JP2006112146A - 防水床構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】隣接する防水床部材を接合して成る防水床の構造に関し、防水床部材の接合部に確実なシール性能を与える。
【解決手段】架台4で支持した防水床部材1,2上に表層材Pを配置し、重ね合わせ領域Rの近傍に補強材Qを配置する。下側の防水床部材2に形成した起立部2a上に上側の防水床部材1の下面を重ね合わせ、上側の防水床部材1に形成した垂下部1aの下端を下側の防水床部材2上面に当接させる。上下の防水床部材1,2の重ね合わせ領域に形成される収納空間Sに、吸水膨潤性シール材20を配置する。水が防水床部材1,2の接合部J内に浸入しようとしても、重ね合わせ領域Rに配置した吸水膨潤性シール材20が即座に水を吸収して体膨張し、接合部Jの隙間を水密的に閉止する。従って、防水床部材1,2から下へは決して水を漏出させることがない。
【選択図】 図9
【解決手段】架台4で支持した防水床部材1,2上に表層材Pを配置し、重ね合わせ領域Rの近傍に補強材Qを配置する。下側の防水床部材2に形成した起立部2a上に上側の防水床部材1の下面を重ね合わせ、上側の防水床部材1に形成した垂下部1aの下端を下側の防水床部材2上面に当接させる。上下の防水床部材1,2の重ね合わせ領域に形成される収納空間Sに、吸水膨潤性シール材20を配置する。水が防水床部材1,2の接合部J内に浸入しようとしても、重ね合わせ領域Rに配置した吸水膨潤性シール材20が即座に水を吸収して体膨張し、接合部Jの隙間を水密的に閉止する。従って、防水床部材1,2から下へは決して水を漏出させることがない。
【選択図】 図9
Description
本発明は、複数の防水床部材または下地材を接合して防水床を構築するための構造に関するものであって、上記防水床部材または下地材の接合部におけるシール性能を向上させることを目的とする。
複数の床部材を接合して防水床を構築する技術は例えば特許文献1に記載されている。同文献1では、洗い場部及び浴槽載置部を構成する複数の分割片をシール材を間に挟んで重ね合わせたのち、重ね合わせた部分を貫通するビスで止めつけることにより、防水床を施工している。
特開平8−120724号公報
特許文献1に記載された前記防水床にあっては、分割片どうしを連結するビスの締め付け強度が不充分であると、重ね合わせ領域から漏水するおそれがある。また、シール性を確実にするには、多数のビスを用い、ビスの配設間隔を短くして、接合強度を増大させることが考えられるが、この場合は作業工数が増えることになるので、施工性が悪くなるという問題を生じさせる。
本発明が、前記従来の問題点を解決するために採用した防水床構造の特徴とするところは、請求項1に記載の如く、隣接する防水床部材を接合することにより構築されるものであって、隣接する防水床部材の接合部に、吸水すると膨潤して接合部の隙間を水密的に閉塞する吸水膨潤性シール材を配置したことにある。
前記において防水床部材は、FRP製が代表的であるが、金属製・合成樹脂製とすることも考えられる。なお防水床部材は、高さ調節が可能な架台に載設されることが多いが、架台と一体に製作される場合もある。また、防水床部材の重ね合わせ領域に配置される吸水膨潤性シール材は、例えば吸水性ポリマーを主体とするものが挙げられる。
前述の防水床構造において、防水床部材の接合部は、請求項2に記載の如く、隣接する防水床部材の一方の上面に、他方の防水床部材の端部を重ね合わせることによって形成する構成が考えられる。
前記防水床構造にあっては、請求項3に記載の如く、上側に位置する防水床部材と下側に位置する防水床部材との重ね合わせ領域に、吸水膨潤性シール材の収納空間を形成し、当該収納空間を前記吸水膨潤性シール材で充填された実質的に閉塞空間とする構成を採用することができる。
