JP2006111836A - 生分解性オフセットインキ - Google Patents
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Abstract
【課題】全ての組成が天然樹脂であり生分解性を優れ、印刷物の物性も良く脱墨性も良いオフセット用のインキを提供する。
【解決手段】ポリ乳酸、ロジン、乾性油ワニスの3つの成分を、150℃〜300℃に加熱し調整する。乾性油は亜麻仁油、桐油、ごま油、ナタネ油、綿実油等が用いられる。
【選択図】 無し
【解決手段】ポリ乳酸、ロジン、乾性油ワニスの3つの成分を、150℃〜300℃に加熱し調整する。乾性油は亜麻仁油、桐油、ごま油、ナタネ油、綿実油等が用いられる。
【選択図】 無し
Description
本発明は、パンフレット、カレンダー、ポスター、書籍、ラベル等の印刷用のオフセットインキに関するものである。
オフセット印刷は、カラーの再現性、印刷のシャープさ、版作製の容易さから、非常に広範囲に使用される印刷方式である。従来のオフセットインキは、亜麻仁油に代表される乾性油と合成樹脂と石油系溶剤とからなるタイプ(油性オフセットインキ)並びにモノマーとオリゴマーと光開始剤からなるタイプ(UV硬化オフセットインキ)が通常である。
従来のオフセットインキは、その成分上、石油系溶剤を使用し、石油から合成された樹脂を用いていた。そのため貴重な石油資源の無だ使いであるとともに、生分解性も無かった。環境保全の観点から、石油系溶剤を大豆油に置き換えるインキ(ソイインキ)が、最近注目されているが、100%天然資源で構成されているわけではない。
また、生分解性を有するポリ乳酸を用いたインキ組成物の開発も行われている。例えば特開2002−356640には、ポリ乳酸を用いたインキ組成物が開示されているが、溶剤としてトルエンやIPA、酢酸エチル等の有機溶剤を用いており、トータルとして環境に優しいとは言えないインキである。
また、生分解性樹脂を用いたインキのほとんどがグラビア印刷方式のインキであり、日本で最も多く用いられているオフセット印刷用のインキは未だ開発されていない。
また、森林資源の保護の観点から紙のリサイクルが進められている。しかし、インキの脱墨が容易でないため、リサイクル過程で脱墨工程、漂白工程が行われており、エネルギーの浪費とコストUPとなっている。
このような現状にかんがみ、生分解性の樹脂よりなるオフセット印刷を開発する事である。特に、顔料以外の樹脂成分は全て天然樹脂から構成されるオフセットインキを開発する事である。
さらに、紙のリサイクルの妨げとなっている、脱墨を容易にすることである。
そこで、本発明者らは、種々の生分解性を有する天然樹脂成分の組め合わせを検討し、本発明を完成するに至った。
本発明の請求項1に係る生分解性オフセットインキは、ポリ乳酸、ロジン、乾性油ワニスの3つの天然樹脂成分から成ることを特徴とするものである。
また本発明の請求項2に係る生分解性オフセットインキは、請求項1において乾性油ワニスが、亜麻仁油、桐油、ゴマ油、ナタネ油、綿実油、大豆油の1種または、それぞれの組合せから成ることを特徴とするものである。
また請求項3に係る生分解性オフセットインキは、請求項1においてポリ乳酸、ロジン、乾性油ワニスの3つの天然樹脂成分を、加熱処理をして調整することを特徴とするものである。
さらに、請求項4に係る生分解性オフセットインキは、請求項1においてアルカリ処理により、容易にインキが紙より脱離することを特徴とするものである。
本発明に係るインキ組成は、ポリ乳酸、乾性油ワニス、ロジン、各種顔料を含むものである。
本発明は、インキ組成物の製造方法としては、従来の公知の方法であれば、特に限定されない。好ましくは3成分を混合後加熱処理を行うことで調製することができる。
本発明に係るインキ組成物における上記各成分の配合量は、ポリ乳酸100重量部に対してインキ顔料を1〜1000重量部、アマニ油ワニスを1〜2000重量部、ロジンを1〜2000重量部配合するのが好ましい。
より好ましくは、ポリ乳酸100重量部に対してインキ顔料を2〜500重量部であり、アマニ油ワニスを2〜1500重量部、ロジンを2〜1500重量部である。
使用する乾性油ワニスには、アマニ油、桐油、ゴマ油、大豆油、綿実油等の1種またはそれぞれの組み合わせで調整することができる。
また、混合時の加熱処理の温度は150℃〜300℃が好ましい。より好ましくは、170℃〜200℃で加熱処理すると良い。
