JP2006119127A - バイオセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】在宅の血液分析するために、簡便な方法で血漿成分を抽出する必要がある。遠心分離による成分抽出方法があるが、採血した血液を大気中に暴露すると、血液凝固を起こして血餅を作ったり、血液中の水分が蒸発して正確に血液成分を分析できないという問題があった。
【解決手段】遠心力により比重に応じて成分を分離するバイオセンサであって、血漿または血清成分より比重の小さい密閉ゲルを予めバイオセンサの内部に充填しておく。血液をバイオセンサに吸い上げて、分析装置の回転台に取り付けて、回転して遠心力を加える。分離空洞では、比重に応じて成分が分離され、比重の大きい血球成分、血漿成分、密閉ゲルの順に整列する。密閉ゲルによって開放端を塞ぐことができ、血液が大気に触れることはなく、血液中の水分蒸発を防ぐ。
【選択図】図1

Description

本発明は、遠心力により血液を分離した後に、血液中の特定成分を分析するバイオセンサに関する。
近年、ライフスタイルの変化により高血圧、糖尿病、高脂血症患者が増えてきた。これらは生活習慣病と呼ばれ、動脈硬化の危険因子である。国や自治体では、生活習慣を修正して、脳卒中死亡率、虚血性心疾患死亡率、総循環器疾患死亡率を低下させることを目指している。しかしながら、患者自身は、健康診断によりこれらの疾病が見つかったとしても、自覚症状がないために治療を怠り、病状を悪化させてしまうことが少なくない。
生活習慣病では生活管理が重要な治療方法であり、医師、看護師、薬剤師などの医療従事者は、治療のためのさまざまな指導も行っている。しかし、実際には日常生活での忙しさや怠慢で、これを十分に自己管理できないことが多い。さらに、医療従事者が患者の日常生活の中で、実際に指導内容を実施しているかを確認することは、極めて困難であり不可能である。このような背景から、患者は本人の強い意志で、薬物療法、食事療法、運動療法を継続して実践していく必要がある。そのために、医療機関で行われる検査に加えて、在宅でも自らの手で病態を把握することは有効であると期待されている。なぜならば、患者自身が検査して、得られた検査結果から生活習慣の改善点と今後の課題の振り返りをしたり、治療の目標を達成したときに充実感を感じて、自己管理行動が強化されるからである。そしてこのことが、治療意識の維持や向上に繋げることができ、生活習慣病の治療と予防に大きな成果があると期待されている。そこで、患者が自ら在宅で検査を行えるように、在宅用の検査機器の開発が盛んに行われている。
臨床診断分野の血液検査では、採血した血液から血液中の特定成分を分析することによって、被検者の疾病状態や治療回復状態などを把握している。検査対象としては、採血した血液を成分別に分離し、被分析物を含んでいる一方の試料だけを分析するのが普通である。血液の生化学検査の項目では、血清成分を対象とすることが多い。新鮮な血液を放置すると血液凝固が起こるので、30分以上放置して十分に凝固させて血餅を作ってから、血球成分と血液凝固因子を除いた血清成分を抽出して測定されることが多い。この分離には比重差を利用した遠心分離で行うのが普通である。全血検体を試験管や採血管などに入れて、室温で30分以上放置した後に、遠心力によって血球成分と血液凝固因子を沈殿させて、上清みの血清を得る方法である。このときに、凝固促進剤を用いることもある。また、採血した血液にヘパリンなど抗凝固剤と混ぜてから、遠心分離を行うことによって、血清成分にはないフィブリノーゲンなどを含む血漿成分を抽出することもある。
この分離操作を容易にする目的で、分離すべき両成分の中間の比重を有する血液分離剤が、特に遠心分離において利用されている。このような血液分離剤の存在下で血液を両成分に遠心分離すると、比重差により血液分離剤が両成分の間に位置して、両成分を隔てる隔壁となるため、上清みである血清成分または血漿成分を、容易に下層の沈降成分から完全分離することができる。そのため、血液サンプルとして必要な成分の方だけを完全に取り出して、正確に検査することができ検査精度が向上する。
