JP2006122892A - 重金属類含有水の処理方法及び重金属類含有水の処理装置 - Google Patents

重金属類含有水の処理方法及び重金属類含有水の処理装置 Download PDF

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浩志 林
Hitoshi Takeuchi
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Abstract

【課題】 還元性鉄化合物を用い、セレン等の重金属類を除去する重金属類含有水の処理において、緻密なpH値コントロールを行うことにより、重金属類を還元除去する重金属類含有水の処理方法及び重金属類含有水の処理装置を提供する。
【解決手段】 重金属類含有水に含まれる重金属類を当該重金属類含有水に添加された還元性鉄化合物によって還元することにより形成される澱物を、少なくとも一部返送汚泥として再供給すると共に、上記重金属類含有水中から除去する重金属類含有水の処理装置であって、上記再供給される返送汚泥のpH値を調整する薬剤添加槽(1)と、当該薬剤添加槽の後段に、順次重金属類含有水を供給するように直列的に設けられた上記重金属類を還元する3槽以上の反応槽(2)とを有し、当該薬剤添加槽及び3段目の反応槽に、アルカリ性剤を添加するアルカリ添加装置(23、24)を設けてなる重金属類含有水の処理装置とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸化還元反応を利用して重金属類を含有する排水等から重金属類を除去する重金属類含有水の処理方法及び重金属類含有水の処理装置に関するものである。
近年、特許文献1に示すように、排水に含まれる重金属を還元することにより除去する排水処理方法として、還元剤として第1鉄イオン等を用い、反応槽中の排水に酸又はアルカリ剤を添加して、pH値を一定の範囲にすることにより、重金属を還元して、澱物を形成させて除去する方法が知られている。
しかしながら、重金属を還元して澱物を形成する場合には、上記pH値の範囲が広いことにより、酸化還元反応が阻害されうるという問題がある。
このため、pH値をより狭い範囲でコントロールすることが、酸化還元反応を担保するために要求されている。
ところが、上述の排水処理方法においては、一段の反応槽において酸又はアルカリ剤を添加し、重金属を還元する一段処理法を採用しているため、pH値の変動が大きくなり、pH値をより狭い範囲でコントロールすることが困難であるという問題がある。
特開2001−321781号公報
このため本発明は、上述の還元剤として還元性鉄化合物を用い、セレン等の重金属類を除去する重金属類含有水の処理において、緻密なpH値コントロールを行うことにより、重金属類を還元し、除去作用を促進することができる重金属類含有水の処理方法及び重金属類含有水の処理装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、重金属類含有水に含まれる重金属類を、当該重金属類含有水に添加された還元性鉄化合物によって還元することにより澱物を形成する澱物形成工程と、上記澱物のうち少なくとも一部を、返送汚泥として当該澱物形成工程に再供給する返送汚泥工程とを有し、上記重金属類含有水中から重金属類を除去する重金属類含有水の処理方法であって、上記返送汚泥工程において、第1のアルカリ性剤を添加して、上記澱物のpH値が11〜13になるように調整し、その後、上記澱物形成工程において、当該返送汚泥が再供給された重金属類含有水のpH値が8.5〜11になった段階において、第2のアルカリ性剤を添加してpH値を8.5〜11の範囲内に保持したことを特徴とする重金属類含有水の処理方法である。
ここで、上記重金属類とは、例えば、セレン、カドミウム、六価クロム、鉛、亜鉛、銅、ニッケル、ヒ素、アンチモンなどの各種重金属元素や金属元素を包含するものである。
そして、上記重金属類含有水とは、上記重金属類を含む水の総称であり、自然発生的および人為的に生じた各種の廃水や排水等を含み、例えば、工場排水や下水、海水、河川水、沼や湖池の水、地表の溜まり水、河川等の堰止域の水、地下の流水や溜まり水、暗渠の水等であって、上記重金属類を含有するものをいう。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重金属類含有水の処理方法おいて、前記第1のアルカリ性剤は、カルシウムを主成分とするアルカリスラリー剤であり、前記第2のアルカリ性剤は、水酸化ナトリウム水溶液である。
