JP2006117788A - 繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法 - Google Patents

繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、高温高精度の温度制御が求められない低コストの設備で、樹脂を外部から圧送、圧入する過程で高粘性や局部的硬化といった現象を起こすことがない、リキッドモールディング成形法による繊維強化ポリイミド複合材料を製造できる技術を提供することにある。
【解決手段】 本発明の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法は、有機溶媒中に付加型のイミドオリゴマーが重量比で20%以上溶解しているイミドオリゴマー溶液を、リキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸し、有機溶媒を揮発させた後に、加熱、電子線照射もしくは紫外線照射してイミドオリゴマーを付加反応させて複合材料を成形するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レジン・トランスファー・モールディング法(RTM法)やレジン・フィルム・インフュージョン法(RFI法)などのリキッドモールディング法による繊維強化ポリイミド複合材料、特に超音速機やロケットの機体材料として有用な繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法に関する。
航空宇宙用途に使用されているような加熱硬化型の樹脂をマトリクスとする先進複合材料の製造方法としては、繊維もしくは繊維織物にマトリクスとなる未硬化の樹脂をあらかじめ含浸したプリプレグを製造し、このプリプレグを成形用金型の上や金型の内部に積層して、これを加熱・加圧するプリプレグ成形法が最も一般的である。プリプレグの加熱・加圧工程には、一般にはオートクレーブが使用されるが、単純形状の場合にはホットプレスなども使用される。
これに対して、密閉した型内に、繊維もしくは繊維織物のプリフォームを設置し、これにマトリクスとなる未硬化の樹脂を外部から圧入してプリフォーム中に樹脂を含浸した後、加熱・加圧することによって樹脂を硬化するRTM法(レジン・トランスファー・モールディング法)が注目されている。RTM法は、寸法精度や仕上げ粗さの良い製品が、低コストで製造できるという特徴がある。
RTM法と類似した方法として、密閉した型内に繊維および織物からなるプリフォームと、マトリクスとなる未硬化の樹脂フィルムを設置し、全体を加熱することによって樹脂を溶融させ、次に型内の減圧と外部からの加圧によって樹脂をプリフォームに含浸し、更に加熱してこれを硬化させるRFI法(レジン・フィルム・インフュージョン法)も注目されている。RFI法は、RTM法のように樹脂を外部から圧送、圧入する設備が不要で、含浸する樹脂量もフィルム厚さで正確に制御でき、RTM法と同様に寸法精度が高く平面素度の良い部品を製造することができるという特徴がある。
ところで、エポキシ樹脂に代表されるような一般の航空宇宙用複合材料の耐熱温度は150〜200℃程度である。エンジン部品や宇宙往還機などでは、更に優れた耐熱性を有する繊維強化複合材料が必要とされており、耐熱温度が200℃を超えるような優れた耐熱性を有する樹脂としてビスマレイミドやポリイミドが広く適用されている。なかでも加熱することによって硬化する付加型ポリイミドは、繊維強化複合材料のマトリクス樹脂として望ましく、例えば、特開2000−219741(末端変性イミドオリゴマーおよびその硬化物)、特開2003−105083(熱硬化性ポリイミドオリゴマー、その成形方法、その成形方法により得られる成形物、及び、その成形物を熱処理して得られる硬化物)、など多くの発明が報告されている。
これらのイミドオリゴマーはプリプレグ成形には適用できるが、溶融温度が250℃以上と高く、また溶融後の粘度も10Pa・s以上と高いため、RTMやRFI等のリキッドモールディング成形に使用することは不可能である。この問題を解決すべく、例えば、米国航空宇宙局ラングレー研究所では、米国特許6359107にあるようなリキッドモールディング用のイミドオリゴマー(通称PETI−330)を発明している。この樹脂は、溶融温度は250℃以上と高いものの溶融後の粘度が1Pa・sを大きく下回っており、リキッドモールディング成形に適用することができる。
しかしながら、ポリイミドのリキッドモールディング成形における問題は、(1)溶融温度が250℃以上と高いこと、(2)温度が低くなると粘度が急激に増大すること、(3)温度が高くなりすぎると硬化反応によって粘度が増大することにある。一般に使用されているエポキシ樹脂では、樹脂は室温でも液状で、加熱すると粘度は0.1Pa・sを大きく下回る。樹脂の圧送・注入温度は高くても120℃程度である。また、圧送温度が若干変化しても、樹脂の粘度変化は少ないため、取り扱いは極めて容易である。
