JP2006112297A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2006112297A
JP2006112297A JP2004299882A JP2004299882A JP2006112297A JP 2006112297 A JP2006112297 A JP 2006112297A JP 2004299882 A JP2004299882 A JP 2004299882A JP 2004299882 A JP2004299882 A JP 2004299882A JP 2006112297 A JP2006112297 A JP 2006112297A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vane
compressor
pressure
supply passage
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004299882A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyuki Yamamoto
信之 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2004299882A priority Critical patent/JP2006112297A/ja
Publication of JP2006112297A publication Critical patent/JP2006112297A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】ベーンロータリー式圧縮機において、高圧側と低圧側の圧力差があり、ガス通路開閉手段が閉じている状態で圧縮機を起動した場合に発生するベーンの不調現象や圧縮不足を防止する。
【解決手段】ベーンスロット8とベーン9後端とで形成されるベーン背圧室10へ圧縮機構で圧縮された流体をシリンダ2内から、ベーン9がアキシャルシール点2dを通過した直後に供給する高圧供給通路11を備えることにより、停止時の圧縮機1の高圧側と低圧側の圧力差がいかなる状態であろうと、圧縮機1の運転時にはアキシャルシール点2dを通過した直後のベーン背圧室10が高圧供給通路11と連通する度に、シリンダ2内の吐出空間2cの圧縮された高圧ガス状流体がベーン背圧室10に供給されるので、吸入工程のベーン9後端が確実に加圧されて押し出される。このため、ベーンチャタリング現象や、流体を圧縮しない圧縮不全を確実に防ぐことができる。
【選択図】図2

