JP2006113314A - 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電性支持体(31)上に少なくとも電荷発生層(35)、電荷輸送層(37)及び架橋型電荷輸送層(39)を順次積層した電子写真感光体において、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成されており、且つ該電荷発生層が電荷発生物質として特定のアゾ顔料を含むことを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】 図1
Description
したがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、これが当分野でもっとも解決が迫られている課題である。
これら(1)、(2)、(3)の技術では、有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
さらに、この感光体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、3次元網目構造が充分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでには至っていない。
しかし、この感光層は架橋結合密度を高められるため高い硬度を有するが、嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、架橋表面層が長期間の使用においてクラックや剥がれが発生しやすい場合がある。また、正孔輸送性化合物が複数の結合で強固に固定されるためその運動性が抑制され、正孔移動度が低下し残留電位上昇の原因となりやすい欠点があった。
これに対し、機械的耐久性を高める技術とは別に電荷発生層に用いられる高性能電荷発生物質として、特定構造を有するアゾ顔料を混合して用いる技術が知られている(例えば、特許文献7、特許文献8参照。)。この電荷発生物質を用いることにより使い始めの高感度、低残留電位は十二分に満足されるものの、長期間の使用により電荷輸送層の膜厚が減少すると感度劣化と残留電位上昇が現れやすい課題があり、長寿命化の達成は不可能であった。
すなわち、上記課題は、下記の構成を有する本発明の電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジによって解決することができる。
(2)前記アゾ顔料が下記化合物であることを特徴とする上記(1)に記載の電子写真感光体。
(5)前記架橋型電荷輸送層の膜厚が1μm以上、10μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れかに記載の電子写真感光体。
(6)前記架橋型電荷輸送層の膜厚が2μm以上、8μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れかに記載の電子写真感光体。
(7)前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(9)前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(10)前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の一種以上であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(11)前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で表される化合物の一種以上であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(12)前記架橋型電荷輸送層の硬化手段が加熱手段又は光エネルギー照射手段であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(13)前記導電性支持体と電荷発生層の間に、電荷ブロッキング層、モアレ防止層を順次積層したことを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(14)前記電荷ブロッキング層が絶縁性材料からなり、その膜厚が2.0μm未満であることを特徴とする上記(13)に記載の電子写真感光体。
(15)前記絶縁性材料がポリアミドであることを特徴とする上記(14)に記載の電子写真感光体。
(16)前記モアレ防止層が無機顔料とバインダー樹脂を含有し、両者の容積比が1/1〜3/1の範囲であることを特徴とする上記(13〜(15)の何れかに記載の電子写真感光体。
(17)前記バインダー樹脂が熱硬化型樹脂であることを特徴とする上記(16)に記載の電子写真感光体。
(18)前記熱硬化型樹脂がアルキッド/メラミン樹脂の混合物であることを特徴とする上記(17)に記載の電子写真感光体。
(20)前記無機顔料が酸化チタンであることを特徴とする上記(16)〜(19)に記載の電子写真感光体。
(21)前記酸化チタンが平均粒径の異なる2種類の酸化チタンであり、一方の酸化チタン(T1)の平均粒径(D1)とし、他方の酸化チタン(T2)の平均粒径を(D2)とした場合、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする上記(20)に記載の電子写真感光体。
(22)前記酸化チタン(T2)の平均粒径(D2)が、0.05μm<D2<0.2μmであることを特徴とする上記(21)に記載の電子写真感光体。
(23)前記平均粒径の異なる2種の酸化チタンの混合比率(重量比)が、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8であることを特徴とする上記(21)又は(22)に記載の電子写真感光体。
(25)上記(1)〜(23)のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
(26)上記(1)〜(23)のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
本発明は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成されたものであり、該電荷発生層に用いられる電荷発生物質として特定構造のアゾ顔料を含有させることにより、耐摩耗性、耐傷性が優れた強靱な機械特性と、高感度、低残留電位などの良好な電気特性を長期間にわたり両立できることが判明した。
電子写真感光体は帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段の一連のプロセスが繰り返される環境で使用され、この過程で感光体が摩耗したり傷が発生することにより、画像劣化を引き起こし寿命となる。この摩耗、傷をもたらす要因としては、(1)帯電、除電時の放電による感光体表面組成物の分解及び酸化性ガスによる化学的劣化、(2)現像時におけるキャリア付着、(3)転写時における紙との摩擦、(4)クリーニング時におけるクリーニングブラシ、クリーニングブレード及び介在するトナーや付着キャリアとの摩擦などが挙げられる。これらのハザードに強い感光体を設計するためには、表面層を高硬度、高弾性で且つ均一にすることが重要で、膜構造からは緻密で且つ均質な3次元網目構造を形成する方法が有望である。
この問題を解決する方法としては、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる、などの硬化樹脂層を柔らかくする方向性が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。
これは架橋型電荷輸送層の構成材料として1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化したことに起因する。上記のように官能基を有しない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こり、感度の低下、残留電位の上昇等繰り返し使用における電気的特性の劣化が著しい。2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の一般式(4)で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・ 一般式(4)
(ただし、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わす。)、または−S−基を表わす。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2− ・・・ 一般式(5)
(ただし、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR12R13(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記一般式(4)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
なお、これらX1、X2、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
置換もしくは未置換のAr3、Ar4はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
ビニレン基は、
R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない。170℃より高温では硬化反応が不均一に進行し架橋型電荷輸送層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
本発明の構成において、架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)架橋型電荷輸送層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)架橋型電荷輸送層の塗工方法の選択、(4)架橋型電荷輸送層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
さらに、一般式(XI)のアゾ顔料の中で特に良好なものとして下記化合物が挙げられる。
<電子写真感光体の層構造について>
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(35)と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層(37)とさらに架橋型電荷輸送層(39)が積層された積層構造の感光体である。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。
(電荷発生層)
電荷発生層(35)は、上述の(XI)式で表されるアゾ顔料を主成分とする層である。
電荷発生層(35)は、前記アゾ顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体1上に塗布し、乾燥することにより形成される。本発明の電荷発生物質は、特定波長の感度を高めるためなど必要に応じて他の電荷発生物質を混合することもできる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
また、電荷発生層(35)には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層(35)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電荷輸送層(37)は電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(35)上に塗布、乾燥することにより形成させる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(35)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、架橋型電荷輸送層塗工時の電荷輸送層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
電荷輸送層(37)の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層の形成には電荷発生層(35)と同様な塗工法が可能である。
電荷輸送層(37)に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層(37)に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
本発明の感光体においては、電荷輸送層と架橋型電荷輸送層の間に、架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分混入を抑える又は両層間の接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。このため、中間層としては架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性または難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
電荷ブロッキング層は、感光体帯電時に電極(導電性支持体)に誘起される逆極性の電荷が、支持体から感光層に注入するのを防止する機能を有する層である。負帯電の場合には正孔注入防止、正帯電の場合には電子注入防止の機能を有する。電荷ブロッキング層としては、酸化アルミ層に代表される陽極酸化被膜、SiOに代表される無機系の絶縁層、特開平3−191361号公報に記載されるような金属酸化物のガラス質ネットワークから形成される層、特開平3−141363号公報に記載されるようなポリフォスファゼンからなる層、特開平3−101737号公報に記載されるようなアミノシラン反応生成物からなる層、この他には絶縁性の結着剤樹脂からなる層、硬化性の結着剤樹脂からなる層等が挙げられる。中でも湿式塗工法で形成可能な絶縁性の結着樹脂あるいは硬化性の結着樹脂から構成される層が良好に使用できる。電荷ブロッキング層は、その上にモアレ防止層や電荷発生層を積層するものであるから、これらを湿式塗工法で設ける場合には、これらの塗工溶媒により塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが肝要である。
中でも、成膜性、環境安定性、溶剤耐性の点などから、ポリアミドが最も良好に用いられる。
また、整流性のある導電性高分子や、帯電極性に合わせてアクセプター(ドナー)性の樹脂・化合物などを加えて、基体からの電荷注入を抑制するなどの機能を持たせても良い。
モアレ防止層は、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に、感光層内部での光干渉によるモアレ像の発生を防止する機能を有する層である。基本的には、前記書き込み光の光散乱を起こす機能を有する。このような機能を発現するために、モアレ防止層は屈折率の大きな材料を有することが有効である。一般には、無機顔料とバインダー樹脂を含有し、無機顔料がバインダー樹脂に分散された構成からなる。特に、無機顔料の中でも白色の顔料が有効に使用され、例えば、酸化チタン、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどが良好に用いられる。中でも、隠蔽力の大きな酸化チタンが最も有効に使用できる。
バインダー樹脂としては、熱硬化型樹脂が良好に使用される。特に、アルキッド/メラミン樹脂の混合物が最も良好に使用される。この際、アルキッド/メラミン樹脂の混合比は、モアレ防止層の構造及び特性を決定する重要な因子である。両者の比(重量比)が5/5〜8/2の範囲が良好な混合比の範囲として挙げることが出来る。5/5よりもメラミン樹脂がリッチであると、熱硬化の際に体積収縮が大きくなり塗膜欠陥を生じやすくなったり、感光体の残留電位を大きくする方向にあり望ましくない。また、8/2よりもアルキッド樹脂がリッチであると、感光体の残留電位低減には効果があるものの、バルク抵抗が低くなりすぎて地汚れが悪くなる方向になり望ましくない。
また、2種の酸化チタンの混合比率(重量比)も重要な因子である。T2/(T1+T2)が0.2よりも小さい場合には、酸化チタンの充填率がそれほど大きくなく、地汚れ抑制効果が十分に発揮出来ない。一方、0.8よりも大きな場合には、隠蔽力が低下し、モアレを発生させる場合がある。従って、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8であることが重要である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋型電荷輸送層、電荷輸送層、電荷発生層、電荷ブロッキング層、、モアレ防止層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリ(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスファイトなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、導電性支持体上に少なくとも高いキャリア発生効率を有する特定アゾ顔料を含む電荷発生層、電荷輸送層、機械的強度が高く且つ良好な電荷輸送性を有する架橋型電荷輸送層からなる高性能、高耐久な積層型感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。
場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図3に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
本発明は、前記高性能、高耐久な積層型感光体と帯電、現像、転写、クリーニング、除電手段の少なくとも一つを一体化した画像形成装置用プロセスカートリッジを提供するものである。
図4において、符号61C,61M,61Y,61Kはドラム状の感光体であり、感光体61は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化し形成された架橋型電荷輸送層が設けられてなり、電荷発生層には電荷発生物質として前記(XI)式で表されるアゾ顔料を含有してなる。
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
元素分析値を表1に示す。
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
元素分析値を表2に示す。
メトキシ基置換スチルベン化合物(下記構造式C)と二倍当量のナトリウムエタンチオラートとをN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させ、130℃で5時間反応させた。その後、冷却して水に開け、塩酸で中和し、酢酸エチルで目的物を抽出した。抽出液を水洗、乾燥、溶媒留去して粗収物を得た。さらに、シリカゲルによるカラムクロマトグラフにより精製して目的物のヒドロキシ基置換スチルベン化合物(下記構造式D)を得た。このヒドロキシ基置換スチルベン化合物を合成例1のアクリル化と同様にして目的物(例示化合物No.109、黄色針状晶、融点:127.5〜128.5℃、メトキシ基置換体からの収率:78.5%)を得た。
下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い、電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
下記構造のアゾ顔料 5部
シクロヘキサノン 250部
2−ブタノン 100部
分散液作製例1で使用したアゾ顔料を下記構造のものに変更した以外は、分散液作製例1と同様に分散液を作製した(分散液2とする)。
分散液作製例1で使用したアゾ顔料を下記構造のものに変更した以外は、分散液作製例1と同様に分散液を作製した(分散液3とする)。
分散液作製例1と同様に作製した分散液1を、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(有効孔径5μm)で加圧濾過を行ない、分散液を作製した(分散液4とする)。
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成のモアレ防止層用塗工液を浸漬塗工し、130℃で20分間硬化乾燥し3.5μmのモアレ防止層を形成した。このモアレ防止層上に前記電荷発生層用塗工液として分散液1を浸漬塗工し、120℃で20分間乾燥した。なお、電荷発生層の膜厚は、655nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行ない、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、655nmの透過率を評価した。この電荷発生層上に下記組成の電荷輸送層用塗工液を浸漬塗工し、135℃で20分間乾燥し20μmの電荷輸送層を形成した。この電荷輸送層上に下記組成の架橋型電荷輸送層用塗工液をスプレー塗工し、20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え5.4μmの架橋型電荷輸送層用を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
アルキッド樹脂 33.6部
(ベッコライトM-6401-50-S、固形分50%、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 18.7部
(スーパーベッカミン G-821-60、固形分60%、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 84部
(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm)
メチルエチルケトン 100部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1/1である。
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造式の低分子電荷輸送物質(D−1) 7部
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1の電荷発生用塗工液として前記分散液2を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
実施例1の電荷発生用塗工液として前記分散液4を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
実施例1の架橋型電荷輸送層の処方を以下のように変更し、その膜厚を1.6μmとした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 7部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 3部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA、日本化薬製)
分子量:536、官能基数:5.5官能、分子量/官能基数=97
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.109)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1の架橋型電荷輸送層の処方を以下のように変更し、その膜厚を9.5μmとした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1のアルミシリンダー上に、下記処方の電荷ブロッキング層用塗工液を浸漬塗工し、130℃20分間乾燥し1.0μmの電荷ブロッキング層を形成した。この電荷ブロッキング層上に下記処方のモアレ防止層用塗工液を浸漬塗工し、130℃20分硬化乾燥し3.5μmのモアレ防止層を形成した。このモアレ防止層上に、実施例1と同様にして電荷発生層0.3μm、電荷輸送層20μm、架橋型電荷輸送層5.0μmを設け、電子写真感光体を作製した。
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM8000) 4部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 42部
酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均粒径:0.07μm) 42部