この血液分離を行う血液分離管としては、採取した血液を他の管に移す手間とその際の血液ロスをなくすことができることから、採血管がそのまま使用されることが多い。採血管は密栓できる試験管であって、採血管の内部に少量の血液分離剤が予め充填されている。
この血液分離剤はゲル状であり、血漿と血球成分の中間比重1.038〜1.052、形状維持できる動粘度3000〜6000mm2/sであって、採血管などの容器に充填できる。このゲル状血液分離剤は、例えば比重0.87のポリブテンを主材料の疎水性液状樹脂として、粘着性付与剤と、比重調整用の無機充填材と、チキソトロピー性付与剤を配合してゲルを調製している。
特許文献1によれば、内部が減圧された真空採血管が開示されている。採血方法は、まず採血器具に取り付けられた採血針を血管に穿刺する。次に、採血針の後端に形成されている穿刺針を、天然ゴムでできたシール性部材に刺して、穿刺針を真空採血管の内部に挿入する。そうすると、血液が真空採血管に流入する。採血が完了したら、採血器具を採血管から取り外す。シール性部材は穿刺孔を密封して、採血管内部の気密性を保持する機能が備えられている。つまり、自動分析装置などに運ばれるまで時間、採取した血液を大気に曝露されることなく、気密性を保持して輸送することができる。
在宅検査に使用される検査機器の代表例としては、血液中のグルコース濃度(血糖値)を測定する自己血糖測定機がある。現在広く用いられている自己血糖測定機は、被検者自身が指先や腕に穿刺針を刺して、出血した少量の血液サンプルを利用するものである。
血糖値とは正確に言えば、血清中のグルコース濃度のことである。最も一般的なグルコース濃度の計測法は、酵素電極を用いた方法であるが、全血をバイオセンサに供給して測定している。
バイオセンサ内部の酵素反応槽では、血球を溶血させることなく、血清中のグルコース濃度に応じた電流をアンペロメトリ法で測定している。つまり、この場合には血球成分を分離せずに、血清中の特定成分の濃度を測定しているが、前述したように一般的には、血球成分と血液凝固成分を分離して、血清成分のみを抽出してから分析することが多い。在宅での検査項目を血糖値だけでなく拡大するためには、血清または血漿成分の抽出技術は欠かせない。
特開平6−189944号公報(第3−5頁、第1図)
生活習慣病の治療を支援するために、在宅の血液分析機器が開発されている。在宅で患者が自らが採血できる方法は、指先や腕を穿刺して微量な血液を得る方法に限られ、得られる血液は50マイクロリットル以下である。また、医療現場ではよく用いられる血液を真空採血管に挿入して、遠心分離後に上清みを抽出する方法では、少なくとも2ミリリットルの血液量を必要とする。つまり、真空採血管により血液成分を分離する方法は、在宅の血液分析機器には応用できないという問題があった。
また、自己血糖測定機の場合には、全血をバイオセンサに供給して、血清中のグルコース濃度を測定できる。しかし、グルコース濃度以外の項目を検査する場合には、血球を溶血させることなく検査することは、一般的に不可能である。
そこで、自己血糖測定機のバイオセンサのように、微量の血液(全血)を吸い上げて、遠心分離によって血球成分を分離して、血清または血漿成分を抽出する方法が考えられる。この遠心分離の条件は、回転速度を3000min-1以上で、5分間、遠心分離機で回転させることがよくある。このとき、採血した血液がバイオセンサに吸い上げられているとしても、大気中に暴露されていると、血液凝固を起こして血餅を作り正確に分析できない、または、血液中の水分が蒸発して正確に濃度測定できないという問題があった。
そこで、本発明のバイオセンサは、以下に示す構成を採用する。
すなわち、本発明のバイオセンサは、遠心力によって比重に応じて成分を分離する分離空洞を備えたバイオセンサであって、血漿成分または血清成分より比重の小さい密閉ゲルを流路または分離空洞に予め充填しておき、遠心力を加えると、密閉ゲルによって血液の出入り口である開放端が塞がれることを特徴とする。
また、本発明のバイオセンサは、毛細管現象により血液を吸い上げて、一時的に貯める吸引空洞を備え、吸引空洞に貯められた血液が遠心力によって分離空洞に導かれることが好ましい。
