JPWO2008149972A1 - 水素センサー、及びその製造方法 - Google Patents

水素センサー、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明により、基板2と、該基2板上に形成された希土類金属層6に水素透過性金属8を微細分散させた複合検知膜4と、該複合検知膜4上に形成されたセラミックス材料15中に水素透過性金属粒子13を分散してなる保護膜10とを有することを特徴とする水素センサーが開示される。

Description

本発明は、低濃度から高濃度までの水素ガスを検知する水素センサーに関する。比較的低濃度の水素ガスとしては、自動車用燃料電池、家庭用燃料電池等の各種装置から漏れる水素ガスが例示される。比較的高濃度の水素ガスとしては、水素ガスを扱う装置内の水素ガスが例示される。本水素センサーは、これらの各種濃度の水素ガスを検出する用途に利用できる。上記用途以外にも、本水素センサーはハンディタイプの水素ガス警報機や定置タイプの水素ガス警報機、もしくは水素ガス濃度計等に用いる水素センサーにも転用可能である。
水素は、あらゆる産業分野において需要が急増するものと予測されている。このような背景が存在することから、水素ガスの漏れ検知、或いは水素ガスの濃度測定に用いる水素センサーの開発が進められている。
特許文献1に記載されているセンサーは、希土類金属膜と水素とが反応し、この際に変化する電気抵抗を測定することにより、水素ガスを検出する水素センサーである。この水素センサーに用いる希土類金属膜は、繰り返し水素ガスと反応して劣化し、その結果水素センサーの出力は徐々に変動していく。
出力を安定にする為には、水素検知膜の厚さを従来の30nmから50〜100nm、好ましくは100nm以上に増加させる必要がある。希土類金属膜の厚さを100nm以上にする場合、膜厚の増加と共に耐久性は向上するが、一方で、感度、応答性などの初期特性が低下する傾向を示す。センサーの劣化は、水素と反応して抵抗値が変化する際に、希土類金属の体積が増加することに基因する。
上記理由で、耐久性と、感度及び応答性とはトレードオフの関係にある。従って、希土類金属膜厚の調節のみで、耐久性と感度及び応答性との両者を向上させることは難しい。
特許文献2の段落0061には、センサー材料として、希土類金属、その合金、希土類金属にドープした合金が記載されている。しかし、このドーパント成分(銅等)は原子レベルで希土類金属に分散されたもので、ドーパント成分が微細な粒子状に分散されたセンサー材料は開示されていない。
特開2005−274559号公報(特許請求の範囲) 特表2002−535651号公報(段落 0061)
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは非水素成分による有害な影響や水素による劣化を抑制でき、更に、高濃度の水素ガスを繰り返し検出しても検出出力が長期間安定に維持される水素センサー及びその製造方法を提供することにある。
本発明は以下に記載するものである。
〔1〕 基板と;該基板上に形成された複合検知膜であって、この複合検知膜は希土類金属層と前記希土類金属層に微細分散させた水素透過性金属粒子とからなる複合検知膜と;該複合検知膜上に形成された保護膜であって、この保護膜はセラミックス材料と前記セラミックス材料に分散してなる水素透過性金属粒子とからなる保護膜と;を有することを特徴とする水素センサー。
〔2〕 複合検知膜の厚さが5〜1000nmであり、保護膜の厚さが5〜100nmである〔1〕に記載の水素センサー。
〔3〕 希土類金属がイットリウム(Y)、セリウム(Ce)及びランタン(La)よりなる群から選ばれる少なくとも1種で構成される〔1〕に記載の水素センサー。
〔4〕 希土類金属中の水素透過性金属の含有割合が1〜25質量%である〔1〕に記載の水素センサー。
〔5〕 水素透過性金属が、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)及びタンタル(Ta)よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる〔1〕に記載の水素センサー。
