JP2006105901A - 電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法及びその電磁波漏洩状況測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定者の勘と経験によらずに電磁波シールド筐体の弱点を精度良く把握すること。
【解決手段】電磁波シールド筐体SCに内蔵された電磁波発信手段1と、電磁波シールド筐体SCの外部に配設された受信手段2と、この受信手段2を電磁波シールド筐体SCの各測定点に走査する走査手段3と、その電磁波発信手段1と受信手段2を同調/位相同期させて周波数掃印し得るよう電磁波発信手段1に電磁波を供給する電磁波発生手段5及び受信手段2が受信した測定点毎の測定データを取り込む測定手段4と、この測定手段4から収集した各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成するデータ収集解析手段10と、この測定結果を表示する表示手段12とを備えること。
【選択図】 図1
【解決手段】電磁波シールド筐体SCに内蔵された電磁波発信手段1と、電磁波シールド筐体SCの外部に配設された受信手段2と、この受信手段2を電磁波シールド筐体SCの各測定点に走査する走査手段3と、その電磁波発信手段1と受信手段2を同調/位相同期させて周波数掃印し得るよう電磁波発信手段1に電磁波を供給する電磁波発生手段5及び受信手段2が受信した測定点毎の測定データを取り込む測定手段4と、この測定手段4から収集した各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成するデータ収集解析手段10と、この測定結果を表示する表示手段12とを備えること。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電磁波シールド筐体の内部からの又は電磁波シールド筐体の内部への電磁波の漏洩箇所を把握し得る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法及びその電磁波漏洩状況測定装置に関する。
電磁波シールド筐体のシールド性能は、国際電気標準会議(IEC)が規格化したIEC 61587−3(Electromagnetic shielding performance tests for cabinets,racks and subracks)により評価されている。
かかる規格による評価は、図10に示す如く、電気信号を発信する送信アンテナ(球状ダイポールアンテナ)101と、この送信アンテナ101から3m離間させた位置に配備した受信アンテナ102と、この受信アンテナ102に接続された受信機(例えばスペクトラムアナライザ)103とを電波暗室104内に配置して行われる。ここで、その電気信号は、送信機(例えばシグナルジェネレータ)105からの電気信号を一旦E/O変換器(電気信号/光変換器)106で光信号に変換して光ファイバケーブル107で電波暗室104内に送り、これをO/E変換器(光/電気信号変換器)108で電気信号に変換することにより送信アンテナ101に送られる。
具体的に、この3m手法に準じた評価方法においては、上記の如き状態と送信アンテナ101を電磁波シールド筐体SCに内蔵した状態とで、受信アンテナ102が受信した送信アンテナ101からの電気信号を受信機103で解析し、その電磁波シールド筐体SCの有無による電界強度の差異を求める。そして、その電界強度の差異を電磁波シールド筐体SCのシールド性能として表す。
このように、この評価方法では、電磁波シールド筐体SCの総体的なシールド性能は判るが、その電磁波シールド筐体SCの弱い部分,即ち電磁波の漏洩箇所を見つけることはできない。
そこで、従来、電磁波シールド筐体SCの周囲を測定者が手動で電界強度計やプローブを這わせることによって電界強度を測定し、その電磁波シールド筐体SCの弱い部分を発見していた。
尚、電磁波の測定装置や測定方法としては、下記の特許文献1〜3に開示されている。
しかしながら、上述したが如くして行う手動による電磁波シールド筐体の電磁波漏洩箇所の発見手法は、測定者の勘と経験による所が大きく、定量化された再現性のある精度の高い測定結果を得ることは困難であった。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、測定者の勘と経験によらずに電磁波シールド筐体の電磁波漏洩箇所を精度良く発見し得る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法及びその電磁波漏洩状況測定装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、電磁波シールド筐体に内蔵された電磁波発信手段と電磁波シールド筐体の外部に配設された受信手段とを同調/位相同期させ、周波数掃印しながら当該受信手段を電磁波シールド筐体の各測定点に走査し、これら各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成し、その測定結果を表示手段に表示する。
