JP2006102633A - 食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理方法 - Google Patents

食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食肉処理場で発生する有機性汚物を、場内で有用物質に変換し、産業廃棄物として場外に搬出する必要がなく、しかも、食肉処理場のコスト削減を可能とする有機性汚物の処理方法の提供。
【解決手段】食肉処理場内の発酵施設に、場内で発生した有機性汚物を集め、好気性高温菌の発酵生成物を混合して通気発酵を行ない、得られた発酵生成物の一部を場内の汚水処理施設に送って汚水の浄化に使用すると共に、残りの発酵生成物を別の有機性汚物に加えて、次回の通気発酵を行ない、以下同様にして有機性汚物の処理と汚水の浄化を繰り返す食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理方法。汚水処理施設では、汚水を好気性高温菌の発酵生成物を封入したリアクター内を通気しながら循環させた後、活性汚泥処理をする。14種の寄託菌群からなる好気性高温菌の発酵生成物を使用するのが好ましい。【選択図】 図2

Description

本発明は、食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理方法に関する。詳しくは、食肉処理場内で発生する有機性汚物を外部へ搬出せず、食肉処理場内で有用な物質に転換してリサイクルさせる方法に関する。
特開2002−145686号公報 特開2002−58417号公報 特開2003−321690号公報 特開2004−160442号公報 「用水と廃水」Vol.42 No.10 (2000) 902 〜 910頁「食肉センタ ーにおける廃水処理」(畠中豊)
現在、肉用家畜のうち、牛、豚、馬、羊は、全国で200箇所以上の食肉センターなどの食肉処理場でと殺・解体され、検査を受けた後、部分肉加工や精肉加工を経て食肉として流通している。しかし、現在の食肉処理場は、以下に説明するように、さまざまな問題を抱えている。本発明は、食肉センターなどの食肉処理場におけるこれらの問題点を解決しようとするものである。なお、本発明において、食肉処理場とは、牛、豚、馬、羊の食肉処理施設である食肉センターや食肉に供する目的で牛、馬、豚、羊、山羊などをと殺・解体すると殺場ないしと畜場と称される施設を含む家畜の食肉用処理施設の総称である。
一般に、食肉処理場では、牛や豚などの搬入時の敷料(稲わら、おが粉など)、係留所での糞尿、解体時のはら糞、胃腸内容物、動物の内臓や血液、汚水処理の工程でスクリーンで除去されたし渣、汚水処理に使用済みの余剰汚泥など各種の有機性汚物が発生する。現状では、これら有機性汚物のうちの利用可能物は、化成処理された後、汚泥などの利用不可能物はそのまま、産業廃棄物として、最終処分地に運ばれて直接埋立処分されるか、或いは焼却処分の上焼却灰として埋立処分されるなど、場外に搬出して処分されている。
このように、従来は、食肉処理場で発生する有機性汚物は、場外において産業廃棄物として最終的に処分されるので、食肉処理業者は、産業廃棄物処理業者に委託する産業廃棄物処理費の負担が必要となる。例えば、処分単価を1トン当たり2万円としても、700頭/日程度の処理能力の食肉処理場では、1年間で5000万円〜6000万円程度の処理費を要することになる。このため、食肉業界の経営は厳しい環境に直面している。
従来、食肉センターの汚水処理施設で発生する余剰汚泥は、一部が堆肥原料として利用されてきたが、国内でのBSE(牛海綿状脳症)問題の発生以来、と畜場汚泥に関するリスク評価が決定するまでの間、牛への誤用防止措置を徹底することを前提として出荷を認められている状態にあり、結果的に汚泥の引取先が限定されつつある。
一方、食肉処理場から排出される排水は、血液や肉片、脂肪、胃腸内容物、羽毛などを高濃度に含み、水量変動・負荷変動が大きい。また、血液を多量に含有している関係で腐敗の進行が早く、臭気が発生しやすい特徴を持っている。このような排水を公共水域又は公共下水道へ放流するために、これまでに、化学的凝集法、酸化池法、嫌気性消化法、活性汚泥法、回転円板法などさまざまな汚水浄化方法について多くの研究がなされ、実用施設が設置されているが、現在は、ほとんどの食肉センターでは、汚水処理用に活性汚泥法(生物処理法)か又は回転円板法を採用している(非特許文献1)。
さらに、食肉処理場での採血の技術が高くなって、現在は採血率70%以上も可能である。しかし、採血した血液の利用に当たって、臭気対策などの設備上の問題を解決できないため、十分な需要を確保できず、技術はあっても採血しないで場内で放血し、結果的に汚水処理施設に流入させ、汚水処理の負荷を高め、汚水処理施設の大型化と運転コスト上昇及び発生汚泥量増加の大きな原因となっている。
上記のとおり、食肉処理場における廃棄物処理や汚水処理に伴う費用は、食肉産業にとって大きな経済的負担となっている。その上、産業廃棄物の最終処分場の残余の使用可能年数も全国的に逼迫しているが、建設コスト高及び建設用地の選定難などから新規の建設計画は困難になっている。そのため、食肉処理場において、産業廃棄物の排出を削減させることは、社会的な要請でもある。