請求項3に記載の発明は、重金属類含有水に含まれる重金属類を当該重金属類含有水に添加された還元性鉄化合物によって還元することにより形成される澱物を、少なくとも一部返送汚泥として再供給すると共に、上記重金属類含有水中から除去する重金属類含有水の処理装置であって、上記再供給される返送汚泥のpH値を調整する薬剤添加槽と、当該薬剤添加槽の後段に、順次重金属類含有水を供給するように直列的に設けられた上記重金属類を還元する3槽以上の反応槽とを有し、当該薬剤添加槽及び3段目の反応槽に、アルカリ性剤を添加するアルカリ添加装置を設けてなる重金属類含有水の処理装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の重金属類含有水の処理装置において、前記薬剤添加槽には、前記アルカリ添加装置に加えて、返送汚泥のpH値を測定するpH検出器と、当該pH検出器により検出された返送汚泥のpH値が11〜13となるように上記アルカリ添加装置によりアルカリ性剤を添加する制御装置とが備えられ、前記3段目の反応槽には、前記アルカリ添加装置に加えて、重金属類含有水のpH値を測定するpH検出器と、当該pH検出器により検出された重金属類含有水のpH値が8.5〜11となるように上記アルカリ添加装置によりアルカリ性剤を添加する制御装置とが備えられている。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の重金属類含有水の処理装置において、前記薬剤添加槽に設けられたアルカリ添加装置は、当該薬剤添加槽における返送汚泥中にカルシウムを主成分とするアルカリスラリー剤を添加するように構成され、かつ、前記3段目の反応槽に設けられたアルカリ添加装置は、当該反応槽における重金属類含有水中に水酸化ナトリウム水溶液を添加するように構成されている。
上述の請求項1に記載の発明によれば、返送汚泥工程において還元性鉄化合物を用い、第1のアルカリ性剤を添加して重金属類含有水のpH値を11〜13としたため、後の澱物形成工程において重金属類を還元し、澱物を形成することにより、重金属類の除去作用を促進させることができる。
また、一旦上述のようにpH値を調整した重金属類含有水は、澱物形成工程において、上記還元作用の進行による加水分解により、あるいは当該重金属類含有水を攪拌することにより、そのpH値が低下して、円滑な酸化還元反応が進行し得なくなる。そこでpH値が8.5〜11になった段階において、第2のアルカリ性剤を添加する。この緻密なpH値コントロールにより、重金属類含有水のpH値が大きく低下して、還元性鉄化合物と重金属類との酸化還元反応が阻害されることを防止して、澱物を形成することができる。
請求項2に記載の発明によれば、第1アルカリ性剤としてカルシウムを主成分とするアルカリスラリー剤を用いたため、pH値を11〜13に調整することができる。また、第2アルカリ性剤として浮遊物等が発生しない1価の強塩基である水酸化ナトリウム水溶液を用いたため、より緻密なpH値コントロールを行うことができる。
請求項3に記載の発明においては、薬剤添加槽及び3段目の反応槽に、アルカリ性剤を添加するアルカリ添加装置を設けている。このため、薬剤添加槽におけるアルカリ性剤の添加によりpH値を11〜13に調整し、その後、3段目の反応槽におけるアルカリ性剤の添加によりpH値を8.5〜11に微調整することで、2度のアルカリ性剤の添加によりpH値をコントロールすることができる。
また、2段目の反応槽においては、バッファーとして作用することを目的としてアルカリ性水溶液を添加しないため、3段目の反応槽においては、pH値が安定化し、アルカリ性剤を添加することにより、pH値を緻密にコントロールすることができる。これより、還元性鉄化合物及び重金属類による酸化還元反応を促進させ、澱物を形成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、薬剤添加槽及び3段目の反応槽には、アルカリ添加装置に加えて、pH検出器と、このpH検出器により検出されたpH値により各々pH値を調整するようにアルカリ性剤を添加する制御装置とが備えられているため、緻密なpH値コントロールを行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、薬剤添加槽に設けられたアルカリ添加装置は、カルシウムを主成分とするアルカリスラリー剤を添加するように構成されてなるため、返送汚泥をアルカリ性にすることにより、酸化還元反応を促進させて、澱物を形成することができる。また、前記3段目の反応槽に設けられたアルカリ添加装置は、反応槽における重金属類含有水中に浮遊物等が発生しない1価の強塩基である水酸化ナトリウム水溶液を添加するように構成されているため、重金属類含有水のpH値をより緻密にコントロールすることができる。
