JP2006097144A - 繊維集合体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来品よりも高度な吸水性(吸水率と吸水速度)を有するナノファイバーを含んでなる繊維集合体およびその製造方法の提供。
【解決手段】本発明の繊維集合体は、有機ポリマーからなり、数平均による単繊維直径が1〜500nmの範囲内のナノファイバーを含んでなる繊維集合体であって、密度が0.02〜0.9g/cm3の範囲内であり、かつ下記(a)および(b)の特性を同時に満足すること。 (a)吸水率が400〜2000%の範囲内 (b)吸水速度が2秒以下の範囲内 また、本発明の繊維集合体の製造方法は少なくとも次の工程を経てなるものである。 I.ポリマーアロイ繊維製造工程、 II.繊維集合体製造工程、 III.ナノファイバー化工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばインクジェットプリンタのインク吸収体などの印刷分野や、生活資材分野等で用いられる吸収材の改良に関し、従来品よりも高度な吸水性を有するナノファイバーを含んでなる繊維集合体およびその製造方法に関するものである。
従来より、ポリエステル、ポリアミド系などの有機ポリマーからなる合成繊維は、安価でありながら、強度、耐熱性、耐摩耗性などの特性に優れていることから、衣料用や産業資材用といった幅広い分野において使用されてきている。
しかしながら、これらの合成繊維は親水性・吸水性に乏しいことが問題であり、インクジェットプリンタのインク吸収体などの印刷分野や、生活資材分野等で用いられる吸収材において、その改良が望まれている。この改善技術として、単繊維系が10μm程度以下のいわゆるマイクロファイバーと呼ばれる極細繊維を吸収材として用いることが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2)が、単繊維の細さが十分ではなく、格別に高度な吸水量と吸水速度を兼ね備えるものではなかった。
特開平11−323710号公報 特開2004−100057号公報
本発明は、かかる従来の問題点を解消し、高度な吸水性と吸水速度とを兼備した繊維集合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の繊維集合体は、有機ポリマーからなり、数平均による単繊維直径が1〜500nmの範囲内のナノファイバーを含んでなる繊維集合体であって、密度が0.02〜0.9g/cm3の範囲内であり、かつ下記(a)および(b)の特性を同時に満足することを特徴とする。
(a)吸水率が400〜2000%の範囲内
(b)吸水速度が2秒以下の範囲内
ただし、上記吸水率および吸水速度は次のように測定するものとする。
吸水率:温度20℃、湿度65%RHの雰囲気下にて24時間調湿したサンプル (重量:W0)を水中に3分間浸漬後、温度20℃、湿度65%RHの 雰囲気下にて24時間調湿した目付が0.5g/m2のガーゼ上に載せ、 さらにサンプルの上から同じ状態の上記目付のガーゼをサンドイッチ状 に載せ、この状態で30秒間静置する。その後、サンプルを取り出して その重量W1を測定し、次式により吸水率を定める。
吸水率(%)=[(W1−W0)/W0]×100
吸水速度:JIS L 1907(1994) 5.1.1に準じて測定する。
なお、本発明の繊維集合体において、以下のA〜Dの態様を適宜組み合わせると、吸水性および吸水速度が向上するので、さらに優れた作用、効果が得られる。
A.ナノファイバーの数平均による単繊維直径を更に1〜300nmの範囲内とする こと。
B.さらに親水剤を繊維集合体の重量あたり0.05〜5重量%の範囲内で付与する こと。
C.繊維集合体の形態を、織編物、不織布または紙とすること。
D.有機ポリマーを熱可塑性ポリマーとすること。
また、上記課題を解決するため、本発明の繊維集合体の製造方法は、少なくとも次の工程を経てなるものである。
I.ポリマーアロイ繊維製造工程:2種類以上の異なる有機ポリマーをポリマーアロイ化し、これを紡糸して海島構造を有し、繊維断面における島ドメインの数平均直径が1〜500nmの範囲内であるポリマーアロイ繊維を製造する工程、
II.繊維集合体製造工程:上記ポリマーアロイ繊維を用いて、密度が0.02〜0.9g/cm3の範囲内の織編物、不織布または紙からなる繊維集合体を製造する工程、
III.ナノファイバー化工程:上記繊維集合体から、ポリマーアロイ繊維の海成分ポリマーを加水分解により除去して島成分をナノファイバー化する工程。
なお、工程IIIにおいて、繊維集合体を巻き取った状態で加水分解工程に投入し、ポリマーアロイ繊維の海成分を除去することが、コスト面から好ましい製造方法である。