以下、従来の有機性汚物の処理方法の概念を図1に基づいて説明する。なお、図1は、汚水処理に活性汚泥法を採っている食肉処理場における有機性汚物の処理方法について例示するものである。
<従来の処理方法>
(1)図1において、食肉処理場に搬入された肉用家畜(牛・豚・馬など)は、係留所に一時係留された後、解体場に運ばれ、と殺・解体される。解体によって生ずる肉、皮、その他の食用副生物は、食用肉や皮革などの原料として適宜場外へ出荷・供給される。
(2)解体に伴って発生する家畜の脳、目玉、脊髄などの特定部位は、場内の焼却炉で焼却され、その焼却灰は、産業廃棄物として場外へ搬出され、最終処分場において埋立処分されている。
(3)解体に伴って発生する家畜のはら糞、糞尿、内臓、胃腸内容物、家畜搬入時の敷料などの動物性残渣物は、有機性汚物として汚水処理で除去されたし渣や余剰汚泥と共に場外へ搬出され、最終処分場において産業廃棄物として埋立処分されている。
(4)血液を含む洗浄排水(有機性排水)は、場内の汚水処理施設へ送られ、スクリーンを通してし渣を除去し、生物処理工程に送られて活性汚泥処理された後、処理水は、公共下水道などへ放流される。
(5)汚水処理に使用済みの脱水汚泥(余剰汚泥)や汚水処理時に除去されたし渣は、やはり、有機性汚物として動物性残渣物と共に場外へ搬出され、最終処分場において産業廃棄物として埋立処分されている。
(6)牛の血液は、採血技術は向上したものの、臭気対策が十分でないこととBSE問題のため、採血せずに場内に放流することが多いが、採血したときは、これも場外へ搬出され、産業廃棄物として焼却処分されている。
このように、従来の有機性汚物の処理方法では、動物性残渣物や汚水処理済みの余剰汚泥、それに血液などから発生する臭気がひどく、食肉処理場の作業環境は劣悪である。その上、これらの有機性汚物を産業廃棄物として最終処分場に運んで埋立処分しなければならない。
本発明は、食肉処理場内で発生する従来のさまざまな問題を解決しようとするものである。具体的には、本発明は、食肉処理場で発生する動物性残渣物や汚水処理済みの余剰汚泥などの有機性汚物を、場内で有用物質に変換し、産業廃棄物として場外に搬出して処分する必要がない有機性汚物の処理方法を提供することを第1の課題とする。また、本発明は、食肉センターが産業廃棄物処理業者に委託してきた産業廃棄物処理費用の削減及び汚水処理施設を運転する上での各種経費の大幅圧縮など、食肉処理場のコスト削減を可能とする有機性汚物の処理方法を提供することを第2の課題とするものである。
上記の課題を解決するための本発明のうち、特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、食肉処理場において、産業廃棄物として廃棄している有機性汚物に好気性高温菌の発酵生成物を添加・混合して混合物とし、この混合物を原料として通気発酵を行ない、得られた発酵生成物の一部を場内の汚水処理施設に送って汚水の浄化に使用すると共に、残りの発酵生成物を別の有機性汚物に加えて混合物とし、この混合物を原料として次回の通気発酵を行ない、以下同様にして有機性汚物の処理を繰り返す食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理方法である。
同請求項2に記載する発明は、有機性汚物が、動物性残渣物、特定部位の焼却灰、採血した血液、汚水処理時に除去されたし渣、汚水処理済みの余剰汚泥のうちの1種以上で構成されたものである請求項1に記載の有機性汚物のリサイクル処理方法である。
同請求項3に記載する発明は、有機性汚物の発酵処理を場内に設けた発酵施設で行なう請求項1又は2に記載の有機性汚物のリサイクル処理方法である。
同請求項4に記載する発明は、汚水処理において、浄化対象の汚水が動物の血液を含む排水である請求項1から3のいずれかに記載の有機性汚物のリサイクル処理方法である。
同請求項5に記載する発明は、汚水処理施設において浄化対象の汚水を好気性高温菌の発酵生成物に接触させた後、活性汚泥処理をする請求項1から4のいずれかに記載の有機性汚物のリサイクル処理方法である。
同請求項6に記載する発明は、浄化対象の汚水を、無数の微細な通気路もしくは通気孔を有する多数の濾材又は無数の微細な通気路もしくは通気孔を有する立体網目構造体と共に好気性高温菌の発酵生成物を封入したリアクター内を通気しながら循環させた後、活性汚泥処理をする請求項5に記載の有機性汚物のリサイクル処理方法である。
同請求項7に記載する発明は、請求項1から6のいずれかに記載の処理方法において、下記の菌群から選ばれる少なくとも1種以上の好気性高温菌を種菌とする発酵生成物を用いる食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理方法である。

独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM P-15085、
同FERM P-15086、同FERM P-15087、同FERM P-15536、同FERM P-15537、
同FERM P-15538、同FERM P-15539、同FERM P-15540、同FERM P-15541、