本発明に係る重金属類含有水の処理装置の一実施形態を、図1ないし図3を用いて説明する。
この重金属類含有水の処理装置においては、図1に示すように、薬剤添加槽1、直列的に設けられた4槽の反応槽2及び緩衝槽3が順次連続して設けられている。
緩衝槽3の後段には、沈降槽4が配管34により接続されている。
さらに沈降槽4の後段には、上澄み液を排出する清透液槽5と、この上澄み液を貯留する排出槽8とが、配管45とポンプが介装された配管58とを介して接続されている。
さらにまた、沈降槽4の後段には、澱物を排出する排泥タンク6、脱水槽7が、順次ポンプが介装された配管46、配管67を介して接続されている。また、沈降槽4内の澱物を、反応槽2に再供給するための薬剤添加槽1が、ポンプが介装された戻り配管41を介して接続されている。
また、戻り配管41と配管46とには、それぞれ沈降槽4内の澱物を選択的に移送するための切替弁が設けられている。
上記戻り配管41は、濃縮スラリーを再供給するために薬剤添加槽1中の条件槽12に接続されている。
この薬剤添加槽1は、図2に示すように、仕切板10によって、排水槽11と条件槽12とが独立して設けられている。このうち排水槽11には、処理される重金属類含有水の供給管と還元性鉄化合物としてのFeSO4の供給管と配管71とが接続されている。他方、条件槽12には、戻り配管41とアルカリ性物質としてCa(OH)2を添加するための注入管23cとが接続されている。
さらに、この条件槽12には、上記戻り配管41の外、図3に示すように、カルシウムを主成分とするアルカリスラリー剤として水酸化カルシウムを添加するためのアルカリ添加装置23と、pH検出器26と、このpH検出器26により検出されるpH値が11〜13となるようにアルカリ添加装置23からアルカリ性剤を供給する制御装置Cとが備えられている。
この制御装置Cは、pH検出器26により検出されたpH値を信号ラインS1により信号として受信するようになっている。そして、検出されたpH値が11に満たない場合には、重金属類含有水のpH値が11〜13の範囲となるように、反応槽2内の重金属類含有水量とそのpH値等から水酸化カルシウムの添加量を算出するようになっている。これにより算出された一定量の水酸化カルシウムを重金属類含有水中に混入するように、アルカリ添加装置23のポンプ23bを作動させるため、信号ラインS2により信号を送信するようになっている。このポンプ23bの作動により、アルカリ供給容器23aに貯留されている水酸化カルシウムを、注入管23cに供給し、さらに注入管23cから反応槽2内に供給して、重金属類含有水中に混入するようになっている。
上述のように構成された薬剤添加槽1は、反応槽2に連結されており、薬剤添加槽1から反応槽2への流路が設けられている。
次に、この反応槽2について、図3を用いて詳しく説明する。
反応槽2には、上方の基台(図示を略す)に載置された攪拌機25用のモータから延出する回転軸25aがメカニカルシール20により固定して挿通されており、この回転軸の下端部に攪拌翼25bが、反応槽2の下部中央部に位置するように設けられている。
さらに、その内部を窒素雰囲気とすべく、停止弁が設けられた窒素供給口27と反応槽2内のガスを排出する排出口28とが設けられている。
また、各々反応槽2の連結部には、その底部に立設され、その上部に空間が設けられた配設板21と、その天井に垂設され、その下部に空間が設けられた配設板22とが設置されている。この配設板21上部に設けられた空間が流出口となり、配設板22下部に設けられた空間が流入口となり、前段の反応槽2上部から後段の反応槽2の下部に向けた流路が形成されている。
そして3段目の反応槽2は、上記攪拌機25に加えて、アルカリ添加装置24と、pH検出器26と、このpH検出器26により検出されるpH値が8.5〜11となるようにアルカリ添加装置24からアルカリ性剤を供給する制御装置Cとが備えられている。
このアルカリ添加装置24は、反応槽2の中心部に設けられた攪拌機25よりも薬剤添加槽1側に設けられており、アルカリ供給容器24aと、薬注ポンプ24bを介装した注入管24cとが備えられている。このアルカリ供給容器24aには、アルカリ性剤として水酸化ナトリウム水溶液が貯留されており、注入管24cは、一端が反応槽2外部に、他端が反応槽2内部に位置するように設けられている。
