JP2006101835A - フラワーペーストの製造法及びフラワーペースト - Google Patents
フラワーペーストの製造法及びフラワーペースト Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006101835A JP2006101835A JP2004296628A JP2004296628A JP2006101835A JP 2006101835 A JP2006101835 A JP 2006101835A JP 2004296628 A JP2004296628 A JP 2004296628A JP 2004296628 A JP2004296628 A JP 2004296628A JP 2006101835 A JP2006101835 A JP 2006101835A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heating
- raw material
- starch
- cooling
- mixed raw
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Confectionery (AREA)
Abstract
【課題】 微妙なコントロールを行わなくても、風味・食感が良好で一定の物性を有するフラワーペーストを安定に製造できるようにする。また、UHT殺菌機による滅菌レベルの殺菌も可能とする。
【解決手段】 ゲル化剤とでん粉を含む原料を混合して混合原料を得る混合工程と、該混合工程の後に混合原料を加熱する加熱工程と、該加熱工程の後に混合原料を冷却する冷却工程と、前記加熱工程又は前記冷却工程の途中で混合原料を均質化する均質化工程とを有し、前記ゲル化剤が、(a)ゼラチンと、(b)低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムからなる群より選択される1種類以上の多糖類とを含み、前記均質化工程は、前記混合原料が80℃以上に加熱される時点以後に行われることを特徴とするフラワーペーストの製造法。
【選択図】 なし
Description
でん粉粒子の糊化現象とは、水に懸濁させたでん粉粒子が、加熱により、吸水→膨潤→崩壊→分散の過程をたどる一連の動きである。この過程の中で、食感は、でん粉粒子が膨潤して崩壊する前は、粗くボソボソしているが、崩壊すると滑らかな糊状になる。そして、糊化が進行しすぎると粘度が低下しすぎダレた状態となる。
したがって、このようなでん粉の物性特性を利用してフラワーペーストを製造する際には、一般的に、でん粉粒子の膨潤が進まない内(具体的には加熱の初期)に、油脂を高圧均質機や高速ミキサーで乳化し、その後、せん断力を低く抑えながら加熱してでん粉粒子膨潤させ、崩壊し過ぎない内に冷却を終えるという微妙な工程条件の調整が行なわれなければならない。即ち、膨潤して崩壊していないでん粉粒子の立体構造と糊化が完了した糊状流動物が混在する微妙な状態に調製する必要があるということである。
でん粉粒子の糊化は、同じ加熱状態でも、これらの工程におけるせん断力や圧力の掛かり方によって変化する。なぜなら、でん粉粒子は多孔質であるため、膨潤しているでん粉粒子は、圧力や機械的せん断力等の外力によって崩壊が進行するからである。
従って、糊化の程度をコントロールして、一定した物性の製品を作ることが難しい課題となっている。
ところが、UHT殺菌機は、その種類によって異なる熱交換方式を採用しており、熱交換方式毎に、異なるせん断力が加わる。しかし、UHT殺菌の段階において、でん粉粒子の糊化の程度を如何にコントロールするのかは明らかにされていない。
しかし、個包装袋で搬送して加熱・冷却の工程を行なう必要があり、液体を連続処理する工程に比較して煩雑である。また、殺菌の為に100℃以上の高温加熱を行なう際には、耐熱・耐圧の包装容器で行なわなければならないという欠点がある。
すなわち、本発明は以下の構成を採用した。
[2]前記ゲル化剤とでん粉との質量比が1:1〜1:4の範囲である[1]に記載のフラワーペーストの製造法。
[3](a)ゼラチンと、(b)低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムからなる群より選択される1種類以上の多糖類との質量比が1:1〜1:4の範囲である[1]又は[2]に記載のフラワーペーストの製造法。
[4]ゲル化剤とでん粉を含み、前記ゲル化剤は、(a)ゼラチンと、(b)低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムからなる群より選択される1種類以上の多糖類とを含み、前記でん粉は、糊化が略完了したでん粉であることを特徴とするフラワーペースト。