本発明によれば、従来の素材に比べて単繊維繊度が格段に小さいナノファイバーを適切な密度範囲等に調整することにより、非常に優れた吸水性を有する繊維集合体を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明でいう繊維集合体とは、繊維が規則的あるいは不規則的に集合した状態の構成体をいう。例えば、繊維束や綿、織物、編物、組物、不織布、多軸積層体等の布帛など多様な形態が挙げられる。これらの形態のいずれも本発明の繊維集合体に含まれるが、取扱い性の点から織編物、不織布または紙といった形状にするのが好ましい。
上述したように、本発明の繊維集合体の構成要素は、いわゆるナノファイバーを含んでなること、それに親水剤が付与されていること、吸水率および吸水速度が特定範囲内であることである。
ここで、ナノファイバーとは、一般に単繊維直径が1〜1000nmの範囲内の繊維のことをいうものであり、近年脚光を浴びているカーボンナノファイバーをはじめ、無機物、有機物など様々な物質、形態のものがある。
本発明の繊維集合体に用いるナノファイバーは、有機ポリマーから製造するものである。有機ポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、生体ポリマーなどが挙げられるが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。また、熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィンなどが挙げられる。これらポリマーには安定剤などの添加物を含有させても良い。また、ポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。
本発明では、数平均による単繊維直径が1〜500nmの範囲内のナノファイバーを繊維集合体に含むことが重要である。この範囲において、繊維間にナノオーダーの空隙を持つようになり、吸水性が大幅に向上するためである。すなわち、島ドメインの数平均直径が500nmより大きくなる場合、海成分を除去した後に得られるナノファイバー直径が太いものとなり、繊維集合体における繊維間に生じる空隙が大きくなるため吸水性能が低下する。一方、1nm未満であると、繊維集合体にした場合、高密度なりやすく逆に吸水性能が低下しやすくなる。上記の理由から、ナノファイバーの数平均の単繊維直径はより小さい方が好ましく、好ましい範囲は1〜300nmである。なお、ナノファイバーの数平均の単繊維直径は次の方法にて求められる。まず、繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡:TEM(株式会社日立製作所社製H−1700FA型)で繊維横断面を観察する。このTEMによる繊維横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維直径を計算し、それの単純な平均値を求める。これを「数平均による単繊維直径」とする。このとき、平均に用いるナノファイバー数は同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単繊維直径を測定する。
また、本発明の構成要件および目的を損なわない範囲において、繊維集合体にナノファイバー以外の合成繊維や天然繊維を混用しても構わない。
次に、本発明の繊維集合体の密度は0.02〜0.9g/cm3の範囲内にあることが重要である。密度が0.02g/cm3未満では繊維集合体内部の空隙が大きくなりすぎ、集合体の形態保持性が悪くなり、0.9g/cm3よりも大きくなると繊維集合体が固くなり、十分な吸水性を得ることができなくなるといった問題が発生する。
さらに、吸水率が400〜2000%の範囲内、吸水速度が2秒以下であることが必要である。吸水率が400%未満であると水分を十分に吸収することができず、2000%より大きくなると吸水後の重量が重くなりすぎることや、大きく膨張して所望の部位に適用しづらくなるからである。また、吸水速度が2秒よりも大きいと、吸い取られる液体に繊維集合体を接触させる時間を長くする必要があり、作業性の点で問題があるからである。
なお、本発明でいう吸水率および吸水速度は以下の方法にて測定する。
吸水率:温度20℃、湿度65%RHの雰囲気下にて24時間調湿したサンプル (重量:W0)を水中に3分間浸漬後、温度20℃、湿度65%RHの雰 囲気下にて24時間調湿した目付が0.5g/m2のガーゼ上に載せ、 さらにサンプルの上から同じ状態の上記目付のガーゼをサンドイッチ状 に載せ、この状態で30秒間静置する。その後、サンプルを取り出して その重量W1を測定し、次式により吸水率を定める。
吸水率(%)=[(W1−W0)/W0]×100
吸水速度:JIS L 1907(1994) 5.1.1に準じて測定する。