上記pH検出器26は、上記攪拌機25よりも後段の緩衝槽3側に設けられている。そして、一端が反応槽2の外部に、他端が反応槽2内部に位置するように設けられている。
制御装置Cは、pH検出器26により検出されたpH値を信号ラインS3により信号として受信するようになっている。そして検出されたpH値が8.5〜11でない場合には、当初算出添加量として、反応槽2内の重金属類含有水量と、そのpH値と、条件槽12における水酸化カルシウム水溶液の添加量による3段目の反応槽での重金属類含有水のpH値の変動量等とからpH値が8.5〜11に収まり、かつ保持されるように水酸化ナトリウム水溶液の添加量を算出するようになっている。そして、条件槽12と同様に、アルカリ添加装置24のポンプ24bを作動させるため信号ラインS4により信号を送信し、アルカリ供給容器24aに貯留されている水酸化ナトリウム水溶液を反応槽2内に供給して、重金属類含有水中に混入するようになっている。
ここで、3段目の反応槽における水酸化ナトリウムの添加は、pH値の微調整をその目的とするようになっている。
このため制御装置Cは、1段目の反応槽とは異なり、徐々に水酸化ナトリウムを添加し、その時々のpH値を信号ラインS3により受信し、水酸化ナトリウムの総添加量に対するpH値を計測するようになっている。これと並行して、修正算出添加量として、計測しているpH値から重金属類含有水中に添加すべき水酸化ナトリウムの総添加量を算出するようになっている。そして上記当初算出添加量が、修正算出添加量と相違した場合には、水酸化ナトリウムの添加量を上記当初算出添加量から修正算出添加量に変更して、供給するようになっている。
さらに、3段目の反応槽2には、水酸化ナトリウムを添加しすぎた場合に、制御装置Cにより、pH値が8.5〜11になるように酸性剤を供給する酸性剤添加装置(図示を略す)が備えられている。
次に、上述の装置を用いた本発明に係る重金属類含有水の処理方法の一実施形態として、重金属を含む排水を処理する場合について説明する。
まず、重金属を含む排水を、薬剤添加槽1の一部である排水槽11に供給し、還元性鉄化合物を添加する。ここで還元性鉄化合物とは、FeSO4やFeCl2等の第1鉄化合物の他、重金属に対し還元性を示す鉄化合物を意味するが、本実施形態においてはFeSO4を添加する。
他方、沈降槽4内の澱物を、条件槽12に再供給し、さらに制御装置Cによって、アルカリ添加装置23のポンプ23bに指令を出し、澱物のpH値が11〜13となるように一定量の水酸化カルシウム水溶液を排水中に添加する(返送汚泥工程)。
一方、FeSO4が添加された排水及び水酸化カルシウムを添加した澱物は、排水槽11との連結部から初段の反応槽2に流入する。これにより返送汚泥工程から澱物形成工程へと移行する。
そして初段の反応槽2において、FeSO4が添加された排水及び水酸化カルシウムを添加した澱物とが混合され、酸化還元反応により澱物を形成する。
より詳細には、添加されたFeSO4がグリーンラスト(示性式の一例[Fe(II)4Fe(III)2(OH)122+[SO4nH2O]2-)に、さらにグリーンラストが緩慢に酸化され、フェライト(Fe34)となる。このグリーンラストは、第1鉄と第2鉄の水酸化物が層状をなす物質であり、還元力を持つと共に層間に重金属イオンが取り込まれる。このグリーンラストの還元力により、排水に含まれる重金属がセレンである場合には、6価セレン(SeO4 2-)を4価セレン(SeO3 2-)や金属セレン(Se)に還元する。この際、グリーンラストとフェライトとの混合沈澱が形成され、これに上記4価セレンや金属セレンが取り込まれて澱物が形成される。
この際、反応槽2には、窒素供給口27と排出口28とを設けることにより、内部を窒素雰囲気としているため、大気と排水との接触を遮断して、大気中の酸素によるFeSO4の酸化やセレンの酸化を防止する。このため、上述のようにFeSO4がフェライトに酸化されることによりセレンを還元し、効率よく澱物を沈降させる。
次いで、FeSO4が添加された排水は、初段の反応槽から2段目の反応槽、2段目の反応槽から3段目の反応槽へと、供給されるに従い、排水も攪拌機25によって攪拌され、上記反応が進行することにより、さらにグリーンラストとフェライトとの混合沈澱を形成して、セレンを除去する。それと同時に、攪拌されることによりpH値が低い原排水の影響を受け、pH値が低くなる傾向にある。
また、2段目の反応槽を、バッファーとして作用することを目的としてアルカリ性水溶液を添加しないため、3段目の反応槽においては、pH値が安定化する。