また、上記目的を達成する為、請求項2記載の発明では、電磁波シールド筐体の外部に配設された電磁波発信手段と電磁波シールド筐体に内蔵された受信手段とを同調/位相同期させ、周波数掃印しながら当該電磁波発信手段を電磁波シールド筐体の各測定点に走査し、これら各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成し、その測定結果を表示手段に表示する。
例えば、その際、請求項3記載の発明の如く、周波数掃印して得られた各測定点の周波数応答データを逆フーリエ変換して時間応答データに置き換え、これら各時間応答データに対して電磁波シールド筐体と受信手段との間の距離要素を勘案して前記測定結果を生成する。
これら請求項1,2又は3に記載の電磁波漏洩状況測定方法によれば、測定者の勘と経験によることなく、定量化された再現性のある精度の高い測定結果を得ることができる。また、表示された測定結果から電磁波シールド筐体の電磁波漏洩箇所を容易に把握することができる。
また、上記目的を達成する為、請求項4記載の発明では、上記請求項3記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法において、各時間応答データに対してフィルタ処理を行う。
これにより、生成される測定結果の分解能を向上させることができる。
更に、上記目的を達成する為、請求項5記載の発明では、上記請求項1,2,3又は4に記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法において、電磁波を電磁波シールド筐体の外部に配設された電磁波/光変換器で光信号に変換した後、この光信号を電磁波シールド筐体の内部に配設された光/電磁波変換器で電磁波に変換して電磁波発信手段へと供給する。
また、上記目的を達成する為、請求項6記載の発明では、上記請求項1,2,3又は4に記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法において、シールド対策を施した伝送ケーブルで電磁波を供給する。
また、上記目的を達成する為、請求項7記載の発明では、上記請求項1,2,3又は4に記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法において、電磁波を電磁波シールド筐体の内部に配設された電磁波発生手段から供給する。
このような請求項5,6又は7に記載の発明によれば、電磁波伝送経路からの電磁波ノイズが受信手段で受信されるという不都合を回避することができ、これが為、測定精度が向上する。
ここで、上述した請求項1記載の電磁波漏洩状況測定方法は、請求項8記載の発明の如く、電磁波シールド筐体に内蔵された電磁波発信手段と、電磁波シールド筐体の外部に配設された受信手段と、この受信手段を電磁波シールド筐体の各測定点に走査する走査手段と、その電磁波発信手段と受信手段を同調/位相同期させて周波数掃印し得るよう前記電磁波発信手段に電磁波を供給する電磁波発生手段及び前記受信手段が受信した測定点毎の測定データを取り込む測定手段と、この測定手段から収集した各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成するデータ収集解析手段と、この測定結果を表示する表示手段とを備えることで実現される。
また、上述した請求項2記載の電磁波漏洩状況測定方法は、請求項9記載の発明の如く、電磁波シールド筐体の外部に配設された電磁波発信手段と、電磁波シールド筐体に内蔵された受信手段と、その電磁波発信手段を電磁波シールド筐体の各測定点に走査する走査手段と、その電磁波発信手段と受信手段を同調/位相同期させて周波数掃印し得るよう前記電磁波発信手段に電磁波を供給する電磁波発生手段及び前記受信手段が受信した測定点毎の測定データを取り込む測定手段と、この測定手段から収集した各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成するデータ収集解析手段と、この測定結果を表示する表示手段とを備えることで実現される。
本発明に係る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法及びその電磁波漏洩状況測定装置は、測定者の勘と経験によることなく、定量化された再現性のある精度の高い測定結果を視覚的に表現することができ、これにより、電磁波シールド筐体の電磁波漏洩箇所を的確に把握することができる。