同FERM P-15542、同FERM P-18598、同FERM P-19412、同FERM P-19413、
同FERM P-19414、同FERM P-19415
同請求項8に記載する発明は、請求項1から7のいずれかに記載の処理方法において、有機性汚物の処理を全て食肉処理場内で行なって、有機性汚物を場外へ搬出しないこととする有機性汚物のリサイクル処理方法である。
本発明の方法は、食肉処理場において、従来から産業廃棄物として廃棄していた有機性汚物を、場内で処理し、場外に搬出しない。そのため、有機性汚物による環境汚染のおそれがなくなると共に、有機性汚物を埋め立てる必要がなくなる。よって、BSEのような問題が起こっても、有機性汚物を場外に搬出しないのであるから、公害の生ずるおそれがない。しかも、本発明の方法は、有機性汚物の処理コストを著しく削減できる。その上、有機性汚物は、好気性高温菌の働きによって90℃以上の高温で発酵処理されるので、有害な雑菌や種子類が混入していたとしても全て死滅され、雑菌などによる汚染の心配がない発酵生成物が得られる。また、本発明の方法は、と殺した家畜の血液を有用発酵生成物の原料として使用できるので、場内に放血しなくて済む。よって、場内の汚水処理施設の負荷を軽減し、運転コストを低減できると共に、食肉処理場からの放流水の浄化・脱臭・減容を可能にする。さらに、本発明の方法は、食肉処理場全体に漂う特有の臭気を除去・軽減できる。
本発明による効果を整理すると、食肉処理場において、(a)有機性汚物を「完全に場内で処理する」ことにより環境汚染の懸念解消、(b)有機性汚物の外部処理委託費用の低減、(c)場内の臭気の改善、(d)場内の汚水処理施設の負荷の低減、(e)場内の汚水処理施設の運転コストの削減、(f)余剰汚泥の発生量の縮減などを挙げることができる。
本発明の説明において「動物性残渣物」とは、食肉処理場で処理する家畜(牛、豚、馬など)の搬入時の敷料(稲わら、おが粉など)、係留所での糞尿、解体時のはら糞、胃腸内容物、採血した血液、汚水処理の工程でスクリーンなどで除去されるし渣、と殺した家畜の脳や脊椎など特定部位の焼却灰、その他の動物由来の汚物のことをいう。また、本発明の説明において「汚水処理済みの余剰汚泥」とは、食肉処理場内の汚水処理施設で汚水の浄化に使用した後の活性汚泥のことをいう。さらに、「有機性汚物」とは、動物性残渣物と汚水処理済みの余剰汚泥や汚水処理時に除去されたし渣などを併せた、食肉処理場で発生する有機性産業廃棄物の総称である。
以下、本発明に係る有機性汚物の処理方法の概念を図2に基づいて説明する。なお、図2は、汚水処理に活性汚泥法を採っている食肉処理場における有機性汚物の処理方法について例示するものである。
<本発明の処理方法>
(1)図2において、食肉処理場に搬入された肉用家畜(牛・豚・馬など)は、係留所に一時係留された後、解体場に運ばれ、と殺・解体される。解体によって生ずる肉、皮、その他の食用副生物は、食用肉や皮革などの原料として適宜場外へ出荷・供給される。
(2)解体に伴って発生する家畜の脳、目玉、脊髄などの特定部位は、場内の焼却炉で焼却される。ここまでは、従来の処理方法と同じであるが、その焼却灰は場外へ搬出せず、他の有機性汚物と共に食肉処理場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物(好気性高温菌の発酵生成物)を作る原料の一つとする。
(3)家畜搬入時の敷料、解体に伴って発生する家畜のはら糞、糞尿、内臓、胃腸内容物などの動物性残渣物は、場外へ搬出せず、他の有機性汚物と共に場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物を作る原料の一つとする。
(4)血液を含む洗浄排水(有機性排水)は、場内の汚水処理施設へ送って、まず、スクリーンを通して固形状のし渣を除去した後、有用発酵生成物、すなわち、好気性高温菌の発酵生成物を封入してあるリアクター内を循環させるなどの方法で有用発酵生成物に十分に接触させた後、生物処理工程に送って活性汚泥処理する。そうすると、汚水の浄化・脱臭の程度が上がる上、汚水処理に使用した後の脱水汚泥(余剰汚泥)の発生量が少なくなる。浄化した水は、公共下水道などへ放流することができる。
(5)汚水処理済みの余剰汚泥や汚水処理時に除去されたし渣は、有機性汚物として場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物を作る原料の一つとする。
(6)牛の血液などを採血したときは、これも場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物を作る原料の一つとする。このように、と殺した家畜の血液を場内に放血しないで採血し、汚水とは別に処理することによって、汚水処理施設にかかる負荷を大きく軽減できる。この場合、採血した後、タンクなどに血液を貯留したときは臭気がひどくなるが、貯留血液に有用発酵生成物(好気性高温菌の発酵生成物)を添加・混合してから発酵施設へ移すと、臭気を著しく抑えることができる。
