JP2006110845A - 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents

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孝章 宮本
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Abstract

【課題】 本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関し、例えばサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用して、従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、少なくとも第1の絶縁膜8の端面及び第2の絶縁膜11の端面が液体と接触する部位においては、第1の絶縁膜8と第2の絶縁膜11との密着力を増大させる密着層40を第1及び第2の絶縁膜8及び11の間に設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関し、例えばサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用することができる。本発明は、少なくとも第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面が液体と接触する部位においては、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との密着力を増大させる密着層を第1及び第2の絶縁膜間に設けることにより、従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができるようにする。
近年、画像処理等の分野において、ハードコピーのカラー化に対するニーズが高まってきている。このニーズに対して、従来、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式及び熱現像銀塩方式等のカラーコピー方式が提案されている。
これらの方式のうちインクジェット方式は、液体吐出ヘッドであるプリンタヘッドに設けられたノズルから記録液(インク)の液滴を飛翔させ、記録対象に付着してドットを形成するものであり、簡易な構成により高画質の画像を出力することができる。このインクジェット方式は、ノズルからインク液滴を飛翔させる方法の相違により、静電引力方式、連続振動発生方式(ピエゾ方式)及びサーマル方式に分類される。
これらの方式のうちサーマル方式は、インクの局所的な加熱により気泡を発生し、この気泡によりインクをノズルから押し出して印刷対象に飛翔させる方式であり、簡易な構成によりカラー画像を印刷することができるようになされている。
このようなサーマル方式によるプリンタヘッドは、インクを加熱する発熱素子が発熱素子を駆動するロジック集積回路による駆動回路と共に一体に半導体基板上に形成される。またこの駆動回路により矩形形状によるパルス状の電圧を発熱素子に印加して発熱素子を駆動し、この発熱素子の駆動による熱をインクに伝搬してインク液滴を飛び出させるようになされている。
この種のプリンタヘッドにおいては、このような発熱素子等を一体に保持してなる基板(以下、ヘッドチップと呼ぶ)が半導体製造技術を用いてシリコンによる半導体ウエハ上に複数分まとめて形成され、その後ダイシングにより個別のヘッドチップに切断されて形成される。
具体的に図9に示すように、このプリンタヘッド1は、半導体基板であるシリコン基板2上に、素子分離領域(LOCOS:Local oxidation of silicon)3がシリコン基板2の熱酸化により形成された後、各発熱素子を駆動するスイッチングトランジスタ4、このスイッチングトランジスタ4を駆動する駆動回路を構成するドライバートランジスタ5等がMOS(Metal Oxide Semiconductor )トランジスタにより作成される。続いてボロンとリンが添加された酸化シリコン(BPSG:Boron Phosphorus Silicate Glass)等による層間絶縁膜6、1層目の配線パターン7が順次形成され、さらに続いて酸化シリコンによる層間絶縁膜8、タンタル(Ta)等による発熱素子9、2層目の配線パターン10が順次形成される。これによりプリンタヘッド1では、これら配線パターン7、10によりスイッチングトランジスタ4が対応する発熱素子9と接続され、さらには同様にシリコン基板2上に作成したドライバートランジスタ5により各スイッチングトランジスタ4を駆動することにより、発熱素子9を高密度に配置して簡易かつ確実に各発熱素子9を駆動できるようになされている。
プリンタヘッド1は、続いてシリコン基板2上に、窒化シリコン(Si34 )による絶縁保護層11、タンタル等による耐キャビテーション層12が順次形成され、また続いてこのようなシリコン基板2上に、液室の隔壁13、この液室にインクを供給する流路の隔壁等が樹脂材料により形成される。プリンタヘッド1は、このようにしてシリコン基板2上に作成された複数ヘッドチップ分がスクライビングされてヘッドチップ14が作成されるようになされている。
プリンタヘッド1においては、このようなヘッドチップ14にノズル列が形成されてなるシート状のノズルシート15が貼り付けられ、これによりノズル16、液室17が形成されると共に、ダイシングによる切断面であるヘッドチップ14の側壁面が有効に利用されてインクの流路18が形成されて作成されるようになされている。
ここでこのようなプリンタヘッド1において、素子分離領域3はトランジスタ4、5の絶縁性を確保するものであり、層間絶縁膜6及び8は発熱素子9の発熱を蓄熱する蓄熱層として機能する。絶縁保護層11は、発熱素子9と配線パターン10との間での絶縁性を確保する絶縁層、発熱素子9とインクとの直接の接触を防止するインク保護層として機能する。耐キャビテーション層12は、発熱素子9の駆動により流路18に発生した気泡が消滅する際の物理的ダメージ(キャビテーション)を吸収して発熱素子9を保護し、また発熱素子9の駆動により高温となったインクの化学作用から発熱素子9を保護する保護層である。これらによりプリンタヘッド1では、ノズル16からインク液滴を安定に吐出して信頼性を確保するようになされている。
また例えば特開2003−136491号公報においては、このようなヘッドチップに貫通孔を設けてこの貫通孔によりヘッドチップの裏面側から液室にインクを供給する構成のプリンタヘッドに関して、貫通孔の周縁領域についてはシリコン酸化膜上にシリコン窒化膜を形成することにより貫通孔形成時の信頼性を確保する方法が提案されるようになされている。
ところでこの種のプリンタヘッドにおいては、インクカートリッジを交換してインクを補充することにより長期間の間使用される。プリンタヘッドにおいては、この間、常に液室、流路がインクで満たされることになり、これによりインクに対して高い信頼性を確保することが求められる。しかしながらインクがアルカリ性の場合、プリンタヘッドは、このインクの長期の使用によりプリンタヘッドが劣化する恐れがある。因みに一般にインクはpHの値が7〜10である。
すなわちヘッドチップにおいては、種々の材料膜による多層構造により形成され、これら材料膜のうちの異種材料による材料膜の界面がインクにより浸食され易い。
このため従来のプリンタヘッド1では、ヘッドチップ14の作成時に熱処理を実施することにより、素子分離領域3及び層間絶縁膜6の界面での密着性が増大され、層間絶縁膜6及び層間絶縁膜8の界面での密着性が増大されるようになされている。また耐キャビテーション層12を作成する前に下層の絶縁保護層11の表面を逆スパッタリングで粗面にすることにより、絶縁保護層11及び耐キャビテーション層12の界面での密着性が増大されるようになされている。
しかして残る界面であるシリコン酸化膜による層間絶縁膜8とシリコン窒化膜による絶縁保護層11との界面についても密着性を増大させることができれば、従来に比してさらに一段とヘッドチップのインク耐性を向上することができると考えられる。
なおプリンタヘッド1では、矢印Aにより示すように、このような層間絶縁膜8及び絶縁保護層11の界面からインクが浸入して発熱素子9、配線パターン10等にまで到達すると、このインクにより発熱素子9、配線パターン10が破壊され、これによりインク液滴を吐出することが困難になる。
特開2003−136491号公報
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、基板上に作成された発熱素子の駆動により液室に保持した液体の液滴をノズルより飛び出させる液体吐出ヘッドに適用して、基板上の発熱素子が設けられている部位には、基板の全面を覆う第1の絶縁膜、発熱素子の抵抗体膜、基板の全面を覆う第2の絶縁膜、液室が順次形成され、第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面に液体が接触するように形成された流路により液体が液室に導かれ、少なくとも第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面が液体と接触する部位においては、第1及び第2の絶縁膜間に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との密着力を増大させる密着層が設けられてなるようにする。
また請求項6の発明においては、液体吐出ヘッドにより液滴を飛び出させる液体吐出装置に適用して、液体吐出ヘッドが、基板上に作成された発熱素子の駆動により液室に保持した液体の液滴をノズルより飛び出させ、基板上の発熱素子が設けられている部位には、基板の全面を覆う第1の絶縁膜、発熱素子の抵抗体膜、基板の全面を覆う第2の絶縁膜、液室が順次形成され、第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面に液体が接触するように形成された流路により液体が液室に導かれ、少なくとも第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面が液体と接触する部位においては、第1及び第2の絶縁膜間に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との密着力を増大させる密着層が設けられてなるようにする。
請求項1の構成により、液体吐出ヘッドに適用して、基板上の発熱素子が設けられている部位には、基板の全面を覆う第1の絶縁膜、発熱素子の抵抗体膜、基板の全面を覆う第2の絶縁膜、液室が順次形成され、第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面に液体が接触するように形成された流路により液体が液室に導かれ、少なくとも第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面が液体と接触する部位においては、第1及び第2の絶縁膜間に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との密着力を増大させる密着層が設けられてなるようにすれば、密着層による密着力の増大により第1の絶縁膜及び密着層の界面、さらには密着層及び第2の絶縁膜の界面をインクが浸食困難になり、これにより従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができる。
これにより請求項6の構成によれば、従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができる液体吐出装置を提供することができる。
本発明によれば、従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができる。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
(1)実施例の構成
図2は、本発明に係るラインプリンタを示す斜視図である。なおここでこの実施例に係るプリンタ21において、上述した従来のプリンタヘッドと同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
このラインプリンタ21は、フルラインタイプのラインプリンタであり、略長方形形状によりプリンタ本体22が形成される。ラインプリンタ21は、印刷対象である用紙23を収納した用紙トレイ24をこのプリンタ本体22の正面に形成されたトレイ出入口より装着することにより、用紙23を給紙できるようになされている。
ラインプリンタ21は、このようにトレイ出入口よりプリンタ本体22に用紙トレイ24が装着されて、ユーザーにより印刷が指示されると、このプリンタ本体22に設けられた給紙ローラの回転によりプリンタ本体22の背面側に向かって用紙トレイ24から用紙23が送り出され、プリンタ本体22の背面側に設けられた反転ローラによりこの用紙23の送り方向が正面方向に切り換えられる。ラインプリンタ21は、このようにして用紙送り方向が正面方向に切り換えられてなる用紙23が用紙トレイ24上を横切るように搬送され、ラインプリンタ21の正面側に配置された排出口よりトレイ25に排出される。
ラインプリンタ21は、上側端面に上蓋26が設けられ、この上蓋26の内側、正面方向への用紙搬送途中に、矢印Bにより示すように、ヘッドカートリッジ28が交換可能に配置される。
ここでヘッドカートリッジ28は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色によるフルラインタイプのプリンタヘッドであり、上側に各色のインクタンク29Y、29M、29C、29Kが設けられるようになされている。ヘッドカートリッジ28は、これらインクタンク29Y、29M、29C、29Kに係るプリンタヘッドのアッセンブリーであるヘッドアッセンブリー30と、このヘッドアッセンブリー30の用紙23側に設けられて、不使用時、ヘッドアッセンブリー30に設けられたノズル列を塞いでインクの乾燥を防止するヘッドキャップ31とにより構成される。これによりラインプリンタ21においては、このヘッドカートリッジ28に設けられたヘッドアッセンブリー30の駆動により、各色のインク液滴を用紙23に付着させて所望の画像等をカラーにより印刷することができるようになされている。
図3は、このヘッドアッセンブリー30を用紙23側より見てインク液滴Lの吐出に係る部分を拡大し、一部断面を取って示す斜視図である。ヘッドアッセンブリー30は、液室の隔壁13等を作成したヘッドチップ34を順次ノズルシート15に貼り付けた後、ボンディング端子36を介してヘッドチップ34を配線して形成される。
ここでヘッドチップ34は、複数の発熱素子9、この複数の発熱素子9を駆動する駆動回路、この駆動回路の駆動に供する電源等を入力するパッド38等が形成されたものであり、発熱素子9側より見て全体が長方形形状により形成され、この長方形形状の長辺の一辺に沿って所定ピッチにより発熱素子9が複数個設けられる。
ヘッドチップ34は、この一辺側が開いてなるように、櫛の歯形状により液室の隔壁13、流路の隔壁が形成され、また図4に示すように、この一辺側に沿って流路18が設けられる。すなわちヘッドチップ34は、この流路18を間に挟んで千鳥にノズルシート15に順次配置され、これによりヘッドアッセンブリー30では、この隔壁13、ヘッドチップ34等により流路18を形成して、この流路18からそれぞれ対応するインクタンク29Y、29M、29C、29Kのインクを各液室17に導き得るようになされ、またこのようにして液室に導かれたインクを発熱素子9の駆動により加熱できるようになされている。なお図4は、ノズルシート15を取り外してノズルシート15側から見たヘッドアッセンブリー30の液室、流路を示す平面図である。
ヘッドチップ34は、半導体ウエハの段階で、露光硬化型のドライフィルムレジストを発熱素子9側面に積層した後、フォトリソプロセスによってこのドライフィルムレジストから液室の部位等を取り除くことにより、隔壁13が形成されるようになされている。
これに対してノズルシート15は(図3)、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクにそれぞれ対応する用紙幅によるノズル16の列が並設されたシート状部材であり、電鋳技術によりコバルトを含むニッケル材により形成される。ノズルシート15は、各ノズル16の列を間に挟んで千鳥に、各ヘッドチップ34をそれぞれボンディング端子36にワイヤボンディングする際の作業用の開口37が形成されるようになされている。
図1は、このヘッドアッセンブリー30に配置されるヘッドチップ34の構成を示す断面図である。ヘッドチップ34は、シリコン基板41上に、このシリコン基板41の全面を覆う第1の絶縁膜である層間絶縁膜8、発熱素子9の抵抗体膜、シリコン基板41の全面を覆う第2の絶縁膜である絶縁保護層11、液室17が順次形成され、この層間絶縁膜8の端面、絶縁保護層11の端面にインクが接触するように流路18が形成される。
ヘッドチップ34は、少なくともこれら層間絶縁膜8の端面及び絶縁保護層11の端面がインクと接触する部位においては層間絶縁膜8及び絶縁保護層11の間に密着層40が設けられる。ここでこの密着層40は、下層及び上層の層間絶縁膜8及び絶縁保護層11間の密着力を増大させるものであり、層間絶縁膜8及び絶縁保護層11の双方に高い密着力を有し、かつインクとの間での化学作用に対する耐性を有する材料により作成される。
具体的に密着層40の材料には、シリコン酸化膜による層間絶縁膜8、シリコン窒化膜による絶縁保護層11に対してそれぞれ密着力がよく、かつインク耐性を有するタンタルが適用される。これによりヘッドチップ34では、この密着層40による密着力の増大により、層間絶縁膜8及び密着層40の界面、さらには密着層40及び絶縁保護層11の界面をインクが浸食し難くなるようになされている。
しかしてヘッドチップ34は、半導体製造工程により、シリコン基板41による半導体ウエハ上に複数チップ分がまとめて形成された後、各チップにスクライビングされて形成される。
このためヘッドチップ34は、ダイシングによる切断によりヘッドチップ34の端面に密着層40が配置されるように、ダイシングに供する領域(スクライブライン)に基づいて密着層40が作成される。ここで図5(A)は、このようなダイシングによる切断に係るヘッドチップ34の半導体ウエハ上のレイアウトを示す平面図である。この半導体ウエハにおいては、隣り合うヘッドチップ34間で発熱素子9が向き合うようにレイアウトされ、ヘッドチップ34間の領域がダイシングに供する領域ARに割り当てられる。また図5(A)において破線により囲んで示すように、このダイシングに供する領域ARを含む各ヘッドチップ34の周縁領域AR1に密着層が作成され、この実施例では、このダイシング領域により個別のヘッドチップ34に切断された状態を図5(B)に示すように、長方形形状の4辺に沿って密着層40が形成されるようになされている。
すなわち図6に示すように、このヘッドチップ34は、シリコン基板41が洗浄された後、シリコン窒化膜が堆積される。続いてフォトリソグラフィー工程、リアクティブイオンエッチング工程によりシリコン基板41が処理され、これによりトランジスタ4、5を形成する所定領域以外の領域よりシリコン窒化膜が取り除かれる。これらによりヘッドチップ34は、シリコン基板41上のトランジスタを作成する領域にシリコン窒化膜が堆積される。
続いてヘッドチップ34は、熱酸化工程によりシリコン窒化膜が除去されている領域に熱シリコン酸化膜が膜厚500〔nm〕により形成され、この熱シリコン酸化膜によりトランジスタを分離するための素子分離領域(LOCOS)3が形成される。なおこの素子分離領域3は、その後の処理により最終的に膜厚260〔nm〕に形成される。
ヘッドチップ34は、続いてフォトリソグラフィー工程、イオン注入工程、熱拡散工程によりシリコン基板41が処理され、これによりシリコン基板41中にNウェル領域及びPウェル領域が形成される。
続いてシリコン基板41が洗浄された後、熱処理炉において、水素と酸素とによる混合ガス(H2 /O2 )の雰囲気中で、850度により熱処理され、これにより膜厚8〜25〔nm〕による熱酸化膜が形成される。この実施例においては、この熱酸化膜がゲート電極の形状によりパターニングされてゲート酸化膜が形成される。なおこのゲート酸化膜の膜厚は、ソース・ドレイン間の耐圧、ゲート長、ゲート入力電圧等に基づいて、これら8〜25〔nm〕の範囲で所望の値に設定される。
続いてヘッドチップ34は、シリコン基板41が洗浄された後、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によりポリシリコン膜が膜厚100〔nm〕により堆積される。さらに続いてイオン注入工程によりポリシリコン膜中にボロンが注入され、活性化アニール工程によりこのポリシリコン膜中のボロン、ソース及びドレイン作成領域の不純物が活性化される。
続いてヘッドチップ34は、タングステンシリサイド膜が膜厚100〔nm〕により堆積された後、リソグラフィー工程によりトランジスタのゲート領域が露光処理され、さらに続いてSF6 +HBr系のガスを用いたドライエッチング工程により、余剰な熱酸化膜、ポリシリコン膜、タングステンシリサイド膜が除去され、これによりゲート酸化膜42、ポリシリコン膜43、タングステンシリサイド膜44の積層構造によりゲート電極が形成され、この実施例では、ゲート長が2〔μm〕以下により形成される。
続いてイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板41が処理され、これによりゲート下のチャネル形成領域とドレインとの間の電界を緩和する電界緩和層である低濃度の拡散層45が形成され、さらにソース及びドレイン領域を形成するためのイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板41が処理され、これらによりMOSトランジスタ4、5等が作成される。
このようにしてMOSトランジスタ4、5を作成するにつき、この実施例においては、スイッチングトランジスタ4がNMOSトランジスタにより作成され、また駆動回路を構成するドライバートランジスタ5等がNMOS及びPMOSトランジスタにより作成される。この実施例では、これらのトランジスタ4、5等がほぼ同一のゲート入力電圧5〔V〕以下により動作するように作成されるのに対し、スイッチングトランジスタ4においては、ドレインのゲート側とゲートとの間に設けられた拡散層45によりゲート・ドレイン間の耐圧を発熱素子9の駆動に係る電圧以上、少なくとも25〔V〕程度まで増大させる構成が適用されるようになされている。これによりヘッドチップ34では、ドライバートランジスタ5によりスイッチングトランジスタ4を直接駆動するようになされている。
このようにしてトランジスタ4、5が作成されると、ヘッドチップ34は、続いてCVD法によりリンが添加されたシリコン酸化膜であるPSG(Phosphorus Silicate Glass )膜、BPSG膜が順次膜厚100〔nm〕、500〔nm〕により作成され、これにより全体として膜厚が600〔nm〕による1層目の層間絶縁膜6が作成される。
続いてフォトリソグラフィー工程の後、C48 /CO/O2 /Ar系ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法によりシリコン半導体拡散層(ソース・ドレイン)上にコンタクトホール47が作成される。さらに熱処理炉において、100〔%〕の窒素ガス雰囲気中で、700度、30分間の熱処理が実施される。これによりヘッドチップ34は、素子分離領域3及び1層目の層間絶縁膜6の界面での密着力が増大され、さらに1層目の層間絶縁膜6におけるPSG膜及びBPSG膜の界面での密着力が増大される。
ヘッドチップ34は、続いて希フッ酸によりシリコン基板41が洗浄された後、スパッタリング法により、膜厚30〔nm〕によるチタン、膜厚70〔nm〕による窒化酸化チタンバリアメタル、膜厚30〔nm〕によるチタン、シリコンが1〔at%〕添加されたアルミニューム、または銅が0.5〔at%〕添加されたアルミニュームが膜厚500〔nm〕により順次堆積される。さらに続いて反射防止膜である窒化酸化チタンが膜厚25〔nm〕により堆積され、これらにより1層目の配線パターン材料層が成膜される。
続いてフォトリソグラフィー工程、ドライエッチング工程により、成膜された配線パターン材料層が選択的に除去され、これにより1層目の配線パターン7が作成される。ヘッドチップ34は、このようにして作成された1層目の配線パターン7により、ドライバートランジスタ5を接続して駆動回路が形成されるようになされている。
ヘッドチップ34は、続いてTEOS(テトラエトキシシラン:Si(OC254 )を原料ガスとしたCVD法により層間絶縁膜であるシリコン酸化膜が堆積される。続いてヘッドチップ34は、SOG(Spin On Glass )を含む塗布型シリコン酸化膜の塗布とエッチバックとにより、シリコン酸化膜が平坦化され、これらの工程が2回繰り返されて1層目の配線パターン7と続く2層目の配線パターン10とを絶縁する膜厚440〔nm〕のシリコン酸化膜による2層目の層間絶縁膜8が形成される。
ヘッドチップ34は、続いてスパッタリング装置により膜厚80〔nm〕によるβ−タンタル膜が堆積され、これによりシリコン基板41上に抵抗体膜が成膜される。ここでこの実施例においては、この抵抗体膜のパターニングにより発熱素子9が作成されると共に密着層40が作成される。
このためヘッドチップ34は、このβ−タンタル膜の堆積前にシリコン基板41へのアルゴンプラズマの照射により層間絶縁膜8の表面が荒らされ、これにより層間絶縁膜8及び抵抗体膜の界面での密着力が増大されるようになされている。なおアルゴンプラズマの照射条件は、膜厚に換算して10〔nm〕によるエッチングに設定し、スパッタリングの条件は、ウエハ加熱温度200〜400度、直流印加電力2〜4〔kW〕、アルゴンガス流量20〜40〔sccm〕に設定した。
さらに続いてヘッドチップ34は、フォトリソグラフィー工程、BCl3 /Cl2 ガスを用いたドライエッチング工程により抵抗体膜が選択的に除去され、一端を配線パターンにより接続する折り返し形状により、100〔Ω〕の抵抗値を有する発熱素子9が形成される。
このときこのドライエッチング工程において図5で説明した領域にあっては各ヘッドチップ34の周縁領域に抵抗体膜が取り残され、これによりヘッドチップ34では、長方形形状によるシリコン基板41の4辺に沿って、膜厚80〔nm〕によるβ−タンタル膜により密着層40が形成される。ヘッドチップ34では、このようにして発熱素子9の抵抗体膜と同一の材料により発熱素子9を作成する際に併せて密着層40が形成され、これにより工程数を増大させずに簡易に密着層40を作成するようになされている。
このようにして発熱素子9、密着層40が形成されると、ヘッドチップ34は、CVD法により膜厚300〔nm〕によるシリコン窒化膜が堆積され、続いてフォトレジスト工程、CHF3 /CF4 /Arガスを用いたドライエッチング工程により、所定箇所のシリコン窒化膜が除去され、これにより絶縁保護層48に開口を形成してコンタクト部49が作成される。さらにCHF3 /CF4 /Arガスを用いたドライエッチング工程により、層間絶縁膜48に開口を形成してビアホール50が作成される。ここでコンタクト部49は、2層目の配線パターンを下層の発熱素子9に接続するために2層目の配線パターンの前工程において設けられた接続部であり、ビアホール50は、2層目の配線パターンを下層の1層目の配線パターン7に接続するために2層目の配線パターンの前工程において設けられた接続部である。
ヘッドチップ34は、続いてスパッタリング法により、膜厚20〔nm〕によるチタン、シリコンを1〔at%〕添加したアルミニューム、または銅を0.5〔at%〕添加したアルミニュームが膜厚600〔nm〕により順次堆積される。続いてヘッドチップ34は、膜厚20〔nm〕による窒化酸化チタンが堆積され、これにより反射防止膜が形成される。これらによりヘッドチップ34は、シリコン又は銅を添加したアルミニュームによる2層目の配線パターン材料層が形成される。
続いてフォトリソグラフィー工程、BCl3 /Cl2 ガスを用いたドライエッチング工程により配線パターン材料層が選択的に除去され、2層目の配線パターン10が作成される。ヘッドチップ34は、この2層目の配線パターン10により、電源用の配線パターン、アース用の配線パターンが作成され、またスイッチングトランジスタ4を発熱素子9に接続する配線パターンが作成される。なおコンタクト部49の作成により発熱素子9の上層に取り残されたシリコン窒化膜48にあっては、この配線パターン作成の際のエッチング工程において、エッチングに供する塩素ラジカル種からβ−タンタルによる発熱素子9を保護する保護層として機能する。またこのシリコン窒化膜48においては、このエッチング工程において、塩素ラジカル種に曝される部位が膜厚300〔nm〕から膜厚100〔nm〕に減少する。
続いてヘッドチップ34は、シリコン窒化膜がプラズマCVD法により膜厚200〜400〔nm〕により堆積され、これによりシリコン基板41の全面を覆う絶縁保護層11が作成される。これにより層間絶縁膜8の端面及び絶縁保護層11の端面がインクと接触する部位においては、シリコン基板41側より層間絶縁膜6及び8、密着層40、絶縁保護層11が順次形成され、これにより層間絶縁膜8上に絶縁保護層11を直接作成する場合に比してインク耐性を向上することができるようになされている。
なおこのようにタンタル膜による密着層40上に単にシリコン窒化膜による絶縁保護層11を作成するようにしても実用上十分な密着力を得ることができるものの、これに加えて、シリコン窒化膜を作成する直前にタンタル膜の表面を荒らすようにしてもよく、このようにすればその分さらに一段と密着力を増大させてインク耐性を向上することができる。
ヘッドチップ34は、続いて熱処理炉において、4〔%〕の水素を添加した窒素ガスの雰囲気中で、又は100〔%〕の窒素ガス雰囲気中で、400度、60分間の熱処理が実施される。これによりヘッドチップ34は、トランジスタ4、5の動作が安定化され、さらに1層目の配線パターン7と2層目の配線パターン10との接続が安定化されてコンタクト抵抗が低減される。
ヘッドチップ34は、続いて耐キャビテーション材料層が膜厚100〜300〔nm〕により堆積された後、BCl3 /Cl2 ガスを用いたパターニングにより耐キャビテーション層12が形成される。この実施例では、タンタルをターゲットに用いたDCマグネトロン・スパッタリング装置によりβ−タンタルによる耐キャビテーション層12が形成される。
なおこのようにシリコン窒化膜による絶縁保護層11上にタンタル膜により耐キャビテーション層12を直接作成する場合においても、実用上十分な密着力を得ることができるものの、これに加えて、タンタル膜を堆積する直前にタンタル膜の表面を荒らすようにしてもよく、このようにすればその分さらに一段と密着力を増大させてインク耐性を向上することができる。
ヘッドチップ34は、続いて図1に示すように、有機系樹脂材料が塗布された後、露光現像工程により液室17及び流路18に対応する部位が取り除かれ、その後硬化され、これにより液室17の隔壁13、流路18の隔壁等が作成される。ヘッドチップ34は、このようにしてシリコン基板41上に作成された複数ヘッドチップ分がダイシングにより切断されて作成される。
(2)実施例の動作
以上の構成において、このラインプリンタ21においては(図2)、印刷に供する画像データ、テキストデータ等によるヘッドカートリッジ28の駆動により、処理対象である用紙23を所定の用紙送り機構により搬送しながら、ヘッドカートリッジ28に設けられたヘッドアッセンブリー30からインク液滴が吐出され、このインク液滴が搬送中の用紙23に付着して画像、テキスト等が印刷される。
これに対応してヘッドカートリッジ28のヘッドアッセンブリー30においては(図2、図3)、インクタンク29Y、29M、29C、29Kのインクが流路18を介して液室17に導かれ、発熱素子9の駆動による液室17のインクの加熱により、ノズルシート15に設けられたノズル16からインク液滴Lが吐出される。これらによりこのラインプリンタ21においては、所望の画像等を印刷することができるようになされている。
しかしてこのヘッドアッセンブリー30においては(図3)、複数の発熱素子9、この複数の発熱素子9を駆動するスイッチングトランジスタ4等を一体に形成してなる基板であるヘッドチップ34と、インク液滴を吐出するノズル16によるノズル列、開口37を電鋳処理により作成してなるシート状の部材であるノズルシート15とを配置して形成される。またこのようなノズル16によるノズル列が、印刷対象の用紙幅により形成され、これによりフルラインタイプのラインヘッドが構成され、シリアルヘッドのプリンタヘッドによる場合に比して高速度に所望の画像等を印刷することができる。
この実施例に係るヘッドアッセンブリー30においては、このようなヘッドチップ34を構成するシリコン基板41が発熱素子9側より見て長方形形状により形成され、この長方形形状の長辺の一辺に沿って発熱素子9が複数個設けられる。またこのようにして基板41上の発熱素子9が設けられている部位には(図1)、この基板41の全面を覆う第1の絶縁膜である層間絶縁膜8、発熱素子9の抵抗体膜、基板41の全面を覆う第2の絶縁膜である絶縁保護層11、液室17が順次形成される。
またヘッドアッセンブリー30では(図1、図3、図4)、このような長方形形状によるシリコン基板41の長辺に沿って流路18が設けられ、これにより層間絶縁膜8の端面及び絶縁保護層11の端面にインクが接触するように形成された流路18により液室17にインクが導かれる。
ところでこのようなヘッドアッセンブリー30では、インクタンク29Y、29M、29C、29Kの交換によるインクの補充により長期間の間使用されるものの、このインクがアルカリ性の場合、このような長期の使用により劣化することが懸念される。
このためヘッドアッセンブリー30では、ヘッドチップ34の少なくとも層間絶縁膜8の端面及び絶縁保護層11の端面がインクに接触する部位においては、層間絶縁膜8及び絶縁保護層11の間に、これら層間絶縁膜8及び絶縁保護層11間の密着力を増大させる密着層40が形成される。すなわちヘッドチップ34においては(図1、図5〜図6)、シリコン基板41による長方形形状の4辺に沿って密着層40が設けられ、これによりインクと接触する端面にあっては、基板41側から層間絶縁膜6及び8、密着層40、絶縁保護層11が順次配置される。
より具体的にこの実施例では、シリコン酸化膜による層間絶縁膜8とシリコン窒化膜による絶縁保護層11との間にタンタル膜による密着層40が形成され、このタンタル膜においては、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の双方に高い密着力を有し、これにより密着層40による密着力の増大により層間絶縁膜8及び密着層40の界面、密着層40及び絶縁保護層11の界面をインクが浸食困難になる。またタンタル膜においては、インクに接する耐キャビテーション層12にも適用されるように、インクとの間での化学作用が起こり難く、これにより密着層40について十分な信頼性を確保することができる。これらによりヘッドアッセンブリー30では、従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができるようになされている。
またこのようなタンタル膜による密着層40においては、発熱素子9の抵抗体膜と同一の材料で発熱素子9を作成する際に併せて形成され、これにより工程数を増大させずに簡易に密着層を作成することができる。
またこのような密着層40と層間絶縁膜8との界面においては、タンタル膜を堆積する直前に層間絶縁膜8の表面が荒らされ、その分さらに一段と密着力を増大させてインク耐性を向上することができる。
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、少なくとも第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面が液体と接触する部位においては、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との密着力を増大させる密着層を第1及び第2の絶縁膜間に設けることにより、従来に比してヘッドチップのインク耐性を向上することができる。
具体的にシリコン酸化膜による層間絶縁膜の端面及びシリコン窒化膜による絶縁保護層の端面がインクと接触する部位においては、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の間にタンタル膜により密着層を形成することにより、従来に比してインク耐性を向上することができる。
またこのようなタンタル膜による密着層を、発熱素子9の抵抗体膜と同一の材料で発熱素子9を作成する際に併せて形成することにより、工程数を増大させずに簡易に密着層を作成することができる。
図7は、図1との対比により本発明の実施例2に係るプリンタの液室近傍の構成を示す断面図である。この実施例に係るプリンタにおいては、この図7に示すヘッドアッセンブリー60の構成が異なる点を除いて、実施例1に係るプリンタと同一に構成される。
このヘッドアッセンブリー60においては、ヘッドチップ61に基板、層間絶縁膜8、絶縁保護層11等を貫通する貫通孔62が設けられ、この貫通孔62により発熱素子9等を作成した面とは逆側の基板裏面側より液室17にインクが導かれる。
これに対応してヘッドチップ61は、この貫通孔62を囲むように、第1の絶縁膜である層間絶縁膜8と第2の絶縁膜である絶縁保護層11との間に密着層63が形成される。すなわちこのヘッドチップ61は、シリコン基板64上に、実施例1について上述したと同様にして、スイッチングトランジスタ4、ドライバートランジスタ5が作成された後、層間絶縁膜6、1層目の配線パターン7、層間絶縁膜8が順次形成される。
続いてヘッドチップ61は、β−タンタル膜により発熱素子9が作成され、この発熱素子作成の際のドライエッチング工程において、貫通孔の作成領域を囲む領域にβ−タンタル膜が取り残される。
ヘッドチップ61は、続いて2層目の配線パターン10、絶縁保護層11、耐キャビテーション層12が順次形成された後、このようなシリコン基板64上に液室17の隔壁13、流路18の隔壁等が有機系樹脂材料により形成される。
続いてヘッドチップ61は、貫通孔の作成領域を除く領域を保護するエッチングマスクがシリコン基板64の裏面に形成され、さらにトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等による薬液を用いたエッチング工程によりシリコン基板64の裏面が処理され、これにより貫通孔の作成領域におけるシリコン基板64が除去される。
さらに続いて混合ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法によりシリコン基板64の裏面が処理され、これにより貫通孔の作成領域よりPSG膜、BPSG膜による層間絶縁膜6、層間絶縁膜8、β−タンタル膜、絶縁保護層11が順次除去される。この実施例では、高次のフロロカーボンガスであるC48 を主体としたC48 /CO/O2/Ar系ガスを用いた酸化膜用ドライエッチング装置によりシリコン基板64の裏面が処理される。
なおこのような密着層の作成に係るエッチングにおいては、上述した実施例1の場合、塩素系ガスを用いたドライエッチングが適用されるのに対し、タンタルはフッ化物についても塩化物と同様の揮発性を有し、これによりフッ素系ガスを用いたドライエッチングによってもエッチングすることができる。
これらによりこの実施例では、ヘッドチップ61に貫通孔62が形成されると共に、この貫通孔62により層間絶縁膜8の端面及び絶縁保護層11の端面がインクと接触する部位においては、シリコン基板64側から層間絶縁膜6及び8、β−タンタル膜による密着層63、絶縁保護層11が形成される。
ヘッドチップ61は、このようにしてシリコン基板64上に作成された複数ヘッドチップ分がダイシングにより切断されて作成される。
図7の構成によれば、層間絶縁膜8及び絶縁保護層11を貫通する貫通孔62を設けて流路18を構成するようにし、この貫通孔62を囲むように密着層63を形成することにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。
なお上述の実施例においては、長方形形状による基板の4辺に沿って密着層を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図5(B)との対比により図8に示すように、第1及び第2の絶縁膜がインクに接触する部位についてのみ長方形形状の外周に沿って密着層を作成する場合に広く適用することができる。
また上述の実施例においては、タンタルにより密着層を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、タングステンにより密着層を形成する場合に広く適用することができる。
また上述の実施例においては、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の間に密着層を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばシリコン酸化膜及びシリコン炭化膜の間に密着層を形成する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、カラー印刷用のフルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用して4本のノズル列を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば白黒印刷用のフルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用してノズル列を1本により作成する場合等、種々の本数によりノズル列を作成する場合に広く適用することができる。
また上述の実施例においては、フルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばプリンタヘッドを特定方向に移動させるいわゆるシリアルタイプのプリンタヘッドに本発明を適用する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、本発明をプリンタヘッドに適用してインク液滴を飛び出させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インク液滴に代えて液滴が各種染料の液滴、保護層形成用の液滴等である液体吐出ヘッド、さらには液滴が試薬等であるマイクロディスペンサー、各種測定装置、各種試験装置、液滴がエッチングより部材を保護する薬剤である各種のパターン描画装置等に広く適用することができる。
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関し、例えばサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用することができる。
本発明の実施例1に係るラインプリンタに適用されるヘッドアッセンブリーにおけるヘッドチップの説明に供する断面図である。 本発明の実施例1に係るラインプリンタを示す斜視図である。 図2のヘッドアッセンブリーのインク液滴の吐出に係る部分を拡大して示す斜視図である。 図2のヘッドアッセンブリーにおける液室、流路の説明に供する平面図である。 図1のヘッドチップにおける密着層の配置の説明に供する平面図である。 図1のヘッドチップの作成工程の説明に供する断面図である。 本発明の実施例2に係るラインプリンタに適用されるヘッドアッセンブリーにおけるヘッドチップの説明に供する断面図である。 図5(B)との対比により他の実施例に係る密着層の配置の説明に供する平面図である。 従来のプリンタに適用されるプリンタヘッドの説明に供する断面図である。
符号の説明
1……プリンタヘッド、6、8……層間絶縁膜、9……発熱素子、11……絶縁保護層、17……液室、18……流路、21……ラインプリンタ、30、60……ヘッドアッセンブリー、34、61……ヘッドチップ、40、63……密着層、62……貫通孔

Claims (6)

  1. 基板上に作成された発熱素子の駆動により液室に保持した液体の液滴をノズルより飛び出させる液体吐出ヘッドにおいて、
    前記基板上の前記発熱素子が設けられている部位には、前記基板の全面を覆う第1の絶縁膜、前記発熱素子の抵抗体膜、前記基板の全面を覆う第2の絶縁膜、前記液室が順次形成され、
    前記第1の絶縁膜の端面及び前記第2の絶縁膜の端面に前記液体が接触するように形成された流路により前記液体が前記液室に導かれ、
    少なくとも前記第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面が前記液体と接触する部位においては、前記第1及び第2の絶縁膜間に、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜との密着力を増大させる密着層が設けられた
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記基板が、前記発熱素子側より見て、長方形形状により形成され、
    前記長方形形状の長辺に沿って前記発熱素子が複数個設けられ、
    前記流路が、前記長辺に沿って設けられた
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記流路が、
    前記第1及び第2の絶縁膜を貫通する貫通孔であり、
    前記密着層は、
    前記貫通孔を囲むように形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記第1の絶縁膜は、シリコン酸化膜であり、
    前記第2の絶縁膜は、シリコン窒化膜であり、
    前記密着層は、タンタル膜である
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記密着層は、
    前記抵抗体膜と同一の材料により形成され、
    前記発熱素子を作成する際に併せて形成された
    ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 液体吐出ヘッドにより液滴を飛び出させる液体吐出装置において、
    前記液体吐出ヘッドが、
    基板上に作成された発熱素子の駆動により液室に保持した液体の液滴をノズルより飛び出させ、
    前記基板上の前記発熱素子が設けられている部位には、前記基板の全面を覆う第1の絶縁膜、前記発熱素子の抵抗体膜、前記基板の全面を覆う第2の絶縁膜、前記液室が順次形成され、
    前記第1の絶縁膜の端面及び前記第2の絶縁膜の端面に前記液体が接触するように形成された流路により前記液体が前記液室に導かれ、
    少なくとも前記第1の絶縁膜の端面及び第2の絶縁膜の端面が前記液体と接触する部位においては、前記第1及び第2の絶縁膜間に、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜との密着力を増大させる密着層が設けられた
    ことを特徴とする液体吐出装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102133815A (zh) * 2010-01-21 2011-07-27 佳能株式会社 喷墨记录装置以及液体排出头的异常检测方法
JP2015214069A (ja) * 2014-05-09 2015-12-03 キヤノン株式会社 液体吐出用基板、液体吐出用ヘッド、および、記録装置
JP2018001413A (ja) * 2016-06-27 2018-01-11 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置

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