Description

本発明はベーンロータリー式圧縮機に関し、特にその起動性に関するものである。
ベーンロータリー式圧縮機として、特許文献1、特許文献2に記載の圧縮機が公知となっている。かかる従来のベーンロータリー式圧縮機においてはロータの回転に伴ってベーンが常時その先端をシリンダ内壁に接して回転摺動運動をするようベーン後端に高圧の潤滑油を圧力差により供給してベーンを押し出し、冷媒ガス等の流体を吸入・圧縮・吐出を行う構造となっている。
カーエアコン用圧縮機の運転状態は、車の低速運転状態、高速運転状態、急加減速状態、また車が長時間放置等された後に、起動される運転状態など様々である。
そのため、様々な運転状態下でのベーン背部圧力を制御するため、起動直後に生じるベーン背圧室内の圧力低下をガス供給通路からの高圧ガス状流体の供給によって防止し、また、定常運転時においてはガス供給通路を遮断し、高圧の潤滑油をベーン背圧室へ供給するよう選択切り替えできるベーン背圧付与装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
また、ベーンの起動性をさらに改善するために特開2001−165078号公報に記載の圧縮機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載のベーンロータリー式圧縮機を図10及び図11に示す。圧縮機101は円筒内壁を有するシリンダ102と、シリンダ102の前後の開口を閉塞する前部側板103、後部側板104および前記後部側板104と併設された高圧ケース105より構成されている。
シリンダ102の内部には、円柱状のロータ106が、その外周の一部をシリンダ102の内壁とアキシャルシール点において最小隙間を形成するように、シリンダ102の軸心から偏芯して回転自在に収容されている。ロータ106には、一体的に形成された駆動軸107が設けられ、この駆動軸107は、前部側板103及び後部側板104に軸支されている。ロータ106にはベーンスロット108がロータ106の接線方向に掘り下げて、等間隔(所定角度毎)に複数設けられている。ベーン109はベーンスロット108内に出没自在に設けられ、ベーンスロット108とベーン109の後端と前部側板103及び後部側板104に囲まれてベーン背圧室110が形成されている。ベーン109の背部圧力を制御するベーン背圧付与装置111が設けられ、ガス供給通路内の第2球体112(本願ではガス通路開閉手段と呼ぶ)を介してベーン背圧室110と吐出弁近傍の作動室113(本願では吐出空間と呼ぶ)とを連通するように、ガス通路114を配設したものである。
この構成によれば、吐出弁近傍の作動室113内の高圧ガス状流体は圧縮機の停止後急激に低圧流体の圧力まで低下するため、ガス通路114とベーン背圧室110は均圧状態となり、第2球体112は開いている。
そのため、圧縮機の起動時には高圧側と低圧側の流体の圧力差がいかなる場合においても吐出弁近傍の作動室113の高圧ガス状流体をガス通路114から第1ガス供給通路115及び第2ガス供給通路116を介してベーン背圧室110へ供給するため、ベーン1
09がシリンダ102の内壁から遊離し、再び衝突するベーンチャタリング現象や、ベーンの突出不良による圧縮不全が防止されている。
特公平7−45877号公報 特開2001−165078号公報
しかしながら、上述した従来の構成では、圧縮機停止後1〜2時間経過してベーン背圧室110に溜まっている潤滑油の温度も下がり、潤滑油に溶け込んでいた流体(冷媒)が抜けて潤滑油の粘度が増大しているような状態で圧縮機を起動すると、第2球体112は高圧ガス状流体で加圧されて瞬時に閉まるので、ベーン背圧室110に高圧ガス状流体が十分供給されないことが稀に発生する。この場合、ベーン背圧室110にベーン109を突出させるに必要な圧力を供給できず、ベーン109がシリンダ102内壁から遊離し再び衝突するベーンチャタリング現象やベーンの突出不良による圧縮不全が稀に生ずるという課題を有していた。
また、ベーン背圧室110と吐出弁近傍の作動室113とを連通するガス通路114と第1ガス供給通路115を合わせた容積が大きくなるため、定常の運転状態でガス通路114と第1ガス供給通路115に溜まっている圧縮された高圧ガス状流体が吐出工程終了後、次の工程の作動室(圧縮空間)へ戻り再膨張して圧縮損失を生じ、圧縮機の効率を著しく損なうという課題があった。
