々にインクを供給する複数のインクタンクとを備えるインクジェット記録装置、及びそのインクジェット記録装置における印刷制御方法に関する。
従来、インクジェット記録装置としては、色の原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色と単体の黒(K)との合計4色のインクを使用するものが一般的であった。しかし、最近では、色の階調表現をよくするために、同一色相の濃インク及び淡インクを少なくとも一組有するインクジェット記録装置が増えてきている。例えば、Y、M、C、Kの4色のインクに、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)の淡色系のインクを加えた、合計6色のインクが用いられている。かかる6色のインクを有するインクジェット記録装置では、例えば、画像の記録に必要な階調数に応じて、濃インクの記録ヘッドによる記録、濃インクの記録ヘッドと淡インクの記録ヘッドによる記録、淡インクの記録ヘッドによる記録のうちいずれかの方法により記録を行うことにより、高い階調性の再現が可能である(例えば、特許文献1参照。)。
特開平4−216081号公報
しかし、従来のインクジェット記録装置では、Cのインク及びLCのインク、Mのインク及びLMのインクはそれぞれ、同一色相の濃インク及び淡インクであるにもかかわらず、ほぼ同時期になくなることはほとんどない。例えば、LCのインクがなくなってしまい、LCインクのインクタンクを新たに購入して、そのインクタンクの交換作業を行った直後に、Cのインクがなくなってしまうことがある。この場合、ユーザは、Cインクのインクタンクを購入し、再度、そのインクタンクの交換作業を行わなければならず、非常に煩わしいという問題があった。
尚、LCインクのインクタンクとともにCインクのインクタンクをも一緒に交換することにより、インクタンクの交換作業を行う回数を減らすことが可能であるが、CインクのインクタンクにはCのインクがまだ残っているため、インクの無駄が発生してしまう。また、同一色相の濃インク及び淡インクについては、それらのインク残量に基づいて、単純にそれらのインクの吐出量を変化させれば、濃インクと淡インクとがほぼ同時期になくなるようにすることが可能である。しかし、これでは、本来の色を再現することができなくなってしまうという別の問題が生じる。
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、色再現性を低下させることなく、同一色相の濃インク及び淡インクについてそれらのインク切れをほぼ同時期の発生させることができるインクジェット記録装置及びインクジェット記録装置における印刷制御方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、インクを吐出して画像を記録する複数の記録ヘッドと、前記複数の記録ヘッドの各々にインクを供給する複数のインクタンクとを備えるインクジェット記録装置において、前記各インクタンクのインク残量を記憶する記憶手段と、前記各インクタンクについて、今回の画像記録時におけるインク消費量を算出する消費量算出手段と、前記消費量算出手段によって算出された結果に基づいて前記記憶手段に記憶されている前記各インクタンクについてのインク残量を更新するデータ更新手段と、前記複数のインクタンクのうち、所定の第一のインクタンクについてのインク残量と所定の第二のインクタンクについてのインク残量との差分を演算する演算手段と、前記演算手段による演算の結果に基づいて当該差分が所定値を超えていると判断した場合に、前記第一のインクタンクに対応する前記記録ヘッドと前記第二のインクタンクに対応する前記記録ヘッドとで記録する記録データを、当該差分が前記所定値以内となるように変更する記録データ変更手段と、を具備することを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置において、前記第一のインクタンク及び前記第二のインクタンクは同一色相のインクを収容するものであることを特徴とするものである。
上記の目的を達成するための請求項3記載の発明は、入力画像データに対してγ補正処理、色変換処理、2値化処理を施すことにより複数の記録ヘッドの各々を制御するための記録データを作成する工程と、その作成した前記記録データを、前記複数の記録ヘッドと前記複数の記録ヘッドの各々にインクを供給する複数のインクタンクとを有する記録部に転送する工程とを備えるインクジェット記録装置における印刷制御方法において、前記γ補正処理の際に使用される複数のLUT(Look Up Table)が備えられており、前記複数のインクタンクのうち、所定の第一のインクタンクについてのインク残量と所定の第二のインクタンクについてのインク残量との差分を求め、その求めた結果に基づいて当該差分が所定値を超えている場合に、当該差分が前記所定値以内となるように作用する前記LUTを選択するLUT選択工程を具備することを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の印刷制御方法において、前記第一のインクタンク及び前記第二のインクタンクは同一色相のインクを収容するものであることを特徴とするものである。
請求項1記載の発明では、演算手段が、複数のインクタンクのうち、所定の第一のインクタンクについてのインク残量と所定の第二のインクタンクについてのインク残量との差分を演算し、記録データ変更手段が、演算手段による演算の結果に基づいて当該差分が所定値を超えていると判断した場合に、第一のインクタンクに対応する記録ヘッドと第二のインクタンクに対応する記録ヘッドとで記録する記録データを、当該差分が所定値以内となるように変更する。このため、例えば、第一のインクタンク及び第二のインクタンクがそれぞれ、同一色相の濃インク、淡インクを収容するものである場合には、かかる同一色相の濃インク及び淡インクについては、それらのインクの消費量を調整して、それらのインク切れをほぼ同時期に発生させることができる。したがって、同一色相の濃インク及び淡インクを収容する二つのインクタンクの交換作業を同時に行うことができるので、インクタンクの交換作業を行う回数を減らすことができる。
請求項3記載の発明では、LUT選択工程において、γ補正処理の際に使用される複数のLUT(Look Up Table)が備えられており、複数のインクタンクのうち、所定の第一のインクタンクについてのインク残量と所定の第二のインクタンクについてのインク残量との差分を求め、その求めた結果に基づいて当該差分が所定値を超えている場合に、γ補正処理の際に使用される複数のLUT(Look Up Table)のうち、当該差分が所定値以内となるように作用するLUTを選択する。そして、その選択されたLUTを用いて、入力画像データにγ補正処理が施される。このため、例えば、第一のインクタンク及び第二のインクタンクがそれぞれ、同一色相の濃インク、淡インクを収容するものである場合には、かかる同一色相の濃インク及び淡インクについては、それらのインクの消費量を調整して、それらのインク切れをほぼ同時期に発生させることができる。したがって、同一色相の濃インク及び淡インクを収容する二つのインクタンクの交換作業を同時に行うことができるので、インクタンクの交換作業を行う回数を減らすことができる。また、同一色相の濃インク色及び淡インク色についてそれらのインクの消費量を調整するためのLUTとして、入力画像データにγ補正処理を施す際に使用されるLUTを用いることにより、色再現能力が低下することはなく、高い印字品質を保つことができる。
