JP2006112894A - 水素ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒膜に金属酸化物および金属窒化物を添加させることによって、触媒膜の膜厚を薄くすることなしに、触媒膜が検知膜の保護を行い、且つ、ガス感度が高いガスセンサを提供する。
【解決手段】特定のガス分子を解離させ、且つ、検知膜20の保護を行う触媒膜30と、前記解離されたガスイオンにより、電気抵抗率が変化する検知膜と、前記触媒膜30と検知膜20の合成抵抗を測定する一対の電極とを備えるガスセンサにおいて、前記触媒膜30は、触媒材料に金属酸化物または金属窒化物を添加させことにより、触媒膜30の電気抵抗を高くして、ガス感度を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】特定のガス分子を解離させ、且つ、検知膜20の保護を行う触媒膜30と、前記解離されたガスイオンにより、電気抵抗率が変化する検知膜と、前記触媒膜30と検知膜20の合成抵抗を測定する一対の電極とを備えるガスセンサにおいて、前記触媒膜30は、触媒材料に金属酸化物または金属窒化物を添加させことにより、触媒膜30の電気抵抗を高くして、ガス感度を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、特定のガス分子を触媒膜により解離し、前記解離されたガスイオンによって検知膜の電気抵抗が変動する特性を利用したガスセンサに関し、触媒膜の膜厚を薄くすることなしにガス感度が高く、信頼性の高い水素ガスのガス漏れを検知する水素ガスセンサに関する。
最近、新たなクリーンエネルギーの実用化に向けさまざまな技術開発が進められている。その中で水素ガスは、潜在的に豊富な燃料であり、環境負荷が少ないといった利点がある反面、爆発性が高く(爆発下限界濃度4%)、危険性の高いガスであることから、水素ガス利用に対する最優先課題として、システムを安心して利用するための安全対策に欠かせない水素ガスのガス漏れを検出する水素ガスセンサの要求も高まっている。
従来、電気抵抗の変化を利用した水素ガスセンサにおいては、電気絶縁性基板と、前記基板の一方の面上に設けられた一対の電極と、前記電極を覆うように形成された検知膜と、前記検知膜を覆うように形成された、触媒膜より構成されている。
動作原理としては、はじめに、触媒膜表面にて、水素ガス分子を選択的に解離させ、解離された水素分子(解離された水素分子は以下プロトンとする)を触媒膜中に拡散する。そして、プロトンは触媒膜をとおして検知膜中に拡散させ、水素化物を形成する。検知膜にプロトンが拡散する量によって、検知膜の電気抵抗が変動し、その電気抵抗の変動を一対の電極により触媒膜と検知膜の合成抵抗を測定することで水素ガスの検知を行っている。
これらの電気抵抗の変化を利用したガスセンサは大きく2つに分けられる。
(1)検知膜の電気抵抗が水素ガスによって水素化することで、低抵抗から高抵抗に変化するガスセンサ、(2)検知膜の電気抵抗が水素ガスによって水素化することで、高抵抗から低抵抗に変化するガスセンサに分けられる。
(1)検知膜の電気抵抗が水素ガスによって水素化することで、低抵抗から高抵抗に変化するガスセンサ、(2)検知膜の電気抵抗が水素ガスによって水素化することで、高抵抗から低抵抗に変化するガスセンサに分けられる。
実際には、検知膜の電気抵抗が水素ガスによって水素化することで、低抵抗から高抵抗に変化するガスセンサでは、基板上にニッケル/ジルコニウム(Ni/Zr)を20nmから数μm設け、その上にパラジウム(Pd)の触媒膜を極めて薄く、5から50nmであるのが適当であり、好ましくは5から15nmで設けたものであり、パラジウム(Pd)膜によって水素ガスを選択的に選択し、パラジウム(Pd)膜の表面で水素ガス分子を解離して、ニッケル/ジルコニウム(Ni/Zr)の中に拡散する。これにより、ニッケル/ジルコニウム(Ni/Zr)膜中に拡散したプロトンの量によって、電気抵抗が変動し、その変動した電気抵抗より水素ガスの検知を行っている。(特許文献1)
また、上記と同様に検知膜の材料を変えて、検知膜に3価の金属(スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、等)を含有する検知膜を100から1000nm設け、その上にパラジウム(Pd)またはニッケル(Ni)を含有する触媒膜を2から25nm設けたガスセンサもある。(特許文献2)
また、検知膜の電気抵抗が水素ガスによって水素化することで、高抵抗から低抵抗に変化するガスセンサでは、検知膜に酸化タングステン(WO3)膜を300nm設け、その上に触媒膜である白金(Pt)またはパラジウム(Pd)膜を1から10nm程度アイランド状に設けたガスセンサもある。(特許文献3)
また、検知膜である金属酸化物上に触媒膜として白金(Pt)とアルミナ(Al2O3)を添加したものを焼成法にて形成しているガスセンサもある。(特許文献4)
これらについては、触媒膜を厚膜にすると触媒膜の断面積が大きくなり、電気抵抗率と断面積の関係上触媒膜の電気抵抗が小さくなる。そして、検知膜がプロトンによって電気抵抗が変化しても、電極間の電気抵抗は触媒膜と検知膜の並列抵抗の合成抵抗になるため、検知膜の電気抵抗の影響を大きく受け、触媒膜と検知膜の合成抵抗は低くなり、ガス感度の低下の問題を引き起こす。
