本願発明における画像再生装置の一実施形態について、デジタル方式を採用する画像再生装置により説明する。
図10は所謂KNCプロセスを採用するデジタル方式を採用する画像再生装置の概略構成を示す断面図である。
画像再生装置200は、図10に示すようにプラテンガラスからなる原稿台201(以下、本実施形態においてはプラテンガラスPGということもある。)上に載置した原稿OGを下方から白色光を照する光源202と、光源202を載置して移動する移動部材M1に設けられて原稿OGからの光を反射する第1ミラー203と、第1ミラー203からの光を反射する第2ミラー204及び第3ミラー205を一対に設けたVミラー部M22と、当該Vミラー部M22からの光を例えばダイクロックミラーである分光手段(図1に示すDMである。)を介してレッド用のラインセンサLS1及びシアン用のラインセンサLS2上に結像する結像レンズ206とからなる画像読取部AAと画像読取部AAからのデジタル画像信号を記録色に対応した色信号に変換する画像処理部BBと記録信号に基づいて半導体レーザを発光してドット毎に像形成体220上をライン走査する書込部CCとから構成されることにより像形成体220に原稿潜像を形成するデジタル方式を採用し、スコロトロン帯電器221と、現像器222Y,222M,222C,222BK、転写器223、分離器224、クリーニング装置225とで像形成体220上で静電写真プロセスを実行する像形成プロセス部DDと、記録紙Pを転写・分離部に給送する給紙系EEとからなり、静電写真プロセスを実行することにより記録紙P上に原稿画像をカラー再生するものである。本願明細書においては、デジタル方式を採用する画像再生装置はすべてこの構成を用いて説明するので、以下における実施形態を説明する際に前述の記載を参照する。
本実施形態において画像再生装置200は更に原稿OGの例えば下地から反射する光の波長成分を検出する色分離テーブルからの出力信号により特定原稿との一致を識別する機能を備えたことを特徴とする。以下にその具体的構成を説明する。
図1は本願発明におけるデジタル画像再生装置の要部構成を示すブロック図である。
図1において、原稿OGはプラテンガラスPG上に載置したものである。原稿OGから反射する光は図10に示す読取光学系AAを構成するダイクロックミラーDMでレッドの色分解像とシアンの色分解像に分光されてそれぞれのラインセンサLS1,LS2に結像される。ここでダイクロックミラーDMのカットオフ波長は540nm程度のものが使用されている。これによって、レッド成分は透過光となり、シアン成分は反射光となる。ラインセンサLS1,LS2は受光した光強度に応じた電流IR,ICを出力する。このラインセンサLS1,LS2までが画像読取部AAを構成する。これらの電流IR,ICはそれぞれA/D変換器AD1,AD2でシェーディング補正と同時にA/D変換されて6ビットからなるデジタル画像信号Vr,実施形態に変換されて色分離テーブル231に送出される。デジタル画像信号Vrは原稿像のレッド成分の濃度レベルを示す信号であり、デジタル画像信号実施形態は原稿像のシアン成分の濃度レベルを示す信号である。
色分離テーブル231は、高速のROMを使用しており図2に示す色分離マップに示すような予め決められたデータが書き込まれている。具体的にはレッド成分の濃度レベルを示す6ビットからなるデジタル画像信号Vr及びシアン成分の濃度レベルを示す6ビットからなるデジタル画像信号Vcに対応する記録色に関する8ビットからなるデータを色分離テーブルとして書き込んである。ここで色分離テーブル231を構成する記録色に関するデータは、例えば現像剤の色を指定する2ビットからなるカラーコードデータと記録色の濃度を決定する6ビットからなる濃度データである。従って、色分離テーブル231は記録色に関するデータを色信号として出力することになる。
カラーコードは仕様によって決まる。例えば表1に示すものである。
濃度データ=(Vr+Vc)/2 である。
濃度データはシアン成分の濃度レベルとレッド成分の濃度レベルとの平均したレベルである。本実施形態ではこの濃度データを利用していないので、ここではあまり重要でない。
色分離テーブル231は、前述の構成を備えることによりデジタル画像信号Vr,Vcに対応する記録色に対応するカラーコードデータ及び濃度データからなる8ビットの色信号を出力することができる。
本実施形態においては、A/D変換器AD1,AD2及び色分離テーブル231で画像処理部BBを構成している。ここで色分離テーブル231は色検出部に相当するものである。
制御部230は色信号を構成するカラーコードデータと予め設定した特定原稿の下地色に対応するカラーコードデータと一致するか否かを識別する。なお、具体的には色分離テーブル231はプレスキャン専用に使用するものであり、本実施形態においては、別個に像形成プロセス専用の色分離テーブルを設けてあり、ここでは詳述しない。