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、圧縮機停止時の高圧側と低圧側の流体の圧力差がいかなる場合においても、また、ベーン背圧室の潤滑油の粘度が増大する圧縮機停止後1〜2時間(季節に応じ変動する)後に圧縮機を起動しても前記ベーン背圧室に高圧ガス状流体を確実に供給し、ベーンがシリンダ内壁から遊離し再び衝突するベーンチャタリング現象や、流体を圧縮しない圧縮不全が起こらず、かつ効率が低下しない圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は流体(冷媒ガス)を吸入・圧縮・吐出する圧縮機構と、圧縮機構はシリンダと常時その外周面の一部がシリンダ内壁とアキシャルシール点において最小隙間を形成する如く回転可能に配置されたロータと、ロータに形成されたベーンスロットと、ベーンスロット内に出没可能なベーンとで構成され、ベーンスロットとベーン後端との間に形成されるベーン背圧室へ圧縮機構で圧縮された流体をシリンダ内から、ベーン先端部がアキシャルシール点を通過した直後に供給する高圧供給通路を備えたものである。
かかる構成により、停止時の圧縮機の高圧側と低圧側の圧力差がいかなる状態であろうと、また、ベーン背圧室の潤滑油の粘度が増大する圧縮機停止後1〜2時間後に圧縮機を起動しても、ベーン先端部がアキシャルシール点を通過した直後のベーン背圧室が高圧供給通路と連通する度に、シリンダ内の圧縮された高圧ガス状流体がベーン背圧室へ直接供給されるので、吸入工程のこれから伸張しようとしているベーン後端に高圧ガスによる圧力が加圧されてベーンが押し出される。このため、ベーンがシリンダ内壁から遊離し再び衝突するベーンチャタリング現象や、ベーンの突出不良による圧縮不全を確実に防ぐことができる。
また、本発明の前記高圧供給通路は、ベーン背圧室へ圧縮機構で圧縮された流体をシリンダ内から、ベーン先端部がアキシャルシール点を通過した直後に供給するように前部側板及び後部側板の両方に形成した溝としたものである。
かかる構成により、停止時の圧縮機の高圧側と低圧側の圧力差がいかなる状態であろうと、また、ベーン背圧室の潤滑油の粘度が増大する圧縮機停止後1〜2時間後に圧縮機を起動しても、ベーン先端部がアキシャルシール点を通過した直後のベーン背圧室が高圧供給通路と連通する度に、シリンダ内の圧縮された高圧ガス状流体が毎回ベーン背圧室の両側から供給されるので、吸入工程の伸張しているベーン後端に加圧されて、より確実に押し出される。このため、ベーンがシリンダ内壁から遊離し再び衝突するベーンチャタリング現象や、ベーンの突出不良による圧縮不全をより確実に防ぐことができる。
さらにベーンを両側から加圧するのでベーンが片側に傾いたりせずスムースに押し出され、起動時に速やかに正常な圧縮状態になる。
また、本発明の高圧供給通路は、ベーン背圧室へ圧縮機構で圧縮された流体をシリンダ内から、ベーン先端部がアキシャルシール点を通過した直後に供給するように前部側板又は後部側板の一方に形成した溝としたものである。これにより、高圧供給通路の容積を極力小さくできる。
かかる構成により、上記と同様な効果に加えて、高圧供給通路に溜まる高圧ガス状流体の再膨張による圧縮損失もほとんど無く、圧縮機の効率を損なうことが無い。
また、本発明の高圧供給通路は通路の一部に絞り部を設けたものである。
かかる構成により、ベーン背圧室が高圧供給通路を過ぎた後に高圧供給通路に溜まっている高圧ガス状流体が、次の工程である圧縮空間に戻り難くなるので、再膨張による圧縮損失をさらに低減することができる。
本発明の圧縮機は、ベーンがシリンダ内壁から遊離し再び衝突するベーンチャタリング現象や、ベーンの突出不良による圧縮不全を確実に防ぐことができるとともに、高圧ガス状流体の再膨張による圧縮損失もほとんど無く、圧縮機の効率を損なうことが無い。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1乃至図2において、圧縮機1は、円筒内壁を有するシリンダ2と、シリンダ2の前後の開口を閉塞する前部側板3、後部側板4および前記後部側板4と併設された高圧ケース5より構成されている。
シリンダ2の内部には、略円柱状のロータ6が、その外周の一部をシリンダ2の内壁とアキシャルシール点2dにおいて最小隙間を形成するようにシリンダ2の軸心から偏心して回転自在に収容されている。ロータ6には、一体的に形成された駆動軸7が設けられ、この駆動軸7は、前部側板3及び後部側板4に軸支されている。ロータ6にはベーンスロット8がロータ6の接線方向に掘り下げて、等間隔(所定角度毎)に複数設けられている。ベーン9はベーンスロット8内に出没自在に設けられ、ベーンスロット8とベーン9の後端と前部側板3及び後部側板4に囲まれてベーン背圧室10の空間が形成されている。また、ベーン9の先端部がアキシャルシール点2dを通過する度に、その通過の直後にベーン背圧室10と前記シリンダ2内の吐出空間2cとを連通する高圧供給通路11を備えている。
高圧供給通路11は図1乃至図3に示すように後部側板4の吐出空間2cに直径3mmの孔を開け、アキシャルシール点2dを通過した直後のベーン背圧室10に連通するように直径3mmの孔を開けて形成している。また、高圧供給通路11はベーンスロット8の回転方向前側の前端縁がアキシャルシール点にあるときを起点として、ロータ回転角度が10度でベーン背圧室10と連通し31度で閉じる。
ここで、ロータ6が図1に示すようにX方向に回転すると、ベーン9はシリンダ2内壁を摺動し、シリンダ2内の空間に、吸入空間2a、圧縮空間2b、吐出空間2cを形成する。吸入孔12がシリンダ2に設けられ、一端は吸入空間2aに開口し、他端は圧縮機1の吸入口13に連通している。また、吐出孔14がシリンダ2に設けられ、吐出空間2cに開口し、吐出バルブ15が設けられている。この吐出孔14と吐出バルブ15は、シリンダ2に2つ並設されている。高圧通路カバー16がシリンダ2の上部に設けられ、吐出空間2cは、吐出孔14を介してこの高圧通路カバー16内の高圧通路17に連通している。後部側板4には連通路18が設けられ、これにより高圧通路17と高圧ケース5とが連通している。
また、後部側板4には、ロータ6に面して、それぞれ吸入空間2a、圧縮空間2b、吐出空間2cを仕切るベーンの各背圧室に潤滑油を供給する円弧状の給油溝19が設けられていると共に、この給油溝19に連通する給油通路20bが設けられている。
高圧ケース5の上方空間5aには高圧ガス状流体が吐出され、その上端には冷凍サイクルの配管(図示せず)が接続されるガス排出孔21が設けられ、高圧ケース5の下部には潤滑油が貯まる油溜り部5bが設けられている。高圧ケース5内下部には給油通路入口20aにストレーナ22が配設され、潤滑油に混じっている異物を除去する。
また、ベーン背圧付与装置50は高圧ケース5内に配置されて後部側板4に固定され、高圧ケース5内の高圧ガス状流体と油溜り部5bに溜まった潤滑油を適宜切り替えて給油通路入口20aより給油溝19へ供給する。
このベーン背圧付与装置50は、図4に示すように、ガス通路開閉手段50Aと、油路開閉手段50Bとを具備している。
ガス通路開閉手段50Aは、一端が高圧ケース5内に開口したガス供給通路入口部50aと、一端がガス供給通路入口部50aに連通した第1ガス供給通路50bと、上下動する第1プランジャ50c、第1プランジャ50cの上下動により開閉する第1球弁50d及び第1弁座50e、第1プランジャ50cの上下動作を調節する第1バイアスばね50f、第1プランジャ50cを収納した第1プランジャ室50gとからなる弁機構と、弁機構の開動作により第1ガス供給通路50bと連通する第2ガス供給通路50hと、第2ガス供給通路50hと給油通路20bとの連通を制御する第2球弁50i、第2弁座50jからなる弁機構と、一端が第1プランジャ室50gに開口し、他端が後部側板4に形成され、シリンダ2内に開口したガス導入路50kより構成されている。ここで、ガス導入路50kは、シリンダ2内において、ロータ6の回転に伴い、前部側板3と後部側板4およびベーン9で形成される空間であって、吸入圧力と同等若しくは吸入圧力よりより若干高い圧力となる部位に開口している。また、第2球弁50iは第2ガス供給通路50hと給油通路20bの差圧によって連通又は遮断を行う。
また、油路開閉手段50Bは、給油溝19内の圧力を取り入れる回路と、油溜り部5b内の圧力を取り入れる回路と、これら両回路からの圧力の差圧によって作動する弁機構とより構成され、具体的には、一端が図3に示す如くシリンダ2内空間の吐出空間2cに極