前記において、防水床部材の重ね合わせ領域に形成される収納空間は、請求項4に記載の如く、上側に位置する防水床部材に設けた垂下部と、下側に位置する防水床部材に設けた起立部とにより囲まれて形成されるものとすることが考えられる。
この場合、請求項5に記載の如く、収納空間を形成する上側の防水床部材に設けた垂下部又は下側の防水床部材に設けた起立部のいずれか一方を、別体に製作した突条を接合して形成するものとしてもよい。
なお前記収納空間を、請求項6に記載の如く、下側に位置する防水床部材に設けた溝部に、上側に位置する防水床部材に設けた垂下部を挿入することにより形成される上下の防水床部材に囲まれた空間とし、当該収納空間を吸水膨潤性シール材で充填し、前記溝部内の空間における前記収納空間以外の部分はコーキング材で充填する構造も考えられる。
さらにまた、前記収納空間を、請求項7に記載の如く、上下いずれか一方の防水床部材に設けた溝部の開口部を、他方の防水床部材で閉塞することにより形成する構成も考えらる。
本発明に係る防水床構造は、請求項8に記載の如く、隣接する防水床部材を、それぞれの側縁部間に架け渡した防水接合材により接合することにより構築されるものであって、前記防水床部材と防水接合材との重ね合わせ領域に、吸水すると膨潤して接合部の隙間を水密的に閉塞する吸水膨潤性シール材を配置する構成を採用することが可能である。
本発明に係る防水床構造のさらに異なる態様として、請求項9に記載の如く、耐水性を有する複数の下地材を接合し、当該下地材の上に防水シートを重層し、当該防水シートの上に表層材を配置することにより構築されるものであって、隣接する下地材どうしの接合部に、吸水すると膨潤して接合部の隙間を水密的に閉塞する吸水膨潤性シール材を配置する構成も採用可能である。
前記の場合、請求項10に記載の如く、前記防水シートは、表裏面に位置する二つの防水層の間に、吸水すると膨潤する吸水膨潤性材料を挟み込んだ構造としてもよい。
請求項1に記載の防水床構造によれば、防水床部材の接合部へ水が侵入したときに、接合部に配置した吸水膨潤性シール材が、この水を即座に吸収すると同時に体積を膨張させて接合部の隙間を水密的に閉塞する。それ故、接合部からの水の漏出を確実に防ぐので、シール性能に優れた防水床を提供できる。また、接合部の水密性があまり高くなくても。確実な漏水防止機能を発揮するから、施工が容易になる。
請求項2に記載の防水床構造によれば、防水床部材の重ね合わせ領域に吸水膨潤性シール材を配置するので、接合部のシール面積を広く形成することができる。従って、重ね合わせ領域の水密性が高まるので、漏水を確実に防げるシール性能に優れた防水床を提供できる。
請求項3に記載の防水床構造によれば、吸水膨潤性シール材が充填される収納空間を実質的に閉塞空間としたので、吸水膨潤性シール材が吸収して体積膨張を起こす際に、この膨張方向を規制することができる。依って、吸水膨潤性シール材を収納空間の内面へ確実に密着させることができるから、接合部に確実なシール性を付与できる。
請求項4に記載の如く、収納空間を上側に位置する防水床部材に設けた垂下部と下側に位置する防水床部材に設けた起立部とで形成した場合は、上記垂下部及び起立部によって上下の防水床部材それぞれの曲げ強度が増大する。従って、防水床部材が接合部において変形しにくくなるので、シール性能の信頼性が向上する。
請求項5に記載の如く、上側の防水床部材の垂下部又は下側の防水床部材の起立部のいずれか一方を別体に製作した突条で形成する場合は、上下の防水床部材を重ね合わせる寸法の変更に応じ、突条の接合位置を変更することが可能なので、吸水膨潤性シール材の収納空間の寸法・形状を最適な状態に設定できる。