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態であるインクジェット記録装置の概略ブロック図である。
本実施形態のインクジェット記録装置は、図1に示すように、制御ユニット部10と、キャリッジ(不図示)と、記録ヘッド部(記録部)40と、キャリッジモータ71と、キャッピングモータ72と、搬送モータ73と、操作部81と、媒体先端検知センサ82とを備える。
記録媒体は、インクジェット記録装置のプラテン(不図示)上に載置される。この記録媒体は、搬送モータ73により所定の方向(媒体送り方向)に沿って搬送されて、プラテン上を移動する。また、キャリッジは、キャリッジモータ71によって、プラテンの上方において、媒体送り方向と直交する方向に沿って往復移動することができる。このキャリッジには、記録ヘッド部40が搭載されている。
記録ヘッド部40は、シアン(C)色のインクを吐出する記録ヘッド41と、マゼンタ(M)色のインクを吐出する記録ヘッド42と、イエロー(Y)色のインクを吐出する記録ヘッド43と、黒(K)色のインクを吐出する記録ヘッド44と、ライトシアン(LC)色のインクを吐出する記録ヘッド45と、ライトマゼンタ(LM)色のインクを吐出する記録ヘッド46とを有している。ここで、Cは濃いシアン、LCは淡いシアンであり、また、Mは濃いマゼンタ、LMは淡いマゼンタである。すなわち、本実施形態のインクジェット記録装置は、6色のインクを有するものであり、それらのインクには、二組の同一色相の濃インク及び淡インク、すなわち、Cのインク及びLCのインク、Mのインク及びLMのインクが含まれている。
各記録ヘッド41,42,・・・,46は、キャリッジ移動方向に沿って並べて配置される。各記録ヘッド41,42,・・・,46に対応する記録ヘッド部40の位置には、当該記録ヘッドに供給するインクを収容するインクタンクが取り付けられている。ここでは、各記録ヘッド41,42,・・・,46として、インクタンクが当該記録ヘッドに着脱可能に構成された分離タイプのものを使用している。このため、インクがなくなったときには、そのインクタンクだけを交換すればよい。また、各記録ヘッド41,42,・・・,46は、多数のインク吐出口(ノズル)を有している。これらのノズルは、媒体送り方向に沿って直線状に配列されている。
また、キャッピングモータ72は、各記録ヘッド41,42,・・・,46の待機中に、キャップ機構(不図示)により各記録ヘッド41,42,・・・,46を密閉キャップする場合や、記録動作時にキャップを解除する場合に、キャップ機構を上下方向に微動させるためのものである。また、インクジェット記録装置では、記録ヘッド41,42,・・・,46の健全な記録性能を維持、又は回復させるために回復動作が行われる。この回復動作においては、図示しない吸引ポンプにより、記録ヘッド41,42,・・・,46内のインクを各ノズルから強制的に吸引、排出させる。キャッピングモータ72は、この吸引ポンプの駆動源としても使用される。
操作部81には、電源ON/OFFを切り替えるための電源スイッチ、ONLINE/OFFLINEを切り替えるためのスイッチ、表示部等が設けられている。この表示部は、LCDやLEDにより構成されており、具体的には、インクジェット記録装置の状態、インクタンクの交換要求などを表示する。
媒体先端検知センサ82は、記録媒体の先端を検知するものである。媒体先端検知センサ82からの信号は制御ユニット部10に送られる。制御ユニット部10は、かかる信号に基づいて搬送モータ73を制御することにより、記録媒体を所定の位置で停止させることができる。
制御ユニット部10は、図1に示すように、インタフェース11と、VRAM12と、メモリコントローラ13と、RAM14と、ROM15と、EEPROM16と、CPU17と、記録ヘッド制御回路18と、I/Oポート21と、駆動部22とを備える。
この制御ユニット部10には、ホストコンピュータ100からインタフェース11を介してデータが送信される。いま、ホストコンピュータ100が制御ユニット部10に送信するデータの内容を説明する。図2はホストコンピュータ100が制御ユニット部10に送信するデータのフォーマットを説明するための図である。かかるデータは、LUT(Look Up Table)データと、画像データとからなる。LUTデータは、CPU17が画像処理を行う際に用いられるのものであり、各種のLUTが含まれる。具体的には、入力γ補正処理を行う際に用いられる入力γ補正LUTと、色変換処理を行う際に用いられる色変換LUTと、出力γ補正処理を行う際に用いられる9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)と、解像度変換処理を行う際に用いられる解像度変換LUTと、2値化処理を行う際に用いられる2値化LUTとが含まれる。これらのLUTは、いわゆる画処理テーブル、すなわちデータの変換テーブルである。また、画像データには、各種のヘッダー情報と、実画像データとが含まれる。具体的に、ヘッダー情報には、記録媒体のサイズを指示する媒体サイズヘッダー情報、記録モードを指示する記録モードヘッダー情報、カット種別を指示するカット種別ヘッダー情報、インク乾燥を指示するインク乾燥ヘッダー情報等が含まれている。実画像データは、赤(R),緑(G),青(B)各8ビットの画像データである。ホストコンピュータ100は、LUTデータの後に画像データを付加したデータを作成し、その作成したデータを制御ユニット部10に送信する。
RAM14は、受信バッファや作業エリアとして使用されるメモリである。例えば、RAM14には、ホストコンピュータ100から送られたLUTデータ及び画像データが記憶される。ROM15には、CPU17により実行される各種のプログラム等が格納されている。VRAM12は、CPU17がホストコンピュータ100から送られた画像データに画像処理を施すことにより得られた2値画像データを一時記憶するものである。メモリコントローラ13は、CPU17からの指示に従って、ホストコンピュータ100から送られたデータをRAM14に記憶したり、VRAM12に記憶された2値画像データを記録ヘッド制御回路18に送出したりするものである。
CPU17は、インクジェット記録装置の各部の制御を統括するものである。例えば、CPU17は、ホストコンピュータ100から送られたデータの受信処理、その受信したデータに含まれる画像データを、各記録ヘッド41,42,・・・,46のインク吐出を制御するための2値画像データ(記録データ)に変換する画像処理を行う。この画像処理においては、具体的に、入力γ補正処理、色変換処理、出力γ補正処理、解像度変換処理、2値化処理の各処理が行われる。また、かかる2値画像データは、C,M,Y,K,LC,LMの各インク色毎に作成され、VRAM12上にビットマップ展開される。
また、CPU17は、記録媒体の搬送制御のための信号を駆動部22に送る。これにより、駆動部22は搬送モータ73を駆動し、記録媒体が媒体送り方向に沿って移動することになる。更に、CPU17は、キャリッジの移動制御のための信号を駆動部22に送る。これにより、駆動部22はキャリッジモータ71を駆動し、キャリッジが媒体送り方向と直交する方向に沿って移動することになる。