以下に、本発明に係る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法及びその電磁波漏洩状況測定装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定装置の実施例1を図1から図5−3に基づいて説明する。
最初に、本発明に係る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定装置の構成を図1に基づき説明する。
図1の符号SCは、シールド性能評価対象の電磁波シールド筐体を示す。本実施例1の電磁波漏洩状況測定装置は、その電磁波シールド筐体SCの内部に配設された電磁波発信手段1と、その電磁波シールド筐体SCの外部に配設された受信手段2と、この受信手段2を電磁波シールド筐体SCの各測定点に平面走査する平面走査手段3と、受信手段2が受信した測定点毎の測定データを取り込む測定手段4と、電磁波発信手段1へと供給する電磁波を発生させる電磁波発生手段5とを備えている。例えば、本実施例1にあっては、その電磁波シールド筐体SC,受信手段2及び平面走査手段3を電波暗室の中に配設する一方、その電波暗室の外に測定手段4及び電磁波発生手段5を配設する。
先ず、上記電磁波発信手段1は、電磁波発生手段5から供給された電磁波を発信する電磁波の発信源である。この電磁波発信手段1は、電磁波シールド筐体SC内の略中央に配置することが好ましく、また、この電磁波発信手段1としては、例えば球状ダイポールアンテナ等の指向性が低いアンテナ又は無指向性のアンテナを用いることが好ましい。
ここで、本実施例1の電磁波発生手段5は、電磁波としてマイクロ波を発生させるものである。この電磁波発生手段5が発生させた電磁波は、電波暗室の内部へと伝送された後、例えば伝送ケーブルを介して電磁波シールド筐体SC内の電磁波発信手段1へと送られる。これが為、その伝送ケーブルから発生した電磁波ノイズを受信手段2が受信すると、各測定点における測定データの精度が悪化してしまう。
そこで、図1に示す如く、電波暗室の外に電磁波/光変換器6を配設する一方、電磁波シールド筐体SCの中に光/電磁波変換器7を配設し、電磁波発生手段5が発生させた電磁波を一旦電磁波/光変換器6で光信号に変換してから電波暗室の中に送り、光/電磁波変換器7で電磁波に戻してから電磁波発信手段1へと送ることが好ましい。
このように、電磁波を直接電磁波シールド筐体SCの中へと送らずに光信号に変換して供給することで、電磁波シールド筐体SCの外部にて発生した電磁波ノイズを受信手段2で受信することが無くなり、各測定点における測定データの精度が向上する。
ここで、かかる電磁波ノイズは、伝送ケーブルに対してシールド被覆等の簡易的なシールド対策を施すことによって遮断してもよく、電磁波発生手段5を電磁波シールド筐体SCの内部に配設することで遮断してもよい。
尚、電磁波シールド筐体SCの内部に電磁波発生手段5を配設する場合には、電源供給時のノイズを遮断する為に、その電磁波発生手段5の電源供給装置(バッテリ)も電磁波シールド筐体SCの内部に配設することが好ましく、また、電源供給装置を電磁波シールド筐体SCの外部に配設するのであれば、電源供給ケーブルにシールド被覆等の簡易的なシールド対策を施すことが好ましい。
また、上記受信手段2は、電磁波シールド筐体SCの内部から漏洩した電磁波発信手段1の電磁波を受信する電磁波の受信源である。例えば、本実施例1の受信手段2としては、受信プローブを用いる。
また、上記平面走査手段3は、電磁波シールド筐体SCのある一面において受信手段2を平面走査する手段であって、その面上の各測定点に受信手段2を移動させるものである。ここでは、電磁波シールド筐体SCのある一つの側面において図1に示すXY方向に受信手段2を走査するXYスキャナを例示する。
具体的に、この平面走査手段3は、受信手段2を保持すると共に当該受信手段2をY方向に走査させ得るY方向走査部3aと、このY方向走査部3aと共に受信手段2をX方向に走査させ得るX方向走査部3bとを備えており、その動作が図1に示す平面走査制御手段8によって制御される。ここで、そのY方向走査部3aとX方向走査部3bは、例えば図示しない電動モータや歯車群等により受信手段2をY方向,X方向に夫々往復移動させる。
また、上記測定手段4としてはスカラネットワークアナライザ等を使用してもよいが、本実施例1にあっては、この測定手段4と上記電磁波発生手段5とが一体化されたベクトルネットワークアナライザ9を簡便化の為に使用する。
更に、この電磁波漏洩状況測定装置には、上記測定手段4からの測定点毎の周波数応答データを収集し、これらに下記の式1の逆FFT(逆高速フーリエ変換)処理を施すことで時間応答データに置き換える図1に示すデータ収集解析手段10が設けられている。