制御部230は更に操作パネル10からの入力により画像読取部AAと画像処理部BBと書込部CCと像形成プロセス部DD及び給紙系EEを制御して画像形成プロセスを実行するものである。なお、制御部230はプレスキャンにより赤、青、黒のカラーコードをカウントし原稿色を判定するACS処理、原稿濃度にあった適切な濃度のコピーを自動的に行うために原稿の濃度ヒストグラムの形状により適切な濃度補正パターン所謂ガンマテーブルを選択するEE処理、プラテンカバーの黄帯の本数をカウントすることにより、原稿サイズを検知するAPS処理を実行している。これらの処理の詳細については本願発明と関係ないので省略する。
ここで、画像読取部AAのプレスキャンにおける動作及び標準的な原稿における濃度分布について簡単に説明する図3は画像読取部AAのプレスキャンにおける走査範囲を示す模式図である。
判別処理のためのサンプリング範囲は図3に示す斜線の主走査方向100mm,副走査方向162mmの範囲であり、例えば、主走査方向1mm、副走査方向0.25mm毎にデータをサンプリングするので、約64800ポイントのサンプリングデータが得られることになる。
図4はプレスキャンにより得られる代表的な濃度レベルの度数分布を示すグラフである。
図において、最大度数Pmaxを示す濃度は一般に原稿の下地濃度レベルであり、中間度数1/2Pmaxを越える次のピーク度数を示す濃度レベルが文字等の濃度レベルである。
以下に本実施形態の画像再生装置200におけるプレスキャンの処理動作を図1から図4及び図10を用いて説明する。
オペレータはプラテンカバーを開閉してプラテンガラスPG上に原稿OGを載置する。次に操作パネル210から複写枚数を設定してコピースイッチを押圧すると、図10に示すように制御部230は光源202を点灯して原稿OGに白色光を短冊状に照射しながら所定の速度で移動する。制御部30はVミラー部M2を光源2の移動速度の1/2の速度で同方向に移動させる。これにより原稿OGは読み取り走査されることにより、原稿OGから反射する光は第1ミラー3,第2ミラー4、第3ミラー5を介してダイクロックミラーDMによりレッド成分とシアン成分に分光して結像レンズ206によりレッド用ラインセンサLS1及びシアン用ラインセンサLS2上に結像する。この画像読取部AAによる走査は画像形成プロセス前に行われる所謂プレスキャンである。プレスキャンによりレッド用ラインセンサLS1及びシアン用ラインセンサLS2から出力される電流IR,ICはそれぞれA/D変換器AD1,AD2でシェーディング補正と同時にA/D変換されて6ビットからなるデジタル画像信号Vr,Vcに変換されて色分離テーブル231に送出される。色分離テーブル231はデジタル画像信号に対応する8ビットからなる色信号を制御部230に送出する。
制御部230は色信号を構成する2ビットのカラーコードデータと予め設定した特定原稿の下地色に対応するデータと一致するか否かを比較するより、プラテンガラスPG上に載置してある原稿OGが特定原稿であるかを識別する。これにより制御部230は操作パネルにあるディスプレイに『マル秘文書』或いは『不正複写』或いは『企業秘密』或いは『営業秘密』と表示し、画像形成プロセスを実行しない。このようにして本実施形態の画像再生装置は特定原稿を色の有無にて判断するため、複雑なパターン認識等の回路を用いずに不正複写を防止することができる。又、原稿下地色を検出しているので、特定原稿の識別力を略100%にすることができる。
又、光源202は電源投入から所定時間例えば1秒だけ経過しなければ、出力が安定しない。この光源202の出力が安定しない間は発光エネルギーが弱いことと発光光の波長が特定域例えば赤に対応する波長域に片寄っている。この時間における光源202で原稿OGを走査すれば、赤と白に対応する領域からの反射光は赤に対応する波長光である。特定原稿の下地色が赤系統の色彩であれば検出可能であるので、この時間にプレスキャンを実行することにより、画像再生装置の性能、例えば1分当たりコピー枚数を増やすことができる。
本願発明における画像再生装置の一実施形態について説明する。
本願発明における画像再生装置はデジタル方式を採用する装置に適用するものであり、所謂KNCプロセスを採用するデジタル方式を採用する画像再生装置200は図10を用いて既に説明してあり、画像読取部AAのプレスキャンにおける動作及び標準的な原稿における濃度分布について簡単に説明してあるので、ここでは省略する。
図5は本願発明における画像再生装置の一実施形態の要部構成を示すブロック図である。
画像読取部AAは図1及び図10を用いて説明してあるので、詳述は省略する。原稿OGはプラテンガラスPG上に載置したものであり、ダイクロックミラーDMはカットオフ波長540nm程度であり、これによりレッド成分を透過し、シアンを反射する。ラインセンサLS1,LS2は受光した光り強度に応じて画素単位で電流IR,ICを出力する。
