JP2006118527A - 転がり軸受の潤滑装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構造で軸受の冷却を効率的に行うことができ、また動力損失を増大させないで高速運転できる転がり軸受の潤滑装置を提供する。
【解決手段】 この転がり軸受の潤滑装置は、外輪3に隣接する潤滑油導入部材7から転がり軸受1内に潤滑油を吐出して潤滑するものである。潤滑油導入部材7の潤滑油の流入部17と、この流入部17に連通路9を介して連通して転がり軸受1へ潤滑油を吐出する吐出口8とを、転がり軸受1の円周方向に互いにずらして配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】 この転がり軸受の潤滑装置は、外輪3に隣接する潤滑油導入部材7から転がり軸受1内に潤滑油を吐出して潤滑するものである。潤滑油導入部材7の潤滑油の流入部17と、この流入部17に連通路9を介して連通して転がり軸受1へ潤滑油を吐出する吐出口8とを、転がり軸受1の円周方向に互いにずらして配置する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、工作機械主軸用の転がり軸受等に適用される潤滑装置に関する。
工作機械主軸では、加工能率を上げるため、ますます高速化の傾向にある。主軸の高速化に伴い、主軸軸受ではトルクと発熱量が増加する。そこで、これに対処するために、主軸軸受の潤滑には、ジェット潤滑やエアオイル潤滑が多く用いられている。
ジェット潤滑は、多量の油を軸受内に噴射し、軸受の潤滑と軸受の冷却を同時に行うものであるが、この潤滑法は、軸受を高速運転すると潤滑油の攪拌抵抗が大きくなることから(速度の二乗にほぼ比例)、軸受の動力損失が大きくなり、大容量の駆動モータが必要になる欠点がある。
また、エアオイル潤滑は、搬送エアに潤滑油を混合して油をノズルより軸受内に噴射するものであり、軸受内の油の攪拌抵抗を減じる対策として、内輪外径面に少量の油を付着させ、軌道部まで遠心力と表面張力を利用して給油するようにしたものが提案されている(例えば特許文献1,2)。
例えば特許文献1に開示の潤滑構造では、図6のように、軸受内輪42の一方の幅面に集油部であるスクープ部50が形成されると共に、これに隣接して配置される外輪間座47には、前記スクープ部50に向けて潤滑油を噴射する給油ノズル51が形成されている。また、スクープ部50はノズル孔52を介して内輪42の軌道面に連通しており、給油ノズル51から供給された潤滑油の大部分は、スクープ部50に浸入し、遠心力によりノズル孔52を経てボール44に吹き付けられる。
図6のV部を拡大して示す図7のように、前記外輪間座47の給油ノズル51形成側の端面と、内輪42のスクープ部50の形成側の端面との間には、ギャプ量が0.2mm以下の隙間Cが形成されており、給油ノズル51から供給された潤滑油のうちスクープ部50に入らなかった一部の潤滑油で、外輪間座47の端面に付着したものは前記隙間Cを通り、内輪42の端面に移動する。また、内輪42のスクープ部50の形成側の外径面50aは軸受内側に向けて拡径するテーパ面とされ、さらに内輪端面と前記外径面50aとの交差部は曲面部50cとされているので、内輪42の端面に移動した潤滑油は、内輪42の回転に伴う遠心力で前記曲面部50cから内輪外径面50aに移動して、保持器45の下に供給される。
なお、上記特許文献1では、図6および図7に示す潤滑構造において、内輪42のノズル孔52を省略したもの(図8)も開示されている。
なお、上記特許文献1では、図6および図7に示す潤滑構造において、内輪42のノズル孔52を省略したもの(図8)も開示されている。
ところで、エアオイル潤滑に用いられるエアオイルには、軸受冷却効果がほとんど無い。そこで、エアオイル潤滑を採用する場合には、別途、冷却機構を設ける必要がある。そのような冷却機構として、ハウジングを冷却すると共に、軸の内径部に冷却油を通油することで軸受を冷却するものが知られている(特許文献3〜5)。
特開2001−012481号公報
特開2002−54643号公報
特許第3084356号公報
特開平7−24687号公報
特開平7−145819号公報