また、親水性能を向上させるため、繊維集合体には親水剤が付与されていることが好ましい。親水剤はとしては、具体的にポリアルキレングリコール、芳香族ジカルボン酸、アルキレングリコールのブロック共重合体などが使用されるが、これに限定されるものではない。親水剤の付与量としては、吸水性能および処理された繊維集合体の柔軟性などといった風合いの点から、繊維集合体の重量あたり0.05〜5重量%の範囲であることが好ましい。
次に、本発明の製造方法について工程別に説明する。
I.ポリマーアロイ繊維製造工程
まず、2種類以上の異なる有機ポリマーをアロイ化してポリマーアロイ溶融体を紡糸し、海島構造を持ったポリマーアロイ繊維を製造する。ここで、ポリマーアロイ繊維に使用される有機ポリマーは、海成分が後に加水分解により除去されて島成分がナノファイバーとなるため、海島構造の海成分は加水分解されやすい有機ポリマー、島成分は加水分解されにくい有機ポリマーを選択することが好ましい。
有機ポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、生体ポリマーなどが挙げられるが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。また、熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィンなどが挙げられる。これらポリマーには安定剤などの添加物を含有させても良い。また、ポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。また、ポリマーアロイ化された有機ポリマーにおいて、島成分のポリマーの分散状態は直接ナノファイバー直径に影響を及ぼすため、アロイ化するポリマーの混練が非常に重要である。具体的に混練は押出混練機や静止混練機などにより高混練することが好ましく、押出混練機では2軸押出混練機を用いること、静止混練機ではその分割数が100万以上とすることが好ましい。
準備されたポリマーアロイ化された有機ポリマーを紡糸口金から紡出した後、冷却固化して繊維化する。そして必要に応じて延伸、熱処理を施してポリマーアロイ繊維を製造する。ポリマーアロイ繊維において、繊維断面における島ドメインの数平均直径が1〜500nmであることが重要である。島ドメインが500nmより大きくなる場合、海成分を除去した後に得られるナノファイバー直径が500nmを超える太いものとなり、繊維集合体における繊維間に生じる空隙が大きくなるため吸水性能が低下する。一方、1nm未満であると、繊維集合体にした場合、高密度なりやすく逆に吸水性能が低下しやすくなる。上述した理由により、好ましい範囲は1〜300nmの範囲である。なお、この島ドメインの数平均直径は、ポリマーアロイ繊維の横断面方向に超薄切片を切り出した後、上述のナノファイバーの単繊維直径測定と同様に、TEMと画像処理ソフトを用いて島ドメイン直径を計算し、それの単純な平均値を「島ドメインの数平均直径」とする。測定数は同一横断面内で無作為抽出した300個以上とし、これを少なくとも5カ所以上で行い、合計1500個以上の島ドメイン直径を測定して、その平均値を算出することで求める。
II.繊維集合体製造工程
次に、前工程で製造したポリマーアロイ繊維を用い、織編物、不織布あるいは紙といった繊維集合体にする。その具体的な製造方法はそれぞれ従来公知の方法によって製造することができる。例えば、不織布については、乾式、気流式、湿式法又はスパンボンド法などの公知ウェブ形成法によりウェブを形成し、例えば、接着剤、添加剤による処理、あるいはニードルパンチ、流体パンチ等の機械的接結法といった公知の方法により、その後、乾燥、熱処理することにより得ることができる。
ここで、その繊維集合体の密度を0.02〜0.9g/cm3の範囲内に調製する。密度が0.02g/cm3未満ではナノファイバー化された後の繊維集合体内部の空隙が大きくなりすぎ集合体の形態保持性が悪くなり、0.9g/cm3より大きくなると、ナノファイバー化された後の繊維集合体が固くなり、繊維集合体内部への水分の浸透がされづらくなるため、所望の吸水性を達成できなくなるからである。
密度の具体的な調整方法としては、例えば短繊維不織布および紙形態では、使用する原綿の量を計量してウェッブを作成した後、ニードルパンチや流体パンチなどで短繊維を絡合させ、必要によっては熱プレス加工などを実施することで調整する。また、織編物形態では、使用する繊維の繊度と打ち込み本数により調整する。
III.ナノファイバー化工程
上記繊維集合体からポリマーアロイ繊維の海成分ポリマーを加水分解により除去して島成分をナノファイバー化する。加水分解処理には、主に熱水やアルカリなどが用いられるが、島成分ポリマーの性質に準じて処理液、処理時間および温度を選定する。例えば、海成分にアルカリに加水分解されやすい共重合ポリエステルやポリ乳酸などのポリマーを用いた場合、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどからなるアルカリ性水溶液を用いることにより上記の海成分ポリマーを加水分解させて除去する。ここで、水を吸収する単繊維間の空隙をなるべく多くするため、海成分ポリマーの70%以上を除去して、島成分ポリマーをナノファイバーとすることが好ましい。また、加水分解処理は従来公知の染色機などを用いて実施できるが、製造コストの面から繊維集合体を巻き取った状態で処理液中に投入して加水分解処理することが好ましい。
IV.仕上げ加工工程
ここでは、上記のナノファイバー化された繊維集合体に対し、必要に応じて染色や親水剤などの仕上げ加工を実施する。染色やその他の仕上げ加工は従来公知の方法により実施できる。例えば、繊維集合体に親水剤を付与する方法としては、吸尽法、浸漬法、パディング法、スプレー法、液中吸着法、表面重合法またはグラフト重合法などが挙げられる。その処理の具体例として、浸漬法では、常温で親水剤溶液に繊維集合体を浸して、マングルで絞液して一定付着量を付与し、50〜130℃で乾燥した後、100〜200℃で熱処理され、繊維集合体に付与する。
最後に、上記繊維集合体を所望の大きさ、形状への裁断、さらに縫製などの仕上げを実施する。裁断はナノファイバー化工程の前に実施しても構わない。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、本実施例で用いた物性の定義および測定方法は、既に発明を実施するための最良の形態の欄中で説明した方法の他、次に示すものである。
A.ポリマーの溶融粘度
東洋精機株式会社製キャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
B.融点
Perkin Elmer製DSC−7を用いて2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
C.密度
繊維集合体の目付S(g/m2)および厚さT(mm)を、それぞれJIS L 1096(1999) 8.4.2および8.5.1に準じて測定し、これらの測定値から繊維集合体の密度D(g/cm3)を以下の式から算出した。
D=S/T/1000
[実施例1]
溶融粘度53Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のナイロン6(以下、N6)を20重量%、および溶融粘度310Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、共重合PET)80重量%を、2軸押出混練機により260℃で混練してポリマーアロイチップを得た。なお、この共重合PETの262℃、1216sec-1での溶融粘度は180Pa・sであった。このときの混練条件は以下のとおりとした。
スクリュー型式:同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー直径:37mm、有効長さ:1670mm、L/D=45.1
混練部長さ:スクリュー有効長さの28%
混練部:スクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた。途中3個所のバッ クフロー部有り
ポリマー供給:N6と共重合PETを別々に計量し、別々に混練機に供給した。
ベント:2個所
このポリマーアロイを275℃の温度で溶融させ、紡糸温度280℃のスピンブロックに導いた。そして、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体を濾過した後、口金面温度262℃とした口金から溶融紡糸した。このときの紡糸口金としては吐出孔上部に直径0.3mmの計量部を備えた、吐出孔径が0.7mm、吐出孔長が1.75mmのものを用いた。そして、この時の単孔あたりの吐出量は2.9g/分とした。また、この時の口金孔壁とポリマーの間の剪断応力は0.13MPa(ポリマーアロイの粘度は105Pa・s、262℃、剪断速度1248sec-1)と充分低いものであった。さらに、口金下面から冷却開始点までの距離は9cmであった。吐出された糸条は20℃の冷却風で1mにわたって冷却固化され、口金から1.8m下方に設置した給油ガイドで給油された後、非加熱の第1引取ローラーおよび第2引取ローラーを介して900m/分で巻き取られた。そして、これを第1ホットローラーの温度を90℃、第2ホットローラーの温度を130℃として延伸熱処理した。この時、第1ホットローラーと第2ホットローラー間の延伸倍率を3.2倍とした。得られたポリマーアロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%といった特性を示した。また、得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、共重合PETが海、N6が島の海島構造を示し、島成分N6の数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