次に、3段目の反応槽において、pH値が低めで安定化した排水に、上記当初算出添加量に基づき、pH値が8.5〜11となるように水酸化ナトリウムを添加し、pH値を微調整する。しかしながら、水酸化ナトリウムが供給されるにつれ、排水のpH値から求まる上記修正算出添加量が、この当初算出添加量に対し微差を生じる場合がある。この場合には、修正算出添加量に基づき水酸化ナトリウムの添加量を微調整しながら添加し、pH値を微調整する。逆に、水酸化ナトリウムを多く添加しすぎた場合には、酸性剤を添加してpHを微調整する。
このように、薬剤添加槽1の一部である条件槽12において水酸化カルシウムを添加してpH値が11〜13である澱物を、初段の反応槽2において、FeSO4が添加された排水と混合する。そして、2段目の反応槽2をバッファーとして、3段目の反応槽2において、上述のようにpH値が安定化した段階で、水酸化ナトリウムを添加して、pH値を緻密にコントロールする。
この条件槽12及び3段目の反応槽におけるアルカリ性剤の添加により、pH値を緻密にコントロールし、FeSO4及びセレンによる酸化還元反応を促進させ、反応槽2において澱物を形成する。
次いで、水酸化ナトリウムが添加された排水を、3段目から最終段である4段目の反応槽2へ供給する。
次に、澱物が含まれる排水は、4段目の反応槽2の流出口から緩衝槽3、沈降槽4へと流入する。
この緩衝槽3は、反応槽2に連続して設けられ、上部が開放されているため、その水位が反応槽2の排水の水位と同一になる。このため、緩衝槽3の水位を調整することによって、反応槽2の水位を調整する。
その後、沈降槽4において上澄み液と澱物とを分離し、上澄み液及び澱物の一部を排出し、澱物の残部を返送汚泥として戻り配管41から条件槽12へ再供給する(返送汚泥工程)。このようにして澱物を繰り返し再供給する。
上述のように澱物を繰り返し再供給するのは、澱物中又は澱物と共に再供給される4価セレン等を取り込んでいない混合沈澱中に一部含まれるグリーンラストにより、排水中に含まれるセレンが沈澱化されると共に、グリーンラストの酸化により、フェライトの割合が増加することによって、圧密性、沈降性の良好な澱物の形成量を増加させるためである。
このため、沈降槽4から澱物を条件槽12に再供給する割合は、澱物及び混合沈澱中の2価鉄イオンと全鉄イオンの比(Fe2+/全Feイオン)が0.4〜0.8となるように調整する。
以上の排水処理方法においては、返送汚泥工程において、水酸化カルシウム水溶液を添加して排水のpH値を11〜13として、FeSO4を還元剤として用いたため、セレンを還元して、澱物を形成することにより除去作用を促進させることができる。
また、一旦上述のようにpH値を調整した排水は、澱物形成工程において、上記還元作用の進行による加水分解により、あるいは当該排水を攪拌することにより、そのpH値が低下して、円滑な酸化還元反応が進行し得なくなる。そこで水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH値を8.5〜11に保持することにより、pH値の低下によるFeSO4とセレンとの酸化還元反応の阻害を防止して、澱物を形成することができる。
さらにまた、水酸化カルシウムは、2価の強塩基であるため、比較的少量の水酸化カルシウム水溶液を条件槽12に添加することで、pH値を11〜13とすることができる。また、電離度が1にほぼ等しく、添加量を算出し易い。
一方、水酸化ナトリウム水溶液は、1価の強塩基の水溶液であるため、2価の強塩基である水酸化カルシウムと比較し、水酸化物イオンが少なく、3段目の反応槽において排水のpH値を微調整し易い。また、水酸化カルシウム水溶液と同様、電離度が1にほぼ等しく、添加量を算出し易い。
しかも、浮遊物等が発生しないため、緻密なpH値コントロールを行うことができる。
さらには、水酸化カルシウム及び水酸化ナトリウムは、電離度の近い強塩基同士であるため、初段の反応槽における水酸化カルシウムの添加量に対するpH値の変動量から3段目の反応槽で添加すべき水酸化ナトリウムの添加量を算出し易い。
なお、本発明の重金属類含有水の処理装置及び重金属類含有水の処理方法は、上述の実施の形態に限られない。例えば、アルカリ供給容器24aには、水酸化ナトリウム水溶液を貯留したが、その他の浮遊物が発生しない水溶液も好適に用いることができる。また、紛状物、固形物等を用いることができる。
さらに、重金属類含有水の処理方法においては、上述の反応槽2に限られるものではなく、カラム式反応器、流動層反応器等を用いることができる。