(7)また、食肉処理場内の通路、排水孔、排水溝などに有用発酵生成物を散布すると、食肉センター特有の臭気を消滅・軽減することができる。この場合、粉末状の有用発酵生成物を直接散布してもよく、あらかじめ適当量を水に溶解させて培地液を作り、散布してもよい。食肉センターの通路や作業場の床面などは、動物性油脂分によって滑りやすく、歩行や作業に当たって危険が伴っているが、この培地液を散布することによって滑りの危険が解消され、また、臭気も除去できる。
(8)このように、場内に設けた発酵施設へ、特定部位の焼却灰、家畜搬入時の敷料、家畜の内臓、はら糞、胃腸内容物などの動物性残渣物、汚水処理時に除去されたし渣、汚水処理済みの余剰汚泥、それに採血したときの血液など全ての有機性汚物を集めて、これに好気性高温菌の発酵生成物からなる有用発酵生成物を加えて混合物を作り、この混合物を原料として通気発酵をおこなう。発酵施設の各仕切り区画(発酵槽)内の混合物を何度も切り返し(攪拌)をしながら通気を続けると、やがて、さらさらした粉末状の有用発酵生成物が得られるので、その時点で発酵を終了する。
(9)得られた有用発酵生成物の一部は、場内の汚水処理施設に設けたリアクターなどへ送って汚水と接触させ、汚水の浄化に用いる。また、上記のとおり、場内に散布したり、採血した血液に添加・混合して、臭気の抑制に用いることもできる。
(10)残りの有用発酵生成物は、発酵槽に残して次回の発酵の種菌として使用する。すなわち、有用発酵生成物は、次回に発酵処理するため、発酵施設へ送られてきた特定部位の焼却灰、内臓やはら糞、血液や胃腸内容物などの動物性残渣物、汚水処理時に除去されたし渣、汚水処理済みの余剰汚泥など一切の有機性汚物と混合して混合物となし、再び通気発酵をおこなう。発酵によって生成される有用発酵生成物は、一部を汚水処理に使用し、また、必要に応じて場内に散布したり、採血した血液に添加するなど臭気の抑制に用い、残りは、次々回の発酵に用いる。以降はこのサイクルを繰り返すことで、有機性汚物を場外へ搬出せずに処理し続けることができる。なお、この発酵処理コストは、従来の産業廃棄物処理費用に比べると、きわめて安価である。
本発明では、発酵処理によって有用発酵生成物が得られるまで数十日を要するが、その間、原料である有機性汚物は好気性高温菌の働きによって90℃以上の高温で処理されるので、通常の発酵処理では分解が困難な家畜の爪や毛などのタンパク質成分も完全に発酵分解できる。また、大腸菌などの雑菌も死滅・減少することが確認されている。
食肉センターの汚水処理施設をはじめ一般の汚水処理施設では、放流基準の1項目として大腸菌群数の規制があるため、液状又は固形状の塩素系の消毒剤が用いられている。しかし、本発明によれば、浄化済みの放流水中の大腸菌群などの雑菌を減少できるので、このような消毒剤の使用量を大幅に削減でき、この面からも汚水処理の所要コストを低減できる。
本発明において、汚水処理施設では、浄化対象の汚水と有用発酵生成物とは適宜の方法で接触させる方法を採って差し支えない。好ましくは、多数の微細な通気路又は通気孔を有する濾材と粉末状の有用発酵生成物を封入したリアクターに通気しながら汚水を送り込んで有用発酵生成物と接触させる方法を採ればよく、さらに、好ましくは、このリアクター内に汚水を循環させ、有用発酵生成物と十分に接触させる方法を採ればよい。また、別の方法として、汚水処理槽を設けて通気すると共にその中に布袋に入れた有用発酵生成物を投入して汚水を通過又は循環させる方法を採ってもよい。
なお、発酵施設において、原料(有機性汚物)に好気性高温菌の発酵生成物を加えて、この混合物に通気発酵をおこない、有用発酵生成物に変換する方法の詳細は以下に詳しく説明する。
本発明で用いる「好気性高温菌」と「好気性高温菌の発酵生成物」(有用発酵生成物)について詳しく説明する。本発明で用いる好気性高温菌とは、好気性バクテリア、すなわち、空気の存在する高温下で活発に活動する菌のことをいう。本発明では、好気性高温菌であれば菌種を問わず使用できる。本発明において、好気性高温菌としては、無用の有害菌などを死滅させることができるので、至適活動温度、すなわち、発酵作用などの菌の活動に最適な温度帯を80℃以上、好ましくは85℃以上とする好気性高温菌(好気性超高温菌と称されることもある。)を用いることが好ましい。本発明では、好気性高温菌の単体の他、その混合菌体又はこれらの菌体培養物も好適に使用できる。
本発明で用いる好気性高温菌の発酵生成物(有用発酵生成物)とは、好気性高温菌又はその混合菌体を有機物原料に添加して通気発酵をおこなうことによって得られるコンポスト状の発酵生成物(及びこの発酵生成物をさらに有機物原料に添加して通気発酵をおこなって製したコンポスト状の発酵生成物)のことをいい、通常は、粉末状又は顆粒状を呈している。
本発明において、好気性高温菌の中でも特に好適に使用できる菌は、本発明者らの一人が鹿児島県姶良郡牧園町の霧島火山帯の土壌から採取して独立行政法人産業技術研究所の特許生物寄託センターに寄託している以下の菌群の中から選択される少なくとも1種の好気性菌又はこれらの混合菌体である。本発明者らは、これら好適な好気性高温菌のことを特に「YM菌」(登録商標)と称している。
