JP2006117506A - 光学ガラス - Google Patents

光学ガラス Download PDF

Info

Publication number
JP2006117506A
JP2006117506A JP2005120755A JP2005120755A JP2006117506A JP 2006117506 A JP2006117506 A JP 2006117506A JP 2005120755 A JP2005120755 A JP 2005120755A JP 2005120755 A JP2005120755 A JP 2005120755A JP 2006117506 A JP2006117506 A JP 2006117506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
mol
optical glass
optical
zro
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005120755A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4993872B2 (ja
Inventor
Susumu Uehara
進 上原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ohara Inc
Original Assignee
Ohara Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ohara Inc filed Critical Ohara Inc
Priority to JP2005120755A priority Critical patent/JP4993872B2/ja
Publication of JP2006117506A publication Critical patent/JP2006117506A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4993872B2 publication Critical patent/JP4993872B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】低いガラス転移温度(Tg)及び高屈折率低分散性を有し、化学的耐久性、特に耐洗剤性に優れ、精密モールドプレス成形に適した光学ガラスを提供する。
【解決手段】屈折率(nd)が1.74〜1.80、アッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、必須成分としてSiO2、B23、La23、Gd23、ZrO2、Ta25、ZnO、Li2Oを含有し、実質的に鉛、ヒ素、弗素を含まず、ZrO2の含有率が6質量%以下であり、かつZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜1.5であり、ガラス転移点(Tg)が530〜630℃であることを特徴とする光学ガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、低いガラス転移温度(Tg)及び高屈折率低分散性を有し、化学的耐久性、特に耐洗剤性に優れ、精密モールドプレス成形に適した光学ガラスに関する。
光学系を構成するレンズには一般に球面レンズと非球面レンズがある。多くの球面レンズは、ガラス材料をリヒートプレス成形して得られたガラス成形品を研削研磨することによって製造される。一方、非球面レンズは、加熱軟化したレンズプリフォーム材を、高精度な成形面をもつ金型でプレス成形し、金型の高精度な成形面の形状をレンズプリフォーム材に転写して得る方法、すなわち、精密モールドプレス成形によって製造されることが主流となっている。
精密プレス成形によって非球面レンズのようなガラス成形品を得るにあたっては、前述したように高温環境下でプレス成形することが必要であるので、この際使用する金型も高温に曝され、また、金型に高いプレス圧力が加えられる。そのため、レンズプリフォーム材を加熱軟化させる際及びレンズプリフォーム材をプレス成形する際に、金型の成形面が酸化、侵食されたり、金型成形面の表面に設けられている離型膜が損傷したりして金型の高精度な成形面が維持できなくなることが多く、また、金型自体も損傷し易い。そのようになると、金型を交換せざるを得ず、金型の交換回数が増加して、低コスト、大量生産を実現できなくなる。そこで、精密プレス成形に使用するレンズプリフォーム材となるガラスは、上記損傷を抑制し、金型の高精度な成形面を長く維持し、かつ、低いプレス圧力での精密プレス成形を可能にするという観点から、できるだけ低いガラス転移温度(Tg)を有することが望まれている。
精密プレス成形を行う場合、そのレンズプリフォーム材となるガラスは表面が鏡面、あるいはそれに近い状態である必要がある。レンズプリフォーム材の作製法は、滴下法によって熔融ガラスから直接作製される方法と研削研磨によって作製される方法が一般的であるが、コストや工程数を考慮すると前者の方法がより一般的に用いられている。滴下法によって得られたレンズプリフォーム材はゴブあるいはガラスゴブと呼ばれる。これらのレンズプリフォーム材は、精密プレス成形する前に洗浄を行って表面のゴミや汚れを除去する必要がある。しかし、精密プレス成形用の光学ガラスは一般に化学的耐久性が悪く、洗浄などを行う場合にレンズプリフォーム材表面にヤケを生じ、鏡面あるいは鏡面に近い状態を保てなくなるという欠点がある。特に洗浄を行う場合などに問題となり、化学的耐久性の中でも耐洗剤性が重要な特性となる。
以上の理由より、光学設計上の有用性という観点で従来から高屈折率低分散性を有し、ガラス転移温度(Tg)が低く、耐洗剤性の優れた光学ガラスが強く求められている。
特に、屈折率(nd)が1.74〜1.80、アッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有する高屈折率低分散性の光学ガラスが強く求められている。
高屈折率低分散性の光学ガラスは光学設計上非常に有用であるため、古くから種々のガラスが提案されている。
特開2002−249337号公報及び特開2003−201143号公報には、ガラス転移点(Tg)の低い光学ガラスが開示されている。しかし、これらの公報に具体的に開示されている光学ガラスのうち、前記範囲内の光学定数を有する光学ガラスは、モル%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.9〜2.5の範囲外にあるため、耐洗剤性が不十分である。
特開平8−259257号公報、特開2002−12443号公報及び特開昭60−221338号公報には、ガラス転移点(Tg)の低い光学ガラスが開示されている。しかし、これらの公報に具体的に開示されている光学ガラスのうち、前記範囲内の光学定数を有する光学ガラスは、質量%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜1.5の範囲外にあるため、耐洗剤性が不十分である。
特開平8−217484号公報に記載の光学ガラスは、原料価格が著しく高いLu23を必須成分としているため、非常に生産コストが高くなり実用性に乏しい。また、公報に具体的に開示されているガラスのうち、前記範囲内の光学定数を有しているガラスは低Tg化に有効なアルカリ成分、ZnO成分を含んでいないため、ガラス転移温度(Tg)が高いという欠点もある。
特開昭55−3329号公報に記載の光学ガラスは、必須成分であるSnO2は熔融雰囲気が還元状態になると金属錫となり、熔融装置に使用されている白金などを合金化させて侵食し、ガラス漏れ事故を引き起こすため、実用性に乏しい。また、公報に具体的に開示されているガラスのうち、上記特定範囲内の光学定数を有しているガラスは低Tg化に有効なアルカリ成分、ZnO成分を含んでいない、あるいは含有量が少ないため、ガラス転移温度(Tg)が高いという欠点もある。