しかし、従来の転がり軸受の潤滑装置では、いずれも軸受の冷却効果を十分に得ることができなかったり、動力損失が大きくなるという課題がある。
また、特許文献3〜5の冷却機構では、冷却効果には優れるが、軸の内径側に給油する専用の回転継手部が必要であり、この回転継手部の構造が複雑になるなどの問題がある。 上記特許文献1に開示の潤滑構造(図6〜図8)の場合は、上記のように冷却効果が得られない他に、軸受のサイズが小さかったり、軸受内輪42の厚さが薄かったりした場合に、上記隙間Cを設定できず、適用が難しいという問題がある。また、軸受内部に供給する油量の調整を、給油ノズル51側の供給装置で行う必要がある。
また、特許文献3〜5の冷却機構では、冷却効果には優れるが、軸の内径側に給油する専用の回転継手部が必要であり、この回転継手部の構造が複雑になるなどの問題がある。 上記特許文献1に開示の潤滑構造(図6〜図8)の場合は、上記のように冷却効果が得られない他に、軸受のサイズが小さかったり、軸受内輪42の厚さが薄かったりした場合に、上記隙間Cを設定できず、適用が難しいという問題がある。また、軸受内部に供給する油量の調整を、給油ノズル51側の供給装置で行う必要がある。
この発明の目的は、簡単な構造で軸受の冷却を効率的に行うことができ、また動力損失を増大させないで高速運転できる転がり軸受の潤滑装置を提供することである。
この発明の他の目的は、軸受サイズによらず動力損失を増大させないで高速運転できると共に、簡単な構造で給油量を調整でき、かつ複雑な給油機構を持たずに軸受の冷却を行うことができる転がり軸受の潤滑装置を提供することである。
この発明の他の目的は、軸受サイズによらず動力損失を増大させないで高速運転できると共に、簡単な構造で給油量を調整でき、かつ複雑な給油機構を持たずに軸受の冷却を行うことができる転がり軸受の潤滑装置を提供することである。
この発明の転がり軸受の潤滑装置は、転がり軸受内に、外輪に隣接する潤滑油導入部材から潤滑油を吐出して潤滑する転がり軸受の潤滑装置において、前記潤滑油導入部材の潤滑油の流入部と、この流入部に連通路を介して連通して前記転がり軸受へ潤滑油を吐出する吐出口とを、転がり軸受の円周方向に互いにずらして配置したことを特徴とする。
この構成によると、潤滑油導入部材の潤滑油の流入部と、この流入部に連通路を介して連通する吐出口とを円周方向にずらして配置したため、上記流入部に流入した潤滑油が、上記連通路を周方向に流れてから吐出口から吐出される。このため、潤滑油が潤滑油導入部材の中を流れる距離が長くなり、新たに供給される潤滑油で潤滑油導入部材が冷却される。潤滑油導入部材は転がり軸受の外輪に接しているため、熱伝導により外輪が冷却される。このように、潤滑に使用する潤滑油の流れる経路を長くすることで、冷却効率を高めるため、動力損失を増大させないで高速運転できる。また、複雑な給油機構を持たずに、簡単な構造で軸受の冷却を効率的に行うことができる。
この構成によると、潤滑油導入部材の潤滑油の流入部と、この流入部に連通路を介して連通する吐出口とを円周方向にずらして配置したため、上記流入部に流入した潤滑油が、上記連通路を周方向に流れてから吐出口から吐出される。このため、潤滑油が潤滑油導入部材の中を流れる距離が長くなり、新たに供給される潤滑油で潤滑油導入部材が冷却される。潤滑油導入部材は転がり軸受の外輪に接しているため、熱伝導により外輪が冷却される。このように、潤滑に使用する潤滑油の流れる経路を長くすることで、冷却効率を高めるため、動力損失を増大させないで高速運転できる。また、複雑な給油機構を持たずに、簡単な構造で軸受の冷却を効率的に行うことができる。
この発明において、前記吐出口が1か所であり、前記吐出口と前記流入部とは円周方向に略180°ずらして配置しても良い。
吐出口と流入部とが略180°ずれて配置されていると、流入部から吐出口に至る潤滑油の流路をより長くでき、冷却油による冷却効率がさらに高くなる。また、略180°のずれであると、流入部から吐出口へ連通する連通路を、互いに円周方向の反対方向に進む2本の経路とすることができる。このように2本の経路とすることで、さらに冷却効率を高めることができる。