(1)バチルス属に属する菌で特許第3064221号として特許されている受託番号FERM P-15085(通称:YM-01)、FERM P-15086(同:YM-02)及びFERM P-15087(同:YM-03)。(2)バチルス属に属する菌で特許第3436859号として特許されている受託番号FERM P-15536(通称:YM-04)、FERM P-15537(同:YM-05)、FERM P-15538(同:YM-06)、FERM P-15539(通称:YM-07)、FERM P-15540(同:YM-08)、FERM P-15541(同:YM-09)及びFERM P-15542(同:YM-10)。
(3)カルドトリックス属に属する菌で特願2001−391561号として特許出願中である受託番号FERM P-18598(カルドトリックス・サツマエ:YM081)。
(4)カルドトリックス属に属する菌で特願2003−181282号として特許出願中である受託番号FERM P-19412(カルドトリックス・サツマエ:YM803)、FERM P-19413(カルドトリックス・サツマエ:YM811) 及び、FERM P-19414(カルドトリックス・サツマエ:YM811)、FERM P-19415(カルドトリックス・サツマエ:YM813)。
本発明で用いる好気性高温菌の発酵生成物(有用発酵生成物)は、例えば、以下のようにして製造する。
好気性菌又はその混合菌体を含む土壌を採取して、これに蔗糖溶液などを加えて高温下で通気しながら発酵させて菌体を培養し、好気性高温菌の培養物を作る。得られた好気性高温菌の培養物は、発酵生成物としてそのまま使用してもよいが、本発明では、この好気性高温菌の培養物を有機物原料、例えば、生汚泥や植物性廃棄物などと混合してさらに通気して発酵させ(この過程で、好気性高温菌の発熱によって有機物原料中の雑菌や種子類を死滅させることができる。)、本発明で用いる好気性高温菌の発酵生成物を得る。好気性高温菌の発酵生成物は、コンポスト(肥料)として使用できる程度に完熟させ、粉末状又は顆粒状に製しておくことが好ましい。
以下、好気性高温菌の発酵生成物(有用発酵生成物)の製造方法の一例について説明する。まず、有機物原料、例えば、動物や人間の糞尿、動物の内蔵・血液などの動物性残渣物や生汚泥に好気性菌又はこれらの混合菌体の培養物を添加して混合する。混合比率は有機物原料60〜50重量部に対して好気性菌の培養物40〜50重量部であることが好ましい。この混合物の適量を発酵槽に堆積して、槽の底の方から空気を十分に吹き込みながら通気発酵をおこなう。通気を続けていると、最初は常温であった混合物が1日ないし数日後には80〜90℃に昇温する。この温度下に5〜7日間放置して通気を続けると温度が低下し始めるので、その時点で最初の切返し(攪拌)をおこなう。以後は、この放置と切返しを3〜8回程度繰り返して行ない、およそ20〜50日の間、好ましくは30日間以上、通気しながら発酵を続けると、温度が上がらなくなり、さらさらした乾燥状態の発酵生成物が得られる。これが、本発明の「好気性高温菌の発酵生成物」である。この発酵生成物を所要に応じてふるい分けした後、カリウム分を補充するなど所要の養分調整を行なえば、完熟肥料として仕上げることができる。すなわち、本発明で用いる好気性高温菌の発酵生成物は、通常、茶色の粉末状ないし顆粒状を呈しており、有機肥料の有用な基材として使用できるものである。本発明者らは「YM菌」(登録商標)の発酵生成物のことを特に「YM肥料」と称している。
上記のようにして製した有用発酵生成物には、好気性高温菌を乾物1g当たりで約10億個以上含んでいる。したがって、この発酵生成物は、有機性物質に対して強い分解力を有する。また、同じ発酵槽で前回に製造した発酵生成物を槽内に一部残しておいて、これを次回の発酵の種菌(又は種菌の一部)として有機物原料に添加して発酵を繰り返すことによって、本発明で用いる「好気性高温菌の発酵生成物」(有用発酵生成物)を容易に入手できる。
<本発明による食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理の一例>
以下、本発明の実施例として、場内に、発酵施設と共に、1000m3/日の処理能力を有する汚水処理施設を備え、1日平均で牛70頭、豚480頭を処理する食肉センターに本発明に係る有機性汚物のリサイクル処理方法を導入したときの、有機性汚物の発生と処理の状況について説明する。なお、以下の数値は、連続50日間の平均値である。
(1)この食肉センターでは、1日に牛70頭、豚480頭を処理するので、1日に、家畜搬入時の敷料、家畜のはら糞、糞尿、内臓、胃腸内容物などの動物性残渣物(含水率69.60%)は1.59トン、家畜の脳、目玉、脊髄などの特定部位(危険部位:含水率75.00%)は1.10トン、採血した牛の血液(含水率85.00%)は2.97トン、それぞれ発生する。
(2)特定部位の汚物(1.10トン)は、場内に設けた焼却炉に送って焼却するので、1日に焼却灰0.03トンが発生する。
(3)動物性残渣物(1.59トン)は、場外へ搬出せず、他の有機性汚物と共に場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物を作る原料の一つとする。
