JP2006117649A - イソソルビド製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顆粒状で含水率が0.5%以下の結晶イソソルビドと滑沢剤を含有する医薬組成物が水分を透過しないアルミニウムを含む包装材料で包装されていることを特徴とするイソソルビド製剤。
【効果】高吸湿性かつ易固結性の結晶イソソルビドを含有してなる医薬組成物を、安定に維持し,服用し易い製剤とすることができる。
Description
更に、イソソルビドは特有の強い苦味を有するため、直接製剤を口腔に含む散剤または顆粒剤等にする場合、服用感の改善が開発上の大きな課題となっている。
この様な事情から、結晶イソソルビドは既に公知であり、容易に入手可能であるが、未だこれらの問題を全て解決した安定な服用し易いイソソルビドの固形製剤は知られていない。
本発明は、粉末状ないし顆粒状で含水率が0.5%以下の結晶イソソルビドと滑沢剤を含有する医薬組成物が水を透過しない包装材料で包装されていることを特徴とするイソソルビド製剤である。
好ましくは、本発明は、粒子径が355μm(42メッシュ)より小さいものが40%以下、更に好ましくは30%以下であり、1400μm(12メッシュ)より大きいものが10%以下、更に好ましくは6%以下である結晶イソソルビドに滑沢剤を配合し、かつアルミニウムを含む包装材料にて包装してなるイソソルビド製剤である。
本発明のイソソルビド、すなわち1,4:3,6―ジアンヒドロ―D―グルシトールとしては、医薬品原料たるに十分な品質のもので、かつ含水率の低いものであれば、公知のものを使用することが出来る。
イソソルビドの製造方法は特に制限されるものではなく、例えば酸によるソルビトールからの脱水反応が挙げられるが、その他の方法により製造しても良い。また、精製方法は特に限定されず、クロマト分離、蒸留など公知の方法によるもので良い。結晶イソソルビドを得る方法は特に限定されず、溶融イソソルビドを冷却し、結晶イソソルビドとしたもの、あるいはイソソルビド水溶液に有機溶媒を添加し、イソソルビドを晶析したものなど、いずれでも良い。次に、結晶イソソルビドを粉砕、篩過して目的の粒径の結晶イソソルビドを得るが、粉砕方法は特に限定されず、フェザーミル、ハンマーミル、ピンミル、ローラーミル(ロールグラニュレーターなど)等の公知の粉砕機又は整粒機を使用できる。しかしながら、イソソルビドは融点が61〜64℃と低いため、粉砕時に発熱の少ないロールグラニュレーターを使用するのが好ましい。
顆粒状の結晶イソソルビドの粒径は、特に限定はないが、一般に、粒径が小さい結晶イソソルビドを多く含む場合、吸湿、潮解性が強くなり、かつ固結し易くなる。さらに、散剤または顆粒剤の様に、水に溶解せずに直接口腔に含む場合には、口腔内で速やかに溶解し、イソソルビド特有の即効性の強い苦味を感じやすくなるなどの問題が生じる。一方、粒径の大きい結晶イソソルビドを多く含む場合、吸湿、潮解性は緩和され、固結し難くなるものの、水に溶解せずにそのまま服用する場合には、ざらつき感が際立ち、飲みにくくなる。
このため、粒径が355μm以下の粒子を約8割以上含むものや、粒径が1400μm以上の粒子を約8割以上含む結晶イソソルビドは本発明では使用できない。本発明では、粒径が355μmより小さいものが40%以下で、1400μmより大きいものが10%以下である結晶イソソルビドが好ましいものとして使用され、粒径が355μmより小さいものが30%以下で、1400μmより大きいものが6%以下である結晶イソソルビドが更に好ましいものとして使用される。
本発明では、医薬組成物の吸湿、固結に対する安定性および服用感、携帯性を損なわない範囲ならば、所望により製剤処方に通常使用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、矯味剤、甘味剤、着色剤、懸濁化剤、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、香料、流動化剤等を、医薬組成物に更に適宜配合することができる。なお、これらの賦形剤、甘味剤等の配合は、当業者が周知の方法、例えば日本薬局方製剤総則またはそれに準ずる方法を用いて容易に行うことが出来る。
医薬組成物の剤型としては、顆粒剤、散剤又はドライシロップが好ましい剤型として挙げられる。
実施例1
イソソルビドを架砕式整粒機ロールグラニュレーター(日本グラニュレーター製)で粉砕し、粒径が355μmより小さいものが25%、1400μmより大きいものが1%である結晶イソソルビド(含水率0.3%)とした。この結晶イソソルビド3960gと含水二酸化ケイ素(カープレックス:塩野義製薬製)40g(固形組成物の1.0%量)を混合機(ボーレコンテナミキサー:コトブキ技研製)に仕込み、回転数25rpmで5分間混合したものを医薬組成物とした。この医薬組成物をアルミニウム積層シート包材により7gずつスティック包装しイソソルビド製剤(含水率0.3%)を製造した。
実施例1において、含水二酸化ケイ素(カープレックス)40gに代えて同量の軽質無水ケイ酸(アエロジル:日本アエロジル製)を配合した以外は、実施例1と同様にして医薬組成物を得、得られた医薬組成物を実施例1と同様に包装しイソソルビド製剤(含水率0.3%)を製造した。