特開平8−26765号公報、特開2000−16831号公報、特開2003−252647号公報、特開平6−305769号公報及び特開2003−267748号公報には、ガラス転移点(Tg)の低い光学ガラスが開示されている。しかし、これら公報に具体的に開示されている光学ガラスは前記範囲内の光学定数を有しておらず、上述した光学設計上の要求を満たしていない。
特開昭59−195553号公報、特開昭56−160340号公報、特開昭52−155615号公報、特開昭52−14607号公報、特開2002−128539号公報及び特開昭53−4023号公報に具体的に開示されている光学ガラスはガラス転移点(Tg)が高く、精密プレス成形には不適である。
特開2002−249337号公報 特開2003−201143号公報 特開平8−259257号公報 特開2002−12443号公報 特開昭60−221338号公報 特開平8−217484号公報 特開昭55−3329号公報 特開平8−26765号公報 特開2000−16831号公報 特開2003−252647号公報 特開平6−305769号公報 特開2003−267748号公報 特開昭59−195553号公報 特開昭56−160340号公報 特開昭52−155615号公報 特開昭52−14607号公報 特開2002−128539号公報 特開昭53−4023号公報
本発明の目的は、前記背景技術に記載した光学ガラスに見られる諸欠点を総合的に解消し、前記の光学定数を有し、ガラス転移温度(Tg)が低く、耐洗剤性に優れ、精密モールドプレス成形に適した光学ガラスを提供することにある。
前記目的を解決するための本発明の第1の構成は、屈折率(nd)が1.74以上、アッベ数(νd)が47以上の光学定数を有し、実質的に鉛、ヒ素、弗素を含まず、ZrO2の含有率が6質量%以下であり、かつZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜1.5である光学ガラスであって、耐洗剤性(ISO9689)が級3、級2又は級1である該光学ガラスである。
本発明の第2の構成は、ガラス転移点(Tg)が630℃以下であることを特徴とする前記構成1の光学ガラスである。
本発明の第3の構成は、液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が0.4〜2.0の範囲である前記構成1及び2の光学ガラス。
前記目的を達成するための本発明の第4の構成は、屈折率(nd)が1.74〜1.80、アッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、必須成分としてSiO2、B23、La23、Gd23、ZrO2、Ta25、ZnO、Li2Oを含有し、実質的に鉛、ヒ素、弗素を含まず、ZrO2の含有率が6質量%以下であり、かつZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜1.5であり、ガラス転移点(Tg)が530〜630℃であることを特徴とする光学ガラスである。
本発明の第5の構成は、質量%で、
SiO2 4.5〜6%未満、
23 20〜30%、
La23 15〜35%未満、
Gd23 25%を超え35%以下
ZrO2 0.5〜6%
Ta25 0.5〜10%
ZnO 0.5〜15%及び
Li2O 0.1〜2.5%、
並びに
23 0〜2%及び/又は
Yb23 0〜10%及び/又は
GeO2 0〜5%及び/又は
TiO2 0〜5%及び/又は
Nb25 0〜5%及び/又は
WO3 0〜5%及び/又は
RO 0〜10%
ただし、ROは、CaO、SrO及びBaOから選ばれる1種又は2種以上、及び/又は
Sb23 0〜1%
の各成分を含有する前記構成4の光学ガラスである。
本発明の第6の構成は、各成分の質量%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜0.98である前記構成5の光学ガラスである。
本発明の第7の構成は、各成分の質量%の比率でSiO/Bの値が0.18以上であることを特徴とする前記構成1〜6の光学ガラスである。
本発明の第8の構成は、SiO2+B23が23質量%〜35質量%であることを特徴とする前記構成1〜7の光学ガラスである。
本発明の第9の構成は、Y23+La23+Gd23+Yb23が48質量%〜58質量%であることを特徴とする前記構成1〜8の光学ガラスである。
本発明の第10の構成は、屈折率(nd)が1.74〜1.80、アッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、必須成分としてSiO2、B23、La23、Gd23、ZrO2、Ta25、ZnO、Li2Oを含有し、実質的に鉛、ヒ素、弗素を含まず、ZrO2の含有率が6.5モル%以下であり、かつ各成分のモル%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.9〜2.5であり、ガラス転移点(Tg)が530〜630℃であることを特徴とする光学ガラスである。
本発明の第11の構成は、モル%で、
SiO2 10%を超え13%以下、
23 40%を超え60%以下、
La23 5〜15%、
Gd23 8〜15%
ZrO2 0.2〜6.5%
Ta25 0.1〜5%
ZnO 0.5〜18%及び
Li2O 0.5〜10%、
並びに
23 0〜1%及び/又は
Yb23 0〜5%及び/又は
GeO2 0〜3%及び/又は
TiO2 0〜3%及び/又は
Nb25 0〜3%未満及び/又は
WO3 0〜3%及び/又は
RO 0〜10%
ただし、ROは、CaO、SrO及びBaOから選ばれる1種又は2種以上、及び/又は
Sb23 0〜1%
の各成分を含有することを特徴とする前記構成10の光学ガラスである。
本発明の第12の構成は、各成分のモル%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.9〜2.4であることを特徴とする前記構成10又は11の光学ガラスである。
本発明の第13の構成は、各成分の質量%の比率でSiO/Bの値が0.20以上であることを特徴とする前記構成10〜12の光学ガラスである。
本発明の第14の構成は、SiO2+B23が50mol%を超え65mol%以下であることを特徴とする前記構成10〜13の光学ガラスである。
本発明の第15の構成は、Y23+La23+Gd23+Yb23が16mol%〜23mol%であることを特徴とする前記構成10〜14の光学ガラスである。
本発明の第16の構成は、前記構成1〜15の光学ガラスからなるレンズプリフォーム材である。
本発明の第17の構成は、前記構成1〜16までの光学ガラスを成形してなる光学素子である。
本発明の光学ガラスの各成分について説明する。以下、特に断らない限り各成分の含有率は質量%を意味する。
SiO2成分は、本発明の光学ガラスにおいて、ガラスの粘度を高め、耐失透性および耐洗剤性を向上させるのに非常に有効であり、欠かすことのできない成分である。しかし、4.5%未満ではその効果が不十分であり、6%以上ではガラス転移温度(Tg)の上昇や熔融性が悪くなる。従って、好ましくは4.5%、より好ましくは4.5%を超え、最も好ましくは4.7%を下限として含有することができ、好ましくは6%未満、より好ましくは5.9%、最も好ましくは5.8%を上限として含有することができる。
SiO2は、原料として例えばSiO等を使用してガラス内に導入される。