また、このデータ収集解析手段10には、その各時間応答データに対して電磁波シールド筐体SCと受信手段2との間の距離要素(図1に示すZ方向の距離要素)を勘案し、その各時間応答データから電磁波強度の差異を視覚的に把握し得る測定結果の生成機能も設けられている。
ここで、上述した時間応答データに対しては所定のフィルタを通してもよく、これにより分解能の向上を図ることができる。例えば、このデータ収集解析手段10に設けるフィルタ機能としては、既に電波暗室(図示略)内におけるノイズ源の存在を把握している場合に、そのノイズ源からのノイズを除去するもの、電磁波シールド筐体SCにおけるZ方向の奥行きの長さ分だけの時間応答データを残す為のもの等がある。
この本実施例1のデータ収集解析手段10は電子計算機11の一機能として設けられており、その電子計算機11を操作することによって上述した制御手段8やベクトルネットワークアナライザ9の制御量等の計測パラメータを測定者が設定する。尚、そのデータ収集解析手段10は、単独のデータ収集解析装置として設けてもよい。
ここで、本実施例1にあってはデータ収集解析手段10で逆FFT処理を行うものとして例示するが、その逆FFT処理は、上述したベクトルネットワークアナライザ9に内蔵されているタイムドメイン機能を利用して行ってもよい。
また更に、この電磁波漏洩状況測定装置には、データ収集解析手段10により生成された測定結果を表示するモニタやプリンタ等の図1に示す表示手段12が設けられている。
ここで、少なくとも上述した電磁波シールド筐体SC,電磁波発信手段1,受信手段2及び平面走査手段3は、電波暗室の中に配置されている。
以下、この本実施例1における電磁波漏洩状況測定装置を用いた電磁波漏洩状況の測定方法について図2のフローチャートと図3から図5−3に基づき説明する。
先ず、測定者が電磁波漏洩状況測定装置における夫々の手段1〜12を接続し、電子計算機11から計測パラメータを設定する。ここで、その計測パラメータとしては、平面走査手段3の走査範囲や測定点の数量(即ち、平面走査手段3の移動制御量)等がある。そして、測定者は、その電磁波漏洩状況測定装置の暖機運転を行うと共に、100%透過レベル設定等の校正を行う。測定者は、そのようにして電磁波シールド筐体SCの電磁波漏洩状況測定の準備を行う。
続いて、測定者は、電子計算機11から測定開始を指示する。
ここでは、その測定開始の指示により、電磁波発生手段5が電磁波を発生させ、その電磁波が電磁波/光変換器6と光/電磁波変換器7を介して電磁波シールド筐体SC内部の電磁波発信手段1に送られて、この電磁波発信手段1から電磁波が発信されるものとする。
そして、平面走査制御手段8が平面走査手段3のY方向走査部3aとX方向走査部3bを駆動させて、受信手段2を電磁波シールド筐体SC側面の測定開始地点から順次各測定点に平面走査させ、その各測定点における測定データを測定手段4に取り込む。その際、この電磁波漏洩状況測定装置は、電磁波発信手段1と受信手段2を同調/位相同期させ、周波数掃印しながら受信手段2を各測定点に平面走査させて、その各測定点毎に測定データたる図3に示す周波数応答データDfを測定手段4に取り込む(ステップST1)。
その測定手段4が取り込んだ各測定点の周波数応答データDfは、データ収集解析手段10に収集され、このデータ収集解析手段10において図3に示す如く夫々逆FFT処理を行って時間応答データDtに置き換える(ステップST2)。
尚、上述した図3に示す周波数応答データDfや時間応答データDtは、これらを模式的に表現した概念図である。
しかる後、そのデータ収集解析手段10は、各時間応答データDtの時間要素から電磁波シールド筐体SCと受信手段2との間の距離要素(図1に示すZ方向の距離要素)を勘案し、その各時間応答データDtから電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成する(ステップST3)。例えば、ここでは、その各時間応答データDtを三次元データ化する。
その際、データ収集解析手段10は、各時間応答データDtに対して前述したが如きフィルタ機能でフィルタ処理を行って分解能を向上させてもよい。
そして、その三次元データ化された測定結果が表示手段12に送られて測定者が視認し得るよう表示される(ステップST4)。
ここで、図4に示すXZ平面13における電磁波漏洩状況の測定結果の一例を図5−1に示す。この図5−1に示す測定結果14は、鳥瞰図の如く表示手段12に表示して電磁波漏洩の有無や電磁波漏洩箇所を測定者に対して視覚的に把握させるものである。この三次元データ化された測定結果14においては4つの突出部14a〜14dが表示されている。これが為、この4つの突出部14a〜14dにおいて電磁波強度が高くなっており、その各突出部14a〜14dで電磁波が漏洩していることが判る。即ち、この測定結果14は図1に示すXYZ座標に対応した三次元座標軸上に表示されるので、電磁波シールド筐体SCにおけるXZ平面13上の四隅が電磁波漏洩箇所であると把握することができる。