さらに、本発明のバイオセンサは、密閉ゲルは、血液に対して不溶性または不揮発性であることがより好ましい。
(作用)
バイオセンサは血液を吸引空洞に吸い上げる。バイオセンサを分析装置の回転台に取り付けて、バイオセンサを回転して遠心力を加える。分離空洞では、比重に応じて成分別に分離される。バイオセンサ内部には、予め密閉ゲルが充填されているので、比重の大きい血球成分、血漿成分、密閉ゲルの順に整列する。血液が大気に触れないように、密閉ゲルによって開放端が塞がれる。
本発明のバイオセンサは、指先や腕に穿刺針を刺して、出血した少量の血液を採取した直後に、遠心分離によって成分別に分離して、被分析物を含んでいる一方の試料を分析する。この遠心分離のときに、高速回転で長時間遠心分離させていても、採取した血液は大気に触れることはなく、密閉ゲルによって開放端が塞がれる。そのことによって、血液中の水分は蒸発することがないので、分析対象となる血液濃度の変化を抑えることができる。そして、在宅で使用する簡易的な分析機器であっても、正確に分析できるバイオセンサを提供することができる。
また、グルコースなどの分析対象物質からグルコースオキシダ−ゼなどの酸化酵素によって、過酸化水素を生成させて、色素前駆体と過酸化水素との反応が起こり、生成した色素を光学的に定量することによって、特定の分析対象物質を測定する方法がある。このように生成した色素の中には、空気中の酸素または反応液中の溶存酸素によって、分解する不安定な化合物である場合がある。
また、分析対象物質を酸化酵素によって酸化反応を起こさせ、それに伴い生じた電子メディエーターの還元体を、電極で酸化するときの電気化学応答から分析対象物質の量を求める方法がある。この際、酵素反応を一定時間行い、その間の電子メディエーターの還元体を蓄積し、一定時間後に蓄積された電子メディエーターの還元体を電極で酸化して、大きな電気化学的応答をさせることによって、分析対象物質を高感度に測定する方法がある。しかしながら、空気中の酸素または反応液中の溶存酸素による酸化反応の影響を受け、測定に誤差を与えていた場合がある。
しかしながら本発明では、遠心力を加えることによって血液が移動した直後から、血液は空気中の酸素に触れることがないように、密閉ゲルによって開放端が塞がれる。そのことによって、血液の移動直後から始まる、分析対象物質の測定のための酸化/還元反応を正確に測定することができる。
さらに、採取した血液は大気に触れることはなく、密閉ゲルによって開放端が塞がれることによって、採取した血液を凝固させずに、血漿成分を分析することが可能になった。
つまり、血液に抗凝固剤を混ぜなくても、凝固させずに血漿成分を分析できるのある。このことによって、血漿成分に含まれる血液凝固因子も分析できるようになった。従来の血漿成分の分析では、採取した血液に抗凝固剤を混ぜてから、遠心分離していたために、抽出された血漿成分には抗凝固剤を含んでしまっていた。さらに、混ぜる抗凝固剤の種類は、分析対象の項目や分析方法によって使い分ける必要があったが、その抗凝固剤の選択に関する煩わしさもなくなった。
また、採血した血液を大気中にしばらく放置した後に、遠心分離して血清成分を抽出して血清成分を分析することもできる。勿論、血液凝固促進剤を加えて遠心分離することによって、凝固因子を確実に取り除いた血清成分の分析もできる。
また、予めバイオセンサの分離空洞または流路に密閉ゲルを充填しているので、在宅検査で使用するときには、血液凝固を防止するための特別な試薬や、水分蒸発を防止するための特別な操作を必要としない。つまり、抗凝固剤を添加したり、密閉キャップを閉める必要はなく、検査のための操作を簡便化することができる。勿論、遠心分離した後に、抽出した成分を別の容器に移す必要がなく、検査装置も単純な遠心機能を備えるだけでよいので、在宅の使用に適したシステムを提供することができる。
(実施例1)