小面積で開口し、他端が第2プランジャ室50lに連通した高圧導入路50mと、第2プランジャ室50l内を上下動するように収納された第2プランジャ50nと、第2プランジャ室50lに収納され、第2プランジャ50nの上下動作を調節する第2バイアスばね50oと、第2プランジャ50nの上下動により開閉動作を行う第3球弁50p、第3弁座50qからなる弁機構と、第2プランジャ50nにおける動作調節用の第2バイアスばね50oの付勢力を考慮して第3球弁50pを常時第3弁座50qへ押圧する如く付勢する第3バイアスばね50rと、一端が油溜り部5bに連通し、他端が第3球弁50p、第3弁座50qに連通した給油通路入口20aと、第3球弁50p、第3弁座50qを介して給油通路20bに連通する導入路50sとより構成されている。
したがって、第3球弁50p、第3弁座50qが開状態であれば、油溜り部5bに貯まった潤滑油はストレーナ22を通り、給油通路入口20aで潤滑油流量を絞られて、油路開閉手段50Bへ供給され、給油通路20bを介して給油溝19内へ供給される。
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
ここでは、説明の便宜上、停止後1〜2時間経過して均圧する前の、ガス通路開閉手段50Aが開く直前に起動した圧縮機1の運転状態の様子について説明する。
上記構成において、エンジン(図示せず)等の駆動源より駆動軸7に動力が伝達されると、ロータ6が回転し、これに伴ってベーン9も移動する。その結果、吸入孔12から吸入されたガス冷媒は、ベーン9、前部側板3、後部側板4によって形成される吸入空間2aへ流入し、圧縮空間2bから吐出空間2cへ移動し、圧縮された高圧ガス状流体となって吐出孔14から吐出される。
ガス通路開閉手段50Aは閉まっているので、高圧ガス状流体は給油溝19へは供給されないが、吐出空間2cの高圧ガス状流体が、高圧供給通路11を通って、アキシャルシール点2dをベーン先端部が通過した直後のベーン背圧室10へ供給されるので、ベーン9は確実に押し出されシリンダ2内周面に当接して遊離することなく回転する。
一方、油路開閉手段50Bにおいて、プランジャ50nは、高圧導入路50mを介して供給されたシリンダ2内の吐出空間2cの圧力と、給油通路入口20aを介して供給された油溜り部5bの圧力の差圧に委ねて動作している。この場合は、吐出空間2cの圧力が油溜り部5bの圧力より上回っているため、第3球弁50p、第3弁座50qは開放状態にある。
したがって、ベーン背圧室10へは、油溜り部5bの潤滑油がストレーナー22、給油通路入口20a、油路開閉手段50B、給油通路20b、給油溝19を介して供給され始め、これによってベーン9は、ベーン背圧室10より突出する方向に付勢される。
しかしながら、圧縮機停止後1〜2時間が経過してベーン背圧室110に溜まっている潤滑油の温度も下がり、潤滑油に溶け込んでいた流体(冷媒)が抜けて潤滑油の粘度が増大しているような状態で圧縮機を起動すると、油路開閉手段50Bからの給油は起動時の高圧側と低圧側の圧力差が小さく、かつ潤滑油の水頭、粘性および慣性による流れはじめの抵抗が大きいので、供給遅れを生じるが、前述したように、シリンダ2内の吐出空間2cの高圧ガス状流体が、高圧供給通路11を通ってアキシャルシール点2dを通過した直後のベーン背圧室10へ供給されるので、ベーン9を確実に押し出してシリンダ2内周面に当接して遊離することなく回転する。
以上のように本実施形態によれば、ベーン9がシリンダ2内壁から遊離し再び衝突する
ベーンチャタリング現象や、流体を圧縮しない圧縮不足を確実に防ぐことができる。
(実施の形態2)
第2の実施形態における本発明の高圧供給通路11は、ベーン背圧室10とシリンダ2内の吐出空間2cとをベーン9の先端部がアキシャルシール点2dを通過した直後に連通するように、前部側板3及び後部側板4の両方に凹設した溝で形成したものである。
図5は第2の実施形態の圧縮機の断面図を示し、図6のA−A断面図の前部側板3及び高部側板4の両方に高圧供給通路11を設けている。高圧供給通路11の形状を図7に示す後部側板4の正面図で説明すると、高圧供給通路11は吐出空間2c側及びベーン背圧室10側の溝の直径は3mm、深さ0.5mmであり、それを繋ぐ溝幅は3mm、深さ0.5mmである。図6に示すように、ロータ6を挟んで反対側の前部側板3にもこれと同形状の溝が対称に設けられている。また、高圧供給通路11はベーンスロット8の回転方向前側の前端縁がアキシャルシール点にあるときを起点として、ロータ回転角度が10度でベーン背圧室10と連通し31度で閉じる。