〔6〕 セラミックス材料がIVa,Va,VIa族の窒化物又は酸化物である〔1〕に記載の水素センサー。
〔7〕 セラミックス材料が、AlNX1、AlOX2、SiNX3及びSiOX4(但し、0.5≦X≦1.0、0.8≦X≦1.5、0.7≦X≦1.3、1≦X≦2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種で構成される〔1〕に記載の水素センサー。
〔8〕 水素透過性金属と希土類金属とを同時に気相成長させ又はスパッタリングすることにより、基板の表面上に希土類金属中に水素透過性金属粒子を微細分散させた複合検知膜を形成させ、次いで複合検知膜の上に水素透過性金属とセラミックス材料とを同時に気相成長させ又はスパッタリングすることによりセラミックス材料中に水素透過性金属粒子を分散してなる保護膜を成膜する〔1〕に記載の水素センサーの製造方法。
前述のように、水素ガスを長期間繰り返し検出する際のセンサー出力の安定性を高める為に、従来は水素検知膜を100nm以上に厚くした。この場合はセンサーの応答時間は長くなる。本発明の水素センサーは、検知膜に水素透過性金属粒子を配合する複合検知膜を採用している為、水素検知膜の厚さを100nm以上にしても応答時間が短く、かつ感度が高い。
本複合検知膜は、希土類金属に水素透過性金属粒子が分散されている構造を持つ為、保護膜と複合検知膜との界面付近に水素透過性金属のゆるやかな濃度勾配を形成している。その結果、保護膜から複合検知膜に水素透過性金属の拡散が起きにくくなる。従って、拡散に起因する複合検知膜の性能の劣化が少なくなり、その結果センサーの水素検出出力の低下が起きにくくなる。
本発明の水素センサーの複合検知膜は、水素透過性金属粒子をその内部に分散させているので、センサーの応答時間が短い。このため、膜厚を大きくして高濃度水素に対する耐性及び繰返し安定性を高めることが出来る。
本発明の水素センサーの保護膜は水素透過性金属粒子をセラミックス材料中に略均一に分散させている。水素透過性金属粒子が水素を吸収、放出する際の水素透過性金属粒子の体積の増減は、剛性の高いセラミックス材料が受取り、生じる機械的ストレスをセラミックス材料が引受ける。その結果、水素透過性金属粒子は水素化に基因する劣化が少なくなり、保護膜の耐久性が向上する。
本発明の水素センサーに用いる保護膜は、水素ガスの透過性に優れている。しかし、水素以外のガス(例えば窒素、酸素等のガス)はこの保護膜を透過できない。混合ガス中の水素ガスは選択的に保護膜を透過して複合検知膜に到達する。このため、本センサーは水素ガスに対する選択性が高い。
本発明の水素センサーは、保護膜が窒素、酸素、炭化水素等の非水素ガスの透過を阻止する。その結果、非水素ガスによる複合検知膜のセンサーとしての性能の低下を防止する。
本発明の水素センサーは、保護膜中の水素透過性金属と複合検知膜を構成する希土類金属との接触面積が小さいので、水素透過性金属の希土類金属への拡散を低減できる。このため、この拡散に起因する複合検知膜の水素検知性能の経時的低下を防止できる。
本発明の水素センサーは、水素ガスの吸放出に起因する保護膜の劣化を抑制できるので、保護膜の膜厚を極めて薄くできる。その結果、保護膜中を水素ガスが透過し易くなり、Pd単体で構成される従来の厚い保護膜と同等の水素透過能を確保できる。また、保護膜の膜厚が薄いので、保護膜製造に使用する高価な水素透過性金属の使用量が少なくなり、安価に水素センサーを製造できる。
本発明で使用する複合検知膜は希土類金属と水素透過性金属とを同時にスパッタリングする等の成膜工程を用いて容易に作製できる。
図1は、本発明の水素センサーの一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の水素センサーの複合検知膜中のPd濃度を示すEDX分析のチャートである。 図3は、本発明の水素センサーの複合検知膜のX線回折測定結果を示すチャートである。 図4は、Y−Pd系の状態図である。 図5は、高濃度水素に対する本発明の水素センサー出力の繰り返し安定性を示すグラフである。
符号の説明
100 水素センサー
