JP2006111803A - 重合性化合物、その製造方法および重合体 - Google Patents
重合性化合物、その製造方法および重合体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 式(I)の重合性化合物(R1 は水素原子またはメチル基、R2 は酸で脱離する保護基を表す)に由来する構成単位を有する重合体;p−ヒドロキシエチルフェノールと(メタ)アクリル酸無水物との酸触媒下での反応、p−ヒドロキシエチルフェノールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応、p−ヒドロキシエチルフェノールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応による重合性化合物の製造方法。
【化1】
【選択図】 なし
Description
また、本発明の重合性化合物の製造方法は、p−ヒドロキシエチルフェノールと(メタ)アクリル酸無水物とを酸触媒の存在下で反応させて下記式(II)で示される重合性化合物を得ることを特徴とする。(式中、R1 は、水素原子またはメチル基である。)
また、本発明の重合性化合物の製造方法は、p−ヒドロキシエチルフェノールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させて上記式(II)で示される重合性化合物を得ることを特徴とする。
また、本発明の重合体は、良好な光透過性、アルカリ溶解性を同時に満たし、かつ露光により発生した酸を消費しないため、フォトレジスト用樹脂として有用である。
また、本発明の重合性化合物の製造方法によれば、重合性化合物をハロゲン化物の廃液を発生させることなく製造することができる。
上記式(I)で示される本発明の重合性化合物(以下、重合性化合物(I)と記す)は、上記式(I)に示すとおりフェノールのベンゼン核と(メタ)アクリロイル基とがエチレンで結合していることが必要である。これは、上記式(I)を構成単位として含む重合体が、フェノールのベンゼン核と(メタ)アクリロイル基とが直結した構造を有する重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体、あるいはポリヒドロキシスチレンと比較して、紫外線領域、特に248nmでの光透過性が格段に優れ、かつアルカリ可溶性であるためである。また、原料のp−ヒドロキシエチルフェノールが工業的に入手しやすいことや、特定の反応条件下で容易に得られるためである。
フェノール性水酸基の保護基であるR2 は、酸で脱離する基であり、このような保護基としては、例えば、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロ−2−ピラニル基などが挙げられる。化学増幅ポジ型フォトレジストの場合は、酸で脱離する保護基でアルカリ可溶性基が保護された比較的低分子量の化合物を混合することも検討されており、アルカリ可溶性化合物のフェノール性水酸基またはカルボキシル基を、酸で脱離する保護基で保護した化合物が用いられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチルなどが使用できる。
あるいは、無水酢酸、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水剤を使用する方法も有効である。
本発明の重合体は、本発明の重合性化合物(I)に由来する構成単位、すなわち下記式(III)で示される構成単位を有する重合体である。(式中、R1 は、水素原子またはメチル基であり、R2 は、酸で脱離する保護基を表す。)
本発明の重合体の質量平均分子量は、ポリスチレンを標準とするGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定において、1,000〜100,000であり、フォトレジスト用としてはアルカリ溶解性、耐熱性の点で、好ましくは、5,000〜50,000である。分子量を調節するために、連鎖移動剤を使用することもできる。
光酸発生剤は、使用する光源波長により適宜選択される。g線、i線では、ジアゾナフトキノン系光酸発生剤が用いられる。KrF、ArFエキシマレーザーでは、オニウム塩類、スルホン酸エステル類、ハロゲン系化合物類、シアノ基を有するオキシムスルホネートなどの光酸発生剤が用いられる。有機溶剤としては、一般に使用されているPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、乳酸エチルなどが使用できる。
また、本発明の重合体と、顔料、各種添加剤、有機溶剤などとを混合し、塗料が得られる。この塗料は、各種コーティング剤、プライマー等に用いられる。
以上説明した本発明の重合体は、フェノールのベンゼン核と(メタ)アクリロイル基とがエチレンで結合しているので、紫外線領域、特に248nmでの光透過性が格段に優れ、アルカリ溶解性も良好である。そして、露光により発生した酸を捕捉する基を有していない。よって、このような重合体を含有するフォトレジストは、高感度化、高解像度化が可能となる。
本発明の重合性化合物の製造方法によれば、ハロゲン化有機化合物を用いずに重合性化合物の製造を行っているので、ハロゲン化物の廃液が発生することがない。
(質量平均分子量)
GPCを用い、ポリスチレン換算で質量平均分子量を求めた。
(アルカリ溶解速度)
アルカリ溶解速度は、2.38質量%のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液を用い、現像前後の膜厚の差を現像時間で割った値として定義した。
重合体をメタノールに溶解して、0.24g/Lのメタノール溶液を用意した。この溶液について光透過率を紫外可視分光光度計で測定した。
2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレートの合成(酸無水物法):
フラスコにp−ヒドロキシエチルフェノール1380g(10モル)、メタクリル酸無水物1540g(10モル)およびテトラヒドロフラン2500gを入れ、窒素雰囲気下にて65℃まで昇温した。その溶液に、フェノチアジン10.0g、硫酸10.0gを添加し、65℃で15時間反応し、炭酸ナトリウムで中和した。イオン交換水で洗浄を繰り返し、析出した結晶を濾過、乾燥し、白色結晶1550gを得た。窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minのDSC測定(示差走査熱量測定)から融点は86.8℃であった。p−ヒドロキシエチルフェノールおよび得られた結晶の 1H−NMRチャートを図1および図2に示す。
2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレートの合成(エステル交換法):
フラスコにp−ヒドロキシエチルフェノール1380g(10モル)、メタクリル酸メチル2000g(20モル)およびジオキサン1500gを入れ、窒素雰囲気下にて100℃まで昇温した。その溶液に、フェノチアジン10.0g、p−トルエンスルホン酸50.0gを添加し、100℃で24時間、生成するメタノールを除去しながら反応した。イオン交換水で洗浄を繰り返し、析出した結晶を濾過、乾燥し、白色結晶1900gを得た。得られた結晶の融点は87.0℃であり、 1H−NMRチャートは、実施例1と同様であった。
2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレートの合成(エステル化法):
フラスコにp−ヒドロキシエチルフェノール1380g(10モル)、メタクリル酸946g(11モル)およびトルエン1500gを入れ、窒素雰囲気下にて100℃まで昇温した。その溶液に、フェノチアジン10.0g、p−トルエンスルホン酸20.0gを添加し、100℃で24時間、生成する水を除去しながら反応した。イオン交換水で洗浄を繰り返し、析出した結晶を濾過、乾燥し、白色結晶1910gを得た。得られた結晶の融点は86.9℃であり、 1H−NMRチャートは、実施例1と同様であった。
2−(4−tert−ブトキシカルボニロキシフェニル)エチルメタクリレートの合成:
フラスコに実施例1で得られた化合物206g(1.0モル)、ジ−tert−ブチルジカーボネート218g(1.0モル)およびジオキサン150gを入れ、窒素雰囲気下にて70℃まで昇温した。その溶液に、ピリジン0.4gを添加し、70℃で12時間反応した。イオン交換水で洗浄を繰り返し、減圧下にて水を除去して、常温で液状の物質300gを得た。得られた液状物質の 1H−NMRチャートを図3に示す。
2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート60モル%および2−(4−tert−ブトキシカルボニロキシフェニル)エチルメタクリレート40モル%の共重合体の合成:
フラスコに実施例1で得られた化合物50.2g、実施例4で得られた化合物49.8g、N,N−ジメチルアセトアミド600g、アゾビスイソブチロニトリル4.0gを入れ、窒素雰囲気下にて80℃まで昇温し、80℃で8時間重合反応を行った。メタノール200gを添加し、これを、激しく攪拌した大量のイオン交換水へ2時間かけて滴下した。析出した重合体を濾過、乾燥して重合体99.0gを得た。GPCによる質量平均分子量はポリスチレン換算で16,000であった。248nmでの光透過率は85%であった。
得られた重合体1.0g、SP−152(旭電化工業株式会社製、トリアリールスルホニウム塩系光酸発生剤)0.05gを乳酸エチル2.0gに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過してフォトレジストを調製した。ブリキ板に塗布し、110℃で20分乾燥して厚さ約5μmの塗膜を得た。その塗膜にパターンマスクを被せ、超高圧水銀灯(波長領域:300〜450nm)を用いて積算光量500mJ/cm2 で露光し、130℃で20分加熱を行い、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液にて現像したところ、マスクと同様のパターンが形成された。別途、露光部と未露光部のアルカリ溶解速度を測定した。その結果を表1に示す。
2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート60モル%、2−(4−tert−ブトキシカルボニロキシフェニル)エチルメタクリレート20モル%およびtert−ブチルアクリレート20モル%の共重合体の合成:
フラスコに実施例1で得られた化合物58.7g、実施例4で得られた化合物29.1g、tert−ブチルアクリレート12.2g、N,N−ジメチルアセトアミド500g、アゾビスイソブチロニトリル6.0gを入れ、窒素雰囲気下にて80℃まで昇温し、80℃で8時間重合反応を行った。メタノール200gを添加し、これを、激しく攪拌した大量のイオン交換水へ2時間かけて滴下した。析出した重合体を濾過、乾燥して重合体99.0gを得た。GPCによる質量平均分子量はポリスチレン換算で15,000であった。248nmでの光透過率は83%であった。
得られた重合体1.0g、SP−152(旭電化工業株式会社製、トリアリールスルホニウム塩系光酸発生剤)0.05gを乳酸エチル2.0gに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過してフォトレジストを調製した。ブリキ板に塗布し、110℃で20分乾燥して厚さ約5μmの塗膜を得た。その塗膜にパターンマスクを被せ、超高圧水銀灯を用いて積算光量500mJ/cm2 で露光し、130℃で20分加熱を行い、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液にて現像したところ、マスクと同様のパターンが形成された。別途、露光部と未露光部のアルカリ溶解速度を測定した。その結果を表1に示す。
ヒドロキシスチレン60モル%およびtert−ブチルアクリレート40モル%の共重合体について、248nmでの光透過率を測定したところ、50%であった。また、実施例5と同様にしてフォトレジストとしての評価(アルカリ溶解速度)を行った。結果を表1に示す。マスクと同様のパターンが形成されたが、248nmでの光透過性は本発明の重合体より劣っていた。したがって、KrFエキシマレーザー(248nm)を使用した場合は、本発明の重合体の方がより高感度になると考えられる。
N−(4−tert−ブトキシカルボニロキシ−3,5−ジメチルベンジル)アクリルアミドの重合体の合成:
特許文献4(特開2003−73424号公報)の実施例5に示される方法により、淡褐色粉末の重合体を得た。248nmでの光透過率を測定したところ、65%であった。
Claims (5)
- 請求項1記載の重合性化合物に由来する構成単位を有することを特徴とする重合体。
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