また、上記と同様に検知膜の材料を変えて、検知膜に3価の金属(スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、等)を含有する検知膜を100から1000nm設け、その上にパラジウム(Pd)またはニッケル(Ni)を含有する触媒膜を2から25nm設けたガスセンサもある。(特許文献2)
また、検知膜の電気抵抗が水素ガスによって水素化することで、高抵抗から低抵抗に変化するガスセンサでは、検知膜に酸化タングステン(WO3)膜を300nm設け、その上に触媒膜である白金(Pt)またはパラジウム(Pd)膜を1から10nm程度アイランド状に設けたガスセンサもある。(特許文献3)
また、検知膜である金属酸化物上に触媒膜として白金(Pt)とアルミナ(Al2O3)を添加したものを焼成法にて形成しているガスセンサもある。(特許文献4)
これらについては、触媒膜を厚膜にすると触媒膜の断面積が大きくなり、電気抵抗率と断面積の関係上触媒膜の電気抵抗が小さくなる。そして、検知膜がプロトンによって電気抵抗が変化しても、電極間の電気抵抗は触媒膜と検知膜の並列抵抗の合成抵抗になるため、検知膜の電気抵抗の影響を大きく受け、触媒膜と検知膜の合成抵抗は低くなり、ガス感度の低下の問題を引き起こす。
そのため、従来においては、触媒膜の膜厚を薄くしたり、触媒膜をアイランド状にしたり、または、触媒が金属酸化物の場合は、白金(Pt)とアルミナ(Al2O3)を焼成法にて形成したりして、触媒膜の電気抵抗を大きくすることによって、触媒膜と検知膜の並列抵抗の合成抵抗に及ぼす触媒膜の影響を小さくし、ガス感度の高い測定を実現していた。
特開平9−145655号公報(第3頁)
特表平10−503858号公報(第2、6、9,10頁)
特開昭60−211348号公報(第2−3頁)
特開平1−250851号公報
しかしながら、従来の方法においては、検知膜が水素化することによって電気抵抗が上昇する材料を使用した場合、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ニッケル・ジルコニウム(Ni・Zr)等を使用した場合、触媒膜の膜厚を薄くすると成膜時に欠陥が多く発生したり、20nm以下の膜厚になると触媒膜は膜にならず縞状に形成されたりするため、触媒膜の欠陥やアイランド状の隙間から酸素が浸透し、これらの検知膜は非常に酸化しやすいため、検知膜の表面が酸化し、触媒膜で解離されたプロトンは水素化物を形成しにくくなり、ガス感度が低下したり、水素ガスの検出できなくなったりする問題がある。
また、検知膜が水素化していない状態では電気抵抗がほぼ無限大で、水素化することによって電気抵抗が低下する材料の場合、即ち、検知膜が金属酸化物材料(例えば、酸化タングステン(WO3)等)を用いた場合、触媒膜を1から10nm程度のアイランド状に成膜したり、焼成法によってポーラス(多孔質)な触媒膜を形成したりするとガス感度は向上するものの、アイランド状の隙間やポーラス(多孔質)の穴から湿度の影響により水が進入し金属酸化膜の表面に吸着するため、ガス感度が低下し正確な測定ができない。また、白金(Pt)とアルミナ(Al2O3)を焼成法にて形成しているが、定量的に示されたものはない。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、触媒膜に金属酸化物および金属窒化物を添加させることによって、触媒膜の膜厚を欠陥が発生したり、アイランド状になるような極限にまで薄くしたりすることなしに、触媒膜が検知膜の保護を行い、且つ、ガス感度が高い水素ガスセンサを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の水素ガスセンサは、一対の電極と、水素ガスを解離して発生されるプロトンを検知する所定の膜厚の検知膜と、当該検知膜の上に積層され水素ガスを解離してプロトンを発生させる触媒膜とを有するガスセンサにおいて、
前記触媒膜を構成する触媒材料に金属窒化物又は金属酸化物のいずれかを添加して前記触媒膜の電気抵抗を増大させた前記触媒膜と、前記触媒膜で発生し拡散されるプロトンを捕獲して水素化物を形成する前記検知膜の合成抵抗を測定することより水素ガス量を検知することを特徴としたものである。
前記触媒膜を構成する触媒材料に金属窒化物又は金属酸化物のいずれかを添加して前記触媒膜の電気抵抗を増大させた前記触媒膜と、前記触媒膜で発生し拡散されるプロトンを捕獲して水素化物を形成する前記検知膜の合成抵抗を測定することより水素ガス量を検知することを特徴としたものである。
以上のように、本発明のガスセンサによれば、触媒膜に金属酸化物または金属窒化物を添加させることによって、触媒膜の膜厚を欠陥が発生したり、アイランド状になるような極限にまで薄くしたりすることなしに、触媒膜が検知膜の保護を行い得る厚さにすることができ、且つ、ガス感度が高い測定を可能とするガスセンサを得ることができる。
以下に、本発明のガスセンサの実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるガスセンサの構成図を示す。