2 基板
4 複合検知膜
6 希土類金属層
8、13 水素透過性金属粒子
10 保護膜
15 セラミックス材料
t4 複合検知膜の厚さ
t10 保護膜の厚さ
以下、本発明につき、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の水素センサーの一例を示す概念図である。図1中、100は水素センサーで、2は基板である。基板2の上面には、複合検知膜4が形成してある。この複合検知膜4は、マトリックスとなる希土類金属層6と、前記希土類金属層6に分散させた微細な水素透過性金属粒子8とからなる。この複合検知膜中の水素透過性金属濃度は、固溶体を形成する濃度範囲よりも小さい水素透過性金属濃度である。従って、この複合検知膜4は、希土類金属層6中に、微細な水素透過性金属粒子8が分散されている構造であることは間違いない。前記複合検知膜4の上面には、保護膜10が形成してある。前記保護膜10は、マトリックスであるセラミックス材料15と、前記セラミックス材料15中に略均一に分散させた多数の水素透過性金属粒子13とからなる。
(複合検知膜)
上記複合検知膜4は、水素検知機能を有する希土類金属を主成分とする。希土類金属としては、イットリウム、セリウム及びランタンより成る群から選ばれる少なくとも1種の金属であることが、水素検知能力に優れるので好ましい。複合検知膜は、例えば、真空雰囲気下で、基板上に希土類金属及び水素透過性金属を気相成長法により成膜することにより製造出来る。又は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、これら金属の同時スパッタリング法で基板2の表面に成膜することにより、複合検知膜を製造できる。
複合検知膜の厚さは、5〜1000nmが好ましい。この厚さが5nm未満の場合、複合検知膜の強度が不足することがある。一方、厚さが1000nmを超えると、製造コストが高くなる。
複合検知膜の厚さは目的に応じて決めることが好ましい。測定する水素ガス濃度が、例えば1容量%未満、特に5000ppm未満の比較的低濃度である場合は、好ましい厚さは100nm未満であり、50nm以下がより好ましく、10〜40nmが特に好ましい。図1中の、t4は複合検知膜4の厚さを示す。このような低濃度の水素ガスを検出する用途としては、例えば水素ガス漏れ検知器を挙げることができる。
測定する水素ガスが、例えば1容量%以上、特に5容積%以上の比較的高濃度の場合は、好ましい複合検知膜の厚さは100nm以上、より好ましくは300nm以上である。高濃度の水素ガスを検出する用途としては、例えば装置内の水素ガス濃度の制御用の水素センサーを挙げることができる。
希土類金属中の水素透過性金属の含有割合は1〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。この含有割合の範囲内において、希土類金属中に水素透過性金属は粒子状に分散している。
(保護膜)
図1に示す保護膜10は、水素透過性金属粒子13がセラミックス材料15中に分散した薄膜である。保護膜中の水素透過性金属粒子の含有割合は30〜70質量%が好ましく、35〜65質量%がより好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。この含有割合が30質量%未満であると、保護膜を透過する水素ガス量が不足し、水素ガスを複合検知膜に供給する性能が不十分になる。一方、この含有割合が70質量%を超えると、保護膜の水素化に伴う保護膜の劣化が顕著となる。更に、複合検知膜に対する水素透過性金属の拡散移行が顕著となり、その結果複合検知膜の水素検知性能の低下が著しくなる。
水素透過性金属粒子の含有割合が70質量%を超える保護膜は、その膜厚を薄くすると、保護膜の機械的強度が不十分になる。このため、耐久性の高い5〜40nmの膜厚の保護膜を製造することが困難になる。
水素透過性金属粒子13の粒子径は1〜10nmで、2〜6nmが好ましい。かつ、粒子径は保護膜10の厚さt10よりも小さい。