本発明の重金属類含有水の処理装置の一実施形態を示した断面模式図である。 本発明の重金属類含有水の処理装置の一部である薬剤添加槽の一実施形態を示した平面模式図であり、図1におけるII−II線に沿う平面模式図である。 本発明の重金属類含有水の処理装置の一部である薬剤添加槽及び初段ないし3段目の反応槽の一実施形態を示した断面模式図である。
符号の説明
1・・・薬剤添加槽
2・・・反応槽
C・・・制御装置
3・・・緩衝槽
4・・・沈降槽
5・・・清透液槽
6・・・排泥タンク
7・・・脱水槽
10・・・仕切板
11・・・排水槽
12・・・条件槽
21、22・・・配設板
23、24・・・アルカリ添加装置
23a、24a・・・アルカリ供給容器
23b、24b・・・薬注ポンプ
23c、24c・・・注入管
25・・・攪拌機
26・・・pH検出器
34・・・配管
41・・・戻り配管
S1、S2、S3、S4・・・信号ライン

Claims (5)

  1. 重金属類含有水に含まれる重金属類を、当該重金属類含有水に添加された還元性鉄化合物によって還元することにより澱物を形成する澱物形成工程と、
    上記澱物のうち少なくとも一部を、返送汚泥として当該澱物形成工程に再供給する返送汚泥工程とを有し、上記重金属類含有水中から重金属類を除去する重金属類含有水の処理方法であって
    上記返送汚泥工程において、第1のアルカリ性剤を添加して、上記澱物のpH値が11〜13になるように調整し、
    その後、上記澱物形成工程において、当該返送汚泥が再供給された重金属類含有水のpH値が8.5〜11になった段階において、第2のアルカリ性剤を添加してpH値を8.5〜11の範囲内に保持したことを特徴とする重金属類含有水の処理方法。
  2. 前記第1のアルカリ性剤は、カルシウムを主成分とするアルカリスラリー剤であり、前記第2のアルカリ性剤は、水酸化ナトリウム水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の重金属類含有水の処理方法。
  3. 重金属類含有水に含まれる重金属類を当該重金属類含有水に添加された還元性鉄化合物によって還元することにより形成される澱物を、少なくとも一部返送汚泥として再供給すると共に、上記重金属類含有水中から除去する重金属類含有水の処理装置であって、
    上記再供給される返送汚泥のpH値を調整する薬剤添加槽と
    当該薬剤添加槽の後段に、順次重金属類含有水を供給するように直列的に設けられた上記重金属類を還元する3槽以上の反応槽とを有し、
    当該薬剤添加槽及び3段目の反応槽に、アルカリ性剤を添加するアルカリ添加装置を設けてなることを特徴とする重金属類含有水の処理装置。
  4. 前記薬剤添加槽には、前記アルカリ添加装置に加えて、返送汚泥のpH値を測定するpH検出器と、当該pH検出器により検出された返送汚泥のpH値が11〜13となるように上記アルカリ添加装置によりアルカリ性剤を添加する制御装置とが備えられ、
    前記3段目の反応槽には、前記アルカリ添加装置に加えて、重金属類含有水のpH値を測定するpH検出器と、当該pH検出器により検出された重金属類含有水のpH値が8.5〜11となるように上記アルカリ添加装置によりアルカリ性剤を添加する制御装置とが備えられていることを特徴とする請求項3に記載の重金属類含有水の処理装置。
  5. 前記薬剤添加槽に設けられたアルカリ添加装置は、当該薬剤添加槽における返送汚泥中にカルシウムを主成分とするアルカリスラリー剤を添加するように構成され、かつ、前記3段目の反応槽に設けられたアルカリ添加装置は、当該反応槽における重金属類含有水中に水酸化ナトリウム水溶液を添加するように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の重金属類含有水の処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009056379A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Mitsubishi Materials Corp 重金属類含有水の処理方法および処理装置
JP2011072940A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Chiyoda Kako Kensetsu Kk 還元性セレン含有排水の処理方法
KR101420999B1 (ko) 2014-02-11 2014-07-17 (주)에스엠엔지니어링 슬러지 개량 시스템

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