JP2006111575A - グリシジルエーテルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】品質低下を招く副生物の生成を低減し得る、分層性が良好で高純度なグリシジルエーテルの製造方法を提供すること。
【解決手段】流路断面積が300〜50,000μm2の流路に、所定のハロヒドリンエーテルとアルカリを含有する水溶液とを流通させ、一般式(I)で示される化合物とアルカリとを接触させて反応を行うグリシジルエーテルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリシジルエーテルの製造方法に関する。
グリシジルエーテルの製造方法としては、次の2つが知られている。すなわち、1)アルコールとα-エピクロロヒドリンを酸触媒の存在下で付加反応させ、次いでアルカリを添加して閉環反応させて製造する方法、2)アルコールとα-エピクロロヒドリンをアルカリの存在下で反応させて付加反応と閉環反応を同時に行う製造法である。これらのいずれの方法も生成物としてハロゲン化アルカリが副生することになる。そこで、反応産物の処理法、精製法が開発されている。例えば、特許文献1には、反応液から水を減圧留出させながら、ハロゲン化アルカリを固相析出させて、濾別にて分別除去するという方法が、特許文献2には、親水性有機溶剤を用いてハロゲン化アルカリを固相析出させて分別し、後に液相中に存在するグリシジルエーテルを精製回収するという方法が開示されている。これらの方法で、ある程度の純度のグリシジルエーテルが得られるが、操作が非常に煩雑である。
また、上記いずれの反応も不均一反応であるので、大容量の反応系でグリシジルエーテルの製造を行うと混合効率の低下等により反応性が著しく低下し、過剰な時間経過に伴う副生物の増加や色相悪化、臭気の発生等により製品品質の低下に見舞われる。そこで反応性の改善を目的として、連続処理により強力な混合力を加えて反応を行う試みが従来見られるが、反応終了後に反応生成物の存在する油層とハロゲン化アルカリの存在する水層の分層性状が悪化する要因となる。
特公昭59−24149号公報 特開2001−240594号公報
本発明は、品質低下を招く副生物の生成を低減し得る、分層性が良好で高純度なグリシジルエーテルの製造方法を提供することを課題とする。
即ち、本発明の要旨は、流路断面積が300〜50,000μm2の流路に、一般式(I):
Figure 2006111575
〔式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を示し、Aは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又は−CH2CH(OH)CH2O−基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0〜10の数、nは1〜2の数を示す。〕
で示される化合物とアルカリを含有する水溶液とを流通させ、一般式(I)で示される化合物とアルカリとを接触させて反応を行うグリシジルエーテルの製造方法に関する。
本発明によれば、反応性改善のための機械的エネルギーを要することなく、従来の方法と比べて短い反応時間で反応を終了させることができるので、品質低下を招く副生物の生成を低減し得、また機械的エネルギーを要しないことと非常に狭い流路断面積を有する流路を反応に使用することによる流体の混合抑制効果とにより、分層性が良好で高純度なグリシジルエーテルを製造することができる。
本発明のグリシジルエーテルの製造方法は前記の通りの構成を有するものであるが、前記一般式(I)で示される化合物とアルカリとの反応を、特定の流路断面積を有する流路にて実施することを1つの大きな特徴とする。本発明においては、微小な流路断面積の流路を反応場とすることで、通常のフラスコスケールでの反応と異なる現象の発現、例えば、分子的な観点からの物質移動距離や濃度等の種々の要因の変化が生ずると推定され、その結果、反応性改善のための機械的エネルギーを要することなく充分な反応性が得られ、短時間に反応を終了させることができ、品質低下を招く副生物の生成を低減して、分層性が良好で高純度なグリシジルエーテルを得ることができる。本発明に採用するような微小反応場での反応の化学は未だ理論的に不充分な領域であり、グリシジルエーテルの製造の際に見られる上記のような効果は本発明において初めて見出されたものであって、従来の化学的理論からは予測することができないものである。