保護膜を構成する水素透過性金属粒子としては、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)及びタンタル(Ta)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなる粒子が好ましい。保護膜に含有される水素透過性金属粒子と複合検知膜に含有される水素透過性金属粒子とは同一元素であることが好ましい。水素透過性金属粒子は上記金属の合金であっても良い。これらのうちPd、及びPdの合金が特に好ましい。
水素透過性金属粒子13は、単体金属元素の粒子としてセラミックス材料中に分散させても良く、前記合金の粒子として分散させても良い。水素透過性金属の合金は、従来から水素透過膜に用いられている合金が使用できる。例えば、合金元素としては、カルシウム、鉄、銅、バナジウム、ニッケル、チタン、クロム、ジルコニウム等を挙げることができる。
保護膜は、前記複合検知膜の表面にセラミックス材料と水素透過性金属とを同時に気相成長させる方法、或いは同時にスパッタリングする方法を用いて、成膜することができる。
セラミックス材料がAlNxである保護膜を成膜する場合は、成膜材料にAl金属と水素透過性金属とを用い、窒素ガスの雰囲気下で成膜する。セラミックス材料がAlOxである保護膜を成膜する場合は、成膜材料にAl金属と水素透過性金属とを用い、酸素ガスの雰囲気下で成膜する。セラミックス材料がSiNx、やSiOxである保護膜を成膜する場合は、成膜材料としてAl金属に替えて珪素を用いる以外は上記AlNx、AlOxの場合と同様にして成膜する。
保護膜の成膜に際しては、例えば、アルミニウムターゲットの上に、アルミニウムターゲットよりも小面積のPdチップを載置した複合ターゲットを用いる。先ず、前記複合ターゲットの上方に、検知膜と複合ターゲットとを互いに対向させて、検知膜を形成した基板を取付ける。この状態で、複合ターゲットをスパッタすることにより、基板表面に形成した検知膜を覆って保護膜を成膜出来る。スパッタはアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で行う。この方法により、Pd(水素透過性金属)とAlNX1(セラミックス材料)との混合物(分散物)からなる保護膜を、上記複合検知膜の上面に成膜することができる。
上記保護膜の厚さは5〜100nmが好ましく、10〜60nmがより好ましく、15〜30nmが特に好ましい。保護膜の厚さが5nm未満の場合は、複合検知膜に対して有害な、窒素、酸素、アンモニア、炭化水素等の非水素成分が検知膜に到達することを十分に阻止できないことがある。一方、厚さが100nmを超える場合は、水素透過能が不足する。その結果、水素ガス濃度の測定精度が不足することがある。或いは、応答時間が長くなることがある。更に、製造コストの低減効果が少なくなる。
尚、Pdは水素ガスと他のガスとの分離能が高いので、水素透過性金属としてPdを用いる場合は、保護膜の厚さを特に薄くできる。
保護膜は、1層で構成しても良く、2層以上で構成しても良い。保護膜を2層以上で構成する場合、各層の厚さは4〜40nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。尚、保護膜が2層以上の場合、その組成が同一であっても良く、異なるものであっても良い。
保護膜を2層で構成する場合、検知膜に近い1層目がPd+AlNx、検知膜から遠い2層目がPd+AlOxの構成の保護膜が例示できる。外界に接する方にPd+AlOx膜を設けることにより、耐水蒸気性の向上を図ることが出来る。更に、Pd+AlOx膜を成膜する場合は、酸素雰囲気中で成膜する必要がある。しかし、水素検知膜上に直接Pd+AlOxを成膜すると、検知膜が酸化され、劣化する。従って、上記2層構成の保護膜を成膜する場合は、上記順序に2層の保護膜を形成することが好ましい。
(セラミックス材料)
図1に示すように、水素透過性金属粒子を分散しているマトリックス層は、セラミックス材料15で構成される。セラミックス材料としては、アルミニウム(Al)又は珪素(Si)の窒化物、及び/又は酸化物、或いは希土類金属の珪化物が好ましい。これらのセラミックス材料のうち、AlNx、AlOx、SiNx、SiOx(但し、0.5≦x≦1、0.8≦x≦1.5、0.7≦x≦1.3、1≦x≦2)が好ましい。
