JP2006117594A - 活性型カスパーゼ−14特異的抗体及びその作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体の作成の提供。
【解決手段】 本発明は、不活性型プロカスパーゼ−14の178位のチロシン残基において切断されることで生成される、当該178位のチロシン残基をC末端として有する活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体の作成方法であって、不活性型プロカスパーゼ−14のアミノ酸残基174位〜178位のアミノ酸配列:
Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
を含んで成り、上記配列のC末端のTyr残基をC末端とするペプチドを抗原として用いることを特徴とする、方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体及びその作成方法に関する。
システインプロテアーゼであるカスパーゼは脊椎動物のプログラム細胞死や細胞からの分泌におけるタンパク質のプロセッシングに関与しており、現在までにヒト、マウスに由来のものを含め、約14種類の存在が知られている。カスパーゼの共通の特徴には、1)これらが、Asp−X結合(ここで「X」はアミノ酸である)基質切断特性を有するシステインプロテアーゼであること;2)これらが、活性部位内の保存されたペンタペプチド配列を共有すること;及び3)これらが、プロテアーゼ活性の活性化のために特異的アスパラギン酸残基でのタンパク質分解切断を必要とするプロ酵素として合成されることがある。プロ酵素の切断は、2つのポリペプチドプロテアーゼサブユニットを生成し、これらは、非共有結合して2つのヘテロダイマーから構成されるテトラマーを形成する。これらのプロテアーゼは、細胞で発現される場合、一般にアポトーシスを誘導する。
カスパーゼ−14は皮膚に特異的に発現するカスパーゼであることが報告されているが、その活性化の機構及び機能に関しては明らかではない。カスパーゼ−14の全長配列やそれをコードする核酸配列についてはhttp://www-personal.umich.edu/~ino/List/31919.htmや、特表2000-507812号公報、特表2001-521730号公報、特表2002-534958号公報に記載されている。ケラチノサイトの最終分化(角化)の過程で、顆粒層から角層への極めて限局した移行部位において、TUNEL陽性細胞が認められ、少なくとも角化の最終段階にはアポトーシスの過程が含まれるものと考えられており、カスパーゼ-14は表皮の角化におけるアポトーシスに深く関与しているものと考えられている(特開2003-171400号公報)。
特表2000-507812号公報 特表2001-521730号公報 特表2002-534958号公報 特開2003-171400号公報 特表2002-500049号公報
しかしながら、カスパーゼ-14が角化やアポトーシスの過程に具体的にどのように関与しているかは十分に解明されていない。カスパーゼ−14の活性化の機構及び機能、更には活性型の生体内分布及びその生理学的役割の解明には、その活性化形態に特異的な抗体の利用が不可欠である。従って、本発明者は活性化カスパーゼ-14に特異的に結合する抗体の作製を検討した。
カスパーゼの活性化にはプロセッシングが必要であり、一般に下流カスパーゼとも称されるアポトーシスの実行に関与するいわゆる実行カスパーゼ(例えばカスパーゼ-3,-6,-7)の不活性プロ形態は上流カスパーゼ(例えばカスパーゼ-1,-2,-4,-5,-8,-9,-10,-11,-12,-13)により切断・活性化されるが、カスパーゼ−14に関しては、そのプロ形態は他のカスパーゼによっても活性化されず、従ってその活性化に関与する切断箇所は解明されていなかった。本発明者は、角層内に存在する活性化形態のカスパーゼ-14の生成につながるプロカスパーゼ-14の切断部位を鋭意検討した結果、プロカスパーゼ-14がキモトリプシン様酵素により178位のチロシン残基が切断され、活性化カスパーゼとなることを見出した。
従って、第一の態様において、本発明は活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体の作成方法を提供する。活性型カスパーゼ-14は、不活性型プロカスパーゼ−14の178位のチロシン残基において切断されることで生成される、当該178位のチロシン残基をC末端として有する活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体である。この抗体作成方法は、不活性型プロカスパーゼ−14のアミノ酸残基174位〜178位のアミノ酸配列:
Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
を含んで成り、上記配列のC末端のTyr残基をC末端とするペプチドを抗原として用いることを特徴とする。
本発明はさらに、上記方法により作成された、不活性型プロカスパーゼ−14の178位のチロシン残基において切断されることで生成される、当該178位のチロシン残基をC末端として有する活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体を提供する。
別の観点において、本発明は組織、もしくは細胞、特に表皮中の活性型カスパーゼ−14を検出するため、上記方法により作成された抗体を使用することを特徴とする方法を提供する。