なお、本明細書では一般式(I)で示される化合物、及びアルカリ又はアルカリを含有する水溶液を本発明の化合物等と略記する場合がある。また、本明細書に記載するいずれの成分も、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り、それぞれ単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
前記一般式(I)においてRで示される炭素数1〜24の炭化水素基としては炭素数
1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基、又は炭素数6〜14のアリール基等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、2−エチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ウンデシル基、1−ドデシル基、1−テトラデシル基、1−ヘキサデシル基、1−オクタデシル基等が、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。Aで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。Xで示されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
前記一般式(I)においてm及びnは、使用する一般式(I)で示される化合物における平均値又は使用する化合物そのものの値を表す。すなわち、本発明に使用される該化合物は、m及びnの値がその平均値又はそのものの値で前記の通りの範囲に入るものであればよい。
一般式(I)で示される化合物の例としては、アリルハロヒドリンエーテル、1−ブ
チルハロヒドリンエーテル、1−ペンチルハロヒドリンエーテル、1−ヘキシルハロヒドリンエーテル、1−オクチルハロヒドリンエーテル、2−エチルヘキシルハロヒドリンエーテル、1−デシルハロヒドリンエーテル、2−エチルオクチルハロヒドリンエーテル、1−テトラデシルハロヒドリンエーテル、1−オクタデシルハロヒドリンエーテル等を挙げることができる。
一般式(I)で示される化合物は、通常、前記特定の流路に対しそのまま流通させる
ことが可能であるが、副反応の発生を抑制し、より高い反応率で反応を行わせる観点から、有機溶媒と予め混合して流路に流通させるのが好ましい。得られる混合液中の該化合物の濃度としては0.1〜80重量%程度が好適である。以下、一般式(I)で示さ
れる化合物をいう場合、該混合液としての形態をも含む場合がある。
前記有機溶媒としては、特に限定されないが、1−ヘキサン、1−オクタン、1−デカン、1−テトラデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、トリクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエチレン等の塩素系炭化水素等を挙げることができる。
アルカリとしては、特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、アミン化合物等が挙げられる。これらの中では水に可溶で安価な、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
アルカリを含有する水溶液(以下、アルカリ水溶液という)のアルカリの濃度としては特に限定されないが、前記特定の流路に共に供給される一般式(I)で示される化合物との反応により発生するハロゲン化アルカリ塩が析出しない濃度条件とすることが好ましい。例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムでは、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%が例として挙げられる。
その他、グリシジルエーテルの製造において使用される、例えば、脱水剤、酸化防止剤還元剤等を本発明の化合物等と適宜混合して共に反応に供してもよい。
本発明においては、一般式(I)で示される化合物とアルカリ水溶液とを前記特定の