本発明のガスセンサの主な構成要素としては、触媒膜30と、検知膜20と、一対の電極40から構成されているものであって、実際には、図1に示すように電気絶縁性基板10と、前記電気絶縁性基板10の同一基板上に設けられた一対の電極40と、前記電極40を覆うように形成された検知膜20と、前記検知膜20を覆うように形成された触媒膜30で構成されている。また、構造に関しては、図1に限られるものではなく、例えば、図2に示すように電気絶縁性基板10の一方の面上に検知膜20を設け、前記検知膜20上に一対の電極40を設け、前記電極40を覆うように触媒膜30を構成しても良い。
また、図3に示すように電気絶縁性基板10と、前記電気絶縁性基板10の同一基板上に設けられた一対の電極40と、一対の前記電極40間に形成された検知膜20と、前記検知膜20に積層するように形成された触媒膜30で構成しても良い。ガスセンサの形状はこれらの形状にとらわれることなく、一対の電極40間で触媒膜30と検知膜20が積層構造になっており、触媒膜30と検知膜20が一対の電極40間で並列接続される関係(図3)になっている形状であれば良い。なお、図1、図2は、擬似的に並列接続される関係となるものである。即ち、図1では、検知膜20は20nmから1000nmの薄膜であり、電極40は約100nm厚の平面状で触媒膜30と対面し電極間距離が約1mmで、それぞれの膜の長さ方向の抵抗値が支配的となる。また、図2も同様な構造を有し、検知膜20と触媒膜30とは、擬似的に並列接続される関係となる。また、触媒層の厚さは、50nmから500nmである。
実施例1においては、検知膜20が水素化していないとき、触媒膜30より低抵抗であり、検知膜20が水素化することによって電気抵抗が上昇する材料の場合、例えば、3から5族の金属で、さらには、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)等を使用した場合を図1を用いて説明する。
本発明におけるガスセンサが作動する際には、触媒膜30は、水素ガス分子を触媒膜30の表面で解離させプロトンにし、触媒膜30の中に拡散する。プロトンは、触媒膜30を通過して、その下にある検知膜20の中に拡散し、その中で水素化物を形成する。触媒膜30や検知膜20へのプロトンの流れや水素化物の形成は、周囲ガスの水素ガス含有量に依存して、可逆的に変化する。検知膜20の電気抵抗は、検知膜20が水素化したプロトンの含有量によって変化し、周囲ガスに水素ガス含有量が増えるにつれ、電気抵抗が上昇する。その変化した電気抵抗を一対の電極40によって検知することで水素ガスを検出する。
次に、各要素について説明を行う。
はじめに、電気絶縁性基板10は、絶縁性を有するものであれば如何なる材質でも良いが、耐熱性および耐久性の観点からセラミック製とするのが好ましい、特に好ましくは、 Al2O3、SiO2 等が挙げられる。電気絶縁性基板10の厚さは、機械的強度を有する厚さがあればよい。
次に、電気絶縁性基板10上に形成される一対の電極40は、検知膜20および、触媒膜30の電気抵抗を検出するために設置される。電極40の材料としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)の貴金属およびこれらを含む合金から形成されたものであって、電極40の形成方法は、密着性の観点から、スパッタリング法が適している。また、その他の方法として蒸着法、イオンプレーティング法、焼結法等が可能であるがこれ以外の方法で検知膜20を形成しても良い。また、スクリーン印刷等による形成も可能である。
次に、一対の電極40を覆うように形成された検知膜20は、触媒膜30の表面で水素分子が解離され、プロトンが触媒膜30中に拡散し、水素化物を形成することによって、電気抵抗が変化する膜である。そして触媒膜30にて解離されたプロトンが検知膜20で付着して水素化物を形成するが、付着する量が増大すれば電気抵抗が高くなるように変化する材料であれば、如何なる材料でもよい。好ましくは、3から5族の金属である。さらに好ましくは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)または、これらを含む合金から形成されたものである。
以下に検知膜20にランタン(La)の材料を用いた場合を説明する。
検知膜20の膜厚は、電極40から検出される電気抵抗が、触媒膜30と検知膜20の並列抵抗の合成抵抗になるため、水素ガスを付着しない初期時において、触媒膜30の電気抵抗より検知膜20の電気抵抗が小さくなるように設定する。そのため、触媒膜30の膜厚よりも検知膜20の膜厚を厚くする必要がある。実際には、薄膜の成長過程では、一般に、原子対や原子集団を作りながら、表面のより捕獲されやすい場所(原子的な大きさの凹み、角、段など)に捕獲され核を形成する。この核は次々と原子や隣の核の一部あるいは全部と合体して膜を形成していく。このため、10nm程度ではアイランド状の膜を形成し、20nm程度で一様な連続膜を形成する。そのため、今回は、アイランド状にならない膜厚である20nm以上の膜厚であることが好ましい。しかしながら、検知膜20の膜厚が厚くなればなる程、検知膜20の中に拡散する時間がかかり、応答時間が長くなる傾向がある。
好適には、20nmから1000nmの膜厚が望ましい。