23成分は、ランタン系ガラスである本発明の光学ガラスにおいて、ガラス形成酸化物成分として欠かすことのできない成分である。しかし、20%未満では耐失透性が不十分となり、30%を超えると耐洗剤性が悪くなる。従って、好ましくは20%、より好ましくは20%を超え、最も好ましくは22%を下限として含有することができ、好ましくは30%、より好ましくは29%、最も好ましくは28%を上限として含有することができる。
23は、原料として例えばH3BO3、B23等を使用してガラス内に導入される。
23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効である。しかし、2%を超えると耐失透性が急激に悪くなる。従って、好ましくは2%を上限とし、より好ましくは1%、最も好ましくは含有しない。
23は、原料として例えばY23等を使用してガラス内に導入される。
La23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効であり高屈折率低分散性を有する本発明のガラスに欠かすことのできない成分である。しかし、15%未満では、ガラスの光学定数の値を前記範囲内に維持し難く、また、35%以上では耐失透性が悪くなる。従って、好ましくは15%、より好ましくは16%、最も好ましくは18%を下限として含有することができ、好ましくは35%未満、より好ましくは33%、最も好ましくは30%を上限として含有することができる。
La23は、原料として例えばLa23、硝酸ランタン又はその水和物等を使用してガラス内に導入される。
Gd23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させると共にLa23成分と共存させることで耐失透性を向上させるのに非常に有効であり、欠かすことのできない成分である。しかし、25%以下ではその効果が不十分であり、35%を超えると逆に耐失透性が悪くなる。従って、好ましくは25%を超え、より好ましくは25.1%、最も好ましくは25.2%を下限として含有することができ、好ましくは35%、より好ましくは34%、最も好ましくは32%を上限として含有することができる。
またGd23は、原料として例えばGd23等を使用してガラス内に導入される。
Yb23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効である。しかし、10%を超えると耐失透性が悪くなる。従って、好ましくは10%、より好ましくは9%、最も好ましくは7%を上限として含有することができる。
Yb23は、原料として例えばYb23等を使用してガラス内に導入される。
GeO2成分は、屈折率を高め、耐失透性向上させる効果を有する成分であるが、原料が非常に高価であるため、好ましくは5%を上限とし、より好ましくは2%未満、最も好ましくは含有しない。
GeO2は、原料として例えばGeO2等を使用してガラス内に導入される。
TiO2成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果がある。しかし、5%を超えると逆に耐失透性が悪くなる。従って、好ましくは5%、より好ましくは1%、最も好ましくは0.5%を上限として含有することができる。
TiO2は、原料として例えばTiO2等を使用してガラス内に導入される。
ZrO2成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善し、耐洗剤性を向上させる効果が顕著であり、欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分であり、その量が多すぎると耐失透性が悪くなるうえ、ガラス転移温度(Tg)を所望の低い値に維持し難くなる。本発明のガラス組成物中において、好ましくは0.5%、より好ましくは1%、最も好ましくは2%を下限として含有することができ、好ましくは6%、より好ましくは5.9%、最も好ましくは5.8%を上限として含有することができる。
またZrO2は、原料として例えばZrO2等を使用してガラス内に導入される。
Nb25成分は、屈折率を高め、耐洗剤性及び耐失透性を改善する効果がある。しかし、5%を超えると逆に耐失透性が悪くなる。従って、好ましくは5%を上限とし、より好ましくは1%未満、最も好ましくは含有しない。
またNb25は、原料として例えばNb25等を使用してガラス内に導入される。
Ta25成分は、屈折率を高め、耐洗剤性及び耐失透性を改善する効果が顕著であり、欠かすことのできない成分である。しかし、0.5%未満ではその効果が不十分であり、10%を超えると上記範囲の光学定数を維持し難くなる。従って、好ましくは0.5%、より好ましくは1%、最も好ましくは2%を下限として含有することができ、好ましくは10%、より好ましくは8%、最も好ましくは6%を上限として含有することができる。
またTa25は、原料として例えばTa25等を使用してガラス内に導入される。
WO3成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果がある。しかし、5%を超えると逆に耐失透性や可視光領域の短波長域の光線透過率が悪くなる。従って、好ましくは5%を上限とし、より好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは含有しない。
またWO3は、原料として例えばWO3等を使用してガラス内に導入される。
ZnO成分は、ガラス転移温度(Tg)を低くする効果が大きく、欠かすことのできない成分である。しかし、0.5%未満ではその効果が不十分であり、15%を超えると耐失透性が悪くなる。従って、好ましくは0.5%、より好ましくは1%、最も好ましくは2%を下限として含有することができ、好ましくは15%、より好ましくは13%、最も好ましくは10%を上限として含有することができる。
またZnOは、原料として例えばZnO等を使用してガラス内に導入できる。
RO成分(CaO、SrO及びBaO成分から選ばれる1種又は2種以上の成分)は光学定数の調整に有効である。しかし、10%を超えると耐失透性が悪くなる。従って、好ましくは10%、より好ましくは8%、最も好ましくは4.5%を上限として含有することができる。
RO成分は、原料として例えばCaO、SrO、BaOまたはその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を使用してガラス内に導入できる。
なお、SrO成分及びCaO成分については実質的に含まないことが好ましい。
Li2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を大幅に下げ、かつ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果を有するため、欠かすことのできない成分である。しかし、0.1%未満ではその効果が不十分であり、2.5%を超えると耐失透性が急激に悪化する。従って、好ましくは0.1%、より好ましくは0.2%、最も好ましくは0.5%を超え、を下限として含有することができ、好ましくは2.5%、より好ましくは2.3%、最も好ましくは2%未満を上限として含有することができる。
またLi2Oは、原料として例えばLi2O、Li2CO3、LiOH、LiNO3等を使用してガラス内に導入できる。
Sb23成分は、ガラス溶融時の脱泡のために任意に添加しうるが、その量が多すぎると可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、好ましくは1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.2%を上限として含有できる。
なお、上記ガラス中に存在する各成分を導入させるために使用される原料は、例示の目的で記載したものであり、上記列挙された酸化物等に限定されるものではない。従って、ガラス製造の条件の諸変更に適宜対応させて、公知の材料から選択できる。