また、三次元データ化された測定結果としては図5−2に示す如き態様のものも考えられる。この図5−2に示す測定結果15は、電磁波シールド筐体SCの外形を表した三次元図形上に電磁波漏洩箇所を明示したものである。この測定結果15によれば、電磁波シールド筐体SCにおけるXZ平面13上の四隅15a〜15dにおいて電磁波強度が高くなっており、その四隅15a〜15dで電磁波が漏洩していることが即座に判る。
一方、上記の如く測定結果を三次元データ化して表示してもよいが、図5−3に示す如く二次元データの測定結果16を表示させてもよい。この測定結果16は、電磁波強度毎に色分けして表したものであり、これによっても4箇所16a〜16dで電磁波強度が高くなっていることが判り、その4箇所16a〜16dにおいて電磁波が漏洩していることが判る。この測定結果16は図1に示すXZ座標に対応したXZ座標軸上に表示されるので、電磁波シールド筐体SCにおけるXZ平面13上の四隅が電磁波漏洩箇所であると把握することができる。
以上示した本実施例1の電磁波漏洩状況測定装置によれば、測定者の勘や経験に頼ることなく電磁波シールド筐体SCの電磁波漏洩箇所(即ち電磁波シールド筐体SCの弱点)を平面走査という簡便な方法によって発見することができ、更に、定量化された再現性のある精度の高い測定結果を得ることができる。
また、上記の三次元座標軸又はXY座標軸に対応した電磁波強度が測定結果15又は測定結果16として表示手段12に表示されるので、電磁波漏洩箇所を容易に視認することができ、直感的に電磁波シールド筐体SCの弱点を把握することができる。
そして、この電磁波漏洩状況測定装置は、上記の如き有用性から電磁波シールド筐体SCの開発期間の短縮や高品質な電磁波シールド筐体SCの設計に寄与することができ、電磁波シールド筐体SCの開発に非常に効果的である。また、これが為、高品質な電磁波シールド筐体SCの製造も可能になる。
更に、この電磁波漏洩状況測定装置は、電磁波シールド筐体SCの経時変化によるシールド性能の変化等を把握するのにも有効に利用することができる。これが為、その結果に基づいてシールド性能の補修対策や、電磁波シールド筐体SCの開発へのフィードバックを図ることも可能になる。
次に、本発明に係る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定装置の実施例2について説明する。
この本実施例2の電磁波漏洩状況測定装置は、前述した実施例1の電磁波漏洩状況測定装置に対して以下の点を変更したものである。
先ず、本実施例2の電磁波漏洩状況測定装置においては、図7に示す如く、電磁波発信手段21を電磁波シールド筐体SCの外部に配設し、受信手段22を電磁波シールド筐体SCの内部に配設している点が実施例1とは異なる。
ここで、本実施例2にあっては、電磁波発信手段21を実施例1と同様の平面走査手段3に保持し、この電磁波発信手段21を電磁波シールド筐体SCのある一つの側面において図7に示すXY方向に走査させる。例えば、本実施例2の電磁波発信手段21としては、送信プローブを用いる。
また、この本実施例2の電磁波発信手段21には、電磁波発生手段5が接続され、この電磁波発生手段5から電磁波が供給される。この電磁波発生手段5が発生した電磁波は、一旦電磁波/光変換器6で光信号に変換してから電波暗室の中に送り、この電波暗室の中に配設された光/電磁波変換器7で電磁波に戻してから電磁波発信手段1へと送ることが好ましい。尚、その電波暗室内における供給中の電磁波の漏洩を極力回避する為に、その光/電磁波変換器7は、可能な限り電磁波発信手段21の近傍に配設する(即ち、光/電磁波変換器7と電磁波発信手段21とを繋ぐケーブルを可能な限り短くする)ことが好ましい。
一方、本実施例2の受信手段22は、電磁波シールド筐体SC内の略中央に配置することが好ましく、また、この電磁波発信手段1としては、例えば球状ダイポールアンテナ等の指向性が低いアンテナ又は無指向性のアンテナを用いることが好ましい。
この受信手段22は、電磁波発信手段21と同調/位相同期させ、周波数掃印しながら電磁波発信手段21を各測定点に平面走査させた際の夫々の測定点の測定データ(図3に示す周波数応答データDf)を受信して測定手段4に送る。
この測定手段4が取り込んだ測定データは、実施例1と同様にデータ収集解析手段10で解析され、電磁波強度の差異を把握し得る測定結果として生成された後、表示手段12に表示される。
これが為、本実施例2の電磁波漏洩状況測定装置においても実施例1と同様の効果を奏することができる。
次に、本発明に係る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定装置の実施例3について説明する。
前述した実施例1,2の電磁波漏洩状況測定装置においては、電磁波シールド筐体SCの各測定点を平面走査することによって、その電磁波シールド筐体SCの電磁波漏洩状況を測定している。
しかしながら、その測定点から遠方に位置している箇所において電磁波が漏洩しており、その電磁波が非常に微弱な場合には、測定結果14,15,16から電磁波の漏洩状況を把握できない可能性もある。
そこで、この実施例3の電磁波漏洩状況測定装置は、例えば実施例1の電磁波漏洩状況測定装置において、電磁波シールド筐体SCを図7に示す回転台31に載置し、その電磁波シールド筐体SCの電磁波漏洩状況を3次元測定し得るよう構成する。本実施例3の回転台31は、電子計算機11からのコマンドに基づいて回転台制御手段32により制御され、XZ平面上で回転する。
例えば、図7に示す如く四角柱状の電磁波シールド筐体SCの場合には、1つの平面について実施例1と同様に平面走査した後、回転台制御手段32が回転台31を90度回転させて次の平面について実施例1と同様に平面走査する。この動作を4つの平面について行うことによって、夫々の平面についての測定点毎の周波数応答データDfが測定手段4に取り込まれ、その周波数応答データDfがデータ収集解析手段10において逆FFT処理されて時間応答データDtに置き換えられる。
ここで、例えば、最初に平面走査した際の電磁波シールド筐体SCの位置を基本座標と仮定する。データ収集解析手段10は、その最初の平面以外の各時間応答データDtを平面毎に基本座標軸上のデータへと置き換え、4つの平面について得た各時間応答データDtの時間要素から電磁波シールド筐体SCと受信手段2との間の距離要素(図7に示すZ方向の距離要素)を勘案し、その各時間応答データDtから電磁波強度の差異を把握し得る測定結果14,15,16を生成する。
このようにして3次元測定することで受信手段2を電磁波漏洩箇所に近づけて測定することができるので、微弱な漏洩電磁波の検出が容易になり、より精度の高い電磁波漏洩状況の把握が可能になる。
ここで、本実施例3にあっては電磁波シールド筐体SCを回転させることにより3次元測定を行っているが、その電磁波シールド筐体SCを中心に平面走査手段3を回転させることによって3次元測定を行わせてもよい。また、実施例2の電磁波漏洩状況測定装置において、本実施例3の如き3次元測定の構成を適用してもよい。
また、3次元測定の構成は、必ずしも本実施例3の如き回転台31を用いたものに限定するものではない。例えば、3次元測定は、実施例1又は実施例2の電磁波漏洩状況測定装置において、平面走査手段3を図8に示す3次元走査手段(ロボットアーム)43に置き換えることにより行ってもよい。この3次元走査手段43は、電子計算機11からのコマンドに基づいて図8に示す3次元走査制御手段48によりその動作が制御され、アームに保持された受信手段2が例えば図8に示す如き四角柱状の電磁波シールド筐体SCであれば上述した4つの平面における各測定点に走査され、球体状の電磁波シールド筐体であれば球面に沿って各測定点に走査される。
また、その3次元測定は、実施例1又は実施例2の電磁波漏洩状況測定装置において、平面走査手段3を図9に示す3次元走査手段53に置き換えることにより行ってもよい。この3次元走査手段53は、Z軸上に配置された2つの台座53aと、両端が各台座53aに夫々保持されると共に当該各台座53aを結ぶZ軸方向の回転軸を中心に回転するアーチ部53bと、受信手段2を保持してアーチ部53b上を移動する受信手段保持部53cとを備えており、電子計算機11からのコマンドに基づいて図9に示す3次元走査制御手段58によりその動作が制御されるものである。
以上のように、本発明に係る電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定装置は、その電磁波漏洩状況を自動的に且つ視覚的に把握し得る技術として有用であり、特に、その電磁波漏洩状況を定量化された再現性のある測定結果として得る技術に適している。
1,21 電磁波発信手段
2,22 受信手段
3 平面走査手段
3a Y方向走査部
3b X方向走査部
4 測定手段
5 電磁波発生手段
6 電磁波/光変換器
7 光/電磁波変換器
8 平面走査制御手段
9 ベクトルネットワークアナライザ
10 データ収集解析手段
11 電子計算機
12 表示手段
31 回転台
43,53 3次元走査手段
48,58 3次元走査制御手段
SC 電磁波シールド筐体
2,22 受信手段
3 平面走査手段
3a Y方向走査部
3b X方向走査部
4 測定手段
5 電磁波発生手段
6 電磁波/光変換器
7 光/電磁波変換器
8 平面走査制御手段
9 ベクトルネットワークアナライザ
10 データ収集解析手段
11 電子計算機
12 表示手段
31 回転台
43,53 3次元走査手段
48,58 3次元走査制御手段
SC 電磁波シールド筐体
Claims (9)
- 電磁波シールド筐体に内蔵された電磁波発信手段と前記電磁波シールド筐体の外部に配設された受信手段とを同調/位相同期させ、周波数掃印しながら当該受信手段を前記電磁波シールド筐体の各測定点に走査し、該各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成し、該測定結果を表示手段に表示することを特徴とした電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法。
- 電磁波シールド筐体の外部に配設された電磁波発信手段と前記電磁波シールド筐体に内蔵された受信手段とを同調/位相同期させ、周波数掃印しながら当該電磁波発信手段を前記電磁波シールド筐体の各測定点に走査し、該各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成し、該測定結果を表示手段に表示することを特徴とした電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法。
- 前記周波数掃印して得られた各測定点の周波数応答データを逆フーリエ変換して時間応答データに置き換え、該各時間応答データに対して前記電磁波シールド筐体と前記受信手段との間の距離要素を勘案して前記測定結果を生成することを特徴とした請求項1又は2に記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法。
- 前記各時間応答データに対してフィルタ処理を行うことを特徴とした請求項3記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法。
- 前記電磁波発信手段への電磁波は、前記電磁波シールド筐体の外部に配設された電磁波/光変換器で光信号に変換した後、該光信号を前記電磁波シールド筐体の内部に配設された光/電磁波変換器で変換して供給することを特徴とした請求項1,2,3又は4に記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法。
- 前記電磁波発信手段への電磁波は、シールド対策を施した伝送ケーブルで供給することを特徴とした請求項1,2,3又は4に記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法。
- 前記電磁波発信手段への電磁波は、前記電磁波シールド筐体の内部に配設された電磁波発生手段から供給することを特徴とした請求項1,2,3又は4に記載の電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定方法。
- 電磁波シールド筐体に内蔵された電磁波発信手段と、前記電磁波シールド筐体の外部に配設された受信手段と、該受信手段を前記電磁波シールド筐体の各測定点に走査する走査手段と、前記電磁波発信手段と受信手段を同調/位相同期させて周波数掃印し得るよう前記電磁波発信手段に電磁波を供給する電磁波発生手段及び前記受信手段が受信した測定点毎の測定データを取り込む測定手段と、該測定手段から収集した各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成するデータ収集解析手段と、該測定結果を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定装置。
- 電磁波シールド筐体の外部に配設された電磁波発信手段と、前記電磁波シールド筐体に内蔵された受信手段と、前記電磁波発信手段を前記電磁波シールド筐体の各測定点に走査する走査手段と、前記電磁波発信手段と受信手段を同調/位相同期させて周波数掃印し得るよう前記電磁波発信手段に電磁波を供給する電磁波発生手段及び前記受信手段が受信した測定点毎の測定データを取り込む測定手段と、該測定手段から収集した各測定点の周波数応答データを解析して電磁波強度の差異を把握し得る測定結果を生成するデータ収集解析手段と、該測定結果を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする電磁波シールド筐体の電磁波漏洩状況測定装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP7468891B2 (ja) | 2020-05-27 | 2024-04-16 | 日之出水道機器株式会社 | 測定システムおよび測定方法 |
-
2004
- 2004-10-08 JP JP2004296153A patent/JP2006105901A/ja active Pending
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