検知膜20の形成方法は、密着性の観点から、スパッタリング法が適している。また、その他の方法として蒸着法、イオンプレーティング法等が可能であるがこれ以外の方法で形成しても良い。スパッタリング方においては、純粋な金属のターゲットを用いてアルゴン(Ar)ガスを加えた雰囲気中にて成膜される。
次に、検知膜20を覆うように形成された触媒膜30は、複数のガスが存在する雰囲気中から、水素ガスを選択的に選択し、水素ガスをプロトンに解離して、検知膜20の中に拡散させて、検知膜20へ拡散する膜である。また、検知膜20である3から5価の金属は酸化しやすく、酸化することによって水素化物を形成できなくなり、水素ガスを検知できなくなるため、検知膜20を酸素から保護する役割もある。
触媒膜30の材料は、水素ガスを選択的に選択する触媒材料に金属酸化物および金属窒化物を添加したものであり、触媒材料は、水素ガスを選択的に選択する材料であれば良く、好ましくは白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の一種以上の元素、またはこれらを含む合金から成るものである。好ましくは、パラジウム(Pd)のように水素化物を形成しやすいものでは水素化物を形成すると脆化してしまうため、白金(Pt)のように水素化物を形成しにくいものであることが好ましい。そして、触媒材料に添加する材料は、触媒膜30の電気抵抗率を大きくするために添加するものであって、金属酸化物および金属窒化物のように絶縁性の高い電気抵抗率を示すものを添加するのが好ましい。好ましくは、金属酸化物および金属窒化物の中でも結合の安定なものが良く、例えば、金属酸化物としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)の金属酸化物が上げられる。
また、金属窒化物としては、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)の金属窒化物が上げられる。これらの添加物を触媒材料に金属酸化物または金属窒化物を添加することで触媒膜30の電気抵抗が高くなり、検知膜20の抵抗の変化を検出するガス感度が高くなる。しかしながら、触媒材料に添加される金属酸化物および金属窒化物の添加量は、触媒膜30に金属酸化物および金属窒化物が添加されていないときのガス感度に比べて、ガス感度が高くなるように金属酸化物および金属窒化物を添加する。好ましくは、ガス感度が2倍以上になるように金属酸化物および金属窒化物を添加するのが好ましい。また、その他の効果として、さらに、触媒膜30に水素化物を形成する触媒材料(例えば、パラジウム(Pd))を用いた場合、水素化することによって脆化するが、金属酸化物又は、金属窒化物を添加することで触媒膜30の劣化防止も行う。また、金属酸化物を触媒膜30に添加することによって、触媒劣化の影響を受けにくくする効果もある。
触媒膜30の膜厚は、薄膜の成長過程では、一般に、原子対や原子集団を作りながら、表面のより捕獲されやすい場所(原子的な大きさの凹み、角、段など)に捕獲され核を形成する。この核は次々と原子や隣の核の一部あるいは全部と合体して膜を形成していく。このため、10nm程度ではアイランド状の膜を形成し、20nm程度で一様な連続膜を形成する。また、検知膜20である3から5族の金属は非常に酸化しやすいので、触媒膜20がアイランド状になってしまうとその隙間から酸素が浸透し、検知膜20の表面が酸化し、触媒膜30で解離されたプロトンは水素化物を形成しにくくなり、ガス感度が低下したり、水素ガスの検出できなくなったりしていた。そのため、触媒膜30はアイランド状にならない膜厚である20nm以上の膜厚であることが好ましく、20nm以上の膜厚を有することで、検知膜20の酸化を防止する効果がある。また、さらに好ましくは、触媒膜30の膜厚が50nm以下では欠陥が多くなる傾向があるため、これ以上の膜厚であることが好ましい。しかしながら、触媒膜30の膜厚が厚くなればなる程、電気抵抗の低下や触媒膜30の表面で解離されたプロトンが触媒膜30の中を拡散し、検知膜20の中に拡散するのに時間が長くなるために応答時間が長くなる傾向がある。
好適には、50nmから500nmの厚さが望ましい。
触媒膜30の形成方法は、密着性の観点から、スパッタリング法が適している。また、その他の方法として蒸着法、イオンプレーティング法等が可能であるがこれ以外の方法で触媒膜30を形成しても良い。スパッタリング法においては、多元同時成膜が可能な装置を用い、金属酸化物、または金属窒化物のターゲットと触媒材料のターゲットを用いて、アルゴン(Ar)または、アルゴン(Ar)に窒素系ガス、または酸素を加えた雰囲気中にて成膜される。また、ターゲットには酸化物および窒化物以外の純度の高い金属を用いても良い。そして、触媒膜30に対する金属酸化物、または金属窒化物の添加量を変化させるときは、各ターゲットに印加される電圧によって制御することが可能である。
本発明で言うガス感度とは、ガスセンサの水素濃度が0%の雰囲気中で測定した電気抵抗をR0とし、水素濃度が任意の値の雰囲気中で測定した電気抵抗をRxとしたとき、(Rx−R0)/R0で示されるように、水素濃度を0%から任意の値まで変動させたときの電気抵抗の変化量を水素濃度が0%のときの電気抵抗で割った値を言い、この数値が大きいほど電気抵抗の変化範囲が広く、低い水素濃度からの測定を可能とする。即ち、ガス感度が高い。