請求項6に記載の防水床構造によれば、吸水膨潤性シール材の収納空間を、下側の防水床部材に設けた溝部に、上側の防水床部材に設けた垂下部を挿入することにより形成するので、重ね合わせ領域の曲げ強度が向上する。しかも、収納空間を吸水膨潤性シール材で充填し、前記溝部内の空間における収納空間以外の部分をコーキング材で充填したので、二重のシール構造となる。従って、シール性能に優れた接合構造を提供できる。
請求項7に記載の防水床構造によれば、吸水膨潤性シール材の収納空間を、上下いずれか一方の防水床部材に設けた溝部の開口部を、他方の防水床部材で閉塞することにより形成する構成を採用したことにより、一方の防水床部材だけに溝部を形成すればよいから、防水床部材の製作コストを節減できる。また、溝部を閉塞する他方の防水床部材は平坦でよいから、重ね合わせ量の調節幅を大きく設定できる。
請求項8に記載の防水床構造は、隣接する防水床部材を、それぞれの側縁部間に架け渡した防水接合材により接合する構成としたので、上記防水接合材の幅寸法を適宜選択することにより、あるいは上記防水接合材を現場で切断することにより、施工する防水床の寸法変更に容易に対処することが出来る。
請求項9に記載の防水床構造によれば、耐水性を有する複数の下地材と防水シートと表層材とで構築される防水床において、万一、防水シートが破損して下地材に漏水が達したとしても、下地材の接合部に配置した吸水膨潤性シール材がこの水を吸収して接合部を水密的に閉塞するから、下地材よりも下方への漏水を確実に防止できる。
なお前記防水床構造において、請求項10に記載の如く、前記防水シートを、表裏面に位置する二つの防水層の間に吸水膨潤性材料を挟み込んだ構造とした場合は、防水シートに破損が生じたときに、内部の吸水膨潤性材料が水を吸収して膨潤することにより破損部を水密的に閉塞する。従って、下方への漏水防止効果が一層向上する。
[第1の実施形態]
図1に、本発明に係る防水床構造の一実施形態を示す。同構造は、浴室・トイレ・洗面所・シャワー室など、室内で水を使用することを想定した箇所の床を施工するのに適用される。本例の防水床Fは、二つの防水床部材1,2、各防水床部材1,2を支持する架台4、防水床部材1,2の上に配置される表層材Pから構成されている。また必要に応じ、美観性・耐摩耗性・表面強度その他の特性を向上させる目的で、表層材Pの上に、タイルTや、樹脂シート・セラミック板等の仕上げ材が配置される。
図1に、本発明に係る防水床構造の一実施形態を示す。同構造は、浴室・トイレ・洗面所・シャワー室など、室内で水を使用することを想定した箇所の床を施工するのに適用される。本例の防水床Fは、二つの防水床部材1,2、各防水床部材1,2を支持する架台4、防水床部材1,2の上に配置される表層材Pから構成されている。また必要に応じ、美観性・耐摩耗性・表面強度その他の特性を向上させる目的で、表層材Pの上に、タイルTや、樹脂シート・セラミック板等の仕上げ材が配置される。
二つの防水床部材1,2は端縁部を重ね合わせて接合されるが、その接合部Jの構造については後述する。上記防水床部材1,2を支持する架台4は、ボルト・ナット等の組み合わせ等よりなる高さ調節脚5で高さ調節可能になされている。従って、防水床部材1,2に、所要の排水勾配を付与することができる。図1に示す例では、上側の防水床部材1から下側の防水床部材2へ向かって下り勾配となる緩斜面に形成されている。
なお本例では、上下の防水床部材1,2を、それぞれ異なる架台4で支持すると共に、下側の防水床部材2を支持する架台4に、上側の防水床部材1の下面に達する張出部4aを設ける構成とした。但し、二つの防水床部材1,2を共通の架台で支持することも妨げない。なお防水床部材1,2と架台4とは、一体形成される場合もある。