(4)採血した牛の血液(2.97トン)は、これも場外へ搬出せず、他の有機性汚物と共に場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物を作る原料の一つとする。このように血液を採血して処理することにより、汚水処理施設にかかる負荷を著しく軽減できる。
(5)家畜の解体に伴って発生する洗浄排水(有機性排水:血液の一部を含む)は、場内に設けた汚水処理施設へ送り、まず、スクリーンによって固形状のし渣(含水率79.00%)2.05トンを除去する。除去されたし渣は、他の有機性汚物と共に場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物を作る原料の一つとする。
(6)し渣を除去した後の汚水は、好気性高温菌の発酵生成物を封入してあるリアクター内を循環させ、有用発酵生成物に十分に接触させた後、生物処理工程に送って活性汚泥処理する。そうすると、汚水の浄化・脱臭の程度が上がる上、汚水処理に使用した後の脱水汚泥(余剰汚泥)の発生量が少なくなる。浄化した水は、公共下水道などへ放流することができる。
(7)汚水処理に使用済みの余剰汚泥(含水率82.00%)3.71トンは、他の有機性汚物と共に場内に設けた発酵施設へ移して有用発酵生成物を作る原料の一つとする。有用発酵生成物を汚水処理に使用すると、汚水中のSS(浮遊物質又は懸濁物質)と共に余剰汚泥中の有機SS成分が除去されるものと考えられる。
(8)このように、食肉処理場内に設けた発酵施設の仕切り区画(発酵槽)へ、特定部位の焼却灰0.03トン、動物性残渣物1.59トン、汚水処理時に除去したし渣2.05トン、汚水処理済みの余剰汚泥3.71トン、それに牛の血液2.97トンなど全ての有機性汚物(合計10.35トン)を集めて、これに好気性高温菌の発酵生成物からなる有用発酵生成物10トンを添加・混合して混合物を作る(有機性汚物の総量と有用発酵生成物の添加量は概ね1対1とする)。本実施例では、この混合物の5日分を同じ仕切り区画内に溜めて、合計101.75トン(=20.35トン×5日分)の混合物を原料として通気発酵を行なう。
(9)仕切り区画内の混合物を何度も切り返し(攪拌)しながら通気を続けると、やがて温度が上昇し、発酵が開始されるので、通気を絶つことなく、温度が下がり始めたら切り返しを行なうことを繰り返していると、40〜50日後に温度が上がらなくなり、さらさらした粉末状の有用発酵生成物52.30トンが得られるので、その時点で発酵を終了する。なお、別の仕切り区画においても同様の発酵処理を行なっているので、結局、この発酵施設での有用発酵生成物の1日当たりの生産量は52.30トン/5日分=10.46トンである。
(10)得られた1日当たりの有用発酵生成物のうち0.46トンは、場内の汚水処理施設に設けたリアクターなどへ送って汚水と接触させ、汚水の浄化に用いる。
(11)残りの有用発酵生成物約10トンは、発酵施設の仕切り区画に残して次回の発酵の種菌として使用する。すなわち、この10トンの有用発酵生成物は、発酵施設へ送られてきた特定部位の焼却灰、内臓やはら糞、血液などの動物性残渣物、汚水処理済みの余剰汚泥など一切の有機性汚物(10.35トン)と混合して混合物となし、これを5日分溜めて、再び通気発酵を行なう。発酵によって得られる1日当たり有用発酵生成物10.46トンの一部(0.46トン)は汚水処理に使用し、残りの約10トンは、また次回の発酵に用いる。以降もこのサイクルを繰り返すことで、有機性汚物を場外へ搬出せずに有用発酵生成物に変換・処理することができる。
(12)このように、有機性汚物と有用発酵生成物の混合物は、発酵施設の1つの仕切り区画(発酵槽)に数日分を溜めて一度に発酵処理してもよいし、1日分の発生量を毎日処理してもよい。また、切り返し作業の都度、混合物の全量を別の仕切り区画へ移して通気発酵を続ける方法を採ると、混合が十分に行なわれ、ムラのない発酵生成物を得ることができる。
(13)有機性汚物の構成原料によって、有用発酵生成物の発生量も若干異なることがあるが、概ね数%以下の変動である。有用発酵生成物の生産量に余剰が生じたときは、以下の用途に使用することが好ましい。
(a)採血してタンクなどに数日間血液を貯留すると、臭気がひどくなるが、この貯留血液の中へ有用発酵生成物(好気性高温菌の発酵生成物)の少量を添加・混合すると、血液から生じる臭気を著しく抑えることができる。
(b)また、場内の通路、排水孔、排水溝などに有用発酵生成物を粉末状又は水に溶解させた培地液として散布すると、食肉センター特有の臭気を消滅・軽減することができる。また、通路などの滑りやすさを解消できる。
(c)さらに、有用発酵生成物が多めに生成できたときは、場内の植栽へ肥料として散布してもよい。
本実施例における有機性汚物から有用発酵生成物を生成する収支をまとめると、表1のとおりである。表1から、実施例1の食肉センターで発生した有機性汚物は、発酵処理前の4.45%に減縮されることが理解できる。
Figure 2006102633
<本発明で用いる汚水浄化用のリアクターの一例>
通気可能であり、任意の形状のリアクターの内部に、水が通過できる多数の小孔を表面に設けてある仕切板によって区画された区画部を形成し、その区画部の内方に、無数の微細な通気孔又は通気路を有し、微生物を吸着・担持できる多数の濾材(微生物吸着担体)と共に、好気性高温菌の発酵生成物(粉末状でも水に溶解させたものでもよい。)を封入する。濾材としては、ウールマット、園芸用の人工軽石、発泡スチロール、麦飯石、セラミックス材、木炭、KPパール材などを用いることができる。