流路断面積を有する流路に流通させ、当該流路内で該化合物とアルカリとを接触させて反応を行う。ここで、「接触させて」とは、該化合物とアルカリとの間で所定の反応が生じ得るようにそれらを合わせることを意味し、それらを接触させる態様は特に限定されるものではない。例えば、一般式(I)で示される化合物とアルカリ水溶液とを層流として流路に流通させてそれらを接触させてもよいし、一般式(I)で示される化合物とアルカリ水溶液とを流路内で混合することによりそれらを接触させてもよい。層流として流通させる場合、一般式(I)で示される化合物とアルカリ水溶液とは両層の界面において接触し、所定の反応が進行するが、前記特定の流路断面積を有する流路では該化合物とアルカリ水溶液とは流体工学的に実質的な混合現象は大幅に抑制され、反応産物であるグリシジルエーテルが存在する油層と水層とは極めて分層された状態で排出されるほどの分層性が発現される。従って、反応終了と同時に所望のグリシジルエーテルを直ちに得ることができる。
また、本発明の所望の効果の発現を阻害することなく、本発明の所望の反応形態をとることができるのであれば、流路の構成自体には特に限定はない。なお、流路を流通させる成分を反応液という場合がある。また、単に流路という場合、通常、本発明の化合物等の反応場を提供する流路をいう。
本発明の流路は流路断面積300〜50,000μm2を有するが、流路断面積としては、好ましくは1,000〜10,000μm2である。流路断面積が300μm2未満であると、流通させる際に生じる圧力損失が大きくなり、従って、送液するのに非常に高圧の送液手段が必要となる問題が生じ、流路断面積が50,000μm2を超えると、反応時間の短縮、反応率の向上といった効果が低下する。前記好適範囲においては、そのような問題が生じず、また、反応速度を高く維持することができる。
なお、流路断面積300〜50,000μm2の流路を等価直径を用いて表した場合、直径20〜252μmの流路に相当する。等価直径とは、同等の流路断面積が得られる正円での直径に相当する。
本発明における一般式(I)で示される化合物とアルカリとの反応は前記特定の流路断面積を有する流路にて行う必要がある。従って、本発明に使用される流路は、本発明の化合物等の反応場としての前記特定の流路断面積を有する流路部分を有するものである必要があるが、使用する流路の全体に渡って特定の流路断面積を有する必要はない。よって、例えば、前記特定の流路断面積を有する流路に連続してつながっている流路が存在する場合、当該流路の流路断面積は前記特定の流路断面積を超えるものであってもよく、その場合、送液時の圧力損失を低減させることができる。かかる態様は本発明の操作上有効である。
流路の断面形状は特に限定されないが、例えば円形、半円形、楕円形、半楕円形、正方形、長方形、台形、平行四辺形、星形、不定形等を挙げることができる。また流路の長手方向の形状も特に限定されないが、直線形、円形、蛇行形、らせん形等を例に挙げることができる。流路の断面形状及び長手方向の形状は使用する流路において一貫して同一である必要はない。
本発明の化合物等の反応場となる流路の長さは、本発明の化合物等からなる反応液の流路における滞留時間、すなわち、該反応液の反応時間等を決定する因子であるが、所望する反応率が得られるよう適宜選定すればよい。流路の長さとしては、特に限定はないが、好ましくは0.01〜100m、より好ましくは0.05〜10m、さらに好ましくは0.1〜1m程度である。なお、流路が短い場合、一般に、反応原料が拡散現象により反応産物中に混入してくる傾向があり、一方、長い場合、圧力損失が大きくなる傾向がある。圧力損失が大きくなる場合は、流路に対し本発明の化合物等を大きな圧力でもって流通させることができる、後述するような送液装置を適宜選定して併用するのが好ましい。一方、反応時間には、流路を流通させる際の本発明の化合物等の流速(送液速度)も影響するが、流路の長さが前記の通りの好適な範囲にある場合、流速としては後述する流速範囲であるのが望ましい。
本発明に用いる流路の材質は特に限定されず、金属材、セラミック材、樹脂材等の何れも用いることができ、反応系への耐性を考え適宜適用することができる。流路の材質とは、流路と反応液が接液する部分の材質を指し、支障のない範囲で流路を構成する別途の部材に、ここに例示するような材質を表面修飾するなどの処置を施して、本発明の用に供することも可能である。
以上のような流路として、例えば、一般的な理化学機器として市販されるポリテトラパーフルオロエチレン(PTFE)、シリコン、ポリエチレン等の樹脂性チューブ、SUS304、SUS316、チタン、ハステロイ等の鋼管を用いることもできるし、「マイクロマシン」((株)産業技術サービスセンター出版)、「マイクロリアクター」(株式会社シーエムシー出版、第1刷)に記述される加工技術を参照して適宜所望の流路を製造することもできる。
一般式(I)で示される化合物とアルカリ水溶液とを流路に流通させる場合、その態