実施例1と同様の粉砕方法で得た結晶イソソルビド(含水率0.1%)29670g、含水二酸化ケイ素(カープレックス)300g、アスパルテーム(甘味剤)18g、ヨーグルトミクロン(香料)12gをダブルコーン型混合機(ダブルコーンブレンダー:W−100)に仕込み、回転数25rpm、10分間混合したものを医薬組成物とした。この医薬組成物を実施例1と同様に包装しイソソルビド製剤(ドライシロップ、含水率0.1%)を製造した。
実施例3において、含水二酸化ケイ素(カープレックス)300gに代えて、同量の軽質無水ケイ酸(アエロジル)を配合した以外は、実施例3と同様にして医薬組成物を得、得られた医薬組成物を実施例3と同様に包装しイソソルビド製剤(ドライシロップ、含水率0.1%)を製造した。
実施例1で使用した結晶イソソルビドに代えて、粒径が355μmより小さいものが7%、1400μmより大きいものが1%である結晶イソソルビドを用いた以外は、実施例1と同様にして医薬組成物を得、実施例1と同様に包装しイソソルビド製剤(含水率0.2%)を製造した。
実施例1で使用した結晶イソソルビドに代えて、粒径が355μmより小さいものが35%、1400μmより大きいものが8%である結晶イソソルビドを用いた以外は、実施例1と同様にして医薬組成物を得、実施例1と同様に包装しイソソルビド製剤(含水率0.2%)を製造した。
実施例1で使用した結晶イソソルビドに代えて、粒径が355μm以下の粒子を85%含む結晶イソソルビドを用いた以外は、実施例1と同様にして医薬組成物を得、実施例1と同様に包装しイソソルビド製剤(含水率0.2%)を製造した。
実施例1で使用した結晶イソソルビドに代えて、粒径が1400μm以上の粒子を85%含む結晶イソソルビドを配合した以外は、実施例1と同様にして医薬組成物を得、実施例1と同様に包装しイソソルビド製剤(含水率0.1%)を製造した。
実施例1において、含水二酸化ケイ素(カープレックス)を配合しない以外は実施例1と同様にして医薬組成物を製し、得られた医薬組成物を実施例1と同様に包装しイソソルビド製剤(含水率0.3%)を製造した。
実施例1において、アルミニウム積層シート包材に代えて、ガラス蒸着フィルム包材で包装した以外は、実施例1と同様にしてイソソルビド製剤(含水率0.3%)を製造した。
実施例1で使用した結晶イソソルビドに代えて、含水率が0.8%である結晶イソソルビドを用いた以外は、実施例1と同様にして医薬組成物を得、実施例1と同様の分包機でスティック包装を試みたが、分包の途中で医薬組成物の一部に凝集等が起こり、分包機が閉塞する等し、包装がうまくできなかった。
実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例4により得られたイソソルビド製剤について、保存条件を25℃・60%相対湿度と40℃・75%相対湿度として、保存試験を行った。各イソソルビド製剤における吸湿状態及び固結状態につき目視観察で経時変化を観察し、下記の各評価基準により防湿効果の評価を行った。結果を表1に示す。
<吸湿状態の評価基準>
− :外観に変化なし
+ :わずかに吸湿
++ :吸湿
+++:著しく吸湿、潮解
<固結状態の評価基準>
− :外観に変化なし
+ :わずかに凝集
++ :固結
+++:著しく固結
* :吸湿が強いため固結の評価なし
実施例1〜実施例3及び実施例5〜実施例6、比較例1〜比較例3で得られたイソソルビド製剤について、以下の基準で官能試験を行った。結果を表2に示す。
<官能試験の評価基準>
− :気にならない
+ :弱い
++ :強い
+++:許容できない
実施例3で得られたイソソルビド製剤(ドライシロップ)及び市販のイソソルビド内用液剤(「イソバイド」日研化学)について、それぞれ以下の基準で服用感(苦味、後味、甘味、清涼感、総合評価)の官能試験を行った。尚、実施例3の製剤は、1包(約7g)を約5mLの水に懸濁したものを用い、イソソルビド内用液剤は、そのまま約10mLを用いた。評価は13名のパネラーで行い、その合計点で評価した。結果を図1に示した。
<官能試験の評価基準>
+2(良い)、+1(やや良い)、0(普通)、−1(やや悪い)、−2(悪い)
Claims (6)
- 顆粒状で含水率が0.5%以下の結晶イソソルビドと滑沢剤を含有する医薬組成物が水を透過しない包装材料で包装されていることを特徴とするイソソルビド製剤。
- 顆粒状で含水率が0.5%以下の結晶イソソルビドの粒子径が355μm(42メッシュ)より小さいものが40%以下であり、1400μm(12メッシュ)より大きいものが10%以下である請求項1記載のイソソルビド製剤。
- 顆粒状で含水率が0.5%以下の結晶イソソルビドの粒子径が355μm(42メッシュ)より小さいものが30%以下であり、1400μm(12メッシュ)より大きいものが6%以下である請求項1記載のイソソルビド製剤。
- 滑沢剤が合成ケイ酸系である請求項1〜請求項3記載のイソソルビド製剤。
- 滑沢剤の量が、結晶イソソルビドの量に対し、重量比で0.05〜2%である請求項1〜請求項4記載のイソソルビド製剤。
- 包装材料がアルミニウムを含む材質からなるものである請求項1〜請求項5記載のイソソルビド製剤。
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