JP2006111481A - 金属箔を用いた窯業製品の加飾方法と、金属箔を用いて加飾された窯業製品。 - Google Patents

金属箔を用いた窯業製品の加飾方法と、金属箔を用いて加飾された窯業製品。 Download PDF

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Abstract

【課題】陶磁器,ガラス製品等の窯業製品の面上に金属箔を貼布し、その金属箔上に上絵具を用いて絵を焼付け華麗でしかも耐久性に富む製品を得ることを目的とする。
【解決手段】窯業製品の面上に耐熱性塗料を塗布し、塗装面上に金属箔を複数枚重ねて貼布した後、前記窯業製品を焼成して金属箔を窯業製品の面上に焼付け、次に金属箔面上に上絵具を用いて絵付けをし、再び焼成することを特徴とする。金属箔は、金箔,銀箔のほか、白金箔,パラジウム箔,銅箔,しんちゅう箔又はアルミ箔の中から選ばれた1種又は2種以上の金属箔を用いることとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属箔を用いた窯業製品の加飾方法と、金属箔を用いて加飾された窯業製品に関する。
金属箔,特に金箔,銀箔を陶磁器等の窯業製品に利用する方法として、陶磁器の面上にカシュー,漆又はエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布し、金箔又は銀箔を1枚(一重)だけ貼り付け、約120℃で乾燥、もしくは自然乾燥していた。
また、窯業製品からなる基材の表面にシランカップリング剤を塗布し、該塗布面を加熱し、シランカップリング剤を硬化させた後、接着剤を塗布し、その上に金属箔等の装飾材を接着し、乾燥後、該装飾材を覆うように、樹脂保護膜を形成することを特徴とする窯業製品を基材とする装飾品の製造方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
そのほか、金箔を陶紙に貼る場合、ガラス粉と錫粉とクリアとの混合物を用いる方法がある(例えば特許文献2参照。)。
なお、陶磁器に金彩を施す方法としては水金液を用いる方法が広く行われている。水金は、金および白金、パラジウムなどを硫化バルサムと化合させた樹脂金属化合物に、ロジウム,ビスマスなどを少量添加したもので、陶磁器に塗布、焼き付けることによって金色、銀色の美しい光沢をもつ装飾ができるが、メタリックな光沢であり芸術性には乏しい。(例えば、非特許文献1参照。)。
特開平7−17785号公報 特開平10−193891号公報 「第5版化学便覧応用化学編」日本化学会編、1995、p.1−117
カシュー又は漆等の塗料で金箔又は銀箔を陶磁器面上に一重だけ貼り付ける方法は、接着力が不十分で金箔又は銀箔が剥がれやすかった。
その上に、金箔又は銀箔の上に、上絵具で彩色して絵を画いて上絵具の焼付温度で焼成するとカシュー又は漆等の塗料が燃えて箔が飛散してしまうので不可能だった。
窯業製品からなる基材の表面に、シランカップリング剤を塗布し、該塗布面を加熱し、シランカップリング剤を硬化させた後、その上に装飾材を接着する方法でも250℃加熱の記載があるが上絵具を焼付けるために数百度に加熱すると接着剤が燃焼し、金属箔が剥離するおそれがあった。
以上述べた先行技術からみて、
(1)陶磁器やガラス器に「金銀箔」を焼付ける技法はなかった。
(2)「金銀箔」の上に上絵具を焼付ける技法はなかった。
(3)カシュー等を接着材として用い、「金銀箔」を貼り付ける技法があった。
(4)「ガラス絵の具」でガラス器に「絵を焼き付ける」技法もある。
今回、定着材としてガラス絵具を用い、「ガラス絵具で絵を焼付ける」従来技法と、陶磁器に「金銀箔を貼り付ける」従来技法を応用改良して、陶磁器やガラス器に「金銀箔」を焼付ける」技法と、その「金銀箔」の上に上絵具で絵を描いて焼付ける技法を発明した。
今回発明した技法は、ガラスの絵付けに使用しているガラス絵具を全く別な使用目的である、陶磁器やガラス器に「金銀箔を焼付ける」時の定着材として使用するという新しい発想から生まれた。
問題点として、陶磁器等に金属箔をしっかりときれいに定着させるためには、調合したガラス絵具(ガラス絵具、膠、水)を適度の厚みで均一に塗ることが絶対条件としてあげられる。
塗ったガラス絵具の厚みが薄ければ箔を焼付けた後、箔が剥がれてしまうし、厚すぎる場合には、焼付けた箔に気泡が発生し汚くなってしまう。
従来の方法で調合したガラス絵具では、陶磁器やガラス器に塗るときに、薄かったり厚すぎたりして、均一で適度な厚さに塗ることが困難だった。
陶磁器等に金銀箔を貼り付ける従来技法では、箔の枚数は1枚(一重)であるが、陶磁器等にガラス絵具で箔を1枚(一重)だけ貼り付けて、570℃で焼付けると、箔が溶け落ちてしまうという問題点のあることが分かった。
カシューを用いて箔を貼ってから570℃で焼付けると、カシュー自体が焼失して、定着材としての効果が消失することがわかった。
本発明は、窯業製品からなる基材面上に金属箔を貼付して焼成するとともに、金属箔面に上絵具で彩色絵付けした後焼成しても、金属箔が剥離又は飛散することがないようにするため、耐熱性の定着材と上絵具の選定、焼成温度の設定、箔の枚数について鋭意研究を行った結果、上記課題を解決し、完成されたものである。
そして、本発明は上記目的を達成するために、窯業製品の面上に耐熱性の定着材を塗布し、塗装面上に金属箔を複数枚重ねて貼付した後、前記窯業製品を焼成して金属箔を窯業製品の面上に焼付け、次に金属箔面上に顔料を含む定着材からなる上絵具を用いて彩色絵付けし再び焼成することにより課題を解決することとした。
耐熱性の定着材としては、低融点の鉛ガラスを主成分とした粉末に有機質溶液(例えば、膠とふのり)を加えペースト状にしたもので、上絵具は前記鉛ガラスを主成分とした粉末に各種顔料を配合し有機質溶液を加えてペースト状にしたものである。このときの顔料はすべて無機顔料を使用する。
定着材として用いるガラス絵具を均一で適度の厚さに塗るために、「ふのり」を加えた従来の調合と異なる調合を用いることで問題を解決した。
従来の調合はガラス絵具(コーテック社製)10,膠5,水10の割合であったのに対し、本発明では、ガラス絵具(コーテック社製)10,膠5,ふのり2,水10の割合とした。ただし、周囲の温度と湿度によって割合を微調整する。
上記の調合によりふのりを混入したガラス絵具を定着材として用いると、均一で適度の厚さに塗ることが可能であり、箔を焼付けた後に箔が剥がれたり、気泡ができて汚くなることもなかった。
解決手段の第2として、前記窯業製品が、陶器,せっ器,磁器又はガラス製品のいずれかであることを特徴とする。これらの中には陶板,タイル,ガラス板等板状の製品も含まれる。
解決手段の第3として、前記金属箔が金箔,銀箔,白金箔,パラジウム箔,銅箔,しんちゅう箔,又はアルミ箔の中から選ばれた1種又は2種以上の金属箔を使用する。このとき使用する金属箔としては、すず箔のように融点が著しく低いものは使用できない。また、白金箔のように融点が著しく高い箔の場合、焼成温度は高めにすると良い。
解決手段の第4として、窯業製品の塗装面上に金属箔を重ねて焼成する温度と、金属箔上に上絵具で絵付け後焼成する温度が550℃以上で650℃以下であることとする。550℃以下では焼成のとき窯業製品の面に対する金属箔の貼着が、不十分となり、また金属箔と上絵具の焼付も不完全となるおそれがあるからである。さらに、650℃以上となると、窯業製品と金属箔との熱膨張率の差から金属箔表面に褶曲の発生が目立つようになり金属箔の表面の状態が不良となる傾向が著しくなるからである。好ましくは、570℃以上で600℃以下とする。
本発明は、窯業製品の面上に複数枚の金属箔を重ねて強固に貼着させてなることから、金属箔は容易に剥がれることもなく、耐磨耗性が大である。
さらに、一度貼着させた金属箔の上に、上絵具で彩色して絵を画くことが可能となったため、多彩かつ華麗で芸術性の高い製品を供給することができる。
また、本発明により多くの用途の製品に、金箔・銀箔等の金属箔の使用が可能となった。例えば、皿,鉢,コップ,茶わん,きゅうす等の食器類,花瓶,香炉,水盤,額皿,置物等の室内装飾品及び各種身飾品のほか、タイル等の建築資材にも利用できる。
さらに、金属箔を重ねて使用することができるため、従来のものより高貴で、華麗な芸術性の高いものができるようになった。
以下、本発明の実施の形態を磁器の場合について図1に基づいて説明する。
図1において、原料である粘土,長石,ケイ石を調合し素焼から本焼までの工程は従来の技術と同様である。ここで素焼は約700〜1000℃,本焼は約1000〜1400℃で行われる。
本焼後の磁器に耐熱性の定着材を塗布し、複数枚の金箔又は銀箔を重ねて磁器表面に貼付し、570℃で加熱して金属箔を磁器表面に強固に密着させる。耐熱性の定着材としては、鉛ガラスを主成分とする粉末に有機質溶液(例えば膠とふのり)を混合しペースト状としたものを用いた。
金属箔を磁器表面に焼付けた後、金属箔表面に上絵具を用いて彩色し絵付をする。上絵具は鉛ガラスを主成分とする粉末状のものに着色酸化物および有機質溶液(例えば膠)を加えてペースト状としたものを使用した。
上絵具焼付は箔焼付けと同様に、550〜650℃で加熱して行う。金属箔の密着の状態及び上絵具の発色と接着がこの温度範囲が適当だからであった。
550℃以下であると金属箔の密着が不十分で剥がれ易くなり、650℃以上となると金属箔の表面の褶曲が著しく目立つようになり磁器の外観が著しく不良となるからである。好ましくは、570〜600℃とする。この範囲内であると、金属箔の定着が強力で、上絵具の発色もより良好である。
金銀箔の焼付と上絵具焼付に使用する電気炉の設定温度は570℃とする。
(1)弱で約30分焙る。
(2)次に、強で2.5〜3.5時間焼くと570℃に達し15〜20分間その温度を維持してスイッチが切れる。
(3)上記(2)の時間は、電気炉の大きさや炉の中に入れる量などによって変動するが、温度が570℃に達し自動温度制御装置(マイコン)により15〜20分間その温度を維持させてスイッチが切れた後、徐冷していく。
(4)570℃の温度を15〜20分間維持させることにより、定着が強力になる。
金銀箔の貼り付けは、陶磁器の表面に定着材を塗ってその上に金銀箔を貼り付けるが、
その金銀箔の上に更に定着材を塗って再び金銀箔を貼り、更にまた定着材を塗って三重
に金銀箔を貼ることで優れた製品を得ることができた。
本発明は磁器の他,陶器,せっ器,ガラス製品等にも利用でき、陶板,タイル,ガラス板等の板状の製品にも利用できる。
本発明に係る磁器の製造工程を示すフローチャートである。

Claims (8)

  1. 窯業製品の面上に耐熱性の定着材を塗布し、塗装面上に金属箔を複数枚重ねて貼付した後、前記窯業製品を焼成して金属箔を窯業製品の面上に焼付け、次に金属箔面上に上絵具を用いて彩色絵付けをし、再び焼成することを特徴とする金属箔を用いた窯業製品の加飾方法。
  2. 前記窯業製品が、陶器,せっ器,磁器,又はガラス製品のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の金属箔を用いた窯業製品の加飾方法。
  3. 前記金属箔が金箔,銀箔,白金箔,パラジウム箔,銅箔,しんちゅう箔,又はアルミ箔の中から選ばれた1種又は2種以上の金属箔であることを特徴とする請求項1又は2記載の金属箔を用いた窯業製品の加飾方法。
  4. 窯業製品の塗装面上に金属箔を重ねて焼成する温度と、金属箔上に上絵具で絵付け後焼成する温度がいずれも550℃以上で650℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の金属箔を用いた窯業製品の加飾方法。
  5. 窯業製品の面上に耐熱性の定着材を塗布し、塗装面上に金属箔を複数枚重ねて貼付した後、前記窯業製品を焼成して金属箔を窯業製品の面上に焼付け、次に金属箔面上に上絵具を用いて彩色絵付けをし、再び焼成されてなることを特徴とする金属箔を用いて加飾された窯業製品。
  6. 前記窯業製品が陶器,せっ器,磁器,又はガラス製品のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の金属箔を用いて加飾された窯業製品。
  7. 前記金属箔が金箔,銀箔,白金箔,パラジウム箔,銅箔,しんちゅう箔,又はアルミ箔の中から選ばれた1種又は2種以上の金属箔であることを特徴とする請求項5又は6記載の金属箔を用いて加飾された窯業製品。
  8. 窯業製品の塗装面上に金属箔を重ねて焼成する温度と、金属箔上に上絵具で絵付け後焼成する温度がいずれも550℃以上で650℃以下であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の金属箔を用いて加飾された窯業製品。
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