前記防水床部材1,2は、耐水性と不透水性とを持つ材質、例えばFRP・金属・合成樹脂で製作される。防水床部材1,2がFRPの場合、その上にタイルを接着剤で直接貼り付けるのは通常困難であるため、タイルとの接着性に優れた表層材Pを配置することが望ましい。このような表層材Pには、例えば、比較的曲げ強度の大きい補強板と、比較的比重が小さく且つ断熱性に優れた発泡板とを接合した板状材(例えばタイルクリート[商品名])が用いられる。タイルクリートでは、上記補強板が、セメントやモルタル等からなる芯材の表面層にガラス繊維ネットや合成樹脂メッシュシートを埋設して強化した板状材であり、発泡板が、ポリスチレン等から成る発泡プラスチック層の表面にガラス繊維ネットで補強したポリマーセメント層を形成したものから成っており、優れた耐水性及び耐荷重強度とを有している。なお、複数のタイルクリート等の表層材Pを並べて配置する場合、表層材Pの接合部には、コーキング材を施すか、又は目止め材を含浸させたメッシュシート30を貼り付けることで隙間を閉塞する。
ところで表層材Pを配置するにあたり、上下の防水床部材1,2に段差を有する場合、重ね合わせ領域の近傍において、下側の防水床部材2上に補強材Qを配置し、その上面が上側の防水床部材1の表面と実質的に同一面レベルとなるようにすることが望ましい。ここで補強材Qとは、耐水性と耐荷重強度とを備えるものであればよく、表層材Pと同じ材質とするほか、FRP・金属・合成樹脂等で製作したものであってもよい。補強材Qを配設したことにより、表層材Pの下面が、上側の防水床部材1と補強材Qとで支持されることになるから、耐荷重強度の大きい防水床を構築できる。
本発明は、2つの防水床部材1,2の接合手段として、図2〜4に示すような接合部Jの構造を採用したところを特色としている。図2(A)は最も基本的な構成を示すものであり、上下の防水床部材1,2の重ね合わせ領域Rに、吸水膨潤性シール材20を配置してある。吸水膨潤性シール材20は、自重の100〜1000倍の水を吸収して体膨張を起こすと共にゲル化する吸水性ポリマーを主体とする。吸水性ポリマーは粒状・繊維状などの形態に加工され、粒状の場合、透水性の袋やケースに収納して、保形性と体膨張の方向性とを与える。繊維状の場合は、棒状・板状に圧縮成形して用いる。また本例では、上側の防水床部材1から下側の防水床部材2へ向かう排水勾配を設けることで接合部Jに排水勾配を付与し、水が浸入しにくくなるようにしてある。
かかる構成により、防水床部材1,2の接合部Jに水が到達すると、吸水膨潤性シール材20が水を吸収すると同時に体膨張して重ね合わせ領域Rを水密的に閉塞する。また図示の如く、吸水膨潤性シール材20の周囲が開放空間であっても、体膨張の方向性を与えておけば、吸水膨潤性シール材20を防水床部材1,2の表面に確実に密着させることができる。従って、図2(A)のように、防水床部材1,2それぞれの平坦な端部を単に重ね合わせただけの接合部Jであっても、優れたシール性能を発揮することができる。しかも本例では、上側の防水床部材1から下側の防水床部材2へ向かう排水勾配を設けたから、重ね合わせ寸法を増減させても、接合部Jの排水勾配が維持される構造なので、防水床Fの寸法変更は、シール性能に悪影響を及ぼさない。
前記接合部Jの構造は、図2(B)に示すように、上側の防水床部材1における端縁に垂下部1aを形成し、この垂下部1aの下端を、下側の防水床部材2上面に当接させ、両者の重ね合わせ領域Rに吸水膨潤性シール材20を配置する構成も可能である。かかる構成によれば、垂下部1aにより上側の防水床部材1の曲げ強度が増大するから、変形が生じにくくなるので、シール性が向上するという利点が得られる。