以上のように第2の実施形態によれば、アキシャルシール点2dをベーンの先端部が通過した直後のベーン背圧室10が前部側板3及び後部側板4の両方の高圧供給通路11に連通する度に、圧縮されたシリンダ2内の吐出空間2cの高圧ガス状流体が、高圧供給通路11を通ってベーン背圧室10に供給されるので、ベーン9をより確実に押し出してシリンダ2内周面に当接して遊離することなく回転する。
さらにベーン9を両側から加圧するのでベーン9がスムースに押し出され、起動時に速やかに正常な圧縮状態になる圧縮機を提供できる。
さらに圧縮機が停止している際に、高圧ガス状流体に含まれる潤滑油が、後部側板4の高圧供給通路11である凹設された溝に付着し、次の始動時に溝を通過するベーン9側面を潤滑するため、ベーン9側面と前部側板3及び後部側板4間の摩耗を起こし難くし、信頼性の高い圧縮機を提供できる。
(実施の形態3)
第3の実施形態による本発明の高圧供給通路11は、ベーン背圧室10とシリンダ2内の吐出空間2cとをベーン9がアキシャルシール点2dを通過した直後に連通するように、前部側板3又は後部側板4の一方に凹設した溝で形成したものである。
図8に示すように高圧供給通路11は後部側板4に凹設した溝で形成し、前部側板3には高圧供給通路11を設けていない。後部側板4に設けた高圧供給通路11の形状は第2の実施形態のものと同形状であり、高圧供給通路11の容積は約0.02cm3である。第1の実施形態の場合は後部側板4に孔を開けて高圧供給通路11としているが、この容積が約0.4cm3であり、これに比べて高圧供給通路11の容積を極めて小さい設計にすることができる。
以上のように第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、高圧供給通路11に溜まる高圧ガス状流体の容積を極めて小さくすることができるので、高圧ガス状流体の再膨張による圧縮損失もほとんど無く、圧縮機の効率を損なうことがない。
また、前部側板3及び後部側板4はアルミ鋳物で製作しているが、鋳物型に高圧供給通路の溝を形成すれば容易に製作できるので、コストは殆どかからない。
(実施の形態4)
第4の実施形態による本発明の高圧供給通路11は、通路の一部に絞り部を設けたものである。
高圧供給通路11の形状を図9に示す後部側板4の正面図で説明すると、高圧供給通路11は後部側板4に凹設された溝で形成され、溝両端部(吐出空間2c側及びベーン背圧室10側)の溝の直径は3mm、深さ0.5mmであり、それを繋ぐ溝幅は0.5mm、深さ0.5mmと絞り通路としている。これにより、高圧供給通路11の容積は約0.01cm3となり、再膨張による損失がさらに小さくなる。
それに加えて、凹設した溝の一部に絞り部を設けているので、高圧供給通路に溜まっている高圧ガス状流体が、次の工程の圧縮空間2bへ戻り難くなるので、再膨張による圧縮損失をさらに低減することができる。
なお、上記実施形態においては、シリンダが真円状のベーンロータリー式圧縮機で説明したが、シリンダが楕円状でも、吸入口及び吐出口が各々複数ある形式でもよいし、ベーンは何枚あってもよい。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、停止時の圧縮機の高圧側と低圧側の圧力差がいかなる状態であろうと、圧縮機の運転時にはベーンの先端部がアキシャルシール点を通過した直後のベーン背圧室が高圧供給通路と連通する度に、圧縮されたシリンダ内の吐出空間の高圧ガス状流体がベーン背圧室に供給され、吸入工程の伸張しようとするベーン後端が確実に加圧されて押し出されるもので、ベーンロータリー式圧縮機には広く応用されるものである。
本発明の実施の形態1における圧縮機の断面図 本発明の実施の形態1における圧縮機の図1のA−A断面図 本発明の実施の形態1における同圧縮機の後部側板の正面図 本発明の実施の形態1における同圧縮機の背圧付与装置の断面図 本発明の実施の形態2における圧縮機断面図 本発明の実施の形態2における同圧縮機の図5のA−A断面図 本発明の実施の形態2における同圧縮機の後部側板の正面図 本発明の実施の形態3における同圧縮機のA−A断面図 本発明の実施の形態4における同圧縮機の後部側板の正面図 従来例の圧縮機の縦断面図 従来例の圧縮機の側断面図
符号の説明
1 圧縮機
2 シリンダ
2c 吐出空間
2d アキシャルシール点
3 前部側板
4 後部側板
5 高圧ケース
6 ロータ
7 駆動軸
8 ベーンスロット
9 ベーン
10 ベーン背圧室
11 高圧供給通路

