JP2006116832A - 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法に関し、例えば発熱素子と発熱素子を駆動するトランジスタとを一体に基板上に形成したサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用して、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、絶縁保護層46に設けられたコンタクト部47を介して発熱素子27に金属配線層56を接続するようにし、該金属配線層56をアルミニューム膜52とこのアルミニューム膜52の発熱素子27側に設けられたチタンナイトライド膜50との積層構造により形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、絶縁保護層46に設けられたコンタクト部47を介して発熱素子27に金属配線層56を接続するようにし、該金属配線層56をアルミニューム膜52とこのアルミニューム膜52の発熱素子27側に設けられたチタンナイトライド膜50との積層構造により形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関し、例えば発熱素子と発熱素子を駆動するトランジスタとを一体に基板上に形成したサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用することができる。本発明は、絶縁保護層に設けられたコンタクト部を介して発熱素子に金属配線層を接続するようにし、該金属配線層をアルミニューム膜とこのアルミニューム膜の発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成することにより、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができるようにする。
近年、画像処理等の分野において、ハードコピーのカラー化に対するニーズが高まってきている。このニーズに対して、従来、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式及び熱現像銀塩方式等のカラーコピー方式が提案されている。
これらの方式のうちインクジェット方式は、液体吐出ヘッドであるプリンタヘッドに設けられたノズルから記録液(インク)の液滴を飛翔させ、記録対象に付着してドットを形成するものであり、簡易な構成により高画質の画像を出力することができる。このインクジェット方式は、ノズルからインク液滴を飛翔させる方法の相違により、静電引力方式、連続振動発生方式(ピエゾ方式)及びサーマル方式に分類される。
これらの方式のうちサーマル方式は、インクの局所的な加熱により気泡を発生し、この気泡によりインクをノズルから押し出して印刷対象に飛翔させる方式であり、簡易な構成によりカラー画像を印刷することができるようになされている。
このようなサーマル方式によるプリンタヘッドは、インクを加熱する発熱素子が発熱素子を駆動するロジック集積回路による駆動回路と共に一体に半導体基板上に形成される。これによりこの種のプリンタヘッドにおいては、発熱素子を高密度に配置して確実に駆動できるようになされている。
すなわちこのサーマル方式のプリンタにおいて、高画質の印刷結果を得るためには、発熱素子を高密度で配置する必要がある。具体的に、例えば600〔DPI〕相当の印刷結果を得るためには、発熱素子を42.333〔μm〕間隔で配置することが必要になるが、このように高密度に配置した発熱素子に個別の駆動素子を配置することは極めて困難である。これによりプリンタヘッドでは、半導体基板上に駆動素子であるスイッチングトランジスタ等を作成して集積回路技術により対応する発熱素子と接続し、さらには同様に半導体基板上に作成した駆動回路により各スイッチングトランジスタを駆動することにより、簡易かつ確実に各発熱素子を駆動できるようになされている。
プリンタヘッドにおいては、このように高密度に発熱素子を配置して、各発熱素子を駆動するスイッチングトランジスタ、このスイッチングトランジスタを駆動する駆動回路がMOS(Metal Oxide Semiconductor )型電界効果型トランジスタにより作成される。またこのスイッチングトランジスタにより発熱素子を0.8〜1.4〔μJ〕により発熱させ、これによりインク液滴を飛び出させるようになされている。またこのように発熱素子の発熱に係る電力は、(電圧)・(電流)=(発熱素子の電流)2 ・発熱素子の抵抗値の関係で表されることにより、スイッチングトランジスタにより80〜200〔mA〕の電流を発熱素子に通電するようになされている。
このためこのようなプリンタヘッドにおいて、スイッチングトランジスタを発熱素子に接続する金属配線層は、発熱素子を駆動する際に電流密度が1×106〜3×106 〔A/cm2 〕と高くなり、これによりエレクトロマイグレーション現象が発生する恐れがある。なお一般に、電線の電流密度は103 〔A/cm2 〕程度であり、集積回路に用いる金属配線層の電流密度は104 〜105 〔A/cm2 〕である。
具体的にこの種のプリンタヘッドに適用される金属配線層は、図8に示すように、アルミニューム(Al)の多結晶構造(単結晶粒の集合体)により形成され、これによりこの金属配線層に過大な電流が流れると、矢印Aにより示すように、電子とアルミニューム原子との衝突によりアルミニューム原子が格子位置から離れるエレクトロマイグレーション現象が起き易い。因みに金属配線層では、このようなエレクトロマイグレーション現象により徐々にボイドが発生し、これによりプリンタヘッドにおいては、特開2003−53975号公報に記載されているように、このボイドにより金属配線層の抵抗値が増大し、ついには金属配線層が断線することになる。