本実施形態において画像処理部BBは新たな構成としてカラーゴースト検出手段234と設定手段232を備え、カラーゴースト検出手段234を色分離テーブル231A及び制御部230に接続するために分配手段Sを設けた。
色分離テーブル231Aは、高速のROMを使用しており図6に示す色分離マップに示すような予め決められたデータが書き込まれており、具体的にはレッド成分の濃度レベルを示す6ビットからなるデジタル画像信号Vr及びシアン成分の濃度レベルを示す6ビットからなるデジタル画像信号Vcに対応する記録色に関する8ビットからなる色信号データを色分離テーブルとして書き込んである。ここで色分離テーブルを構成する記録色に関する色信号データは、例えば現像剤の色を指定する2ビットからなるカラーコードデータに特定色を示す1ビットの特定色コードデータと記録色の濃度を決定する5ビットからなる濃度データである。従って、色分離テーブル231は記録色に関するデータを色信号として出力することになる。ここで、色信号はデジタル画像信号Vr,Vcに比して濃度信号の階調レベルを低減する結果になっているが、これは経験上低濃度レベルの色は少なかったので、低濃度レベルの濃度領域をカットするようにしたものである。
なお、具体的には色分離テーブル231Aはプレスキャン専用に使用するものであり、本実施形態においては、別個に像形成プロセス専用の色分離テーブルを設けてあり、ここでは詳述しない。
特定色コードデータとは、特定原稿の下地色又は特定原稿に印してある特定マークに施した色が反射する光の波長成分であることを示すコードデータであり、本実施形態ではカラーコードデータのうちのLMBに相当するビットである。
カラーコードは仕様によって決まる。例えば表2に示すものである。
図6に示す色分離マップによれば、特定色領域は赤系統の領域に設けてあるので、カラーコード”110”がある、これに限定されるものではなく、図6に示す色分離マップ中のどの領域にでも特定領域を設定でき、更に複数の領域を後で述べる設定手段232により設定できる。
濃度データ=(Vr+Vc)/2 である。
濃度データはシアン成分の濃度レベルとレッド成分の濃度レベルとの平均したレベルである。
色分離テーブル231Aは、前述の構成を備えることによりデジタル画像信号Vr,Vcに対応する記録色に対応するカラーコードデータ及び濃度データからなる8ビットの色信号を出力することができる。
設定手段232は、図6に示す色分離マップにおける特定色領域を変更又は追加を色分離テーブル231Aに設定するものであり、具体的にはROMに書き込まれたカラーコードデータ中のLMBを例えば操作パネルに設けたテンキーにより書き換えることによって特定色領域の変更又は追加を設定することができる。
又、この設定処理は、管理キーとIDカードと暗証番号のうち少なくとも1つを用いなければ、行えないようにしてもよい。ここで、管理キーとは画像再生装置200に固有の調整条件を設定することを許可するキーであり、IDカード又は暗証番号とは画像再生装置を操作する個人又は職場を識別するものであり、個人又は職場により画像再生装置200の設定条件を変更できる範囲を制限するように用いる。特定色領域の追加・変更処理を管理キー等と併用することにより特定原稿が不正に複写されることを防止することができる。
更に、特定原稿の下地色を示す特定色領域は、画像読取部AAによりプラテンガラスPG上にある原稿OGを読み取り走査することにより設定するようにしてもよい。この特定色領域の設定では、実際の走査で読みとられる色領域は、一枚の特定原稿の下地色を読むことで得られる数値であり、色分離マップの一点を示す事になるので、特定原稿の下地色に多少のばらつきが生じても許容されないことになる。よって、より現実的な特定色領域の設定には、領域に多少の許容範囲を持たせることが必要となる。そこで、本実施形態では読みとられた特定原稿の下地色から、経験値により予め設定された許容範囲を持って、特定色領域を設定することを特徴とする。
分配手段Sは色分離テーブル231Aから送出される8ビットからなる色信号をカラーゴースト検出手段234及び制御部230に分配する。
カラーゴースト検出手段234は、黒い画像のエッジ部に出る細い色及び色の切り替わる部分にある細い他の色をゴーストとして検出するものであり、例えば着目画素を含めた7画素により、予め記憶してあるカラーパターンと一致した場合に着目画素をゴーストとするカラーパターン法を採用して検出するものであり、具体的には、着目画素と周辺画素とを含めた7画素分に相当するカラーコードデータの列であるカラーパターンと着目画素がカラーゴーストであるか否かを示すコードデータであるゴーストデータとからなるカラーゴーストテーブルを高速ROM上に書き込んだものであり、色分離テーブル231Aから送出されるカラーコード信号を7画素単位でカラーパターンと比較処理して制御部230にゴーストデータを送出するものである。
ここで、表3に通常の読取りモードにおけるカラーゴーストテーブルの一例を示す。