Claims (4)

  1. 流体を吸入・圧縮・吐出する圧縮機構と、前記圧縮機構はシリンダと常時その外周面の一部がシリンダ内壁とアキシャルシール点において最小隙間を形成する如く配置されたロータと、前記ロータに形成されたベーンスロットと、前記ベーンスロット内に出没可能なベーンとで構成され、前記ベーンスロットと前記ベーン後端の間に形成されるベーン背圧室へ前記圧縮機構で圧縮された流体をシリンダ内から、前記ベーンの先端部がアキシャルシール点を通過した直後に供給する高圧供給通路を備えたことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記高圧供給通路は前部側板及び後部側板の両方に形成された溝であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記高圧供給通路は前部側板又は後部側板の一方に形成された溝であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  4. 前記高圧供給通路の一部に絞り部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
JP2004299882A 2004-10-14 2004-10-14 圧縮機 Pending JP2006112297A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004299882A JP2006112297A (ja) 2004-10-14 2004-10-14 圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004299882A JP2006112297A (ja) 2004-10-14 2004-10-14 圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006112297A true JP2006112297A (ja) 2006-04-27

Family

ID=36381028

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004299882A Pending JP2006112297A (ja) 2004-10-14 2004-10-14 圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006112297A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS548110U (ja) * 1977-06-20 1979-01-19
JPS55146887U (ja) * 1979-04-09 1980-10-22
JPS6032989A (ja) * 1983-08-03 1985-02-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd ベ−ン型圧縮機のベ−ン背圧制御装置
JP2004052607A (ja) * 2002-07-17 2004-02-19 Calsonic Compressor Seizo Kk 気体圧縮機

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS548110U (ja) * 1977-06-20 1979-01-19
JPS55146887U (ja) * 1979-04-09 1980-10-22
JPS6032989A (ja) * 1983-08-03 1985-02-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd ベ−ン型圧縮機のベ−ン背圧制御装置
JP2004052607A (ja) * 2002-07-17 2004-02-19 Calsonic Compressor Seizo Kk 気体圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4060149B2 (ja) 気体圧縮機
JPS6255487A (ja) 可変容量型ベ−ン圧縮機
JP6071190B2 (ja) 多気筒回転式圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP3792578B2 (ja) 気体圧縮機
JP2006194111A (ja) ベーンロータリ圧縮機
JP2008133810A (ja) 圧縮機
JP2006112298A (ja) 圧縮機
JP2006112297A (ja) 圧縮機
JP2009007938A (ja) ロータリ型圧縮機
JP2006112331A (ja) 圧縮機
JP2004190509A (ja) 気体圧縮機
JP3584703B2 (ja) スライディングベーン式圧縮機
JP3692236B2 (ja) 気体圧縮機
JP4268454B2 (ja) 気体圧縮機及び該気体圧縮機の製造方法
JP2009264350A (ja) ベーンロータリ式圧縮機
JP2014001697A (ja) タンデム式ベーン型圧縮機
JP2004190510A (ja) 気体圧縮機
JP2006177278A (ja) 容量可変型気体圧縮機
JP3752098B2 (ja) 気体圧縮機
JP2004052607A (ja) 気体圧縮機
JP4378970B2 (ja) 圧縮機
JP2001165079A (ja) スライディングベーン式圧縮機とその圧縮機を有する冷凍サイクルを具備した冷凍または冷却装置
JP2005307897A (ja) 圧縮機
JPH10148194A (ja) 気体圧縮機
JPH06123291A (ja) 流体圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071009

RD01 Notification of change of attorney

Effective date: 20071113

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20091120

A977 Report on retrieval

Effective date: 20100311

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100427

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20100622

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101214