このため従来のプリンタヘッドにおいては、例えばHPJournal 94年2月号 P.41〜45に記載されているように、アモルファス構造によるタンタルアルミ(TaAl)等により発熱素子が形成され、この発熱素子上にアルミニュームの結晶粒界にシリコン又は銅を添加したアルミニューム化合物(Al−Si、Al−Cu)等により金属配線層が形成される。ここでこのようにして作成される金属配線層は、シリコン、銅等によりアルミニュームの結晶粒界が補強され、これによりプリンタヘッドにおいては、アルミニューム原子の移動を抑制するようにして金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上するようになされている。
またこのような構成に係るプリンタヘッドにおいては、例えば特許第3503611号に開示されているように、アルミニューム膜とチタン膜とによる積層構造により金属配線層を形成することにより、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上するようになされている。すなわち図9に示すように、このプリンタヘッド1は、発熱素子2上にこの発熱素子2を金属配線層形成時のドライエッチングより保護する絶縁保護層3が形成され、続いて金属配線層の材料であるチタン膜、シリコンを1〔at%〕添加したアルミニューム膜が順次堆積される。このときチタン膜上に形成されるアルミニューム膜においては、チタン膜の主たる配向面である(002)面の原子間隔2.95〔Å〕に対してアルミニューム膜の主配向である(111)面の原子間隔が2.86〔Å〕と近く、これにより下層のチタン膜によりアルミニューム結晶粒の成長が促進される。これによりアルミニューム膜では、アルミニュームの結晶粒自体が大きくなり、その分、単位長さ当たりの結晶粒界の数を少なくしてエレクトロマイグレーション耐性を向上することができる。
なお単にアルミニュームによる金属配線層を発熱素子上に作成する場合のように、アモルファス構造のタンタルアルミによる発熱素子上にアルミニュームを成膜する場合にあっては、このタンタルアルミ膜の影響を受けずにアルミニューム膜が成膜され、これによりアルミニューム膜についてはエレクトロマイグレーション耐性を向上し得ない。また特許第3155423号、特開平8−325721号公報等に開示されているように、六方晶系(hexagonal)構造の窒化タンタル(TaN0.8 )による発熱素子上にアルミニュームを成膜する場合、この窒化タンタルにおいては、主配向である(100)面の原子間隔が2.54〔Å〕であり、これによりこの上層に形成されるアルミニューム膜の(111)面への配向が阻害され、その分、エレクトロマイグレーション耐性を劣化させることになる。
またこのようなアルミニュームの成膜時においては、成膜温度を高くすれば、アルミニューム結晶粒を大きくすることができるものの、実際に成膜したアルミニューム膜においては表面の凹凸が激しく、これにより金属配線層形成時のドライエッチングにおいて著しく精度が劣化する欠点がある。
プリンタヘッド1では、このようにして金属配線層の材料が堆積されると、続いてドライエッチングによりこれら金属配線層の材料が選択的に除去され、これによりチタン膜4、アルミニューム膜5による積層構造により金属配線層が作成されると共に絶縁保護層3によりこのドライエッチングから発熱素子2が保護される。これによりプリンタヘッド1では、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、精度良く作成して信頼性を確保することができるようになされている。
因みにこのようなチタンとアルミニュームとによる積層構造の金属配線層を発熱素子上に直接チタン膜を堆積させて作成する場合、図10に示すように、この金属配線層形成時のエッチングにより、下層の発熱素子をエッチングすることなく選択的にチタン膜を除去困難になる。
これらにより従来のプリンタヘッドにおいては、チタン膜とアルミニューム膜との積層構造により金属配線層を形成することにより、アルミニューム結晶粒の結晶粒界をシリコン、銅等により補強して、またこの結晶粒界の数を少なくしてエレクトロマイグレーション耐性を向上するようになされている。
ところでこのようなプリンタヘッドにおいては、発熱素子を駆動する際に、スイッチングトランジスタのオン抵抗値、金属配線層の抵抗値によっても、電力が消費される。すなわち発熱素子の発熱に係る効率は、(発熱素子の抵抗値)/(発熱素子の抵抗値+スイッチングトランジスタのオン抵抗値+配線抵抗の値)により表され、これにより発熱素子の抵抗値に対してこれらスイッチングトランジスタのオン抵抗、配線抵抗の値を十分に小さくしなければ、効率良く発熱素子を駆動できなくなる。
しかしながら上述したチタン膜とアルミニューム膜とによる金属配線層においては(図9)、チタン膜4とアルミニューム膜5との境界面でチタンとアルミニュームとの化学反応により合金層6が形成される。この合金層6においては、アルミニューム膜5に比して抵抗値が高く、これによりプリンタヘッドでは、このようなチタン膜4とアルミニューム膜5により金属配線層を作成すると、単にアルミニュームにより金属配線層を作成する場合に比して配線抵抗の値が増大する問題がある。
特開2003−53975号公報
特許第3503611号
特許第3155423号
特開平8−325721号公報
HPJournal 94年2月号 P.41〜45
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、液室に保持した液体を加熱する発熱素子と、発熱素子を駆動する半導体素子とが所定の基板上に一体に保持されて、発熱素子の駆動により所定のノズルより液体の液滴を飛び出させる液体吐出ヘッドに適用して、発熱素子の液室側に、発熱素子を液体より保護する絶縁保護層、発熱素子に半導体素子を接続する金属配線層が順次配置され、金属配線層は、絶縁保護層に設けられた開口によるコンタクト部を介して発熱素子に接続され、アルミニューム膜と、アルミニューム膜の発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成されてなるようにする。
また請求項4の発明においては、液体吐出ヘッドにより液滴を飛び出させる液体吐出装置に適用して、液体吐出ヘッドが、液室に保持した液体を加熱する発熱素子と、発熱素子を駆動する半導体素子とが所定の基板上に一体に保持されて、発熱素子の駆動により所定のノズルより液体の液滴を飛び出させ、発熱素子の液室側に、発熱素子を液体より保護する絶縁保護層、発熱素子に半導体素子を接続する金属配線層が順次配置され、金属配線層は、絶縁保護層に設けられた開口によるコンタクト部を介して発熱素子に接続され、アルミニューム膜と、アルミニューム膜の発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成されてなるようにする。
請求項1の構成により、液体吐出ヘッドに適用して、発熱素子の液室側に、発熱素子を液体より保護する絶縁保護層、発熱素子に半導体素子を接続する金属配線層が順次配置され、金属配線層は、絶縁保護層に設けられた開口によるコンタクト部を介して発熱素子に接続され、アルミニューム膜と、アルミニューム膜の発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成されてなるようにすれば、アルミニューム膜堆積時における結晶粒の成長がチタンナイトライド膜により促進される。またチタンナイトライド膜とアルミニューム膜との間での化学反応においては、従来のチタン膜とアルミニューム膜との積層構造により金属配線層を作成する場合に比して起こり難く、このチタンナイトライド膜の比抵抗においては、チタンとアルミニュームとによる合金層の比抵抗に対して十分に低い。これらにより金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができる。
これにより請求項4の構成によれば、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができる液体吐出装置を提供することができる。
本発明によれば、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができる。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
(1)実施例の構成
図2は、本発明に係るラインプリンタを示す斜視図である。このラインプリンタ11は、フルラインタイプのラインプリンタであり、略長方形形状によりプリンタ本体12が形成される。このラインプリンタ11は、印刷対象である用紙13を収納した用紙トレイ14をこのプリンタ本体12の正面に形成されたトレイ出入口より装着することにより、用紙13を給紙できるようになされている。
図2は、本発明に係るラインプリンタを示す斜視図である。このラインプリンタ11は、フルラインタイプのラインプリンタであり、略長方形形状によりプリンタ本体12が形成される。このラインプリンタ11は、印刷対象である用紙13を収納した用紙トレイ14をこのプリンタ本体12の正面に形成されたトレイ出入口より装着することにより、用紙13を給紙できるようになされている。
ラインプリンタ11は、このようにトレイ出入口よりプリンタ本体12に用紙トレイ14が装着されて、ユーザーにより印刷が指示されると、このプリンタ本体12に設けられた給紙ローラの回転によりプリンタ本体12の背面側に向かって用紙トレイ14から用紙13が送り出され、プリンタ本体12の背面側に設けられた反転ローラによりこの用紙13の送り方向が正面方向に切り換えられる。ラインプリンタ11は、このようにして用紙送り方向が正面方向に切り換えられてなる用紙13が用紙トレイ14上を横切るように搬送され、ラインプリンタ11の正面側に配置された排出口よりトレイ15に排出される。
ラインプリンタ11は、上側端面に上蓋16が設けられ、この上蓋16の内側、正面方向への用紙搬送途中に、矢印Aにより示すように、ヘッドカートリッジ18が交換可能に配置される。
ここでヘッドカートリッジ18は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色によるフルラインタイプのプリンタヘッドであり、上側に各色のインクタンク19Y、19M、19C、19Kが設けられるようになされている。ヘッドカートリッジ18は、これらインクタンク19Y、19M、19C、19Kに係るプリンタヘッドのアッセンブリーであるヘッドアッセンブリー20と、このヘッドアッセンブリー20の用紙13側に設けられて、不使用時、ヘッドアッセンブリー20に設けられたノズル列を塞いでインクの乾燥を防止するヘッドキャップ21とにより構成される。これによりラインプリンタ11においては、このヘッドカートリッジ18に設けられたヘッドアッセンブリー20の駆動により、各色のインク液滴を用紙13に付着させて所望の画像等をカラーにより印刷することができるようになされている。
図3は、このヘッドアッセンブリー20を用紙13側より見てインク液滴Lの吐出に係る部分を拡大し、一部断面を取って示す斜視図である。ヘッドアッセンブリー20は、液室22の隔壁23等を作成したヘッドチップ24を順次ノズルシート25に貼り付けた後、ボンディング端子26を介してヘッドチップ24を配線して形成される。
ここでヘッドチップ24は、複数の発熱素子27、この複数の発熱素子27を駆動する駆動回路、この駆動回路の駆動に供する電源等を入力するパッド28等が形成されたものであり、ノズルシート25側から見て全体が長方形形状により形成され、この長方形形状の長辺の一辺に沿って複数の発熱素子27が所定ピッチにより配置される。