また、CPU17は、メモリコントローラ13を制御することによりVRAM12に記憶された2値画像データを記録ヘッド制御回路18に送る。記録ヘッド制御回路18が各記録ヘッド41,42,・・・,46に2値画像データを送ると、各記録ヘッド41,42,・・・,46のノズルからインク滴が吐出する。
CPU17は、駆動部22及びメモリコントローラ13を所定のタイミングで制御することにより、画像の記録処理を実行する。具体的に、CPU17は、まず、2値画像データをVRAM12上にビットマップ展開する旨の指示を、メモリコントローラ13に送る。これにより、VRAM12上には2値画像データがビットマップ展開される。そして、CPU17は、VRAM12上に所定量の2値画像データが揃ったときに、駆動部22を介して搬送モータ73を駆動させることにより記録媒体を搬送し、その後、I/Oポート21を介して媒体先端検知センサ82から記録媒体の先端を検知した旨の信号を受けとったときに、搬送モータ73の駆動を停止させる。これにより、記録媒体は所定の位置に停止する。次に、CPU17は、駆動部22を介してキャリッジモータ71を駆動させることにより、キャリッジを移動する。このとき、CPU17は、メモリコントローラ13を制御し、キャリッジの移動に同期させて、VRAM12、メモリコントローラ13、記録ヘッド制御回路18を介して2値画像データを各記録ヘッド41,42,・・・,46に転送する。これにより、各記録ヘッド41,42,・・・,46のノズルからインク滴が吐出し、記録媒体には一ライン分の画像が記録される。次に、CPU17は、キャリッジの動作を制御して、キャリッジの位置を所定の退避位置に戻すと共に、その間に、記録媒体を一ライン分だけ搬送させる。かかるインクを吐出する動作と記録媒体を搬送する動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体には画像全体が記録される。
本実施形態では、6個のインクタンクにそれぞれ、EEPROM51,52,・・・,56が設けられている。具体的に、Cのインクを収容するインクタンクにはEEPROM51が、Mのインクを収容するインクタンクにはEEPROM52が、Yのインクを収容するインクタンクにはEEPROM53が、Kのインクを収容するインクタンクにはEEPROM54が、LCのインクを収容するインクタンクにはEEPROM55が、そして、LMのインクを収容するインクタンクにはEEPROM56が設けられている。かかるEEPROM51,52,・・・,56は、本発明の記憶手段に該当する。各EEPROM51,52,・・・,56には、当該インクタンクの識別情報、製造された時期、及びインク残量データ等が記憶されている。インク残量データは、当該インクタンクに残存しているインク量を示すものであり、その内容は、CPU17によって適宜書き換えられる。例えば、インク残量データは一回の記録処理が終了する度に更新される。したがって、各EEPROM51,52,・・・,56に記憶されているインク残量データは、前回の記録処理の終了時点における当該インクの残量を示している。
具体的に、CPU17は各インクタンクのインク残量を次にようにして算出している。すなわち、記録ヘッド制御回路18には、各インク色のインクについて、一回の記録処理でインク滴を吐出した回数を計数するドットカウンタが設けられている。CPU17は、一回の記録処理が終了した後に、各インク色のインクについてのドットカウンタの計数値に基づいて、今回の記録処理時における当該インクの消費量を算出する。そして、前回の記録処理の終了時点における当該インクのインク残量から、その算出した当該インクの消費量を減算することにより、今回の記録動作を行った後の時点における当該インクのインク残量を求めることができる。こうして求められた各インク色のインクについてのインク残量はそれぞれ、当該インクを収容するインクタンクに対応するEEPROM51,52,・・・,56に記憶される。かかるインク消費量を算出する機能を有するCPU17は、本発明の消費量算出手段に該当し、また、その算出された結果に基づいて各EEPROM51,52,・・・,56に記憶されているインク残量データを更新する機能を有するCPU17は、本発明のデータ更新手段に該当する。
また、制御ユニット部10にも、EEPROM16が設けられている。このEEPROM16には、六個のインクタンクに設けられたEEPROM51,52,・・・,56に記憶されているデータをコピーしたデータ、或いはかかるデータをより詳細に分析したデータが記憶されている。このEEPROM16としては、各インクタンクに設けられたEEPROM51,52,・・・,56に比べて大容量の記憶素子が使用される。尚、EEPROM16には、各記録ヘッド相互の微小記録位置調整のための補正値(レジストレーション値)等、インクジェット記録装置に固有のパラメータも保存される。
このように、本実施形態では、各インクタンクに設けられたEEPROM51,52,・・・,56に記憶されているデータの内容とほぼ同じ内容のデータを記憶するEEPROM16を制御ユニット部10に設けたことにより、CPU17は、各インクタンクに設けられたEEPROM51,52,・・・,56に記憶されているデータの内容と、EEPROM16に記憶されているデータの内容とを比較することにより、インクタンクが交換されたか否かを容易に判断することができる。例えば、かかる内容が一致しなければ、当該インクタンクが交換されて別のインクタンクが装着されていると認識することができる。
また、CPU17は、ホストコンピュータ100のプリンタドライバから、インク残量を送信する旨の要求があったときには、EEPROM16から各インクタンクのインク残量データを直ちに読み出し、インタフェース11を介してホストコンピュータ100に送信する。
次に、CPU17が行う画像処理の内容について詳しく説明する。上述したように、かかる画像処理では、入力γ補正処理、色変換処理、出力γ補正処理、解像度変換処理、2値化処理がこの順番で行われる。
まず、入力γ補正処理について説明する。図3は入力γ補正処理の内容を説明するための図である。入力γ補正処理は、図3に示すように、ホストコンピュータ100から送られたR,G,B各8ビットの画像データをR,G,B各10ビットの画像データに変換する処理である。この入力γ補正処理は、ホストコンピュータ100から画像データとともに送られた入力γ補正LUTを使用して行われる。入力γ補正LUTは、R,G,Bの各画像データ毎に定められた、専用の一次元入力γ補正LUTから構成される。R,G,B各8ビットの画像データはそれぞれ、専用の一次元入力γ補正LUTに基づいて、10ビットの画像データに変換される。ここで、入力γ補正LUTは、記録モード、記録媒体の種類毎に異なっている。
尚、ホストコンピュータ100が入力γ補正処理を行うことも可能であるが、画像データの転送時に8ビットの画像データに落ちてしまい、γ処理による量子化誤差が無視できなくなってしまうことを考慮すると、制御ユニット部10のCPU17が入力γ補正処理を行うことが望ましい。