表3において、番号は高速ROMに書き込まれるカラーゴーストテーブル中の配列順序を示すものであり、訂正する際に主に利用するものである。カラーパターンは着目画素とその周辺の6画素と比較するカラーコード信号列を示すものであり、これと対にしてゴーストコードデータが付加してある。例えば、カラーゴースト検出手段234は、分配手段Sから送出される7画素に相当するカラーコード信号列が番号1及び番号3に示すカラーパターンと一致したことを検出すれば、黒い画像のエッジ部にカラーゴーストが発生したことを示すゴーストデータ『11』を送出することになる。
一方、カラーゴースト検出手段234は、分配手段Sから送出される7画素に相当するカラーコード信号列が番号2及び番号4に示すカラーパターンと一致したことを検出すれば、カラーゴーストが無いことを示すゴーストデータ『00』を送出することになる。
制御部230は、予備走査で得られるサンプリングデータのうち図6に示す色分離マップにおける黒色領域以外のデジタル画像データからカラーゴーストに相当する度数を超える色情報を有効データとしてプラテンガラスPG上に載置した原稿OGと特定原稿との一致を識別する判別処理を実行するものであり、具体的には図4に示すようなカラーコード毎に濃度分布を示すヒストグラムを作成するために濃度コードをカウントする濃度コードカウンタNC及びカラーゴーストの度数をカウントするゴーストカウンタGCを備えることにより、各カラーコード毎に濃度分布を示すヒストグラムを作成し、カラーコード『000』以外の色領域のヒストグラムからカラーゴーストに相当する度数を差し引いた後のヒストグラムから特定原稿の有無にてプラテンガラスPG上に載置した原稿OGと特定原稿との一致を識別する判別処理を実行するものである。
なお、制御部230は、プリスキャンにより赤、青、黒のカラーコードをカウントし原稿色を判定するACS処理、原稿濃度にあった適切な濃度のコピーを自動的に行うために原稿の濃度ヒストグラムの形状により適切な濃度補正パターン所謂ガンマテーブルを選択するEE処理、プラテンカバーの黄帯の本数をカウントすることにより、原稿サイズを検知するAPS処理を実行している。これらの処理の詳細については本願発明と関係ないので省略する。
以下に本実施形態の画像再生装置200のプレスキャンにおける処理動作を図10と図5及び図6を用いて説明する。
オペレータはプラテンカバーを開閉してプラテンガラスPG上に原稿を載置する。次に操作パネル210から複写枚数を設定してコピースイッチを押圧すると、図10に示すように制御部230は光源202を点灯して原稿OGに白色光を短冊状に照射しながら所定の速度で移動する。制御部30はVミラー部M2を光源2の移動速度の1/2の速度で同方向に移動させる。これにより原稿OGは読み取り走査されることにより、原稿から反射する光は第1ミラー3,第2ミラー4、第3ミラー5を介してダイクロックミラーDMによりレッド成分とシアン成分に分光して結像レンズ206によりレッド用ラインセンサLS1及びシアン用ラインセンサLS2上に結像する。この画像読取部AAによる走査は画像形成プロセス前に行われる所謂プレスキャンである。
判別処理のためのサンプリング範囲は図3に示す斜線の主走査方向100mm,副走査方向162mmの範囲であり、例えば、主走査方向1mm、副走査方向0.25mm毎にデータをサンプリングするので、約64800ポイントのサンプリングデータが得られることになる。
プレスキャンによりレッド用ラインセンサLS1及びシアン用ラインセンサLS2から出力される電流IR,ICはそれぞれA/D変換器AD1,AD2でシェーディング補正と同時にA/D変換されて6ビットからなるデジタル画像信号Vr,Vcに変換されて色分離テーブル231Aに送出される。色分離テーブル231Aはデジタル画像信号に対応する8ビットからなる色信号を分配手段Sに送出する。分配手段Sはカラーコードのみをカラーゴースト検出手段234に送出すると共にこれに同期して制御部230に8ビットからなる色信号を送出する。
カラーゴースト検出手段234は、分配手段Sから送出される7画素に相当するカラーコード信号列が例えば表3に示す番号1及び番号3に示すカラーパターンと一致したことを検出すれば、黒い画像のエッジ部にカラーゴーストが発生したことを示すゴーストデータ『11』を制御部230に送出することになる。
一方、カラーゴースト検出手段234は、分配手段Sから送出される7画素に相当するカラーコード信号列が例えば表3に示す番号2及び番号4に示すカラーパターンと一致したことを検出すれば、カラーゴーストが無いことを示すゴーストデータ『00』を制御部230に送出することになる。