ヘッドチップ24は、この一辺側が開いてなるように、櫛の歯形状により液室22、インク流路の隔壁23が形成され、これによりこの一辺側にインク流路を形成して、このインク流路からそれぞれ対応するインクタンク19Y、19M、19C、19Kのインクを各液室22に導き得るようになされ、またこのようにして液室22に導かれたインクを発熱素子27の駆動により加熱できるようになされている。
ヘッドチップ24は、半導体ウエハの段階で、露光硬化型のドライフィルムレジストを発熱素子27側面に積層した後、フォトリソプロセスによってこのドライフィルムレジストから液室の部位等を取り除くことにより、隔壁23が形成されるようになされている。
これに対してノズルシート25は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクにそれぞれ対応する用紙幅によるノズル29の列が並設されたシート状部材であり、電鋳技術によりコバルトを含むニッケル材により形成される。ノズルシート25は、各ノズル29の列を間に挟んで千鳥に、各ヘッドチップ24をそれぞれボンディング端子26にワイヤボンディングする際の作業用の開口30が形成されるようになされている。
図4は、このヘッドアッセンブリー20に配置されるヘッドチップ24のノズル29を含む近傍の構成を示す断面図である。ヘッドチップ24は、半導体製造工程により、複数チップ分がシリコン基板31による半導体ウエハ上にまとめて形成された後、各チップにスクライビングされて形成される。
この実施例においては、発熱素子27の駆動に供するスイッチングトランジスタ32がNMOSトランジスタにより作成され、またこのスイッチングトランジスタ32を駆動する駆動回路を構成するドライバートランジスタ33等がNMOS及びPMOSトランジスタにより作成される。この実施例では、これらのトランジスタ32及び33等がほぼ同一のゲート入力電圧5〔V〕以下により動作するように作成されるのに対し、スイッチングトランジスタ32においては、ドレインのゲート側とゲートとの間に低濃度の不純物層による拡散層(オフセット領域)を作成し、この拡散層によりゲート下のチャネル形成領域とドレインとの間の電界を緩和することにより、ゲート・ドレイン間の耐圧を発熱素子27の駆動に係る電圧以上、少なくとも25〔V〕程度まで増大させる構成が適用されるようになされている。これによりヘッドチップ24では、ドライバートランジスタ33によりスイッチングトランジスタ32を直接駆動するようになされている。
すなわちヘッドチップ24は、図5(A)に示すように、シリコン基板31が洗浄された後、シリコン窒化膜(Si3 N4 )が堆積される。続いてフォトリソグラフィー工程、リアクティブイオンエッチング工程によりシリコン基板31が処理され、これによりトランジスタ32、33を形成する所定領域以外の領域よりシリコン窒化膜が取り除かれる。これらによりヘッドチップ24は、シリコン基板31上のトランジスタを作成する領域にシリコン窒化膜が堆積される。
続いてヘッドチップ24は、熱酸化工程によりシリコン窒化膜が除去されている領域に熱シリコン酸化膜が膜厚500〔nm〕により形成され、この熱シリコン酸化膜によりトランジスタを分離するための素子分離領域(LOCOS)35が形成される。なおこの素子分離領域35は、その後の処理により最終的に膜厚260〔nm〕に形成される。
ヘッドチップ24は、続いてフォトリソグラフィー工程、イオン注入工程、熱拡散工程によりシリコン基板31が処理され、これによりシリコン基板31中にNウェル領域及びPウェル領域が形成される。
続いて図5(B)に示すように、シリコン基板31が洗浄された後、熱処理炉において、水素と酸素とによる混合ガス(H2 /O2 )の雰囲気中で、850度により熱処理され、これにより膜厚8〜25〔nm〕による熱酸化膜36が形成される。この実施例においては、この熱酸化膜36がゲート電極の形状によりパターニングされてゲート酸化膜が形成される。なおこのゲート酸化膜の膜厚は、ソース・ドレイン間の耐圧、ゲート長、ゲート入力電圧等に基づいて、これら8〜25〔nm〕の範囲で所望の値に設定される。
続いて図6(C)に示すように、シリコン基板31が洗浄された後、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によりポリシリコン膜が膜厚100〔nm〕により堆積される。さらに続いてイオン注入工程によりポリシリコン膜中にボロンが注入され、活性化アニール工程によりこのポリシリコン膜中のボロン、ソース及びドレイン作成領域の不純物が活性化される。
続いてヘッドチップ24は、タングステンシリサイド膜が膜厚100〔nm〕により堆積された後、リソグラフィー工程によりトランジスタのゲート領域が露光処理され、さらに続いてSF6 +HBr系のガスを用いたドライエッチング工程により、余剰な熱酸化膜36、ポリシリコン膜、タングステンシリサイド膜が除去され、これによりゲート酸化膜37、ポリシリコン膜38、タングステンシリサイド膜39によるポリサイド構造によりゲート電極が形成され、この実施例では、ゲート長が2〔μm〕以下により形成される。
続いてイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板31が処理され、低濃度の拡散層40が形成され、さらにソース及びドレイン領域を形成するためのイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板31が処理され、これらによりMOSトランジスタ32、33等が作成される。