アルキッド樹脂 33.6部
[ベッコライトM6401-50-S(固形分50%)、大日本インキ化学工業製]
メラミン樹脂 18.7部
[スーパーベッカミンL-121-60(固形分60%)、大日本インキ化学工業製]
2−ブタノン 100部
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
平均粒径の比:D2/D1=0.28、両者の混合比:T2/(T1+T2)=0.5である。
実施例1の電荷発生層用塗工液として前記分散液3を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液の処方を以下のように変更し、架橋型電荷輸送層の膜厚を5.4μmにした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマー 10部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(和光純薬製)
分子量:226、官能基数:2官能、分子量/官能基数=113
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液の処方を以下のように変更し、架橋電荷輸送層の膜厚を5.5μmにした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(下記構造) 10部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液の処方を以下のように変更し、架橋型電荷輸送層の膜厚を4.7μmにした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 20部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液の処方を以下のように変更し、架橋型電荷輸送層の膜厚を5.1μmにした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 20部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液の処方を以下のように変更し、架橋型電荷輸送層の膜厚を5.2μmにした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
ラジカル重合性官能基を有さない低分子電荷輸送物質(D−1) 10部
(電荷輸送素に用いられている低分子電荷輸送物質)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
実施例1の電荷輸送層を設けず電荷発生層上に直接架橋型電荷輸送層を設け、その架橋型電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
実施例1の架橋型電荷輸送層を設けず、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
上記のように10万枚複写試験を行った実施例1、3、6の感光体を同様な装置に組み込み、帯電ローラ印加電圧を調整し暗部電位−700V、−900V、−1100Vで白紙画像を出力した。この画像の地肌部の汚れを測定し、ほとんど汚れが無く良好なものを「VG」、少し汚れがあるが使用上問題ないものを「G」、汚れがあり使用不可能なものを「NG」とした。その結果を表4に示す。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 架橋型電荷輸送層
61C,61M,61Y,61K 感光ドラム
62C,62M,62Y,62K 帯電部材
63C,63M,63Y,63K レーザー光
64C,64M,64Y,64K 現像部材
65C,65M,65Y,65K クリーニング部材
66C,66M,66Y,66K 画像形成要素
68 給紙ローラ
69 レジストローラ
71C,71M,71Y,71K 転写ブラシ
72 定着装置
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード
Claims (26)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成されており、且つ該電荷発生層が電荷発生物質として下記(XI)式で表されるアゾ顔料を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記アゾ顔料の平均粒子サイズが0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が5μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用して電荷発生層を塗工したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層の膜厚が1μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層の膜厚が2μm以上、8μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の一種以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層の硬化手段が加熱手段又は光エネルギー照射手段であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記導電性支持体と電荷発生層の間に、電荷ブロッキング層、モアレ防止層を順次積層したことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷ブロッキング層が絶縁性材料からなり、その膜厚が2.0μm未満であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真感光体。
- 前記絶縁性材料がポリアミドであることを特徴とする請求項14に記載の電子写真感光体。
- 前記モアレ防止層が無機顔料とバインダー樹脂を含有し、両者の容積比が1/1〜3/1の範囲であることを特徴とする請求項13〜15の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂が熱硬化型樹脂であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
- 前記熱硬化型樹脂がアルキッド/メラミン樹脂の混合物であることを特徴とする請求項17に記載の電子写真感光体。
- 前記アルキッド樹脂とメラミン樹脂の混合比が、5/5〜8/2(重量比)の範囲であることを特徴とする請求項18に記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が酸化チタンであることを特徴とする請求項16〜19に記載の電子写真感光体。
- 前記酸化チタンが平均粒径の異なる2種類の酸化チタンであり、一方の酸化チタン(T1)の平均粒径(D1)とし、他方の酸化チタン(T2)の平均粒径を(D2)とした場合、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項20に記載の電子写真感光体。
- 前記酸化チタン(T2)の平均粒径(D2)が、0.05μm<D2<0.2μmであることを特徴とする請求項21に記載の電子写真感光体。
- 前記平均粒径の異なる2種の酸化チタンの混合比率(重量比)が、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8であることを特徴とする請求項21又は22に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜23のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜23のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜23のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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