JP2006112947A - 物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定方法 - Google Patents
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Abstract
より迅速かつ簡便に、物質が有するホスホリピドーシス誘発能力を検定する方法等を提供すること。
【解決手段】
物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定方法において、
(1)接着性培養細胞に被験物質を接触させる第一工程、
(2)前記接着性培養細胞を蛍光プローブで染色する第二工程、
(3)前記接着性培養細胞の蛍光強度を測定する第三工程、
(4)第三工程により測定された蛍光強度と対照における蛍光強度とを比較することにより得られる差異に基づき前記物質のホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量を評価する第四工程、
を有することを特徴とする検定方法等。
【選択図】 なし
Description
物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定方法に関しては、主として実験動物に被験物質を投与して得られた試料(例えば、臓器等)の形態学的検索、特に透過型電子顕微鏡で特徴的なミエリン様構造の出現を指標として検出する方法が古くから用いられている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、被験物質が投与された実験動物より得られた尿中のメガリン結合リガンド(megalin binding ligand)を定量することにより、ホスホリピドーシス誘発能力が検定できることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また最近では、浮遊性培養細胞を用いてホスホリピドーシス誘発能力を検出する法法も報告されている(例えば、非特許文献3及び非特許文献4参照)。
1.物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定方法において、
(1)接着性培養細胞に被験物質を接触させる第一工程、
(2)前記接着性培養細胞を蛍光プローブで染色する第二工程、
(3)前記接着性培養細胞の蛍光強度を測定する第三工程、
(4)第三工程により測定された蛍光強度と対照における蛍光強度とを比較することにより得られる差異に基づき前記物質のホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量を評価する第四工程、
を有することを特徴とする検定方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
2.物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定のための試薬としての、接着性培養細胞の使用;
3.物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定のための試薬であって、接着性培養細胞を含有することを特徴とする試薬;
4.前項1記載の方法により検定された、物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量に基づきホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質を選抜する工程を有することを特徴とするホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質の探索方法;
5.前項1記載の方法により検定された、物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量に基づきホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質若しくはその薬学的に許容される塩を有効成分として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなることを特徴とする低ホスホリピドーシス誘発性に係る低毒性薬;
等を提供するものである。
本発明方法において用いられる接着性培養細胞は、培養器材底面に接着して初めて生存・増殖できるような細胞であれば特に限定されるものではなく、例えば、種々の臓器由来である初代培養細胞や株化細胞等の接着性培養細胞をあげることができる。
接着性培養細胞と被験物質との接触時間として、例えば、1日間以上を、好ましくは1日間以上14日間以内をあげることができる。当該接触系における保温温度としては、例えば、10℃〜40℃程度を、好ましくは20℃〜40℃程度をあげることができる。
本発明方法の第一工程における接触系内での接着性培養細胞の密度としては、例えば、1×103cell/cm2〜1×105cell/cm2程度で、好ましくは3×103cell/cm2〜3×104cell/cm2程度をあげることができる。
前記接着性培養細胞と蛍光プローブとの接触時間としては、例えば、5分間程度以上を、好ましくは約5分間以上約60分間以内をあげることができる。前記接着性培養細胞と蛍光プローブとの接触保温温度としては、例えば、約5℃以上約30℃以下を、好ましくは約10℃以上約25℃以下をあげることができる。
本発明方法の第二工程における前記培養細胞の濃度としては、例えば、1×103cell/cm2〜1×105cell/cm2程度で、好ましくは3×103cell/cm2〜3×104cell/cm2程度である。
本発明方法において、測定された蛍光強度(率)と対照における蛍光強度(率)とを比較する場合には、異なる2種以上の物質のうち、少なくとも一つの物質がホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質(例えば、溶媒、バックグランドとなる試験系溶液等のネガティブコントロールであってもよい。)とすることで、他方の被験物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量を評価してもよいし、また前記異なる2種以上の物質のうち、少なくとも一つの物質(例えば、基準物質等のポジティブコントロール)が有するホスホリピドーシス誘発能力を基準としながら他方の被験物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量を評価してもよい。もちろん両者で評価してもよい。