本発明のフラワーペーストは、ゲル化剤とでん粉と、他の任意の原料に由来する成分とを含んでいる。本発明に用いるゲル化剤は、少なくとも(a)ゼラチンと、(b)特定の多糖類とを含んでいる。また、本発明のフラワーペースト中のでん粉は、糊化が略完了したでん粉である。
(a)ゼラチンは、牛の骨・皮、豚の骨・皮等を酸処理又はアルカリ処理された市販のゼラチンである。
(b)特定の多糖類は、低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムからなる群より選択される1種類以上の多糖類である。
ここで、低凝固性寒天は、海藻から抽出される通常の寒天を低分子化して得られるもので、1.5%濃度のゲル強度が200g/cm2以下の市販の寒天である。また、ハイメトキシルペクチンは、ガラクツロン酸のメチルエステル化度(DE値)が50%以上の市販のペクチンである。また、タマリンドシードガムは、タマリンドの種子から抽出される市販のタマリンドシードガムである。
本発明のフラワーペースト中のでん粉は、糊化が略完了したでん粉である。すなわち、膨潤して崩壊していないでん粉粒子の立体構造と糊化が完了した糊状流動物が混在しているというような微妙な状態ではなく、完全に又はほぼ完全に糊化が完了して、糊状流動物となった状態である。このような状態のでん粉は、例えば、後述の製造法のように、充分に膨潤したでん粉粒子に機械的せん断力を充分に与えることによって得ることができる。
ゲル化剤とでん粉の使用量の総量は、フラワーペースト全体の固形分、糖類、たんぱく質、脂質の量によって変化させる必要がある。出来上がりのフラワーペーストを圧縮試験機(例えば、商品名;COMPAC100:サン科学社製)で、テーブル上昇速度:60mm/min,プランジャー:直径11.3mm円盤、試料温度:10℃の条件で破断応力を測定して、破断応力が15〜25μPaの範囲に入るようにするのが目安である。破断応力が15μPaを下回ると糊感が強い食感となり、25μPaを上回ると弾力性が強い食感となり、いずれもフラワーペーストとして相応しくない食感になる。
また、甘味料、香料、着色料、乳化剤、調味料、酸味料、強化剤等の添加物を必要に応じて使用できる。
なお、任意の原料中に、乳等の水性原料が含まれていない場合、又は足りない場合には、水を原料として加えて良いことはもちろんである。
本発明のフラワーペーストの製造法は、原料を混合して混合原料を得る混合工程と、混合工程の後に混合原料を加熱する加熱工程と、加熱工程の後に混合原料を冷却する冷却工程と、加熱工程又は冷却工程の途中で混合原料を均質化する均質化工程とを有している。
本発明の製造法では、均質化工程を加熱工程の途中に行うUp Homo(アップ ホモ)と、冷却工程の途中で行うDown Homo(ダウンホモ)のいずれを選択してもよい。Up Homoの場合、混合工程→第1加熱工程→均質化工程→第2加熱工程→冷却工程の工程で製造する。Down Homoの場合は、混合工程→加熱工程→第1冷却工程→均質化工程→第2冷却工程の工程で製造する。何れの場合も、均質化工程は、混合原料が80℃以上に加熱される時点以後に行われる。
また、実際の製品化にあたっては、冷却工程の後に、さらに、充填工程と静置冷却工程を経て製造する。さらに、冷却工程と充填工程とを続けて行わない場合には、充填工程の前に、再加熱再冷却工程を経て製造する。
混合工程では、上述のゲル化剤とでん粉と、他の任意の原料を混合して混合原料を得る。混合には、ミキサー(例えば、商品名;スーパーミキサー:ヤスダファインテ社製)や攪拌機付きタンク(例えば、商品名;Bパス:ヤスダファインテ社製)等が使用できる。
混合工程では、ゲル化剤とでん粉、及び任意成分中の油脂等を溶解させるために適宜加熱を行う。ゲル化剤とでん粉を溶解させるための温度は15〜40℃であるが、油脂を溶解する場合には40〜60℃程度にしてもよい。溶解温度が高くなるとゲル化剤として使用する多糖類の一部が不溶解になり易く、低過ぎると脂肪を含有する成分が不溶解になり易い。
加熱工程では、混合工程で得られた混合原料を加熱する。加熱には、ジャケット及び攪拌機付きタンク(例えば、商品名;Bパス:ヤスダファインテ社製)やプレート式殺菌機(例えば、商品名;プレート式UHT殺菌機、プレート式HTST殺菌機:森永エンジニアリング社製)の加熱部等が使用できる。
尚、UHT殺菌機には、直接加熱式のインフュージョン及びインジェクションが、間接加熱式のプレート式、チューブラ式、掻き取り式、多重管式等がある。直接加熱式では加熱後にイクスパンジョンベッセル(加熱時に加えた蒸気を減圧して除く装置)を通過する際に、蒸気と共にフレーバー成分が揮発するので、間接加熱式の方が望ましい。間接加熱式では、加熱時間が短く、熱媒体との温度差が比較的小さいプレート式が最も適している。