図2は、本発明のバイオセンサの一実施例を示す外観図である。バイオセンサ1は、下板20、電極基板10を貼り合わせた構造になっている。バイオセンサ1の一方の側面には吸引口21があり、他方の側面には空気口22がある。その吸引口21と空気口22の間には、下板20と電極基板10に挟まれた部分に隙間が設けられている。この隙間は吸引空洞23であり、血液を吸い上げて一時的に貯める空間である。血液は吸引口21から毛細管現象により吸い上げられ、吸引空洞23を満たす。空気口22からは吸引空洞23にあった空気が抜け出るようになっている。バイオセンサ1の裏面にはコネクタ窓26があり、コネクタ窓26の奥には図示していないが、コネクタ端子12が配置されている。コネクタ端子12は、分析装置と電気的に接続して電気化学的測定を行うために、電極基板10に設けられた接点用の金属端子である。
図3は、バイオセンサ1の分解斜視図である。下板20は透明プラスチックであり、吸引空洞23、分離空洞24および流路25の血液運搬用の溝が掘られている。吸引空洞23には血液4が吸い上げられた状態を示している。分離空洞24は下板20に掘られた溝と電極基板10に挟まれた空間であり、上下面と側面を塞がれ、流路25からのみ血液4及び密閉ゲル3を流し込む開放端を備えた構造になっている。流路25には、密閉ゲル3が充填してある。血液4は遠心力によって吸引空洞23から流路25を通って、分離空洞24に導かれ、密閉ゲル3も分離空洞24に導かれる。このとき、分離空洞24にあった空気は開放端を通って分離空洞24の外側に押し出される。さらに、裏面からコネクタ端子12と電気的に接続するためにコネクタ窓26があけられている。電極基板10は、例えばポリイミドフィルムのFPCであり、コネクタ窓26の上面位置にコネクタ端子12と、分離空洞24の上面位置に電気化学測定のための電極が配置されている。作用極と対極は金電極であり、作用極の表面には酸化還元酵素と電子メディエータを含む酵素反応層が形成されている。参照極は銀−塩化銀電極である。例えば、グルコースのバイオセンサの場合には、酸化還元酵素にはグルコースオキシダーゼが、また電子メディエータにはフェリシアン化カリウムなどがそれぞれ用いられる。
次に、図2及び図3を用いて、穿刺で得られた血液を吸引してから、遠心機能が付いている分析装置2で分析するまでのバイオセンサ1の動作について説明する。まず、採血部位である指先に穿刺針を刺して、分析に必要な血液量以上の血液を出す。分析に必要な血
液量は例えば約10μLであり、この必要な血液量を吸い上げるために、吸引空洞23の容積はこの必要な血液量と同量になっている。そして、血液(全血)をバイオセンサ1の吸引口21に接触させる。血液4は毛細管現象によって吸引されて、吸引口21から空気口22までの吸引空洞23を満たす。このとき、流路25および分離空洞24によって形成される空間は、閉じた空間になっている。そのために、流路25および分離空洞24の内部の空気は抜け出ない構造になり、血液4は流路25の方向には流れ込まない。なお、吸引された血液4は、透明プラスチックの下板20の裏面から確認することができる。もしも、血液を十分に吸引できず吸引空洞23を満たしていない場合には、再度、指先の穿刺部位から血液を出して、吸引口21から追加して吸上げる。
次に、図4を用いて、バイオセンサ1を取り付ける遠心機能付きの分析装置2の構造について簡単に説明する。ただし、図4は分析装置2の遠心機構部の概略構造だけを示すものであり、電気化学測定部、表示部及び操作スイッチ部などは省略している。分析装置2の遠心機構部は、回転台30、モーター31、コネクタバネ32から構成されている。回転台30は、バイオセンサ1を取り付けて、高速で回転する取り付け台である。モーター31は、回転台30及びバイオセンサ1を回転させるための駆動モーターであり、例えばステッピングモーターが使用されている。ステッピングモーターは、回転速度を一定に制御する他に、徐々に回転速度を上げることや下げることができる、さらに停止位置を制御することも可能である。コネクタバネ32は、バイオセンサ1のコネクタ端子12と、分析装置の電気化学測定部とを電気的に接続する接点である。ここで、バイオセンサ1で分析するときには、遠心機能付きの分析装置2の回転台30に、吸引空洞23が回転中心側、分離空洞24が回転外周側となるように取り付ける。分析装置2の操作スイッチを押すと、回転台30が回転を始める。回転速度は徐々に上がり、最高回転速度は例えば3000min-1で、5分間継続する。回転中心から分離空洞24の先端までの回転半径が10cmの場合には、分離空洞24の先端での遠心力は、重力のおよそ1000倍になる。