本発明者は、前記範囲内の光学定数において、SiO2成分とB23成分の含有量の比を所定の値に調節することにより、耐洗剤性が向上することを見出した。すなわち質量%の比でSiO2/B23の値が、0.16以上であることが好ましく、0.17以上であることがより好ましく、0.18以上であることが最も好ましい。なお本発明においてはZnO/(ZrO2+Ta25)値とともにSiO2成分とB23成分の含有量の比を所定の値に調節することにより、耐洗剤性に著しい効果がある。
本発明者は、前記範囲内の光学定数において、質量%で上記ガラス中のZrO2成分とTa25成分の合計量に対するZnO成分の比、すなわちZnO/(ZrO2+Ta25)値を特定の範囲の値にすることにより、耐洗剤性が優れた光学ガラスが得られることを今般見出した。これら3成分は耐失透性の改善に有効であるが、いずれも高分散性を与えるため、前記範囲内の光学定数を維持するためにはその合計量が制限される。
本発明においてはZnO/(ZrO2+Ta25)値は、好ましくは0.45、より好ましくは0.5、最も好ましくは0.6を下限とし、好ましくは1.5、より好ましくは1.10、最も好ましくは0.98を上限とする。
さらに本発明者は、前記範囲内の光学定数において、SiO2成分とB23成分の合計量、すなわちSiO2+B23および/またはY23成分、La23成分、Gd23成分、Yb23成分の合計量、すなわちY23+La23+Gd23+Yb23を特定の範囲にすることで耐洗剤性が優れた光学ガラスが得られることを今般見出した。すなわち、SiO2+B23を23質量%〜35質量%の範囲内および/またはY23+La23+Gd23+Yb23を48質量%〜58質量%にすることで耐洗剤性に優れた光学ガラスが得られることを見出した。なお、各々の合計量は単独であっても一定の効果があるが、同時に満たすことによって特に良好な効果がある。
従って、本発明においては前記SiO2+B23は、好ましくは23質量%、より好ましくは25質量%、最も好ましくは28質量%を下限とし、好ましくは35質量%、より好ましくは33質量%、最も好ましくは32質量%を上限とする。また、Y23+La23+Gd23+Yb23は、好ましくは48質量%、より好ましくは50質量%、最も好ましくは51質量%を下限とし、好ましくは58質量%、より好ましくは56質量%、最も好ましくは55質量%を上限とする。
さらに、本発明者はSiO/B、ZnO/(ZrO2+Ta25)値、SiO2+B23及びY23+La23+Gd23+Yb23を同時に上記所定の好ましい範囲内にすることにより、特に耐洗剤性に優れることを見出した。
なお本明細書中において「耐洗剤性」とは、レンズプリフォーム材、すなわちゴブを精密プレス成形前に洗浄する場合、また精密プレス成形を行ったレンズを洗浄する場合を想定しているため、洗浄に使用する薬品類などに一定期間曝された時のヤケの状態の優劣のことを示す。
「耐洗剤性」はISO試験法耐洗剤性(ISO9689:1990(E))に従って行い、耐洗剤性PR値により評価される。具体的には、試験片として6面を研磨した30mm×30mm×2mmのガラス試料を、50℃に加熱した0.01mol/Lの濃度の精製トリポリリン酸ナトリウム水溶液中に白金線を用いて吊し入れ、定められた時間(15分、1時間、4時間、16時間)処理する。処理後、試料の質量減少を秤量し、次式によって厚さ0.1μmのガラス層を侵食するのに要した時間を計算する。ただし、この計算は1試料当たりの質量減少が1mg以上となる最低の試験時間によって得られたときの値を用いる。その判定基準は、0.1μmのガラス層を侵食するのに要した時間が240分より長いものを級1、60分を超え240分以下を級2、60〜15分を級3、15分未満を級4としたものである。
0.1=t・d・S/((m−m)・100)
0.1:0.1μmのガラス層を侵食するのに要した時間(分)
:処理時間(分)
d:比重
S:試料の表面積(cm
−m:試料の質量減少量(mg)
本発明の光学ガラスにおいて要求される耐洗剤性は、好ましくは級3、より好ましくは級2、最も好ましくは級1である。
Al23成分は、耐洗剤性を向上させるのに有効な成分であるが、しかし、3%を超えると耐失透性が急激に悪化する。従って、好ましくは3%、より好ましくは1%、最も好ましくは含有しない。
Lu23、Hf23、SnO2、Ga23、Bi23、BeOの各成分は含有させることは可能であるが、Lu23、Hf23、Ga23は高額原料であるため原料コストが高くなり実際の製造においては現実的ではなく、SnO2は白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を溶融する際に錫と白金が合金化して合金となった箇所は耐熱性が悪くなり、その箇所に穴が開き溶融ガラス流出する事故がおこる危険性が憂慮され、Bi23、BeOは、環境に有害な影響を与え、環境負荷の非常に大きい成分である、という問題がある。従って、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%を上限として含有され、最も好ましくは含有しない。
次に、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない成分について説明する。
弗素は、レンズプリフォーム材となるゴブを作製する際に揮発による脈理などを発生するため、ゴブの作製が困難である。従って、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
鉛化合物は、精密プレス成形時に金型と融着しやすい成分であるという問題並びにガラスの製造のみならず、研磨等のガラスの冷間加工及びガラスの廃棄に至るまで、環境対策上の措置が必要となり、環境負荷が大きい成分であるという問題があるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
As23、カドミウム及びトリウムは、共に、環境に有害な影響を与え、環境負荷の非常に大きい成分であるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
25は、本発明の光学ガラスに含有させると、耐失透性を悪化させやすいのでP25を含有させることは好ましくない。
TeO2は、白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を溶融する際、テルルと白金が合金化し、合金となった箇所は耐熱性が悪くなるため、その箇所に穴が開き溶融ガラス流出する事故がおこる危険性が憂慮されるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
さらに本発明の光学ガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Eu、Nd、Sm、Tb、Dy、Er等の着色成分は、含有しないことが好ましい。ただし、ここでいう含有しないとは、不純物として混入される場合を除き、人為的に含有させないことを意味する。
また、本発明のガラス組成物は、その組成が質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各酸化物のモル%表示による組成は、概ね以下の値をとる。
SiO2 10%を超え13%以下、
23 40%を超え60%以下、
La23 5〜15%、
Gd23 8〜15%
ZrO2 0.2〜6.5%
Ta25 0.1〜5%
ZnO 0.5〜18%及び
Li2O 0.5〜10%、
並びに
23 0〜1%及び/又は
Yb23 0〜5%及び/又は
GeO2 0〜3%及び/又は
TiO2 0〜3%及び/又は
Nb25 0〜3%未満及び/又は
WO3 0〜3%及び/又は
RO 0〜10%
ただし、ROは、CaO、SrO及びBaOから選ばれる1種又は2種以上、及び/又は
Sb23 0〜1%
なお、本発明の光学ガラス中において、SiO2成分はガラスの粘度を高め、耐失透性および耐洗剤性を向上させるのに効果があり、好ましくは13mol%、より好ましくは13mol%未満、最も好ましくは12.5mol%を上限として含有することができ、好ましくは10mol%を超え、より好ましくは10.1mol%、最も好ましくは10.5mol%を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、B23成分はガラス形成酸化物成分として欠かすことのできない成分であり耐失透性を向上させる効果があり、好ましくは60mol%、より好ましくは56mol%、最も好ましくは53mol%を上限として含有することができ、好ましくは40mol%を超え、より好ましくは41mol%、最も好ましくは45mol%を超える、を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、Y23成分はガラスの屈折率を高め、低分散化させる効果があり、好ましくは1mol%、より好ましくは0.5mol%を上限として含有され、最も好ましくは含有しない。
本発明の光学ガラス中において、La23成分はガラスの屈折率を高め、低分散化させる効果があり、好ましくは15mol%、より好ましくは14mol%、最も好ましくは13mol%を上限として含有することができ、好ましくは5mol%、より好ましくは6mol%より多く、最も好ましくは7mol%を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、Gd23成分はガラスの屈折率を高め、低分散化させると共にLa23成分と共存させることで耐失透性を向上させる効果があり、好ましくは15mol%、より好ましくは14mol%、最も好ましくは13mol%を上限として含有することができ、好ましくは8mol%、より好ましくは8mol%を超え、最も好ましくは8.5mol%を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、Yb23成分はガラスの屈折率を高め、低分散化させる効果があり、好ましくは5mol%、より好ましくは4mol%、最も好ましくは3mol%を上限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、GeO2成分は屈折率を高め、耐失透性向上させる効果があり、好ましくは3mol%を上限とし、より好ましくは2mol%、最も好ましくは含有しない。
本発明の光学ガラス中において、TiO2成分は光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果があり、好ましくは3mol%、より好ましくは1mol%、最も好ましくは0.5mol%を上限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、ZrO2成分は光学定数を調整し、耐失透性を改善し、耐洗剤性を向上させる効果があり、好ましくは6.5mol%、より好ましくは6.4mol%、最も好ましくは6.3mol%を上限として含有することができ、好ましくは0.2mol%、より好ましくは1mol%、最も好ましくは2mol%を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、Nb25成分は屈折率を高め、耐洗剤性及び耐失透性を改善する効果があり、好ましくは3mol%未満を上限とし、より好ましくは2mol%、最も好ましくは含有しない。
本発明の光学ガラス中において、Ta25成分は屈折率を高め、耐洗剤性及び耐失透性を改善する効果があり、好ましくは5mol%、より好ましくは4mol%、最も好ましくは3mol%を上限として含有することができ、好ましくは0.1mol%、より好ましくは0.2mol%、最も好ましくは0.5mol%を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、WO3成分は光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果があり、好ましくは3mol%を上限とし、より好ましくは1mol%未満、最も好ましくは含有しない。
本発明の光学ガラス中において、ZnO成分はガラス転移温度(Tg)を低くする効果があり、好ましくは18mol%、より好ましくは16mol%、最も好ましくは14mol%を上限として含有することができ、好ましくは0.5mol%、より好ましくは1mol%、最も好ましくは2mol%を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、RO成分(CaO、SrO及びBaO成分から選ばれる1種又は2種以上の成分)は光学定数の調整に効果があり、好ましくは10mol%、より好ましくは8mol%、最も好ましくは5mol%を上限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、Li2O成分はガラス転移温度(Tg)を大幅に下げ、かつ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果があり、好ましくは10mol%、より好ましくは9mol%、最も好ましくは8mol%を上限として含有することができ、好ましくは0.5mol%、より好ましくは1mol%より多く、最も好ましくは2mol%を下限として含有することができる。
本発明の光学ガラス中において、Sb23成分はガラス溶融時の脱泡に効果があり、好ましくは1mol%、より好ましくは0.5mol%、最も好ましくは0.2mol%を上限として含有することができる。
また、SiO2/B23、ZnO/(ZrO2+Ta25)値、SiO2+B23およびY23+La23+Gd23+Yb23についてもmol%の比率で直接的に表されるものではないが、概ね以下の値をとる。
本発明においては前記SiO2/B23は好ましくは0.18、より好ましくは0.19、最も好ましくは0.20を下限とする。
ZnO/(ZrO2+Ta25)値は、好ましくは0.9、より好ましくは1.2、最も好ましくは1.5を下限とし、好ましくは2.50、より好ましくは2.45、最も好ましくは2.40を上限とする。SiO2+B23は、好ましくは50mol%を超え、より好ましくは52mol%、最も好ましくは55mol%を下限とし、好ましくは65mol%、より好ましくは63mol%、最も好ましくは60mol%を上限とする。
また、Y23+La23+Gd23+Yb23は、好ましくは16mol%、より好ましくは17mol%、最も好ましくは18mol%を下限とし、好ましくは23mol%、より好ましくは22mol%、最も好ましくは21mol%を上限とする。
また、質量%表示の場合と同様にSiO2/B23、ZnO/(ZrO2+Ta25)値、SiO2+B23及びY23+La23+Gd23+Yb23を同時に上記所定の好ましい範囲内にすることにより、特に耐洗剤性に優れる。
次に本発明の光学ガラスの物性について説明する。
前述のとおり、本発明の光学ガラスは光学設計上の有用性の観点から、好ましくは屈折率(nd)が1.74〜1.80かつアッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、より好ましくは屈折率(nd)が1.75〜1.80未満かつアッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、さらに好ましくは、屈折率(nd)が1.75〜1.79かつアッベ数(νd)が47〜50の範囲の光学定数を有し、最も好ましくは屈折率(nd)が1.75より高く1.79以下かつアッベ数(νd)が47〜50未満の範囲の光学定数を有する。
本発明の光学ガラスにおいては、Tgが低すぎると化学的耐久性が悪くなり、従って耐洗剤性が悪化する。また、Tgが高くなりすぎると前述したように精密プレス成形を行う場合、成形型の劣化などが起こり易くなる。従って、本発明の光学ガラスのTgは好ましくは530℃、より好ましくは550℃、最も好ましくは560℃を下限とし、好ましくは630℃、より好ましくは630℃より低く、最も好ましくは620℃を上限とする。
本発明の光学ガラスでは、下記製造方法により、安定した生産を実現するため、液相温度を1150℃以下とすることが重要である。特に好ましくは1100℃以下とすることで、安定生産可能な粘度範囲が広くなり、また、ガラス熔解温度を下げることができるため、消費されるエネルギーを抑えることができる。
液相温度とは、粉砕したガラス試料を白金板上にのせ、温度傾斜のついた炉内に30分間保持した後取り出し、軟化したガラスの結晶の有無を顕微鏡にて観察し、結晶が認められない一番低い温度を表す。
前述のとおり本発明の光学ガラスはプレス成形用のプリフォーム材として使用することができ、或いは熔融ガラスをダイレクトプレスすることも可能である。プリフォーム材として使用する場合、その製造方法及び精密プレス成形方法は特に限定されるものではなく、公知の製造方法及び成形方法を使用することができる。プリフォーム材の製造方法としては、例えば特開平8−319124に記載のガラスゴブの成形方法や特開平8−73229に記載の光学ガラスの製造方法及び製造装置のような熔融ガラスから直接プリフォーム材を製造することもでき、またストリップ材を冷間加工して製造しても良い。
なお、本発明の光学ガラスを用いて熔融ガラスを滴下させてプリフォームを製造する場合、熔融ガラスの粘度は、低すぎるとガラスプリフォームに脈理が入りやすくなり、高すぎると、自重と表面張力によるガラスの切断が困難になる。
従って、高品質かつ安定した生産のためには、液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が好ましくは0.4〜2.0、より好ましくは0.5〜1.8、最も好ましくは0.6〜1.6の範囲である。
なお、プリフォームの精密プレス成形方法を特に限定するものではないが、例えば特公昭62−41180に記載の光学素子の成形方法のような方法を使用することができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明のガラスの実施例(No.1〜No.38)の組成を、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、屈伏点(At)および耐洗剤性と共に表1〜表7に示した。表中、各成分の組成は質量%で表示するものとする。
Figure 2006117506
Figure 2006117506
Figure 2006117506
Figure 2006117506
Figure 2006117506
Figure 2006117506
Figure 2006117506
また、比較例のガラス(No.A〜No.C)の組成を、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、屈伏点(At)および耐洗剤性と共に表8に示す。
Figure 2006117506
表1〜表7に示した本発明の実施例の光学ガラス(No.1〜No.38)は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の通常の光学ガラス用原料を表1〜表7に示した各実施例の組成の割合となるように秤量し、混合し、白金るつぼに投入し、組成による熔融性に応じて、1000〜1300℃で、3〜5時間溶融、清澄、攪拌して均質化した後、金型等に鋳込み徐冷することにより得ることができた。
屈折率(nd)及びアッベ数(νd)は徐冷降温速度を−25℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
ガラス転移温度(Tg)は日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003(光学ガラスの熱膨張の測定方法)に記載された方法により測定した。ただし試験片として長さ50mm、直径4mmの試料を使用した。
屈伏点(At)は前記ガラス転移温度(Tg)と同様の測定方法で行い、ガラスの伸びが止まり、収縮が始まる温度とした。
前述のとおり、耐洗剤性の試験方法はISO試験法耐洗剤性(ISO9689:1990(E))に従って行った。具体的には、試験片として6面を研磨した30mm×30mm×2mmのガラス試料を、50℃に加熱した0.01mol/Lの濃度の精製トリポリリン酸ナトリウム水溶液中に白金線を用いて吊し入れ、定められた時間(15分、1時間、4時間、16時間)処理する。処理後、試料の質量減少を秤量し、次式によって厚さ0.1μmのガラス層を侵食するのに要した時間を計算する。ただし、この計算は1試料当たりの質量減少が1mg以上となる最低の試験時間によって得られたときの値を用いる。その判定基準は、0.1μmのガラス層を侵食するのに要した時間が240分より長いものを級1、60分を超え240分以下を級2、60〜15分を級3、15分未満を級4としたものである。
0.1=t・d・S/((m−m)・100)
0.1:0.1μmのガラス層を侵食するのに要した時間(分)
:処理時間(分)
d:比重
S:試料の表面積(cm
−m:試料の質量減少量(mg)
表1〜表7に見られるとおり、本発明の実施例の光学ガラス(No.1〜No.38)はすべて、前記範囲内の光学定数(屈折率(nd)及びアッベ数(νd))を有し、ガラス転移温度(Tg)が530〜630℃の範囲にあるため、精密モールドプレス成形に適しており、更には耐洗剤性評価が良好であるので化学的耐久性にも優れている。
これに対し、表8に示す組成の比較例A〜Cの各試料について、上記実施例と同じ条件にてガラスを作製し、同一の評価方法により、作製したガラスを評価した。比較例No.AおよびCは、質量%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)値が0.45〜0.98未満の範囲から外れ、かつ、Y23+La23+Gd23+Yb23が48質量%〜58質量%から外れており、耐洗剤性評価が級4であった。このため、本発明において要求される性能を満たすものではなかった。また、比較例Bは質量%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)値が0.45〜0.98未満の範囲から外れ、耐洗剤性評価が級4であった。このため、本発明において要求される性能を満たすものではなかった。
以上、述べたとおり、本発明の光学ガラスは、組成がSiO2−B23−La23−Gd23−ZrO2−Ta25−ZnO−Li2O系であり、かつ、鉛、ヒ素、弗素を含まないガラスであって、屈折率(nd)が1.74〜1.80、アッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、転移温度(Tg)が530〜630℃の範囲であるから、精密モールドプレス成形に適しており、産業上非常に有用である。
さらに、耐洗剤性に優れているため、レンズプリフォーム材、すなわちゴブを精密プレス成形前に洗浄する場合、また精密プレス成形を行ったレンズを洗浄する場合にヤケなどが発生し難く、取り扱いが容易である。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (17)

  1. 屈折率(nd)が1.74以上、アッベ数(νd)が47以上の光学定数を有し、実質的に鉛、ヒ素、弗素を含まず、ZrO2の含有率が6質量%以下であり、かつZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜1.5である光学ガラスであって、耐洗剤性(ISO9689)が級3、級2又は級1である該光学ガラス。
  2. ガラス転移点(Tg)が630℃以下であることを特徴とする請求項1の光学ガラス。
  3. 液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が0.4〜2.0の範囲である請求項1又は2の光学ガラス。
  4. 屈折率(nd)が1.74〜1.80、アッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、必須成分としてSiO2、B23、La23、Gd23、ZrO2、Ta25、ZnO、Li2Oを含有し、実質的に鉛、ヒ素、弗素を含まず、ZrO2の含有率が6質量%以下であり、かつZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜1.5であり、ガラス転移点(Tg)が530〜630℃であることを特徴とする光学ガラス。
  5. 質量%で、
    SiO2 4.5〜6%未満、
    23 20〜30%、
    La23 15〜35%未満、
    Gd23 25%を超え35%以下
    ZrO2 0.5〜6%
    Ta25 0.5〜10%
    ZnO 0.5〜15%及び
    Li2O 0.1〜2.5%、
    並びに
    23 0〜2%及び/又は
    Yb23 0〜10%及び/又は
    GeO2 0〜5%及び/又は
    TiO2 0〜5%及び/又は
    Nb25 0〜5%及び/又は
    WO3 0〜5%及び/又は
    RO 0〜10%
    ただし、ROは、CaO、SrO及びBaOから選ばれる1種又は2種以上、及び/又は
    Sb23 0〜1%
    の各成分を含有することを特徴とする光学ガラス。
  6. 各成分の質量%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.45〜0.98であることを特徴とする請求項5の光学ガラス。
  7. 各成分の質量%の比率でSiO/Bの値が0.18以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  8. SiO2+B23が23質量%〜35質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  9. 23+La23+Gd23+Yb23が48質量%〜58質量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  10. 屈折率(nd)が1.74〜1.80、アッベ数(νd)が47〜51の範囲の光学定数を有し、必須成分としてSiO2、B23、La23、Gd23、ZrO2、Ta25、ZnO、Li2Oを含有し、実質的に鉛、ヒ素、弗素を含まず、ZrO2の含有率が6.5モル%以下であり、かつ各成分のモル%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.9〜2.5であり、ガラス転移点(Tg)が530〜630℃であることを特徴とする光学ガラス。
  11. モル%で、
    SiO2 10%を超え13%以下、
    23 40%を超え60%以下、
    La23 5〜15%、
    Gd23 8〜15%
    ZrO2 0.2〜6.5%
    Ta25 0.1〜5%
    ZnO 0.5〜18%及び
    Li2O 0.5〜10%、
    並びに
    23 0〜1%及び/又は
    Yb23 0〜5%及び/又は
    GeO2 0〜3%及び/又は
    TiO2 0〜3%及び/又は
    Nb25 0〜3%未満及び/又は
    WO3 0〜3%及び/又は
    RO 0〜10%
    ただし、ROは、CaO、SrO及びBaOから選ばれる1種又は2種以上、及び/又は
    Sb23 0〜1%
    の各成分を含有することを特徴とする請求項10に記載の光学ガラス。
  12. 各成分のモル%の比率でZnO/(ZrO2+Ta25)が0.9〜2.4であることを特徴とする請求項10又は11の光学ガラス。
  13. 各成分のモル%の比率でSiO/Bの値が0.20以上であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  14. SiO2+B23が50mol%を超え65mol%以下であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  15. 23+La23+Gd23+Yb23が16mol%〜23mol%であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項の光学ガラスからなるレンズプリフォーム材。
  17. 請求項1〜15の光学ガラスを成形してなる光学素子。

JP2005120755A 2004-04-26 2005-04-19 光学ガラス Expired - Fee Related JP4993872B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005120755A JP4993872B2 (ja) 2004-04-26 2005-04-19 光学ガラス

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004129616 2004-04-26
JP2004129616 2004-04-26
JP2004277135 2004-09-24
JP2004277135 2004-09-24
JP2005120755A JP4993872B2 (ja) 2004-04-26 2005-04-19 光学ガラス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006117506A true JP2006117506A (ja) 2006-05-11
JP4993872B2 JP4993872B2 (ja) 2012-08-08

Family

ID=36535755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005120755A Expired - Fee Related JP4993872B2 (ja) 2004-04-26 2005-04-19 光学ガラス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4993872B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009084059A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Hoya Corp 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォームおよびその製造方法、光学素子およびその製造方法
JP2009096645A (ja) * 2007-10-12 2009-05-07 Ohara Inc 光学ガラス
JP2010215444A (ja) * 2009-03-16 2010-09-30 Nippon Electric Glass Co Ltd 光学ガラス
JP2012025638A (ja) * 2010-07-26 2012-02-09 Ohara Inc 光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子
JP2013056828A (ja) * 2012-11-02 2013-03-28 Hoya Corp 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォームおよびその製造方法、光学素子およびその製造方法
JP2013525245A (ja) * 2010-04-19 2013-06-20 成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司 光学ガラス及び光学部品
US9145328B2 (en) 2011-09-07 2015-09-29 Cdgm Glass Co., Ltd Optical glass and optical element
JP2016121058A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 株式会社オハラ 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子
JP2017007944A (ja) * 2011-12-28 2017-01-12 株式会社オハラ 光学ガラス及び光学素子
JP2018048034A (ja) * 2016-09-20 2018-03-29 光ガラス株式会社 光学ガラス、光学ガラスを用いた光学素子、光学装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62100449A (ja) * 1985-10-24 1987-05-09 Ohara Inc 光学ガラス
JP2002249337A (ja) * 2001-02-20 2002-09-06 Hoya Corp 光学ガラス、プレス成形予備体および光学部品
JP2002316833A (ja) * 2001-04-12 2002-10-31 Asahi Optical Co Ltd 内視鏡用光学部品、内視鏡レンズ系、および内視鏡
JP2003020249A (ja) * 2001-07-03 2003-01-24 Ohara Inc 光学ガラス
JP2003267748A (ja) * 2002-03-18 2003-09-25 Hoya Corp 精密プレス成形用光学ガラス、精密プレス成形用プリフォームおよびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62100449A (ja) * 1985-10-24 1987-05-09 Ohara Inc 光学ガラス
JP2002249337A (ja) * 2001-02-20 2002-09-06 Hoya Corp 光学ガラス、プレス成形予備体および光学部品
JP2002316833A (ja) * 2001-04-12 2002-10-31 Asahi Optical Co Ltd 内視鏡用光学部品、内視鏡レンズ系、および内視鏡
JP2003020249A (ja) * 2001-07-03 2003-01-24 Ohara Inc 光学ガラス
JP2003267748A (ja) * 2002-03-18 2003-09-25 Hoya Corp 精密プレス成形用光学ガラス、精密プレス成形用プリフォームおよびその製造方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009084059A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Hoya Corp 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォームおよびその製造方法、光学素子およびその製造方法
JP2009096645A (ja) * 2007-10-12 2009-05-07 Ohara Inc 光学ガラス
JP2010215444A (ja) * 2009-03-16 2010-09-30 Nippon Electric Glass Co Ltd 光学ガラス
JP2013525245A (ja) * 2010-04-19 2013-06-20 成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司 光学ガラス及び光学部品
JP2012025638A (ja) * 2010-07-26 2012-02-09 Ohara Inc 光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子
US9145328B2 (en) 2011-09-07 2015-09-29 Cdgm Glass Co., Ltd Optical glass and optical element
JP2017007944A (ja) * 2011-12-28 2017-01-12 株式会社オハラ 光学ガラス及び光学素子
JP2013056828A (ja) * 2012-11-02 2013-03-28 Hoya Corp 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォームおよびその製造方法、光学素子およびその製造方法
JP2016121058A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 株式会社オハラ 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子
JP2018048034A (ja) * 2016-09-20 2018-03-29 光ガラス株式会社 光学ガラス、光学ガラスを用いた光学素子、光学装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4993872B2 (ja) 2012-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4897071B2 (ja) 光学ガラス
JP4746995B2 (ja) 光学ガラス
JP5545917B2 (ja) 光学ガラス
JP4895512B2 (ja) 光学ガラス
JP4739721B2 (ja) 光学ガラス
JP4993872B2 (ja) 光学ガラス
JP4590386B2 (ja) 光学ガラス
JP2006016295A5 (ja)
JP2006016295A (ja) 光学ガラス
US7563738B2 (en) Optical glass
JP5288578B2 (ja) 光学ガラス
JP4889949B2 (ja) 光学ガラス
JP5616566B2 (ja) 光学ガラス
JP2009018952A (ja) 光学ガラス
JP4828893B2 (ja) 光学ガラス
JP6325189B2 (ja) 光学ガラス
JP2023539916A (ja) 光学ガラスおよび光学素子
JP2010202417A (ja) 光学ガラス
JP2006117503A (ja) 光学ガラス
JP5770973B2 (ja) 光学ガラスおよび光学素子
JP7481847B2 (ja) 光学ガラスおよび光学素子
WO2005102949A2 (en) Optical glass
JP2011116650A (ja) 光学ガラス
TW202406866A (zh) 光學玻璃、光學元件、以及光學機器
JP2006306635A (ja) ガラス組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120426

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120508

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150518

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4993872

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150518

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees