本発明は、作動油を正逆双方向に圧送する油圧ポンプと、この作動油により作動する油圧アクチュエータとの間に介在し、この両者間の作動油の正逆双方向の流れを制御するオペレートチェック弁、これらの油圧ポンプ、油圧アクチュエータ、オペレートチェック弁、作動油を貯留するタンクなどを備え、独立して被駆動体に油圧による駆動力を与える油圧駆動ユニットに関する。
油圧配管をすることなく、電源さえあれば、簡易に油圧による駆動力を与える油圧駆動ユニットは、たとえば、農業用特殊車両の耕地面に対する作業機器の昇降などに用いられ、今後、多方面に産業上の利用分野が期待され、拡大されるものである。
図10は、その油圧駆動ユニットの基本的な構成を示す油圧回路図である。
油圧駆動ユニットOUは、独立して、つまり作動油を閉鎖系で循環させながら、被駆動体Wに油圧による駆動力を与えるため、正逆回転モータMにより作動油を正逆双方向に圧送する油圧ポンプOPと、この作動油により作動し前記駆動力を発生させる油圧アクチュエータOA(ここでは、油圧シリンダ)、閉鎖空間内に作動油を貯留するタンクOT、油圧ポンプOPと油圧アクチュエータOAとの間の作動油の正逆双方向の流れを制御するオペレートチェック弁OC、油圧ポンプOPとタンクOTとの間の正逆双方向の作動油の流れを制御する切換弁OIを基本構成要素として備えている。
オペレートチェック弁OCは、基本的に油圧ポンプOPから油圧アクチュエータOAへの作動油の流れのみを許容する一対のチェック弁OCaと、それぞれチェック弁OCaへの作動油圧を他のチェック弁OCaへパイロットする一対のパイロットラインOCbとを備えている。
この一対のチェック弁OCaは、油圧ポンプOPの一方のポートと油圧アクチュエータOAのボトム側油室OAaとを連結する管路と、油圧ポンプOPの他方のポートと油圧アクチュエータOAのロッド側油室OAbとを連結する管路とに、それぞれ設けられている。
切換弁OIは、油圧ポンプOPと油圧アクチュエータOAのボトム側油室OAa、ロッド側油室OAbとの間のいずれかの管路とタンクOTとの間を切換断接するものである。
なお、以下の説明では、左右一対で配置されたチェック弁OCaなどの図上左側のものを、油圧アクチュエータOAのボトム側油室OAaに入出する作動油に関するものとしてボトム側、右側のものを、ロッド側油室OAbに入出する作動油に関するものとしてロッド側と称することがある。同様に、油圧ポンプOPのポートも、左側をボトム側、右側をロッド側と称することがある。
このような構成で、この油圧駆動ユニットOUによれば、油圧ポンプOPが停止している状態では、オペレートチェック弁OCにより、油圧アクチュエータOAのボトム側油室OAa、ロッド側油室OAbのいずれの側からも作動油の流出が阻止され、所定の外力に抗して油圧アクチュエータOAの現状静止状態が維持される。
油圧ポンプOPがボトム側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、油圧ポンプOPからボトム側チェック弁OCaを通過してボトム側油室OAaへ作動油が供給され、同時にパイロットラインOCbでパイロットされたボトム側チェック弁OCaの作動油圧によりロッド側チェック弁OCaが押し開かれ、ロッド側油室OAbから油圧ポンプOPへの作動油の流出を許容し、油圧ポンプOPと油圧アクチュエータOAとの間を時計回りに循環する作動油の流れが生じ、油圧アクチュエータOAに伸び方向への駆動力が発生する。
この際、油圧アクチュエータOAが図示したような油圧シリンダの場合を考えると、この油圧シリンダのピストンの移動量に対して、ボトム側油室OAaに流入する作動油量に比べ、ロッド側油室OAbから流出する作動油量が、このピストンのロッドの分だけ少なくなるが、相対的に圧力の高いボトム側の作動油に押されて切換弁OIがロッド側油室OAbへの管路とタンクOTとの間を接続するように切り換わり、不足分の作動油がタンクOTから供給されるようになっている。
一方、油圧ポンプOPがロッド側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、上記と逆の作動油の循環流れが生じて、油圧アクチュエータOAに縮み方向への駆動力が発生し、ボトム側油室OAaから油圧ポンプOPへ流入する作動油が余分になるが、その余分の作動油は、上記と逆の切換弁OIの作用によりボトム側油室OAaへの管路とタンクOTとが接続され、タンクOTへ戻されるようになっている。
なお、油圧アクチュエータOAである油圧シリンダのピストンの位置により、密閉されたタンクOT内の作動油量が増減し、このタンクOT内に封止された気体圧力が変動するが、この封止気体体積を適当なものとすることで、この気体圧力の変動が、油圧駆動ユニットOUの作動に影響を与えないようにしている。
こうして、閉鎖系であって、その作動により作動油の入出量に差がある油圧アクチュエータOAを用いながら、油圧駆動ユニットOUの機能が発揮保持されているのである。
この油圧駆動ユニットOUには、既述の基本構成要素以外に以下の付加的要素が備えられている。
油圧アクチュエータOAのボトム側油室OAa、ロッド側油室OAbとオペレートチェック弁OCのそれぞれのチェック弁OCaとの間の管路には、それぞれの油室OAa、OAbからチェック弁OCaへの作動油の流れのみを絞るスローリターン弁SRがそれぞれ設けられている。
このスローリターン弁SRは、被駆動体Wから外力が生じた場合に発生するハンチングを防止するためのものである。
前記それぞれのスローリターン弁SRとチェック弁OCaとの間の管路からは、それぞれリリーフ弁RV1を設けた管路がタンクOTへ分岐している。同様に、油圧ポンプOPとボトム側、ロッド側のチェック弁OCaとの間の管路からは、それぞれリリーフ弁RV2を設けた管路がタンクOTへ分岐している。
これらのリリーフ弁RV1、RV2は、分岐元の管路に異常圧が生じた場合に過剰な作動油をタンクOTへ逃がすものである。
更に、ロッド側、ボトム側のスローリターン弁SRとチェック弁OCaとの間の管路からは、非常用手動弁MVを設けた管路がタンクOTへ分岐しており、油圧ポンプOPが電源が得られず停止した場合などに、この非常用手動弁MVで、油圧アクチュエータOAのボトム側油室OAa、ロッド側油室OAbの管路をタンクOTへ解放して、油圧アクチュエータOAを手動操作できるようにしている。
このような構成で、この油圧駆動ユニットOUは、その基本機能を良好に達成しながら、異常事態が発生した場合にも、それがユニットOUの破損に繋がらないようにして、安全性、信頼性、事故回避性を確保している。
図11は、上記油圧駆動ユニットOUを具現化した従来の油圧駆動ユニットの一例を概念的に示す構成図である。
この油圧駆動ユニット70は、図10によって概念的に説明した油圧駆動ユニットOUを構成する油圧ポンプOP、油圧アクチュエータOA、タンクOT、オペレートチェック弁OC、切換弁O、スローリターン弁SR、リリーフ弁RV1、RV2と同様の基本的な機能、相互関係を有する油圧ポンプ61、油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ62、タンク63、オペレートチェック弁64、切換弁65、スローリターン弁66、リリーフ弁67、68を備えている。