このようにしてトランジスタ32、33が作成されると、ヘッドチップ24は、続いて図6(D)に示すように、CVD法によりリンが添加されたシリコン酸化膜であるPSG(Phosphorus Silicate Glass )膜、ボロンとリンが添加されたシリコン酸化膜であるBPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)膜が順次膜厚100〔nm〕、500〔nm〕により作成され、これにより全体として膜厚が600〔nm〕による1層目の層間絶縁膜42が作成される。
続いてフォトリソグラフィー工程の後、C4 F8 /CO/O2 /Ar系ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法によりシリコン半導体拡散層(ソース・ドレイン)上にコンタクトホール43が作成される。
さらにヘッドチップ24は、希フッ酸によりシリコン基板31が洗浄された後、スパッタリング法により、膜厚30〔nm〕によるチタン、膜厚70〔nm〕による窒化酸化チタンバリアメタル、膜厚30〔nm〕によるチタン、シリコンが1〔at%〕添加されたアルミニューム、または銅が0.5〔at%〕添加されたアルミニュームが膜厚500〔nm〕により順次堆積される。さらに続いて反射防止膜である窒化酸化チタンが膜厚25〔nm〕により堆積され、これらにより1層目の配線パターン材料層が成膜される。
続いてヘッドチップ24は、フォトリソグラフィー工程、ドライエッチング工程により、成膜された配線パターン材料層が選択的に除去され、これにより1層目の配線パターン44が作成される。ヘッドチップ24は、このようにして作成された1層目の配線パターン44により、ドライバートランジスタ33を接続してロジック集積回路が形成されるようになされている。
ヘッドチップ24は、続いてTEOS(テトラエトキシシラン:Si(OC2 H5 )4 )を原料ガスとしたCVD法により層間絶縁膜であるシリコン酸化膜が堆積される。続いてヘッドチップ24は、SOG(Spin On Glass )を含む塗布型シリコン酸化膜の塗布とエッチバックとにより、シリコン酸化膜が平坦化され、これらの工程が2回繰り返されて1層目の配線パターン44と続く2層目の配線パターンとを絶縁する膜厚440〔nm〕のシリコン酸化膜による2層目の層間絶縁膜45が形成される。
ヘッドチップ24は、続いてスパッタリング装置により膜厚50〜100〔nm〕によるβ−タンタル膜が堆積され、これによりシリコン基板31上に抵抗体膜が成膜される。なおスパッタリングの条件は、ウエハ加熱温度200〜400度、直流印加電力2〜4〔kW〕、アルゴンガス流量20〜40〔sccm〕に設定した。さらに続いてヘッドチップ24は、フォトリソグラフィー工程、BCl3 /Cl2 ガスを用いたドライエッチング工程により抵抗体膜が選択的に除去され、正方形形状により、又は一端を配線パターンにより接続する折り返し形状により、40〜100〔Ω〕の抵抗値を有する発熱素子27が形成される。
このようにして発熱素子27が形成されると、ヘッドチップ24は、CVD法により膜厚300〔nm〕によるシリコン窒化膜が堆積され、発熱素子27の絶縁保護層46が形成される。続いてフォトレジスト工程、CHF3 /CF4 /Arガスを用いたドライエッチング工程により、所定箇所のシリコン窒化膜が除去され、これにより絶縁保護層46に開口を形成してコンタクト部47が作成される。さらにCHF3 /CF4 /Arガスを用いたドライエッチング工程により、層間絶縁膜46に開口を形成してビアホール48が作成される。ここでコンタクト部47は、2層目の配線パターンを下層の発熱素子27に接続するために2層目の配線パターンの前工程において設けられた接続部であり、ビアホール48は、2層目の配線パターンを下層の1層目の配線パターン44に接続するために2層目の配線パターンの前工程において設けられた接続部である。
このようにしてコンタクト部47、ビアホール48が作成されると、続いてヘッドチップ24は、少なくともチタンナイトライド(TiN)膜、アルミニューム膜を含む積層構造により2層目の配線パターン材料層がスパッタリング法により堆積される。
ここでこのチタンナイトライドは、主配向である(111)面の原子間隔が3.0〔Å〕であり、アルミニュームとの間での化学反応がチタンに比して起こり難い。またこのチタンナイトライド膜は、比抵抗が100×10-6〔Ω−cm〕であり、チタンとアルミニュームとの合金の比抵抗200×10-6〔Ω−cm〕に対して十分に低い。
これによりこのチタンナイトライド膜の上層にアルミニューム膜を堆積すれば、このチタンナイトライド膜の原子間隔によりアルミニュームにおける(111)面への配向性が高くなり、これによりアルミニューム結晶粒の成長が促進されると共に、これらチタンナイトライド膜、アルミニューム膜との界面での合金の形成が防止される。
しかしてこの実施例においては、1つのスパッタリング装置により配線パターン材料層が連続して堆積され、これによりこの配線パターン材料層に供するスパッタリング装置内でのゴミの発生を防止するようになされている。具体的に図1に示すように、ヘッドチップ24は、膜厚20〔nm〕によるチタン、膜厚100〔nm〕によるチタンナイトライド、膜厚5〔nm〕によるチタンが順次堆積された後、シリコンを1〔at%〕添加したアルミニューム、または銅を0.5〔at%〕添加したアルミニュームが膜厚600〔nm〕により堆積される。さらに続いて膜厚5〔nm〕によるチタン、膜厚100〔nm〕によるチタンナイトライド、膜厚5〔nm〕によるチタンが堆積され、これらにより2層目の配線パターン材料層が形成される。またこのようにして配線パターン材料層を形成するにつき、開口によるコンタクト部47、ビアホール48においては、チタン膜、チタンナイトライド膜の堆積により濡れ性がよくなり、これにより続くアルミニューム膜がスムーズに堆積される。
ここでこのような積層構造による配線パターン材料層において、最も下層のチタン膜は、この配線パターン材料層と絶縁保護層46との間での密着性を増大させるものであり、アルミニューム膜下層のチタン膜は、チタンナイトライド膜の堆積に供する窒素ガスの残存によりアルミニューム膜堆積時にアルミニューム膜が窒化しないように、スパッタリング装置内に残る窒素ガスを排気する際に堆積されるものである。またアルミニューム膜上のチタン膜は、チタンナイトライド膜堆積時にアルミニューム膜表面の窒化を防止するものであるのに対し、最も上層のチタン膜は、スパッタリング装置内に残る窒素ガスを排気する際に堆積されるものである。
これによりこの実施例では、このようにアルミニューム膜の上層、下層にそれぞれチタン膜を設けることによりアルミニューム膜の窒化を有効に回避するようになされている。なおこのような配線パターン材料層においては、異なるスパッタリング装置により各種材料膜をそれぞれ堆積してもよく、この場合、チタンナイトライド膜上に直接アルミニューム膜を堆積する場合も可能である。またこのような配線パターン材料層における各種材料膜にあっては、実用上十分な特性を確保し得る範囲で種々の膜厚に設定することができる。
続いてヘッドチップ24は、フォトリソグラフィー工程、BCl3 /Cl2 ガスを用いたドライエッチング工程によりこの配線パターン材料層が選択的に除去され、これにより発熱素子27側からチタン膜49、チタンナイトライド膜50、チタン膜51、アルミニューム膜52、チタン膜53、チタンナイトライド膜54、チタン膜55による積層構造により2層目の配線パターン56が作成される。
またこのとき発熱素子27の上層に取り残された絶縁保護層46にあっては、この配線パターン形成時のエッチング工程において、エッチングに供する塩素ラジカル種からβ−タンタルによる発熱素子27を保護する保護層として機能する。これによりヘッドチップ24では、コンタクト部47の作成に供する、事前に形成された絶縁保護層46により、ドライエッチングによる発熱素子27へのダメージを防止するようになされている。なおこの絶縁保護層46においては、このエッチング工程において、塩素ラジカルに曝される部位が膜厚300〔nm〕から膜厚100〔nm〕に減少する。
かくするにつきこの実施例においては、発熱素子27を半導体素子に接続する金属配線層である配線パターンのうちの、発熱素子27に接する2層目の配線パターン56については、発熱素子27側からチタン膜49、チタンナイトライド膜50、チタン膜51と、このチタン膜51の上にアルミニューム膜52を有する積層構造により形成することにより、アルミニューム膜52のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減するようになされている。
またこのような積層構造による配線パターン56においては、アルミニューム膜52の上側にもチタンナイトライド膜54を有することにより、アルミニューム原子の移動が抑制され、またこれらチタンナイトライド膜50、54がそれぞれアルミニューム膜52の反射防止膜として機能し、これらによりさらに一段とエレクトロマイグレーション耐性を向上するようになされている。
しかしてヘッドチップ24は、この2層目の配線パターン56により、スイッチングトランジスタ32を発熱素子27に接続する配線パターンが作成され、また電源用の配線パターン、アース用の配線パターンが作成される。
続いて図7(E)に示すように、インク保護層、絶縁層として機能するシリコン窒化膜57がプラズマCVD法により膜厚200〜400〔nm〕により堆積される。さらに熱処理炉において、4〔%〕の水素を添加した窒素ガスの雰囲気中で、又は100〔%〕の窒素ガス雰囲気中で、400度、60分間の熱処理が実施される。これによりヘッドチップ24は、トランジスタ32、33の動作が安定化され、さらに1層目の配線パターン44と2層目の配線パターン56との接続が安定化されてコンタクト抵抗が低減される。
ヘッドチップ24は、続いて耐キャビテーション材料層が膜厚100〜300〔nm〕により堆積された後、BCl3 /Cl2 ガスを用いたパターニングにより耐キャビテーション層58が形成される。この実施例では、タンタルをターゲットに用いたDCマグネトロン・スパッタリング装置によりβ−タンタルによる耐キャビテーション層58が形成される。またこのような耐キャビテーション層58にあっては、β−タンタルに代えて、タンタルとアルミニュームとの合金を用いることも可能であり、この場合、β−タンタルの結晶粒界にアルミニュームが存在するようにアルミニュームの含有量を15〔at%〕程度にすれば、β−タンタル膜に比して下層の絶縁保護層57への圧縮応力を低減することができる。
なおここで耐キャビテーション層58は、発熱素子27の駆動により液室22に発生した気泡が消滅する際の物理的ダメージ(キャビテーション)を吸収して発熱素子27を保護し、また発熱素子27の駆動により高温となったインクの化学作用から発熱素子27を保護する保護層である。
ヘッドチップ24は、続いて図4に示すように、感光性有機系樹脂が塗布された後、露光現像工程により液室22及びインク流路に対応する部位が取り除かれ、その後硬化され、これにより液室22の隔壁23、インク流路の隔壁23等が作成される。ヘッドチップ24は、このようにしてシリコン基板31上に作成された複数ヘッドチップ分がスクライビングされて作成される。
(2)実施例の動作
以上の構成において、このラインプリンタ11においては(図2)、印刷に供する画像データ、テキストデータ等によるヘッドカートリッジ18の駆動により、処理対象である用紙13を所定の用紙送り機構により搬送しながら、ヘッドカートリッジ18に設けられたヘッドアッセンブリー20からインク液滴が吐出され、このインク液滴が搬送中の用紙13に付着して画像、テキスト等が印刷される。
以上の構成において、このラインプリンタ11においては(図2)、印刷に供する画像データ、テキストデータ等によるヘッドカートリッジ18の駆動により、処理対象である用紙13を所定の用紙送り機構により搬送しながら、ヘッドカートリッジ18に設けられたヘッドアッセンブリー20からインク液滴が吐出され、このインク液滴が搬送中の用紙13に付着して画像、テキスト等が印刷される。
これに対応してヘッドカートリッジ18のヘッドアッセンブリー20においては(図2、図3)、インクタンク19Y、19M、19C、19Kのインクが各ヘッドチップ24に形成された液室22に導かれ、発熱素子27の駆動によるこの液室22のインクの加熱により、ノズルシート25に設けられたノズル29からインク液滴Lが吐出される。これらによりこのラインプリンタ11においては、所望の画像等を印刷することができるようになされている。
しかしてこのヘッドアッセンブリー20においては(図3、図4)、複数の発熱素子27、この複数の発熱素子27を駆動するスイッチングトランジスタ32等を一体に形成してなるヘッドチップ24と、インク液滴を吐出するノズル29によるノズル列、開口30を電鋳処理により作成してなるシート状の部材であるノズルシート25とを配置して形成される。またこのようなノズル29によるノズル列が、印刷対象の用紙幅により形成され、これによりフルラインタイプのラインヘッドが構成され、シリアルヘッドのプリンタヘッドによる場合に比して高速度に所望の画像等を印刷することができる。
この実施例に係るヘッドアッセンブリー20においては(図4〜図7)、このような発熱素子27の駆動に係るスイッチングトランジスタ32を発熱素子27に接続する金属配線層のうちの、発熱素子27に接する部位である2層目の配線パターン56が、絶縁保護層46に設けられた開口によるコンタクト部47を介して発熱素子27に接続される。またこのコンタクト部47の作成に供する絶縁保護層46を有効に利用して配線パターン56が形成され、この配線パターン56を構成するアルミニューム膜が、シリコン又は銅により結晶粒界が補強され、また堆積時における下層材料の影響により結晶粒界の数が減らされる。
しかしてこのような配線パターン56をチタン膜とアルミニューム膜との積層構造により作成した場合にあっては、これらチタン膜、アルミニューム膜の界面にチタンとアルミニュームとの合金層が形成され、この合金層により配線抵抗の値が増大し、これにより発熱素子27を効率良く駆動できなくなる。
このためヘッドアッセンブリー20においては(図1)、このような積層構造に代えて、アルミニューム膜とこのアルミニューム膜の発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により2層目の配線パターンが形成される。すなわちこの配線パターン56が、発熱素子27側からチタン膜49、チタンナイトライド膜50、チタン膜51、アルミニューム膜52による積層構造により形成され、このアルミニューム膜52においては、堆積時、下層のチタン膜51によりアルミニュームの(111)面への配向性が高くなり、これによりアルミニューム結晶粒の成長が促進される。またチタン膜51、アルミニューム膜52との界面において合金層が形成されるものの、この合金層に係るチタン膜51の膜厚が従来に比して極端に薄く、これらによりヘッドアッセンブリー20では、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができるようになされている。
具体的に、従来の積層構造により、発熱素子側より膜厚200〔nm〕によるチタン、膜厚600〔nm〕によるシリコンを1〔at%〕または銅を0.5〔at%〕添加したアルミニューム、さらに反射防止膜として機能する膜厚25〔nm〕による窒化酸化チタンにより金属配線層を作成したプリンタヘッドについて配線抵抗の値を測定したところ、単にアルミニュームにより金属配線層を作成する場合に比して金属配線層全体として配線抵抗の値が10〔%〕増大することが判った。これに対してヘッドアッセンブリー20では、このような配線抵抗の増大が見られず、これによりチタンナイトライド膜50、54とアルミニューム膜52との間にそれぞれ薄い膜厚によりチタン膜51、53を作成しても金属配線層全体での配線抵抗の増大を低減できることが確認された。
またこのような積層構造による配線パターン56においては、アルミニューム膜52の上側にもチタンナイトライド膜54を有することにより、アルミニューム原子の移動が抑制され、またこれらチタンナイトライド膜50、54がそれぞれアルミニューム膜52の反射防止膜として機能し、これらにより従来に比してさらに一段と金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上することができる。
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、絶縁保護層に設けられたコンタクト部を介して発熱素子に金属配線層を接続するようにし、該金属配線層をアルミニューム膜とこのアルミニューム膜の発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成することにより、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができる。
以上の構成によれば、絶縁保護層に設けられたコンタクト部を介して発熱素子に金属配線層を接続するようにし、該金属配線層をアルミニューム膜とこのアルミニューム膜の発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成することにより、金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができる。
具体的にこのような金属配線層において、チタンナイトライド膜の発熱素子側及び発熱素子とは逆側にチタン膜を有することにより、金属配線層の材料を連続して堆積する場合にこの金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上させても、配線抵抗の増大を低減することができる。
またこのような金属配線層において、アルミニューム膜の発熱素子とは逆側にもチタンナイトライド膜を有することにより、従来に比してさらに一段と金属配線層のエレクトロマイグレーション耐性を向上することができる。
なお上述の実施例においては、アルミニューム膜の発熱素子側及び発熱素子とは逆側にチタンナイトライド膜を有する積層構造により金属配線層を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、アルミニューム膜の発熱素子とは逆側についてはチタンナイトライド膜の形成を省略するようにしてもよい。
また上述の実施例においては、カラー印刷用のフルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用して4本のノズル列を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば白黒印刷用のフルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用してノズル列を1本により作成する場合等、種々の本数によりノズル列を作成する場合に広く適用することができる。
また上述の実施例においては、フルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばプリンタヘッドを特定方向に移動させるいわゆるシリアルタイプのプリンタヘッドに本発明を適用する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、本発明をプリンタヘッドに適用してインク液滴を飛び出させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インク液滴に代えて液滴が各種染料の液滴、保護層形成用の液滴等である液体吐出ヘッド、さらには液滴が試薬等であるマイクロディスペンサー、各種測定装置、各種試験装置、液滴がエッチングより部材を保護する薬剤である各種のパターン描画装置等に広く適用することができる。
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関し、例えば発熱素子と発熱素子を駆動するトランジスタとを一体に基板上に形成したサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用することができる。
1……プリンタヘッド、2、27……発熱素子、3、46……絶縁保護層、4、49、51、53、55……チタン膜、5、52……アルミニューム膜、6……合金層、11……ラインプリンタ、20……ヘッドアッセンブリー、24……ヘッドチップ、50、54……チタンナイトライド膜
Claims (4)
- 液室に保持した液体を加熱する発熱素子と、
前記発熱素子を駆動する半導体素子とが所定の基板上に一体に保持されて、前記発熱素子の駆動により所定のノズルより前記液体の液滴を飛び出させる液体吐出ヘッドにおいて、
前記発熱素子の前記液室側に、前記発熱素子を前記液体より保護する絶縁保護層、前記発熱素子に前記半導体素子を接続する金属配線層が順次配置され、
前記金属配線層は、
前記絶縁保護層に設けられた開口によるコンタクト部を介して前記発熱素子に接続され、
アルミニューム膜と、前記アルミニューム膜の前記発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成された
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記金属配線層は、
前記チタンナイトライド膜の前記発熱素子側、前記発熱素子とは逆側にチタン膜を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記金属配線層は、
前記アルミニューム膜の前記発熱素子とは逆側にチタンナイトライド膜を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 液体吐出ヘッドにより液滴を飛び出させる液体吐出装置において、
前記液体吐出ヘッドが、
液室に保持した液体を加熱する発熱素子と、
前記発熱素子を駆動する半導体素子とが所定の基板上に一体に保持されて、前記発熱素子の駆動により所定のノズルより前記液体の液滴を飛び出させ、
前記発熱素子の前記液室側に、前記発熱素子を前記液体より保護する絶縁保護層、前記発熱素子に前記半導体素子を接続する金属配線層が順次配置され、
前記金属配線層は、
前記絶縁保護層に設けられた開口によるコンタクト部を介して前記発熱素子に接続され、
アルミニューム膜と、前記アルミニューム膜の前記発熱素子側に設けられたチタンナイトライド膜との積層構造により形成された
ことを特徴とする液体吐出装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004307573A JP2006116832A (ja) | 2004-10-22 | 2004-10-22 | 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015214069A (ja) * | 2014-05-09 | 2015-12-03 | キヤノン株式会社 | 液体吐出用基板、液体吐出用ヘッド、および、記録装置 |
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2004
- 2004-10-22 JP JP2004307573A patent/JP2006116832A/ja active Pending
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