制御部230は、カラーコード毎に同一の値である濃度コードのサンプリングドット数を濃度コードカウンタNCでカウントして濃度レベルによる例えば図4に示す度数分布であるヒストグラムデータを作成する。一方、制御部230は図6に示す色分離マップにおける黒領域以外で発生するゴーストデータをゴーストカウンタGCでカウントする。制御部230はヒストグラムデータ中からカラーゴーストに相当するサンプリングドット数を差し引いた後のヒストグラムデータと予め設定してある度数データと比較することにより、プラテンガラスPG上に載置した原稿OGと特定原稿との一致を識別する。これにより、CCDの取り付け精度、CCDの反り、曲がり及び経時変化に起因するCCD間の画素ずれ、赤、青倍率及びMTFの不一致、レンズ色収差に起因する赤、青出力レベル差に起因するカラーゴーストに影響されることなく、確実に特定原稿を識別することができると共に、従来の複雑なパターン比較を行うことなく特定原稿の識別力を向上させた画像再生装置を提供することができた。
本願発明における目的を達成する画像再生装置の一実施形態について説明する。
図7は発明における目的を達成する画像再生装置における一実施形態の画像処理部の概略構成を示すブロック図である。図8は信号抽出回路の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の画像再生装置200は、図7に示すように原稿台201上に載置した原稿OGを色分解してデジタル的に読み取る画像読取部AAから送出されるデジタル信号により記録色に色分離してカラー画像を再生するものであり、特定原稿に印された特定マークの色と対応する色領域を示す特定色領域データと、特定原稿に印された特定マークを構成するサンプリングデータ数を示す特定マーク度数データを記憶する第1カウンタCNT1と、サンプリングされるデジタル画像データのうちの特定色領域内にあるデジタル画像データの総度数をカウントする第2カウンタCNT2と、第2カウンタCNT2からのカウント値と特定度数データとを比較する比較手段CMPとを備えることにより、特定マークを図9に示す色分離マップにおける色領域及び特定マークを構成するドッド数から特定するものであり、第2カウンタCNT2は特定マークのうち外枠を除いてサンプリングドット数を計数してもよいし、又、特定マークを構成する外枠を含めてサンプリングドット数を計数するようにしたものである。特定マークを構成する外枠にカスレがある否かを検出するカスレ検出手段236からの出力信号により主走査又は副走査の少なくとも一方を補正する切れ補正手段237を備えることにより画像再生装置の光学精度等及びオペレータに押印ミス等による特定マークの認識率が低下するのを防止する。
画像読取部AAは図1及び図10を用いて説明してあるので、詳述は省略する。原稿OGはプラテンガラスPG上に載置したものであり、ダイクロックミラーDMはカットオフ波長540nm程度であり、これによりレッド成分を透過し、シアンを反射する。ラインセンサLS1,LS2は受光した光り強度に応じて画素単位で電流IR,ICを出力する。
画像処理部BBは前述した様に新たな構成としてカスレ補正手段236と切れ補正手段237と領域検出手段238を備え、カスレ補正手段236をMTF補正手段233を介して信号抽出回路239に接続してある。
色分離テーブル231Aは、いずれも高速のROMを使用しており図6に示す色分離マップに示すような予め決められたデータが書き込まれており、具体的にはレッド成分の濃度レベルを示す6ビットからなるデジタル画像信号Vr及びシアン成分の濃度レベルを示す6ビットからなるデジタル画像信号Vcに対応する記録色に関する8ビットからなる色信号データを色分離テーブルとして書き込んである。ここで色分離テーブル231Aを構成する記録色に関する色信号データは、例えば現像剤の色を指定する2ビットからなるカラーコードデータに特定色を示す1ビットの特定コードデータと記録色の濃度を決定する5ビットからなる濃度データである。従って、色分離テーブル231Aは記録色に関するデータを色信号として出力することになる。
なお、具体的には色分離テーブル231Aはプレスキャン専用に使用するものであり、本実施形態においては、別個に像形成プロセス専用の色分離テーブルを設けてあり、ここでは詳述しない。
特定コードデータとは、特定原稿の下地色又は特定原稿に印してある特定マークに施した色が反射する光の波長成分であることを示すコードデータであり、特定マークとは文字又は記号等及び外枠とからなるものであり、特定マークは色分離マップで赤あるいは青と判別されるものであれば良い。本実施形態ではカラーコードデータのうちのLMBに相当するビットである。
カラーコードは仕様によって決まる。例えば表4に示すものである。
図6に示す色分離マップによれば、特定色領域は赤系統の領域に設けてあるので、カラーコード”110”がある、これに限定されるものではなく、図6に示す色分離マップ中のどの領域にでも特定領域を設定でき、更に複数の領域を前述した図5に示す設定手段232により設定できる。
濃度データ=(Vr+Vc)/2 である。
濃度データはシアン成分の濃度レベルとレッド成分の濃度レベルとの平均したレベルである。