なお、油圧シリンダ62の符号62aはボトム側油室、符号62bはロッド側油室である。また、ここでは、図10の油圧回路図で示した非常用手動弁MVはここでは示されていないが、これは必要に応じて備えられているものとし、図示していないが、油圧ポンプOPには駆動用の電動モータが備えられているものとする。
ここでは、オペレートチェック弁64、切換弁65のより具体的な構成について説明する。
オペレートチェック弁64は、弁収容部64a、この弁収容部64a内の中央部に収容されたパイロット部64i、このパイロット部64iを挟み込んで相互に対向するように収容された一対のチェック弁64bを備えている。
弁収容部64aは、筒状体の収容筒64aaと、その両端開口を油密に閉止する収容筒蓋64abとから構成され、この収容筒64aaの内部収容空間にパイロット部64iと一対のチェック弁64bが油密に収容されている。
パイロット部64iは、収容筒64aaの内部収容空間の中央に隙間なく収容された円筒状のスプール筒64jと、このスプール筒64jの内部円柱空間にスライド可能に収容されたパイロットスプール64lとを備えている。
スプール筒64jには、その筒部に油圧ポンプ61の二つポートへの管路と接続され、かつ、切換弁65の二つの開口65bへの管路とも接続され、これらの管路、つまり、油圧ポンプ61、切換弁65との間の作動油の流通を可能とする四つの開口64kが設けられている。
スプール64lは、外径がスプール筒64j内周にスライド可能とされた円柱体64laの両端に小径のパイロット突起64lbがそれぞれ設けられた構造である。スプール筒64j内は、スプール64lに仕切られ、それぞれの開口64kに通じた二つ油室が形成されている。
このような構成で、パイロットスプール64lは、常時、油圧ポンプ61、タンク63相互間の作動油の流通を許可しながら、油圧ポンプ61が回転すると、その吐出側と接続された油室の油圧がより高くなるので、これにより、非吐出側へと移動するようになっている。
一対のチェック弁64bは、相互にまったく同じもので構成され、弁座体64cと、この弁座体64c内でスライドする弁体64dと、この弁体64dを常時閉方向に付勢するスプリング64hとを備えている。
弁座体64cは、一方がより小さい開口である弁座穴64cbとなっている筒状体であり、その弁座穴64cb側近辺の筒部に油圧シリンダ62のロッド側油室62b(反対側では、ボトム側油室62a)への管路との作動油の流通を可能とする開口64caが設けられている。
弁体64dは先端が円錐状の弁部64eとして閉止され、他方開口となっている筒状体であり、その内筒部64fに、上記スプリング64hが収容され、このスプリング64h後端と弁座体64cの後端を弁収容部64aの収容筒蓋64abが規制している。
弁体64dの弁部64e終了端より後方には、開口64caから流通してきた作動油を内筒部64fへも流通させる開口64gが設けられている。
切換弁65は、弁収容部65hと、この弁収容部65h内に隙間なく収容された円筒状のスプール筒65aと、このスプール筒65aの内部円柱空間にスライド可能に収容されたスプール65dとを備えている。
弁収容部65hは、筒状体の収容筒65haと、その両端開口を油密に閉止する収容筒蓋65hbとから構成され、この収容筒65haの内部収容空間にスプール筒65aが油密に収容されている。
スプール筒65aには、その筒部にオペレートチェック弁64からの二つの管路と接続され、これらの管路との間で作動油の流通を可能とするための二つの開口65bと、この二つの開口65bに干渉せず、かつ両開口65bのスプール筒65aの筒軸方向の中央となる位置に、タンク63への管路との作動油の流通を可能とする開口65cとが設けられている。
スプール65dは、二つの円板をこの円板の外径より小さい外径の円柱体で串刺しにした形状をしており、この円板部65fの外径がスプール筒65aの内周に対してスライド可能となる程度の外径となっている。
この二つの円板部65f相互間の距離は、図示するように、スプール65dが中央に位置した際に、上記二つのオペレートチェック弁64側の開口65bとタンク63側への開口65cとの間の作動油の流通を阻止するものとなっている。また、どちらか一方向に、例えばボトム側にスプール65dがスライドした場合には、二つのオペレートチェック弁64側の開口65bのボトム側だけと、タンク63側への開口65cとの作動油の流通を許可するものとなっている。
円柱体の二つの円板部65fに挟まれる中軸部65gの外径は、スプール65d全体の構造的強度を保持する程度以上に太く、また、その外周とスプール筒65a内周との間に作動油が抵抗なく流通する程度以上に細くなっている。
円板部65fの外側に伸び出している外軸部65eの突出長さは、その先端が弁収容部65hの例えばボトム側の収容筒蓋65hbに当接した際に、オペレートチェック弁64側の開口65bのボトム側だけと、タンク63側への開口65cとの間の作動油の流通を維持するものとなっている。
スプール65dを構成する上記各部は、相互に固定され、全体が一体的にスライドするものである。
このような構成で、スプール65dは、円板部65fの上記機能に加え、一方の外軸部65eに油圧ポンプ61の吐出側のより高圧な作動油が供給されている場合は、非吐出側へ移動し、油圧ポンプ61の吸込側とタンク63を結ぶ。油圧ポンプ61の回転が逆になり、吐出側と吸込側が逆になった場合には、スプール65dは上記と逆の作動をする。
これらのオペレートチェック弁64、切換弁65の作動について説明する。
この図11自体は静止状体、つまり、油圧ポンプ61が回転していない状態を示しており、この状態では、油圧ポンプ61側からは作動油に圧力は付加されず、油圧ポンプ61とオペレートチェック弁64の内部油室に間に含まれる作動油、切換弁65の両側油室内及び中央側油室とタンク63との間に含まれる作動油は静止している。
オペレートチェック弁64の左右のチェック弁64bは、スプリング64hの付勢力により閉止されており、油圧シリンダ62のボトム側油室62a、ロッド側油室62bのいずれからの作動油もチェック弁64bで閉止され、油圧シリンダ62の静止状態が維持されている。
ここで、油圧ポンプ61がボトム側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、この油圧により、ボトム側のチェック弁64bが開き、油圧シリンダ62のボトム側油室62aに作動油が供給され、同時にパイロット部64iのパイロットスプール64lもこの油圧により図の右方、ロッド側へ移動し、そのロッド側の外軸部64lbがロッド側のチェック弁64bを開いて、油圧シリンダ62のロッド側油室62bからの作動油の流れを許容して、油圧シリンダ62を伸び方向へ駆動する。
この際、同時に、切換弁65のスプール65dもこの油圧により図の右方、ロッド側へ移動し、油圧ポンプ61のロッド側とタンク63との間の作動油の流通が許可され、油圧シリンダ62のロッド側油室62bからの作動油に加え、タンク63からの作動油が油圧ポンプ61のロッド側ポートに流入して、油圧シリンダ62のボトム側油室62aに対するロッド側油室62bの作動油量の不足分をカバーしている。
一方、油圧ポンプ61がロッド側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、チェック弁64、切換弁65に逆の動作が生じ、油圧シリンダ62を縮み方向へ駆動し、油圧シリンダ62のロッド側油室62bに対するボトム側油室62aの作動油流量の過剰分をタンク63へ戻すようにしている。
こうして、このオペレートチェック弁64、切換弁65は、それぞれの機能を発揮している。また、オペレートチェック弁64のパイロット部64iは、図10の油圧駆動ユニットOUに備えられたオペレートチェック弁OCのパイロットラインOCbの役割を果たしている。
しかしながら、上記油圧駆動ユニット70においては、オペレートチェック弁64、切換弁65が別個独立して設けられているため、それだけスペースを要し、相互間を結ぶ管路も必要とされ、より一層のコンパクト化を実現し得なかった。また、この問題は、油圧駆動ユニットの部品としてでななく、正逆双方向の作動油の流れを制御するために組み合わせて用いられるオペレートチェック弁、切換弁の場合にも共通するものである。
また、油圧駆動ユニットの他の具体的な従来例としては、特許文献1、特許文献2に記載されたものなどもあるが、いずれも上記の問題の解決するものではなかった。
特許第2824659号公報(第1図)
特開2003−172307号公報(第1図)
本発明は、上記問題を改善しようとするもので、切換弁を吸収一体化して、省スペース、多機能化を可能とするオペレートチェック弁、および、このオペレートチェック弁を用いることで、コンパクト化を実現する油圧駆動ユニットを提供することを目的としている。
本発明のオペレートチェック弁は、作動流体を正逆双方向に圧送する油圧ポンプと、この作動流体により作動する油圧アクチュエータとの間に介在し、前記油圧ポンプと前記油圧アクチュエータとの間の作動流体の正逆双方向の流れを制御するオペレートチェック弁であって、
弁収容部内の中央に前記油圧ポンプと作動流体を貯留するタンクとの間の正逆双方向の作動流体の流れを制御する切換弁を同軸状に収容し、その両側に、この切換弁を挟んで相互に対向するように収容されたチェック弁を備えて、前記切換弁を前記オペレートチェック弁に一体化したことを特徴とし、また、独立して被駆動体に油圧による駆動力を与える油圧駆動ユニットにおいてもその機能を十分に発揮するものである。
本発明の油圧駆動ユニットは、上記特徴を有するオペレートチェック弁を備えたことを特徴とする。
本発明のオペレートチェック弁は、切換弁をオペレートチェック弁に一体化したので、省スペース、多機能化を可能とする。また、本発明の油圧駆動ユニットは、このオペレートチェック弁を備えたので、その効果をユニットとして発揮し、コンパクト化を実現する。
以下に、本発明の実施の形態(実施例)について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの一例を概念的に示す構成図である。
この油圧駆動ユニット10は、独立して簡易に油圧による駆動力が必要とされる、たとえば、農業用特殊車両の耕地面に対する作業機器の昇降などに用いられ、また、この油圧駆動ユニット10に含まれるオペレートチェック弁4は、この油圧駆動ユニット10の部品として用いられる他、正逆双方向の作動油の流れを制御するために切換弁と組み合わせて用いられるオペレートチェック弁としても用いられるものである。
その構成は、図示しない電動モータを備え作動油を正逆双方向に圧送する油圧ポンプ1と、この作動油により作動し被駆動体Wへの駆動力を発生させる油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ2、閉鎖空間内に作動油を貯留するタンク3、油圧ポンプ1と油圧シリンダ2との間の作動油の正逆双方向の流れを制御するオペレートチェック弁4とからなることを基本とし、油圧ポンプ1とタンク3との間の正逆双方向の作動油の流れを制御する切換弁5をオペレートチェック弁4内に吸収一体化した点を特徴とする。
この切換弁をオペレートチェック弁に吸収一体化する着想は、発明者の鋭意検討の結果、図11のオペレートチェック弁64におけるパイロット部64iと切換弁65とは、作動油の正逆流制御の点からは同じ動作をしており、切換弁の形状を工夫すれば、パイロット部に一体化できるということを見出した結果であり、以下に説明するように、このような構成で、パイロット機能と切換機能を同時に発揮することを可能にするものである。
これらの油圧ポンプ1、油圧シリンダ2、タンク3、オペレートチェック弁4、切換弁5の基本的な機能、相互関係は、従来例の油圧駆動ユニットOUを構成する油圧ポンプOP、油圧アクチュエータOA、タンクOT、オペレートチェック弁OC、切換弁OIと同じであるので、重複説明を省略する。なお、油圧シリンダ2の符号2aはボトム側油室、符号2bはロッド側油室である。
また、ここでは、図10の油圧回路図で示したスローリターン弁SR、リリーフ弁RV1、RV2、非常用手動弁MVは示されていないが、これらは必要に応じて備えられているものとする。
オペレートチェック弁4は、弁収容部4a、この弁収容部4a内の中央部に収容された切換弁5、この切換弁5を挟み込んで相互に対向するように収容された一対のチェック弁4bを備えている。
弁収容部4aは、この例では筒状体の収容筒4aaと、その両端開口を油密に閉止する収容筒蓋4abとから構成される。
この弁収容部4aは、ここでは、説明を解りやすくするために、筒状の別個独立の部品として示しているが、実際の油圧駆動ユニットにおいては、ユニット全体の構造体の一部分として構造体の中に組み込まれ、その内部に、弁収容部4aの内部収容空間が形成されるようにするものも含まれる。オペレートチェック弁4が単体として用いられる場合は、このような弁収容部4aを用いるのが望ましい。
この弁収容部4aの収容筒4aaの内部収容空間に切換弁5と一対のチェック弁4bが油密に収容されている。
切換弁5は、収容筒4aaの内部収容空間の中央に隙間なく収容された円筒状のスプール筒5aと、このスプール筒5aの内部円柱空間にスライド可能に収容されたスプール5bとを備えている。
スプール筒5aには、その筒部に油圧ポンプ1からの二つの管路と接続され、これらの管路との間で作動油の流通を可能とするための二つの開口5abと、この二つの開口5abに干渉せず、かつ両開口5abのスプール筒5aの筒軸方向の中央となる位置に、タンク3への管路との作動油の流通を可能とする開口5acとが設けられている。
スプール5bは、二つの円板をこの円板の外径より小さい外径の円柱体で串刺しにした形状をしており、この円板部5bbの外径がスプール筒5aの内周に対してスライド可能となる程度の外径となっている。
この二つの円板部5bb相互間の距離は、図示するように、スプール5bが中央に位置した際に、上記二つの油圧ポンプ1側の開口5abとタンク3側への開口5acとの間の作動油の流通を阻止するものとなっている。また、どちらか一方、例えばボトム側にスプール5bがスライドした場合には、二つの油圧ポンプ1側の開口5abのボトム側だけと、タンク3側への開口5acとの作動油の流通を許可するものとなっている。
円柱体の二つの円板部5bbに挟まれる中軸部5bcの外径は、スプール5b全体の構造的強度を保持する程度以上に太く、また、その外周とスプール筒5a内周との間に作動油が抵抗なく流通する程度以上に細くなっている。
円板部5bbの外側に伸び出している外軸部5baの突出長さは、スプール5bが最大限移動した際に対向するチェック弁4bを全開するものとされ、その外径は、後述するチェック弁4bの弁座穴4cbを支障なく通過し、弁座穴4cbとの間で作動油の流通を容易に可能とする程度とされている。
スプール5bを構成する上記各部は、相互に固定され、全体が一体的にスライドするものである。
このような構成で、スプール5bは、円板部5bbの上記機能に加え、一方の外軸部5baがその側のチェック弁4bを開いている際には、この側のチェック弁4b、油圧ポンプ1、タンク3相互間の作動油の流通を許可するものとなっている。
一対のチェック弁4bは、相互にまったく同じもので構成され、弁座体4cと、この弁座体4c内でスライドする弁体4dと、この弁体4dを常時閉方向に付勢するスプリング4hとを備えている。
弁座体4cは、一方がより小さい開口である弁座穴4cbとなっている筒状体であり、その弁座穴4cb側近辺の筒部に油圧シリンダ2のロッド側油室2b(反対側では、ボトム側油室2a)への管路との作動油の流通を可能とする開口4caが設けられている。
弁体4dは先端が円錐状の弁部4eとして閉止され、他方開口となっている筒状体であり、その内筒部4fに、上記スプリング4hが収容され、このスプリング4h後端と弁座体4cの後端を弁収容部4aの収容筒蓋4abが規制している。
弁座体4cの弁座穴4cbが、スプリング4hで付勢された弁体4dの弁部4eにより閉止されている。
弁体4dの弁部4e終了端より後方には、開口4caから流通してきた作動油を内筒部4fへも流通させる開口4gが設けられている。
このような構成で、このオペレートチェック弁4がチェック弁機能と、切換弁機能の双方を発揮する点を以下に説明する。
この図1自体は静止状体、つまり、油圧ポンプ1が回転していない状態を示しており、この状態では、油圧ポンプ1側からは作動油に圧力は付加されず、油圧ポンプ1とオペレートチェック弁4に内蔵された切換弁5の両側内部油室に間に含まれる作動油、切換弁5
の中央側内部油室とタンク3との間に含まれる作動油は静止している。
オペレートチェック弁4の左右のチェック弁4bは、スプリング4hの付勢力により閉止されており、油圧シリンダ2のボトム側油室2a、ロッド側油室2bのいずれからの作動油もチェック弁4bで閉止され、油圧シリンダ2の静止状態が維持される。
ここで、油圧ポンプ1がボトム側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、この油圧により、ボトム側のチェック弁4bが開き、油圧シリンダ2のボトム側油室2aに作動油が供給される。
同時に切換弁5のスプール5bもこの油圧により図の右方、ロッド側へ移動し、油圧ポンプ1のロッド側ポートとタンク3との間の作動油の流通を許すと同時に、スプール5bのロッド側の外軸部5baがロッド側のチェック弁4bを開いて、油圧シリンダ2のロッド側油室2bからの作動油の流れを許容し、油圧シリンダ2に伸び方向への駆動力を発生させる。
この際、油圧シリンダ2のロッド側油室2bと、ロッド側のチェック弁4b、タンク3間の作動油の流通が許可されており、油圧シリンダ2のロッド側油室2bからの作動油に加え、タンク3からの作動油が油圧ポンプ1のロッド側ポートに流入して、油圧シリンダ2のボトム側油室2aに対するロッド側油室2bの作動油流量の不足分をカバーしている。
一方、油圧ポンプ1がロッド側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、切換弁4、チェック弁4bに逆の動作が生じ、油圧シリンダ2に縮み方向への駆動力を発生させ、油圧シリンダ2のロッド側油室2bに対するボトム側油室2aの作動油流量の過剰分をタンク3へ戻すようにしている。
こうして、オペレートチェック弁4に収容された中央の切換弁5、これを挟むように対向する一対のチェック弁4bの相互作用により、従来のオペレートチェック弁の機能を果たしながら、切換弁の機能も果たしている。
つまり、本発明のオペレートチェック弁4は、これまでの切換弁を吸収一体化したものであり、これにより、オペレートチェック弁の多機能化が図れ、別個に切換弁を設けるスペース、費用、切換弁とチェック弁とを接続する管路などが不要になる。また、このようなオペレートチェック弁4を備えた油圧駆動ユニット10としては、その機能を維持しながら、装置のコンパクト化、コストダウンを図ることができる。
なお、これより以下に説明する実施例2から実施例10では、実施例1で説明した切換弁弁をオペレートチェック弁に吸収一体化するということを基本としながら、切換弁のポペット化、固定式あるいは可変式のスローリターンの吸収一体化、リリーフ弁の吸収一体化の種々の組み合わせについて説明する。
図2(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図である。これより、既に説明した部分と同じ部分については、同じ符号を付して重複説明を省略する。また、各部分の集合体について別個の符号がある場合については、煩雑さを避けるために、集合体の符号だけを示すようにすることがある。
図2(a)の油圧駆動ユニット10Aは、図1の油圧駆動ユニット10に比べ、オペレートチェック弁4Aに収容した切換弁5Aをポペット式とした点が異なっている。よって、チェック弁4bは油圧駆動ユニット10のオペレートチェック弁4に収容されたものと全く同一のものであり、ここでは、その相違する切換弁5Aについて説明する。
この切換弁5Aは、一対の全く同じものを対向させて、オペレートチェック弁4Aの収容筒4aaの中央部分に収容したものであり、それぞれ弁座筒5h、この弁座筒5h内でスライドする弁体5iを備えている。
弁座筒5hは、内周側が1段の段付きとなった筒状体であり、その外周は収容筒4aaの内周に隙間なくまた油密に嵌合している。内周側は小径部5haと大径部5hbで構成され、この小径部5haが対向する切換弁5Aの小径部5haと連接するようになっている。大径部5hbの最も小径部5ha寄りの周壁には、油圧ポンプ1への管路との作動油の流通を可能とする開口5hcが設けられ、小径部5haの周壁には、タンク3への管路との作動油の流通を可能とする開口5hdが設けられている。
弁体5iは、円板の両側中心の一方に一段の段付き突起、他方に段なし突起を設けた形状であり、この円板部5iaの外径が弁座筒5hの大径部5hbの内周に対してスライド可能とされている。
段付き突起は、最先端の小径部5ib、これに続くより大径の中径部5ic、これに続く弁勾配部5idから構成され、中径部5icが弁座筒5hの小径部5haに対して所定の隙間をもって嵌合し、弁勾配部5idが弁座筒5hの小径部5haから大径部5hbへの段縁に当接して、双方間の作動油の流通を阻止するようになっており、これがポペット式と称される由縁である。
円板部5iaには、段付き突起側から段なし突起側への作動油の流通を可能とする貫通孔5ieが設けられている。
段なし突起は後部突起5ifと称され、弁体5iが最大限移動した際、この後部突起5ifの先端がチェック弁4bを構成する弁体4dの円錐状の弁部4eを全開し、このチェック弁4bからの作動油の流入を許可するようになっている。
なお、弁体5iは、その小径部5ibの先端が、対向する切換弁5Aの小径部5ibの先端と当接するように弁座筒5hに組み込まれている。
このような切換弁5Aを備えたオペレートチェック弁4Aは以下のように作動し、図1のオペレートチェック弁4と同様の機能、効果を発揮する。
まず、この図に示す状態は、ポンプ1の静止状態である。この際、切換弁5Aは図示するような中立状態にあり、一対のチェック弁4bもそれぞれ閉止状態が維持され、油圧アクチュエータ2の静止状態が維持される。
ここで、油圧ポンプ1がボトム側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、その高圧の作動油がボトム側の弁座筒5hの開口5hc、弁体5iの貫通孔5ieを介して、この弁体5iとチェック弁4bとの間の油室に流入し、これにより、このボトム側のチェック弁4bが開き、油圧シリンダ2のボトム側油室2aに作動油が供給される。
これと同時に、ボトム側切換弁5Aの弁体5iが図の右方、ロッド側へ移動し、ロッド側切換弁5Aの弁体5iをロッド側へ移動させ、これによりロッド側のチェック弁4bが開き、油圧シリンダ2のロッド側油室2bからの作動油が、このチェック弁4b、ロッド側切換弁5Aの弁体5iに設けられた貫通孔5ie、弁座筒5hの開口5hcを介して、油圧ポンプ1へ流入し、油圧シリンダ2に伸び方向への駆動力を発生させる。
この際、ロッド側切換弁5Aでは、弁体5iの段付き突起側の油室は、弁座筒5hの開口5hdを介して、タンク3とも作動油の流通が可能となっており、油圧シリンダ2のボトム側油室2aに対するロッド側油室2bの作動油量の不足分がタンク3から供給される。
一方、油圧ポンプ1がロッド側ポートへ作動油を吐出するように回転すると、オペレートチェック弁4Aの一対のチェック弁4bと、切換弁5Aは、上記と逆の作動をし、油圧シリンダ2に縮み方向への駆動力を発生させ、その際の余分の作動油は、ボトム側切換弁5Aにおいてタンク3への作動油の流通が可能とされ、タンク3へ戻される。
上記、いずれの駆動の場合にも、切換弁5Aの弁体5iと弁座筒5hとの間の閉止がポペット式として構成され、作動油の流れを完全に閉止でき、図1のようなスプール式の切換弁5に比べ、ボトム側とロッド側及びタンク間のリークを防止でき、ポンプ効率を向上させることができる。
また、切換弁5Aの弁体5iの中径部5icの外径と弁座筒5hの小径部5haとの間の所定の隙間は、この両者間を通過する作動油の量を適度に絞ることで、段付き突起側だけ中径部5icの面積にタンク3側の油圧が作用するようにし、弁体5iの円板部5iaの両面に作用する力のうち、相対的に段なし側に作用する力を大きくして、パイロット作用が発揮されるようにしている。
図2(b)に示す油圧駆動ユニット10A′は、図2(a)の油圧駆動ユニット10Aに比べて、オペレートチェック弁4A′において、チェック弁4b′と切換弁5A′との間の当接を実現するための突起が、チェック弁側にある点が異なっている。
図2(a)の油圧駆動ユニット10Aでは、チェック弁4bは、図1の油圧駆動ユニット10におけるチェック弁4bと同じものであったが、この例においては、チェック弁4b′と切換弁5A′とが相互に当接し、影響し合うための突起が、チェック弁4b′側に設けられ、つまり、チェック弁4b′を構成する弁体4d′の円錐状の弁部4e′が、先端に、油圧駆動ユニット10Aの切換弁5Aを構成する弁体5iの後部突起5iを代替する突起4eaを設けたものとなっている。
これに対応して、切換弁5A′を構成する弁体5i′の円板部5iaには後部突起5iに相当するものがない。
このような構成であっても、図2(a)の油圧駆動ユニット10Aと全く同様の機能、効果を発揮することは明らかである。
上記、図2(a)、(b)で説明したオペレートチェック弁4A、4A′は、それぞれ油圧駆動ユニット10A、10A′の部品として上記機能、効果を発揮すると共に、正逆双方向の作動油の流れを制御するために用いられる、切換弁機能を備えたオペレートチェック弁としても上記機能、効果を発揮する。
また、そのようなオペレートチェック弁4A、4A′を備えた油圧駆動ユニット10A、10A′は、これらの機能、効果をユニットとして発揮する。
なお、この例のオペレートチェック弁4A、4A′は、従来例に比べると、切換弁を一体化し、ポペット化した点を特徴とする。
図3(a)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(b)は(a)の要部詳細図、(c)は(b)のAA矢視断面図である。
この油圧駆動ユニット10Bは、図2(b)の油圧駆動ユニット10A′に比べ、オペレートチェック弁4Bに収容した一対のチェック弁4iがスローリターン弁機能をも備えている点が異なっている。
このチェック弁4iは、図2(b)のチェック弁4b′に比べ、それを構成する弁座体4cは共通するが、弁体4jはその円錐状の弁部4kの先端側が一段の段付き突起となっている点が異なる。
この段付き突起の先端突部4kaは、油圧ポンプ1から吐出される作動油に押されて、弁体4jが最後端(弁体4jの後端が収容蓋4abに当接する状態)となった際に、弁座穴4cbに位置する状態になり、弁4iを全開する。
先端突部4kaに続く段部4kbは、その外径が弁座穴4cbの内径に対してスライド可能で作動油の流通は阻止する程度のものとなっており、その幅は、チェック弁4iの全閉から切換弁5A′のパイロット作用により開かれる開度(吐出側切換弁5A′の弁体5iの弁勾配部5idが弁座筒5hの小径部5haを閉止する)まで弁座穴4cbに対して、下記の固定絞り通路4kcによるもの以外の作動油の流通を阻止するものとなっている。。
この段部4kbには、その前端から円錐勾配に達する位置まで、その外周から一定深さの固定絞り通路4kcが設けられ、チェック弁4iがパイロット作用により開かれている間、所定流量の作動油の逆流を許可するものである。
この固定絞り通路4kcは、その溝の空間断面積が弁体4jの軸方向に変化しないものである。
なお、弁体4jに固定絞りを設ける方法は、上記のような固定絞り通路4kcとする他、この通路面積に相当するように、段部(4kbに相当)の外径を、弁座体4cの弁座穴4cbの内径に対して小さくする方法でもよい。
この固定絞り通路4kcは、チェック弁4iの中に組み込まれることで、全体として、図3と図10とを比較すると、油圧ポンプ1から油圧シリンダ2への作動油の流入は許可し、このチェック弁4iがパイロット作用により所定開度開いて、油圧シリンダ2から油圧ポンプ1への作動油の逆流を許容する場合に、この絞り通路4kcの分だけ油圧シリンダ2から油圧ポンプ1への作動油の流れを許可するものであり、図10のスローリターン弁SRの役割をも果たすことができるようになっている。
こうして、チェック弁4iにこのような固定絞り通路4kcを設けるというわずかの追加工を施すだけで、従来、別個に設けていた固定式のスローリターン弁を不要とすることができるのである。
なお、このような固定絞り通路4kcは、図1の油圧駆動ユニット10を構成するオペレートチェック弁4、図2(a)の油圧駆動ユニット10Aを構成するオペレートチェック弁4Aに共通して用いられるチェック弁4bについても、追加で設けることができ、同様の効果を発揮する。
また、この例のオペレートチェック弁4Bは、従来例に比べると、切換弁を一体化し、ポペット化し、更に、固定式のスローリターン弁をも一体化した点を特徴とする。
図4(a)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(b)は(a)のチェック弁の弁部詳細図である。
この油圧駆動ユニット10Cは、図3の油圧駆動ユニット10Bに比べ、オペレートチェック弁4Cに収容した一対のチェック弁4lがスローリターン機能をも備えている点は共通するが、油圧駆動ユニット10Bのチェック弁4iのスローリターン機能がその絞り量を変更することができない固定式であるのに比べ、このチェック弁4lでは、スローリターンの絞り量を変更可能な可変式となっている点が異なっている。
このチェック弁4lは、図3のチェック弁4iに比べ、弁座体4mが弁収容部4a′に対して出し入れ調節可能に収容されている点、弁体4nの弁部4oに絞り勾配部4oaが設けられている点が異なっている。
弁座体4mの切換弁5側部分は、図3のチェック弁4iの便座体4cと共通する。
弁座体4mの反切換弁5側部分には、内周にスプリング4hの後端を規制する円板4ma、この円板4maの位置決めをするストップリング4mb、弁座体4mの後方開口を油密に閉止する蓋4mcが備えられ、外周に雄ねじ4mdが形成され、この雄ねじ4mdには、止めナット4meが外嵌されている点で異なっている。
弁収容部4a′は、図1の弁収容部4aに比べ、収容筒蓋4abがなく、代わりに、収容筒4aa′の両端開口内部に、弁座体4mの雄ねじ4mdに対応した雌ねじ4acが形成されている点が異なっている。
これにより、弁座体4mの雄ねじ4mdを弁収容部4a′の雌ねじ4acにネジ嵌合させ、その任意の位置での嵌合状態を止めナット4meで固定することができる。
弁部4oの絞り勾配部4oaは、弁部4oの閉止のための円錐勾配に比べ、より緩やかなものとなっている。その先端の突起4obは、図2(b)のチェック弁4b′を構成する弁体4dの弁部4e′に設けられた突起4eaと同じものである。
このような構成で、このチェック弁4lを備えたオペレートチェック弁4Cによれば、スローリターン機能を発揮するだけでなく、弁体4nを収容した弁座体4mの出し入れ位置を調節することで、弁部4oの絞り勾配部4oaのどの部分で、スローリターンの絞りが発揮されるかを調節することができ、可変絞りとすることができる。
また、この絞り勾配部4oaの勾配を緩やかなものとすることで、可変絞りの調節をより微妙に調節できるようにすることができる。可変絞りは、この例のように半径を変化させる勾配部により実現可能であるが、図7(c)のスプール5b′′に設けられた通路の断面積を変化させるような変化絞り通路としてもよい。
なお、この例のオペレートチェック弁4Cは、従来例に比べると、切換弁を一体化し、ポペット化し、更に、可変式のスローリターン弁をも一体化した点を特徴とする。
図5(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(c)は(b)のスプール要部詳細図である。
図5(a)に示す油圧駆動ユニット10Dは、図1の油圧駆動ユニット10に比べ、オペレートチェック弁4Dに収容された切換弁5Bが、この切換弁5Bを挟んで収容され、図3のオペレートチェック弁4Bに収容されたスローリターン弁機能付きのチェック弁4iと同じチェック弁4iと相俟って、スローリターン弁機能を発揮する点が異なっている。
オペレートチェック弁4Dに収容された切換弁5Bは、その基本的構造は、図1の切換弁5と同様であり、異なるのは、スプール筒5a′が切換弁5のスプール筒5aに比べ、スプール5bが油圧ポンプ1から吐出される作動油に押されて、非吐出側のチェック弁4iをパイロット開放するのを所定位置で規制する移動規制手段5jを、ボトム側、ロッド側のそれそれに設けた点である。
この移動規制手段5jは、図3のポペット式の切換弁5A、5A′を構成する弁体5iの弁勾配部5idのパイロット制止機能と同様に機能するものであり、これにより、チェック弁4iの絞り通路4kcのスローリターンの絞りが有効な範囲で、パイロット機能が発揮されるようになる。
こうして、このオペレートチェック弁4Dによれば、図1の油圧駆動ユニット10と同様のスプール式切換弁を用いながら、スローリターン弁機能を発揮することができる。
図5(b)に示す油圧駆動ユニット10D′は、図5(a)の油圧駆動ユニット10Dに比べ、オペレートチェック弁4D′においてスプール式切換弁5B′を用いながらスローリターン弁機能を発揮する点は共通しているが、スローリターンの絞りをチェック弁側ではなく、切換弁側に設けた点が異なっている。
したがって、チェック弁4bは、スローリターン弁機能のない、図1の油圧駆動ユニット10のオペレートチェック弁4に収容されたチェック弁4bと同じものである。
一方、切換弁5B′においては、スプール筒5aは、図5(a)のオペレートチェック弁4Dに収容された切換弁5Bに比べ、移動規制手段5jがなく、図1のオペレートチェック弁4に収容された切換弁5のスプール筒5aと共通する。
しかし、スプール5b′の両端の外軸部5kの外径が、チェック弁4bの弁座穴4cbの内径に対して、作動油の流通を阻止しながらスライド可能な程度となっており、この外径にパイロット機能が発揮される範囲で固定絞り通路5kaが設けられている点がスプール5bと異なっている。
固定絞り通路5kaは、図5(c)に示すように、その溝の空間断面積がスプール5bの軸方向に変化しないものである。
なお、スプールに固定絞りを設ける方法は、上記のような固定絞り通路5kaとする他、この通路面積に相当するように、外軸部5kの外径を、チェック弁4bの弁座穴4cbの内径に対して小さくする方法でもよい。
また、このように、固定絞りを切換弁側に設ける場合には、図5(a)の場合に必要であった移動規制手段5jを設ける必要がない。これは、ここに設けられた固定絞りは、そのパイロット機能が発揮されている間、常に作用するように設置可能だからである。
一方、図5(a)の場合は、固定絞りはチェック弁4i側に設けられ、このチェック弁4iは、油圧ポンプ1から吐出された作動油によって全開となる必要もあるので、チェック弁4iの弁体4jの先端には、全開に対応した先端突起4kaと、パイロット開に対応した絞り通路4kcを設けた段部4kbとが連設されている。
したがって、スプール5bが、パイロット開に対応した絞り通路4kcの有効となる範囲でチェック弁4iの弁体4jを開く必要があるので、移動規制手段5jが必要となるのである。
このような構成でも、図5(a)のオペレートチェック弁4Dと同様に、スプール式切換弁を用いながら、スローリターン弁機能を発揮することができる。
なお、この例のオペレートチェック弁4D、4D′は、従来例に比べると、切換弁を一体化し、固定式のスローリターン弁をも一体化した点を特徴とする。
図6(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図である。
図6(a)に示す油圧駆動ユニット10Eは、図5の油圧駆動ユニット10Dに比べ、オペレートチェック弁4Eに収容された切換弁5Cが、リリーフ弁を吸収一体化したものである点が異なっている。
オペレートチェック弁4Eに収容された切換弁5Cのスプール筒5a′は、図5の切換弁5Bのスプール筒5a′と共通であり移動規制手段5jを備えている。
異なるのは、リリーフ弁機能を備えたスプール5lであり、このスプール5lは、二枚の円筒板5la、この円筒板5laに挟まれて円筒板5laを相互に離れるように付勢するスプリング5lb、円筒板5laが相互に離れる範囲を規定するストップリング5lc、これらの円筒板5la、スプリング5lb、ストップリング5lcを貫通する貫通軸5ldとを備えている。
円筒板5laの外径は、スプール筒5a′の内径にスライド可能となっており、円筒板5laの内径は貫通軸5ldの外径にスライド可能となっている。スプリング5lbは貫通軸5ldの二枚の円筒板5laの間に外嵌される。ストップリング5lcは、貫通軸5ldの所定位置に設けられた溝に嵌められ、円筒板5laがスプリング5lbに付勢され相互に離れる最大範囲を規定する。
貫通軸5ldの両端は、対向するチェック弁4iを構成する弁体4jの先端突部4kaに当接し、この弁体4jを押し開き、作動油の流通を可能とする突起5leとなっている。
スプリング5lbに付勢され、ストップリング5lcによる規制位置で相互に離れた状態の
二枚の円筒板5laは、図5の切換弁5Bのスプール5b(図1とも共通)の二つの円板部5bbと同じ位置関係にあり、同様の機能を発揮し、通常は、このスプール5lを備えた切換弁5Cも、図5の切換弁5Bと同様の機能、効果を発揮する。また、移動規制手段5jによって、スローリターン機能を発揮させるものであることも同様である。
油圧ポンプ1が作動中で、スプール5lで仕切られた両側の油室のうち、ポンプ1の吐出側ポートと流通しタンク3と流通していない吐出側油室に、なんらかの理由で所定以上の高圧が生じた場合、この吐出側の円筒板5laが反吐出側方向へスプリング5lbの付勢力に抗して移動し、タンク3への開口5acを通過するようになり、その高圧の作動油がタンク3に戻される。
こうして、この構成のスプール5lによって、図10の油圧駆動ユニットOUのリリーフ弁RV2の機能も実現され、このリリーフ弁RV2がオペレートチェック弁4Eに吸収一体化されたことになる。
図6(b)に示す油圧駆動ユニット10E′は、図6(a)の油圧駆動ユニット10Eに比べ、オペレートチェック弁4E′に収容された切換弁5C′が、リリーフ弁を吸収一体化したものである点は共通しているが、スローリターンの絞りをチェック弁側ではなく、切換弁側に設けた点が異なっている。
つまり、図6(a)の油圧駆動ユニット10Eでは、オペレートチェック弁4Eに収容されたチェック弁4iの弁体4jが固定絞り通路4kcを備えでいるが、この油圧駆動ユニット10E′では、オペレートチェック弁4E′に収容されたチェック弁4bは、スローリターンの絞りを設けないものである。
代わりに、図5(b)の切換弁5B′と同様に、その切換弁5C′のスプール5l′の貫通軸5lfの外径がチェック弁4bの弁座穴4cbの内径に対して、作動油の流通を阻止しながらスライド可能な程度となっており、この貫通軸5lfの両端に、パイロット機能が発揮される範囲で固定絞り通路5lgが設けられている点がスプール5lと異なっている。
このような構成でも、図6(a)のオペレートチェック弁4Eと同様に、リリーフ弁機能を発揮することができる。
なお、この例のオペレートチェック弁4E、4E′は、従来例に比べると、切換弁を一体化し、固定式のスローリターン弁、更にリリーフ弁をも一体化した点を特徴とする。
図7(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(c)は(b)のスプール要部詳細図である。
図7(a)に示す油圧駆動ユニット10Fは、図1の油圧駆動ユニット10に比べ、オペレートチェック弁4Fが、更に、図4と同様に、可変式のスローリターン弁を吸収一体化したものである点が異なっている。
ただし、図4では、切換弁5A′は、ポペット式であるのに比べ、このユニット10Fでは、切換弁5Bは、図1のものと同様、スプール式のままであり、換言すれば、このユニット10Fは、図5のユニット10Dにおいて、スローリターン弁を固定式から可変式としたものでもある。
したがって、このオペレートチェック弁4Fに収容されたチェック弁4lは、図4のチェック弁4lと共通し、弁収容部4a′もこれに対応したものとなっている。また、切換弁5Bは、図5の切換弁5Bと共通する。
本発明の油圧駆動ユニットでは、このような組み合わせも可能であり、これにより、オペレートチェック弁4Fは、切換弁5Bとチェック弁4lとを組み合わせた機能と効果、つまり、オペレートチェック弁に切換弁を吸収一体化するとともに、可変式のスローリターン弁を吸収一体化した機能、効果を発揮する。
図7(b)に示す油圧駆動ユニット10F′は、図7(a)の油圧駆動ユニット10Fに比べ、オペレートチェック弁4F′が、可変式のスローリターン弁を吸収一体化したものである点は共通しているが、スローリターンの可変絞りをチェック弁側ではなく、切換弁5B′′側に設けた点が異なっている。
つまり、切換弁5B′′に収容されたスプール5b′′が、可変絞り通路5kbを備えたものとなっており、一方、チェック弁4pは、その弁座体4mは、図7(a)のチェック弁4lの便座体4mと共通で、弁収容部4a′に対して出し入れ可能なもので、その弁体4dは、図1のチェック弁4bに備えられたものと共通している。
切換弁5B′′のスプール5b′′は、その全体形状は、図5(b)の固定絞りをスプール側に備えた切換弁5B′と共通し、異なるのは、図5(c)に示すように、その外軸部5k′に、固定絞り通路5kaではなく、スプール5b′′の軸方向にその断面積が変化する変化絞り通路5kbが設けられている点である。
また、この変化絞り通路5kbの変化量をより緩やかなものとすることで、可変絞りの調節をより微妙に調節できるようにすることができる。可変絞りは、この例のような変化絞り通路により実現可能であるが、図4で示したチェック弁4lの弁体4n先端の絞り勾配部4oaのような円錐勾配による変化絞りとしてもよい。
切換弁5B′′のスプール筒5a′は、図7(a)の切換弁5Bのスプール筒5a′と共通し、スプール側にスローリターンの絞りを設けたにも関わらず、移動規制手段5jを備えている。
この可変式スローリターン弁に関する場合、可変絞りをパイロット部側、切換弁側に設ける場合でも、移動規制手段が必要とされる。これは、チェック弁に対向して動作するパイロット部、切換弁のパイロット動作範囲が一定範囲内に規制されていないと、チェック弁を出し入れ調整可能としたことが無意味となるからである。
このような構成でも、図7(a)のオペレートチェック弁4Fと同様に、可変式のスローリターン弁機能を発揮することができる。
なお、この例のオペレートチェック弁4F、4F′は、従来例に比べると、切換弁を一体化し、可変式のスローリターン弁を一体化した点を特徴とする。
図8(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図である。
図8(a)、(b)に示す油圧駆動ユニット10G、10G′は、図7(a)、(b)の油圧駆動ユニット10F、10F′に比べ、オペレートチェック弁4G、4G′に収容された切換弁5C、5C′′が、可変式のスローリターン弁を吸収一体化した点は共通するが、図6と同様にリリーフ弁を吸収一体化したものである点が異なっている。
具体的に異なるのは、図7のものに比べ、切換弁5B、5B′′が、リリーフ弁を吸収一体化した切換弁5C、5C′′となっている点である。
これらの切換弁を比較すると、変化絞りをチェック弁4l側に設けた図8(a)の場合の切換弁5Cの場合は、図6(a)の切換弁5Cと共通する。
変化絞りを切換弁5C′′側に設けた図8(b)の場合、図6(b)の切換弁5C′に比べ、スプール筒5a′は、移動規制手段5jが設けられている点が異なり、また、スプール5l′′は、その貫通軸5lhの両端に、パイロット機能が発揮される範囲で変化絞り通路5liが設けられている点が異なる。
可変絞りの形状、可変絞りを切換弁側に設けた場合に移動規制手段が必要となる点については、実施例7で説明した通りである。
本発明の油圧駆動ユニットでは、このような組み合わせも可能であり、これにより、オペレートチェック弁4G、4G′は、切換弁5C、5C′とチェック弁4l、4pとを組み合わせた機能と効果、つまり、オペレートチェック弁に切換弁を吸収一体化するとともに、可変式のスローリターン弁を吸収一体化し、更にリリーフ弁をも吸収一体化した機能、効果を発揮する。
なお、油圧駆動ユニット10G、10G′の差異は、スローリターンの絞りが、チェック弁側に設けられているか、切換弁側に設けられているかである。
図9は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図である。
この油圧駆動ユニット10Hは、図1の油圧駆動ユニット10に比べ、オペレートチェック弁4Hが、更に、図6と同様に、リリーフ弁を吸収一体化したものである点が異なっている。
具体的には、オペレートチェック弁4Hに収容された切換弁5Cが、図6(a)に示した、リリーフ弁を吸収一体化した切換弁5Cとなっている。
本発明の油圧駆動ユニットでは、このような組み合わせも可能であり、これにより、オペレートチェック弁4Hは、切換弁5Cとチェック弁4bとを組み合わせた機能と効果、つまり、オペレートチェック弁に切換弁を吸収一体化するとともに、リリーフ弁を吸収一体化した機能、効果を発揮する。
なお、上記実施例1から9では、オペレートチェック弁に切換弁を吸収一体化することを基本としながら、この切換弁のポペット化、固定式あるいは可変式のスローリターン弁の吸収一体化、リリーフ弁の吸収一体化の種々の組み合わせについて説明したが、これらの組み合わせは、ここに例示したものに限られず、それ以外の組み合わせも可能であり、その場合には、組み合わせの相乗的効果を発揮する。
また、上記実施例1から9では、その機能、効果をオペレートチェック弁について説明したが、これらのオペレートチェック弁の効果は、単体としてはもちろん、これらのオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットにおいても、ユニットとして発揮されるものである。
本発明のオペレートチェック弁は、作動流体を正逆双方向に圧送する油圧ポンプと、この作動流体により作動する油圧アクチュエータとの間に介在し、双方間の作動流体の正逆双方向の流れを制御することが必要とされ、省スペース、多機能化が要請されるあらゆる産業分野に用いることができる。
また、本発明の油圧駆動ユニットは、独立して被駆動体に油圧による駆動力を与え、コンパクト化が要請されるあらゆる産業分野に用いることができる。
本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの一例を概念的に示す構成図
(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図
(a)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(b)は(a)の要部詳細図、(c)は(b)のAA矢視断面図
(a)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(b)は(a)のチェック弁の弁部詳細図
(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(c)は(b)のスプール要部詳細図
(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図
(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図、(c)は(b)のスプール要部詳細図
(a)、(b)は、本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図
本発明のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの他例を概念的に示す構成図
油圧駆動ユニットの基本的な構成を示す油圧回路図
従来のオペレートチェック弁を備えた油圧駆動ユニットの一例を概念的に示す構成図
符号の説明
1 油圧ポンプ
2 油圧アクチュエータ
3 タンク
4〜4H オペレートチェック弁
4a 弁収容部
4b、4i、4l チェック弁
5〜5C 切換弁
5a 収容部
10〜10H 油圧駆動ユニット