本発明のインキ組成物は、例えば、ポリ乳酸フィルム等の生分解性フィルムを基材とした印刷ラベル、特に紙用の生分解性インキとして広く用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1三井住友化学製ポリ乳酸(d体=ca.20%)50重量部、東新油脂製アマニ油ワニス(3号)25重量部、ロジン25重量部をフラスコ中に仕込み、攪拌しながら温度を200℃まで上昇させて6時間攪拌調製し最後に顔料を練り込み試作インキ(I)を得た。
実施例1三井住友化学製ポリ乳酸(d体=ca.20%)50重量部、東新油脂製アマニ油ワニス(3号)25重量部、ロジン25重量部をフラスコ中に仕込み、攪拌しながら温度を200℃まで上昇させて6時間攪拌調製し最後に顔料を練り込み試作インキ(I)を得た。
実施例2三井住友化学製ポリ乳酸(d体=ca.20%)33重量部、東新油脂製アマニ油ワニス(3号)42重量部、ロジン25重量部をフラスコ中に仕込み、攪拌しながら温度を180℃まで上昇させて5.5時間攪拌調製し最後に顔料を練り込み試作インキ(II)を得た。
実施例3三井住友化学製ポリ乳酸(d体=ca.20%)30重量部、東新油脂製アマニ油ワニス(3号)43重量部、ロジン27重量部をフラスコ中に仕込み、攪拌しながら温度を180℃まで上昇させて6時間攪拌調製し最後に顔料を練り込み試作インキ(III)を得た。
上記実施例で得たインキを用い、オフセット印刷機で紙上に印刷し、性能(接着性試験、鉛筆硬度試験、耐熱試験、アルカリ試験)評価を実施した。
比較例として、市販のオフセットインキの酸化重合タイプ(比較例1)並びに、UV硬化タイプ(比較例2)を用いた。
比較例として、市販のオフセットインキの酸化重合タイプ(比較例1)並びに、UV硬化タイプ(比較例2)を用いた。
結果を表1に示す。
評価方法
(1)接着性試験(JIS57012準拠)
1)準備:印刷後100時間の試験片を6枚、ビニールテープ(24mm)、セロファンテープ(24mm)、ガムテープ(紙と布、ビニール)を準備する。
2)操作:3mmの余白を残し、インク面にテープを3mm貼り付ける。
:3回指でこすり接着する。
:15時間室温中で放置する。
:45度方向より急激に引き剥がす。
3)評価:接着面を剥離して、抵抗力、損傷状態を3段階で評価する。
1級:引き離すとき、抵抗がなくインク面にも変化がない。
2級:引き離すとき、抵抗がありインク面に少し変化あり。
3級:引き離すとき、抵抗が大きくインク面の変化が大きい。
(2)鉛筆硬度試験(JISK5400準拠)
1)準備:印刷100時間後の試験片を6枚、9Hから6Bまでの硬度の鉛筆を準備する。
2)操作:先の尖った鉛筆で表面を3回ずつこする。
3)評価:表面に傷のついた鉛筆を記入する。
(3)耐熱試験
1)準備:印刷100時間後の試験片を6枚、温度制御機能付きアイロン、ガラス棒を準備する。
2)操作:アイロンを200℃に加熱する。
:資料台の上にアイロン面を置き、アイロンを3回前後に動かす。
3)評価:アイロン表面にインクが付着するかどうかを判定する、
(4)アルカリ試験
1)準備:印刷後100時間後の試験片を6枚準備する。
:(0.1、0.4、1.0、4.0%)水酸化ナトリウム水溶液それぞれにつき、50ml使用する。
:穴あき銅版(10×5mm)を6枚準備する。
:キャップ付サンプル瓶(100ml)を6本準備する。
:撹拌機能付恒温装置(60℃)を準備する。
2)操作:1)サンプルを銅版に固定する。
:2)恒温装置を60℃一定にする。
:3)サンプル瓶に50mlに水酸化ナトリウム水溶液とサンプルを入れ、密栓する。
3)判定:1時間浸漬後のサンプル片からのインク脱離状態を観察する。
尚、比較用オフセットインキとして市販の酸化重合タイプ、UV硬化型タイプに対しても同様の試験を実施した。
評価方法
(1)接着性試験(JIS57012準拠)
1)準備:印刷後100時間の試験片を6枚、ビニールテープ(24mm)、セロファンテープ(24mm)、ガムテープ(紙と布、ビニール)を準備する。
2)操作:3mmの余白を残し、インク面にテープを3mm貼り付ける。
:3回指でこすり接着する。
:15時間室温中で放置する。
:45度方向より急激に引き剥がす。
3)評価:接着面を剥離して、抵抗力、損傷状態を3段階で評価する。
1級:引き離すとき、抵抗がなくインク面にも変化がない。
2級:引き離すとき、抵抗がありインク面に少し変化あり。
3級:引き離すとき、抵抗が大きくインク面の変化が大きい。
(2)鉛筆硬度試験(JISK5400準拠)
1)準備:印刷100時間後の試験片を6枚、9Hから6Bまでの硬度の鉛筆を準備する。
2)操作:先の尖った鉛筆で表面を3回ずつこする。
3)評価:表面に傷のついた鉛筆を記入する。
(3)耐熱試験
1)準備:印刷100時間後の試験片を6枚、温度制御機能付きアイロン、ガラス棒を準備する。