他のセラミックス材料としては、IVa、Va、VIa族金属元素の窒化物、又は酸化物が好ましい。セラミックス材料の具体例としては、TiN0.3−3.5、ZrN0.3−2.5、HfN0.3−2.5、VN0.3−2.5、NbN0.3−2.5、TaN0.8−2、CrN0.5−3、MoN0.5−3、WN0.5−3等の窒化物や、TiO0.5−3、ZrO1−3、HfO1−3、VO0.5−3、NbO0.5−3、TaO1−3、CrO0.5−5、MoO1−4、WO1−4等の酸化物が挙げられる。
これらの内でも、窒化物としては、TaN0.8−2、TiN0.3−2.5、ZrN0.3−2.5、HfN0.3−2.5、WN0.5−3等が好ましい。酸化物としては、HfO1−3、TiO0.5−3、TaO1−3、WO1−4等が好ましい。
また、希土類金属の珪化物として、イットリウム(Y)、ランタン(La)等の珪化物を挙げることができる。
これらのセラミックス材料のうち、AlNxは、硬度が高く、強度が大きいので、保護膜中の水素透過性金属粒子が水素化する際の、水素透過性金属の粉化を効果的に抑制でき、特に好ましい。
(水素センサーの製造方法)
本発明の水素センサーは、基板の少なくとも片面に気相成長法又はスパッタリング法により複合検知膜4を形成させ、次いで該複合検知膜4の上面に気相成長法又はスパッタリング法により保護膜10を成膜することで製造できる。
基板には、ガラス板、セラミックス板、サファイア、石英形結晶、シリコン、シリコンナイトライドセラミックス等を用いることができる。基板のセンサー形成面の反対面には、加熱ヒーターを設けることが好ましい。加熱ヒーターは、プラチナ、酸化ルテニウム、銀−パラジウム合金等の薄膜で基板表面に所定のパターンを形成してなる薄膜抵抗体が好ましい。
尚、図1においては説明の簡略化の為に、複合検知膜4の側面は外界に暴露されている状態が示されているが、実際には何らかの遮蔽層が形成され、外界と遮断されていることが好ましい。或は、該側面も保護層で被覆されていることが好ましい。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
2軸以上のカソードを持つスパッタリング装置を用いて図1に示す本水素センサーを作製した。希土類金属ターゲットにYを、水素透過性金属ターゲットにPdを使用した。装置内にアルゴンガスを導入し、圧力9.3×10−1Pa、基板温度を室温に保ち、2つのターゲットを同時スパッタリングして厚さ1μmの複合検知膜4を石英基板2の上に形成した。スパッタリング時間は、1430秒間であった。石英基板2の厚さは1.5mmであった。スパッタリング時のYのスパッタリング出力とPdのスパッタリング出力の比は15:2の出力比とした。この場合、Y中のPdの含有割合は15質量%であった。検知膜4の膜厚は、触針式表面形状粗さ測定器を用いて測定した。
次に、パラジウムとタンタルとをターゲットとして使用した。装置内にアルゴンガスと窒素ガス(体積比40:60Pa)とを導入し、圧力9.3×10−1Pa、室温で、スパッタリングを1分間行った。その結果、複合検知膜の上面に厚さ20nmの保護膜が成膜された。成膜された保護膜は、TaNマトリックス内にPdが2〜6nmの粒子径で均一分散されたものであった。保護膜内のPd含有量は45質量%であった。
図2は実施例1で作製した本発明の水素センサーを試料として、その複合検知膜中のPd濃度をEDXで分析して得られた分析結果を示す。
図3は実施例1で作製した本発明の水素センサーを試料として、その複合検知膜をX線回折測定して得られたチャートである。Pdのピークは観察されず、主としてYの多結晶体であることがわかった。また水素化した複合検知膜についてX線回折測定を行った結果、YH(Yの2水素化物)のピークが観察された。
図4はYとPdとの状態図を示す。EDX分析、X線解析測定、状態図から、Y中にPd粒子が微細に分散されている組織を形成していると考えることが出来る。この様な組織を得るには、状態図よりPd濃度が1〜25質量%に限られることがわかる。
実施例2