色分離テーブル231Aは、前述の構成を備えることによりデジタル画像信号Vr,Vcに対応する記録色に対応するカラーコードデータ及び濃度データからなる8ビットの色信号を出力することができる。
カスレ補正手段236は高速なROMにカスレ補正用のカラーコードデータを書き込んであり(以下、これを単にカスレ補正ROMということもある。)、色分離テーブル231Aから送出される7画素分に相当するカラーコードデータ列におけるLMBによって注目画素に関連する色領域を決定し、残りの6画素分に相当するカラーコードデータ列からROMの記憶領域におけるアドレスを決め、当該アドレスに格納されたカラーコードデータに修正する。具体的には、カスレ補正手段236は、枠線色に挟まれた白が3画素以内のときに白を枠線色に補正するものであり、表8から表10に示す1ドット用から3ドット用のカスレ補正パターンを主走査、副走査共に一致したときに白を枠線色に補正して色信号を切れ補正手段237及びMTF補正手段233に送出する。カラーゴースト補正と共用して補正パターンを切り換えて使用してもよい。カラーゴースト補正については上述してあるのでここでは省略する。
ここで、カスレ補正ROMにおけるアドレスとデータとの関係について表5〜表7を用いて説明する。
本実施形態においては、単一のROMに全色領域に対応するルックアップテーブルを書き込むことも可能であるが、後の修正における便宜を考慮して各色毎に独立のメモリ領域、例えば個別のROMに書き込んである。ここでは、データS7は色領域又は色領域に対応したROMを指示するデータである。例えば白/青は白領域もしくは白領域を書き込んだROM又は青領域又は青領域を書き込んだROMのいずれを指示してよいことを示してある。
表5及び表6において、ルックアップテーブルのデータ構造はROMの記憶領域におけるアドレスデータと対応するカラーコードデータ列S1〜S6と注目画素のカラーコードを修正すべきカラーコードデータ等からなる。例えば、補正のドット数1に対応するテーブルにおいてデータS4は注目画素に対応するカラーコードデータである。データS1〜S3,S5,S6は周辺画素に対応するカラーコードデータである。
補正のドット数とはカラーコードを修正すべき対象となるドット数を示すものである。
表7は表5及び表6とほぼ同様なものを示してあるが、バグ補正用の補正パターンを示したものである。
切れ補正手段237は、枠線と文字が交差するときを識別して補正処理するものであり、枠線の幅が5ドット以上であるとき、具体的には表11に示すいずれか同一の切れ補正パターンを主走査、副走査共に一致したときに枠線に接している線、文字を主走査方向、副走査方向に0.5mmまで補正するものである。
表11は主走査方向又は副走査方向におけるドット列を示したものであり、ドットの大きさは8ドットで原稿上の0.5mmに相当する。xはカラーコードデータが無いこと若しくはダミーデータを示している。ここで1〜15は切れ補正パターンの識別番号であり、識別番号9〜13は補正できない枠線の太さに相当したカラーコードに対応している。補正できる範囲は識別番号1〜8である。
領域検出手段238は、枠線色の検知部分を『1』、その他の部分を『0』として読み込んで現ラインにおける領域区間を決定し、全ラインにおける領域区間に対して共通部分を持つ読み込み情報の最初の立ち上がりから最後の立ち下がりまでに対応する領域区間を『1』その他の区間を『0』とし、領域信号と読み込み情報との変換領域信号として信号抽出回路239に送出する。これらの処理動作を1ライン毎にリアルタイムに繰り返す。
信号抽出回路239は、図8に示すように枠線内外検出回路239A,モードコントロール239B,濃度データ検出回路239Cから構成され、色領域信号及び処理モード信号に指定された画素の濃度データを抽出するものである。
枠線内外検出回路239Aは、領域検出手段238から送出される領域信号RQN,BQNにより、あるドットが枠線の内外のいずれにあるかを検出するものであり、例えばMTF補正手段233から送出される画像信号が特定マークを構成する枠線の内外のいずれにあるかを指示する信号である。
モードコントロール239Bは操作パネル210から指示され、例えば、マーカーモード、反転モード、通常モード等を指定するモード信号及び枠線内外検出回路239Aから送出される出力信号により枠線の内外いずれかから画素を抽出するかを指定する画素選択信号DSSを送出するものである。
濃度データ検出回路239Cは、画像選択信号DSSに基づいて選択された画素の濃度信号及びカラーコード信号を制御部230に送出するものであり、例えばMTF補正手段233から送出される画像信号のうちカラーコードをモードコントロール239B及び制御部230に出力し、濃度信号についてはバッファ239CA,239CBを介して選択回路239CCに入力する。選択回路239CCは画素選択信号DSSにより選択的に濃度データを制御部230に送出することになる。