2)操作:アイロンを200℃に加熱する。
:資料台の上にアイロン面を置き、アイロンを3回前後に動かす。
3)評価:アイロン表面にインクが付着するかどうかを判定する、
(4)アルカリ試験
1)準備:印刷後100時間後の試験片を6枚準備する。
:(0.1、0.4、1.0、4.0%)水酸化ナトリウム水溶液それぞれにつき、50ml使用する。
:穴あき銅版(10×5mm)を6枚準備する。
:キャップ付サンプル瓶(100ml)を6本準備する。
:撹拌機能付恒温装置(60℃)を準備する。
2)操作:1)サンプルを銅版に固定する。
:2)恒温装置を60℃一定にする。
:3)サンプル瓶に50mlに水酸化ナトリウム水溶液とサンプルを入れ、密栓する。
3)判定:1時間浸漬後のサンプル片からのインク脱離状態を観察する。
尚、比較用オフセットインキとして市販の酸化重合タイプ、UV硬化型タイプに対しても同様の試験を実施した。
以上説明したとおり、ポリ乳酸、ロジン、乾性油ワニスの3つの天然樹脂成分と天然顔料を含むインキ組成物はすぐれた印刷物性を有している。この組成物は100%天然物で構成されており石油資源の保護に役立つとともに、すぐれた生分解性いわゆる微生物による分解が容易であり、ゴミ処理が容易になる。またアルカリ脱墨性を有しているため、紙のリサイクル時にインキ脱墨が容易であり、紙のリサイクルの妨げにならない。
このように本発明の天然物100%で構成したオフセットインキは、すぐれた物性を保持しながら、生分解性、アルカリ脱墨性を有しているため紙や生分解性フィルムへの各種の印刷物として産業上の利用の可能性は大きい。
Claims (4)
- ポリ乳酸、ロジン、乾性油ワニスの3つの天然樹脂成分から成ることを特徴とする生分解性オフセットインキ。
- 乾性油ワニスが、亜麻仁油、桐油、ゴマ油、ナタネ油、綿実油、大豆油の1種または、それぞれの組合せから成ることを特徴とする請求項1の生分解性オフセットインキ。
- ポリ乳酸、ロジン、乾性油ワニスの3つの天然樹脂成分を、加熱処理をして調整することを特徴とする請求項1の生分解性オフセットインキ。
- アルカリ処理により、容易にインキが紙より脱離することを特徴とする請求項1の生分解性オフセットインキ
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004325698A JP2006111836A (ja) | 2004-10-12 | 2004-10-12 | 生分解性オフセットインキ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004325698A JP2006111836A (ja) | 2004-10-12 | 2004-10-12 | 生分解性オフセットインキ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006111836A true JP2006111836A (ja) | 2006-04-27 |
Family
ID=36380620
Family Applications (1)
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JP2004325698A Pending JP2006111836A (ja) | 2004-10-12 | 2004-10-12 | 生分解性オフセットインキ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2456564A (en) * | 2008-01-18 | 2009-07-22 | Sun Chemical Ltd | Environmentally friendly printing ink compositions |
CN112552818A (zh) * | 2020-11-09 | 2021-03-26 | 钟宏云 | 明油和石灰岩地和明油制备方法和石灰岩地制备方法 |
-
2004
- 2004-10-12 JP JP2004325698A patent/JP2006111836A/ja active Pending
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GB2456564A (en) * | 2008-01-18 | 2009-07-22 | Sun Chemical Ltd | Environmentally friendly printing ink compositions |
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