これに対して、イミドオリゴマーでは、溶融温度が250℃を超えるため、特殊な圧送装置やシール材料を使用する必要がある。また、樹脂を圧送するための配管全体を、250℃を超える高温で、±10℃程度の高精度で制御することが必要である。配管中に温度が低い部分があると粘度上昇によって樹脂が流れず、逆に高いところがあると樹脂の硬化が進んでしまうからである。そのため、ポリイミドのRTM成形は相対的に高コストであり、技術的にも困難であった。
特開2000−219741号公報 「末端変性イミドオリゴマーおよびその硬化物」 平成12年8月8日公開 特開2003−105083号公報 「熱硬化性ポリイミドオリゴマー、その成形方法、その成形方法により得られる成形物、及び、その成形物を熱処理して得られる硬化物」 平成15年4月9日公開 米国特許6359107号明細書 ”COMPOSITION OF ANDMETHOD FOR MAKING HIGH PERFORMANCE RESINS FOR INFUSION AND TRANSFER MOLDINGPROCESSES”登録日:2002年3月19日 陳、高橋、佐々木、横田、「非対称付加型ポリイミドTriA-PIを用いた複合材料の開発−可溶性イミドオリゴマーの開発−」第19回宇宙構造・材料シンポジウム後刷集、宇宙航空研究開発機構発行、2003年11月
本発明が解決しようとする課題は、上記したイミドオリゴマーを素材としたRTM成形における従来技術の問題点を解決すること、すなわち、高温高精度の温度制御が求められない低コストの設備で、樹脂を外部から圧送、圧入する過程で高粘性や局部的硬化といった現象を起こすことがない、リキッドモールディング成形法による繊維強化ポリイミド複合材料を製造できる技術を提供することにある。
本発明の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法は、有機溶媒中に付加型のイミドオリゴマーが重量比で20%以上溶解しているイミドオリゴマー溶液を、リキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸し、有機溶媒を揮発させた後に、イミドオリゴマーを付加反応させることによって複合材料を成形するようにした。
また、有機溶媒中に重量比で20%以上溶解する付加型のイミドオリゴマーとして、フェニルエチニル末端のイミドオリゴマーを採用するようにした。
更に、イミドオリゴマーを付加反応させる手法として加熱、電子線照射もしくは紫外線照射のいずれかを採用するようにした。
また、本発明の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法は、溶液中のイミドオリゴマー濃度を重量比で20%以上にする方法としてイミドオリゴマー溶液を加熱することによって溶媒の一部を揮発させる手法を提示する。
イミドオリゴマー溶液の繊維もしくは繊維織物への含浸方法として、レジン・トランスファー・モールディング法もしくはレジン・フィルム・インフュージョン法を適用することを提示する。
本発明の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法は、濃度が重量比で20%以上であるイミドオリゴマー溶液を揮発させゲル状にしたものでフィルムを形成し、レジン・フィルム・インフュージョン法を適用するようにした。
本発明の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法は、有機溶媒中にイミドオリゴマーを重量比で20%以上溶解させたイミドオリゴマー溶液を、リキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸した後に有機溶媒を揮発させ、加熱もしくは電子線・紫外線照射などの方法を用いてイミドオリゴマーを付加反応させる複合材料を成形するようにしたことにより、イミドオリゴマーの強化繊維もしくは繊維織物への含浸温度を著しく下げることができた。これによってPETI−330を用いる場合のような高温高精度の温度制御を必要とされることがない。
また、本発明の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法は、溶液中のイミドオリゴマー濃度を重量比で20%以上にする方法としてイミドオリゴマー溶液を加熱することによって溶媒の一部を揮発させる手法を提示するものであるから、常温では重量比で20%以上の濃度にならないものでも、イミドオリゴマー溶液の繊維もしくは繊維織物への含浸を可能とした。また、この手法によって溶液中のイミドオリゴマー濃度を室温よりも高濃度にした後にリキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸することによって、イミドオリゴマー溶液中の固形分濃度を高くし、製造時間の短縮を図ることができる。