図5に、触媒材料に窒化珪素(Si3N4)の金属窒化物を添加し、図1のガスセンサの形状を作成した場合のガス感度の測定を説明する。電気絶縁性基板として、合成石英ガラス(SiO2)を用い、電気絶縁性基板の上にメタルマスクを用いてスパッタ装置によって電極間距離が1mm、幅が30mm、膜厚が100nmの金(Au)電極を形成する。次に電極を覆うように、スパッタ装置にてランタン(La)の検知膜を300nm形成する。次に、検知膜を覆うように、多元同時スパッタ装置にて、白金(Pt)ターゲットとシリコン(Si)ターゲットを用いて、アルゴン(Ar)と窒素(N)の混合ガスを用いて触媒材料である白金(Pt)と窒化珪素(Si3N4)の混合された触媒膜を50nm形成する。
このように作成したガスセンサを用いて触媒膜の触媒材料である白金(Pt)に窒化珪素(Si3N4)の添加量を変化させたときのガス感度を水素ガス濃度1%、10%、100%をそれぞれのガス感度の測定を行った。また、電極間の電気抵抗は、マルチメータを用いて測定を行った。
図5は、各水素ガス濃度の触媒膜への添加量を0重量%のガス感度を1としたときの各添加量のガス感度比を示している。
水素ガス濃度が1%の場合、触媒膜への添加量を0重量%のガス感度と比較して2倍のガス感度が得られるのは、触媒膜への添加量を50から92重量%にしたときである。また、水素ガス濃度が10%の場合、触媒膜への添加量を0重量%の感度と比較して2倍のガス感度が得られるのは、触媒膜への添加量を45から95重量%にしたときである。また、水素ガス濃度が100%の場合、触媒膜への添加量を0重量%の感度と比較して2倍のガス感度が得られるのは、触媒膜への添加量を35から97重量%にしたときである。
図5における測定結果より、水素濃度が1%以下の検出を行う場合、金属酸化物および金属窒化物の添加量を50から92重量%にすることが好ましい。また、水素濃度が10%以下の検出を行う場合、金属酸化物および金属窒化物の添加量を45から95重量%にすることが好ましい。また、水素濃度が100%までの検出を行う場合、金属酸化物および金属窒化物の添加量を35から97重量%にすることが好ましい。また、このときの触媒膜30の電気抵抗率は10-6から101Ωmの範囲内にある。また、触媒膜30に金属酸化物および金属窒化物を入れすぎると水素ガスをプロトンに解離する触媒の表面積が小さくなり、応答時間が長くなる傾向がある。
金属酸化物および金属窒化物を添加することでガス感度が高くなる理由として、図4に示すように、簡単のためガスセンサをひとつの回路として考えると、電極40間5−6で測定される電気抵抗は触媒膜30の電気抵抗Rsと検知膜20の電気抵抗Rkは並列抵抗の合成抵抗(Rs×Rk/(Rs+Rk))と考えられる。実際には、触媒材料に金属酸化物および金属窒化物を添加していない場合、検知膜20が水素化物を形成してないときは、触媒膜30と検知膜20の抵抗が同等の電気抵抗である場合、合成抵抗は触媒膜30または検知膜20の電気抵抗の1/2倍の電気抵抗が得られる。
また、検知膜20が水素化物を形成したときは、検知膜20の電気抵抗が水素化していないものに比べ高くなり、触媒膜30の電気抵抗の方が検知膜20に比べ低い値となるため、合成抵抗は触媒膜30の電気抵抗に近い値が得られる。よって、水素ガス濃度を0から100%まで変動させると、触媒膜30または検知膜20の電気抵抗の1/2倍から触媒膜30の電気抵抗の値程度まで変動することになる。
しかしながら、本発明のガスセンサにおいては、触媒材料に金属酸化物および金属窒化物を添加することで、添加していないものに比べ電気抵抗を高くすることができる。それによって、検知膜20が水素化物を形成してないときは、検知膜20より触媒膜30の電気抵抗が高くなるため、触媒膜30と検知膜20の合成抵抗は、検知膜20の電気抵抗とほぼ等しくなる。即ち、触媒膜30または検知膜20の電気抵抗の1/2倍から触媒膜30の電気抵抗値まで変化することになる。そのため、検知膜20が水素化物を形成したときは、検知膜20の電気抵抗が水素化していないものに比べ相当程度高くなり、触媒膜30の電気抵抗の方が検知膜20に比べ低い値となるため、触媒膜30の電気抵抗に近い値が得られる。よって、水素ガス濃度を0から100%まで変動させると、検知膜20の電気抵抗に近い合成抵抗値から触媒材料に金属酸化物および金属窒化物を添加した触媒膜30の電気抵抗の値程度まで変動することになる。これにより、触媒膜30に添加物を入れてないときと、入れたときとでは、添加物を入れた方が電気抵抗の変動範囲が広がるために、ガス感度が高くなる。
以上のように、検知膜20が水素化していないとき、触媒膜30より低抵抗で、検知膜20が水素化することによって電気抵抗が上昇する材料の場合、触媒膜30へ35から97重量%の金属酸化物または、金属窒化物を添加することによって、触媒膜の膜厚を欠陥が発生したり、アイランド状になるような極限にまで薄くしたりすることなしに、触媒膜が検知膜の保護を行い、且つ、ガス感度が高い水素ガスセンサを可能とする。
本発明の実施例2では、実施例1と同様に図1を用いるが、水素化物を形成したとき、検知膜20の電気抵抗が水素化していないものに比べ低くなる場合を説明する。他の構成は、実施例1と同様である。