MTF補正手段233は、本実施形態においてはハードウエアでのリアルタイム処理を考えて大きさ3×3のコンボリュージョン・フィルタを用いて行う。コンボリュージョンとは画像データとデジタル・マトリックス状のコンボリュージョン・フィルタと相互相関を行い、マトリックス内の数値配列に等しい成分を画像データから抽出するための処理である。3×3のコンボリュージョン・フィルタの具体例を表12及び表13を用いて説明する。
表12は文字型原稿用のコンボリュージョン・フィルタの一例を示すものである。
表13は写真型原稿用のコンボリュージョン・フィルタの一例を示すものである。
制御部230は、特定原稿に印された特定マークの色と対応する色領域を示す特定色領域データと、特定原稿に印された特定マークを構成するサンプリングデータ数を示す特定マーク度数データを記憶する第1カウンタCNT1と、サンプリングされるデジタル画像データのうちの特定色領域内にあるデジタル画像データの総度数をカウントする第2カウンタCNT2と、第2カウンタCNT2からのカウント値と特定度数データとを比較する比較手段CMPとを備えることにより、特定マークを図6に示す色分離マップにおける色領域及び特定マークを構成するドッド数から特定するものであり、第2カウンタCNT2は特定マークのうち外枠を除いてサンプリングドット数を計数してもよいし、又、特定マークを構成する外枠を含めてサンプリングドット数を計数するようにしてもよい。ここで、特定色データとは色領域を示すカラーコード及び濃度データからなり、図6に示す色分離マップにおける色領域を濃度と色領域から特定するデータである。
以下に本実施形態の画像再生装置200のプレスキャンにおける処理動作を図3、図6から図8及び図10を用いて説明する。
オペレータはプラテンカバーPKを開閉してプラテンガラスPG上に原稿OGを載置する。次に操作パネル210から複写枚数を設定してコピースイッチを押圧すると、図10に示すように制御部230は光源202を点灯して原稿OGに白色光を短冊状に照射しながら所定の速度で移動する。制御部30はVミラー部M2を光源2の移動速度の1/2の速度で同方向に移動させる。これにより原稿OGは読み取り走査されることにより、原稿OGから反射する光は第1ミラー3,第2ミラー4、第3ミラー5を介してダイクロックミラーDMによりレッド成分とシアン成分に分光して結像レンズ206によりレッド用ラインセンサLS1及びシアン用ラインセンサLS2上に結像する。この画像読取部AAによる走査は画像形成プロセス前に行われる所謂プレスキャンである。
なお、判別処理のためのサンプリング範囲は図3に示す斜線の主走査方向100mm,副走査方向162mmの範囲であり、例えば、主走査方向1mm、副走査方向0.25mm毎にデータをサンプリングするので、約64800ポイントのサンプリングデータが得られることになる。本実施形態においてもプレスキャンによる動作処理としてEE処理及びAPS処理を実行しているが、ここでは詳述しない。
プレスキャンによりレッド用ラインセンサLS1及びシアン用ラインセンサLS2から出力される電流IR,ICはそれぞれA/D変換器AD1,AD2でシェーディング補正と同時にA/D変換されて6ビットからなるデジタル画像信号Vr,Vcに変換されて色分離テーブル231Aに送出される。色分離テーブル231Aはデジタル画像信号に対応する8ビットからなる色信号をカスレ補正手段236に送出する。
カスレ補正手段236は色分離テーブル231Aから送出される7画素分に相当するカラーコードデータ列におけるLMBであるデータS7によって注目画素に関連する色領域を決定し、これに対応するカスレ補正ROMを選択し、残りの6画素分に相当するカラーコードデータ列を表5に示すカスレ補正パターンS1〜S6と比較する。ここで、6画素分に相当するカラーコードデータ列が表5に示すカスレ補正パターンS1〜S6と一致しなければ、カスレ補正手段236はそのまま色信号を切れ補正手段237及びMTF補正手段233に送出することになる。一方、6画素分に相当するカラーコードデータ列が表5に示すカスレ補正パターンS1〜S6と一致したならば、カスレ補正手段236は選択したカスレ補正ROMの記憶領域におけるアドレスを決め、当該アドレスに格納されたカラーコードを示すカラーコードデータに修正する。具体的には、カスレ補正手段236は、枠線色に挟まれた白が3画素以内のときに白を枠線色に補正するものであり、表8から表10に示す1ドット用から3ドット用のカスレ補正パターンを主走査、副走査共に一致したときに白を枠線色に補正して色信号を切れ補正手段237及びMTF補正手段233に送出する。これにより、表5の補正結果に示すようにカラーコードを修正することによりカスレ補正することになる。
切れ補正手段237は、カスレ補正手段236から送出される色信号中のカラーコード列と表12に示すいずれか同一の切れ補正パターンを主走査、副走査共に一致するか否かを検出する。仮に一致していれば、枠線の幅が5ドット以上であることを条件に注目画素に対応する色信号中のカラーコードを枠線色に補正処理し、補正したカラーコードを領域検出手段238に送出する。これにより、枠線に接している線、文字を主走査方向、副走査方向に0.5mmまで補正することになる。