このような構成のリアクターの内部に通気しながら汚水を送り込むと、汚水は、区画部において好気性高温菌の発酵生成物と接触・溶解し、多数の濾材に接触するので、濾材に好気性高温菌の発酵生成物と共に通気されて活性化された好気性高温菌が付着・滞留することになり、汚水がこれに繰り返し接触することにより、好気性高温菌の力によって、次第に汚水中の有機性成分が分解・除去され、また、臭気も減少することになる。
なお、リアクターに区画部を形成する代わりに、カール状のグラスファイバーなどの多孔質材をさらにコイル状に巻いた立体網目構造体を封入してもよい。立体網目構造体は、適度な表面積を有し、その隙間に、微生物を吸着・担持できる無数の微細な通気孔又は通気路が形成されるので、上記濾材(微生物吸着担体)を用いるのと同様の効果を奏することができる。濾材用の立体網目構造体としては、例えば、特開平2000−246276号公報に開示されている生物処理用の多孔質微生物担体を用いてもよい。
<場内の汚水処理施設の処理能力の一例>
実施例1の食肉処理場内の発酵施設で生産される好気性高温菌の発酵生成物(含水率30%)を1日当たり0.46トン(=460kg)を場内の汚水処理施設(処理能力:1000m3 /日)のリアクターに投入できる場合、実施例2のリアクターの使用の有無による余剰汚泥の発生量の増減について、以下に試算する。
(1)リアクターを設置しない場合
1日当たり、発生する採血後の汚水1000m3 (=1110kgSS)が、活性汚泥処理槽で処理されることによって、最終的に140.3kgSSの有機成分が分解・除去されると共に、処理水として40kgSSが放流され、余剰汚泥969.7kgSSが発生する。
(2)リアクターを設置した場合
1日あたり、発生する採血後の汚水1000m3 (=1110kgSS)に対して、好気性高温菌の発酵生成物(有用発酵生成物)460kgがリアクターに投入される。この有用発酵生成物は、含水率30%であるから、460kg×70%=320kgの固形分を有し、その固形分の20%は可溶性分であり、80%は非可溶性分である。そうすると、汚水の浄化に使用した有用発酵生成物は、320kg×20%=64kgが汚水に溶解してその浄化を促進し、320kg×80%=256kgSSは汚水中に含まれて処理されることになる。そして、リアクタ−処理の後、活性汚泥処理槽を通すことによって、最終的に658.2kgの有機SS成分が分解・除去されると共に、処理水として40kgSSが放流され、余剰汚泥667.8kgSSが発生する。
(3)所見
実施例2のリアクターを通すことによって、リアクターを用いないときに比べて、500kg以上の有機性SS成分を分解・除去できると共に、余剰汚泥の発生量は約300kgも減少することが理解できる。また、リアクターを通すことによって、汚水中の大量の有機性SS成分の分解・除去に伴い、汚水中のSS(浮遊物質又は懸濁物質)も大量に除去されるものと考えられる。
試験例1
<採血の有無による汚水の性状比較試験>
(1)試験方法
活性汚泥法による汚水処理施設を備えた食肉センターにおいて、採血の有無・程度によって、発生する汚水の性状変化の程度を検査した。
この食肉処理センターでは、発生した汚水は場内の汚水処理施設に送られ、まず、スクリーンと微細目スクリーンを通過することによって固形状のし渣などを除去した上で、加圧浮上槽に移して微細な固形物を除去し、生物処理(活性汚泥処理)槽を経て、消毒されて公共下水道へ放流される。この汚水処理施設へ流入する流入原水の汚染濃度と生物処理槽入口の汚染濃度を検査したので、これを表2に示す。また、この汚水処理施設の生物処理槽の仕様を表3に示す。
なお、以下の表や説明において、BOD=生物化学的酸素要求量、COD=化学的酸素要求量、SS=浮遊物質又は懸濁物質、n−H=ノルマルヘキサン抽出物質をそれぞれ示す。また、これら数値の単位は、いずれも「mg/L」である。
(2)試験結果
Figure 2006102633
(3)所見
表2から、60%程度の採血を実施することによって、流入原水と生物処理槽の入口水については、BODとCODは、30%程度低減されること、しかし、SSには影響を与えないことが確認された。また、表3から、60%程度の採血を実施することによって、汚水処理済みの余剰汚泥の発生量が約8%減少することが確認された。
Figure 2006102633
試験例2
<リアクター設置時の汚水の性状比較試験>
(1)試験方法
試験例1の汚水処理施設において、生物処理(活性汚泥処理)槽の前に実施例3で用いたリアクターを設置し、無数の微細な通気路又は通気孔を有する多数の濾材と好気性高温菌の発酵生成物とを封入し、通気しながら汚水を循環させた後、生物処理槽へ送る方法を採った。この方法において、採血しなかったときの汚水について、汚水処理施設へ流入する流入原水の汚染濃度と生物処理槽入口の汚染濃度を検査したので、これを表4に示す。
(2)試験結果
Figure 2006102633
(2)所見
採血しない場合でも、生物処理槽の入口に好気性高温菌の発酵生成物を封入した通気式リアクターを取り付けることによって、汚水中の有機物の分解率を20%程度向上できることが確認された。
試験例3
(1)試験方法
試験例2と同じ方法によって、60%の採血をしたときの汚水について、試験例2と同じように、汚水処理施設へ流入する流入原水の汚染濃度と生物処理槽入口の汚染濃度を検査したので、これを表5に示す。
(2)試験結果
Figure 2006102633
(2)所見
採血60%の場合は、生物処理槽の入口に好気性高温菌の発酵生成物を封入したリアクターを設置することによって、汚水中の有機物の分解率を20%程度向上できることが確認された。よって、本発明の実施により、血液を産業廃棄物としてではなく、有用発酵生成物に変換することができるので、採血が可能となった。
この汚水処理施設から場外への放流水の水質は、採血60%でリアクター処理をした場合、BOD=20.0mg/L、COD=20.0mg/L、SS=50.0mg/L、n−H=10.0mg/Lの程度であり、十分に基準値の範囲内のものである。
産業上の利用分野
以上詳細に説明するとおり、本発明は、食肉処理場において、従来から産業廃棄物として廃棄していた有機性汚物を全て場内で処分し、場外に搬出しない。そのため、産業廃棄物による環境汚染のおそれが解消すると共に、有機性汚物を埋め立てる必要がなくなる。よって、BSEのような問題が起こっても、有機性汚物を場外に搬出しないのであるから公害の生ずるおそれがない。また、本発明の方法は、屠殺した動物の血液を有用発酵生成物の原料として使用できるので、場内に放血しなくて済む。そのため、場内の汚水処理施設の負荷を軽減することができ、運転コストを低減できると共に、食肉処理場からの放流水の浄化・脱臭・減容を可能にする。さらに、本発明の方法は、食肉処理場全体に漂う特有の臭気を除去・軽減できる。
また、本発明によれば、従来、産業廃棄物処理業者に委託してきた産業廃棄物処理費用の削減と汚水処理施設の運転コストを大幅な圧縮が可能である。このように、本発明は、食肉センターを含む食肉処理場における問題点を解決できると共に、社会的要請にも応えることができるきわめて画期的なシステムを提供するものである。
従来の食肉処理場における有機性汚物の処理方法の概念の説明図 本発明の食肉処理場における有機性汚物の処理方法の概念の説明図

Claims (8)

  1. 食肉処理場において、産業廃棄物として廃棄している有機性汚物に好気性高温菌の発酵生成物を添加・混合して混合物とし、この混合物を原料として通気発酵を行ない、得られた発酵生成物の一部を場内の汚水処理施設に送って汚水の浄化に使用すると共に、残りの発酵生成物を別の有機性汚物に加えて混合物とし、この混合物を原料として次回の通気発酵を行ない、以下同様にして有機性汚物の処理を繰り返す食肉処理場における有機性汚物のリサイクル処理方法。
  2. 有機性汚物が、動物性残渣物、特定部位の焼却灰、採血した血液、汚水処理時に除去されたし渣、汚水処理済みの余剰汚泥のうちの1種以上で構成されたものである請求項1に記載の有機性汚物のリサイクル処理方法。
  3. 有機性汚物の発酵処理を場内に設けた発酵施設で行なう請求項1又は2に記載の有機性汚物のリサイクル処理方法。
  4. 汚水処理において、浄化対象の汚水が動物の血液を含む排水である請求項1から3のいずれかに記載の有機性汚物のリサイクル処理方法。
  5. 汚水処理施設において浄化対象の汚水を好気性高温菌の発酵生成物に接触させた後、活性汚泥処理をする請求項1から4のいずれかに記載の有機性汚物のリサイクル処理方法。
  6. 浄化対象の汚水を、無数の微細な通気路もしくは通気孔を有する多数の濾材又は無数の微細な通気路もしくは通気孔を有する立体網目構造体と共に好気性高温菌の発酵生成物を封入したリアクター内を通気しながら循環させた後、活性汚泥処理をする請求項5に記載の有機性汚物のリサイクル処理方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の処理方法において、下記の菌群から選ばれる少なくとも1種以上の好気性高温菌を種菌とする発酵生成物を用いる有機性汚物のリサイクル処理方法。

    独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM P-15085、
    同FERM P-15086、同FERM P-15087、同FERM P-15536、同FERM P-15537、
    同FERM P-15538、同FERM P-15539、同FERM P-15540、同FERM P-15541、
    同FERM P-15542、同FERM P-18598、同FERM P-19412、同FERM P-19413、
    同FERM P-19414、同FERM P-19415
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の処理方法において、有機性汚物の処理を全て食肉処理場内で行なって、有機性汚物を場外へ搬出しないこととする有機性汚物のリサイクル処理方法。









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