本発明におけるガスセンサが作動する際には、触媒膜30は、水素ガス分子を触媒膜30の表面で解離させプロトンにし、触媒膜30の中に拡散する。プロトンは、触媒膜30を通過して、その下にある検知膜20の中に拡散し、その中で水素化物を形成する。触媒膜30や検知膜20へのプロトンの流れや水素化物の形成は、周囲ガスの水素ガス含有量に依存して、可逆的に変化する。検知膜20の電気抵抗は、検知膜20が水素化したプロトンの含有量によって変化し、周囲ガスに水素ガス含有量が増えるにつれ、電気抵抗が減少する。その変化した電気抵抗を一対の電極40によって検知することで水素ガスを検出する。
次に、各要素について説明を行う。
はじめに、電気絶縁性基板10は、絶縁性を有するものであれば如何なる材質でも良いが、耐熱性および耐久性の観点からセラミック製とするのが好ましい、特に好ましくは、 Al2O3、SiO2 等が挙げられる。電気絶縁性基板10の厚さは、機械的強度を有する厚さがあればよい。
次に、電気絶縁性基板10上に形成される一対の電極40は、検知膜20および、触媒膜30の電気抵抗を検出するために設置される。電極40の材料としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)の貴金属およびこれらを含む合金から形成されたものであって、電極40の形成方法は、密着性の観点から、スパッタリング法が適している。また、その他の方法として蒸着法、イオンプレーティング法、焼結法等が可能であるがこれ以外の方法で検知膜20を形成しても良い。また、スクリーン印刷等による形成も可能である。
次に、一対の電極40を覆うように形成された検知膜20は、触媒膜30の表面で水素分子が解離され、プロトンが触媒膜30中に拡散し、水素化物を形成することによって、電気抵抗が変化する膜である。そして触媒膜30にて解離されたプロトンが検知膜20で付着して水素化物を形成するが、付着する量が増大すれば電気抵抗が低くなるように変化する材料であれば、如何なる材料でもよい。好ましくは、好ましくは、チタン(Ti)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉛(Pb)の金属酸化物または、これらの合金から形成されたものである。
検知膜20の膜厚は、触媒膜30の膜厚よりも検知膜20の膜厚は厚くする必要がある。実際には、薄膜の成長過程では、一般に、原子対や原子集団を作りながら、表面のより捕獲されやすい場所(原子的な大きさの凹み、角、段など)に捕獲され核を形成する。この核は次々と原子や隣の核の一部あるいは全部と合体して膜を形成していく。このため、10nm程度ではアイランド状の膜を形成し、20nm程度で一様な連続膜を形成する。そのため、今回は、アイランド状にならない膜厚である20nm以上の膜厚であることが好ましい。しかしながら、検知膜20の膜厚が厚くなればなる程、検知膜20の中に拡散する時間がかかり、応答時間が長くなる傾向がある。
好適には、20nmから1000nmの膜厚が好ましい。
検知膜20の形成方法は、密着性の観点から、スパッタリング法が適している。また、その他の方法として蒸着法、イオンプレーティング法等が可能であるがこれ以外の方法で形成しても良い。また、その他の方法として蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル・ゲル法、沈澱法、水熱法等が可能であるがこれ以外の方法で形成しても良い。また、スパッタリング方においては、純粋な金属のターゲットを用いてアルゴン(Ar)と酸素ガスを加えた雰囲気中にて成膜される。また、ターゲットには酸化金属を用いて行っても良い。
次に、検知膜20を覆うように形成された触媒膜30は、複数のガスが存在する雰囲気中から、水素ガスを選択的に選択し、水素ガスをプロトンに解離して、検知膜20の中に拡散させて、検知膜20へ拡散する膜であり、且つ、検知膜20である金属酸化物は湿度の影響による水が検知膜20の表面に吸着することでガス感度を変動させるため、検知膜20を湿度の影響から保護する役割もある。触媒膜30の材料としては、水素ガスを選択的に選択する触媒材料に金属酸化物および金属窒化物を添加したものであり、触媒材料は、水素ガスを選択的に選択する材料であれば良く、好ましくは白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の一種以上の元素、またはこれらを含む合金から成るものである。好ましくは、パラジウム(Pd)のように水素化物を形成しやすいものでは水素化物を形成すると脆化してしまうため、白金(Pt)のように水素化物を形成しにくいものであることが好ましい。そして、触媒材料に添加する材料は、触媒膜30の電気抵抗率を大きくするために添加するものであって、金属酸化物および金属窒化物のように絶縁性の高い電気抵抗率を示すものを添加するのが好ましい。
さらに好ましくは、金属酸化物および金属窒化物の中でも結合の安定なものが良く、例えば、金属酸化物としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)の金属酸化物が上げられる。また、金属窒化物としては、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)の金属窒化物が上げられる。