でん粉粒子を充分に膨潤させ、均質化工程において充分に糊化を進行させるために、加熱温度は少なくとも80℃以上とすることが必要である。また、充分な殺菌効果を得るために100℃以上とすることが好ましい。一方、加熱温度が高すぎると熱交換機への焦げ付きや加熱臭を生じるので、140℃以下とすることが好ましい。
均質化工程では、混合原料を均質化する。均質化には、高圧均質機(例えば、商品名;Homogenizer:三丸機械工業社製)や均質機付きのプレート式殺菌機(例えば、商品名;均質機付きプレート式UHT殺菌機、均質機付きプレート式HTST殺菌機:森永エンジニアリング社製)の高圧均質機が使用できる。
均質機付きの殺菌機にはDown Homo(最高加熱部後の冷却部の途中に均質機が存在する。)とUp Homo(最高加熱部に達するまでの加熱部の途中に均質機が存在する。)があるが、どちらかも使用可能である。Up Homoを用いる場合には、加熱部の前半(第1加熱工程)で混合原料を取り出し、高圧均質機で均質化して加熱部の後半(第2加熱工程)へ戻す。Down Homoを用いる場合には、冷却部の前半(第1冷却工程)で混合原料を取り出し、高圧均質機で均質化して冷却部の後半(第2冷却工程)へ戻す。
均質化の本来の目的は、脂肪を乳化することであるが、乳化する際に高いせん断力が働くので膨潤したでん粉粒子にも崩壊が起る。本発明では、乳化の際のせん断力を利用して、でん粉粒子を完全に又はほぼ完全に崩壊させて物性を一定にするため、でん粉の粒子を充分に膨潤させた後に均質化する必要がある。
一方、第1加熱工程の加熱温度が100℃以上であると、均質機の出口で沸騰が起って乳化状態が壊れてしまう。また、沸騰を抑えるために均質化工程を加圧環境で行なおうとすると均質機のシール部への負荷が大きくなる。
したがって、第1加熱工程の加熱温度は、80℃以上100℃未満とすることが必要であり、80〜90℃とすることが好ましい。
冷却工程では、すでに加熱工程で80℃以上とされているので、でん粉粒子の膨潤は終了しており、均質機のせん断力で容易にでん粉粒子が崩壊するようになっている。したがって、Down Homoの均質化は乳化に適切な範囲の温度で行なえばよい。
具体的には、第1冷却工程による冷却温度が70℃を下回ると、油脂、乳化剤、または乳化効果のある物質が溶融していない場合があり、乳化効果が低下する恐れがある。
一方、第1冷却工程による冷却温度が100℃以上であると、均質機の出口で沸騰が起って乳化状態が壊れてしまう。また、沸騰を抑えるために均質化工程を加圧環境で行なおうとすると均質機のシール部への負荷が大きくなる。
したがって、第1冷却工程の冷却温度は、70℃以上100℃未満とすることが必要であり、70〜90℃とすることが好ましい。
冷却工程では、加熱工程後の混合原料を冷却する。冷却は、ジャケット及び攪拌機付きタンク(例えば、商品名;Bパス:ヤスダファインテ社製)やプレート式殺菌機(例えば、商品名;プレート式UHT殺菌機、プレート式HTST殺菌機:森永エンジニアリング社製)の冷却部が使用できる。
冷却温度は、45〜55℃が目安である。冷却温度が高過ぎると静置冷却の効率が悪く、低過ぎると充填までに部分的なゲル化が進行して組織の硬さが不足する。なお、冷却工程と充填工程とを続けて行わず、充填工程の前に再加熱再冷却工程を行う場合には、25〜15℃に冷却することが好ましい。この冷却温度が高過ぎると保持中にゲル化が進行し、再加熱再冷却工程への引き出し性が悪くなり、低過ぎると再加熱によるエネルギー損失が大きくなる。
再加熱再冷却工程は、冷却工程と充填工程とを続けて行わない場合に、充填工程前に行う工程である。再加熱・再冷却には、多管式熱交換機(例えば、商品名;スピフレックス:新光産業社製)やプレート式熱交換機(例えば、商品名;プレート熱交換機:森永エンジニアリング社製)が使用できる。
この工程を採る場合には、冷却をゲル化剤のゲル化温度以下に冷却して、一旦ゲル化能力を失わせて貯蔵し、その後再加熱してゲル化剤のゲル化能力を回復させた後、再冷却して、上記の冷却温度に冷却する。
再加熱温度は、70〜90℃が目安であり、高すぎるのはエネルギーの損失であり、低過ぎるのは、ゲル化剤のゲル化能力が完全に回復しないので、組織の硬さが不足する。再冷却温度は、前記冷却温度と同一で、45〜55℃が目安である。
再加熱再冷却の工程を採用すると、エネルギー的には損失があるが、混合工程から静置冷却工程に至る一連の工程を、時間的に2つに分割するので、生産計画上の自由度を増すことができる。
充填工程では、45〜55℃程度に冷却した混合原料を、カップ等に充填して密封する。充填・密封には、軟袋充填機(例えば、商品名;TLパッカー:凸版印刷社製)、カップフィルシール充填機(例えば、商品名;Dogaseptic:GASTI社製)やフォームフィルシール充填機(例えば、商品名;AS−D:BOSCH社製)等が使用可能である。