カスパーゼ−14は他のカスパーゼファミリーと比較して顕著に異なる挙動を示し、細胞死以外の様々な機構にも関与している可能性が高く、その作用機能の解明は極めて有意義なものと考えられる。本願発明にかかる活性型カスパーゼ−14特異的抗体はこのような活性型カスパーゼ−14の同定に有用であり、その結果カスパーゼ−14の生体内での役割を解明するのに極めて有用である。
本発明者は、プロカスパーゼ−14のアミノ酸174〜178位に相当するペンタペプチドを化学合成してハプテンとしてウサギの免疫に用いた。数回の感作ののち抗血清を得、抗血清中で免疫に用いたペプチドに強く結合する抗体が生成された。生成された抗体を用いて表皮細胞の免疫染色を行ったところ、驚くべきことに、この抗体は表皮の顆粒層を極めて特異的に染色した。このような特性を有する抗体は従来技術の抗カスパーゼ-14抗体とは顕著に区別される。例えば、市販の抗−カスパーゼ−14抗体「H-99Ab」(プロカスパーゼ-14の22から122位のポリペプチドを認識;Santa Cruz Biotechnology Inc.)による表皮の免疫染色では、基底層を除く表皮全体が特異的に染色される。また、カスパーゼ-14のアミノ酸残基146位のアスパラギン酸を認識し、活性型カスパーゼ-14に特異的に結合するとされた抗カスパーゼ-14抗体「h14D146抗体」(特開2003-171400号公報)による表皮の免疫染色によっても、角層のほぼ全体が染色されてしまう。従って、本発明の抗体は従来の抗カスパーゼ-1抗体に比べ、特異性は極めて高いものと考えられる。
本発明の抗体作製方法で使用する抗原は下記のペプチドが好ましい。
Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
抗原は好ましくは免疫力を強化するため、適当な担体、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ胎児血清アルブミン(BSA)等に結合させるのが好ましい。ハプテンの免疫力を強化する担体及びその結合方法は当業者に周知である。好ましくは、ペプチドにかかる担体を結合させるため、Cys残基をペプチドのN末端に付加する。かかるシステイン残基の付加は、MBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシニミド-エステル)等の架橋剤を使用するのが好ましい。
抗原として利用されるペプチドは、上記ペンタペプチドの他に、活性型プロカスパーゼ−14には結合せず、活性型カスパーゼ−14にのみ特異的な抗体を生起する限りにおいて、カススパーゼ−14内の178位のチロシン残基を基準にN末端側の5個超の連続アミノ酸残基を含むものであってもよい。例えば、下記のペプチド配列であってよい:
Tyr-Ser-Thr-Val-Glu-Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
Ser-Thr-Val-Glu-Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
Thr-Val-Glu-Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
Val-Glu-Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
Glu-Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
本発明に係るペプチドは例えば5〜50個のアミノ酸、好ましくは5〜20個のアミノ酸、より好ましくは5〜10個のアミノ酸、最も好ましくは5個のアミノ酸から成る。
本発明において「抗体」とは、活性型カスパーゼ−14にのみ特異的に結合し得る抗体分子全体又はその断片(例えば、Fab又はF(ab')2断片)を意味し、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。本発明の抗体は、種々の方法のいずれかによって製造することができる。このような抗体の製造法は当該分野において周知である[例えばHarlow E. & Lane D., Antibody, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)を参照]。
本発明に係るカスパーゼ−14特異的抗体をポリクローナル抗体として作製する場合、上記抗原、好ましくは適当な担体に結合させた抗原複合体を哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに投与する。抗原又は抗原複合体の動物1匹当たりの投与量は、アジュバントを用いないときは0.1〜100mgであり、アジュバントを用いるときは10〜1000μgであるが、それらに限定されることはない。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下又は腹腔内等に注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜5週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。そして、最終の免疫日から6〜60日後に、ウェスタンブロット法、酵素免疫測定法(ELISA又は EIA)、放射性免疫測定法(RIA)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採血し、抗血清を得るのが好ましい。
ポリクローナル抗体の精製は、抗原ペプチドの結合したカラムを用いるアフィニティークロマトグラフィー、その他の当業者周知の精製方法、例えばイオン交換クロマロトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー等により精製することができる。
本発明に係るカスパーゼ−14特異的抗体をモノクローナル抗体として作製する場合、上記抗原、好ましくは適当な担体に結合させた抗原複合体を、哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに投与する。抗原の動物1匹当たりの投与量は、例えばアジュバントを用いないときは0.1〜100mgであり、アジュバントを用いるときは1〜100μgであるが、それらに限定されることはない。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下又は腹腔内等に注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜5週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。そして、最終の免疫日から1〜60日後、好ましくは1〜14日後に抗体産生細胞を採集する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞又は局所リンパ節細胞が好ましい。
細胞融合ハイブリドーマを得るため、抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合を行う。抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。ミエローマ細胞としては、例えば X63Ag.8.653、NSI/1-Ag4-1、NS0/1などのマウスミエローマ細胞株、YB 2/0などのラットミエローマ細胞株が挙げられる。
次に、上記ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDMEM、RPMI-1640培地などの動物細胞培養用培地中で、1×106〜1×107個/mlの抗体産生細胞と2×105〜2×106個/mlのミエローマ細胞とを混合し(抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞比2:1〜3:1が好ましい)、細胞融合促進剤存在のもとで融合反応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量1000〜6000ダルトンのポリエチレングリコール等を使用することができる。また、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
ハイブリドーマの選別及びクローニング細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、細胞懸濁液を例えばウシ胎児血清含有RPMI-1640培地などで適当に希釈後、マイクロタイタープレート上に3×105個/well程度まき、各ウエルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。その結果、選択培地で培養開始後、14日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清中に、活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体が存在するか否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されるものではない。例えば、ハイブリドーマとして生育したウエルに含まれる培養上清の一部を採集し、酵素免疫測定法、放射性免疫測定法等によってスクリーニングすることができる。融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行う。そして、最終的に、活性型カスパーゼ‐14とは反応し、全長不活性型プロカスパーゼ−14とは反応しないモノクローナル抗体を産生する細胞であるハイブリドーマを樹立する。
モノクローナル抗体の採取樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法又は腹水形成法等を採用することができる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを10%ウシ胎児血清含有RPMI-1640培地、MEM培地又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃、5% CO2濃度)で7〜14日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水を採取する。上記抗体の採取方法において抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることにより精製することができる。
本発明でいう不活性型カスパーゼ−14とは全長プロカスパーゼ−14をいい、活性型カスパーゼ−14とは全長カスパーゼ−14の178位のチロシンのC末端側で切断されて2つのポリペプチドプロテアーゼサブユニットを生成し、非共有結合したヘテロダイマーか、それら2つのヘテロダイマーから構成されたテトラマーを形成したものをいう。
本発明に活性型カスパーゼ−14の検出方法は、本発明に係る活性型カスパーゼ−14特異的抗体の検出を通じて行うことができ、その方法には例えば蛍光物質、色素、酵素等を利用する免疫染色法、ウェスタンブロット法、免疫測定方法、例えばELISA法、RIA法等、様々な方法が挙げられる。
以下に本発明の限定でない実施例を提供する。
実施例1
角層中の活性化カスパーゼ−14の存在
ヒトケラチノサイト(NHEK)(クラボウ)、ヒト皮膚組織(外科手術の際に患者の同意を得て入手)、ヒト角層(健常人のかかとより採取)または皮膚モデルテストスキン(Toyobo)をTBS緩衝液(100mMのTris-HCl, pH8.0、0.14MのNaCl)で抽出処理し、15%のSDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、市販の抗−カスパーゼ−14抗体「H-99Ab」を用いてウェスタンブロット法で解析した。その結果を図1に示す。その結果から明らかな通り、全上皮細胞抽出物物(レーン5)や皮膚モデル(レーン7)では不活性型のプロカスパーゼ-14(分子量約30kD)と活性型カスパーゼ-14(分子量約17kD)の両者が認められるのに対し、角層細胞抽出物(レーン6)では活性型カスパーゼ-14のみが存在し、不活性型のプロカスパーゼ-14はほとんど認められなかった。従って、皮膚の角質化において、カスパーゼ-14が関与していることが明らかである。尚、培養細胞系(図のレーン1〜4)では不活性型プロカスパーゼ-14のみが存在し、活性型カスパーゼ-14は全く認められなかった。
実施例2
組換プロカスパーゼ-14を用いた、カスパーゼ-14の活性化切断部位の解明
前述したとおり、カスパーゼ−14に関しては、そのプロ形態は他の上流カスパーゼによっても活性化されず、その活性化に関与する切断箇所は解明されていない。従って、本発明者は不活性型プロカスパーゼ-14の活性化に関与する切断箇所を見出すべく、まず組換プロカスパーゼ-14を、特表2002-500049号公報に記載の方法に従い、作成した。簡単には、下記のPCRプライマーを用いてRT−PCR増幅したヒトカスパーゼ-14全長コード配列をプラスミドpQE−100(Qiagen, Co.)にクローニングし、大腸菌DH5αに形質転換し、発現させることで作製した。発現したプロカスパーゼ-14はNi−NTAアフィニティーカラム(Qiagen, Co.)、MonoQ FPLCシステム(アマシャム社)、Superdex−75 FPLCシステム(アマシャム)によるクロマトグラフィーにかけることで精製した。組換プロカスパーゼ-14はルゼート1リッター当たり2〜3mgの収量で得られた。
カスパーゼ−14の増幅用プライマー
上記組換プロカスパーゼ-14について、各種酵素で処理したところ、キモトリプシン処理により、角層において認められるものとほぼ同等の分子量(分子量約17kDa)をもった活性化カスパーゼ-14と推定されるのペプチドバンドが出現した。その結果を図2に示す。よって、その切断部位をウェスタンブロット法で調べたところ、プロカスパーゼ-14の178位のアミノ酸残基チロシンであることがわかった。
実施例3
ヒトカスパーゼ-14の上記切断点を認識する抗体(h14Y178抗体)の作成
h14Y178抗体は、簡単に説明すると、プロカスパーゼ−14配列内の上記活性化に関与するものと推定される切断部位を含む領域(Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr)に対してN末端に担体を結合させるためのシステインを付加した計6個のアミノ酸から成るペプチド(Cys- Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr)を合成し、ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH:シグマ社製)に結合させたものをウサギに免疫して作成し、アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
まず、ペプチドの担体タンパク質への結合については以下の通りに行った。10mgのKLHを2mlの0.2Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した。これに1mgのMBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシニミド-エステル)をN,N'-ジメチルホルムアミド(岩井化学社製)67μlに溶解しておいたMBS溶液(用時調製)をゆっくり加え、室温で30分以上振とうした。予め作成しておいた0.2Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化したセファデックスG−25ゲル濾過カラム(φ0.8×30cm:バイオラッド社製)にアプライし、同緩衝液にて流出画分を分取した。KLH−MB複合体を形成している画分について集めた(-80℃)で保存。尚、カラムを用いる一連の操作は4℃で行なった。
更に、このKLH−MB複合体溶液0.4mlに2.5mg/0.1mlの合成ペプチド(サワデーテクノロジー社)を加え、室温にて4時間以上振とうし、KLH−MB−合成ペプチド結合物とした。分注して-20℃で保存した。
免疫操作は以下の通りに行った。初回免疫では結核菌を含むフロインド完全アジュバント(ギブコ社製)を用いた。これを十分振って均等にし、23G注射針(テルモ社製)をつけた注射筒を用いて1ml測り取った。更に同針でKLH−MB−ペプチド結合物を吸い込んだ後、均一なエマルジョンを作製し、ウサギ(ニュージーランドホワイト種)の皮下に注射した。追加免疫として、2回目以降は結核菌を含まないフロインドの不完全アジュバント(ギブコ社製)を用いて約2週間毎に、計3回にわたりウサギに免疫を行った。初回免疫より3回目及び4回目の免疫後にウサギより血液を採取した。血液は37℃、2時間置いた後、4℃で一晩静置した。血清の回収は2,000×g、4℃で5分間遠心分離を行い、回収した血清を分注し、-30℃で保存した。
2)アフィニティーカラムの作製及び精製方法
AH−セファロース4B(ファルマシア社製)約1.5gを0.5MのNaCl溶液と蒸留水で洗浄し、10mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)にて平衡化した後、N,N'-ジメチルホルムアミド1.4mlで溶解したMBS(20mg)をゆっくり加え、室温で80分間振とうした。これをガラス濾過器を用いて0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で洗浄し、再び同緩衝液4mlに膨潤させ、蒸留水に溶解した合成ペプチド5mgを加えた。水酸化カリウム溶液を用いてpH6.5に調整し、4℃で一晩振とうした。その後、2-メルカプトエタノール(終濃度75mM)(シグマ社製)を加え、更に4℃にて2.5時間振とうし、ガラス濾過器を用いて50mMのTris-HCl(pH7.4)で洗浄し、結合していないペプチド及び試薬を洗浄した。この樹脂をカラムに充填した。
抗血清は、上記のペプチドを結合させたアフィニティーカラムに、3、4回繰り返しアプライした抗体を結合させた後、0.5MのNaClを含む50mMのTris-HCl(pH7.4)で洗浄し、更に50mMのTris-HCl(pH7.4)で洗浄し、夾雑物を取り除いた。0.1Mのグリシン−HCl(pH2.5)により溶出し、酸性による活性低下を防ぐため、予め冷却した2MのTris-HCl(pH8.0)に滴下し、分取した。波長280nmにて吸光度を測定し、タンパク質量の多い画分を実験に使用した。防腐剤として終濃度0.02%になるようにアジ化ナトリウムを加え、4℃に保存した。
実施例4
h14Y178抗体によるヒト表皮の免疫組織化学染色方法
ヒト上眼瞼皮膚凍結切片を4%のPFA(パラホルムアルデヒド)で室温、20分固定し、ブリーチ(10%のメタノール、3%の過酸化水素/蒸留水)により、内因性のペルオキシダーゼを除去した後、ENVISIONキット(ダコ)を用いて染色を行った。具体的には、10%のヤギ正常血清(ニチレイ社製)にて室温、2時間ブロッキング処理し、実施例3のh14Y178抗体(1/200)と4℃、一晩反応させた後、PBSで室温にて15分×3回、余剰抗体を洗浄した。次に、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギ二次抗体(ダコ)と室温で1時間反応させ、再度PBSで室温にて15分×3回洗浄し、余剰抗体を洗浄し、DABを用いて発色させた。最後にヘマトキシニンを用いて核染色を行った。その結果を図3に示す。
図3から、h14Y178抗体による免疫染色では、表皮の顆粒層が特異的に染色されることわかる(図中の→で示した部分がh14Y178抗体により特異的に染色された部分)。従って、h14Y178抗体は表皮細胞におけるアポトーシスを原因とする角化現象に関与する活性型カスパーゼ-14を特異的に認識できるものと考えられる。
実施例5
対照抗体によるヒト表皮の免疫組織化学染色方法
市販の抗カスパーゼ-14抗体「H-99Ab」及びプロカスパーゼ-14の142から146位のアミノ酸(Thr-Val-Gly-Gly-Asp)を認識する抗−カスパーゼ−14抗体「h14Y146抗体」を用いて表皮の免疫染色を行った。詳しくは、下記のとおりにして染色行った。
ヒト頭皮凍結切片を4%のPFA(パラホルムアルデヒド)で室温、20分固定し、ブリーチ(10%のメタノール、3%の過酸化水素/蒸留水)により、内因性のペルオキシダーゼを除去した後、ニチレイヒストファインキットを用いて染色を行なった。具体的には、10%のヤギ正常血清(ヒストファインブロッキング試薬:ニチレイ社製)にて室温、2時間ブロッキング処理し、H-99Ab又はh14Y146抗体(1/200)と4℃、一晩反応させた後、PBSで室温にて15分×3回、余剰抗体を洗浄した。次に、ビオチン化抗ウサギ二次抗体(ヒストファイン:ニチレイ社製)と室温で1時間反応させ、再度PBSで室温にて15分×3回洗浄し、余剰抗体を洗浄し、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(ヒストファイン:ニチレイ社製)と室温で15分反応させた。最後に、ペルオキシダーゼ基質であるTrue Blueを用いて発色させた後、Nuclear FastRedで核染色を行った。その結果を図3に示す。
「H-99Ab」による免疫染色では表皮全体が非特異的に染色され、また「h14Y146抗体」による染色でも角層のほぼ全体が染色された。これらの結果は、本発明の抗体の特異性の高さを実証する。
カスパーゼ-14の発現と活性化を示すウェスタンブロット分析。 各種プロテアーゼによるカスパーゼ-14のプロセッシング。 h14Y178抗体によるヒト表皮の免疫組織化学染色方法。図中の→で示した部分がh14Y178抗体により特異的に染色された部分である。 h14Y146抗体によるヒト表皮の免疫組織化学染色方法。

Claims (2)

  1. 不活性型プロカスパーゼ−14の178位のチロシン残基において切断されることで生成される、当該178位のチロシン残基をC末端として有する活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体の作成方法であって、不活性型プロカスパーゼ−14のアミノ酸残基174位〜178位のアミノ酸配列:
    Gly-Tyr-Ile-Ala-Tyr
    を含んで成り、上記配列のC末端のTyr残基をC末端とするペプチドを抗原として用いることを特徴とする、方法。
  2. 請求項1記載の方法により作成された、不活性型プロカスパーゼ−14の178位のチロシン残基において切断されることで生成される、当該178位のチロシン残基をC末端として有する活性型カスパーゼ−14に特異的な抗体。
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