上記で得られたポリマーアロイ繊維を25本合わせて、およそ3000dtexとした後、ギロチンカッターで40mmにカットした。これを、開繊機で開繊した後、開繊された繊維を計量してパラレルカードマシンにてウェッブを作成し、このウェッブをニードルパンチマシン(速度0.5m/分、針本数50本/cm2)にて上下両面1回ずつ処理することで、繊維を絡合させ、ニードルパンチ不織布を得た。このニードルパンチ不織布は、目付が0.04g/cm3であった。
さらに、上記ニードルパンチ不織布を温度95℃、濃度3%の水酸化ナトリウム水溶液で満たしたバット中に、浴比1:100で2時間浸漬することでポリマーアロイ繊維中の海ポリマーである共重合PETの99%以上を加水分解除去することで、密度が0.21g/cm3であるナノファイバー不織布を得た。また、ナノファイバー不織布から繊維を引きだし、この繊維横断面をTEMで観察したところ、N6からなるナノファイバーの数平均による単繊維直径は56nmであり、ナノサイズの繊維が得られた。
かくして得られたナノファイバー不織布の吸水率及び吸水速度を測定した結果、吸水率は900%であり、吸水速度は1秒未満であった。
この結果から明らかなように、本発明の繊維集合体は、高度な吸水性を有するものである。
この繊維集合体は、例えば、インクジェットプリンタのインク吸収体などのワイピング材の他、衛生材料などとしても好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 有機ポリマーからなり、数平均による単繊維直径が1〜500nmの範囲内のナノファイバーを含んでなる繊維集合体であって、密度が0.02〜0.9g/cm3の範囲内であり、かつ下記(a)および(b)の特性を同時に満足することを特徴とする繊維集合体。 (a)吸水率が400〜2000%の範囲内
    (b)吸水速度が2秒以下の範囲内
    ただし、上記吸水率および吸水速度は次のように測定するものとする。
    吸水率:温度20℃、湿度65%RHの雰囲気下にて24時間調湿したサンプル (重量:W0)を水中に3分間浸漬後、温度20℃、湿度65%RHの 雰囲気下にて24時間調湿した目付が0.5g/m2のガーゼ上に載せ、 さらにサンプルの上から同じ状態の上記目付のガーゼをサンドイッチ状 に載せ、この状態で30秒間静置する。その後、サンプルを取り出して その重量W1を測定し、次式により吸水率を定める。
    吸水率(%)=[(W1−W0)/W0]×100
    吸水速度:JIS L 1907(1994) 5.1.1に準じて測定する。
  2. ナノファイバーの数平均による単繊維直径が、1〜300nmの範囲内である請求項1記載の繊維集合体。
  3. 親水剤が、繊維集合体の重量あたり0.05〜5重量%の範囲内で付与されていることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維集合体。
  4. 繊維集合体の形態が、織編物、不織布または紙である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維集合体。
  5. 有機ポリマーが、熱可塑性ポリマーである請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維集合体。
  6. 少なくとも次の工程を経てなる繊維集合体の製造方法。
    I.ポリマーアロイ繊維製造工程:2種類以上の異なる有機ポリマーをポリマーアロイ化し、これを紡糸して海島構造を有し、繊維断面における島ドメインの数平均直径が1〜500nmの範囲内であるポリマーアロイ繊維を製造する工程、
    II.繊維集合体製造工程:上記ポリマーアロイ繊維を用いて、密度が0.02〜0.9g/cm3の範囲内の織編物、不織布または紙からなる繊維集合体を製造する工程、
    III.ナノファイバー化工程:上記繊維集合体から、ポリマーアロイ繊維の海成分ポリマーを加水分解により除去して島成分をナノファイバー化する工程。
  7. 請求項6の工程IIIにおいて、繊維集合体を巻き取った状態で加水分解工程に投入し、ポリマーアロイ繊維の海成分を除去することを特徴とする請求項6記載の繊維集合体の製造方法。
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