このようにすることで、従来においては、触媒膜30はアイランド状に成膜されており、検知膜20だけの電気抵抗で変化するため、ガス感度は良好であるが、検知膜20の湿度の影響により、水が検知膜20の表面に吸着し、ガス感度に影響を与えるため好ましくなかった。そのため、触媒膜30に金属酸化物および金属窒化物を添加することで、ガス感度を保ったまま、触媒膜30の膜厚を厚くすることが可能となる。
触媒材料に添加される金属酸化物および金属窒化物の添加量は、触媒膜30に金属酸化物および金属窒化物が添加されていないときのアイランド状に成膜されたガス感度に比べて、ガス感度が1/10倍以下にならない範囲であると良い。
触媒膜30の膜厚においては、水素ガスを選択的に選択し、且つ、検知膜20を湿度の影響から保護することのできる膜厚があれば良く、さらに、電気抵抗率と膜厚の関係から膜厚を大きくすると電気抵抗が低下するため、膜厚を出来る限り薄くして触媒膜30の電気抵抗が大きくする必要がある。好ましくは、20nmから500nm程度の範囲にあるのが適当である。また、触媒膜の膜厚は、薄膜の成長過程では、一般に、原子対や原子集団を作りながら、表面のより捕獲されやすい場所(原子的な大きさの凹み、角、段など)に捕獲され核を形成する。この核は次々と原子や隣の核の一部あるいは全部と合体して膜を形成していく。このため、10nm程度ではアイランド状の膜を形成し、20nm程度で一様な連続膜を形成するため、膜厚が20nm以上あればよい。例えば金属酸化物である酸化タングステンにおいては、検知膜20が20nm以下の場合、アイランド状の隙間から湿度による水が浸透し、その水が検知膜20に吸着し、ガス感度を変動させる。しかしながら、触媒膜30の膜厚を20nm以上にすることによって、水の影響を低下することが出来るが、膜厚が厚くなればなる程、電気抵抗の低下や触媒膜30の表面で解離されたプロトンが触媒膜30の中を拡散し、検知膜20の中に拡散するのに時間が長くなるために応答時間が長くなる傾向がある。好ましくは、50nmから500nm程度あれば好ましい。
また、触媒膜30に金属酸化物および金属窒化物を添加するその他の効果として、さらに、触媒膜30に水素化物を形成する触媒材料(例えば、パラジウム(Pd))を用いた場合、水素化することによって脆化するが、金属酸化物又は、金属窒化物を添加することで触媒膜30の劣化防止も行う。また、金属酸化物を触媒膜30に添加することによって、触媒劣化の影響を受けにくくする効果もある。
触媒膜30の形成方法は、密着性の観点から、スパッタリング法が適している。また、その他の方法として蒸着法、イオンプレーティング法等が可能であるがこれ以外の方法で検知膜20を形成しても良い。スパッタリング法においては多元同時成膜が可能な装置を用い、金属酸化物、または金属窒化物のターゲットと触媒膜30のターゲットを用いて、アルゴン(Ar)または、アルゴン(Ar)に窒素系ガス、または酸素ガスを加えた雰囲気中にて成膜される。また、ターゲットには酸化および窒化されていない金属を用いても良い。そして、触媒膜30に対する金属酸化物、または金属窒化物の添加量を変化させるときは、各ターゲットに印加される電圧によって制御することが可能である。
図6に、触媒材料である白金(Pt)に窒化アルミ(AlN)の金属酸化物を添加し、検知膜20に酸化タングステン(WO3)を使用し、図1のガスセンサの形状を作成した場合のガス感度の測定を説明する。
使用したガスセンサの形状は、図1と同じ構成のものである。電気絶縁性基板として、アルミナ(Al2O3)を用いた。次に電気絶縁性基板の上にメタルマスクを用いてスパッタ装置によって電極間距離が0.5mm、幅が30mmの金(Au)電極を形成する。次に電極を覆うように、スパッタ装置にて酸化タングステン(WO3)の検知膜を500nm形成する。次に、検知膜を覆うように、多元同時スパッタ装置にて、白金(Pt)ターゲットとアルミ(Al)ターゲットを用いて、アルゴン(Ar)と窒素(N)の混合ガスを用いて触媒材料である白金(Pt)と窒化アルミ(AlN)の触媒膜を50nm形成する。このように作成したガスセンサを用いて触媒膜の触媒材料である白金(Pt)に窒化アルミ(AlN)の添加量を変化させたときの水素ガス濃度10%のガス感度の測定を行った。
各水素ガス濃度の窒化アルミ(AlN)の添加量を変化させたときの実験結果を図6に示す。図6は、酸化タングステン(WO3)の検知膜に触媒膜をアイランド状に成膜した時のガスセンサのガス感度を1としたときの各添加量のガス感度比の変化を示している。
検知膜に酸化タングステンのような高い電気抵抗率を示す金属酸化物を用いた場合、酸化タングステン(WO3)の検知膜に触媒膜をアイランド状に成膜した時のガスセンサのガス感度に対して90%のガス感度を実現するのは、触媒への添加量が92から99.5重量%のときである。触媒への添加量が92重量%以下になると、ガス感度比はさらに低下し続ける。