様としては特に限定されるものではないが、通常、一般式(I)で示される化合物とア
ルカリ水溶液とを別々に反応場である流路に供給して流通させるのが好ましい。反応場である流路に該化合物等を別々に供給するには、例えば、一般式(I)で示される化合
物を供給するための1又は複数の供給用流路、及びアルカリ水溶液を供給するための1又は複数の供給用流路を設け、反応場である流路において本発明の化合物等が合流して接触することになるよう前記各供給用流路を、例えば、継ぎ手を介して反応場である流路に連結するか、もしくは反応場である流路と連続して一体の構造体となるように加工を施してもよい。なお、本発明の化合物等が合流する部分の形状は、特に限定されないがY字形式、T字形式などを挙げることができる。
本発明において、流路に対する一般式(I)で示される化合物及びアルカリ水溶液を
供給するための送液手段は特に限定されないが、送液装置を用いる手法、圧力差を用いる手法等が挙げられる。送液装置としては、渦巻きポンプ、ディフューザーポンプ、渦巻き斜流ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、ギヤポンプ、スクリューポンプ、カムポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、渦流ポンプ、粘性ポンプ、気泡ポンプ、ジェットポンプ、電磁ポンプ等が挙げられる。これらの中でも脈流の少ない型式のものが好ましい。その理由は、本発明の化合物等を脈流を伴わずに流路に流通させた場合、流路内各部位で均一で安定した流れが保持され、本発明の化合物等が互いに一定割合で安定に接触して所望の反応がもたらされ、反応に不具合を生ずることなく、所望する反応性、選択性の高い化学量論条件が均一に達せられるという反応上の利点が得られるためである。特に本発明の化合物等を層流として流路に流通させて互いに接触させる場合に有効である。かかる観点から具体的には、送液手段として圧力差送液やピストンポンプを用いるか、脈流を低減する装置をポンプへ付帯するのが好ましい。
一般式(I)で示される化合物とアルカリ水溶液を流路に流通させる際の流速としては、所望の反応率が得られる滞留時間に基づいて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01×10-3〜100×10-3m/秒、より好ましくは0.1×10-3〜10×10-3m/秒程度である。本発明の化合物等の流路への供給は流速が前記範囲となるように実施するのが好ましい。
一般式(I)で示される化合物とアルカリとを反応させる場合の流路中での当量比率
は、反応条件に応じて適宜選定することができるが、一般式(I)で示される化合物に
対するアルカリの量を過剰とすることで反応を時間的に有効に進めることができる。なお、これらの目的を得るために本発明の所望の効果の発現を損なわない範囲において、前記の通りの任意の有機溶媒を一般式(I)で示される化合物及び/又はアルカリ水溶
液と任意に混合することも可能である。
反応温度は一般式(I)で示される化合物の反応性や処理量、品質に応じて適宜選定
することができる。送液時の粘性を低減して圧力損失を低下させる目的や、反応性を高める目的では高温の条件を選定することが好ましい。また、色相悪化や臭気悪化等の熱劣化に伴う副反応を抑制する目的では、より低温な条件を選定することが好ましい。これらから温度範囲としては、好ましくは0℃〜200℃、実用面から、より好ましくは30℃〜100℃が挙げられる。
なお、本発明における流路内の反応液の温度制御法は特に限定されないが、加温する場合には、熱媒を用いて熱交換する方法、ヒータ等により直接加熱する方法、誘導加熱方式を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられ、冷却する場合には、冷媒を用いて熱交換する方法、ペルチェ素子による方法等が挙げられる。
反応圧力はそれぞれの反応条件により適宜選定することができる。送液装置の圧力仕様の負荷を抑える観点では、低いことが好ましいが、送液する媒体が気化する場合にはこれを抑制する目的や、本発明の特定の流路断面積を有する流路を反応液が流れる際に生じる圧力損失を賄う目的では通常高圧にて操作される。反応圧力は前記するような送液手段に応じて適宜設定することができる。例えば、これらを具現化する背圧装置、送液装置を設置してもよい。圧力範囲としては、好ましくは0.01〜50MPa、実用面から、より好ましくは0.1〜10MPaが挙げられる。なお、任意の反応温度にて大気圧下で気化する性状を有する反応液の場合、ここに記載される圧力範囲のような高圧下に反応を行うことにより、気化せず流体的に安定した液状を保持できるため、滞留時間や温度、流動状態の均一性が保持され、所望する反応性や選択性が得られるという利点が得られる。
反応時間は反応に用いる流路の容積に対する本発明の化合物等からなる反応液の送液速度から一義的にえられる滞留時間に相当し、所望する反応率に応じて、反応に用いる流路断面積や長さ、該反応液の送液速度を適宜設計、選定し、決定することができる。通常、好ましくは0.1分〜10時間程度である。
以上により反応産物として所望のグリシジルエーテルが得られる。グリシジルエーテルとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル、1−ブチルグリシジルエーテル、1−ペンチルグリシジルエーテル、1−ヘキシルグリシジルエーテル、1−オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1−デシルグリシジルエーテル、2−エチルオクチルグリシジルエーテル、1−テトラデシルグリシジルエーテル、1−オクタデシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
実施例及び比較例における反応率は以下のようにして求めた。
(反応率)
ガスクロマトグラフ分析にて、一般式(I)で示される化合物の反応生成物および未
反応の一般式(I)で示される化合物の総モル数に対する未反応の一般式(I)で示さ
れる化合物のモル数の比率(百分率)を求め、その値を100%より減じて求めた。
なお、以下において分層時間とは、100mmの液深あたりで中間層が目視で完全に分層するまでの時間をいう。
また、図1に実施例1〜2及び比較例1で使用した反応装置の概略を示す。一般式(I)で示される化合物の供給を行うための高圧マイクロフィーダー(ピストンポンプ)1と、アルカリ水溶液の供給を行うための高圧マイクロフィーダー2は、両化合物等を供給するための供給用流路を、反応場である流路(反応管5)に連結するための継ぎ手3を介して反応管5に連結されている。反応管5は油浴4に浸漬されており、反応管5はサンプル回収瓶6に連結されている。
実施例1
2−エチルヘキシルハロヒドリンエーテル(自製、α体純度97.9%、β体純度1.5%)33.4g、1−デカン(キシダ化学(株)製;特級)66.6gを予め混合調製した溶液(比重0.815(20℃))を1μL/分、48%水酸化ナトリウム水溶液(工業品)を5%(比重1.054(20℃))に濃度調整して1μL/分の流量にて減速機を付帯した高圧マイクロフィーダー1又は2(古江サイエンス製;商品名JP−H)を用いてそれぞれ、図1に示す80℃に温度制御した油浴4に浸漬した内径100μm(外径1590μm)のSUS316製の円管2mからなる反応管5にT字型の継ぎ手3(スェージロック社製;ユニオン・ティー−100−3)を介して供給した。前記各溶液は、流路内を層流として流通した。反応液は反応管5を滞留時間7.9分で通過した後、得られた反応終了液は完全に分層した状態(分層時間0)にて大気圧下のサンプル回収瓶6にそのまま収集された。この際、供給側の圧力表示は0.03MPaであった(反応圧力に相当)。サンプル回収瓶6への反応液の排出が開始されてから滞留時間の10倍時間以上を経た後、分画的にサンプル回収を行った。得られたサンプルを速やかにガスクロマトグラフィーにより分析し、経時的な回収組成が定常状態であることを確認した。以上の反応により、主たる反応産物として2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを得た。本結果の内容を表1に示す。
実施例2
実施例1と同じハロヒドリンエーテル溶液を4μL/分、実施例1と同じ水酸化ナトリウム水溶液を4μL/分の流量にて減速機を付帯した高圧マイクロフィーダー1又は2(古江サイエンス製;商品名JP−H)を用いてそれぞれ、図1に示す80℃に温度制御した油浴4に浸漬した内径200μm(外径1590μm)のSUS316製の円管2mからなる反応管5にT字型の継ぎ手3(スェージロック社製;ユニオン・ティー−100−3)を介して供給した。前記各溶液は、流路内を層流として流通した。反応液は反応管5を滞留時間7.9分で通過した後、得られた反応終了液は完全に分層した状態(分層時間0)にて大気圧下のサンプル回収瓶6にそのまま収集された。この際、供給側の圧力表示は0.01MPaであった。サンプル回収瓶6への反応液の排出が開始されてから滞留時間の10倍時間以上を経た後、分画的にサンプル回収を行った。得られたサンプルを速やかにガスクロマトグラフィーにより分析し、経時的な回収組成が定常状態であることを確認した。以上の反応により、主たる反応産物として2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを得た。本結果の内容を表1に示す。
比較例1
実施例1と同じハロヒドリンエーテル溶液を9μL/分、実施例1と同じ水酸化ナトリウム水溶液を9μL/分の流量にて減速機を付帯した高圧マイクロフィーダー1又は2(古江サイエンス製;商品名JP−H)を用いてそれぞれ、図1に示す80℃に温度制御した油浴4に浸漬した内径300μm(外径1590μm)のSUS316製の円管2mからなる反応管5にT字型の継ぎ手3(スェージロック社製;ユニオン・ティー−100−3)を介して供給した。前記各溶液は、流路内を層流として流通した。反応液は反応管5を滞留時間7.9分で通過した後、得られた反応終了液は完全に分層した状態(分層時間0)にて大気圧下のサンプル回収瓶6にそのまま収集された。この際、供給側の圧力表示は0.01MPaであった。サンプル回収瓶6への反応液の排出が開始されてから滞留時間の10倍時間以上を経た後、分画的にサンプル回収を行った。得られたサンプルを速やかにガスクロマトグラフィーにより分析し、経時的な回収組成が定常状態であることを確認した。以上の反応により、主たる反応産物として2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを得た。本結果の内容を表1に示す。
比較例2
2−エチルヘキシルハロヒドリンエーテル(自製、α体純度97.9%、β体純度1.5%)82.15g、1−デカン(キシダ化学(株)製;特級)163.75g、48%水酸化ナトリウム水溶液(工業品)36.89g、イオン交換水317.21gを内径80mmφのガラス製1L丸底容器に仕込み、撹拌翼として内径40mmφの6枚ディスクタービン2個を用いて548rpmの回転速度にて80℃恒温条件で反応を実施した。反応液は経時的にサンプル収集の上、速やかにガスクロマトグラフィーにより分析した。以上の反応により、主たる反応産物として2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを得た。本結果の内容を表1に示す。なお、得られた反応生成物の分層時間は30秒であった。
Figure 2006111575
実施例1及び2と比較例2との比較により、通常のフラスコ操作で発現するよりいっそう反応率が向上することが分かる。また、実施例1と2との比較より、流路断面積が小さくなることにより当該効果が大きくなることが分かる。一方、比較例1より、流路断面積が本発明の範囲を超えると反応率が著しく低下することが分かる。
本発明により、実質的に副生物を含まず、分層性が良好で高純度なグリシジルエーテルの製造方法が提供される。
実施例1〜2及び比較例1で使用した反応装置の概略図の一例である。
符号の説明
1 高圧マイクロフィーダー
2 高圧マイクロフィーダー
3 継ぎ手
4 油浴
5 反応管
6 サンプル回収瓶

Claims (3)

  1. 流路断面積が300〜50,000μm2の流路に、一般式(I):
    Figure 2006111575
    〔式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を示し、Aは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又は−CH2CH(OH)CH2O−基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0〜10の数、nは1〜2の数を示す。〕
    で示される化合物とアルカリを含有する水溶液とを流通させ、一般式(I)で示される化合物とアルカリとを接触させて反応を行うグリシジルエーテルの製造方法。
  2. 一般式(I)で示される化合物とアルカリを含有する水溶液とを別々に流路に供給し
    て流通させる請求項1記載の製造方法。
  3. アルカリを含有する水溶液が、濃度0.1〜20重量%の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液である、請求項1又は2記載の製造方法。
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