静置冷却工程では、カップ等に充填した混合原料を、冷蔵庫内で静置して冷却する。この工程では、冷蔵庫内を静かに動くコンベアー上で連続的に冷却しても良い。冷却温度はフラワーペーストの中心温度が10〜1℃となる範囲が目安である。静置冷却温度が高過ぎると充分にゲル強度が発揮されず、低過ぎると部分的に凍結が起こり、ゲル組織が氷晶により破壊される。
(目的)
この試験は、従来の手作りの方法で製造したフラワーペーストと同等の官能評価が得られるか否かを、物性値で評価する基準を検索する目的で実施された。
No.1の試料は、表1に示す配合の原料を用い、従来の手作りの方法(洋菓子製法大全集(上巻),p302,五十嵐敏夫著,沼田書店,1967)に従って以下の手順で調製した。
1)牛乳を95℃に加熱しておき、
2)ステンレスボールの中で、砂糖、小麦粉、コーンスターチ、食塩をホイッパーで混合し、
3)卵黄を1個づつ粉の中へ加え、ホイッパーで混合し、
4)先に加熱しておいた牛乳を混合し、
5)60メッシュの篩を通して、
6)鍋に移し、火に掛けて強火で煮、
7)竹べらで、焦げつかせないように混ぜて、煮上げ、
8)鍋を火から下ろし、ステンレスボールに移し、30℃まで冷却し、
9)バニラ香料を添加して混合し、
10)プラスチックカップ(生駒化学社製)に100gずつ充填して蓋を被せ、冷蔵庫にて静置冷却して10℃とした。
a)動的粘弾性
動的粘弾性測定装置(商品名;ARESダイナミックアナライザー:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、歪依存性(周波数と試料温度を一定にして、歪を変化させて測定する方法)を、周波数:1Hz、試料温度:10℃の条件で測定し、歪が試料の厚さに対して、1%、10%、100%の3点のG′(貯蔵弾性率)の値を求めた。これより歪1%〜10%の間(以下、便宜上「小変形域」と記載する。)のG′低下、歪10%〜100%の間(以下、便宜上「大変形域」と記載する。)のG′低下、及び小変形域のG′低下の小変形域のG′低下と大変形域のG′低下の合計に対する割合(以下、便宜上「小変形域率」と記載する。)を求めた。
圧縮試験機(商品名;COMPAC100:サン科学社製)を用いて、テーブル上昇速度:60mm/min、プランジャー:直径11.3mm、円盤・試料温度:10℃の条件で破断応力を測定した。動的粘弾性と破断応力の評価結果を表2に示す。
表2に示したように、No.1の試料(手作り法)の歪依存性は、小変形域からG′の低下が始まっていて、小変形域率が43%と大きく明瞭な降伏値を持たない特徴があった。No.2の試料はこれに近いパターンを持ち小変形域率が41%であった。これ等に対して、No.3,4,5の試料は、小変形域でのG′の低下は僅かで、大変形域で急激にG′の低下が始まり、明瞭な降伏値を持つ特徴があった。
破断応力をNo.1の試料に対する差として見ると、No.2の試料は−1μPaであり、No.4の試料は+11μPaであり、No.5の試料は+20μPaであった。No.3の試料の破断応力は、小さ過ぎて測定不能であった。
10人のパネルにて、各試料の風味評価をし、食感がフラワーペーストとして良好な順に順位をつけ、各試料の順位の合計を求めた。この結果から、順位法の検定表を用いる方法(「おいしさを測る−食品官能検査の実際」、p28、古川秀子著、幸書房、1994年)で有意差を検定した。評価結果を表3に示す。
この試験の結果より、No.1の試料(手作り法)と同等の官能評価が得られたのは、原料にでん粉(コーンスターチ)及びゲル化剤としてゼラチンと低凝固性寒天を含有したNo.2の試料であった。
このNo.2の試料とNo.1の試料に共通する特徴的な物性特性は、歪依存性が、小変形域でG′の低下が始まること、破断応力は明瞭なピークが無く、20μPa前後の応力で推移することであることが分かった。
これより、以後の試験では、歪依存性が、小変形域率が40%以上であって、且つ破断応力が、測定誤差も考慮に入れて、20±5μPaの範囲のものを従来法と同等と判定することとした。
(目的)
この試験は、ゲル化剤の種類を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
No.11〜19の試料は、表4の配合の原料を用いて、試験1のNo.2〜5の試料と同一の方法で調製した。
試験1のa)及びb)と同一の方法で評価した。この結果を表5に示す。
表5に示したように、歪依存性の小変形域率は、No.11〜13の試料では40%以上であり、No.14〜19の試料では40%未満であった。破断応力は、No.11〜13の試料では20±5μPaの範囲であり、No.14、15,18,19の試料では25μPaを超え、No.16,17の試料では15μPa未満であった。
(考察)
この試験の結果より、ゲル化剤として、ゼラチンと、低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムのいずれかの多糖類とを組み合わせて用いることが有効であることが分かった。
(目的)
この試験は、でん粉の種類を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
No.21〜25の試料は、表6の配合の原料を用いて、試験1のNo.2〜5の試料と同一の方法で調製した。
試験1のa)及びb)と同一の方法で評価した。この結果を表7に示す。
表7に示したように、歪依存性の小変形域率は、No.21〜25の試料総てで40%以上であった。破断応力は、No.21〜25の試料総てで20±5μPaの範囲であった。
(考察)
この試験の結果より、でん粉の種類は特に限定されないことが分かった。
(目的)
この試験は、ゲル化剤とでん粉の比率を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
No.31〜36の試料は、表8の配合の原料を用いて、試験1のNo.2〜5の試料と同一の方法で調製した。
試験1のa)及びb)と同一の方法で評価した。この結果を表9に示す。
表9に示したように、歪依存性の小変形域率は、No.32〜35の試料では40%以上であり、No.31、36の試料では40%未満であった。破断応力は、No.32〜35の試料では20±5μPaの範囲であり、No.31の試料では25μPaを超え、No.36の試料では15μPa未満であった。
(考察)
この試験の結果より、ゲル化剤とでん粉との比率を、1:1〜1:4とすることが有効であることが分かった。
(目的)
この試験は、ゲル化剤におけるゼラチンと特定の多糖類との比率を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
No.41〜46の試料は、表10の配合の原料を用いて、試験1のNo.2〜5の試料と同一の方法で調製した。
試験1のa)及びb)と同一の方法で評価した。この結果を表11に示す。
表11に示したように、歪依存性の小変形域率は、No.42〜45の試料では40%以上であり、No.41,46の試料では40%未満であった。破断応力は、No.42〜45の試料では20±5μPaの範囲であり、No.41の試料では25μPaを超え、No.46の試料では15μPa未満であった。
(考察)
この試験の結果より、ゼラチンと特定の多糖類との比率を、1:1〜1:4の範囲とすることが有効であることが分かった。
(目的)
この試験は、加熱温度と均質機の位置を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
No.51〜59の試料は、試験1のNo.2と同じ配合の原料で、均質機付きプレート式UHT殺菌機(商品名;プレート式UHT殺菌機:森永エンジニアリング社製)を用いて、表12に示す工程条件(表の上から下に進む条件)で調製した。なお、表12におけるBパスはヤスダファインテ社製加熱殺菌用のバッチ式パスである。また、プレート式熱交換器は、森永エンジニアリング社製再加温・再冷却用のプレート式熱交換器である。また、MTYパッカーは、トーワテクノ社製カップ式充填機である。
試験1のa)及びb)と同一の方法で評価した。この結果を表13に示す。
表13に示したように、歪依存性の小変形域率は、No.53〜59の試料では40%以上であり、No.51,52の試料では40%未満であった。破断応力は、No.53〜59の試料では20±5μPaの範囲であり、No.51,52の試料では25μPaを超えた。尚、No.59の試料は殺菌中に加熱部後の圧力が低下し、熱媒体との温度差が上昇し、殺菌機適性が不良であった。
(考察)
この試験の結果より、均質化する以前の工程で80℃以上の加熱を行なえば、均質機は、Up HomoでもDown Homoでも良いことが分かった。加熱温度は80℃以上であれば良いが、150℃では、焦げ付きが生じて殺菌機適性が不良になったと考えられる。したがって、140℃を加熱の上限とすることが望ましいことが分かった。
表14のNo.61〜65の配合に従い、原料をミキサー(商品名;スーパーミキサー:ヤスダファインテ社製)で混合し、プレート式UHT殺菌機(Down Homo内蔵)(商品名;プレート式UHT殺菌機:森永エンジニアリング社製)を用い、一次加熱部で85℃に加熱し、続いて二次加熱部で140℃まで加熱し、保持管で2秒保持した後、急速冷却部で80℃に冷却し、均質機で15MPa,1段の条件で均質化した後、冷却部で20℃に冷却し、タンク(商品名;アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に20℃で1日貯蔵した。タンクに貯蔵した液を熱交換機(商品名;プレート式熱交換機:森永エンジニアリング社製)で、80℃に再加熱し55℃に再冷却し、カップ充填機(商品名;Dogaseptic:GASTI社製)で、プラスチックカップ(生駒化学製)に充填し、アルミ蓋(東洋アルミニウム社製)を熱圧シールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、5種類のフラワーペーストを製造した。
また、これ等のフラワーペーストは、シュー皮に充填しても離水が無く保形性があり、滑らかなペースト状の組織と食感を持ち、風味良好なものであった。
表14のNo.61〜65の配合に従い、原料をミキサー(商品名;スーパーミキサー:ヤスダファインテ社製)で混合・溶解し、プレート式UHT殺菌機(Up Homo内蔵)(商品名;プレート式UHT殺菌機:森永エンジニアリング社製)を用い、一次加熱部で85℃に加熱し、均質機で15MPa,1段の条件で均質化した後、二次加熱部で120℃まで加熱し、保持管で2秒保持した後、冷却部で55℃に冷却し、軟袋充填機(商品名;TLパッカー:凸版印刷社製)で、樹脂袋(凸版印刷社製)に充填し、冷蔵庫にて10℃に冷却して、5種類のフラワーペーストを製造した。
これ等のフラワーペーストは、シュー皮に充填しても離水が無く保形性があり、滑らかなペースト状の組織と食感を持ち、風味良好なものであった。
Claims (4)
- ゲル化剤とでん粉を含む原料を混合して混合原料を得る混合工程と、該混合工程の後に混合原料を加熱する加熱工程と、該加熱工程の後に混合原料を冷却する冷却工程と、前記加熱工程又は前記冷却工程の途中で混合原料を均質化する均質化工程とを有し、
前記ゲル化剤が、(a)ゼラチンと、(b)低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムからなる群より選択される1種類以上の多糖類とを含み、
前記均質化工程は、前記混合原料が80℃以上に加熱される時点以後に行われることを特徴とするフラワーペーストの製造法。 - 前記ゲル化剤とでん粉との質量比が1:1〜1:4の範囲である請求項1に記載のフラワーペーストの製造法。
- (a)ゼラチンと、(b)低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムからなる群より選択される1種類以上の多糖類との質量比が1:1〜1:4の範囲である請求項1又は請求項2に記載のフラワーペーストの製造法。
- ゲル化剤とでん粉を含み、
前記ゲル化剤は、(a)ゼラチンと、(b)低凝固性寒天、ハイメトキシルペクチン及びタマリンドシードガムからなる群より選択される1種類以上の多糖類とを含み、
前記でん粉は、糊化が略完了したでん粉であることを特徴とするフラワーペースト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004296628A JP4286762B2 (ja) | 2004-10-08 | 2004-10-08 | フラワーペーストの製造法及びフラワーペースト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004296628A JP4286762B2 (ja) | 2004-10-08 | 2004-10-08 | フラワーペーストの製造法及びフラワーペースト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006101835A true JP2006101835A (ja) | 2006-04-20 |
JP4286762B2 JP4286762B2 (ja) | 2009-07-01 |
Family
ID=36372241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004296628A Expired - Lifetime JP4286762B2 (ja) | 2004-10-08 | 2004-10-08 | フラワーペーストの製造法及びフラワーペースト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4286762B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014180625A (ja) * | 2013-03-19 | 2014-09-29 | Fujiyakuhin Co Ltd | 無菌乳化システム |
-
2004
- 2004-10-08 JP JP2004296628A patent/JP4286762B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014180625A (ja) * | 2013-03-19 | 2014-09-29 | Fujiyakuhin Co Ltd | 無菌乳化システム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4286762B2 (ja) | 2009-07-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2772583B2 (ja) | パン菓子用カスタード | |
JP4950105B2 (ja) | 加工食品及び加工食品の食感改良方法 | |
JP7206189B2 (ja) | 澱粉の改質方法 | |
JP2023056016A (ja) | 熱抑制されたワキシーキャッサバスターチ | |
JP4535654B2 (ja) | 水中油型乳化組成物の製造方法 | |
JP6711078B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化物及び含気食品 | |
JP6061263B2 (ja) | ゲル状食品及びその製造方法 | |
JPH0435139B2 (ja) | ||
JP4286762B2 (ja) | フラワーペーストの製造法及びフラワーペースト | |
JPH0695884B2 (ja) | 高粘性フイリングの製造方法 | |
JP4253978B2 (ja) | カスタード風味クリームとその製造法 | |
SK18692001A3 (sk) | Spôsob výroby výrobkov z dodatočne ohrievaného mäkkého tvarohu | |
JPS58209947A (ja) | 酸性水中油型乳化脂の製造法 | |
JP4476958B2 (ja) | メロン入りゲル状食品およびその製造方法 | |
JP4260686B2 (ja) | プリン及びその製造方法 | |
JP4286643B2 (ja) | もち様食品及びその製造方法 | |
JP3368842B2 (ja) | 高油分水中油型乳化物及びその製造法 | |
JP3759460B2 (ja) | 抹茶含有ゲル状食品の製造方法および抹茶含有ゲル状食品 | |
JP2006061035A (ja) | プリン状食品およびその製造方法 | |
JP4205047B2 (ja) | れん乳希釈食品およびれん乳希釈食品の製造方法 | |
JP2018093788A (ja) | 豆腐様流動性食品およびその製造方法 | |
CN106666060A (zh) | 原味冰淇淋及其制备方法 | |
JP2023167732A (ja) | 含気性フィリングおよびその製造方法 | |
JP2007267646A (ja) | 低粘度カスタードクリーム及びその製造方法 | |
JP2024123862A (ja) | 菓子用ペーストの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060725 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080717 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080819 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081009 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20081009 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090317 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090325 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120403 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4286762 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120403 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130403 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130403 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140403 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |