JP2006103834A - コンベヤベルト - Google Patents

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憲一 東
Satoshi Aizawa
相澤  聡
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Abstract

【課題】 コンベヤベルトに永久磁石を埋設するコンベヤベルトの異常検出システムにおいて、永久磁石が、長期にわたり正確に位置情報としての磁気信号を発信しうるコンベヤベルトを提供する。
【解決手段】 コンベヤベルト1を形成するゴム中に磁気信号源として永久磁石2を埋設し、永久磁石2から発せられる磁気を、コンベヤベルト1の外部に設けた磁気感応装置4により検出することによって、コンベヤベルト1の形状等に係る正常異常を判別するようにした異常検知システムを備えるコンベヤベルト装置に用いられるコンベヤベルト1において、永久磁石2に亜鉛被膜8を施す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、縦裂きや過大な伸び等を含むコンベヤベルトの異常を判別するために、コンベヤベルトに埋設した永久磁石からの磁気信号を利用するシステムにおけるコンベヤベルトに関する。
コンベヤベルトにおける縦裂き等の形状の異常や位置ずれを検出するシステムとして、コンベヤベルトの所定の位置に磁性を帯びさせ、その磁力線を外部に設けた磁気感応装置で検出するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
このようなシステムにおいて、磁力線源として永久磁石を埋設した場合は、例えばコンベヤベルトの縦裂きによって、埋設されている永久磁石が脱落したり、または位置が、コンベヤベルトの幅方向にずれて、コンベヤベルト下方の所定の位置に固設された磁気感応装置が、上方を通過する永久磁石からの磁力線を検知しえなくなったときに、コンベヤベルトに異常が生じたと判断する。
このように永久磁石を埋設する場合、磁石の錆を防いで長期耐久性を確保するため、表面処理によって磁石に被膜を形成するのが好ましい。
特公昭52−35431号公報
しかし、表面処理として、すでに公知であるニッケルめっきによったのでは、長期にわたる耐食性は確保されても、ゴムとの接着性を有しないため、コンベヤベルト内部での磁石の位置が経時的に変化し、位置情報としての磁気信号から、形状の異常を正確に検出することが困難となる。
本発明は、上記事情に鑑み、コンベヤベルトに永久磁石を埋設するコンベヤベルトの異常検出システムにおいて、永久磁石が長期耐食性とゴムとの接着性の両方を兼ね備えることにより、長期にわたり正確に位置情報としての磁気信号を発信しうるコンベヤベルトを提供することを目的としている。
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) コンベヤベルトを形成するゴム中に磁気信号源として永久磁石を埋設し、この永久磁石から発せられる磁気を、コンベヤベルトの外部に設けた磁気感応装置により検出することによって、コンベヤベルトの形状等の正常異常を判別するようにした異常検知システムを備えるベルトコンベヤ装置に用いられるコンベヤベルトにおいて、前記永久磁石に亜鉛被膜を施す。
(2) 上記(1)項において、永久磁石を焼結磁石とする。
(3) 上記(1)項において、永久磁石をボンド磁石とする。
(4) 上記(2)項において、亜鉛被膜を亜鉛めっき層とする。
(5) 上記(4)項において、亜鉛めっき層の下に、銅めっき層を設けておく。
(6) 上記(5)項において、亜鉛めっき層と銅めっき層の厚さを、ともに5μm〜30μmとする。
(7) 上記(3)項において、亜鉛被膜を亜鉛の蒸着膜とする。
(8) 上記(7)項において、亜鉛蒸着膜の厚さを、1μm〜10μmとする。
(9) 上記(1)〜(8)項のいずれかにおいて、永久磁石を、ネオジム・鉄・ボロン磁石(NdFeB磁石)、サマリウム・コバルト磁石(SmCo磁石)、アルニコ磁石(Alnico磁石)、またはサマリウム・鉄・窒素磁石(SmFeN磁石)とする。
(1) 請求項1記載の発明によると、コンベヤベルトを形成するゴム中に磁気信号源として永久磁石を埋設し、この永久磁石から発せられる磁気をコンベヤベルト外に設けた磁気感応器により検出することによって、コンベヤベルトの形状等の正常異常を判別するようにした異常検知システムを備えるベルトコンベヤ装置に用いられるコンベヤベルトにおいて、永久磁石に施された亜鉛被膜によって、永久磁石が、長期耐食性とゴムとの接着性の両方を兼ね備えるようになり、長期にわたり錆を生ずることなく、かつゴム内部での位置も変わることなく、コンベヤベルトから正確に位置情報としての磁気信号を発信しうるようになる。
(2) 請求項2記載の発明によると、永久磁石の形状を所望のものに形成することができる。
(3) 請求項3記載の発明によると、磁石の寸法精度を非常に高くすることができ、かつ薄肉のものも製造できる。
(4) 請求項4記載の発明によると、所望の厚さで均一の亜鉛被膜を形成することができる。
(5) 請求項5記載の発明によると、亜鉛めっき層の下層となる銅めっき層の存在により、長期耐久性が一層向上する。
(6) 請求項6記載の発明によると、めっき層を5μm以上とすることにより、下地の露出を防ぐことができ、かつめっき層とゴムの接着を十分なものとすることができる。また、めっき層を30μm以下とすることにより、めっき層内で破壊が生ずるおそれを回避することができる。
(7) 請求項7記載の発明によると、所望の厚さで均一の亜鉛被膜を形成することができる。
(8) 請求項8記載の発明によると、蒸着膜を1μm以上とすることにより、下地の露出を防ぐことができ、かつ蒸着膜とゴムの接着を十分なものとすることができる。また、蒸着膜を10μm以下とすることにより、蒸着膜内で破壊が生ずるおそれを回避することができる。
(9) 請求項9記載の発明によると、フェライト磁石に比べて、加硫によって磁石をゴムと接着する際に、熱減磁による磁束密度の低下が小さくてすむため、信号を検出する際のS/N比を良好に保つことができる。
図1と図2に示すように、コンベヤベルト(1)の幅方向において、本発明に係る磁石(2)が各列5個並べて埋設され、複数の磁石列(3)を形成している。磁石列(3)は、矢印(A)で示すコンベヤベルト(1)の進行方向に、所定の間隔(B)を開けて設けられている。なお、各図において、同一または類似の要素には同一の符号を付してある。
コンベヤベルト(1)の外部における所定の位置には、磁石列(3)に対応して、磁気感応装置としてのガウスメータ(4)が、合計5個設けられている。各ガウスメータ(4)は、各磁石(2)の埋設位置に、縦裂き、蛇行、ツイスト等による変化がないとした場合に、その直下に相当する箇所に設置されている。各ガウスメータ(4)は、データ処理装置(5)に接続されている。
ガウスメータ(4)は、磁石(2)が、図1と図2に示すように、コンベヤベルト(1)の縦裂き(6)によって落下したときには、磁力線(矢印(C)によって模式的に示す)を検知することができない。
データ処理装置(5)は、ガウスメータ(4)が、磁石(2)の数に相当する磁力線を検知しないときには、コンベヤベルト(1)に損傷による異常が生じたものとして、制御機構(図示せず)へ信号を送り、コンベヤベルト(1)の稼動を停止させる。
しかし、図3に示すように、磁石列(3)における磁石(2)のいずれかの位置が、符号(2´)で示すように変化すると、この位置が変化した磁石(2)の元の位置の直下にあったガウスメータ(4)は、磁力線を検知することができない。したがって、コンベヤベルト(1)に異常が生じたと誤った判断をして、コンベヤベルト(1)の稼動を停止させ、作業の効率を低下させることになる。
本発明においては、図1に示すように、焼結磁石である永久磁石(2)を銅めっき層(7)で被覆した後、さらに亜鉛めっき層(8)で被覆しているが、亜鉛めっき層(8)は、コンベヤベルト(1)中の未加硫のベルトゴムと化学結合を生じるため、永久磁石とベルトゴムとが強固に接着する。よって、コンベヤベルト(1)の使用に伴って、永久磁石(2)の位置がずれるという事態は生じない。また、永久磁石としてボンド磁石を用いた場合は、亜鉛は、ボンド磁石の母材中に含まれる硫黄とも化学結合を生じるため、永久磁石の引張破断強度も向上する。
なお、亜鉛めっき層(8)を直接永久磁石(2)に形成せず、間に銅めっき層(7)を介在させたのは、亜鉛めっき層だけで被覆するよりもめっきの密着性が向上するためである。この場合、亜鉛めっき層(8)と銅めっき層(7)の厚さは、ともに5μm〜30μmが好ましい。めっき層を5μm以上とすることにより、下地の露出を防ぐことができ、かつめっき層とゴムの接着を十分なものとすることができる。また、めっき層を30μm以下とすることにより、めっき層内で破壊が生ずるおそれを回避することができるからである。
めっきは、電解めっきと無電解めっきのいずれによってもよい。また、亜鉛被膜の形成方法は、めっきに限られず、蒸着や蒸着によることもできる。
永久磁石としては、焼結磁石やボンド磁石を用いることができる。磁石の材質からみた場合は、ネオジム・鉄・ボロン磁石(NdFeB磁石)、サマリウム・コバルト磁石(SmCo磁石)、アルニコ磁石(Alnico磁石)、またはサマリウム・鉄・窒素磁石(SmFeN磁石)が好ましい。これらの磁石は、フェライト磁石に比べて磁力が強いため、磁気感応装置において信号を検出する際のS/N比を良好に保つことができるからである。
〔実施例〕
本発明に係るコンベヤベルトで用いる磁石のゴムに対する接着性をみるため、JISのK6256(加硫ゴムの接着試験方法)に従って、次のような実験を行った。
厚さ1.5mm、幅25.0mm、長さ60mmのNdFeB磁石材料からなる焼結磁石とボンド磁石に、それぞれ亜鉛めっき(電解めっきによる)を施したもの(実施例)、ニッケルめっき(電解めっきによる)を施したもの(比較例1)、および何ら被膜を施さないもの(比較例2)を用意し、厚さ6.0mm、幅25.0mm、長さ125mmのゴムに対して加硫接着した。亜鉛めっきとニッケルめっきの厚さは、ともに12μmであった。
ついで、把持具を磁石に取付け、接着面から90°の方向に離れるように、50μm/minの速度で移動させ、その接着強度(=最大剥離力(N)/磁石の幅(μm))を算出した。
また、亜鉛被膜を施した実施例については、温度75℃、相対湿度75%の湿熱劣化条件に200時間晒して、接着強度の変化をみた。結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 2006103834
この表から、亜鉛被膜を施した実施例の磁石は、焼結磁石およびボンド磁石ともに、加硫後において良好な接着強度を示すが、亜鉛被膜のない比較例1と比較例2においては、焼結磁石については接着せず、ボンド磁石についても非常に小さい接着強度にとどまった。
また、実施例については、焼結磁石およびボンド磁石ともに、実際の稼動時の条件を模した湿熱劣化条件に晒した後も、接着強度の低下はわずかであった。
本発明に係る亜鉛被膜を施した永久磁石が埋設されたコンベヤベルトの一部の模式的な長さ方向の縦断面図である。 永久磁石を埋設したコンベヤベルトの形状異常検出システムにおいて、コンベヤベルトに縦裂きが生じた状態を示す部分的な平面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図2のシステムにおいて、永久磁石の位置が変化した状態を示す部分的な平面図である。
符号の説明
(1) コンベヤベルト
(2)(2´) 永久磁石
(3) 磁石列
(4) ガウスメータ(磁気感応装置)
(5) データ処理装置
(6) 縦裂き
(7) 銅めっき層
(8) 亜鉛めっき層

Claims (9)

  1. コンベヤベルトを形成するゴム中に磁気信号源として永久磁石を埋設し、この永久磁石から発せられる磁気を、コンベヤベルトの外部に設けた磁気感応装置により検出することによって、コンベヤベルトの形状等に係る正常異常を判別するようにした異常検知システムを備えるベルトコンベヤ装置に用いられるコンベヤベルトにおいて、
    前記永久磁石に亜鉛被膜を施したことを特徴とするコンベヤベルト。
  2. 永久磁石は、焼結磁石であることを特徴とする請求項1記載のコンベヤベルト。
  3. 永久磁石は、ボンド磁石であることを特徴とする請求項1記載のコンベヤベルト。
  4. 亜鉛被膜は、めっき層であることを特徴とする請求項2記載のコンベヤベルト。
  5. 亜鉛めっき層の下に、銅めっき層が設けられていることを特徴とする請求項4記載のコンベヤベルト。
  6. 亜鉛めっき層と銅めっき層の厚さは、ともに5μm〜30μmであることを特徴とする請求項5記載のコンベヤベルト。
  7. 亜鉛被膜は、亜鉛または亜鉛とアルミニウム合金の蒸着膜であることを特徴とする請求項3記載のコンベヤベルト。
  8. 亜鉛蒸着膜の厚さは、1μm〜10μmであることを特徴とする請求項7記載のコンベヤベルト。
  9. 永久磁石は、ネオジム・鉄・ボロン磁石(NdFeB磁石)、サマリウム・コバルト磁石(SmCo磁石)、アルニコ磁石(Alnico磁石)、またはサマリウム・鉄・窒素磁石(SmFeN磁石)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のコンベヤベルト。
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