吐出口と流入部とが略180°ずれて配置されていると、流入部から吐出口に至る潤滑油の流路をより長くでき、冷却油による冷却効率がさらに高くなる。また、略180°のずれであると、流入部から吐出口へ連通する連通路を、互いに円周方向の反対方向に進む2本の経路とすることができる。このように2本の経路とすることで、さらに冷却効率を高めることができる。
この発明において、前記吐出口は内輪の幅面に対向して開口し、前記内輪の外径面は、前記内輪の軌道面側が大径となり、前記吐出口から吐出された潤滑油をこの潤滑油に作用する遠心力と表面張力とで内輪の軌道面に導く斜面部を有するものとしても良い。
この構成の場合、潤滑油導入部材の吐出口から内輪の幅面に吐出した潤滑油が、この潤滑油に作用する遠心力と表面張力とで内輪の幅面側から斜面部に移動して内輪の軌道面に導かれるので、大きな攪拌抵抗が生じず、これによっても動力損失を増大させないで高速運転することができる。
この構成の場合、潤滑油導入部材の吐出口から内輪の幅面に吐出した潤滑油が、この潤滑油に作用する遠心力と表面張力とで内輪の幅面側から斜面部に移動して内輪の軌道面に導かれるので、大きな攪拌抵抗が生じず、これによっても動力損失を増大させないで高速運転することができる。
前記潤滑油導入部材は、前記内輪の斜面部に微小隙間を介して被さってこの微小隙間から前記軌道面へ流れる潤滑油の流量を規制する鍔状部を有するものであっても良い。
この構成の場合、上記微小隙間の隙間量の調整で、微小隙間を流れる潤滑油の流量を調整するので、簡単な構造で給油量を調整できる。
この構成の場合、上記微小隙間の隙間量の調整で、微小隙間を流れる潤滑油の流量を調整するので、簡単な構造で給油量を調整できる。
この発明において、前記内輪は前記幅面に円周溝を有し、前記吐出口は前記内輪の幅面のうちの円周溝の設けられた箇所に対向して開口するものであっても良い。
上記円周溝を設けた場合、吐出口から吐出された潤滑油が円周溝に集油され、その一部が内輪の斜面部から軌道面に流れるので、軌道面の全周に均等に潤滑油を供給できる。
上記円周溝を設けた場合、吐出口から吐出された潤滑油が円周溝に集油され、その一部が内輪の斜面部から軌道面に流れるので、軌道面の全周に均等に潤滑油を供給できる。
この発明の転がり軸受の潤滑装置は、転がり軸受内に、外輪に隣接する潤滑油導入部材から潤滑油を吐出して潤滑する転がり軸受の潤滑装置において、前記潤滑油導入部材の潤滑油の流入部と、この流入部に連通路を介して連通して前記転がり軸受へ潤滑油を吐出する吐出口とを、転がり軸受の円周方向に互いにずらして配置したため、簡単な構造で軸受の冷却を効率的に行うことができ、また動力損失を増大させないで高速運転することができる。
前記吐出口が内輪の幅面に対向して開口し、前記内輪の外径面が、前記内輪の軌道面側が大径となり、前記吐出口から吐出された潤滑油をこの潤滑油に作用する遠心力と表面張力とで内輪の軌道面に導く斜面部を有するものとし、また内輪の斜面部に微小隙間を介して被さってこの微小隙間から前記軌道面へ流れる潤滑油の流量を規制する鍔状部を前記潤滑油導入部材に設けた場合は、軸受サイズによらず動力損失を増大させないで高速運転できると共に、簡単な構造で給油量を調整でき、かつ複雑な給油機構を持たずに軸受の冷却を行うことができる。
前記吐出口が内輪の幅面に対向して開口し、前記内輪の外径面が、前記内輪の軌道面側が大径となり、前記吐出口から吐出された潤滑油をこの潤滑油に作用する遠心力と表面張力とで内輪の軌道面に導く斜面部を有するものとし、また内輪の斜面部に微小隙間を介して被さってこの微小隙間から前記軌道面へ流れる潤滑油の流量を規制する鍔状部を前記潤滑油導入部材に設けた場合は、軸受サイズによらず動力損失を増大させないで高速運転できると共に、簡単な構造で給油量を調整でき、かつ複雑な給油機構を持たずに軸受の冷却を行うことができる。
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。図1(A)はこの実施形態の転がり軸受の断面図を示す。この転がり軸受の潤滑装置は、転がり軸受1の外輪3に隣接する潤滑油導入部材7から吐出する冷却油の一部を潤滑油として転がり軸受1内に供給して、転がり軸受1を潤滑するものである。転がり軸受1は、アンギュラ玉軸受からなり、内輪2と外輪3の軌道面2a,3a間に複数の転動体4を介在させたものである。転動体4は例えばボールからなり、保持器5で保持される。
内輪2の素材は、高速時の大きな嵌め合いフープ応力を考慮して、例えば浸炭鋼とされている。保持器5は外輪案内タイプであり、素材はベーク,PEEK,C/Cコンポジット,アルミ合金,Ti合金(高速時の強度向上)などが望ましい。転動体4は、遠心力低減の観点からセラミック製が望ましい。
この転がり軸受1における内輪2の反負荷側(軸受背面側)の幅面には軸方向に凹陥する円周溝6が形成されている。また、内輪2の前記円周溝6が形成される側の軌道面2aに続く外径面は、軌道面2a側が大径となる斜面部2bとされている。この斜面部2bの傾斜角度αの最小値は、次式の値に設置してある。
α≧0.0667×dn×10-4−1.8333
ただし、dn:軸受内径寸法(mm)と回転速度(min -1)の積である。
この式によると、転がり軸受1が、軸受内径70mmφ、回転速度300000min -1のアンギュラ玉軸受の場合には、前記斜面部2bの傾斜角度αは、
α≧12.8°
となる。
α≧0.0667×dn×10-4−1.8333
ただし、dn:軸受内径寸法(mm)と回転速度(min -1)の積である。
この式によると、転がり軸受1が、軸受内径70mmφ、回転速度300000min -1のアンギュラ玉軸受の場合には、前記斜面部2bの傾斜角度αは、
α≧12.8°
となる。
前記傾斜角度αの最大値は、アンギュラ玉軸受ではα≦25°とすることが好ましい。アンギュラ玉軸受の場合、傾斜角度αが25°を超えると、斜面部2bを設けた側の内輪幅面の径方向幅が狭くなり、この幅面が接する内輪間座16等との接触面積が小さくなって、大きな軸方向荷重を受けられなくなるからである。転がり軸受1がアンギュラ玉軸受である場合、内輪2のステップ面を設ける部分の外径面が上記斜面部2bとされる。
潤滑油導入部材7は外輪3の幅面に接することで、転がり軸受1に軸方向に隣接して設けられるリング状の外輪間座であって、内輪2の幅面のうちの前記円周溝6の設けらられた箇所に対向して開口する吐出口8、およびこの吐出口8に連通路9を介して連通する冷却油の流入部17を有する。
図2は、前記潤滑油導入部材7を軸受配置側から見た正面図である。前記吐出口8は、潤滑油導入部材7の円周方向の1か所に設けられる。前記連通路9は、潤滑油導入部材7の外径面の全周にわたって形成された溝状の円周油路9aと、この円周油部9aの周方向の一部の位置から内径側に向けて延ばして形成された縦油路9bとでなり、縦油路9bの内径側端から軸方向に延ばして前記吐出口8が形成されている。
この潤滑油導入部材7および転がり軸受1を外周側で支持するハウジング26(図1(A)))には、前記円周油路9aに冷却油を流入させる冷却油供給路33が設けられ、この冷却油供給路33の開口が対向する前記円周油路9aの周方向の一部位置が前記流入部17とされている。この流入部17と前記吐出口8とは、転がり軸受1の円周方向に互いにずらして配置されている。具体的には、円周方向に略180°ずらして流入部17と吐出口8とが配置されている。
この潤滑油導入部材7および転がり軸受1を外周側で支持するハウジング26(図1(A)))には、前記円周油路9aに冷却油を流入させる冷却油供給路33が設けられ、この冷却油供給路33の開口が対向する前記円周油路9aの周方向の一部位置が前記流入部17とされている。この流入部17と前記吐出口8とは、転がり軸受1の円周方向に互いにずらして配置されている。具体的には、円周方向に略180°ずらして流入部17と吐出口8とが配置されている。
前記冷却油供給路33および連通路9を経て吐出口8から吐出される冷却油は、内輪2の幅面の円周溝6に吹き付けられ、その一部が遠心力と表面張力とで、円周溝6の内壁面から斜面部2bに沿って内輪2の軌道面2aに潤滑油として流れる。吐出口8の口径は、吐出油のジェット速度を上げる観点から小さい方が好ましい。また、吐出口8のストレート部長さは、吐出油が拡散するのを防止する観点から、直径の4倍程度以上が好ましい。吐出口8の円周溝6側の内輪幅面に対する角度は任意で良い。
潤滑油導入部材7は、その側面から軸受1に向けて軸方向に延び、前記内輪2の斜面部2bに微小隙間δ(図1(B))を介して被さる鍔状部10を有する。この微小隙間δの隙間寸法により、前記微小隙間δから軌道面2aへ流れる潤滑油の流量が規制される。前記吐出口8に対向する内輪2の幅面と前記斜面部2bとが交差する角部は断面円弧状の曲面部2baとされている。なお、潤滑油導入部材7は、内傷の発生防止や取扱性向上の見地から、焼入処理することが望ましい。
前記吐出口8から吐出された冷却油のうち、前記微小隙間δへ潤滑油として流入する流入分を除く残りの冷却油は、潤滑油排出経路11から外部に排出される。この潤滑油排出経路11は、前記潤滑油導入部材7に設けられた排油路12、溝状排油路13や、内輪2の負荷側に接して配置される外輪間座15の排油溝14などで構成される。潤滑油導入部材7の排油路12は、前記吐出口8から円周方向にずらした位置(ここでは吐出口8から180°ずらした位置)に、内径面から外径面に貫通して形成されている。なお、排油路12、溝状排油路13、排油溝14は、円周方向に複数分配して設けても良い。
潤滑油導入部材7の内径面は、前記吐出口8の形成部を除き、内輪2に対向する軸方向の一部分が残り部分よりも大径となった段差面7aとされており、この段差面7aに前記排油路12が開口している。また、潤滑油導入部材7の溝状排油路13は、外輪3の幅面に接する面の一部に、径方向に延ばして形成されている。外輪間座15の排油溝14は、外輪3に接する端面の一部に、径方向に延ばして形成されている。
なお、使用する冷却油としては、動力損失の低減および冷却効率の向上の観点から、ISOの粘度がVG10,VG2以下が望ましい。また、動力損失の更なる低減および冷却効率の向上のためには、冷却油として粘度が小さく熱伝導率が大きい水溶性作動油の使用と、前記潤滑油導入部材7の材料として線膨張係数が低いステンレスを使用することが望ましい。
上記構成の転がり軸受の潤滑装置の作用を説明する。ハウジング26の冷却油供給路33から潤滑油導入部材7の流入部17に圧送された冷却油は、連通路9を経て吐出口8から吐出されて対向する内輪2の幅面の円周溝6に吹き付けられる。円周溝6に吹き付けられた冷却油の一部は、その表面張力と内輪2の回転に伴い冷却油に作用する遠心力とにより、内輪2における円周溝6の外径側の内壁面から斜面部2bに沿って内輪2の軌道面2aに潤滑油として流入する。円周溝6の内壁面から斜面部2bへの潤滑油の移動は、潤滑油の表面張力、潤滑油に作用する遠心力、および斜面部2bの傾斜角度を適正にバランスさせることにより円滑に行わせることができ、遠心力で潤滑油が飛散するのを回避できる。ここでは、内輪2の幅面と斜面部2bとの交差部が曲面部2baとされているので、斜面部2bへの潤滑油の移動がより円滑に行われる。
また、内輪2の斜面部2bに潤滑油導入部材7の鍔状部10が被さって、斜面部2bと鍔状部10との間に微小隙間δが形成されているので、前記流入部17への冷却油の流量を外部から調整することなく、前記微小隙間δを流れる潤滑油の流量を簡単に調整することができる。
前記微小隙間δへ流入する流入分を除く残りの冷却油は、潤滑油排出経路11を構成する潤滑油導入部材7の排油路12、溝状排油路13、および外輪間座15の排油溝14を経て排油ポンプ(図示せず)により外部に排出される。このような経路で排出される冷却油により、転がり軸受1は効果的に冷却される。
前記微小隙間δへ流入する流入分を除く残りの冷却油は、潤滑油排出経路11を構成する潤滑油導入部材7の排油路12、溝状排油路13、および外輪間座15の排油溝14を経て排油ポンプ(図示せず)により外部に排出される。このような経路で排出される冷却油により、転がり軸受1は効果的に冷却される。
このように、この転がり軸受の潤滑装置は、外輪3に隣接する潤滑油導入部材7の流入部17に流入した潤滑油を、連通路9を経て吐出口8から転がり軸受1へ吐出させて潤滑するものであって、前記流入部17と吐出口8とを、転がり軸受1の円周方向に互いにずらして配置しているので、流入部17から吐出口8に至る潤滑油の流路が長くなり、その流路を流れる潤滑油の冷却油としての冷却効率が高くなり、複雑な給油機構を持たずに転がり軸受1の冷却を行うことができる。
また、この実施形態では、1か所の吐出口8に対して、前記流入部17は円周方向に略180°ずらして配置されているので、吐出口8に至る潤滑油の流路をさらに長くでき、冷却油による冷却効率がさらに高くなる。
また、この実施形態では、潤滑油導入部材7の吐出口8から内輪2の幅面に対向して潤滑油を吐出し、この潤滑油に作用する遠心力と表面張力とで内輪2の幅面側から斜面部2bに潤滑油を移動させて内輪2の軌道面2bに導くようにしているので、攪拌抵抗が大きくならず、動力損失を増大させないで高速運転が可能である。内輪2は幅面に円周溝6を有し、吐出口8は円周溝6に対向して開口させてあるので、吐出口8から吐出された冷却油が円周溝6に集油され、その一部が内輪2の斜面部2bから軌道面2aに流れることで、軌道面2aの全周に均等に潤滑油を供給できる。ここでは、内輪2の幅面と斜面部2bとの交差部が曲面部2baとされているので、斜面部2bへの潤滑油の移動がより円滑に行われる。
また、内輪2の斜面部2bに潤滑油導入部材7の鍔状部10を被せて、斜面部2bと鍔状部10との間に微小隙間δを形成することで、微小隙間δを流れる潤滑油の流量を調整するので、簡単な構造で給油量を調整できる。内輪2の外径面の斜面部2bと鍔状部10とで微小隙間δを形成するので、内輪2の幅面に流量調整用の微小隙間を成形する場合と異なり、軸受サイズが小さい場合や、内輪2が薄くてその端面の面積が小さい場合であっても、流量調節が適切に行える微小隙間δを形成できる。
前記微小隙間δへ流入する流入分を除く残りの冷却油は、潤滑油排出経路11を構成する潤滑油導入部材7の排油路12、溝状排油路13、および外輪間座15の排油溝14を経て外部に排出するので、転がり軸受1をより効果的に冷却することができる。
前記微小隙間δへ流入する流入分を除く残りの冷却油は、潤滑油排出経路11を構成する潤滑油導入部材7の排油路12、溝状排油路13、および外輪間座15の排油溝14を経て外部に排出するので、転がり軸受1をより効果的に冷却することができる。
図3は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の転がり軸受の潤滑装置は、図1および図2に示す第1の実施形態において、潤滑油導入部材7における外径面の円周油路9aを1周させず途中で分断されたC字状として、その両端部を流入部17としている。また、これら両流入部17は、1つの吐出口8に対して、円周方向に略180°ずらした位置とされている。これら各流入部17にそれぞれ対向して、ハウジング26の冷却油供給路33が開口させてある。その他の構成は第1の実施形態の場合と同じである。
この実施形態の場合、冷却油供給路33から円周油路9aに流入する冷却油が、2つの経路に分かれて吐出口8に供給されるので、その経路を流れる冷却油による冷却効果がより向上する。
図4は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の転がり軸受の潤滑装置は、図1および図2に示す第1の実施形態において、縦油路9bおよびこれに連通する吐出口8を3か所とし、これらを潤滑油導入部材7の円周方向に等間隔に分けて配置している。その他の構成は図3の実施形態の場合と同じである。
この実施形態の場合、縦油路9bおよび吐出口8を円周方向に等間隔に分けた3か所に配置しているので、吐出口8から吐出される冷却油を内輪2の幅面の略全周に均等に吹き付けることができ、これにより軌道面2aの全周により均等に潤滑油を供給できる。
図5は、図1および図2に示した第1の実施形態の転がり軸受の軸受装置を備えたスピンドル装置の一例を示す。このスピンドル装置24は工作機械に応用されるものであり、主軸25の端部に工具またはワークのチャックが取付けられる。主軸25は、軸方向に離れた複数(ここでは2つ)の転がり軸受1により支持されている。各転がり軸受1の内輪2は主軸25の外径面に嵌合し、外輪3はハウジング26の内径面に嵌合している。これら内外輪2,3は、内輪押さえ27および外輪押さえ28により、ハウジング26内に固定されている。ハウジング26は、内周ハウジング26Aと外周ハウジング26Bの二重構造とされている。両転がり軸受1の外輪3間には外輪間座30および潤滑油導入部材7が、また内輪2間には内輪間座31がそれぞれ設けられている。主軸25の一端部には、内輪押さえ27に押し当てて転がり軸受1を固定する軸受固定ナット32が螺着されている。内周ハウジング26Aには各潤滑油導入部材7の流入部17に連通する2つの冷却油供給路33と、1つの排油回収路34とが設けられている。各冷却油供給路33は軸方向に延びて内周ハウジング26Aの両端面に開口している。排油回収路34は軸方向に延びて内輪押さえ27および外輪押さえ28を貫通している。この排油回収路34に、各潤滑油導入部材7の排油路12および溝状排油路13が連通させてある。また、第1の実施形態では、外輪間座15に排油溝14を形成したが、この例では各外輪押さえ28に排油溝14が形成され、これらの排油溝14が前記排油回収路34に連通させてある。
転がり軸受1の潤滑装置は、冷却油供給装置35の吐出冷却油の一部を、フィルタ36、冷却油供給路33および上記潤滑油導入部材7の連通路9を介して受け、先述したように、その冷却油の一部を潤滑油として、残りを冷却油として転がり軸受1内に供給する。冷却油となって、前記排油路12、溝状排油路13および排油溝14から排油回収路34に流出した排油は、排油ポンプ37により油回収タンク38に回収されて、再び冷却油供給装置35に戻される。前記ハウジング26には、別にハウジング冷却用の給油路(図示せず)が設けられ、この給油路に前記冷却油供給装置35から冷却油が供給される。また、ハウジング26を冷却した冷却油は油回収タンク38に回収されて、再び冷却油供給装置35に戻される。
1…転がり軸受
2…内輪
2a…軌道面
2b…斜面部
3…外輪
6…円周溝
7…潤滑油導入部材
8…吐出口
9…連通路
10…鍔状部
17…流入部
δ…微小隙間
2…内輪
2a…軌道面
2b…斜面部
3…外輪
6…円周溝
7…潤滑油導入部材
8…吐出口
9…連通路
10…鍔状部
17…流入部
δ…微小隙間
Claims (5)
- 転がり軸受内に、外輪に隣接する潤滑油導入部材から潤滑油を吐出して潤滑する転がり軸受の潤滑装置において、前記潤滑油導入部材の潤滑油の流入部と、この流入部に連通路を介して連通して前記転がり軸受へ潤滑油を吐出する吐出口とを、転がり軸受の円周方向に互いにずらして配置したことを特徴とする転がり軸受の潤滑装置。
- 請求項1において、前記吐出口は1か所であり、前記吐出口と前記流入部とは円周方向に略180°ずらして配置した転がり軸受の潤滑装置。
- 請求項1または請求項2において、前記吐出口は内輪の幅面に対向して開口し、前記内輪の外径面は、前記内輪の軌道面側が大径となり、前記吐出口から吐出された潤滑油をこの潤滑油に作用する遠心力と表面張力とで内輪の軌道面に導く斜面部を有するものとした転がり軸受の潤滑装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記潤滑油導入部材は、前記内輪の斜面部に微小隙間を介して被さってこの微小隙間から前記軌道面へ流れる潤滑油の流量を規制する鍔状部を有するものである転がり軸受の潤滑装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記内輪は前記幅面に円周溝を有し、前記吐出口は前記内輪の幅面のうちの円周溝の設けられた箇所に対向して開口するものとした転がり軸受の潤滑装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004303780A JP2006118527A (ja) | 2004-10-19 | 2004-10-19 | 転がり軸受の潤滑装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114909402A (zh) * | 2021-02-07 | 2022-08-16 | 中国航发商用航空发动机有限责任公司 | 轴承和航空发动机 |
-
2004
- 2004-10-19 JP JP2004303780A patent/JP2006118527A/ja active Pending
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