実施例1と同様に操作して、水素センサーを作製した。但し、同時スパッタリング時間を205秒間として、厚さが144nmの検知膜を得た。
表1に、濃度100%の水素ガスに接触したときの実施例2で作製したセンサーの応答時間の測定結果をしめす。この測定においては、水素センサー素子を150℃に保ち、ノズルで濃度100%の水素ガスをセンサーに吹き付けて、応答時間の測定を行った。
図5は、窒素79体積%と酸素21体積%との混合ガス(水素0体積%)と、水素濃度100体積%のガスとを1セットとし、このガスに実施例2で作製したセンサーを100回繰り返し曝した試験結果を示す。この試験は、高濃度水素に対する水素センサー出力の繰り返し安定性を確認することを目的として行われた。試験結果から、この複合検知膜は耐久性を有することが確認された。
実施例3
実施例1と同様の方法で水素センサーを作製した。但し、検知膜の同時スパッタリング時間を44秒間とし、厚さ30nmの検知膜を得た。
比較例1
厚さが100nmのY単層膜を検知膜とし、この検知膜の上面に実施例1の保護膜と同一保護膜を形成した。その他は、実施例1と同様に操作した。
比較例2
検知膜の厚さが1000nmである以外は、比較例1と同じ水素センサーを作製した。
実施例2のセンサーと比較例1のセンサーの感度、応答時間の比較を行った。表1に示すように、応答時間は比較例1の希土類金属単層膜(100nm)>実施例2の複合検知膜(144nm)であった。
Figure 2008149972
本センサーにおいては、複合検知膜に水素透過性金属が配合されているので、希土類金属内部の水素の拡散が迅速になる。その為、膜全体に水素が容易に拡散する。その結果、水素に対する応答時間の減少、及び複合検知膜が初期状態へ戻る脱水素時間の減少が達成される。
耐久性を高める為に水素検知部を100nm以上の厚さにする場合においても、本発明に係る複合検知膜は、水素透過性金属が配合されている為、応答時間などの初期特性の低下を抑制出来る。

Claims (8)

  1. 基板と;該基板上に形成された複合検知膜であって、この複合検知膜は希土類金属層と前記希土類金属層に微細分散させた水素透過性金属粒子とからなる複合検知膜と;該複合検知膜上に形成された保護膜であって、この保護膜はセラミックス材料と前記セラミックス材料に分散してなる水素透過性金属粒子とからなる保護膜と;を有することを特徴とする水素センサー。
  2. 複合検知膜の厚さが5〜1000nmであり、保護膜の厚さが5〜100nmである請求項1に記載の水素センサー。
  3. 希土類金属がイットリウム(Y)、セリウム(Ce)及びランタン(La)よりなる群から選ばれる少なくとも1種で構成される請求項1に記載の水素センサー。
  4. 希土類金属中の水素透過性金属の含有割合が1〜25質量%である請求項1に記載の水素センサー。
  5. 水素透過性金属が、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)及びタンタル(Ta)よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1に記載の水素センサー。
  6. セラミックス材料がIVa,Va,VIa族元素の窒化物又は酸化物である請求項1に記載の水素センサー。
  7. セラミックス材料が、AlNX1、AlOX2、SiNX3及びSiOX4(但し、0.5≦X≦1.0、0.8≦X≦1.5、0.7≦X≦1.3、1≦X≦2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種で構成される請求項1に記載の水素センサー。
  8. 水素透過性金属と希土類金属とを同時に気相成長させ又はスパッタリングすることにより、基板の表面上に希土類金属中に水素透過性金属粒子を微細分散させた複合検知膜を形成させ、次いで複合検知膜の上に水素透過性金属とセラミックス材料とを同時に気相成長させ又はスパッタリングすることによりセラミックス材料中に水素透過性金属粒子を分散してなる保護膜を成膜する請求項1に記載の水素センサーの製造方法。
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