図1はバイオセンサ1で遠心分離した状態を示す分解斜視図である。図3及び図1を用いて、バイオセンサ1の内部空洞にある血液4及び密閉ゲル3の移動過程について説明する。まず、血液4を採取して遠心力を加える前の状態では、図3に示すように密閉ゲル3は流路25にあり、血液4は吸引空洞23を満たしている。その後、バイオセンサ1を取り付けた回転台30を回転させて、遠心力を加える。そうすると、吸引空洞23にある血液4は、遠心力によって流路25を通って分離空洞24に導かれる。そして、流路25に充填されていた密閉ゲル3も分離空洞24に移動する。血液4は比重によって血球成分41と血漿成分42に遠心分離を始める。血漿成分42の比重は血球成分41に比べて小さく、また密閉ゲル3の比重は血漿成分42よりも小さい。そこで、分離空洞24では回転半径の遠い方から、血球成分41、血漿成分42、密閉ゲル3の順番に移動する。この回転時間は約10秒程度でもほぼこの順に整列する。つまり、採取した血液(血球成分41と血漿成分42)は大気に触れないように、流路25との出入り口である開放端を、密閉ゲル3によって塞いだ状態となる。そのことによって、血液中の水分は蒸発することがなくなり、また血液凝固することもない。さらに、血漿成分42は空気中の酸素に触れることがないように密閉ゲル3によって塞がれるので、空気中の酸素による酸化反応は起こらない。なお、酵素反応層11は、分離空洞24の血漿成分42が抽出される位置に配置されている。また、本実施例では、密閉ゲル3は流路25に予め充填して密着させていたが、遠心力を加えた後に充填位置から剥がれて移動できればよいのである。そこで、分離空洞24の奥の位置に、予め密閉ゲル3を充填しておき、血液4が充填位置に移動してくることによって、密閉ゲル3を血液4に浮上させることによって移動させてもよい。
次に図4及び図1を用いて、分析装置2の動作について説明する。回転台30の回転運動は、約10秒間で血液4は分離空洞24に移動して、血球成分41と血漿成分42にほぼ分離できる。さらに継続して回転台30を5分間回転させると、血球成分41と血漿成分
42の分離精度は向上する。遠心分離のための回転が終ると、バイオセンサ1を取り付けた回転台30は停止位置に止まるように制御される。分析装置2のコネクタバネ32は、バイオセンサ1のコネクタ端子12に接続する。そして、酵素反応層11では酵素反応が起こり、バイオセンサ1の電気化学測定が行われる。
ここで、密閉ゲル3の特性は、血漿成分42の比重よりも小さいことは前述した通りである。密閉ゲル3の好ましい特性としては、密閉ゲル3が血液に対して不溶性であることが挙げられる。密閉ゲル3の成分が血液中に溶け出してしまったのでは、正確に血液中の成分を分析することはしにくくなる。また、血液に対して化学反応を起こさないことも好ましい特性として挙げられる。密閉ゲル3が血液に対して化学反応を起こしたり、電気化学測定のときに阻害反応を起こしてしまったのでは、正確に血液中の成分を分析することはしにくくなる。さらに、密閉ゲル3は不揮発性であることも、好ましい特性のひとつである。密閉ゲル3の揮発性が高くては、遠心分離の5分間の回転途中で、密閉ゲル3がなくなり、流路25との出入り口である開放端を塞げなくなる。このような状態になってしまうと、血液中の水分は蒸発することになり、また血液凝固することになる。さらに、空気中の酸素に触れることによって、測定原理に起因しない酸化反応が起こり、正確な測定の妨げとなる。ここまで揮発性が高くなくても、バイオセンサ1の内部に、密閉ゲル3を予め充填して保管されるので、保管の途中で密閉ゲル3が揮発してなくなってしまったのでは、密閉ゲルとしての機能を果たさないので、好ましくは不揮発性であることが挙げられるのである。
(実施例2)
図5及び図6は、本発明のバイオセンサの他の実施例を示す模式図であり、図5は遠心分離前、図6は遠心分離後の模式図である。なお、電極基板10を図示せずに下板20の上面図を示した。ここに示した吸引空洞23、流路25、分離空洞24、密閉ゲル3、血球成分41、血漿成分42は、図1に示したものと同一機能を有している。図5の遠心分離前の状態を示す模式図を用いて説明する。分離ゲル43は血球成分41と血漿成分42の両成分を隔てる分離するためのゲルであり、血漿と血球成分の中間比重1.038〜1.052であり、例えば1.045である。なお、分離ゲル43は、バイオセンサ1の製造工程で、予め分離空洞24に充填されている。そして、血液4を採取すると、その血液4が吸引空洞23を満たす。なお、密閉ゲル3は、分離空洞24に充填した模式図を示したが、実施例1と同様に流路25に充填してもよい。
図6は遠心分離後の状態を示す模式図を用いて説明する。分析装置2の回転台30にバイオセンサ1を取り付けて回転すると、吸引空洞23にある血液4は、遠心力によって流路25を通って分離空洞24に導かれる。血液4が流れ込むと、分離空洞24に充填されていた密閉ゲル3および分離ゲル43は浮上する。そして、比重によって分離され、回転半径の遠い方から、血球成分41、分離ゲル43、血漿成分42、密閉ゲル3の順に整列する。
以上の実施例では、血漿成分を抽出して分析するバイオセンサを示したが、血漿成分に限るものではない。血球成分と血液凝固成分を沈殿させて分離して、血清成分のみを抽出してから分析するバイオセンサに応用することも可能である。この場合には、凝固促進剤をバイオセンサの内部に予め挿入してもよい。
以上のように、バイオセンサ1の内部に、血漿成分または血清成分より比重の小さい密閉ゲル3を予め充填しておく。バイオセンサ1の吸引空洞23に血液4を採取した後に、遠心機構部の回転台30にバイオセンサ1を取り付けて遠心分離をする。そうすると、分離空洞24では回転半径の遠い方から、血球成分41、(分離ゲル43)、血漿成分42、密閉ゲル3の順番に移動する。つまり、採取した血液4は大気に触れないように、密閉
ゲル3によって、血液4または血球成分41及び血漿成分42の出入り口である開放端が塞がれる。
少量の血液を採取して、血液を遠心力により分離した後に、被分析物を含んでいる一方の試料を分析対象とするバイオセンサに適用できる。特に、採取した血液を大気に触れると、正確に分析できなくなる分析対象の場合には、信頼性の高い分析を可能とする。また、医療施設ではなく在宅検査の場合には、簡便な分析システムを提供することができる。
本発明のバイオセンサで遠心分離した状態を示す分解斜視図である。 本発明のバイオセンサを斜め上方と下方から見た外観図である。 本発明のバイオセンサの分解斜視図である。 本発明のバイオセンサを取り付けた遠心機構部の概略構造図である。 本発明のバイオセンサの遠心分離前の模式図である。 本発明のバイオセンサの遠心分離後の模式図である。
符号の説明
1 バイオセンサ
2 分析装置
3 密閉ゲル
4 血液
10 電極基板
11 酵素反応層
12 コネクタ端子
20 下板
21 吸引口
23 吸引空洞
24 分離空洞
30 回転台
41 血球成分
42 血漿成分
43 分離ゲル

Claims (3)

  1. 遠心力によって比重に応じて成分を分離する分離空洞を備えたバイオセンサであって、
    血漿成分または血清成分より比重の小さい密閉ゲルを流路または前記分離空洞に予め充填しておき、遠心力を加えると、前記密閉ゲルによって血液の出入り口である開放端が塞がれることを特徴とするバイオセンサ。
  2. 毛細管現象により血液を吸い上げて、一時的に貯める吸引空洞を備え、該吸引空洞に貯められた血液が遠心力によって前記分離空洞に導かれることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ。
  3. 前記密閉ゲルは、血液に対して不溶性または不揮発性であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイオセンサ。
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