[実施の形態1]
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
〔1.車載用空気浄化装置について〕
図2は、本実施形態の車載用空気浄化装置1を車両内の飲料容器ホルダー90に収容した状態を示している。車載用空気浄化装置1は、後述するイオン発生装置4を内部に有するとともに、芳香剤収容体41を表面に取り付け可能としている。そして、この車載用空気浄化装置1は、車内の座席空間内に取り外し可能に設置されるようになっている。
具体的に車載用空気浄化装置1は、図2に示すように、飲料容器ホルダー90に収容可能な形状(例えば円柱形状)で形成されている。なお、飲料容器ホルダー90は、最初から車に標準装備されたものであってもよいし、市販店にて購入できる後付けタイプのものであってもよい。
また、車載用空気浄化装置1は、車内の座席空間内であって、飲料容器や小物を収納できる場所であれば、上記の飲料容器ホルダー90に限らず、例えば、運転席と助手席との間の小さなラゲッジスペースや後部座席の飲料用ボックスなど、どのような場所にでも収容配置可能である。以下、車載用空気浄化装置1の詳細な構成について説明する。
〈車載用空気浄化装置の構成について〉
図1は、車載用空気浄化装置1の概略の構成を示す分解斜視図である。車載用空気浄化装置1は、本体2と、導光体3と、イオン発生装置4と、表示基板5と、電源基板6と、制御基板7と、支持板8と、送風手段9(図13参照)とを有している。
《1−1.本体》
本体2は、飲料容器ホルダー90に嵌る形状(例えば円柱形状)で形成されている。飲料容器ホルダー90は、一般に市販されている車には純正で装備されている場合が多く、また、最初から装備されていなくても、それ単体を購入して車に後付けされる場合が多い。したがって、本体2を飲料容器ホルダー90に嵌る形状で構成することにより、本体2を飲料容器ホルダー90に収容して、車載用空気浄化装置1による車内の空気浄化を容易に行うことができる。
特に、本体2が飲料容器ホルダー90に嵌るような円柱形状で構成されれば、その効果は確実なものとなる。また、本体2を飲料容器ホルダー90に収容可能とすることにより、車内の飲料容器ホルダー90を有効に利用して、車内の空気浄化を行うことができる。なお、本体2の形状は、飲料容器ホルダー90に収容可能な形状であれば、例えば直方体形状などの他の形状であってもよい。
本体2は、上面および下面に垂直な平面で分轄された複数の分轄筐体、すなわち、前側筐体2aと後側筐体2bとを貼り合わせて構成されている。また、後側筐体2bの表面側には、後述の芳香剤収容体41の嵌め込まれる嵌合部(装着部)31が設けられるとともに、芳香剤収容体41・蓋体2cが後側筐体2bと分離可能に設けられている。
《《前側筐体について》》
前側筐体2aの上面には、操作ボタン11が形成されている。そして、使用者がこの操作ボタン11を押圧操作することにより、車載用空気浄化装置1の運転モードを切り替えることができる。また、前側筐体2aの上面には、ボタンの運転表示が記された表示シート(不図示)が貼り付けられている。
ここで、本実施形態では、車載用空気浄化装置1の運転モードとして、「自動モード」、「クリーンモード」、「イオンコントロールモード」および「運転停止」を選択可能としている。「自動モード」とは、「クリーンモード」と「イオンコントロールモード」とを所定間隔で(例えば15分おきに)交互に運転するモードである。「クリーンモード」とは、正負両イオンがほぼ同数発生するような運転モードである。「イオンコントロールモード」とは、車内のイオンバランスを整えることができるように、正イオンよりも負イオンの発生割合を上げて運転するモード若しくは負イオンのみを発生させる運転モードである。操作ボタン11を1回ずつ押圧すれば、これらの運転モードを順に切り替えられるようになっている。
また、図3は、後側筐体2bとの貼り合わせ面に導光体3を貼り付けた状態での前側筐体2aの内面を示す平面図である。前側筐体2aの内面の中央には、イオン発生装置4を支持する装置支持部12が形成されている。装置支持部12は、イオン発生装置4を嵌め込んで支持することができるように、イオン発生装置4の形状に沿って断面矩形状で縦長に形成されている。
また、前側筐体2aの内面には、表示基板支持部13、電源基板支持部14および制御基板支持部15が形成されている。表示基板支持部13は、表示基板5を支持するものであり、装置支持部12よりも上方(上面)側に設けられている。電源基板支持部14は、電源基板6を支持するものであり、装置支持部12よりも下方(下面)側に設けられている。制御基板支持部15は、制御基板7を支持するものであり、装置支持部12の側方に設けられている。これら各支持部は、支持する基板が挿入される溝を有する一対のリブでそれぞれ構成されている。
なお、前側筐体2aの内面の所定位置には、前側筐体2aと後側筐体2bとを固定するためのボスが設けられているが、図3では、その図示を省略している。
《《後側筐体について》》
図1に示すように、後側筐体2bの上面には、本体2内のイオン発生装置4にて発生するイオンを含む空気を外部に吹き出すための吹出口21が設けられている。この吹出口21には、当該空気を前方(前側筐体2aの方向)に吹き出すことができるように、複数の羽根が傾けて配置されている。本実施形態では、この羽根は固定式となっているが、空気の排出方向を前後左右に調整できる可動式となっていても勿論構わない。
ここで、図1に示すように、車内の飲料容器ホルダー90が、車内の冷暖房用空気の吹出口93よりも下方に位置している場合、本体2の吹出口21は、本体2が飲料容器ホルダー90に設置されたときに、上記イオンを含む空気が吹出口21から吹き出される冷暖房用空気と合流できる位置に設けられている。つまり、本体2から吹き出される空気が、車内の吹出口21から吹き出される空気と合流できるように、本体2の高さ方向の寸法がある程度小さく抑えられているとともに、そのような本体2の上面に吹出口21が設けられている。
このように吹出口21の位置が規定されていることにより、本体2を飲料容器ホルダー90に収容したときには、本体2の空気の排出能力が小さくても、言い換えれば、送風手段9が送風能力の小さいもので構成されても、本体2から排出されるイオンを含む空気を、吹出口21から吹き出される冷暖房用空気の流れに乗せて、車内に充満させることができる。したがって、送風手段9の小型化、ひいては、本体2の小型化を図ることができる。
次に、後側筐体2bの内部について説明する。図4(a)は、後側筐体2bを前方(前側筐体2a側;すなわち内面側)から見たときの平面図であり、図4(b)は、後側筐体2bの一部の縦断面図である。また、図5は、後側筐体2bを後方(すなわち表面側)から見たときの平面図である。後側筐体2bは、空気導入口22と、案内板23と、圧縮部材24と、プラグ差込口25と、芳香剤収容体41用の嵌合部31とを有している。
空気導入口22は、送風手段9(図13参照)の駆動により、蓋体2cの吸入口26(図8参照)から吸引された空気を本体2内部に導入するための導入口であり、複数の穴(例えば矩形状の穴)を2次元的に敷設して構成されている。
案内板23は、送風手段9から送出される空気が、イオン発生装置4の放電面に対して鋭角で当たるように、当該空気の進行を案内するものである。つまり、図4(b)に示すように、イオン発生装置4は、本体2内では、装置支持部12(図3参照)により、放電面4aが送風手段9における空気の送出方向(下方から上方に向かう方向)に沿った方向となるように配置されており、案内板23は、後側筐体2bの内面に対してその先端部が放電面4aに向かうように傾斜して配置されている。これにより、送風手段9によって下方から供給される空気が案内板23に当たり、案内板23にてその進行方向が放電面4aの方向に変化し、その後、放電面4aに沿って上方へ空気が流れるようになる。
イオン発生装置4は、後述するように、放電面4aでの放電により正イオンと負イオンの一方または両方を発生するものであるが、放電面4aでの放電時には放電音がどうしても発生する。しかし、この放電音は、放電面4aに当たる空気の入射方向が放電面4aに対して垂直方向に近ければ近いほど低減できることが実験により分かっている。一方、上記入射方向が放電面4aに対してちょうど垂直方向であれば、放電面4aに供給された空気が吹出口21とは反対側の方向(下方)にも流れてしまい、本体2外部への空気(イオン発生装置4にて発生したイオンを含む空気)の排出効率が減少する。
したがって、本実施形態のように案内板23を設けることにより、放電面4aでの放電音を減少させるという効果を得ながらにして、空気の排出効率の減少を回避することができる。
圧縮部材24は、イオン発生装置4を介して本体2外部に排出される空気を絞って圧縮するもの(絞り部材)である。本実施形態では、圧縮部材24は、送風手段9からイオン発生装置4に供給される空気の通過面積よりも、イオン発生装置4から本体2外部に排出される空気の通過面積のほうが小さくなるように空気の通路を形成しており、そのような空気の通路を確保できるように、2個の平板が折り曲げられて構成されている。
このような圧縮部材24が設けられることにより、イオン発生装置4から本体2外部に排出される空気が圧縮部材24にて圧縮され(絞られ)、外部への空気の排出時にその流速が増すので、送風手段9として送風能力の低い小型のものを用いても、本体2内部で発生したイオンを含む空気を十分に本体2外部に送出することができる。したがって、正負両イオンを発生する車載用空気浄化装置1の性能を維持しつつ、装置の小型化を十分に図ることができる。
図5に示すプラグ差込口25は、車内のシガレットライター用電源91(図2参照)と接続コード92(配線)を介して接続される接続部であり、後側筐体2bの背面側(蓋体2c側)に設けられている。このようなプラグ差込口25を設けることにより、シガレットライター用電源91からの電源供給で車載用空気浄化装置1を駆動させることができる。
なお、車載用空気浄化装置1は、電池駆動であってもよいし、電池駆動とシガレットライター用電源91からの電源供給による駆動とを切り替える構成であってもよい。また、車載用空気浄化装置1は、シガレットライター用電源91を利用して充電する構成であっても構わない。
嵌合部(装着部)31は、後述する芳香剤を収容する収容体(芳香剤収容体41)を、車載用空気浄化装置1、具体的には、後側筐体2bに取り付けるためのものである。この嵌合部31は、図4・図5に示すように、圧縮部材24の配設位置と吹出口21の配設位置との間に、後側筐体2bの表面から内部に向かって形成された窪み部分(凹部)を含むように構成されている。そして、図6(a)は図5における矢視B−B’からの嵌合部31(すなわち後述の上面部32a)の平面図であり、図6(b)は図5における矢視C−C’からの嵌合部31(すなわち後述の下面部32c)の平面図である。
この嵌合部31を構成する凹部(この凹部は嵌合部31そのものになるので凹部31と表記)は、図4(b)に示すように、上面部32a・底面部32b・下面部32cから構成されており、上面部32aには芳香混合口33、底面部32bには第1隆起部34、下面部32cには係合片35が設けられるようになっている。
上面部32aは、凹部31において吹出口21に最も近い一面から構成されている。そして、この上面部32aには、嵌合部31と吹出口21とを連通させる複数のスリットからなる芳香混合口33が形成されるようになっている(図6(a)参照)。この芳香混合口33は、芳香剤収容体41からの臭いの付加された空気(芳香)を吹出口21へと流れるように(導くように)するものである。
底面部32bは、図4(b)に示すように、上面部32aとつながるように形成された凹部31における底の部分であり、上面部32aと下面部32cとのつなげるよう位置する一面から構成されている。そして、この底面部32bと上面部32aとのつなぎ目近傍に、底面部32bから隆起するように、第1隆起部34が形成されるようになっている。この第1隆起部34は、後述の芳香剤収容体41に設けられた第2隆起部52と、接触して音を放音することで、芳香剤収容体41が嵌合部31に嵌め込まれた(取り付けられた)ことを知らしめるものである。
下面部32cは、底面部32bとつながるように形成された部分であり、図4(b)に示すように、上面部32aと対向するような位置関係になっている。そして、下面部32cには、底面部32bから一定距離で離れた箇所に、この下面部32cから突起した係合片35が形成されるようになっている(図6(b)参照)。この係合片35は、後述の芳香剤収容体41に設けられた溝47に嵌り合うとともに、規制片45・46および制止片43a(後述)と接触することで、底面部32bに対する垂直方向、および底面部32bの長手方向の移動を規制するものである(すなわち下面部32cにおける平面方向の移動を規制させるものである)。
《《芳香剤収容体について》》
次に、芳香剤収容体41について説明する。図7に示す芳香剤収容体41は、不図示の芳香剤を収容する容器となっており、上記の嵌合部31に嵌め込まれるとともにスライド移動することで、後側筐体2bに取り付けられるように(装着されるように)なっている。
この芳香剤収容体41は、半円筒状の容器となっている。具体的には、半円状の平板から成る半円板42aと、この半円板42aの湾曲部分42aaとつながって、半円板42aに対して立ち上がるように設けられた(立設された)湾曲正面板42bと、この半円板42aの直線部分4abとつながって、半円板42aに対して立ち上がるように設けられた背面板42cとから構成されている。
なお、図7(a)は、上方側からみた平面図、図7(b)は、下方側からみた平面図、図7(c)は、背面側からみた平面図、図7(d)は、正面側からみた平面図となっている。
図7(a)に示すように、半円板42aに対して、湾曲正面板42b・背面板42cが立ち上がるようになっている(立設している)。そのため、湾曲正面板42b・背面板42c・半円板42aによって囲まれる領域が、芳香剤を収容する領域(収容空間)となっている。
一方、下方側を表す図7(b)に示すように、半円板42a上の外端(湾曲部分42aa・直線部分4ab)から、この半円板42aの平面から立ち上がるように、補強板43が形成されている(立設されている)。そのため、半円板42aの湾曲部分42aaに該当する外端に設けられた補強板43は、平面視で湾曲状(弓状)となっており、半円板42aの直線部分42abに該当する外端に設けられた補強板43は、直線状となっている。
ただし、半円板42aの直線部分に該当する外端に設けられた補強板43には、芳香剤収容体41を嵌合部31に取り付けるとき、嵌合部31の係合片35を挿入可能(進入可能)にした切り欠き開口44が設けられるようになっている。その上、挿入された係合片35と接触することで、芳香剤収容体41の移動を規制する第1規制片45・第2規制片46が補強板43とつながるように設けられている。
具体的には、図7(b)に示すように、第1規制片45は、平面視において英字のほぼI字形状に形成されており、切り欠き開口44の内壁を構成するようになっている。そのため、切り欠き開口44を構成する補強板43の一端とつながるように形成されている(延成されるようになっている)。つまり、第1規制片45の長手と、半円板42aの直線部分42abとが垂直な位置関係となるように形成されている(すなわち、後述する溝47の延び方向に対向するように、第1規制片45は形成されている)。
第2規制片46は、第1規制片45同様の形状であるが、切り欠き開口44を構成する補強板43の他端から一定距離離間した補強板43の箇所に、第1規制片45と対向するように(すなわち第1規制片45と平行関係となるように)形成されている。なお、補強板43の他端から第2規制片46に至るまでのその補強板43の部分を制止片43aと表現する。
すると、このように、第1規制片45と、第2規制片46と、制止片43aとで囲まれた部分が溝(係合溝)47となる。具体的には、この第1規制片45と第2規制片46とを、始点または終点とし、この始点から終点に至るまでの延びた方向(延び方向;すなわち制止片43aの長手方向と同方向)を有する溝47が形成されるようになっている。
すると、切り欠き開口44から進入してくる係合片35が、この溝47に嵌るようになる。その上、嵌った芳香剤収容体41を、上記の延び方向において移動(スライド)させることで、係合片35が、制止片43a・第2規制片46に囲われるように位置することになり、両者(係合片35と制止片43a・第2規制片46と)の接触方向において、移動が規制されるようになる(詳細については後述)。
一方、図7(c)に示すように、背面板42cの外側には、上記の第1隆起部34の隆起高と同程度の長さのへこみ部分51が設けられるとともに、このへこみ部分51の一面から隆起した第2隆起部52が設けられるようになっている(なお、この第2隆起部52の隆起高は、第1隆起高34の隆起高と同程度の長さになっている)。
この第2隆起部52は、上述したように、芳香剤収容体41がスライドされたとき、嵌合部31に設けられた第1隆起部34と接触することで、音を放音し、芳香剤収容体41が嵌合部31に取り付けられたことを知らしめるものである。
なお、へこみ部分51は、その形状から、背面板42cの板厚よりも薄くなっているため、弾力性を有するようになっている。
また、図7(d)に示すように、湾曲正面板42bの外側には、この湾曲正面板42bの長手における両端近傍において、表面から内側に向かうように形成された持ち手窪み53が設けられており、芳香剤収容体41をスライドさせるときに、ユーザーの指等で芳香剤収容体41を押さえやすくなっている。
その上、湾曲正面板42bの外側における上方には(すなわち目視可能位置に)、突起した目印(第2目印)54が設けられている。この第2目印54は、後側筐体2bにおける嵌合部31と吹出口21との間の筐体での目視可能位置に設けられた突起状の第1目印55(図5参照)を利用して、ユーザーに芳香剤収容体41と嵌合部31との適切な嵌め込み位置(すなわち、係合片35が切り欠き開口44に進入できる位置)を知らしめるものである。
そこで、この第2目印54は、切り欠き開口44の配設位置を含み、かつ背面板42cに対して垂直な縦断面と交わる湾曲正面板42bの表面(外側)に設けられるようになっている(図7(a)・図7(b)・図7(c)参照)。
一方、第1目印55は、図6(b)に示すように、嵌合部31の係合片35の配設位置を含み、かつ底面部32bに対して垂直な縦断面と交わる筐体(具体的には、嵌合部31と吹出口21との間の筐体)の表面に設けられるようになっている。なお、第2目印54・第1目印55の隆起高はおよそ2mm程度である。
このように、第2目印54・第1目印55を設けておけば、両者(第2目印54・第1目印55)が縦方向(水平面に対して垂直方向)において一致するとき、切り欠き開口44と係合片35との位置も合致し、嵌め込み可能となる。したがって、これらの第2目印54・第1目印55があれば、ユーザーは、直接、切り欠き開口44と係合片35との位置を目視して嵌め合わせる必要がなくなる。
《《蓋体について》》
図8は、蓋体2cの表面側からの平面図である。蓋体2cは、後側筐体2bに対して取り外し自在に設けられ、後側筐体2bの背面の一部を覆うカバーとしての役目を果たしている。この蓋体2cは、吸入口26と、引出口27とを有している。吸入口26は、送風手段9の駆動によって本体2外部の空気を内部に吸引するための複数の穴(例えば矩形状の穴)で構成されており、後側筐体2bの空気導入口22と対応する位置に形成されている。
引出口27は、車内のシガレットライター用電源91とプラグ差込口25とを結ぶ配線(接続コード92)の引出口であり、本実施形態では、本体2の高さ方向に複数設けられている。車内の飲料容器ホルダー90を手前に引き出したときの上下方向の高さ(深さ)は、車種やメーカー、その種類によって様々である。したがって、引出口27が1個だけの場合は、飲料容器ホルダー90によっては、そこに収容した車載用空気浄化装置1からの配線をうまく引き回せない場合が生じる。しかし、引出口27が本体2の高さ方向に複数設けられていることにより、飲料容器ホルダー90の種類(深さ)に応じた配線の引き回しを行うことができ、どのような飲料容器ホルダー90にも、本実施形態の車載用空気浄化装置1を適用することが可能となる。
また、蓋体2cの内面(後側筐体2b側の面)には、吸入口26を内側から覆うフィルター(図示せず)が装着されており、このフィルターにて空気吸引時に空気中の塵埃が除去されるようになっている。
《1−2.導光体について》
次に、導光体3について説明する。図1に示した導光体3は、後述する表示基板5のLED82・83(図12参照)から出射される光を伝播させるものである。ここで、図9は、図1における導光体3のA−A’線矢視断面図である。同図に示すように、導光体3は、導光板3a、拡散シート3b、導光板3cをこの順で貼り合わせた3層構造となっている。
LED82・83は、後述するようにイオン発生装置4の運転モードに応じて点灯するので、導光体3は、上記運転モードに応じた表示を行う表示部を構成することとなる。このような表示部としての導光体3が本体2に設けられることにより、使用者は、その導光体3を見るだけで、装置の運転モードを容易にかつ確実に把握することが可能となる。
本実施形態では、導光体3は、前側筐体2aと後側筐体2bとの貼り合わせ面に沿って形成されている。これにより、導光体3の本体2への取り付けが容易となる。つまり、導光体3を前側筐体2aと後側筐体2bとで挟み込むという簡単な手法によって、導光体3を本体2に取り付けることができる。
また、導光体3は、前側筐体2aと後側筐体2bとの貼り合わせ面に沿うように、略U字形で形成されている。これにより、導光体3を前側筐体2aと後側筐体2bとで挟み込んだときに、導光体3が本体2の上面と側面(周面)とにまたがって位置することになる。
このように、導光体3が、略U字形で形成され、本体2を構成する複数の面にまたがるように形成されることにより、使用者が導光体3を視認できる範囲をある程度広く確保することができる。つまり、使用者は、導光体3を例えば斜め上方からでも視認でき、側方からでも視認できる。したがって、使用者は、本体2(車載用空気浄化装置1)を車内のどのような位置に設置したとしても、そのような設置位置に関係なく、装置の運転状態を容易にかつ確実に把握することができる。また、車内に複数の人がいる場合に、飲料容器ホルダー90に収容された車載用空気浄化装置1を各人が異なる方向から見ても、導光体3が本体2の複数面にまたがって設けられていることにより、それぞれの人が導光体3を視認できるという利点もある。
《1−3.イオン発生装置について》
次に、イオン発生装置4について説明する。イオン発生装置4は、放電により正イオンと負イオンの一方または両方を発生させるものである。より具体的に説明すると、以下の通りである。
図10は、イオン発生装置4の概略の構成を分解して示す側面図である。イオン発生装置4は、イオン発生素子61とその駆動回路である回路基板62とが、ケース63内に収容されて蓋部64で覆われた構造となっている。蓋部64には、イオン発生素子61が嵌る開口部64aと、内部を封止する樹脂を注入するための開口部64bとが形成されている。
イオン発生素子61は、図11に示すように、上部誘電体71aと下部誘電体71bとを貼り合わせてなる誘電体71を有している。上部誘電体71aにおける下部誘電体71bとは反対側の表面には、放電電極72が形成されている。この放電電極72は、平面視で例えば格子状に形成されており、さらに各格子内では電極が面内方向に針状に突出して形成されている。
下部誘電体71bにおける上部誘電体71a側の表面には、誘導電極73が形成されている。誘導電極73は、平面視で屈曲して(例えばU字状で)形成されている。そして、誘導電極73は、放電電極72の針状の先端部と重畳するように形成されている。また、上部誘電体71aの表面には、放電電極72を覆うように表面保護層74が形成されている。
また、下部誘電体71bにおける上部誘電体71aとは反対側の表面には、放電電極72に電力を供給するための放電電極接点75と、誘導電極73に電力を供給するための誘導電極接点46とが形成されている。
上記の構成において、回路基板62により、放電電極接点75および誘導電極接点46を介して放電電極72と誘導電極73との間に交流高電圧を印加すると、放電電極72近傍でコロナ放電が起こる。これにより、放電電極72の周辺の空気がイオン化され、H+(H2O)m(mは任意の自然数)からなる正イオンと、O2 -(H2O)n(nは任意の自然数)からなる負イオンとが発生することになる。
このとき、放電電極72と誘導電極73との間に印加する交流電圧を、正の電圧印加時間と負の電圧印加時間とが同じ時間(同じ電圧波形)とすれば、正イオンと負イオンとでほぼ同数のイオン量を発生させることができる。この場合は、「クリーンモード」の運転となる。一方、上記印加電圧として、正の電圧印加時間よりも負の電圧印加時間のほうが長い電圧(電圧波形)とすれば、正イオンよりも負イオンの発生量を増大させることができる。したがって、この場合は、「イオンコントロールモード」の運転が可能となる。
イオン発生素子61では、放電電極72近傍でのコロナ放電によりイオンが発生するので、イオン発生素子61において放電電極72の形成されている表面が放電面となる。本実施形態では、イオン発生装置4は、この放電面が垂直方向(本体2の高さ方向)となり、かつ、後側筐体2b側を向くように、本体2内で配置されている(図1参照)。
ところで、図10に示した回路基板62には、イオン発生装置4の駆動回路が搭載されているが、この駆動回路は、コンデンサ、半導体等の回路部品や、昇圧コイル65を有している。昇圧コイル65は、電源(例えばシガレットライター用電源91)から供給される電圧を昇圧してイオン発生装置4を駆動するためのものである。
イオン発生装置4の駆動時には、この昇圧コイル65から放射ノイズが発生するが、このような放射ノイズは、車にとっては計器(例えば各種メータ類や安全装置)の誤作動を起こす原因となる。特に、最近では、車の安全性が益々重視されているため、車内にて不用意に放射ノイズを発生させるのは好ましくはない。
そこで、本実施形態では、回路基板62の昇圧コイル65を覆うシールド部材66が設けられている。このシールド部材66は、例えば金属製のカバーである2種類のシールド部材66a・66bで構成されている。シールド部材66a・66bは、それぞれ枡形(カップ形状)をなし、開口部を除いて全てが密閉状態となっている。また、シールド部材66bは、シールド部材66aよりも容積が大きい形状となっている。
シールド部材66aは、回路基板62に立設された昇圧コイル65を、その立設側(ケース63側)から覆うように回路基板62に設けられている。一方、シールド部材66bは、回路基板62の基板面に沿う方向から挿入されることにより、昇圧コイル65を覆うシールド部材66aを、回路基板62ごと覆うようになっている。
このようなシールド部材66を設けることにより、昇圧コイル65にて放射ノイズが発生しても、その放射ノイズが外部に漏洩するのを抑えることができ、車内の計器の誤作動をほとんど無くすことができる。特に、シールド部材66を2種類のシールド部材66a・66bで構成し、上述のように昇圧コイル65が設置される回路基板62の両側から昇圧コイル65を覆うようにシールド部材66a・66bを配置することによって、回路基板62の昇圧コイル65側だけでなく、その裏面側からも放射ノイズが漏洩するのを確実に抑えることができ、計器の誤作動を確実に抑えることができる。
《1−4.表示基板について》
次に、表示基板5について説明する。図12は、表示基板5の概略の構成を示す平面図である。表示基板5は、車載用空気浄化装置1の運転モードに応じた表示を行うための回路基板である。この表示基板5には、運転スイッチ81と、LED82・83と、図示しない複数の接続端子とが設けられている。
運転スイッチ81は、車載用空気浄化装置1の運転のON/OFFを切り替えるものであり、その切り替えは、本体2の操作ボタン11の押圧により行われる。運転スイッチ81の切り替え信号は、ケーブル84を介して制御基板7に送られる。
LED82・83は、車載用空気浄化装置1の運転モードに応じた色を発光する発光素子であり、表示基板5に支持されている。本実施形態では、LED82・83は、2色発光素子で構成されており、青色または緑色を発光する。例えば、LED82・83は、運転モードが「クリーンモード」であれば青色を発光し、運転モードが「イオンコントロールモード」であれば緑色を発光し、運転モードが「自動モード」であれば所定周期(例えば5秒周期)で青色と緑色とを交互に発光するようになっている。
また、LED82・83の先端(発光部)は、表示基板5の基板面に沿って折り曲げられている。このため、表示基板5において、LED82・83の先端と対応する箇所、すなわち、矩形状の表示基板5の角部2箇所には、その角を切り欠いた切欠部5aが設けられている。これにより、LED82・83の放つ光が、LED82・83が設置された表示基板5の基板面(表側)のみならず、各切欠部5aを介してその裏側にも進行する。これにより、LED82・83が後側筐体2bの方向を向くように表示基板5を本体2の上面および下面に平行に位置させた場合に、これらの光が本体2の上方だけでなく、下方の導光体3にまで到達する。したがって、LED82・83の放つ光を有効利用して、導光体3全体での視認性を向上させることができる。
このようなことから、本発明の車載用空気浄化装置1は、表示部(導光体3)にて表示される色の光を発光し、上記表示部に供給する発光素子(LED82・83)と、上記発光素子を支持する表示基板5とを有し、表示基板5には、その角部を切り欠いた切欠部5aが形成されており、表示基板5は、上記発光素子にて発光された光が切欠部5aを介して基板裏面側、側面側に進行するように、上記発光素子を支持している構成であると言うことができる。
《1−5.電源基板について》
電源基板6は、電源(シガレットライター用電源91または電池)から供給される電力を、本体2内部の各部に供給するためのものである。この電源基板6には、電源接続用端子、接続線用接続端子などが形成されている。電源接続用端子は、本体2の後側筐体2bに設けられたプラグ差込口25と電気的に接続されている。また、接続線用接続端子は、電源基板6を制御基板7とを接続線(リード線)を介して電気的に接続するための端子である。
《1−6.制御基板について》
制御基板7は、本体2内の各部の動作を制御するものである。この制御基板7には、ICチップとや接続線用接続端子などが形成されている。接続線用接続端子は、制御基板7と表示基板5および電源基板6とを接続線(リード線)を介して電気的に接続するための端子である。このような制御基板7により、操作ボタン11の押圧によって切り替えられた装置の運転モードに応じて、イオン発生装置4や送風手段9の駆動が制御される。
《1−7.支持板について》
図13は、支持板8の後側筐体2b側からの平面図である。支持板8は、送風手段9を本体2内で支持するための基板であり、本体2内では、その上面および下面に対して基板面が垂直となるように配置されている。支持板8は、イオン発生装置4(図1参照)の放電面が、送風手段9側に露出するような矩形状の開口部8aを有している。これにより、送風手段9を支持板8にて支持しながら、その送風手段9により開口部8aを介してイオン発生装置4の放電面に空気を供給することができるとともに、イオン発生装置4にて発生したイオンを、開口部8aを介して送風手段9側に送出し、上記イオンを含む空気を本体2外部に送出することができる。
《1−8.送風手段について》
送風手段9は、本体2外部の空気を吸い込んでイオン発生装置4に供給するためのものであり、駆動モータとファンとを有して構成され、本体2内では支持板8にて支持されている。送風手段9は、例えばパーソナルコンピュータ用の小型のもので構成することが可能である。このような送風手段9が本体2内に設けられることにより、送風手段9によって供給された空気中での放電によって、イオン発生装置4にて正負両イオンを発生させることができる。また、イオン発生装置4にて発生したイオンを、送風手段9により送出される空気の流れに乗せて、本体2外部に排出させることもできる。
〔2.組み立て手順および取り付け方法〕
次に、上記構成の車載用空気浄化装置1の組み立て手順および車内への取り付け方法について、図1〜図3、および図14・図15に基づいて説明する。
まず、導光体3を前側筐体2aにおける後側筐体2bとの貼り合わせ面に装着し、その後、イオン発生装置4を制御基板7と接続した後、前側筐体2aの装置支持部12に装着する。また、制御基板7と表示基板5および電源基板6とを接続線で各々接続した後、表示基板5を表示基板支持部13に、電源基板6を電源基板支持部14に、制御基板7を制御基板支持部15に装着する。
次に、送風手段9を装着した支持板8を、イオン発生装置4の放電面が開口部8aから露出するように前側筐体2aに装着する。その後、後側筐体2bを前側筐体2aに貼り合わせる。続いて、本体2の前側筐体2aの所定の穴に、操作ボタン11を挿入するとともに、前側筐体2aの上面に表示シートを貼り付ける。そして、最後に、後側筐体2bのプラグ差込口25に接続コード92の一端を差し込み、後側筐体2bに蓋体2cを被せる。このとき、蓋体2cにおいて、車載用空気浄化装置1を収容しようとする飲料容器ホルダー90の収容深さに応じた引出口27を選択し、その選択した引出口27から接続コード92を引き出して、蓋体2cを後側筐体2bに被せる。
さらに、芳香剤収容体41を後側筐体2bの嵌合部31に取り付ける。この取り付けを図14・図15を用いて説明する。
なお、図14は嵌合部31の下面部32cにおける組み立て説明図となっており、図6(b)と図7(b)を利用した説明図になっている。また、図15は嵌合部31の上面部32aにおける組み立て説明図となっており、図6(a)と図7(a)を利用した説明図になっている。そして、両図の(a)〜(d)は互いに対応するようになっている。また、説明の便宜上、嵌合部31は点線にて表記するとともに、芳香混合口33は省略している。
まず、図14(a)に示すように、芳香剤収容体41の半円板42a上に設けられた切り欠き開口44と、嵌合部31の係合片35とが、嵌り合う位置(進入可能位置)になるように(切り欠き開口44と係合片35とが合致するように)、水平方向において調整する。具体的には、芳香剤収容体41に設けられた第2目印54と後側筐体2bの表面に設けられた第1目印55とが縦方向において、一致するようにする〔図14(a)・図15(a)参照〕。
そして、第2目印54と第1目印55とを縦方向にて一致させた状態で、芳香剤収容体41を嵌合部31に近づけるように移動させて、嵌合部31内に差し込むようにする。すると、図14(b)に示すように、係合片35が第1規制片45・第2規制片46・制止片43aにて囲まれた溝47に嵌るようになる。その後、芳香剤収容体41が嵌合部31に差し込まれたまま、この芳香剤収容体41を装着方向(X方向)へとスライドさせる〔図14(b)・図15(b)参照〕。
すると、図14(c)に示すように、制止片43aと係合片35とが係わり合いながら、かつ、第2規制片46が徐々に係合片35に近づくようになる。また、図15(c)に示すように、芳香剤収容体41の第2隆起部52も、嵌合部31の第1隆起部34に近づくようになる。そして、そのまま継続して、装着方向へとスライドさせていくと、第1隆起部34と第2隆起部52とが接触するようになる。
さらに、継続してスライドさせると、第2隆起部52が、第1隆起部34によって、嵌合部31の底面部32bから離間するように押しつけられるようになる。すると、第2隆起部52の配設された弾力性のあるへこみ部分51が撓むようになる。
このようにへこみ部分51が撓んだ状態で、さらに、芳香剤収容体41をX方向にスライドさせていくと、やがて、第2隆起部52は、第1隆起部34から離れるようになり、図15(d)に示すように、両者(第1隆起部34・第2隆起部52)が隣り合うように位置する。つまり、第2隆起部52が、へこみ部分51の撓みを利用して、第1隆起部34を乗り越えるように移動し、隣り合うようになっている。
このとき、すなわち、第2隆起部52が第1隆起部34と接触した後に離間するとき(第2隆起部52が第1隆起部34と接触しつつ、それを乗り越えたとき)、この接触・離間に起因する音が放音されるようになっている。
一方、図14(c)に示すように、X方向への芳香剤収容体41のスライドによって、係合片35と第2規制片46とが近づくようになる。そして、上述したように、第1隆起部34・第2隆起部52に起因する放音が聞こえるときには、図14(d)に示すように、係合片35と制止片43a・第2規制片46とが密着するようになっている。
このように、係合片35と制止片43a・第2規制片46とが密着すると、第2規制片46と係合片35との接触によって、芳香剤収容体41はX方向(溝47の延び方向)の移動が抑制されるようになる。つまり、第2規制片46と係合片35とが係わり合って止まるようになることで、芳香剤収容体41のX方向の移動が停止するようになっている。
また、制止片43aと係合片35との接触によって、芳香剤収容体41はZ方向(X方向に垂直方向で、かつ嵌合部31から離間する方向)の移動が抑制されるようになる。つまり、制止片43aと係合片35とが係わり合って止まるようになることで、芳香剤収容体41のZ方向の移動が停止するようになっている。
このように、制止片43a・第2規制片46によって、X方向・Z方向の移動が規制されているときには、上述のように(図15(d)に示すように)、第1隆起部34と第2隆起部52とが隣り合うようになっている。具体的には、第2隆起部52は、第1目印55と第1隆起部34とを結ぶ仮想線を境に、X方向の移動先側に位置するようになっている。そのため、X方向と逆方向になるY方向(すなわち脱着方向)へ、芳香剤収容体41をスライドさせたとき、第2隆起部52は、第1隆起部34と接触する。そして、第2隆起部52の設けられたへこみ部分51が撓むまでは、第1隆起部34と第2隆起部52とが係わり合って止まるようになるので、芳香剤収容体41のY方向の移動が停止するようになっている。
なお、第2隆起部52の設けられたへこみ部分51が撓んでしまい、第1隆起部34と第2隆起部52とが離間するようになったとしても、第1規制片45と係合片35とが接触することで、芳香剤収容体41のY方向(溝47の延び方向)の移動を停止できるようにもなっている。
以上のように、芳香剤収容体41を嵌合部31に嵌め込んで、不動とさせた後、車載用空気浄化装置1を車内の飲料容器ホルダー90に収容し、上記接続コード92の他端を車内のシガレットライター用電源91に差し込むことにより、車載用空気浄化装置1が車内に取り付けられる。
〔3.車載用空気浄化装置の動作について〕
次に、車載用空気浄化装置1の動作について説明すれば、以下の通りである。
上述のように車載用空気浄化装置1を飲料容器ホルダー90に収容した状態で、操作ボタン11を押圧し、装置の運転モードとして所望のモードを選択する。すると、電源基板6を介して、イオン発生装置4および送風手段9に通電され、それぞれが駆動を開始する。
送風手段9が駆動されると、本体2外部の空気が、本体2の吸入口26、フィルターおよび空気導入口22を介して本体2内部に取り込まれ、イオン発生装置4の放電面に供給される。このとき、送風手段9から送出された空気は、案内板23に当たり、イオン発生装置4の放電面に対して鋭角で当たるように入射する。
一方、イオン発生装置4では、装置の運転モードに応じた動作を行い、放電面での放電により、例えば正負両イオンや負リッチのイオンを発生させる。このとき、LED82・83は、装置の運転モードに応じた色を発光する。
イオン発生装置4にて発生したイオンは、送風手段9から供給される残りの空気と混合されるが、送風手段9から供給される空気は、放電面に対して斜め下方から入射するので、混合後の空気は、放電面に沿って上方に向かい、圧縮部材24によって圧縮された後(その流量が絞られた後)、流速を増して吹出口21を介して本体2外部に吹き出される。吹出口21から放出されたイオンを含む空気は、車内の冷暖房装置が駆動されていれば、車内の吹出口21から吹き出される冷暖房用空気の流れに乗って、車内に発散される。
例えば正負両イオンが車内の空気中に放出され、空気中の浮遊細菌の表面に付着すると、以下の式(1)〜(3)に示す化学反応が起きる。その結果、正負両イオンに起因して、活性種である過酸化水素(H2O2)または水酸基ラジカル(・OH)がそれぞれ生成される。なお、以下の式(1)〜式(3)において、m、m’、n、n’は任意の自然数である。
H+(H2O)m+O2 -(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m'+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n'
→2・OH+O2+(m+m’+n+n’)H2O・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m'+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n'
→H2O2+O2+(m+m’+n+n’)H2O・・・(3)
上記のH2O2または・OHは、極めて強力な活性を示すため、これら活性種の分解作用によって浮遊細菌が破壊され、車内の空気が浄化、すなわち、車内の空気中の浮遊細菌が不活化、除去される。なお、不活化とは、浮遊細菌に対する殺菌、除菌、滅菌作用や、ウィルス類の分解・除去作用を言う。
一方、車載用空気浄化装置1がイオンコントロールモードで駆動されている場合には、負リッチのイオンが発生するので、この場合には、負イオンが人間に対してリラックス効果を与えることになる。
また、芳香剤収容体41に収容された芳香剤の香りは、芳香混合口33へと流れるとともに、さらに吹出口21へとながれるようになっている。そのため、イオン発生装置4から発生するイオンを含む空気が、吹出口21を介して本体2外部へと吹き出されるとき、香りの付加された空気と、吹出口21近傍にて合流するようになり、車内に発散されるようになる。
〔4.本発明の車載用空気浄化装置における種々の効果について〕
以上のように、本実施形態の車載用空気浄化装置1は、車両に搭載され、正イオンと負イオンの一方または両方を発生させるイオン発生装置4を有する本体2を備えた車載用空気浄化装置であって、本体2は、車内の座席空間内(例えば飲料容器ホルダー90)に取り外し可能に設置される構成である。
これにより、イオン発生装置4にて発生するイオンは、本体2から排出された後は直接車内の座席空間内に放出されるので、放出されるイオンと外部との衝突回数は、例えばイオン発生装置が冷暖房用空気の吹出口よりも内部の通路に設置され、その通路や吹出口ともイオンが衝突していた従来に比べて格段に減る。したがって、イオン発生装置4のイオンの発生能力(単位時間あたりのイオン発生量)を一定とすれば、座席空間内に供給されるイオンの供給効率を従来よりも向上させることができる。
その上、芳香剤収容体41を本体2に取り付け可能になっているために、イオンを含む空気と香りを含む空気とを混合させて放散(発散)させることもできる。
また、本体2は、それ単体で座席空間内に取り外し可能に設置されるので、イオン発生装置4の故障等による交換が必要になった場合でも、設置したイオン発生装置4を即座に取り外して、その交換作業を容易に行うことができる。また、イオン発生装置4が装備されていない車両に対しても、イオン発生装置4を後付けで設置することが可能となり、利便性を向上させることもできる。
また、本発明の車載用空気浄化装置1では、後側筐体2bに設けられた嵌合部31には係合片35、芳香剤収容体41には溝47が設けられている。そして、係合片35および溝47とが係わり合うことで芳香剤収容体41を不動として、嵌合部31にこの芳香剤収容体41を装着するようになっている。
特に、溝47は、一方向(すなわち、第1規制片45から第2規制片46に至るまでの方向;X方向・Y方向)に延びるように形成されている。これは、この一方向における始点または終点に、第1規制片45または第2規制片46を設けて、両者(第1規制片45・第2規制片46)を溝47の内壁とすることによって、実現できるようになっている。
そして、芳香剤収容体41は、この溝47の延び方向に沿って、スライド可能となっている。つまり、スライド移動させることで、芳香剤収容体41を嵌合部31に装着できるようになっている。
しかしながら、一方向(延び方向)における始点および終点(両端)の少なくとも一方には、溝47の内壁である第1規制片45または第2規制片46が位置するようになっている。そのため、これら規制片45・46と係合片35とが接触することで、芳香剤収容体41のスライド移動を規制するようになっている。
つまり、第1規制片45・第2規制片が、延び方向に対して対向するように位置するので、必要以上に、スライド移動すると、両者(係合片35と、第1規制片45または第2規制片と)が接触を引き起こすようになっている。その結果、必要以上のスライド移動が生じないようにして、芳香剤収容体41が嵌合部31から脱落しないようになる。
また、特に、芳香剤収容体41の嵌合部31からの離間方向(Z方向)に対向するように、溝47の内壁から成る制止片43aが位置するようになっており、この制止片43aと係合片35とが接触することで、芳香剤収容体41の離間方向の移動を規制することができるようにもなっている。
また、本発明の車載用空気浄化装置1では、嵌合部31における芳香剤収容体41との接触箇所(すなわち底面部32b)には第1隆起部34、および芳香剤収容体41における嵌合部31との接触箇所(すなわち背面板42c)には第2隆起部52が設けられており、芳香剤収容体41のスライド移動によって、第2規制片46が係合片35に到達するまでの間で、第1隆起部34と第2隆起部52とが接触し、音を放音するようになっていることが好ましい。
このようにしておけば、ユーザーは、芳香剤収容体41が嵌合部31に対して取り付け完了となったことを認識できるためである。
〔5.その他の実施の形態〕
ところで、以上では、操作ボタン11の押圧動作に応じて、装置の運転モードを選択する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるわけではない。
例えば、運転手が車を高速(例えば時速80km以上)で運転しているときや、道路の渋滞等により車を低速(例えば時速10km以下)で長時間運転しているときは、運転手の緊張感やイライラ感は増大する。一方、運転手が車を中速(例えば時速30〜40km程度)で運転しているときは、運転手の緊張状態は、前者に比べれば比較的穏やかである。また、車両の振動は、車両の走行速度が増加すればするほど、それに応じて単調増加的に変化するので、車両の振動を振動センサにて検知することができれば、その車両の走行速度をある程度把握することは可能である。
そこで、車両の走行速度に応じた振動を検知する振動センサ(検知手段)を設け、この振動センサにて検知した振動量に応じて、制御基板7(制御部)が装置の運転モードを自動的に切り替える構成としてもよい。例えば、車両の高速走行や低速走行に対応する振動
を振動センサにて検知したときには、装置の運転モードを、負イオンによるリラックス効果の高い「イオンコントロールモード」とし、車両の中速走行に対応する振動を振動センサにて検知したときには、装置の運転モードを「クリーンモード」とする制御を制御基板7が行うようにしてもよい。これにより、運転手の操作ボタン11の押圧による切り替えという運転中の煩わしい動作を無くして、運転手の精神状態に応じた車内空気の調整を自動的に行うことができる。
特に、低速走行時間を計時する計時手段(タイマー)を本体2に設け、上記振動センサにより低速走行であることが検知され、それが計時手段により所定時間以上の低速走行であると検知された場合には、制御基板7(制御部)が装置の運転モードを自動的に「イオンコントロールモード」に切り替える構成としてもよい。この場合、車両の運転が道路の渋滞中の運転であると判断できるので、「イオンコントロールモード」によって負イオンを比較的多く車内の空間中に放出することにより、運転手のイライラ感を低減して、安全運転を促すようにすることができる。
また、本体2に取り付け可能な芳香剤収容体41の数は1個に限らない。つまり、芳香剤収容体41を嵌め込む嵌合部31を本体2に複数設け、その数に合わせて、異なる芳香剤を収容した芳香剤収容体41をそれぞれに取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、車の渋滞時や、長時間の高速道路運転等の運転状況に応じて、異なる香りを車内に放散させることができる。その結果、車内の雰囲気をその時々に応じて変化させて、快適な運転を可能にすることができる。
なお、異なる香りを放散させるためには、上述のように、複数の芳香剤収容体41を取り付け可能にする手段でも構わないが、1つの芳香剤収容体41に複数の芳香剤を収容可能にする手段であっても構わない。例えば、芳香剤収容体41を上下方向において分断する仕切板を設け、上部分と下部分とで異なる芳香剤を収容できるようにしてもよい。このような芳香剤収容体41であれば、ユーザーが、状況に応じて、上部分に収容した芳香剤の香りを芳香混合口33に近づけるようにして取り付けたり、下部分に収容した芳香剤の香りを芳香混合口33に近づけるようにして取り付けたりすることができる。その結果、上記同様、運転状況に応じて、異なる香りを車内に放散させることができる。
また、本発明の車載用空気浄化装置1では、本体2に、イオン発生装置4および芳香剤収容体41が取り付けられているが、吹出口21からは、イオン発生装置4にて発生するイオンを含む空気、および芳香剤により芳香を付加された空気のいずれか一方または両方(つまり少なくとも一方の空気)を吹き出すようになっていればよい。このようにしておけば、ユーザーの気分に応じて、種々の車内環境を設定できるためである。
また、本発明の車載用空気浄化装置1では、芳香剤収容体41に第2規制片46だけ設けていても、この第2規制片46の第2直線片46bがあることで、芳香剤収容体41の離間を妨げることができるともいえる。
なお、本発明の車載用空気浄化装置1は、以下の構成であってもよいと言える。
本発明の車載用空気浄化装置1は、上述した構成において、送風手段9で本体2の一面より空気を吸い込み、イオン発生装置4から発生した正負両イオンを、本体2の上面の吹出口21から空気中に放出し、空気中に浮遊する細菌を除去する構成である。
また、車載用空気浄化装置1は、送風手段9より吸い込んだ空気を、イオン発生装置4の放電面に斜め方向から当てて吹出口21から放出し、空気中に浮遊する細菌を除去する構成である。
また、車載用空気浄化装置1の吹出口21には、イオン発生装置4にて発生したイオンを含む空気が本体2の前方に吹き出すように、空気の流れを規制する排出規制手段が形成されている構成である。
また、車載用空気浄化装置1には、送風手段9の空気送出口の近傍に放電面が位置するように、イオン発生装置4が配置されている構成である。
また、車載用空気浄化装置1には、送風手段9からイオン発生装置4に供給される空気の通過面積よりも、イオン発生装置4から吹出口21に向かう空気の通過面積のほうが小さくなるように、イオン発生装置4から吹出口21に向かう空気の流量を規制する流量規制手段(圧縮部材24)が形成されている構成である。
また、車載用空気浄化装置1の本体2は、前後に分割されており、装置の運転モードに応じた表示を行う表示部(導光体3)が、本体2の分割面に形成されている構成である。
また、上記表示部は、本体2の上面および周面にまたがるように形成されている構成である。
また、車載用空気浄化装置1を駆動させる電源(電源基板6、プラグ差込口25)は、車内のシガレットライター用電源91に接続可能である構成である。
また、車載用空気浄化装置1を駆動させる電源と、車内のシガレットライター用電源91とを接続する接続線を本体2から引き出すための引出口27が、本体2の高さ方向に複数形成されている構成である。
また、イオン発生装置4の回路基板62の昇圧コイル65にて発生する放射ノイズを抑えるためのノイズ対策手段(シールド部材66)を有している構成である。