選抜されたホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質若しくはその薬学的に許容される塩は、低毒性薬の有効成分として用いてもよい。当該有効成分を薬学的に許容される担体中に製剤化することにより、低毒性薬を製造することができる。
また、上記のホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質は、当該物質の薬学的に許容される塩の水和物等の溶媒和物の形で低ホスホリピドーシス誘発性に係る低毒性薬の有効成分として利用してもよい。
大日本製薬(株)から購入したヒト肝由来の接着性培養細胞株HepG2を使用した。当該接着性培養細胞を培養器材からトリプシン-EDTA(0.05% トリプシン、0.53mM EDTA・4Na)を用いて細胞懸濁液として回収した。回収された細胞懸濁液を低速遠心(1,000×g、3分間)することにより沈殿を得て、これを10mLの下記の培養液に懸濁した。
このようにして調製された細胞懸濁液の中の細胞の数をトリパンブルー染色により計数した後、当該細胞懸濁液を下記の培養液を用いて1.4×105cell/mLに希釈した。希釈された細胞懸濁液を96ウエルプレート(Iwaki)に撒いた後(100μL/ウエル)、これを37℃、5%CO2存在下で3日間培養することにより、細胞を接着させた。
・Fetal Bovine Serum 50mL
・MEM非必須アミノ酸溶液(10mM)5mL
・MEMピルビン酸ナトリウム溶液(100mM) 5mL
・ペニシリン(10,000U/mL)-ストレプトマイシン(10,000μg/mL)5mL
このようにして、本試験に用いる接着性培養細胞を調製した。
このようにして調製された被験物質含有培養液を、上記で調製された接着性培養細胞に添加した後、さらに37℃、5%CO2存在下で7日間培養を続けることにより、前記接着性培養細胞と前記被験物質とを接触させた。
培養終了後、培養液を廃棄し、当該接着性培養細胞を1.25%グルタール・アルデヒド液で室温、20分間固定した。リン酸緩衝食塩水(以下、PBSと記すこともある。)で2回洗浄した後、蛍光プローブとしてニールレッド(Nilered)染色液(20μg/mL)を用いて、室温、遮光下で1時間染色した。染色後、前記接着性培養細胞をPBSで2回洗浄した。このようにして得られた接着性培養細胞の蛍光強度(Exitation:485nm、Emmision:635nm)を、蛍光吸光マイクロプレートリーダー(スペクトラフルオ、和光純薬)を用いて測定した。また測定結果から下記の式に従って蛍光強度率を算出した。算出された値について、陰性対照群と被験物質処理群との間で有意差検定(Bartlettの等分散検定を行い、有意でない場合にはDunnettの多重比較検定を、有意な場合にはSteelの多重比較検定)を行った。その結果を図1に示した。
Claims (5)
- 物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定方法において、
(1)接着性培養細胞に被験物質を接触させる第一工程、
(2)前記接着性培養細胞を蛍光プローブで染色する第二工程、
(3)前記接着性培養細胞の蛍光強度を測定する第三工程、
(4)第三工程により測定された蛍光強度と対照における蛍光強度とを比較することにより得られる差異に基づき前記物質のホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量を評価する第四工程、
を有することを特徴とする検定方法。 - 物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定のための試薬としての、接着性培養細胞の使用。
- 物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の検定のための試薬であって、接着性培養細胞を含有することを特徴とする試薬。
- 請求項1記載の方法により検定された、物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量に基づきホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質を選抜する工程を有することを特徴とするホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質の探索方法。
- 請求項1記載の方法により検定された、物質が有するホスホリピドーシス誘発能力の有無又はその程度若しくはその量に基づきホスホリピドーシス誘発能力を有さない物質若しくはその薬学的に許容される塩を有効成分として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなることを特徴とする低ホスホリピドーシス誘発性に係る低毒性薬。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009044846A1 (ja) | 2007-10-04 | 2009-04-09 | Kyushu University, National University Corporation | 薬物誘発性リン脂質症の予測方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2003102593A1 (en) * | 2002-05-31 | 2003-12-11 | Pfizer Products Inc. | Methods for avoiding renal injury |
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WO2003102593A1 (en) * | 2002-05-31 | 2003-12-11 | Pfizer Products Inc. | Methods for avoiding renal injury |
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