これ以外に触媒材料である白金(Pt)に酸化アルミ(Al2O3)を用いても同様の結果が得られた。また、応用としては、金属酸化物としては、シリコン(Si)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)の金属酸化物が上げられる。また、金属窒化物としては、シリコン(Si)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)の金属窒化物が使用可能である。
以上のように、水素化物を形成したとき、検知膜20の電気抵抗が水素化していないものに比べ低くなる場合、触媒膜30へ92から99.5重量%の金属酸化物または、金属窒化物を添加することによって、触媒膜の膜厚を欠陥が発生したり、アイランド状になるような極限にまで薄くしたりすることなしに、触媒膜が検知膜の保護を行い、且つ、ガス感度が高い水素ガスセンサを可能とする。
本発明にかかるガスセンサは、触媒膜に金属酸化物または金属窒化物を添加させることによって、触媒膜の膜厚を薄くすることなしに、触媒膜が検知膜の保護を行い、且つ、ガス感度の高い測定を可能とし、水素ガス以外のガスセンサとしても有用である。
10 電気絶縁性基板
20 検知膜
30 触媒膜
40 電極
Rs 触媒膜の電気抵抗
Rk 検知膜の電気抵抗
20 検知膜
30 触媒膜
40 電極
Rs 触媒膜の電気抵抗
Rk 検知膜の電気抵抗
Claims (15)
- 一対の電極と、水素ガスを解離して発生されるプロトンを検知する所定の膜厚の検知膜と、当該検知膜の上に積層され水素ガスを解離してプロトンを発生させる触媒膜とを有するガスセンサにおいて、
前記触媒膜を構成する触媒材料に金属窒化物又は金属酸化物のいずれかを添加して前記触媒膜の電気抵抗を増大させた前記触媒膜と、
前記触媒膜で発生し拡散されるプロトンを捕獲して水素化物を形成する前記検知膜の合成抵抗を測定することより水素ガス量を検知することを特徴とする水素ガスセンサ。 - 前記検知膜は、前記触媒膜で発生し拡散されるプロトンを捕獲して水素化物を形成すると電気抵抗が上昇することを特徴とする請求項1に記載の水素ガスセンサ。
- 前記検知膜は3族から5族の金属またはこれらを含む合金からなることを特徴とする請求項2に記載の水素ガスセンサ。
- 前記触媒膜の材料は白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の元素、またはこれらを含む合金から成ることを特徴とする請求項3に記載の水素ガスセンサ。
- 前記金属酸化物はアルミニウム(Al)、シリコン(Si)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)の金属酸化物またはこれらを含む合金から成る群から選択することを特徴とする請求項4に記載の水素ガスセンサ。
- 前記金属窒化物はシリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)の金属窒化物またはこれらを含む合金から成る群から選択することを特徴とする請求項4に記載の水素ガスセンサ。
- 前記触媒材料が白金(Pt)である場合に、該白金(Pt)に対し窒化珪素(Si3N4)の添加量を35重量%から97重量%であることを特徴とする請求項6に記載の水素ガスセンサ。
- 前記検知膜が水素化物を形成しないときの検知膜の電気抵抗値は、前記触媒膜の電気抵抗値より小さいことを特徴とする請求項3に記載の水素ガスセンサ。
- 前記検知膜は、前記触媒膜で発生し拡散されるプロトンを捕獲して水素化物を形成すると電気抵抗が減少することを特徴とする請求項1に記載の水素ガスセンサ。
- 前記検知膜はチタン(Ti)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉛(Pb)の金属酸化物またはこれらの合金から成る群から選択することを特徴とする請求項9に記載の水素ガスセンサ。
- 前記触媒膜の材料は白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の元素、またはこれらを含む合金から成ることを特徴とする請求項10に記載の水素ガスセンサ。
- 前記金属酸化物はアルミニウム(Al)、シリコン(Si)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)の金属酸化物またはこれらを含む合金から成る群より選択することを特徴とする請求項11に記載の水素ガスセンサ。
- 前記金属窒化物はシリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、の金属窒化物またはこれらを含む合金から成る群より選択することを特徴とする請求項11に記載の水素ガスセンサ。
- 前記検知膜に酸化タングステン(WO3)、前記触媒材料が白金(Pt)である場合に、該白金(Pt)に対し窒化アルミ(AlN)の金属酸化物の添加量を92重量%から99.5重量%であることを特徴とする請求項13に記載の水素ガスセンサ。
- 前記検知膜が水素化物を形成しないときの検知膜の抵抗値は、前記触媒膜の抵抗値に比べ十分に高いことを特徴とする請求項9に記載の水素ガスセンサ。
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-
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