本発明の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法は、濃度が重量比で20%以上であるイミドオリゴマー溶液を加熱等により揮発させゲル状にしたものでフィルムを形成することにより、レジン・フィルム・インフュージョン法の適用を可能にした。
本発明は、有機溶媒中に付加型のイミドオリゴマーが重量比で20%以上溶解しているイミドオリゴマー溶液を、レジン・トランスファー・モールディング法(RTM法〉やレジン・フィルム・インフュージョン法(RFI法)などのリキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸した後に有機溶媒を揮発させ、加熱もしくは電子線・紫外線照射などの方法によって、イミドオリゴマーを付加反応させることによって複合材料を成形するようにしたことで、高温高精度の温度制御が求められない低コストの設備で、樹脂を外部から圧送、圧入する過程で高粘性や局部的硬化といった現象を起こすことがない、リキッドモールディング成形法による繊維強化ポリイミド複合材料を製造できる技術を提供するものである。
イミドオリゴマーおよび有機溶媒の詳細な化学構造については特定されないが、イミドオリゴマーは有機溶媒に対して重量比20%以上、望ましくは25%以上溶解していることが必要である。ここで、イミドオリゴマー溶液とは、アミド酸溶液からなるワニスではなく、イミド閉環したイミドオリゴマーを溶媒に溶解させたものであり、アミド酸を含まない溶液を意味する。対象とするイミドオリゴマーは付加型であり、末端基としてはフェニルエチニル基、ナジイミド基、マレイミド基、アセチレン基などが好適に使用できるが、具体的な末端基については限定されるものではない。イミドオリゴマーを溶解させるための有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、γ−ブチロラクトン(GBL)、シクロヘキサノンなどが好適に使用できるが、これについても具体的な有機溶媒については限定されるものではない。イミドオリゴマー溶液を強化繊維や繊維織物に含浸する方法としては、RTM法やRFI法などのリキッドモールディング法を適用することができるが、具体的な方法については限定されない。含浸温度は、一般的なリキッドモールディング用イミドオリゴマーを溶融含浸するような260℃を超える温度とする必要はなく、室温〜200℃以下の温度で十分である。また、圧送配管の温度制御なども厳密に行う必要はない。イミドオリゴマー溶液を含浸後は、減圧や加熱などの方法によって、イミドオリゴマー溶液中の有機溶媒を揮発させて、繊維織物中にイミドオリゴマーのみを残留させる。有機溶媒を揮発させた後、加熱もしくは電子線・紫外線照射などの方法によって、イミドオリゴマーを付加反応させることによって繊維強化ポリイミド複合材料を成形することができる。
イミドオリゴマー溶液を強化繊維もしくは繊維織物に含浸する前に、イミドオリゴマーが溶解しているイミドオリゴマー溶液を、含浸前に加熱することによって溶媒を揮発させ、溶液中のイミドオリゴマー濃度を重量比で20%以上に調整した後に、リキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸することも本発明の範囲に含まれる。加熱することによってイミドオリゴマーの溶解度を上げながら固形分濃度を高くして、その後にリキッドモールディング成形することで、成形時間の短縮や品質の向上などを図ることが可能となる。また、室温では有機溶媒に対する溶解度が20%以下のイミドオリゴマーに対しても、本発明による製造方法の適用が可能となる。
以下、この発明に関し具体的な実施例を示して詳細に説明する。
一般的なイミドオリゴマーは有機溶媒に対する溶解度が小さいため、固形分濃度が数%程度のイミドオリゴマー溶液しか得ることができない。本発明で対象とするような重量比で20%を超えるようなイミドオリゴマー溶液を得るためには、有機溶媒に対する溶解度の高いイミドオリゴマーを特別に合成する必要がある。このようなイミドオリゴマーとしては、例えば、横田らによって発明された非対称・非晶質・付加型イミドオリゴマー(非特許文献1参照)がある。そこで、上述の非特許文献1等に開示されている4種類の可溶性イミドオリゴマーPI−1,PI−2,PI−3,PI−4の合成を行い、実験に使用した。これらのイミドオリゴマーは、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)に対して重量比20%以上可溶である。各イミドオリゴマーの合成に使用したモノマーを表1に示す。
Figure 2006117788
それらのイミドオリゴマーの化学構造は、式[化1」〜[化4」のとおりである。
Figure 2006117788
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Figure 2006117788
Figure 2006117788
いずれもフェニルエチニル末端の付加型イミドオリゴマーであり、計算分子量は1000〜2000の範囲にある。
合成したイミドオリゴマーを80℃にてNMPに溶解し、イミドオリゴマー溶液を調製した。比較のため、イミドオリゴマー(PI−1)の中間体であるアミド酸NMP溶液(ワニス)と、フェニルエチニル末端のリキッドモールディング成形用イミドオリゴマー(PI−5)を用意した。PI−5はNASAラングレー研究所にて発明されたPETI−330と同一組成のRTM成形用イミドオリゴマーであり、その化学構造を[化5]に示す。
Figure 2006117788
調整したイミドオリゴマーを用いた本発明の実施例1〜8とその物性について、表2にまとめて示す。また、比較例としてイミドオリゴマー(PI−1)の中間体であるアミド酸NMP溶液(ワニス)を用いたものを表3に示す。
Figure 2006117788
Figure 2006117788
イミドオリゴマー溶液を用いた繊維強化複合材料のRTM成形は、いずれも以下の手順によって実施した。図1は、RTM成形に使用した金型の構成図である。下型1の中に、200×200mmの炭素繊維織物3をセットした。織物は、平織で、積層枚数は8枚、各織物の目付は300g/mである。また、炭素繊維としては東邦テナックス社製のIM600−12K(商品名)を使用した。下型1と上型2の間にスペーサ4を配置し、織物厚さが4mmとなるようにした。金型をホットプレスの間に置き、全体の温度を180℃に保持した。なお、上型と下型の間は耐熱性のOリング5があるため、スペーサ4を外して型締めをすることによって型内は密閉構造となる。
次に、80℃に保温したイミドオリゴマー溶液を、ゲージ圧力0.1MPa以下の圧力で金型内に注入した。金型内の空洞が樹脂で充填されたことを確認した後に樹脂の注入を停止し、180℃×3時間の保持を行った。この保持中に、イミドオリゴマー中の溶媒はほぼ揮発し、繊維織物中にはイミドオリゴマーが残留している状態となった。その後、2℃/分の昇温速度で、金型の温度を220℃まで昇温させてから、上型と下型の間のスペーサをはずして、繊維織物に約0.5MPaの圧力を負荷し、同時に型内の真空引きを行った。この状態で、220℃×20分保持した後に、2℃/分昇温速度で370℃まで昇温し、1時間その温度を保って樹脂の硬化を行った。得られた炭素繊維複合材料(CFRP)に対して、外観および超音波探傷法による検査と、気孔率の測定を実施した。
実施例1〜8では、いずれも気孔率は2%以下で欠陥の少ない良好な繊維強化ポリイミド複合材料の試作品が得られた。これに対して、比較例1および2は、イミドオリゴマー溶液ではなく、アミド酸溶液(ワニス)を用いて成形した結果である。比較例1,2では、CFRPに気孔が多く残留し、成形品質は不十分であった。図2は、4℃/分の昇温速度で、イミドオリゴマー溶液とアミド酸溶液の粘度を測定した結果である。イミドオリゴマー溶液は、150℃を超えると溶媒であるNMPの揮発が始まり、200℃以上でほぼ完全に溶媒は揮発する。すなわち、粘度は溶媒の揮発とともに急激に上昇して、ほぼ固体となり、その後、オリゴマーが溶融すると再び粘度は低下する。これに対して、アミド酸溶液では溶媒であるNMPとアミド酸の相互作用が強いため溶媒が揮発しにくく、200℃以上になっても残留溶媒が多く存在するため、樹脂は固体状態とはならない。すなわち、アミド酸溶液の場合には、イミドオリゴマーの溶融温度まで液体状態である。このような低粘度の状態で金型内を真空引きすると、繊維織物から樹脂の流出がおこり、結果として樹脂不足の状態となってしまう。また、アミド酸溶液では、残留溶媒に加えて熱イミド反応に伴って副生成物(水)が発生するため、これも気孔生成の原因となる。本発明によるイミドオリゴマー溶液を使用することによって、アミド酸溶液に比較して、著しく品質の優れた繊維強化ポリイミド複合材料を、容易に成形することが可能となる。
比較例3は、固形分濃度15%のPI−1イミドオリゴマー溶液を用いて成形した場合であるが、この場合には溶液濃度が低いため、イミドオリゴマーを十分に含浸させることが困難であり、CFRPの品質は不十分であった。そのため、本発明においては、有機溶媒中に付加型のイミドオリゴマーが重量比で20%以上、望ましくは25%以上溶解しているイミドオリゴマー溶液を使用することによって、気孔率2%以下の良好な複合材料を得ることができる。なお、比較例4のように、イミドオリゴマーを溶融して含浸する場合には、オリゴマーの溶融含浸温度を260℃以上にする必要があり、今回の試作条件では複合材料を製造することは不可能であった。
実施例9は、実施例4で使用したPI−1イミドオリゴマーの40%溶液を、120℃で1時間保持し、樹脂濃度を50〜60%にしてから含浸した例である。温度を上げることで、有機溶媒中でのイミドオリゴマーの溶解度が大きくなり、固形分濃度を高めることが可能となる。実施例10は、比較例3で使用したPI−1イミドオリゴマーの15%溶液を、同じく120℃の温度に保持することで、樹脂濃度を20%に高めてから含浸した例である。室温での溶解度が20%に満たない場合でも、温度を上げ溶媒を揮発させることによって、固形分濃度を20%にすることが可能である。
ところで、イミドオリゴマー溶液中の溶媒を揮発させると、溶媒に対するイミドオリゴマーの溶解度よりも高い濃度となってもイミドオリゴマーは析出せず、溶液はゲル化する。ゲル中のイミドオリゴマーの濃度は、溶解度を大きく上回って60%以上とすることもできる。このようにして得られたゲルを用いることで、フィルム形成が容易となりRFI法によるリキッドモールディング成形が可能となる。
実施例11は、RFI法によって製作された繊維強化ポリイミド複合材料の例である。図3は、複合材平板をRFI成形した際の模式図である。まず、濃度40%のPI−1イミドオリゴマー/NMP溶液を130℃で加熱して固形分濃度が80%(揮発分20%)のゲルを調製し、このゲルをドクターブレードを用いてゲル状フィルムに成形した。このようにして製作したゲル状フィルム6を所定枚数だけ下型7の上に置き、その上に、東邦テナックス社製IM600−12K(商品名)を強化繊維とする平織織物8(200×200mm、織物目付300g/m)を8枚積層した。これらをバギングフィルム9およびシール10を用いてバギングすることで、RFI成形に供した。
RFI成形にはオートクレーブを使用した。まず、オートクレーブのゲージ圧0の状態で、バッグ内を減圧しながら170℃でイミドオリゴマー溶液(ゲル)を織物中に含浸させた後、230℃まで昇温して3時間保持して溶液中の溶媒を完全に除去した。その後、オートクレーブの圧力を0.2MPaに加圧し、370℃まで2℃/分で昇温してから1時間温度保持して、樹脂の硬化を行った。得られた複合材料の気孔率は1.2%であり、非破壊検査結果も良好であった。
本発明の方法によって製造される繊維強化ポリイミド複合材料は、特に超音速機やロケットの機体材料として有用な素材として説明したが、それに限らず高温高精度の温度制御が求められない低コストの設備で、樹脂を外部から圧送、圧入する過程で高粘性や局部的硬化といった現象を起こすことがない、リキッドモールディング成形法による繊維強化ポリイミド複合材料を製造できる技術を提供することができたものであるから、エンジン部品等の広い分野での素材としても有望である。
本発明における実施例1〜10に使用したRTM成形装置とそれを用いた形成工程を模式的に示した図である。 PI−1イミドオリゴマー、イミドオリゴマーNMP溶液(40%)、PI−1アミド酸NMP溶液(40%)の粘度測定結果を比較するグラフである。 本発明における実施例11に使用したRFI成形装置とそれを用いた形成工程を模式的に示した図である。
符号の説明
1,7 下型 2 上型
3 繊維織物 4 スペーサ
5 Oリング 6 ゲル状フィルム
8 繊維織物 9 バギングフィルム
10 シール

Claims (6)

  1. 有機溶媒中に付加型のイミドオリゴマーが重量比で20%以上溶解しているイミドオリゴマー溶液を、リキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸し、有機溶媒を揮発させた後に、イミドオリゴマーを付加反応させることによって複合材料を成形することを特徴とする繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法。
  2. 有機溶媒中に重量比で20%以上溶解する付加型のイミドオリゴマーとして、フェニルエチニル末端のイミドオリゴマーを採用したものである請求項1に記載の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法。
  3. イミドオリゴマーを付加反応させる手法として加熱、電子線照射もしくは紫外線照射のいずれかを採用したものである請求項1又は2に記載の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法。
  4. イミドオリゴマー溶液を加熱することによって溶媒の一部を揮発させ、溶液中のイミドオリゴマー濃度を重量比で20%以上にした後に、リキッドモールディング法によって強化繊維もしくは繊維織物に含浸することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法。
  5. イミドオリゴマー溶液の繊維もしくは繊維織物への含浸方法として、レジン・トランスファー・モールディング法もしくはレジン・フィルム・インフュージョン法を適用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法。
  6. 濃度が重量比で20%以上であるイミドオリゴマー溶液を揮発させゲル状にしたものでフィルムを形成し、レジン・フィルム・インフュージョン法を適用する請求項1乃至4のいずれかに記載の繊維強化ポリイミド複合材料の製造方法。
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