図4は色変換処理の内容を説明するための図である。この色変換処理は、図4に示すように、R,G,B各10ビットの画像データを、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データに変換する処理である。この色変換処理は、ホストコンピュータ100から画像データとともに送られた色変換LUTを使用して行われる。具体的に、色変換処理は、三次元補間方法により行われる。ここでは、三次元補間方法として四面体補間を用いている。そして、R,G,B各グリッドの格子点数は16点としている。
尚、通常、ホストコンピュータ100でも色変換処理が行われる。これは前段色変換処理と称される。これに対し、上記のCPU17が行う色変換処理は後段色変換処理とも称される。本実施形態において、ホストコンピュータ100が、前段色変換LUTと後段色変換LUTとを合成した色変換LUTを制御ユニット部10に送信するようにしてもよい。これにより、制御ユニット部10のCPU17は、入力γ補正処理、前段色変換処理、後段色変換処理、出力γ補正処理、解像度変換処理、2値化処理という一連の画像処理を10ビット精度で実行することができる。
図5は出力γ補正処理の内容を説明するための図である。この出力γ補正処理は、図5に示すように、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データについての出力γ補正を行う処理である。出力γ補正の役割は、C,M,Y,K,LC,LMの各インク色の濃度特性を、所望の特性に変更することである。これにより、例えば、記録媒体に画像を形成したときに、自然な色の再現性が得られる。この出力γ補正処理は、ホストコンピュータ100から画像データとともに送られた出力γ補正LUTを使用して行われる。出力γ補正LUTは、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データ毎に定められた、専用の一次元出力γ補正LUTから構成される。CPU17は、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データをそれぞれ、専用の一次元出力γ補正LUTに基づいて変換することにより、所望の出力γ補正が施されたC,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データが得られる。
ところで、本実施形態では、ホストコンピュータ100は、図2に示すように、9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)を画像データとともに制御ユニット部10に送出している。かかる9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)はRAM14に記憶されている。制御ユニット部10のCPU17は、上述した出力γ補正処理を行う前に、9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)の中から一つの出力γ補正LUTを選択し、その選択した出力γ補正LUTを用いて当該画像データに出力γ補正処理を施す。
いま、9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)について説明する。9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)は、同一色相の濃インク色及び淡インク色の消費量が各出力γ補正LUT毎に異なるように設定されたものである。すなわち、各出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)においては、Y,Kの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTの内容は同じであり、C,M,LC,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTの内容が異なっている。このため、どの出力γ補正LUTを用いるかによって、C,M,LC,LMの各インクの消費量が違ってくる。
具体的に、出力γ補正LUT(9)は、標準的に使用されている、C,M,Y,K,LC,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTを含むものである。この出力γ補正LUT(9)を用いると、Cのインク消費量とLCのインク消費量との差、及びMのインク消費量とLMのインク消費量との差がそれぞれあまり大きくなってしまうことはない。出力γ補正LUT(1)は、LCのインク消費がCのインク消費に比べて多くなり、且つ、Mのインク消費がLMのインク消費に比べて多くなるように設定された、C,M,LC,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTを含むものである。出力γ補正LUT(2)は、LCのインク消費がCのインク消費に比べて多くなり、且つ、LMのインク消費がMのインク消費に比べて多くなるように設定された、C,M,LC,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTを含むものである。出力γ補正LUT(3)は、LCのインク消費がCのインク消費に比べて多くなるように設定された、C,LCの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTと、標準的に使用されている、M,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTとを含むものである。出力γ補正LUT(4)は、Cのインク消費がLCのインク消費に比べて多くなり、且つ、Mのインク消費がLMのインク消費に比べて多くなるように設定された、C,M,LC,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTを含むものである。出力γ補正LUT(5)は、Cのインク消費がLCのインク消費に比べて多くなり、且つ、LMのインク消費がMのインク消費に比べて多くなるように設定された、C,M,LC,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTを含むものである。出力γ補正LUT(6)は、Cのインク消費がLCのインク消費に比べて多くなるように設定された、C,LCの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTと、標準的に使用されている、M,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTとを含むものである。出力γ補正LUT(7)は、標準的に使用されている、C,LCの各画像データに対する一元出力γ補正LUTと、Mのインク消費がLMのインク消費に比べて多くなるように設定された、M,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTとを含むものである。そして、出力γ補正LUT(8)は、標準的に使用されている、C,LCの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTと、LMのインク消費がMのインク消費に比べて多くなるように設定された、M,LMの各画像データに対する一次元出力γ補正LUTとを含むものである。
CPU17は、出力γ補正処理を行う前に、その出力γ補正処理において使用する出力γ補正LUTを選択する処理を行う。この出力γ補正LUT選択処理では、CPU17は、まず、Cのインク残量とLCのインク残量とを比較すると共に、Mのインク残量とLMのインク残量とを比較する。具体的には、Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値、Mのインク残量とLMのインク残量との差の絶対値がそれぞれ、所定の基準値(例えば、10ml)よりも大きいかどうかを判断する。ここで、C,M,LC,LMについてのインク残量は、これらのインク色のインクを収容するインクタンクに対応するEEPROM51,52,55,56、あるいはEEPROM16のいずれかからインク残量データを読み出すことにより得られる。尚、かかる同一色相のインクについてその残量の差分を演算する機能を有するCPU17は、本発明の演算手段に該当する。
次に、CPU17は、その比較した結果に基づいて、9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)の中から、同一色相の濃インク及び淡インクについて、当該濃インクの残量と当該淡インクの残量との差を小さくすることができるような出力γ補正LUTを選択する。具体的には、当該濃インクの残量と当該淡インクの残量との差の絶対値が基準値以下であれば、当該濃インクの消費量と当該淡インクの消費量との差があまり大きくならないように設定された標準的な出力γ補正LUTを選択し、当該濃インクの残量と当該淡インクの残量との差の絶対値が基準値より大きければ、残量の多い方のインクの消費量が残量の少ない方のインクの消費量よりも多くなるように設定された出力γ補正LUTを選択する。このように、9種類の出力γ補正LUT(1),(2),・・・,(9)の中から一つの出力γ補正LUTを選択し、その選択した出力γ補正LUTを用いて当該画像データに出力γ補正処理を施すということは、換言すると、同一色相のインクについての残量の差分が基準値を超えている場合に、それらのインクに対応する記録ヘッドで記録するため記録データを、当該差分が基準値以内となるように変更することに他ならない。すなわち、かかる記録データの変更を行う機能を有するCPU17は、本発明の記録データ変更手段に該当する。
本実施形態では、実際に、次のような選択がなされる。図2に示すように、CPU17は、LCのインク残量がCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量がLMのインク残量に比べて10mlよりも多い場合には、出力γ補正LUT(1)を選択する。LCのインク残量がCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、LMのインク残量がMのインク残量に比べて10mlよりも多い場合には、出力γ補正LUT(2)を選択する。LCのインク残量がCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量とLMのインク残量との差の絶対値が10ml以下である場合には、出力γ補正LUT(3)を選択する。Cのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量がLMのインク残量に比べて10mlよりも多い場合には、出力γ補正LUT(4)を選択する。Cのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、LMのインク残量がMのインク残量に比べて10mlよりも多い場合には、出力γ補正LUT(5)を選択する。Cのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量とLMのインク残量との差の絶対値が10ml以下である場合には、出力γ補正LUT(6)を選択する。Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値が10ml以下であり、且つ、Mのインク残量がLMのインク残量に比べて10mlよりも多い場合には、出力γ補正LUT(7)を選択する。Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値が10ml以下であり、且つ、LMのインク残量がMのインク残量に比べて10mlよりも多い場合には、出力γ補正LUT(8)を選択する。そして、Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値が10ml以下であり、且つ、Mのインク残量とLMのインク残量との差の絶対値が10ml以下である場合には、出力γ補正LUT(9)を選択する。
図6は解像度変換処理の内容を説明するための図である。この解像度変換処理は、図6に示すように、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データについての解像度を変換する処理である。例えば、各10ビットの画像データの解像度を、150ppiから300ppiに、300ppiから600ppiに、或いは600ppiから1200ppiに変換することができる。かかる解像度変換を行い、解像度を高めることにより、2値化処理時のサブマトリクスサイズを小さくでき、出力画像の粒状性を向上させることができる。この解像度変換処理は、ホストコンピュータ100から画像データとともに送られた解像度変換LUTを使用して行われる。ここで、この解像度変換処理は、縦横独立に1倍、2倍、4倍をサポートしており、また、解像度変換処理の方法としては単純繰り返しの方法を用いている。図6の例では、300ppi×300ppiの入力データから、600ppi×600ppiの出力データを得る場合を示している。
次に、2値化処理について説明する。この2値化処理は、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データを、C,M,Y,K,LC,LMの各インク色についての2値画像データに階調変換(縮退)する処理である。この2値化処理は、ホストコンピュータ100から画像データとともに送られた2値化LUTを使用して行われる。本実施形態では、2値化処理として、双方向処理の誤差拡散(ED)を行う。ここで、EDの拡散誤差は2値化LUT(ED拡散テーブル)により求められる。また、ED誤差拡散テーブルは各インク色に対して共通である。
双方向処理の誤差拡散についてもう少し詳しく説明する。図7は誤差拡散の処理の内容を説明するための図である。図7に示すように、誤差の拡散範囲を5×2のマトリクス、すなわち同一ライン2画素a,b、下ライン3画素c,d,eとする。発生誤差を10ビット(整数)及び符号とする。その発生誤差10ビット及び符号を、上位8ビット及び符号と、下位2ビット及び符号とに分割し、それぞれ別々に処理する。まず、発生誤差の上位8ビットデータを、ED拡散テーブルに基づいて変換することにより、拡散誤差を求める。その求めた拡散誤差を、周辺画素a,b,c,d,eに拡散する。ここで、注目画素の同一ラインの周辺画素a,bについては、8ビット入力/8ビット出力のED拡散テーブルを用い、注目画素の下ラインの周辺画素c,d,eについては、8ビット入力/7ビット出力のED拡散テーブルを用いている。次に、発生誤差の下位2ビットデータのうち、最下位1ビットに相当する値を注目画素の四つ隣りの画素値yに加算する。また、発生誤差の下位2ビットデータのうち、上位1ビット相当する値を注目画素の三つ隣りの画素値xに加算する。よって、xに加算される値としては、発生誤差が4n(nは整数)のときに「0」、発生誤差が4n+1のときに「0」、発生誤差が4n+2のときに「±2」、そして、発生誤差が4n+3のときに「±2」となる。一方、yに加算される値としては、発生誤差が4nのときに「0」、発生誤差が4n+1のときに「±1」、発生誤差が4n+2のときに「0」、発生誤差が4n+3のときに「±1」となる。ここで、誤差が正の場合、加算値は正値であり、誤差が負の場合、加算値は負値である。
こうして、CPU17がホストコンピュータ100から送られた画像データに画像処理を施すことにより、各記録ヘッド41,42,・・・,46のインク吐出を制御するための、C,M,Y,K,LC,LMの各インク色についての2値画像データが得られる。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置においてホストコンピュータ100からデータを受信してから画像の記録処理を行うまでの一連の処理手順を説明する。図8はデータを受信してから画像の記録処理を行うまでの一連の処理手順を説明するためのフローチャートである。
CPU17は、ホストコンピュータ100からデータが送られてくると、メモリコントローラ13を制御して、そのデータをRAM14に記憶させる(S11)。ここで、そのデータに含まれるLUTデータと画像データとは、RAM14の別の記憶領域に記憶される。
その後、CPU17は、EEPROM16から、同一色相の濃インク色及び淡インク色についてのインク残量データ、すなわち、C,LC,M,LMの各インク色についてのインク残量データを読み出す(S12)。これらの読み出されたインク残量データはRAM14に記憶される。
次に、CPU17は、出力γ補正LUT選択処理を行う(S13)。図9は出力γ補正LUT選択処理の手順を説明するためのフローチャートである。まず、CPU17は、RAM14に記憶されているC,LCの各インク色についてのインク残量データに基づいて、Cのインク残量とLCのインク残量との差を求め、その差の絶対値が所定の基準値、例えば10ml以下であるかどうかを判断する(S31)。Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値が10ml以下であると判断した場合には、CPU17は、RAM14に記憶されているM,LMの各インク色についてのインク残量データに基づいて、Mのインク残量とLMのインク残量との差を求め、その差の絶対値が基準値10ml以下であるかどうかを判断する(S32)。そして、ステップS32における判断が肯定的であれば、CPU17は、Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値が10ml以下であって、且つ、Mのインク残量とLMのインク残量との差の絶対値が10ml以下であることを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(9)を選択する(S33)。
ステップS32における判断が否定的である場合には、CPU17は、Mのインク残量がLMのインク残量よりも少ないかどうかを判断する(S34)。このステップS34における判断が肯定的であれば、CPU17は、Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値が10ml以内であって、且つ、LMのインク残量がMのインク残量に比べて10mlよりも多いことを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(8)を選択する(S35)。一方、ステップS34における判断が否定的であれば、CPU17は、Cのインク残量とLCのインク残量との差の絶対値が10ml以内であって、且つ、Mのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多いことを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(7)を選択する(S36)。
また、ステップS31における判断が否定的である場合には、CPU17は、LCのインク残量がCのインク残量よりも少ないかどうかを判断する(S37)。そして、このステップS37における判断が肯定的である場合、CPU17は、RAM14に記憶されているM,LMの各インク色についてのインク残量データに基づいて、Mのインク残量とLMのインク残量との差を求め、その差の絶対値が基準値10ml以下であるかどうかを判断する(S38)。ステップS38における判断が肯定的であれば、CPU17は、Cのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量とLMのインク残量との差の絶対値が10ml以下であることを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(6)を選択する(S39)。
ステップS38における判断が否定的である場合には、CPU17は、Mのインク残量がLMのインク残量よりも少ないかどうかを判断する(S40)。このステップS40における判断が肯定的であれば、CPU17は、Cのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、LMのインク残量がMのインク残量に比べて10mlよりも多いことを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(5)を選択する(S41)。一方、ステップS40における判断が否定的であれば、CPU17は、Cのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多いことを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(4)を選択する(S42)。
また、ステップS37における判断が否定的である場合には、CPU17は、RAM14に記憶されているM,LMの各インク色についてのインク残量データに基づいて、Mのインク残量とLMのインク残量との差を求め、その差の絶対値が基準値10ml以下であるかどうかを判断する(S43)。そして、ステップS43における判断が肯定的であれば、CPU17は、LCのインク残量がCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量とLMのインク残量との差の絶対値が10ml以下であることを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(3)を選択する(S44)。
ステップS43における判断が否定的である場合には、CPU17は、Mのインク残量がLMのインク残量よりも少ないかどうかを判断する(S45)。このステップS45における判断が肯定的であれば、CPU17は、LCのインク残量がCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、LMのインク残量がMのインク残量に比べて10mlよりも多いことを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(2)を選択する(S46)。一方、ステップS45における判断が否定的であれば、CPU17は、LCのインク残量がCのインク残量に比べて10mlよりも多く、且つ、Mのインク残量がLCのインク残量に比べて10mlよりも多いことを認識し、出力γ補正LUTとして、出力γ補正LUT(1)を選択する(S47)。
こうして一つの出力γ補正LUTが選択されると、CPU17は、ホストコンピュータ100から送られた画像データに画像処理を施す(S14)。図10はその画像処理の手順を説明するためのフローチャートである。
この画像処理は、ホストコンピュータ100から送られたデータに含まれる実画像データに対して行われる。この実画像データは、R,G,B各8ビットの画像データである。CPU17は、図10の処理フローに従って、まず、そのR,G,B各8ビットの画像データに対して入力γ補正処理を行う(S51)。この入力γ補正処理は、ホストコンピュータ100から送られた入力γ補正LUTに基づいて行われ、これにより、R,G,B各8ビットの画像データは、R,G,B各10ビットの画像データに変換される。その後、CPU17は、R,G,B各10ビットの画像データに対して色変換処理を行う(S52)。この色変換処理は、ホストコンピュータ100から送られた色変換LUTに基づいて行われ、これにより、R,G,B各10ビットの画像データは、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データに変換される。
次に、CPU17は、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データに対して出力γ補正処理を行う(S53)。この出力γ補正処理は、図8の処理フローにおけるステップS13の処理、すなわち出力γ補正LUT選択処理によって選択された一つの出力γ補正LUTに基づいて行われる。その後、CPU17は、出力γ補正処理が施されたC,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データに対して解像度変換処理を行う(S54)。この解像度変換処理は、ホストコンピュータ100から送られた解像度変換LUTに基づいて行われる。こうして解像度変換処理が行われた後に、CPU17は、そのC,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データに対して2値化処理を行う(S55)。この2値化処理は、ホストコンピュータ100から送られた2値化LUTに基づいて行われ、これにより、C,M,Y,K,LC,LM各10ビットの画像データからC,M,Y,K,LC,LMの各インク色についての2値画像データが得られる。
次に、CPU17は、かかる画像処理で得られたC,M,Y,K,LC,LMの各インク色についての2値画像データに基づいて画像の記録処理を実行する(S15)。ここで、この記録処理は、ホストコンピュータ100から送られた画像データに含まれる各種のヘッダー情報に従って行われる。CPU17は、画像の記録処理が終了したと判断すると(S16)、インク残量更新処理を行う(S17)。
図11はインク残量更新処理の手順を説明するためのフローチャートである。画像の記録処理が終了すると、CPU17は、まず、6種類のインク色のうち一つのインク色を指定する(S61)。次に、CPU17は、その指定したインク色についてのドットカウンタの計数値を読み出し(S62)、その読み出した計数値に基づいて今回の記録処理において消費したインク量を算出する(S63)。その後、CPU17は、EEPROM16に記憶されている当該インク色についてのインク残量から、ステップS63の処理で求めた当該インク色についてのインク消費量を減算することにより、今回の記録処理の終了時点における当該インク色についてのインク残量を求める(S64)。そして、CPU17は、その求めた当該インク色についてのインク残量を、EEPROM16に書き込むことにより、当該インク色についてのインク残量が更新される(S65)。
その後、CPU17は、ステップS61からステップS65までの処理を、残り5種類の各インク色について行う(S66)。そして、すべてのインク色についてインク残量の更新を行った後、CPU17は、すべてのインク色についてのドットカウンタの計数値をゼロにリセットする(S67)。また、CPU17は、EEPROM16に新たに書き込まれた6種類のインク色についてのインク残量データをそれぞれ、当該インクを収容するインクタンク内に設けられたEEPROM51,52,・・・,56にコピーする(S68)。以上で、インク残量の更新処理が終了し、また、これにより、図8の処理フローが終了する。
また、本実施形態では、制御ユニット部10のCPU17は、ホストコンピュータ100からの要求に応じてインク残量をホストコンピュータ100に送信する処理を行う。図12はインク残量の送信処理の手順を説明するためのフローチャートである。CPU17は、ホストコンピュータ100からインク残量等のステータスを送信する旨の要求を受信すると(S71)、EEPROM16に記憶している各インク色についてのインク残量データを読み出し、一旦RAM14に記憶させる(S72)。次に、CPU17は、インタフェース11を介して、そのRAM14に記憶されている各インク色についてのインク残量データをホストコンピュータ100に送信する(S73)。こうして、ホストコンピュータ100は、インクジェット記録装置から各インク色についてのインク残量に関する情報を得ることができる。
本実施形態のインクジェット記録装置では、CPUは、ホストコンピュータから画像データが送られたときに、その画像データとともに送られた、当該画像データに出力γ補正処理を施す際に使用される9種類の出力γ補正LUTをRAMに一時記憶する。そして、CPUは、同一色相の濃インク及び淡インクについて、当該濃インクの残量と当該淡インクの残量とを比較し、その比較した結果に基づいて、RAMに記憶されている9種類の出力γ補正LUTの中から、当該濃インクの残量と当該淡インクの残量との差を小さくすることができるような出力γ補正LUTを選択し、その選択した出力γ補正LUTを用いて当該画像データに出力γ補正処理を施す。このため、同一色相の濃インク及び淡インクについては、それらのインクの消費量を調整して、それらのインク切れをほぼ同時期に発生させることができる。したがって、同一色相の濃インク及び淡インクを収容する二つのインクタンクの交換作業を同時に行うことができるので、インクタンクの交換作業を行う回数を減らすことができる。このように、本実施形態のインクジェット記録装置は、ユーザにとってとても使い勝手のよいものである。
また、9種類の出力γ補正LUTは、同一色相の濃インク及び淡インクについて当該濃インクの消費量及び当該淡インクの消費量が各出力γ補正LUT毎に異なるように設定されたものであるので、いずれの出力γ補正LUTを用いるかによって、色再現能力が低下してしまうのではないかと思われるかもしれない。しかし、出力γ補正処理は、出力する色を記録媒体の特性に合わせるような補正を行うものであるので、いずれの出力γ補正LUTを用いるかによって、色再現能力が大きな影響を受けることはない。したがって、本実施形態のインクジェット記録装置では、色再現能力が低下することはなく、高い印字品質を保つことができる。但し、出力γ補正LUTではなく、色変換LUTを利用して、同一色相の濃インク及び淡インクについてそれらのインクの消費量を調整することにすると、色再現能力が大きく低下してしまう。この色変換処理はR,G,Bの各画像データをC,M,Y,K,LC,LMの各画像データに変換するものであり、色変換LUTの内容を変更すると、色再現能力が大きな影響を受けてしまうからである。この点で、同一色相の濃インク及び淡インクについてそれらのインクの消費量を調整するための画処理用テーブルとしては、出力γ補正LUTを用いることが望ましい。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。特に、当業者であれば、本発明を構成する各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を案出することが可能であるが、かかる実施形態も本発明の範囲に含まれる。
上記の実施形態では、各記録ヘッドとして、インクを収容するインクタンクが当該記録ヘッドに着脱可能に構成された分離タイプのものを使用した場合について説明したが、各記録ヘッドとしては、インクタンクが一体的に形成された一体型タイプのものを使用してもよい。
また、上記の実施形態では、インクジェット記録装置として、二組の同一色相の濃インク及び淡インク、すなわち濃いシアン及び淡いシアンと、濃いマゼンタ及び淡いマゼンタとを有するものを用いた場合について説明したが、本発明は、同一色相の濃インク及び淡インクを少なくとも一組有するインクジェット記録装置に対して適用することができる。
更に、本発明は、同一色のインクを収容するインクタンクを複数有するインクジェット記録装置に対しても適用することができる。すなわち、この場合には、それら同一色のインクの消費量を調整して、それらのインク切れをほぼ同時期に発生させることにより、同一色のインクを収容する複数のインクタンクの交換作業を同時に行うことができる。
以上説明したように、本発明のインクジェット記録装置によれば、演算手段が、複数のインクタンクのうち、所定の第一のインクタンクについてのインク残量と所定の第二のインクタンクについてのインク残量との差分を演算し、記録データ変更手段が、演算手段による演算の結果に基づいて当該差分が所定値を超えていると判断した場合に、第一のインクタンクに対応する記録ヘッドと第二のインクタンクに対応する記録ヘッドとで記録する記録データを、当該差分が所定値以内となるように変更する。このため、例えば、第一のインクタンク及び第二のインクタンクがそれぞれ、同一色相の濃インク、淡インクを収容するものである場合には、かかる同一色相の濃インク及び淡インクについては、それらのインクの消費量を調整して、それらのインク切れをほぼ同時期に発生させることができる。したがって、同一色相の濃インク及び淡インクを収容する二つのインクタンクの交換作業を同時に行うことができるので、インクタンクの交換作業を行う回数を減らすことができる。したがって、本発明は、例えば、同一色相の濃インク及び淡インクを少なくとも一組有するインクジェット記録装置に適用するのに好適である。
本発明の一実施形態であるインクジェット記録装置の概略ブロック図である。 ホストコンピュータが制御ユニット部に送信するデータのフォーマットを説明するための図である。 入力γ補正処理の内容を説明するための図である。 色変換処理の内容を説明するための図である。 出力γ補正処理の内容を説明するための図である。 解像度変換処理の内容を説明するための図である。 誤差拡散の処理の内容を説明するための図である。 本実施形態のインクジェット記録装置においてデータを受信してから画像の記録処理を行うまでの一連の処理手順を説明するためのフローチャートである。 出力γ補正LUT選択処理の手順を説明するためのフローチャートである。 画像処理の手順を説明するためのフローチャートである。 インク残量更新処理の手順を説明するためのフローチャートである。 インク残量の送信処理の手順を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
10 制御ユニット部、11 インタフェース、12 VRAM、13 メモリコントローラ、14 RAM、15 ROM、16 EEPROM、17 CPU、18 記録ヘッド制御回路、21 I/Oポート、22 駆動部、40 記録ヘッド部、41,42,・・・,46 記録ヘッド、51,52,・・・,56 EEPROM、71 キャリッジモータ、72 キャッピングモータ、73 搬送モータ、81 操作部、82 媒体先端検知センサ


Claims (4)

  1. インクを吐出して画像を記録する複数の記録ヘッドと、前記複数の記録ヘッドの各々にインクを供給する複数のインクタンクとを備えるインクジェット記録装置において、
    前記各インクタンクのインク残量を記憶する記憶手段と、
    前記各インクタンクについて、今回の画像記録時におけるインク消費量を算出する消費量算出手段と、
    前記消費量算出手段によって算出された結果に基づいて前記記憶手段に記憶されている前記各インクタンクについてのインク残量を更新するデータ更新手段と、
    前記複数のインクタンクのうち、所定の第一のインクタンクについてのインク残量と所定の第二のインクタンクについてのインク残量との差分を演算する演算手段と、
    前記演算手段による演算の結果に基づいて当該差分が所定値を超えていると判断した場合に、前記第一のインクタンクに対応する前記記録ヘッドと前記第二のインクタンクに対応する前記記録ヘッドとで記録する記録データを、当該差分が前記所定値以内となるように変更する記録データ変更手段と、
    を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記第一のインクタンク及び前記第二のインクタンクは同一色相のインクを収容するものであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 入力画像データに対してγ補正処理、色変換処理、2値化処理を施すことにより複数の記録ヘッドの各々を制御するための記録データを作成する工程と、その作成した前記記録データを、前記複数の記録ヘッドと前記複数の記録ヘッドの各々にインクを供給する複数のインクタンクとを有する記録部に転送する工程とを備えるインクジェット記録装置における印刷制御方法において、
    前記γ補正処理の際に使用される複数のLUT(Look Up Table)が備えられており、前記複数のインクタンクのうち、所定の第一のインクタンクについてのインク残量と所定の第二のインクタンクについてのインク残量との差分を求め、その求めた結果に基づいて当該差分が所定値を超えている場合に、当該差分が前記所定値以内となるように作用する前記LUTを選択するLUT選択工程を具備することを特徴とする印刷制御方法。
  4. 前記第一のインクタンク及び前記第二のインクタンクは同一色相のインクを収容するものであることを特徴とする請求項3記載の印刷制御方法。


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