図3(A)〜(C)は、防水床部材1,2の重ね合わせ領域Rに実質的に閉塞空間となる収納空間Sを形成し、当該収納空間Sに吸水膨潤性シール材20を充填する実施形態を示すものである。同図(A)は、上側の防水床部材1の端縁部に垂下部1aを形成すると共に、下側の防水床部材2の端縁部に起立部2aを形成し、両者を重ね合わせることによって、垂下部1aと起立部2aとで囲まれた収納空間Sを形成したものである。かかる構成によれば、上下の防水床部材1,2の曲げ強度が垂下部1a及び起立部2aにより増大するので、荷重が加わったときに変形が生じにくくなる。よってシール性能が向上する。また収納空間Sが実質的に閉塞空間であるから、粒状の吸水性ポリマーを袋やケースに詰め込まずに直接充填することも可能である。
図3(B)は、上側の防水床部材1の垂下部1aと、下側の防水床部材2上に接合した突条21とで、収納空間Sを形成したものである。本例では、防水床部材1,2の重ね合わせ量が変更されたとしても、突条21の接合位置を適宜設定することにより、収納空間Sの寸法を一定に保つことができるという利点が得られる。あるいは、防水床部材1,2の重ね合わせ寸法にかかわらず、所望寸法の収納空間Sを形成することも可能である。
図3(C)は、下側の防水床部材2に溝部2bを形成し、上側の防水床部材1の垂下部1aをこの溝部2b内に挿入することにより、溝部2bと垂下部1aとで囲まれた収納空間Sを形成したものである。なお、溝部2bにおける収納空間S以外の隙間はコーキング材Kを充填する。本例では、接合部Jがコーキング材と吸水膨潤性シール材20とで二重にシールされるから、優れた漏水防止機能を発揮する。
図4(A)(B)は、上下いずれか一方の防水床部材に溝部を形成し、他方の防水床部材を溝部の開口部に重ね合わせることにより、実質的に閉塞空間となる収納空間Sを形成する実施形態を示すものである。同図(A)は、上側の防水床部材1の端縁部に二つの垂下部1a,1bを形成してその間に溝部1cを形成すると共に、下側の防水床部材2の端縁部を、当該溝部1cに重ね合わせて開口部を閉止することによって収納空間Sを形成したものである。また同図(B)は、下側の防水床部材2に溝部2bを形成すると共に、上側の防水床部材1の端縁部を、当該溝部2bに重ね合わせて開口部を閉止することによって収納空間Sを形成したものである。
本実施形態にあっては、上下いずれか一方の防水床部材1,2の端縁部は平坦であるから、重ね合わせ量の調整代を大きくとることができる。従って、現場における防水床Fの寸法変更に対処するのが容易である。また上下いずれか一方の防水床部材1,2に溝部を形成すればよく、他方の端縁部は平坦なままでよいから、製作コストを抑えられる。
[第2の実施形態]
図5は、隣接する防水床部材1,2を、側縁部間に架け渡した防水接合材22によって接合することにより構築した防水床構造を示すものである。防水接合材22の材質は防水床部材と共通でよいが、異なる材質でも差し支えない。同図(B)に示すように、防水床部材1,2それぞれの接合側端縁部に、段部23,23を設け、この段部23に形成した溝24に吸水膨潤性シール材20を収納する。そして、上記段部23,23間に防水接合材22を架け渡し接着剤・ビス等により接合する。
図5は、隣接する防水床部材1,2を、側縁部間に架け渡した防水接合材22によって接合することにより構築した防水床構造を示すものである。防水接合材22の材質は防水床部材と共通でよいが、異なる材質でも差し支えない。同図(B)に示すように、防水床部材1,2それぞれの接合側端縁部に、段部23,23を設け、この段部23に形成した溝24に吸水膨潤性シール材20を収納する。そして、上記段部23,23間に防水接合材22を架け渡し接着剤・ビス等により接合する。
なお防水接合材22の形状は、図5(C)に示す如く、断面を門構え形状とすることも考えられる。この場合、防水床部材1,2それぞれの端縁部に凹溝25を設け、この凹溝25,25間に上記防水接合材22を架け渡すと共に、内側に吸水膨潤性シール材20を配置する。また、防水接合材22と凹溝25との隙間はコーキング材Kで充填する。
かかる構成の防水床構造は、隣接する防水床部材1,2間に架け渡した防水接合材22の幅寸法を適宜調整することにより、防水床の施工寸法を容易に変更できる。すなわち、幅寸法の異なる防水接合材22を使用することにより、あるいは現場で切断することにより、防水床を所望する寸法に仕上げることが可能である。
[第3の実施形態]
図6は、防水床を、耐水性を有する複数の下地材40と、当該下地材40の上に重層される防水シート50と、当該防水シート50の上に配置される表層材Pとで構築する場合の実施形態を示すものである。すなわち本例は、前述の防水床部材に代えて、下地材40と防水シート50とにより床の防水層を形成するものである。同6(A)に示すように、下地材40は、高さ調節脚5で高さ調節可能になされた架台4上に配設される。下地材4と表層材Pには例えばタイルクリートが使用される。防水シート50には合成樹脂製のものが使用され、繊維補強する場合もある。所望により、表層材Pの上にはタイルTが配設される。
図6は、防水床を、耐水性を有する複数の下地材40と、当該下地材40の上に重層される防水シート50と、当該防水シート50の上に配置される表層材Pとで構築する場合の実施形態を示すものである。すなわち本例は、前述の防水床部材に代えて、下地材40と防水シート50とにより床の防水層を形成するものである。同6(A)に示すように、下地材40は、高さ調節脚5で高さ調節可能になされた架台4上に配設される。下地材4と表層材Pには例えばタイルクリートが使用される。防水シート50には合成樹脂製のものが使用され、繊維補強する場合もある。所望により、表層材Pの上にはタイルTが配設される。
本発明は、複数の下地材40を連接して用いる場合に、その接合部に吸水膨潤性シール材20を配置したところを特色としている。すなわち図6(B)に示すように、隣接する下地材40の一方の接合端面に凸条41を設けると共に、他方の下地材40における接合端面に凹溝42を形成し、上記凸条41と凹溝42を嵌合可能に構成する。そして、凸条41と凹溝42との隙間を吸水膨潤性シール材20で充填する。
あるいは図6(C)に示すように、隣接する下地材40,40それぞれの接合端面に段部43,43を設けると共に、間に吸水膨潤性シール材20を挟んで、両者を重ね合わせる構成も採用可能である。
本例の防水床構造によれば、万一、防水シート50が破損して、下地材40に漏水が及んだとしても、下地材40の接合部に配置した吸水膨潤性シール材20がこの水を吸収して接合部を水密的に閉塞するから、下地材40より下方への漏水を確実に防止できる。
なお前記防水シート50は、図7に示すように、表裏面に位置する二つの防水層51,51の間に、吸水すると膨潤する吸水膨潤性材料52を挟み込んだ構造としてもよい。防水シート50をかかる構造とした場合は、防水シート50に破損が生じたときに、内部の吸水膨潤性材料52が即座に水を吸収して膨潤し、破損部を水密的に閉塞するから、下方への漏水防止効果が発揮される。
[第4の実施形態]
図8に示すように、防水床部材1,2の上に下地材40を配置して防水層を形成する防水床構造も考えられる。下地材40の上に表層材Pが配置され、表層材Pの上にはタイルTが配設される。本例においても、図6に示したような、下地材40の接合部に吸水膨潤性シール材20を配置する構成を採用することにより、漏水防止機能を発揮させることが可能である。
図8に示すように、防水床部材1,2の上に下地材40を配置して防水層を形成する防水床構造も考えられる。下地材40の上に表層材Pが配置され、表層材Pの上にはタイルTが配設される。本例においても、図6に示したような、下地材40の接合部に吸水膨潤性シール材20を配置する構成を採用することにより、漏水防止機能を発揮させることが可能である。
図9及び図10に本発明を浴室の防水床構造に適用した実施例を掲げる。FRP等で製作した二つの防水床部材1,2が架台4で支持され、防水床部材1,2の上にタイルクリート等より成る表層材Pが配置されている。防水床部材1,2を支持する架台4は、ボルト・ナット等の組み合わせ等よりなる高さ調節脚5で高さ調節可能になされている。下側の防水床部材2を支持する架台4には、上側の防水床部材1の下面に達する張出部4aが設けられている。本例では、上下の防水床部材1,2に段差を有しているので、重ね合わせ領域Rの近傍において、下側の防水床部材2上に補強材Qを配置し、その上面が上側の防水床部材1の表面と実質的に同一面レベルとなるように設定した。これにより、防水床部材1,2の上に配置した表層材Pの下面が、上側の防水床部材1と補強材Qとで支持されることになるから、耐荷重強度の大きい防水床を構築できる。
上側に位置する防水床部材1は浴室の洗い場7の一部を構成し、下側に位置する防水床部材2は、洗い場7の残りの部分と浴槽設置部8とを構成する。下側の防水床部材2における洗い場7と浴槽設置部8との境界部分は谷部10となした。すなわち下側の防水床部材2は、洗い場7及び浴槽設置部8のいずれもが、側縁部から谷部10へ向かって下り勾配(X方向の排水勾配:図10参照)となる緩斜面に形成され、全体としてごく緩やかなV字形となっている。また下側の防水床部材2には、谷部10の近傍であって且つ一方の側縁近傍に、洗い場7用と浴槽用の排水口3を二個形成し、両者を親子トラップ3aで連接した。
防水床Fの設置にあたっては、上下の防水床部材1,2に、谷部10と平行な方向(X方向に対し直交する方向)の排水勾配、つまり図10において矢印Yで示す方向の排水勾配を付与することが望ましい。このY方向の排水勾配は、架台4を支える高さ調節脚5の高さ調節をすることによって与えることが可能である。防水床Fに、前記X方向の排水勾配とY方向の排水勾配とを与えることにより、両者を合成したZ方向の排水勾配が設けられる。
防水床部材1,2の接合構造は、図9(B)に示すとおりである。すなわち、下側の防水床部材2における端縁に形成した起立部2a上に、上側の防水床部材1の下面を重ね合わせる。他方、上側の防水床部材1における端縁に垂下部1aを形成し、この垂下部1aの下端を、下側の防水床部材2上面に当接させ、両者間をコーキング材Kでシールする。さらに、上下の防水床部材1,2の重ね合わせ領域に形成される収納空間Sに、吸水膨潤性シール材20を配置する。また、下側の防水床部材2を支持する架台張出部4a上に支持部6を設け、この支持部6を上側の防水床部材1の下面に接着剤9で固定する。
かかる構成の防水床Fは、表層材Pに落ちた水が防水床部材1,2に達して、接合部J内に浸入しようとしても、重ね合わせ領域Rに配置した吸水膨潤性シール材20が即座に水を吸収して体膨張し、接合部Jの隙間を水密的に閉止する。従って、防水床部材1,2から下へは決して水を漏出させることがない。
しかも上記に加えて本実施例では、防水床部材1,2の重ね合わせ領域Rに排水勾配を付与したから、接合部Jに水が浸入しにくくなっている。その上、万一、接合部Jを水が通過したとしても、起立部2aがその水を堰き止めるから、防水床F外部への漏水防止が確実になっている。さらに、上側の防水床部材1に垂下部1aを形成し、下側の防水床部材2に起立部2aを形成したことにより、重ね合わせ領域Rの曲げ強度が向上しているから変形が生じにくく、よってシール性能の維持が容易である。
F…防水床 K…コーキング材 J…接合部 P…表層材 Q…補強材 R…重ね合わせ領域 S…収納空間 T…タイル(仕上げ材) 1…防水床部材(上) 1a…垂下部 2…防水床部材(下) 2a…起立部 2b…溝部 3…排水口 4…架台 5…高さ調節脚 7…洗い場 8…浴槽設置部 10…谷部 20…吸水膨潤性シール材 21…突条 22…防水接合材 40…下地材 50…防水シート
Claims (10)
- 隣接する防水床部材を接合することにより構築される防水床の構造であって、隣接する防水床部材の接合部に、吸水すると膨潤して接合部の隙間を水密的に閉塞する吸水膨潤性シール材を配置したことを特徴とする防水床構造。
- 前記防水床部材の接合部が、隣接する防水床部材の一方の上面に、他方の防水床部材の端部を重ね合わせることによって形成されている請求項1に記載の防水床構造。
- 上側に位置する防水床部材と下側に位置する防水床部材との重ね合わせ領域に、前記吸水膨潤性シール材の収納空間が形成され、当該収納空間は前記吸水膨潤性シール材で充填された実質的に閉塞空間である請求項2に記載の防水床構造。
- 前記防水床部材の重ね合わせ領域に形成される収納空間は、上側に位置する防水床部材に設けた垂下部と、下側に位置する防水床部材に設けた起立部とにより囲まれて形成されている請求項3に記載の防水床構造。
- 前記収納空間を形成する上側の防水床部材に設けた垂下部又は下側の防水床部材に設けた起立部のいずれか一方が、別体に製作した突条を接合して形成したものである請求項4に記載の防水床構造。
- 前記防水床部材の重ね合わせ領域に形成される収納空間は、下側に位置する防水床部材に設けた溝部に、上側に位置する防水床部材に設けた垂下部を挿入することにより形成される上下の防水床部材に囲まれた空間であって、当該収納空間が前記吸水膨潤性シール材で充填され、前記溝部内の空間における前記収納空間以外の部分はコーキング材で充填されている請求項3に記載の防水床構造。
- 前記防水床部材の重ね合わせ領域に形成される収納空間は、上下いずれか一方の防水床部材に設けた溝部の開口部を、他方の防水床部材で閉塞することにより形成したものである請求項3に記載の防水床構造。
- 隣接する防水床部材を、それぞれの側縁部間に架け渡した防水接合材により接合することにより構築される防水床の構造であって、前記防水床部材と防水接合材との重ね合わせ領域に、吸水すると膨潤して接合部の隙間を水密的に閉塞する吸水膨潤性シール材を配置したことを特徴とする防水床構造。
- 耐水性を有する複数の下地材を接合し、当該下地材の上に防水シートを重層し、当該防水シートの上に表層材を配置することにより構築される防水床の構造であって、隣接する下地材どうしの接合部に、吸水すると膨潤して接合部の隙間を水密的に閉塞する吸水膨潤性シール材を配置したことを特徴とする防水床構造。
- 前記防水シートは、表裏面に位置する二つの防水層の間に、吸水すると膨潤する吸水膨潤性材料を挟み込んだ構造である請求項9に記載の防水床構造。
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Cited By (2)
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JP2013514473A (ja) * | 2009-12-17 | 2013-04-25 | ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ | 建物用パネルの表面形成に関する方法及び構成 |
CN111765440A (zh) * | 2020-06-04 | 2020-10-13 | 贺小鹏 | 一种全新的端口防水结构 |
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2004
- 2004-10-15 JP JP2004301414A patent/JP2006112146A/ja active Pending
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