領域検出手段238は、切れ補正手段237から送出されるカラーコードにより枠線色の検知部分を『1』、その他の部分を『0』として読み込んで現ラインにおける領域区間を決定し、全ラインにおける領域区間に対して共通部分を持つ読み込み情報の最初の立ち上がりから最後の立ち下がりまでに対応する領域区間を『1』その他の区間を『0』とし、領域信号と読み込み情報との変換領域信号として信号抽出回路239に送出する。これらの処理動作を1ライン毎にリアルタイムに繰り返す。
MTF補正手段233は操作パネル210からのモード指定信号により表7に示す文字型原稿用又は表8に示す写真型原稿用の大きさ3×3のコンボリュージョン・フィルタを用いてマトリックス内の数値配列に等しい成分を濃度データから抽出して8ビットの色信号として信号抽出回路239に送出する。
図8に示す枠線内外検出回路239Aは、領域検出手段238から送出される領域信号RQN,BQNにより、MTF補正手段233から送出される色信号が特定マークを構成する枠線の内外のいずれにあるかを指示する内外信号をモードコントロール239Bに送出する。
モードコントロール239Bは図7に示す操作パネル210から指示されるモード信号及び内外信号により枠線の内外いずれかから画素を抽出するかを指定する画素選択信号DSSを濃度データ検出回路239Cに送出する。
濃度データ検出回路239Cは、画像選択信号DSSに基づいて選択された画素の濃度データ信号及びカラーコード信号を制御部230に送出するものであり、例えばMTF補正手段233から送出される画像信号のうちカラーコードをモードコントロール239B及び制御部230に出力し、濃度データ信号についてはバッファ239CA,239CBを介して選択回路239CCに入力する。選択回路239CCは画素選択信号DSSにより選択的に濃度データを制御部230に送出する。このように画素選択信号DSSが枠線の内側を指定するものであれば、色分離テーブル231Bから送出される色信号を特定マークを構成する枠線の内側にある色信号を抽出して制御部230に送出する。又、画像選択信号が枠線の内外のいずれをも指定していなければ、信号抽出回路239は色信号を抽出せずにそのまま送出する。この色信号は説明の便宜上、非抽出色信号という。
制御部230は、濃度データ検出回路239Cから送出される非抽出色信号と特定色領域データとを比較する。ここで一致しなければ、制御部230は第1カウンタCNT1をインクリメントしないが、一致したならば、制御部230は第1カウンタCNT1をインクリメントする。これにより、特定原稿に印された特定マークを構成するサンプリングデータ数を示す特定マーク度数データを第1カウンタCNT1に記憶保持することになる。
又、制御部230は、濃度データ検出回路239Cから送出される抽出色信号と特定色領域データとを比較し、一致したときのみに第2カウンタCNT2をインクリメントする。これにより、特定マークを構成する枠線を除いた文字又は記号等を構成するドットの度数を第2カウンタCNT2に記憶保持することになる。
制御部230は第2カウンタCNT2に保持されたカウント値と特定度数データとを比較手段CMPで比較し、一致したならば、原稿OGは特定原稿であると識別することになる。このようにして、制御部230は特定マークを図9に示す色分離マップにおける色領域及び特定マークを構成するドッド数から原稿OGと特定原稿を識別することができる。なお、前述の比較演算で一致しないならば、原稿OGは特定原稿でないとする。
本実施形態においては第2カウンタCNT2は特定マークのうち外枠を除いてサンプリングドット数をインクリメントしたがこれに限定されるものでなく、又、特定マークを構成する枠線を含めてサンプリングドット数をインクリメントするようにしても同様なことができる。
上述したように本実施形態の画像再生装置200は、特定原稿を識別するためのデータとして例えば図6に示す色分離マップにおける特定色領域データ及び特定マークを構成するドット数に関するデータのみしか備えないので、多数の特定原稿を登録したにも拘わらず複写機能の低下を防止できると共にカスレ補正手段236及び切れ補正手段237を備えたので、オペレータは特定原稿を作成する際に特定マークを不鮮明に押印した場合とか、或いはMTF特性の低下に起因する特定マークのカスレに影響されることなく確実に特定原稿の複写を防止する画像再生装置を提供することができる。
なお、本実施形態の画像再生装置200においてゴースト補正を行っていないが、これと併用すれば、CCDの取り付け精度、CCDの反り、曲がり及び経時変化に起因するCCD間の画素ずれ、赤、青倍率及びMTFの不一致、レンズ色収差に起因する赤、青出力レベル差に起因するカラーゴーストに影響されることなく、確実に特定原稿を識別することができる。